2020.03.08 Inter FM「Daisy Holiday!」より
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H:細野晴臣です。
?:(笑)
H:笑われちゃった(笑)
?:緊張感が無さすぎる(笑)
H:無いでしょう(笑)えー、きょうはゲスト、姉妹…姉妹じゃねぇや(笑)姉弟。清水ミチコさんと…
ミ:はい。弟の…
H:清水イチロウくんね。やっと覚えたよ。
イ:こんばんは、清水…「細野晴臣です。」
H:お。
ミ:お前、勇気あるな。
H:(笑)
イ:「こんばんは。」
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H:…で、僕はユーミン(松任谷由実)とはあんまり深く話したことが無かったんだけど、こないだラジオに…去年ね、暮れ。
ミ:あ、聴いてました。
H:聴いてた?
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ミ:…そうなんですね。私、すっごいしゃべってるのかと思ったら…でも、ラジオ聴いてて、あ、そうなんだ、って初めて思いました。
H:そうなんだよ、うん。なんかね…いろんな気持ちが伝わってきたけど、今この場ではちょっと言えないな。なんか(笑)
2人:(笑)
ミ:どゆこと?(笑)
H:いやー、いろんなこと考えてるんだな、っていうのはわかったんだけどね。言えないなぁ。んー。
ミ:「天才少女」っていう感じはしたんですか?やっぱり。
H:会ったときは…おもしろい女の子だったね。言い回しが独特で。
ミ:あ、そうですよね!
H:うん…あ、今のそっくり(笑)
ミ:「あ、そうですよね。」
H:(笑)
ミ:「黒柳徹子さんにあだ名をつけたんですけれど、それが「干しイチジク」って言うんですよ。」
H:(笑)
ミ:…っていうぐらいに、わりとズバッと言われますよね(笑)
H:そうそう。言葉がおもしろいんだよ。
ミ:おもしろいですよね。
H:だから…そういう印象が強くて。まぁ、音楽はもちろん良かったから。とくに[直接のやりとりは]マンタに任せちゃってたから…マンタっていうのはアレなんだけど、松任谷くん(松任谷正隆)ね。
ミ:あー。でも、"返事はいらない"っていう曲のイントロのイメージは皆さんで…?
H:あれはね、最初に僕のところに連絡が来て。「こういう曲があるんだけど、アレンジしてくれ」って、レコード会社の社長から言われてね。で…リハやったのかな?1回ぐらい。そのときに、その当時聴いてたスカ(Ska)をやりたくてしょうがなかった。マッスル・ショールズ・リズムセクション(Muscle Shoals Rhythm Section)に影響されてたから。それでやっちゃったら、すげぇ上手くいったのね。
ミ:すごいですね!
H:でも、彼らは…「彼ら」っていうかなんというか…(笑)あんまり気に入ってなかったんだなぁ、と思って。
ミ:「どこに連れて行かれるのかな?と思いましたね。」って仰ってましたよね、本人は。今のそっくりなんですけど。
H:そうそうそう…そっくりだな、本当に(笑)
ミ:自分で言う(笑)
H:おもしろいな。
返事はいらない - 荒井由実
(from 『ひこうき雲』)
ミ:おもしろい時代ですね。みんな実験的なことをたくさんして。
H:そうそう。自由だったね。まぁ…長い付き合いになっちゃったけどね。みんなもう、いい歳になっちゃったな、と思って。
ミ:(笑)
H:僕は20世紀の音楽が大好きだから…1950年代、40年代とか。まぁ今やってるのがね。ブギとかそうだけど。
ミ:うん。
H:なんか、誰が聴いてるんだろう?と思いながら最初はやってたわけ。そしたら、若い人がけっこう聴いてくれるんだけどね。でも、同世代はぜったい聴いてくれないんだよね。
ミ:へぇ…
H:なんか、さびしいくらい聴いてくれないっていうか…いじわるなの。
イ:(笑)
ミ:いや、いじわるではないですけど(笑)
H:いやいや、ホントに(笑)あ、嫌われてるな、とかね。思っちゃうけどね。
ミ:感覚が先鋭的すぎるんですかね?人より。
H:いやー…そういうんじゃないんだろうな。なんか…あるミュージシャンに言われたんだけど、「なーんか、うまくやってますよね(笑)」みたいなことを言われたことあるんだよね…(笑)
イ:ひどい…(笑)
ミ:やっかみ(笑)
H:こっちだって苦労してんだよ!(笑)
2人:(笑)
H:さっきも「運が良い」とか言われてたけどね。
ミ:運が良いと思う!
