2020.11.22 Inter FM「Daisy Holiday!」より

 

daisy-holiday.sblo.jp

 

H:こんばんは。細野晴臣です。きょうはね…1年ぶりくらいかしら?

?:はい。

??:はい。

H:ぜひ、自己紹介をしてください。

??:せーの…

原田・角銅:「くくく」です。

H:あれ?そうか…(笑)

??:はい(笑)

H:個人名でね。

原田:原田郁子です。ごぶさたしてます。

角銅:角銅真実です。こんばんは。

H:こんばんは。なんかこないだ…角銅さんの記事、読んでたな。

角銅:え!

H:あれ、ライヴ活動は…みなさんやってるんだっけ?この間。やってなかったか。

角銅:この間…

原田:あまりやれてはいないですね。

H:そっか。じゃあなんの記事だったんだろう(笑)

角銅:(笑)

H:それで、YouTubeでちょっと見てたの。

角銅:あ、そうだったんですか!

原田:…なにを見てもらったんだろう(笑)

H:なんだろう、"December"というやつかな?

角銅:はー!ありがとうございます。あらー…

 

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H:郁子ちゃんはどういう日々を暮らしてるの?

原田:えーと、自粛の頃は静かにしてましたけど…宅録を、必要に迫られて始めて…

H:へぇ、いいね。

原田:なんかすごいおもしろくて。

H:おもしろいでしょ?

原田:うん。今まではメモ書き…レコーディングのスタジオでこういうことがやりたい、というのを[宅録で]ざっと作っていくことはあったんですけど。ホントにそれがそのまま世の中に出るということがなくて。

H:うん。それはすばらしい。

原田:これを細野さんはずっとやっていたのか、と…(笑)

H:やってた(笑)自分の部屋に[機材を]そろえたわけ?

原田:ホントにまだ有り合わせのものなんですけど…

H:そういうの、いつ聴けるんだろう?

原田:…あとで(笑)

H:聴けるんだ。うれしい(笑)角銅さんはどう?

角銅:私は…音楽もだけど、ラジオ体操と…金継ぎ?割れた陶器を漆でくっつけて…

H:お!僕ね、この間に陶器をいっぱい割ったんだよね(笑)

2人:(笑)

原田:じゃあ、継いでもらえるかも(笑)

H:捨てるのも忍びないんで、自分でボンドを買ってきていつかやろう、と思ってるんだけど…うまくいくのかどうかイヤだからやってないのね。

角銅:金継ぎおもしろいですよ。

H:へぇー、金継ぎっていうんだ。ぜんぜん知らない。漆で?

角銅:漆です。漆と…ご飯の粒を練ったり、澱粉の多い小麦粉を水で溶いて…

H:あ、そういうのを使うの?天然素材。

角銅:そう。それと漆を合わせて…それだけで、水とか付いてもずーっとくっつく…なんか、それがおもしろいな、と思って。

原田:へぇー。

H:その繋ぎ目ってどうなるわけ?

角銅:繋ぎ目は漆だからちょっと…

H:はみ出てくる?

角銅:そう。赤と茶色の混ざったような色がはみ出るんですけど、それを金でなぞって…

H:あ!なるほど…

原田:膨らむんだよね。割れたところ…はんだ付けのモコっ、みたいなやつの金色みたいのが…

角銅:そう。そこに金を塗って…

H:芸術だな。

原田:そういう…昔からあるんでしたっけ?金継ぎって。

角銅:うん。ホントはたぶん…ホントはっていうか、専門の金継ぎ職人さんがいて。

H:いるんだ。まだ。

角銅:はい。その人たちはきれいに継ぐんですけど、私とかはもう…ぐちゃっ、みたいな。

H:それをこの期間ずっとやってたわけ?

角銅:はい。なぜか漆のことをずっと考えてました。

H:漆。

角銅:金継ぎにも漆を使うから…あ、そうだ。やたら散歩をしてて、漆によくかぶれるんです。公園にあるじゃないですか、漆の木って。漆か毛虫かどっちかにかぶれて…コロナの最初ぐらいのときに。

原田:(笑)

角銅:で、2週間ぐらい…

原田:え、そんなに?

角銅:そう…かゆかゆになっちゃって。ずっと寝てて…

H:(笑)

角銅:それでそこから金継ぎに行きました(笑)

原田:(笑)

H:すごいな。普通、嫌がるよ(笑)

角銅:強いじゃないですか。ちょっと通っただけでかぶれるから…

H:あ、そう?触らなくても?

