2019.08.11 Inter FM「Daisy Holiday!」より
H:こんばんは。細野晴臣です。えー、きょうはひさしぶりですね。このメンツは。
O:こんばんは、岡田崇です。
越:こんばんは、コシミハルです。
H:いやいや…どうしてたの?みんな。
O:いやー、暑いんで…ダラーっとしてました(笑)
越:暑い。
H:暑いね。
越:暑いですね。
H:選挙もあったしね。
O:ですね。なんだか…
H:いろいろね。いろんなことがありますよね。令和になってから。
O:(笑)
H:えーと…[放送日は]お盆の前の日なんだよね。
O:そうですね。もうすぐ、お盆ですね。
H:ということは、やっぱりね…レオン・レッドボーン(Leon Redbone)のことはちょっと、ね。
O:そうですね。今までなかなか触れる機会が無くて。
H:そうですよね。えーと、ミハルちゃんはレオン・レッドボーンは?
越:…
H:はい、ごめんなさい(笑)えー、岡田くんはいろいろリサーチして…リズム・レッカーズ(Rhythm Wreckers)に辿りついたよね。
O:そうですね。
H:ま、とにかくちょっと、じゃあ、レオン・レッドボーンの楽曲を聴いてみましょうかね。
O:はい。
H:"Desert Blues"でいこうかな。
O:ぜひ。
Desert Blues (Big Chief Buffalo Nickel) - Leon Redbone
(from 『On The Track』)
H:どうですかね…いいね。
O:いいですね。
H:どうですか、ミハルちゃん。
越:これ、コンサートで何度かやってましたよね?
H:そうなんだよ。
越:ね。
H:これやっぱり…自分にとって「元ネタ」かもしれないね。うん。でも、レオン・レッドボーンにとっての元ネタがいっぱいあるんだよね(笑)
O:このとき25歳ですよね、レオン・レッドボーン。
H:若いねー!信じられない(笑)
O:1stアルバムなんですけど、これ。
越:え、そうなの?!すごい大人…
H:1972年ぐらいかな?
O:1975年ですね。
越:え、70年代なの?!
H:いま聴いてもね、ぜんぜん衰えないというか。
越:うん。
O:まあ、ずーっとこの調子でしたけどね(笑)
H:ね。歳とらなかったのに、亡くなっちゃったんですよ。5月30日に。69歳。
越:あ、若いですよね、まだね。
H:謎の人物で、なかなかプロフィールを明かさないっていう。
O:生年月日も…元々はずーっと隠してました。
H:そうだよね。
越:んー…
H:なんかこう…タイムマシンで来たような人だよね(笑)
O:うんうん(笑)プロフィールを偽ってたんだって、デビューのとき。若過ぎるんで(笑)
H:うん。で、その頃、来たんですよね、日本に。
O:1978年に来て、細野さんと同じステージに…ですよね。
H:僕、出たんですよ。うん。いやー、なんか、あんまり憶えてないんだけどね(笑)
[*細野さんは1978年2月24日、東京・九段会館で行われた初来日公演にゲストとして参加。]
O:細野さんは岡田徹さんと2人で…
H:あー、そうだ。
O:リズムボックスと…?
H:あ、そうだ。"演歌チャンチャカチャン"が流行ってた頃なんで…(笑)
O:(笑)
H:そのレッドボーンさん、キプロス出身っていう話ですよね。だからあっちの…地中海系の人なのかね?
O:ね。わかんないですよね、よくね。ホントに、最後まで(笑)
H:んー、謎の人なんですよ。ただ、遺されたアルバムはすばらしいですよね。じゃあ、いまの"Desert Blues"の元ネタっていうのが…そもそもはジミー・ロジャース(Jimmie Rodgers)という人の曲なんで、それを聴いてください。
Desert Blues (Big Chief Buffalo Nickel) - Jimmie Rodgers
H:これがオリジナルのジミー・ロジャースで1929年、ですね。ジミー・ロジャースは「ブルー・ヨーデル(Blue Yodel)」って言って…白人だけど、ブルースとヨーデルを混ぜたような、ね。創始者ですよね。
H:えーと…なんだっけな…あ、レオン・レッドボーンの本名。
O:すごい名前ですよね。
H:ちょっと発表してくれます?