H:そうかな…んー、わかんないな。
ミ:だって…タイタニック号のお話もあるじゃないですか。
H:ああ。まぁ、おじいちゃんは運が良いような、悪いような…
ミ:でもあのとき、ほら…テムズ川に帽子が落ちていた、と。どういうわけか。乗る前にね。
H:そうそうそう。
ミ:で、なんか悪いことが起きるような気がする、っていう天啓を受けたんですよね。あれがすっごい印象的で…
H:そうなんですよ。よく知ってるね。だから、船怖いんだよね、僕ね。
ミ:あー、そうでしょうね。家族中もそうでしょうね、きっと。
H:そうだろうね(笑)みんな。そうそう。
ミ:何回も観たよね、あの『ファミリーヒストリー』。
イ:おもしろかった…
H:(笑)
ミ:きょうだいで何回観たかわからないね、あれ。
H:そうなの?(笑)おもしろいんだ。
ミ:おじいさんがよかったよね。
イ:三代ぐらいかけないと人って何かを為せないんだな、と思って。
ミ:そうだね!思った。
ミ:矢野顕子さんとも一緒に観ました。
H:あ、ホント?へぇ…どんな感じで?
ミ:「すごく、細野さんらしいな、って思いました。」
2人:(笑)
H:すごいや…(笑)本人みたい。
ミ:矢野さんとはなにでお知り合いになったんでしたっけ?ピアノ?
H:アッコちゃんはね、最初…元の名前が鈴木顕子だったの。
ミ:あ、そうだ。
H:で、16歳だった。
ミ:高校生か…
H:で、キャラメル・ママやってたのかな?僕たちは。それのセッションにピアノで参加したことがあるんだよね。すごい上手くて。
ミ:やっぱり?
H:うん。で、あれよあれよという間に、1stソロを作るんで呼ばれて、手伝ったの。
イ:へぇ…
H:それがやっぱり…最初かな。"相合傘"やってくれたんだよ。カッコいい…と思って。自分よりカッコいいと思って(笑)
ミ:(笑)
H:で、アッコちゃんが僕の曲やると、ぜんぶ僕のより良いんだよ。やんなっちゃった(笑)
2人:(笑)
イ:でも僕…矢野さんってすごい細野さんの曲をカヴァーされるじゃないですか。
ミ:日本でいちばん、ね。
H:ね、言ってるね。
イ:ぜったい細野さんのことを男として好きだった…
ミ:(笑)
H:いやいや、そんなこと考えるなよ(笑)
イ:いや、そういう時期があったんじゃないか、と思って、ご本人に訊ねたんですよ。
H:え!そんなこと訊くなよ!(笑)
ミ:ほんっと…ポカーンとしてたよね(笑)
イ:そしたら、「んなわけないじゃん!」って。「仕事仲間だよ」っていう。
H:それもちょっとさびしいな(笑)
ミ:「プロとして尊敬してるけど、そういうのは無い」って言ってて(笑)好きにならないんですか!?っていう感じだったよね。弟は大好きだからね。
イ:一時期は細野さんのことすごい好きだった時期があったんじゃないかな、と思って。
H:いや、それは感じたこと無いよ。
イ:あ、そうですか。でも、あんなにカヴァーされると「こいつ、俺のこと好きなんじゃないか?」みたいな…
H:いやいや、そんな風には思わないよ(笑)
イ:あ、思わないですか?(笑)
ミ:ゲス…ゲスだな、お前は(笑)
イ:すいません…(笑)
H:音楽と人格はあんまり関係ないよ。
イ:あ、そうですかね?
ミ:弟は『NO SMOKING』観て、人格、魂…「霊格」か。そういうこと言ってたよね。
H:霊格?(笑)
イ:細野さんって信心深いですもんね。
H:まぁ、そうかな…そう言われるとそうかもしれない。わかんないや。そうでもないよ。
イ:そうですか?
ミ:だって、「はい、私は信心深いです」なんて言うミュージシャン、見たことある?(笑)興醒めだわ(笑)
2人:(笑)
H:なに、信心深いの?イチロウくんは。
イ:僕は細野さんの影響で信心深くなってるんですけど、今もう、じゃあ…あんまりしなくていい…(笑)
H:いいよ(笑)
ミ:口に出さなきゃいいんだよ(笑)
イ:でも、奉納演奏みたいなことされるじゃないですか。
H:それは…呼ばれると行くんだよね。
イ:やっぱり、呼ばれちゃうんですね?
