2021.04.04 Inter FM「Daisy Holiday!」より

手作りデイジー🌼#19

 

daisy-holiday.sblo.jp


 (以下、すべてH:)

 

 

 はい、細野晴臣です。1ヶ月は早いですね。4月4日ですか、もう。桜も早かったなぁ。なんか急いでる感じで。去年はわりとのんびり咲いていたような気がするんですけど。人が少なかった所為でしょうかね。まぁ、そういう世間とはちょっと距離を置いて、音楽を楽しんでいきたいと思います。

 きょうは前半に…チェンバロですね。ハープシコードとも言う。バロック音楽でよく使うあの楽器がいかにロックやジャズに合うか、という。それを聴いていきたいと思います。で、最初にフロイド・クレイマー(Floyd Cramer)。前回かけた"On The Rebound"の次の年に大ヒットしました、"Hot Pepper"。

 

 

Hot Pepper - Floyd Cramer

 

 

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 ジャズ界で最初にやったのはたぶん、アーティ・ショウ(Artie Shaw)なのかもしれないんですけど。アーティ・ショウのスモールバンド、グラマシー・ファイブ(Gramercy Five)の演奏で…1941年にヒットしました、"Summit Ridge Drive"。

 

 

Summit Ridge Drive - Artie Shaw and his Gramercy Five

 

 

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 1951年に大ヒットしたローズマリー・クルーニー(Rosemary Clooney)の"Come On-A My House"。このチェンバロのブギがすごいですね。スタン・フリーマン(Stan Freeman)が弾いています。プロデューサーはミッチ・ミラー(Mitch Miller)ということで…では、"Come On-A My House"

 

 

Come On-A My House - Rosemary Clooney

 

  

今、アメリカで横行している「キャンセル・カルチャー(cancel culture)」というのがあるんですけど…それを恐れずにかけています。

 

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 ところで、チェンバロでブギを弾く…なんてことはスタン・フリーマン以外にはできないですね。硬い鍵盤なので。"Come On-A My House"の大成功ということもあって、翌年にミッチ・ミラーとまた組んでレコーディングしてます。"Horn Belt Boogie"。

 

 

Horn Belt Boogie - Mitch Miller with Stan Freeman

 

 

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 さて、ここからはですね…ブルース・ルンバとかマンボ・ブギという、ラテンの影響を受けたリズム&ブルースの歴史をちょっと…ちょっとだけですけど、紐解いてみたいと思います。1940年代ぐらいからジャンプ系の音楽ではそういうことがあったんですね。カリプソとかルンバとか。でも、非常に有名になったきっかけは1952年の"Hound Dog"という曲です。ビッグ・ママ・ソーントン(Big Mama Thornton)の歌でヒットしました。このリズムが大反響を呼んでみんなカヴァーしたんです。そのきっかけというのがジョニー・オーティス(Johnny Otis)というロックンロール界のゴッドファーザー。その人が17歳の2人の少年たちに曲を依頼したんです。「ビッグ・ママ・ソーントンのために新しい曲を書いてくれ」と。その2人の名前は…リーバー&ストーラー(Jerry Leiber & Mike Stoller)というビッグネームになった人たちですね。それで"Hound Dog"が出来て、いざレコーディング…というときに、「なんかリズムが違うんで…ジョニー・オーティスさん、あなた叩いてくださいよ」ということで。ジョニー・オーティスがドラムを叩いたらすごく良い出来になったという…これが"Hound Dog"。そして、そのアンサーソングでルーファス・トーマス(Rufus Thomas)が"Bear Cat"という曲を歌っているのを、両方いっしょに重ねてみました。

 

 

Hound Dog - Big Mama Thornton

 

 

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Bear Cat - Rufus Thomas

 

 

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 そのジョニー・オーティスがやった、「史上初のロカビリー・マンボ」とも呼ばれているんですけど…まぁ、そうとも言えないんですけどね(笑)"Mambo Boogie"!

 

 

Mambo Boogie - Johnny Otis

 

 

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  先ほども言いましたけど、1940年代のジャンプスタイルの…ルイ・ジョーダン&ヒズ・ティンパニ・ファイブ(Louis Jordan and his Tympany Five)という。彼らがやっているカリプソ系やルンバ系がすごく良かったんですね。それを聴いてください。"Early in the Mornin"。

 

 

Early in the Mornin' - Louis Jordan and his Tympany Five 

 

 

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 これは1947年のレコーディングなんですが、だいたいこの頃にはニュー・オーリンズでもすごいことが起こっていました。プロフェッサー・ロングヘア(Professor Longhair)という…「ロックンロール界のバッハ」と呼ばれていますけども…(笑)プロフェッサー・ロングヘア、またの名をロイ・バード(Roy Byrd)の"Hey Little Girl"。

 

 

Hey Little Girl - Professor Longhair

 

 

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 ちょっとモードが変わって…次はですね、アーニー・フリーマン(Ernie Freeman)という人を紹介したいと思います。この人のことを一言で言うのは大変なので、解説に書いておきました。そのアーニー・フリーマンのセッションバンドで、"Jivin' Around"。

 

 

Jivin' Around - Ernie Freeman

  

 

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このレコーディングは1955年ですけど…この後、アーニー・フリーマンはすごい活躍しますね。サイモン&ガーファンクルSimon & Garfunkel)で"明日に架ける橋(Bridge Over Troubled Water)"の弦のアレンジをしたりとか。ボビー・ヴィー(Bobby Vee)のアレンジがすばらしかったんですけどね。

 

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 ここで1957年に参加するドラマーがアール・パーマー(Earl Palmer)です。"Teen Beat"。

 

 

Teen Beat - Earl Palmer

(from『Drumsville!』)

  

 

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 じゃあ次の曲がですね…レイ・オ・バックス(The Ray-O-Vacs)というヴォーカルグループです。"My Baby's Gone"。

 

 

My Baby's Gone - The Ray-O-Vacs  

 

 

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 きょうの最後の曲は…お口直しということで、プエルトリコのピアニスト、ジョー・ロコ・ヒズ・ピアノ・クインテット(Joe Loco His Piano & Quintet)で、"Why Don't You Do Right"。

 

 

Why Don't You Do Right - Joe Loco His Piano & Quintet