O:ディックラン・ゴルバリアン(Dickran Globalia)。
越:(笑)
H:憶えらんないわ(笑)謎の人物ですね。
O:(笑)
H:で、その…リズム・レッカーズ。これ、どんな人たちだっけ?
O:んーと…やってるのはベン・ポラック(Ben Pollack)っていう…
越:あ、そうなんだ…
O:まあ、有名な指揮者ですよね。
H:ハリウッド映画の…ジミー・スチュアート(James Stewart)がやった『グレン・ミラー物語(The Glenn Miller Story)』に出てきますよね。ドラマーなのね。
O:そうですね。ベン・ポラックが…たしか、ヴォカリオン(Vocalion)っていうレーベルに頼まれて作った楽団で。ライヴ活動とかはしない、スタジオ・レコーディングのための…
H:めずらしいね、楽団としては。
O:そうですね、当時としてはめずらしい形態で…1936年から1938年ぐらいまで活動してて。28曲くらいかな、録音が。
H:そうね。
O:戦前の日本で意外とSP盤が発売されてて。
H:聴かれてたんだね。
O:たしか、10枚くらいは出てたんじゃないですかね。
H:なんか、とても高い声の…少年のような、少女のような…
O:そうですね、ホワイティ・マクファーソン(Whitey McPherson)でしたっけ。
H:ギタリストなのね。少年なの?
O:少年…だと思います。僕もそんなに詳しくはないですけど…
H:とてもおもしろいサウンドで…レッドボーンはそのサウンドに影響されてるよね。
O:そうですね、完全に下敷きに…
H:じゃあちょっと、そのザ・リズム・レッカーズの"Desert Blues"、聴いてください。
Desert Blues - The Rhythm Wreckers
H:これをミハルちゃんに聴かせて…キーボードのあのフレーズを採ってもらって、レコーディングやったんだよね。僕ね。
越:あ、そうね。うん、なんかこのとき、そういえば…いまいろいろ思い出した。いろんな人の[ヴァージョン]を聴いた(笑)
H:聴いたんだ(笑)
越:聴いた聴いた(笑)急に思い出した。ぜんぜん、記憶がね、無くなっちゃうんですよ(笑)
H:ねー。まあ、お互い様ですよ。
O:(笑)
越:思い出したー!
H:じゃあ、それがどうなったかというと、こうなりました、ってことで、自分のをちょっと…『HoSoNoVa』に入れたんで、ずいぶん前ですよ。
デザート・ブルース - 細野晴臣
(from 『HoSoNoVa』)
H:あの…僕はヨーデルできないんだよね(笑)裏声が出なくなっちゃったんだよ、歳とってから。どうしよう(笑)
O:(笑)
H:これはメンバーが…リードギターは徳武くん(徳武弘文)ですね、「Dr.K」。で、漣くん(高田漣)がスティールで、大地くん(伊藤大地)ドラムス、伊賀くん(伊賀航)ベースで、ミハルちゃんがハモンド…っていうか、オルガンですね。を、やってくれまして。えー、僕が25歳のときの…(笑)
O:(笑)
H:で、他にかけるものがあるとするとですね…あ、リズムの面でレオン・レッドボーンにすごく影響したのが…リズム・レッカーズをいっぱい聴き込んでるんだね、レオンさん。
O:うんうん…
H:"A Red Headed Music Maker"っていう曲です。
A Red Headed Music Maker - The Rhythm Wreckers
H:まあ、これのフレーズをレオン・レッドボーンは"Desert Blues"に取り入れたりしてたりね、するという…
H:えー、そういうわけで…レオン・レッドボーンの追悼をやってます。じゃあ最後にね、"Lazy Bones"をかけて…
O:はい。
H:ご冥福をお祈りします。
Lazy Bones - Leon Redbone
(from 『On The Track』)