2021.03.14 Inter FM「Daisy Holiday!」より
H:はい、こんばんは。細野晴臣です。こんにちは。
O:こんばんは、岡田崇です。
越:こんばんは、コシミハルです。
H:こんにちは、かもしれないしね。
O:もう、いつ聴いてるかわからないですよね、今。
H:わかんないよね。
越:そうですね。
O:深夜にひっそりやってたのに。
H:そうだよね(笑)やっぱりラジオって聴くんだね。聴いてる人がいるんだね…(笑)
O:たくさんいるみたいですよ。
H:ありがたいことだよね。昔は3,4人しか聴いてなかったんじゃないかな。そんなことはないか(笑)
2人:(笑)
O:そこまでではないですけど…(笑)でも今ほどじゃないですよね。やっぱりリアルタイムで…深夜にやってたんで。
H:そう。リアルタイムの時期だったね、そういえば。
O:それがよかったんですけどね。深夜に流れていくのがね。
H:まぁラジオは…深夜のつもりで作ってるからね、今でも。「おはようございます」とはさすがに言えないよね(笑)
O:でも、通勤のときに聴いてる、とかね。そういう方もいるみたいです。
H:そうだよね。もう、自由だね。うらやましい。
H:いや、ひさしぶりですね、この3人はね。
O:そうですね。
越:はい。
H:最近はゲストが多いんですよね。どうしてたのかな?忙しそうだよね。
O:まぁ、ちょこちょこですね…じゃあここで。
H:あ、告知。
O:6月から片岡知子さん…あ、僕の奥さんですけど。去年亡くなって。6月7日が彼女の誕生日なので、その辺りから…彼女がやっていたインスタント・シトロン(Instant Cytron)というグループのアルバム5枚を3か月にわたって、アナログ盤で…(笑)
H:いや、すごいね。3か月にわたって…それは各社で出るっていうこと?
O:そうですね。東芝EMI時代のはユニバーサルさんから出て、ソニーから1枚出て。あとはドリームスヴィルっていう長門芳郎がやっていたレーベルから2枚出しているんで、それをリルデイジーのほうから出す、という。
H:なるほど。6月ね。皆さんよろしく、と。
O:アナログ盤で…もう、CD買わなかった人なんでね。
H:そうかそうか(笑)
O:CDをほぼ1枚も買わなかった…徹底してアナログだったんで。アナログで出さないと怒られちゃいそうで…(笑)
H:まぁ、今の時代に合ってるね。うん。
O:そうですね。お楽しみに…ということで。
H:じゃあ、ミハルちゃん、告知あるでしょ?
越:え!告知?
H:(笑)
O:いろいろやってますよね、水面下で。
越:いろいろやってる。レコーディングとか…ずーっとしてますけどね。
H:そのうち正式な告知ができるようになりますよね。
O:映像もね。
越:はい。映像も。
H:さて、では音楽を…じゃあ岡田くん。
O:はい。きょうはミッチ・レイ - アート・ハリス(Mitch Liegh - Art Harris)というグループで…1956年の録音です。"Voltaire's Vamp"という曲です。
Voltaire's Vamp - Mitch Liegh-Art Harris
(from『Jean Shepherd – Into The Unknown With Jazz Music』)
H:おお…この人は?ジーン…
O:ジーン・シェパード(Jean Shepherd)というテレビパーソナリティーやラジオで活躍していた方で…その人のスポークン・レコードなんですよね、これ。スポークンの間に木管五重奏のジャズが挟まっている、というレコードで…
H:めずらしい。じゃあこの人は有名だったんだね、当時。
O:テレビとかに出てたぐらいなんで、その人は有名みたいですね。
H:アレンジャーとプレイヤーで、コンピレーションを作ったのはミッチ・レイ…
O:ミッチ・レイとアート・ハリスという…
H:アート・ハリスという人がピアノ、チェレスタ、ハープシコードだ。
O:そうですね。ミッチ・レイが木管。
H:ぜんぜん知らなかったな、僕は。
越:おもしろい。
O:この人たちのソロアルバムもあって、そっちもすばらしいですよ。
H:なかなか品があるよね。
O:クラシックとジャズがいい感じに融合してて。
H:こういう人たちって1950年代、わんさかいるんだよね。
O:でも、わんさかもいないですかね。おもしろいものを探していくとなかなか…まぁ数名。
H:そっか。でも、そういうのは全部集めてるね、岡田くん。
O:そうですね(笑)
H:これはそのうち、みんなが聴けるようにしないといけないんじゃない?
