2022.04.10 Inter FM「Daisy Holiday!」より
H:はい、細野晴臣です。あれ、いま咳したね?
O:(咳払い)こんばんは、岡田崇です。
H:久しぶり。
O:ご無沙汰してます。
コ:こんばんは、コシミハルです。
H:遠いね、ちょっと。
コ:遠いですか?
H:遠い遠い。小っちゃく見える。
O:小っちゃく「見える」?(笑)
H:あ、小っちゃいんだ(笑)
コ:(笑)
H:久しぶりですね。
O:そうですね。
H:だんだん減ってきたよね、レギュラーが…
O:もう、2軍落ちして久しいですね(笑)
H:2軍落ちか(笑)なんだろうね、忙しないからね。このレギュラーってすごくのんびりするよね。
O:そうですね。普段無口の人が集まっておりますので…(笑)
H:(笑)ラジオだからね、喋ってくださいね。シーンとしちゃったらどうするんだろう。
O:いやいや…
H:最近はどうなんですか。岡田くんは?
O:僕ですか。Macが壊れて…毎日システムを再インストールしてます。
H:えー!大変だ、それは。
O:Adobeのソフトだけ動かなくなるんですよ。で、システムをインストールすると一応動くんですけど…
H:また壊れるの?
O:再起動すると元に戻っちゃうんでずっと電源を落とさないようにしてるんですけど、そうするとまた調子が悪くなって再インストールするという…しょうがないので新しいMacを買って。
H:あ、買ったの?新しいMacってどうなってるの?いま。
O:新しいのを買ったんですけど、最後のIntelのやつを買いました。
H:古い新しいやつを買ったんだ(笑)
O:そうなんです(笑)新機種が発表になる前の週にすべり込みで…新しいやつだと動かないソフトがね、まだあるので。
H:そうなんだよ。ミュージシャン関係はみんな新しいのには飛びつかないからね。使えなくなっちゃうから。
O:そうですね。1,2年は待たないと対応しないので。
H:だから、プライベートで使うやつは新しくてもいいけど、仕事はね…新しいのはダメ(笑)
O:音楽系は特に厳しいですよね。
H:うん。そういえば…ミハルちゃんはどうですか?
コ:……え?
H:あ、ダメだ(笑)
コ:私は、もうね…収納かな?今の問題は。
H:収納ね。
コ:細野さんも大変なんでしょ?
H:もう大変なんて気持ちはないけどね。当たり前なので。
2人:(笑)
H:あのね、消防士さんが…YouTubeで見てたんだけど。いちばん気を付けなきゃいけないのは整頓だ、って。
コ:お部屋の中?
H:うん。火が点きやすくなっちゃうんだよ。
コ:ドキッ!(笑)
H:やっぱりそこはネックみたいだから。あー、整頓しなきゃな、と思うんですけどね。
O:きれいにいっぱい山積みにしてあるのはいいですか?
H:僕もその手を使ってるんだけど…(笑)
O:ぐちゃっ、となってなければいい、ってことですよね?
H:いやー、そんなことはないよ。燃えやすいものがいっぱいあるとね。燃えやすいでしょ?それ。
O:燃えやすいものばっかりですね、うちは。
H:まあね…みんなそうじゃないかな。
H:まぁそんなことで…音楽、行ってみましょうかね。岡田くん。
O:じゃあですね、もう4月なんで…
H:4月か…
O:ね。もうすぐクリスマスと言いたくなっちゃいますが…
H:毎年言ってるよな、今ごろ(笑)
O:4月24日に…去年『大土蔵録音 2020』というCDを紹介したんですけれども。
H:それ、なんか外国語に聞こえるんだけど漢字でどうやって書くの?