H:呼ばれるんだよ。ショウビジネスはみんなそう。「Calling」っていうんだよ。
イ:コーリング。
H:これはニューヨークでブロードウェイやってる連中の言葉だけど。お呼ばれ。
イ:お呼ばれ。
ミ:へぇ…
H:自分から何かを仕掛けるのってなかなかできないんだよ。だから何事も…「信心深い」っていうのはつまり、昔の人はそうなんだよ。お天道様の…
ミ:あー、恥ずかしくないように…
H:恥ずかしくないように生きろ、とか。そういうことなんだよ。別に[特定の宗教における]信仰心っていうよりも、民間信仰に近いよな。だから、「お呼ばれ」もそうだよ。芸人はみんなそう思ってるんじゃない?昔の。
ミ:あ、そうですね。
H:で、呼ばれたら断らない、とかね。そんな感じですよ。
H:じゃあ、1曲かけようかな。もう1曲、なんか持って来てくれたの?
ミ:はい。
H:…ラトルズ(The Rutles)の"Ouch!"を聴いてください。
Ouch! - The Rutles
(from 『The Rutles』)
H:外国のコメディアンで誰かいるの?あこがれみたいな。
ミ:あこがれ…和田誠さんが「実はこの人はすごくモノマネが上手いんだ」っていって、サミー・デイヴィス・ジュニア(Sammy Davis Jr.)がいろんなモノマネしてるのをもらったことがあるんですけど…
H:あー、やってるね。
ミ:あ、ご存知でしたか。すごいやっぱり、シャレてるっていうか…(笑)
H:そうだよね(笑)
ミ:知らない人でも「似てる」って思っちゃう。
H:あの当時…60年代くらいはそういう人いっぱいいたね。アメリカに。
ミ:へぇ。モノマネっていうか、パロディっていうか?
H:スターがいっぱいいたでしょ?
ミ:あー、そうですね!
H:キャラクターの強いスターがいっぱいいたから。ケイリー・グラント(Cary Grant)の真似とかね。知らないけどおもしろかったね。
ミ:やっぱり一時期、寅さんとか美空ひばりさん一本だけで食べていける芸人さんとかね、いたけど。今はひとりじゃダメだから…(笑)
H:いたね(笑)いたいた…昔から好きだったな、そういうの。桜井長一郎さんとかね。
ミ:ね。見ちゃいますよね、やっぱ。
H:で、なにから始めたの?最初は。ユーミン?
ミ:いや、最初は桜田淳子さんとか。アイドルの方…
H:あー!そうかそうか。歌から入っていったんだね。
ミ:異様に好きで…自分の部屋に帰っても、桜田淳子さんがレコード大賞を受賞したときの喜び、みたいのを自分でやるんですよ。そうするとホントに泣けてきて…(笑)
H:(笑)それは本人になりきっちゃうわけ?そういうのは。
ミ:そうですね。高校時代は部屋で桃井かおりになりきって…「宿題やらなくちゃねぇ。」とか言いながら…(笑)
2人:(笑)
H:高校からやってるんだ。
ミ:やってましたね。ぜんぜんやってなかったですか?モノマネのほうは。高校時代は。
H:高校時代は…
ミ:やってそうだけれども。
H:いやいや。そんなに僕は、器用にはできないなぁ…低いからね。声が。ダメでしょ?低いと。
イ:そうですね。限られてきちゃいます。ただ僕、細野さんの坂本龍一さんの顔マネ大好きで…(笑)
ミ:あれおもしろい(笑)
H:あれね(笑)
イ:あれ最高ですよね。
H:あれは自分でも似てると思う(笑)
イ:あの細かい…
ミ:細かい心理がね。
H:そうそう。
イ:すごい…
ミ:あれは自分で見つけたんですよね?
H:そうなの。
ミ:疑ったりしてごめん(笑)
H:教わったわけじゃないよ(笑)
ミ:師匠がいるわけじゃない(笑)
H:坂本くんから教わったっていう。
ミ:自分で学んだ、という。
H:でも幸宏(高橋幸宏)の顔マネはできない。「固まってる」からね(笑)
イ:固まってる…(笑)
ミ:(笑)
H:うらやましいんだよ、ああいう固まった顔って。写真写りがいい…
ミ:いいですよね(笑)
H:いいよね~どんな場面でもいいんだよね。うらやましい。こっちはひどいからね、もう。
ミ:YMOのそのバランスって、[それまでに]なかったですよね、そういえばね。バランスにおいても。
H:そう。なんかヘンな取り合わせだったね。おもしろかったね。
ミ:で、なんかちょっとした、田舎っぽいものを置くほどYMOが映えるっていうかね。あれもなんか不思議だった(笑)
H:田舎っぽいものってなんだ?(笑)
ミ:都会的なものを置きそうなんだけど…なんて言ったらいいのかな?