O:したいですね。
H:これは楽しみだな。
O:いろいろね、そういうことをやっていかないとな、と思ってますよ。
H:それにはラジオがピッタリだね。まぁもちろん、アナログ盤も出すといいね。
O:アナログ盤…ちょっとね、ハードルが高いですよね(笑)
H:そう?
O:いやー、製造コストがやっぱりかかるんで…
H:そうなんだ。
O:ブックレットの解説をちゃんと入れてCDで出して、というのが…でも、最近はCDを持ってない人というのが多いんですよ。40代の人でも持ってないという人がいるんで。
H:あらまぁ…
O:CDプレイヤーの使い方もわからない、という方が10代だといるんで…CDにダウンロードコードを付ける時代が来るんじゃないか、という…(笑)
H:そうだよね(笑)もうそれはやってもいいんじゃないかな。自分自身もだんだん、CDが遠くなってきてる…
O:でも配信だけだと、配信してる会社がなくなっちゃったら…いつまでも今みたいにあるとは限らないので。
H:そうなんだよ。デジタル音源は儚いよね。
O:やっぱりCDにブックレットを付けて…というのが。
H:じゃあ、CDは定番として残すべきだね。
O:そう思いますね。
H:勉強になった。[CDは]もういいんじゃないかな、なんて思っちゃってたから(笑)
O:いやいや…あのパッケージがやっぱりいいんじゃないですかね?ちょうど70分ぐらい入る箱ということでね。
H:まぁ、理想だよね。
O:デジタルだと無尽蔵にコンピレーションが作れちゃうんで…選曲の妙、というか。
H:まとまりがないよね。いちばん大事なのは…配信の場合はデジタル・ブックレットがないとね。自分の場合もちょっと気になってるんだけど。
O:そうなんですよね。やっぱり、ちゃんと意志を持ってセレクトしているわけなので…ただ音が並んでるわけじゃない。
H:だって僕、中学生ぐらいからクレジット読んでたからね。
O:その文化がね、もう今はないので…よくないと思いますね。
H:プロデューサー、アレンジャー、[参加している]ミュージシャン…
O:「ああ、この人が…読めないけどこの字面の人が…」って買うじゃないですか(笑)
H:そうそう。そうやって勉強していったんだよね。これはもう、勉強だよ。
O:そう。それで失敗もしてね…
H:学校では教えてくれない勉強、大事だよ。えー、その点、どうでしょうかね。ミハルちゃんは。クレジット見てた?
越:クレジット…
H:あれ?(笑)
越:譜面とか見てたね。譜面買うの好きだった。
H:あ、なんか種類が違うな(笑)
2人:(笑)
H:じゃあ、なんか音楽かけてください。
越:メロディ・ガルドー(Melody Gardot)の"C’est Magnifique"という歌を…ファドのアントニオ・ザンブージョ(António Zambujo)という人とデュエットしてます。
C’est Magnifique (feat. António Zambujo) - Melody Gardot
(from『Sunset In The Blue』)
H:いやー、落ち着いちゃったね。
越:なんか、空気感がいいでしょ?
H:ボサノヴァだね、これは。
越:ゆったりとした…アルバム全体がこういうオーケストレーションで、半分ぐらいはスタンダード。"Moon River"とかいろいろやってるんだけど。オリジナルもその中に…
H:この女性はどこの国の人?
越:アメリカの人だと思う。
H:ミハルちゃんもこういうの聴くんだね。まぁ、なんでも聴くもんね…あれ、黙っちゃった(笑)
O:電話が…(笑)
越:電話だ(笑)
H:電話?(笑)誰から?
越:おばさんだ…(笑)
H:いいよ、話しても(笑)急用じゃないの?
越:大丈夫です(笑)
H:じゃあ、僕はもうかけるものがなくて…最近かけすぎてて。
O:手作りデイジーで…(笑)
H:いやー、聴くのが楽しみだから…聴かせて、岡田くん。
O:じゃあ…たしか1月の放送のときに話題に出た水森亜土さん。
H:わーい!いよいよ聴けるね。
O:その"Cow Cow Boogie"を。
H:これ、アルバム2枚をリルデイジーで…もう出してるの?