O:大きな土蔵、録音。
H:おもしろいなぁ、大土蔵。
O:それを放送して、終わった後に細野さんが「これは今年の録音賞を僕があげよう!」と言ってくれたんですよ。
H:そうなんだ。そんなこと言ったの?僕(笑)
O:言ったんですよ(笑)昔のリボンマイクを使って一本で…極力戦前の録音方法を再現しようという。一発録りで。
H:それができてるんだよね。
O:それが先日…ちょっと時間は経ってますけど、ミュージック・ペンクラブの最優秀賞を獲りまして。
H:おお、賞を獲ったんだよね。
O:東京事変とか、YOASOBIとかを抑えての受賞という、謎の…(笑)
H:すごい!(笑)僕もそれ、出たことあるな。
O:『Heavenly Music』のときに。
H:そうそう。
O:それで、CDを瀬川先生…瀬川昌久先生にお送りしたとき、すぐプロデューサーの保利さん(保利透)のところにお電話があったらしくて。
H:へぇ、瀬川さんもお褒めになったんだね。
O:「演奏も素晴らしいし、山田参助という歌手がすごい」という。
H:同じ意見だね。
O:で、「次は女性歌手も聴きたいよ」ということを仰ったそうなんです。それで去年の秋口、10月・11月に2日間。また土蔵に集まってレコーディングをやって。4月に『大土蔵録音 2021』というのが発売されるそうなんですね。
H:たった2日で録っちゃうんだ。聴きたい。
O:なので、その中から"愉快な手品師"という曲を。山田参助とG.C.R.管弦楽団。歌は木村美保さんです。
(from『大土蔵録音 2021』)
H:すごい。なんだこれは!(笑)
2人:(笑)
H:よくこういう音で録れるな、って毎回聴くたんびに思うよね。
O:今回はピアノを土蔵に寄贈して…前回は入ってなかったんですけどピアノも入ってます。
H:そうかそうか。いい土蔵だね(笑)
O:すっごい大きなところですけどね。
H:あ、知ってるんだね。
O:はい。行ったことがあります。
H:じゃあ、このグループとはお付き合いが?
O:ぐらもくらぶというレーベルなんですけども、そのジャケットを僕がよくやっていて。
H:そうかそうか。こないだ来たビデオくん(VIDEOTAPEMUSIC)にも参助さんが参加してるんだね。
O:そうですね。こないだかかった曲で歌ってますね。
H:いやいや…ペンクラブが賞を上げてくれてよかったな。僕があげてもしょうがないしね(笑)
O:「そういう賞をあげるところには届かないか」って細野さんが言って、「じゃあ僕が個人的に賞をあげよう」と言ってたんですよ(笑)ところがちゃんと賞を獲ったというね。
H:そうですか(笑)偉いね、ペンクラブってすごいね。目ざといというか…ちゃんと聴いてるんだね。
O:160人ぐらいで選ぶのかな?オーディオ評論家と音楽評論家160人で…朝妻一郎さんとか湯川れい子さんとか。
H:あ、そういう方が入ってるんだね。それは素晴らしい。
O:このマイク一本で再現した、というのがね。
H:画期的ですよ。世界に誇れるね、これは。日本ってヘンな国だね(笑)
O:この録音に使ってるマイクは今テレビで…あ、もう終わっちゃったのかな?『カムカムエヴリバディ』という朝の連ドラの中でも使われてますね。
H:はいはい…オダギリジョーさんのね。そう!
O:世良公則さんが歌うシーンとかで…実際にこのマイクで録音した音を使った、と言ってましたね。
H:どのマイクなんだろう。リボンだよね。ビクターの?
O:はい。日本製ですけど。マツダAベロ(マツダA型ベロシティ)というやつです。
H:なるほどね。おもしろい…興味は尽きません。
H:はい!ミハルちゃんの番ですね。
コ:なんにしようかな…
H:決めといてください。
コ:えーとね、イーストウッド(Clinton Eastwood)の『クライ・マッチョ(Cry Macho)』という…
H:観てないんですよ…観たかったな。終わっちゃった。
コ:よかったですよ、すごく。素晴らしい映画でした。その中で使われていた"Sabor a Mí"という曲を。イーディ・ゴーメとトリオ・ロス・パンチョス(Eydie Gormé Y Trio Los Panchos)の演奏です。
H:あ、それはめずらしいな。
Sabor a Mí - Eydie Gormé Y Trio Los Panchos
H:いいね。久しぶりにこういう音楽を聴いたな、僕は。ずーっと60年代やってて…早く終わらせたい(笑)終わんないんだよね。次、70年代・80年代をやったらもう一生かかるよね。
O:ですね。
H:50年かかる(笑)
H:だからね…なんか違うのをかけようかな、僕も。
O:ぜひ!
