2022.05.22 Inter FM「Daisy Holiday!」より
H:はい、細野晴臣です。きょうはですね、コシミハルを…ミハル・コシと言っていいんですか?
コ:え?
H:どっち?ミハル・コシなの?本名。
コ:こんばんは、コシミハルです(笑)
H:きょうは一人ですよ。
コ:うわー、さびしいですよ。岡田さーん(笑)
H:岡田くんはちょっと急用でね、来れなくて。いっぱいしゃべってね。僕は司会だけやるんで。一人語り。
コ:は、はい…
H:近況をまずお伺いしたいんですけどね。
コ:えーとね、6月にコンサートをするんですよ。
H:はいはい!僕もそうなんだけどね。
コ:あ、やります?細野さんも。いつやるの?
H:やるんだよ(笑)24日に大阪でやるんだよね。
コ:あー、いいですね。それはどんなコンサートになりそう?
H:ぜんぜんわかんないんだよね(笑)
コ:え!まだなにもやってないの?
H:やってないんです。考えてるところなんです。
コ:すごいなぁ。毎回思うんですけど、いつもそうですね(笑)
H:いや…そんなこともあるか(笑)今回はずっとやってきた漣くんたちね、バンドがいないの。
コ:じゃあもしかして、ひとりでベース弾きながら歌うとか。そういうこと?(笑)
H:いやいやいや(笑)
コ:それはちょっと聴いてみたい。
H:それはなんか、お笑いになっちゃう(笑)
6月24日(金)
— 細野晴臣_info (@hosonoharuomi_) May 6, 2022
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H:僕のことはさておき。6月30日ね。どちらで?
コ:渋谷のさくらホールという。
H:前回もそうでしたね。毎年やってるよね?
コ:だいたいそうですね。今回で9回目なんです。最初は北沢タウンホールとかで始めて。
H:あ、「Madame Crooner」シリーズね。
コ:もう9回目なんだ、と思って。
H:その前を入れるとすごいよね。途切れずにやってますよね。いつからだろう。
コ:いやー、もう…(笑)
H:半世紀ぐらいかな(笑)
コ:ほんとに1980年代ぐらいから。でも「Music Hall」シリーズを考えると90年代の少し前ぐらい…?
H:まぁ「Music Hall」からだね、印象深いのは。代官山の…
コ:あ、そこではサロンコンサートをね。「Evening Café」という。
H:「Evening Café」だ!なつかしいね。
コ:ピアノとファゴットと3人でやってね。
H:あ、お父上のね。ファゴット。
コ:そうですね。細野さんにも何度かゲストで。
H:やったっけ?
コ:ポラロイドカメラマンで出演してもらって(笑)
H:あー、そんなギャノみたいなことをね…で、30日は「Madame Crooner」シリーズということなんですよね。
コ:はい。今回は「Cinémusique en quintette」ということで。
H:シネミュージック・コン・クインテット。
コ:映画の中で聞こえてくる音楽をね、いろいろ集めて。
H:それはいいね。
コ:今までもだいたい映画の中にある音楽を演奏していたので…これまでやってきたものも演奏しつつ、新しく選んだものも入って、という感じですかね。
H:なるほど。
コ:で、前回からトリオ演奏にギターを加えまして。
H:お、今回も?
コ:そう、今回も今堀恒雄さんが参加してくれて。
H:あー、いいギタリストですよね今堀さん。
コ:すばらしいですよね。で、ピアノはフェビアン・レザ・パネ(Febian Reza Pane)。ベースは渡辺等さん。
H:あ、僕じゃないんだね(笑)
コ:(笑)で、ドラムスが則武諒さんという方でね。
H:この方はわりと新しく参加した人ですね。前回から。
コ:そうですね。
H:それはいいメンバーだな。超一流ですよね。
コ:そうなんです。ミュージシャンの演奏が素晴らしいので、ぜひぜひ…聴いて頂きたいです。
H:ミハルちゃんは歌うだけなの?アコーディオン?資料見たらヴォコーダーって書いてあるけど。
コ:そうですね。ヴォコーダーはいつも使ってて…あと小さいグロッケンとか。あとは踊りかなぁ、みたいな(笑)
H:まだ大丈夫なの?足腰(笑)
コ:(笑)
H:踊る人はみんなそうだよね。ずっと鍛えて、調整していかないと。
コ:そうそう。そういうのを周りに訊きながら、どうしたらそれができるのかな、って考えてるだけ…毎日鍛えるとかってすばらしいですよね。ダンサーの方は。
H:ストイックだね。ただミハルちゃんはダンサーではないから。
コ:そう。今、地下鉄の階段を上るのに…(笑)
H:それでも踊る気はあるんだね。すごいよ。
コ:踊るのか?踊れるのか?みたいな。
H:でも、よく踊ってましたもんね。前は。
コ:ね。ダンス好きなので。
H:なんでそんなに好きなんだろう?
コ:やっぱり身体を動かすのは好きなのかな?