イ:温泉マークとか。
ミ:そうそうそう。
H:あー、そういうことね。そうかそうか。なるほどね。3人とも東京だよな、そういえばな。
ミ:そうですね。
H:はっぴいえんどは大滝くん(大滝詠一)が岩手だったね。そこがまたおもしろかったけど。
ミ:でもこないだ…細野さんは観てないかもしれないけど(笑)あの番組、なんて名前だっけ?
イ:『TOKYO ROCK BEGINNINGS』。
ミ:そう!
H:コピー…ビデオもらったんだけどね…DVD。
ミ:まだ観てない?
H:観てない。
ミ:観てなそー(笑)すごい良いこと言ってたんだよね。
H:なんて言ってたの?
イ:「あのー…ミュージシャンはオシャレじゃないとダメだから。」
H:そんなこと言わないよ(笑)
ミ:そうだ(笑)だから学生時代にね、そっちに行かなかった理由は…
イ:「あの人たちはダサかったから…」
ミ:カッコいい…(笑)
イ:「ヘルメットと棒でね、なんかダサく見えたんですよね。」
ミ:うちの弟上手いわ~(笑)
H:いや、似てるとは思わないけどね、別に…(笑)
ミ:似てるんだなぁ…(笑)
H:違う人だよ(笑)
イ:「んん~…」
ミ:あの番組よかったよね、でも。
イ:すごい良いです。ぜひ観てください。
H:そっか。
イ:細野さんだけがカッコいいです。
ミ:なんか私、長く残る名曲って、どういうわけか金持ちのボンボンが作ったのが多いのが昔から謎だったの。
H:どういうことだい、それ(笑)
ミ:なんでなんだろう、と。
H:はっぴいえんどは別に金持ちのボンボンじゃないよ(笑)
ミ:でも、その番組見たら…林さん(林立夫)が言ってたのかな?それはしょうがないんだ、と。
H:うん。
ミ:たとえばドラムをやりたいにしても、家でやろうったって、防音が無ければできないし…
H:そうだよ。林くんは坊っちゃんだよ。
イ:へぇ…
ミ:あ、そうなんですね。
H:だって僕ん家はドラムなんて置けないし、買えないし。やっぱりドラムセット置ける人っていうのはお金持ちですよね。
ミ:それでピアノ買える人、ギター買える人。で、地方はなかなか楽器屋さんまで遠い、とか。
H:そうだよね。
ミ:そういう物理的なものがあるんだ、って仰ってましたよね。
H:それはあるね。うちはね、母方の祖父が調律師だったから、ピアノがゴロゴロ…直してた(笑)それの古いやつをもらったんだよね。んー。アップライトで。
2人:…
H:なに?黙っちゃって(笑)
ミ:いや、そういえば…調律師になろうかな、って言ったら、おじいさんが。
イ:「やめたほうがいい。」
ミ:表現するものがあるんだったら…
H:そうそうそう。よく知ってるね。
ミ:何回観たかわかんないもんね?
イ:[細野さんは]『ファミリーヒストリー』も観てないんじゃない?(笑)
ミ:観てないんでしょ!?
H:(笑)自分のは観たこと無い…
イ:あ、そうなんだ…
ミ:照れ屋さんだからね(笑)私、なんかで観てビックリした…大原麗子さん主演の映画にも出てらっしゃいましたね。
H:あれはね…今頃になってじわーんとくる作品ですね。『居酒屋兆治』。
ミ:あ、そうですね!ビックリした。
H:いや僕もね、ビックリした。
ミ:いや、ビックリしないでください、オファーを受けて…(笑)
H:いや、当時はそんなにわかんなかったんだけど、今生き残ってる人はほとんどいないと思う。
ミ:ハッ…ショック。ホントだ。
イ:あー…
H:で、僕がいちばん印象的だったのが…伊丹十三さんと絡むんだよね。ケンカするの。
ミ:そうですよね。飲み屋で。
H:その出番の前ね、ずっと隣でね…日活の撮影所だったかな。お話をしてくれるんだよ。僕は聞いてるだけなの。
ミ:ほう。
H:ひとりでダーッてしゃべってるのを聞いてあげてたの。
ミ:へぇ…
H:そしたら、まだ映画作る前だったんだよね。「映画の美」について語ってて、勉強になったね。「映画はモノクロに限る。黒と白の美学だ。」で、作った作品はカラーだった(笑)
2人:(笑)
H:それで印象に残っちゃった。
ミ:『お葬式』かな?