H:でもなんにもないんだよ、今。頭からっぽ。なんかなかったかな。目の前にあるのは、これは…あ、なんかあるな。スリム&スラム(Slim & Slam)、スリム・ゲイラード(Slim Gaillard)。なんでこんなものが目の前にあるのか知らないけど…(笑)じゃあちょっと、これ聴いてみるかね。"Dunkin' Bagel"を久々に聴いてみます。
O:お。
Dunkin' Bagel - Slim Gaillard
O:カッコいいですね。
H:久しぶりに聴いちゃった。なんでこれ聴いてたんだろう。お腹空いてたのかな。
2人:(笑)
H:最近はまってることはなんなの?岡田くん。
O:はまってること…特にないですよ。相変わらずレコードを買ってる感じですね。
H:相変わらずだよね(笑)
O:変わらないんじゃないかな?もう…
H:一生ね。そうだろうと思うな。なんだろうね…ミハルちゃんはどうなのかな。
コ:私は…毎日散歩に行こうと思うんですよ。
H:よく言ってるよね、そういうこと。
コ:で、行かないっていう(笑)
H:行かないんだ(笑)
O:あ、同じ同じ(笑)
コ:それで万歩計を見てうーん…って。
H:行かないんだよね。
コ:行かない(笑)どうしたら行けるかな?
H:まずね…右の足をポンッと出すんだよ、前に。
O:お、画期的!(笑)
H:次に左足をポンッと前に出すんだよ。そうすると前に進むから…(笑)
2人:(笑)
H:それって沈まないで水の上を歩く方法と同じ…それはお祭りでね、「忍者になる方法」っていう巻物を売ってたの。夜店でね。それを買っちゃった、小学生の時。そうやって書いてあるんだよ。なるほど!なんてね(笑)やらなかったけどね。
O:ね、忍者になってないですもんね。
H:なりたかったんだよね。そういう職業があれば就職したんだけど(笑)ミュージシャンになっちゃった…ミハルちゃんはなにになりたかったの?
コ:なんだろう、いろんな…
H:ミュージカル俳優でしょ?
コ:スポーツとかを見るとすぐスポーツ選手もいいな、と思ったりとか。オリンピックとか見てると。
H:スポーツ系なのかね。
コ:やっぱり身体を使うことがいい。ダンスもすごく好きだし。
H:もう、でも…いや、なんでもない(笑)
コ:身体?ね、動かなくなってきますよね。
H:スポーツの選手って短いじゃない、現役時代。だから大変だな、と思うよ。
コ:ね。
H:みんなそうだよね。
コ:身体は動かしてますか?
O:まぁ、ラジオ体操を毎日…
H:やるんだ。
O:やろうかな、と思ってますよ。けっこう疲れるんだ、あれ…あと、ラジオ体操第2の動きが謎(笑)
H:もうおじいちゃんだよ、それ(笑)
2人:(笑)
H:ではおじいちゃんのラジオ…次はなにをかけますかね。
O:じゃあジーン・オーステイン(Gene Austin)を。
H:おお、おじいちゃんだ。
O:おじいちゃんですね。この頃はまだそんなにおじいちゃんじゃないですけど。
H:そっか(笑)
O:1935年の録音なんですけれども。トランスクリプション盤という16インチの大きいレコードですね。
H:買ったんだね。
O:届いて、割れて…
H:え!地震?
O:いや、地震ではなくて。5枚割れて届いたんですよ。でも梱包はすごく丁寧なんで、誰を責めるわけにもいかないけど…配送会社に発送元からクレームをつけて、返金を求めている最中ですけど。そんな中から救出した曲です。ジーン・オースティンで"Voodoo Drums"。
Voodoo Drums - Gene Austin
H:なかなかいいね、これ。
O:いいですよね。
H:絶対出てないよね。貴重なレコーディングですね。
H:えーと…これ、岡田くんが持ってきたやつ、めずらしいものがいっぱい入ってるんだけど全部はかけられないですね。
O:また、次に声がかかったときに…2軍なんで(笑)
H:はいはい(笑)
コ:(笑)
H:じゃあ、その2軍の…
O:戦力外通告よりはまだいいんじゃないですか?2軍のほうが。もう、ギリギリのところに我々はいるので…がんばらないと…(笑)
H:じゃあそこにいる2軍の女性、最後の曲を1曲選んでください。
コ:じゃあ、久しぶりにストロマエ(Stromae)が新譜を出したので。
H:なに?よく知らないな…
コ:ストロマエというベルギー出身のミュージシャンで…"Pas vraiment"という曲です。
H:…ハーブガエモン?
O:ドザエモン?(笑)
H:なんて言ってるの?
コ:(笑)
H:では、これを聴きながら…また来週。
Pas vraiment - Stromae
(from『Multitude』)