H:あー、そうだよね。なんか、スポーツ系に行ったら出世してたかもね(笑)
コ:出世?(笑)スポーツはほんとにすごいな、と思いますよね。細野さんは動かないですよね。
H:僕はね、内面的には動いてるんだよね。
コ:昔からぜんぜん…走ってるのとか見たことない。
H:走るよ!内面で(笑)
コ:やっぱり脳なんですね。
H:脳内でね、やるんですよ。ミハルちゃんは脳内ではどうなってるんですか?
コ:え、でもネットを見てたりするとね。入り込んじゃってヘンな気分になりますね。
H:最近のネットですか。どういうのを見てるの?
コ:まぁYouTubeとかで古い映像を見つけたりしてても…体感するのとはだいぶ違うね、やっぱり。
H:どういうこと?
コ:例えば舞台を観に行くときの感覚とはぜんぜん違う。なんだろう?
H:でも、舞台を映像で残すっていうのは難しいよね。
コ:難しい難しい!ほんとに。
H:毎回、僕と岡田くんは駆り出されて撮ってるけど。ダメだもん。
コ:ね。映像隊でいるんだけど…撮り終わった後に誰も見たことがないっていう(笑)
H:(笑)なんかね、いい画を撮ろうとは思うんだけど限界があるわけ。自由に動け回れればいいんだけど。デイヴィッド・バーン(David Byrne)みたいなね、ああいうシチュエーションだったら。ステージの上から撮ったりできるんだけど。固定しかないから、普通の舞台では。お客さんの邪魔にならないようにしないといけないじゃない?
コ:うん。
H:でも前、どこかクラブで…湯山さん。出ましたよね。
コ:あ、湯山玲子さんの…はい。
H:あの時僕は撮ったんですけど、あれはね、自信作なんですよ。
コ:あれ良かったですね。
H:いいでしょ?
コ:うん、いいですよ。すごく。
H:才能あるよね(笑)
コ:(笑)
H:30日も呼び出されるのかな?
コ:そうですね。
H:えー!岡田くーん…
コ:どこで撮るんですかね?
H:あそこはね、伝承ホールでしょ?
コ:違う違う、さくらホール(笑)
H:あ、違うか(笑)もうちょっと広いとこだ。あそこは2階席が張り出してて、左右にね。バルコニーっぽく。そこで撮ってたんだけど、それでも難しいね。どうせ固定しないといけないし、上から見下ろす感じしかないんだよね。
コ:はい。
H:で、下に行くと真正面しかないじゃない。だから限界があるね。
コ:そうですね。
H:あと、それにも増してね…例えばフィリップ・ジャンティ(Philippe Genty)。大好きでしょ?
コ:はい。
H:でも映像に残ってるのを見ると…違うじゃない。
コ:そうですね、あれはほんとに舞台で楽しむものですね。だって暗闇がね…あの真っ暗を体験するということですよね。
H:ね。やっぱり舞台というのは舞台がいちばんですよね。映像で見ても伝わってこない。
コ:そうですね。なんか、映画もちょっとそうだなと思います。やっぱり劇場で観ると違うなぁ、って。
H:映画は劇場で観るといいだろうけど…やっぱりアステア(Fred Astaire)とかの動きは計算されてるでしょう?
コ:そうですね。
H:僕はスピルバーグの『ウエスト・サイド』をまだ観てないですけど、どうなんでしょう?
コ:どうなんだろう。私もまだ観てないですね。
H:…という、お話ばっかりじゃあれなので、音楽を一つ聴かせてください。
コ:はい。では私ので…"Moonray"を。
Moonray - コシミハル
(from『MOONRAY』)
H:いやー、いいですね。ベースの音もいいね。ああいう風に弾けたらな。
コ:ベース弾いてますか?最近。
H:弾いてないですよ(笑)
コ:えー、弾けばいいのに…ベース上手いんだから。
H:ひとりで?あれなんですよ。人間、歳をとるとなんにもしたくなくなるという。
コ:じゃあ最近はどうしてるんですか?毎日。
H:毎日?なにやってるんだろう。
コ:まず、どういう時間帯なの?何時に起きてどうする、みたいな。
H:だいたいね、朝は起きるんですよ。みんなそうか(笑)
コ:何時ぐらいですか?
H:8時くらいかな。
コ:早起きだね。
H:それで…お手洗い行ったり、コーヒー飲んだり。ときどきお風呂に入っちゃったりね。で、テレビをつけてボリュームは消して、パソコンを立ち上げて。いろんなサイトを見たりね、ニュースを見たり。そんなようなことをしてると眠くなるね。寝ちゃうんだよね(笑)
コ:二度寝しちゃうんですか。
H:二度寝ですね。高齢者の特徴というか。
コ:散歩とかしないんだ。
H:心の中でしてますよ。
コ:(笑)
H:気持ちは自由なんだけど、身体は不自由でね。ソファで寝るんですけどね、相変わらず。なんか最近、ソファから立ち上がると目が回るんだよね(笑)
コ:えー、大丈夫ですか?