角銅:そうなんです。

H:へぇ…だからあの、植木職人が嫌がるんだよね。

原田:へぇ…

角銅:そうですよね。そうそう、強いな、と思って。それがなんかおもしろい…

H:それはおもしろい話。じゃあきょうはこの辺で…なんて(笑)

2人:(笑)

原田:いま始まったのに…(笑)

H:音楽聴こう。どなたから聞かせてくれるのかな。2人で決めてもらおう。

角銅:郁子さんの録音した…

原田:あ、じゃあ先いいですか?まだマスタリングもしてないんですけど…

H:いいよいいよ。

原田:『青い、森』という映画のエンディングの曲を作ることになって。で、誰にも会えなかったのでひとりでコツコツやってみて…(笑)

H:そう。楽しいでしょ?(笑)

原田:はい。おもしろいですね(笑)で、最後のミックスは…角銅さんのアルバムとか、いろんな方をやっている奥田さん(奥田泰次)というエンジニアの方がやってくれて。

H:うん。

原田:私、なんかもう、仮のつもりだったんで…歌も。のど飴をなめながら歌ってて…で、歌と歌の間にのど飴がカラン…って言っちゃってて(笑)

H:いいね(笑)

原田:それを小っちゃく、パスパスって切って。奥田さんに聞いてもらったら「これはどうなってるの?」って…プツプツしてるのがおもしろい、ということになって(笑)

H:そういうのを活かしちゃった?

原田:はい(笑)

角銅:楽しみ!

H:それはおもしろい…じゃあちょっと、聴かせてください。

 

 

青い森 - 原田郁子

 

 

H:いやいや、すごいよ。クオリティ高いね。

原田:~~~!!(笑)

H:宅録の域は超えてるよ。ミックスのテクニックもすごいよね。

角銅:素敵や…

原田:奥田さんが…本当は全部スタジオで録り直すつもりで。最初の歌い出しとかもやってみたりしたんですけど、なんか…「家のほうがおもしろいんじゃない?」って言ってくれて。

H:そうなんだよ…何かが違うんだよね。

原田:なんですかね?

H:位相がすごいな…

角銅:星、飛んできましたね。

H:そうそう、飛んできた。

原田:ちょうど、森の中にどんどん分け入っていく、という最後のシーンだったから…もうちょっと先に行けるような感じにしたかったっていう…(笑)

H:そう。でもそう言われると森の感じが…森だね、これ(笑)

原田:"青い森"という曲でした。

H:いやいや…ありがとう。発表しちゃっていいのかね?

原田:ありがとうございます…発表…今年の発表会でした(笑)

 

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H:そういえば僕もね、エンディングだけ、っていうのを頼まれたね。2つか3つ。

原田:あ、そうですか。

H:うん。で、映画を観てないでエンディングだけ…どんな映画かわからないまま作ったりね(笑)

2人:えー!

H:いや、もちろん少しは情報あるんだけど。

原田:なにか読んだりして、想像して…

H:そうそう。脚本…で、だんだんいろいろ送られてきて。ビックリするような映画だったりね(笑)こないだはマレーシアの監督の…エドモンド・ヨウ(Edmund Yeo)さんね。うん。という人が来て、試写をやったのね。東京国際映画祭か。で、僕はそれで音楽をつけたんだけど…全編、わりとね。

原田:へぇ…

H:初めて観たのね。そしたら、思わぬところに編集して使ってるんでビックリしちゃったんだけど…(笑)音楽が好きな監督だとそうなるんだね。おもしろかった。

原田:おもしろいですね。

角銅:楽しみ…

H:『Malu』という映画。うん。

 

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H:さて…角銅さんですね。

角銅:はい。そしたら…歌詞をつけて歌を歌った曲があるんですけど…

H:なんて曲ですか?

角銅:"Messe Basse 1"。

H:"メッセ・ベッセ"。

角銅:はい。4つの組曲のうちの1曲目です。

 

 

Messe Basse 1:B-dur - 石若駿 feat.角銅真実,西田修大,Marty Holoubek,Niran Dasika,佐藤芳恵

(from『Songbook5』) 

 

 

H:いやぁ、これも良いな…

角銅:緊張した…

H:なんか、お2人とも肌合いが…すごい近いよね。だから仲良いのかな?(笑)

2人:(笑)

原田:角銅さんから出てるものが…なんか気持ちがいいですよね(笑)

H:気持ちいいね。

原田:なんか、気持ちいい~って…声なのかわかんないですけど(笑)

角銅:(笑)

H:声もそうね。前来たときはパーカッションの部分がすごい印象深かったけどね。今回は…楽器はなに?

角銅:このアルバムは全部、言葉と歌だけでした。

H:あ、なんかユニット…なんていうユニットなの?

角銅:えーと、「Songbook」という…作曲は全部、石若駿くんという人がやっていて。

H:そうなんだ。うんうん。

角銅:それに…これ、5枚出てて。1年に1枚ずつ出してるんですけど。

H:5年経った、っていうことね。

角銅:はい。

 

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H:なんか、お2人の世代の周りにはいっぱい…豊かな音楽環境があるよね。人が多いでしょ。

角銅:みんな…楽しい人がいっぱいいますね。

H:それがすごいうらやましいね。

角銅:えー!