O:通販で…まだ買えます。
H:あ、ホント?ぜひぜひ。聴きたい、"Cow Cow Boogie"。
Cow Cow Boogie - 水森亜土
(from『COW COW BOOGIE』)
H:うわー、おもしろい…すばらしいね。
越:うん。すごくいいですよね。
H:音も良いよね。
O:オーディオパークという…深沢のほうにあったオーディオマニアの方がやっていたスタジオ…なのかな?蓄音器が100台くらいあって、SP盤がどわーっと並んでて。そこにホールみたいのがあって、スタジオレコーディングが出来て。
H:知らなかった。
O:昔、十数年前に行ったことがあって。SPレコードコンサートみたいな…行くともう、瀬川さん(瀬川昌久)級のおじいちゃん・おばあちゃん…音楽業界、ジャズ界、映画業界をリタイアされた方々がみんな集まってて。お茶とお菓子を飲みながらSPを聴くという…(笑)
H:いい時代だね。
越:うん。
O:すごくいい感じでしたね。
H:でもそんな感じの音が出てるよね。ホントに音が好きなんだろうな、という。いやー、それにしても先輩だよ。水森さん。
越:ね、ホントに。
O:すばらしいですよね。いまのが2008年の録音。
H:わりと新しいよね。なんか、ご挨拶に行かないと…(笑)
越:(笑)
O:ね、ライヴ観に行きたいですけどね。
越:YouTubeにちょっとだけ観れるけど…
O:最近はちょっとやってないみたいですけどね。コロナで…
H:そうでしたか…
O:よくよく考えたら僕、1枚ジャケットをやったことがある、というのを思い出して…(笑)
H:やってるんだね(笑)縁があるなぁ。おもしろい。
H:じゃあ、またひとつ…
越:はい。じゃあ次はパトリシア・スコット(Patricia Scot)という人で…ノエル・カワード(Noël Coward)の曲で"Mad About The Boy"というのを。
H:ノエル・カワードね。「臆病」っていう意味なんだよね、「Coward」って。
Mad About The Boy - Patricia Scot
(from『Once Around the Clock』)
H:いやー、さらに落ち着いちゃったな。
越:これはなんか、ナイトクラブっていう感じですね。
H:まぁ、行ったことないけどね。
越:(笑)
O:行ってみたい…(笑)
越:昔のシカゴのナイトクラブとかで活躍してた人なので…
H:こういうシンガーになりたいんでしょ?
越:うん、いいね。大人の…遠いなぁ(笑)
O:(笑)
H:どんどん時間が経っちゃって…最後の曲らしいな。
O:あら…
H:なんか、日本の女性歌手の…
O:じゃあですね、48曲ぐらい入ってるすばらしいCDが出たんですけど。沢村みつ子さんという。
H:復刻版ですよね。沢村みつ子さんって…子どもの頃、テレビで観たりしてたよ。
O:1942年生まれで、6歳ぐらいのときから沖縄の進駐軍の将校クラブで歌うようになって。アメリカに渡って…「ジュディ・ガーランド・ショウ(The Judy Garland Show)」に出たりとかして。
H:あ、そうだったんだ。知らなかった。
O:で、日本コロムビアと契約してレコードにたくさん吹き込みをしていて。向こうの映画にも何本か出ていたり。
H:あ、ホントに?へぇ。
O:きょうは…『ラスヴェガスで逢いましょう(Meet Me in Las Vegas)』という1956年の映画があるんですけど、その中で沢村さんがダン・デイリー(Dan Dailey)といっしょに歌っている曲の日本語カヴァー。"マイ・ラッキー・チャーム"という曲を。
H:それは初めて聴くなぁ。じゃあそれを聴きながら、また来週ということで…
マイ・ラッキー・チャーム - 沢村みつ子
(from『沢村みつ子 スーパー・ベスト』)
O:13歳とかですよ、これ。
H:え!すごい…(笑)
越:ジュディ・ガーランドみたい…(笑)
O:YouTubeにこのシーン上がってるんで…それを見るとほんとに小っちゃい子どもが…(笑)すばらしいですよ。
H:ホント?いい感じだね。