H:大丈夫かな…歳をとる、っていう話をする?これから。
コ:どうぞ。
H:ミハルちゃんも歳をとったんでしょうね。
コ:すごいよねぇ…
H:見た目はそんなに変わらないですよ。幼稚園の頃から(笑)
コ:美容整形のページとかよく見ます(笑)
H:相変わらず整形にあこがれがあるんですね。
コ:ずっと言ってるよね(笑)
H:しなくていいって。
コ:いちばん最後に1回ぐらいしてもいいんじゃないかな、って。ね?細野さんは?
H:僕?したいね(笑)
コ:(笑)
H:まぁ美容というか、いろいろと直さなきゃな、というところはいっぱいあるよ。
コ:えー、そうなの?どこですか?
H:いやー、ちょっと言いにくい…
コ:歳をとるという感じはどうですか?体感で。
H:あのね…こないだね、認知症のテストで100点を取ったっていう自慢話(笑)
コ:すごい!それはすごい自慢話だね。ほんとにうれしそうだったね。
H:あれから…週刊誌とか買ってパズルとかやるんですよ。脳トレっていうのかな。で、けっこうできるんだけど、間違い探し?おんなじ絵が2つあって…
コ:どこが違うか、って。
H:必ず1個がわからないね。最後の。あれはなんだ?(笑)
コ:意外と難しいですよね。思いこんじゃってたりするとわからない。
H:そう。いちばん難しいのはサイゼリヤのメニューに入ってるパズル。
コ:へぇ。
H:いや、こないだね…どこ行ったんだっけ?所沢?所沢に小坂忠のお見舞いに行ったんですよ。そのときにサイゼリヤに寄って、そこでそのパズルを見たらすんごい難しくて。
コ:へぇ…
H:まぁその話はいいや。ミハルちゃんは小坂忠とはあんまり面識ないよね。
コ:そうですね。細野さんのイベントなどでご一緒したことはあって、とても素敵な…
H:あのね、陽気なんですよ。陽気というか、遊び好きの子どもみたいな。僕が手品好きだったんで、こんなのがある、みたいに教えると取られちゃうんだよ。自分の芸にされちゃう(笑)帽子が空中に浮くやつがあるんだよ。
コ:あ、それ見てみたいですね。
H:それをね、取られちゃったんだよなぁ。ぜんぶ取られちゃった。
コ:細野さんはいまそういうのやらないんですか?
H:なんかね、最近僕はユーモアがなくなってきたね。
コ:え?そう?(笑)
H:なんかふざける気力がないんだよ(笑)ユーモアじゃないな、おふざけ。なんだろうな…この2年間でそうなっちゃったのかな。
コ:あー…でもやっぱり、ものすごく変わりましたよね。
H:変わったよ。
コ:いろんなものの見え方も変わってしまったし。
H:世界観が変わっちゃったね。とにかく大きな変化があった。
H:ところで、"Moonray"はどなたが最初に歌った歌ですか?
コ:アーティ・ショウ(Artie Shaw)が…
H:アーティ・ショウなんだ。歌ものじゃなくて?
コ:いや、歌ですね。
H:バンドのシンガーが歌ってるということね。じゃあ、次はなんでしょうね。
コ:次、なにがいいですか?(笑)
H:(笑)
コ:この前出したアルバムの中からオリジナル曲とかで。
H:あ、オリジナル、いいんじゃないですか。
コ:"秘密の旅"。
秘密の旅-Voyage Secret- - コシミハル
(from『秘密の旅-Voyage Secret-』)
H:ミハルちゃんのオリジナルって時々、終わったかと思うと後にこういうのが付くよね。あれはなに?
コ:なんでだろう。どうしても作りたくなっちゃうの。
H:違う世界に行くんだよね。おもしろいよね。心理的に。
コ:そうなんですよ、なんだろうね。
H:未知の世界に旅立つみたいな。謎の世界に迷い込むようなね。
コ:なんか、作ってるとどうしてもその部分が必要になってくる(笑)
H:なんだろう、それ。人生がそうなのかな(笑)
コ:なんでなんでしょうね?
H:でも、そういう曲が多いよね。
コ:うん、多いですね。だから後ろの部分だけでまた違う曲を作ってもいいのかな、と思いますね(笑)
H:果てしないな(笑)だいたい長いんだよね、後ろにくっついてる部分が。
コ:時々、作ってる途中で聴いたりして「長い」って言ってますよね(笑)
H:そう。長いと思うんだよね(笑)
コ:(笑)
H:じゃあ、もう一度最後に告知を、自らの声でお願いします。
コ:はい。6月30日の木曜日に渋谷のさくらホールというところで、夜の7時から「Madame Crooner」9回目のコンサートをします。ぜひ、みなさん、よかったら聴きにいらしてください。
H:もう、ぜったい行くべきですよ。良いも悪いもない。行かなきゃだめだ。
コ:と、カメラマンが(笑)
H:僕も行きますよ。いっつも、毎回カメラで撮ってるんだけど…
コ:動き回って撮ってみたらどうですか?
H:目立っちゃってしょうがないでしょ。
コ:(笑)
H:なるべく目立たないように撮ってますから…じゃあ6月30日、よろしくね。
コ:はい。ぜひ!
H:コシミハルでした。