原田:(笑)

H:ホントに(笑)

原田:細野さん!(笑)

角銅:細野さん…(笑)

H:いやいや、ホントに…(笑)

原田:その遺伝子がみんなに来ております…

H:そうかそうか。

原田:去年、「くくく」で…「くくく」ってなに?っていう感じですけど(笑)初めてその名前でライヴをやらせてもらった「細野観光」が…

H:あれが初めてなの?

原田:そうなんです!(笑)

角銅:(笑)

原田:2人では何回かあるけど、「くくく」にしたのが初めてで。

H:へぇ。

 

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原田:まさに細野さんの音楽体験って、行ったことない国とか街の空気が伝わって来たり…それはたぶん、すごい影響を受けてますよね。

角銅:うん。

原田:いろんなところに旅行できる感覚っていうか…誰かに、音楽の授業で教わったわけじゃないけど、聴いてて、感覚として受け継いでると思います。

H:ね、音楽の授業ってそういうのはないね(笑)

角銅:(笑)

H:だから、僕だっていろんな人の音楽を聴いて育ってここまで来たから。それは誰だってそうなんだろうな、と思うよね。

原田:その感動みたいのって、ちゃんとあるんですかね。音の中に入って…伝染していくんですかね。

H:入ってると思うよ。うん。

原田:おもしろいね。

角銅:おもしろい…なんか、人間でよかったな、と思います(笑)

H:(笑)

原田:(笑)

角銅:細野さんの音楽…その「細野観光」という…あれも本当に観光してるみたいだし。「細野さん街」を観光しましたよね。

原田:うんうん。

角銅:観光するって…まぁ、虫とかもしてるのかもしれないけど、すごい人間っぽい…

H:まぁ、そうかもね。

角銅:なんか、よかった。

H:大昔ね、イタリアのジェノヴァという街に呼ばれて、インスタレーション…造形物を街に置いて、その中に音を仕込んで。イタリアのメンフィス(Memphis)っていうアーティスト集団と一緒にコラボレーションしてね。彼らが…ジェノヴァに丘があるんだけど、公園になってて。そこにインスタレーションをポンポンポンと置くのね。その造形物はけっこうおもしろいんだけど。動物的だったり。で、そこにエンドレステープを仕込んで…日がな一日中、音を出してたの。『Endless Talking』っていうタイトルにしてね。

角銅:あ、テープで、無限にずーっと回ってる…

H:そうそうそう。

角銅:細野さんの音が。

原田:へぇ…

H:で、どうなってるんだろうと、思ってその丘に登って行ったら誰も人がいないのね。でも、猫がいる(笑)

原田:わー!(笑)

H:猫とかが何匹か聴いてるっていう…(笑)

角銅:わー、いいなぁ…

H:だから、人間に限らず観光してるのかもしれない。

角銅:そうですね(笑)

原田:そうだと思います。

H:なんか、誰もいなかったのはちょっとショックだったけどね(笑)

 

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原田:そっか…ちょっと、どうする?(笑)

H:え?どうする?(笑)

原田:実はきょう…

角銅:(笑)

原田:実は「くくく」のね、短い曲を…ここで、音源とかないので…

H:え!生で?

角銅:はい、公園で遊びながら…

原田:じゃあ、ちょっと薄目で…あまり見ないで頂いて…

H:いいよ(笑)うれしいな。

原田:どんな始まりだっけ?

角銅:なんでしたっけ…最初は声で始まってましたよ。

H:(笑)

 

 

やる気がない(生演奏) - くくく(原田郁子&角銅真実)

 

 

2人…(爆笑)

H:(拍手)

原田:すみません…(笑)

H:すばらしいもの聴かせてもらっちゃったな(笑)いい…やる気がないよ、僕も。あるようなないような…

2人:(爆笑)

H:これはいつ作ったの?いま?

原田:さっき(笑)

H:さっき?公園で?(笑)

角銅:はい。紅葉を見ながら(笑)

原田:ホントにやる気が全くわかないときに、自分でこれを歌ってたやつを録ってたんです。

角銅:それもすごいよかったです。小っちゃい声で、やる気が…って歌ってて、すごい素敵だった…(笑)

原田:(笑)

H:正直な歌だね(笑)

原田:すべての方のやる気を削いでしまう可能性が…(笑)

H:いやー…これはやっぱり、恐るべき才能だな…(笑)

2人:(爆笑)

原田:よかったね、聴いてもらえて。

角銅:よかったです。はい。

原田:細野さんに聴いてもらうためにアレンジをしました…(笑)

H:うれしい…ありがとうございました。ホントにね、うれしいわ…

原田:おもしろい…(笑)

角銅:(笑)

H:なんかね、心に残っちゃったよ。

2人:(爆笑)

H:まぁ、じゃあ、一応締めようかね。ホントに楽しかったです。ありがとうございました。

2人:ありがとうございました。

H:なんかでまた…ね、呼んだり呼ばれたりしたいもんですね。

原田:はい!ぜひ…

H:また会いましょう。

角銅:はい!