イ:1本目。
H:そうそう、たぶんそう。で、高倉健さんに僕、肩を触られた。
ミ:映画の中で?
H:うん。後ろから。「まぁまぁ」とか言いながら。ケンカしようとしてたのをおさめてくれて。
ミ:やっぱりカッコよかったですか?
H:カッコいいね。ぜんぜん…普段は出てこないんだよね、部屋から。ロケ現場に。
ミ:さすが一流。へぇ…
H:でも、肩触られた人は僕だけだよ。
ミ:そんなことないと思いますよ。
H:そんなことないか(笑)
ミ:夢を壊すようですけど…(笑)
H:いや、女優さんならいるかもしれないけどね。
ミ:まだ言う…(笑)
H:大原麗子さんが、とにかく…
ミ:絶世の美女。
H:ロケの合間に、函館でね…呼ばれたんだよ。ヒマだったらしくて。
ミ:へぇ!
H:ホテルの真向かいにカフェがあって、そこに呼ばれて。
ミ:そんな良い思いしてたんだ!
イ:(笑)
H:もう一人ね、有名な脇役の俳優の人と一緒だったんだけど。
ミ:へぇ。超キレイでしたよね、やっぱ。
H:なんだろうね…なんにもこっちからは話さなかった。やっぱりみんな…俳優さんって、自分からずーっとしゃべってんのね。
ミ:おもしろいですね。
H:おもしろい。なにしゃべってたんだろう。
ミ:もう中身は忘れた?さすがに。
H:忘れちゃった。んー。いや、良い経験したな、と思って。
ミ:そうですね。いつもは無いことですもんね。
H:思うと、やっぱり…去年僕は50周年やったでしょ?やっぱり50年って長いんだな。
2人:(笑)
ミ:でしょうね(笑)
H:もう、大昔の映画に出てるんだから。
ミ:あー、そのことで逆に感じるのかな?
H:そう、感じるんだよ。だから、ついこないだ、なんかのことで…『スター千一夜』って番組があったんだよ。
ミ:ありましたね。
H:あー、やっぱり知ってますか。よかった。今の人は誰も知らないでしょ?
ミ:そうかもね。知らないよね?弟は。
イ:俺は知ってますよ。
H:知ってるんだ。あれに出たことあるんだよ。
2人:えー!
H:YMOで。
イ:えー…
ミ:似合わない!
H:似合わないんだよ(笑)
ミ:3人で出たの?
H:そう。
2人:へー!
H:たぶん、[番組が]終わる直前の頃だと思うよ。で、調べてみたらハリウッドスターがずーっと出てるのね、あれ。
ミ:あ、そうなんですか。
H:ビックリしちゃった。大昔の話。だからもう、この先はないんだな、と思って。
2人:(笑)
H:20世紀と共に僕はおさらばするから。
ミ:これからでしょ?だっていますごい…若い人とかね、オーストラリアとか。海外での人気がこんなに高まるって思ってました?若い頃。
H:いやいやいや!まさか。
ミ:イヤイヤ歌ってましたよ?パルコで。
2人:(笑)
*[前週参照。]
H:ホントにね、誰が聴いてるんだろう、って…とさえ思わなかったかな?ひとりで黙々とやってたね。んー。
ミ:じゃあ、ああ見えて…暗黒期みたいのは意外と若い頃なんですかね?
H:そうだね。暗黒なの?あれ。
2人:(笑)
ミ:「なんだと?」(笑)
H:いやいや(笑)
H:そういえば前にイチロウくんに…テレビ局のスタジオの喫煙室で一緒になったときに。
イ:はい。
H:いきなりね、「プレスリー」って言われたんだよ。僕のこと。
イ:あー、言いましたね。
H:あれはビックリしたんだよ。
ミ:どゆこと?
イ:僕ね、細野さんがもし次にアルバムを作ってくれるとしたら、プレスリーのカヴァー集はどうでしょう?って提案したんです。
H:突然言うんだ、それを。
ミ:なんで?
H:なんで?と思うよね。
イ:いや、なんか細野さんは合うんじゃないかな、と思って。
ミ:あー、そうかね?
イ:うん。で、なんか細野さんくらいになると、そのまんま英語で歌ってもカッコいいんですよね。
H:うーん、やってるけどね。"Love Me"っていう曲とかね。
イ:はいはい。なんか、それだけで1枚聴きたい、っていう気分に僕…プレスリーのファンでもあるんで。両方、ね。
H:なるほどね。いい声だな。
ミ:(笑)
イ:もし細野さんが作られないんだったら僕が作りますけど、よろしいでしょうか?
H:あ、やってよ(笑)
ミ:どんな心臓してんだよ(笑)
H:いや、聴きたい聴きたい。
イ:喫煙室ってホントおもしろくて。Corneliusさんとも喫煙室で一緒になって…どうも2代目細野さんっていうのはCorneliusさん、っていうことになってるんですけど…僕はそれでもいいんですけど、3代目は僕に頂けませんかね?って…
H:(笑)
ミ:お前、心臓強いな(笑)
イ:そしたら、不思議そうな顔をして僕を見てらっしゃいました。
H:(笑)
ミ:恥ずかしい…(笑)
H:だいたい、Corneliusは僕の2代目じゃないから(笑)
イ:ないんだ…(笑)でも、若い頃は細野さんにそっくり、って皆さん仰いますよね。
H:似てるとは言われたけどね。FUJIROCKに出たとき、出番前に並んで、一列に…僕の後ろがCorneliusだったの。で、Corneliusのところに行って、「細野さん、サインください!」って言ってたよ、誰かが(笑)
2人:(笑)
H:その人目が悪いよ(笑)いくらなんでも…歳の差がすごいもん。
ミ:そっか、似てるか…
H:似てるとは思わないよ、僕。ぜんぜん、Corneliusのほうがね、やっぱり…かわいらしいというかね。人気があるよね。
イ:いやでも、僕は細野さんが若い頃すごいかわいかったからビックリしちゃって…
H:いや、ぜんぜん…
ミ:細野さん、ルックスめっちゃいいですよ。
H:ホントかね?
イ:いいと思います。
H:じゃあ、早く言ってもらいたかったなぁ、その頃。誰にも言われなかった。
2人:(笑)
イ:あ、そうですか?
ミ:男女ともに好かれる顔だよね。
イ:うん。と、僕も思います。
H:そうかな?ぜんっぜんいい思いしたことないんだよね。
イ:へぇ…
ミ:じゃあ、鏡で自惚れるっていうこと、ホントに無い?
H:鏡は大っ嫌いだ。いまだに。
ミ:もったいない…(笑)
H;きょうも見てないもん、鏡。鏡見てきた?イチロウくん。
イ:あんまり見ないですね(笑)
H:じゃあおんなじだ、僕と(笑)
ミ:そっか。男はあんまり無いのか。
H:あのね、自分のダサさに気が付いたのは高校1年のときに、目黒駅で電車を待ってて。電車が来て、窓ガラスに僕の姿が写ったわけ。自分の。
ミ:うん。
H:そのとき初めて、あ、ダサい!って思って。
イ:どういうこと…(笑)
ミ:きびしい…(笑)高校時代ってやっぱり、自分のこといちばん嫌いですからね。
H:でしょ?だからいまだにそうかもね。なんか、ほんっとダメなんだよね。
ミ:へぇ…もったいない。
H:いやいやいや、とんでもない。ほんっとに嫌だ…だから、アッコちゃんが好きにならないのもよくわかるわけ。
イ:面食いだから?
H:面食いだから(笑)
2人:(笑)
ミ:お前、なんてこと言うんだ(笑)
イ:(笑)
H:まぁ、そんなこんなでね…話がもう、ぜんぜん…(笑)
ミ:とりとめもない(笑)
H:とりとめがない、おもしろいわ(笑)また来てください。
ミ:はい、ぜひ。ありがとうございました。
H:今度はちゃんと…なんかやってもらいますんで…(笑)
2人:(笑)
ミ:もういいでしょ(笑)
H:じゃあ…清水ミチコさん、清水イチロウさん、姉弟です。ありがとうございました。
ミ:はい。お邪魔しました。ありがとうございました。
イ:ありがとうございました。
Love Me - 細野晴臣
(from 『HoSoNoVa』)