2020.12.20 Inter FM「Daisy Holiday!」より
H:こんばんは、細野晴臣です。さて…いよいよ年の瀬も深まってきますが、これから。その前にクリスマスという…24日ですね。もうすぐ。そこで恒例の…みなさん、いらっしゃい。
O:こんばんは、岡田崇です。
越:こんばんは、コシミハルです。
H:このメンツ、3人っていうのは久しぶりだよね。
O:まぁ、わりと最近…(笑)
H:やったっけ?(笑)んー…でも、クリスマスだと毎回このメンバーだね。
O:そうですね。もう10何年以上。
H:そうだよね。長いね。あっという間に時間が経ってしまいますが。クリスマス、どうなの今年は?どんな感じ?
O:うーん、今年はね…(笑)
H:世間はどうなんだろう?
O:どうなんですかね。やっぱり静かに過ごす方が多いんじゃないですかね。
H:だから…音楽だけでもね。クリスマス気分っていうのは音楽の中にあるんで。ほかにはないよ。
O:うん。
H:ミハルちゃんは…クリスマスはどうするつもりなの?なにもしないね。
越:どうするかな…
H:いいよしなくて、なにも(笑)
越:(笑)
O:(笑)
越:父と…おうちで鳥でも焼くのかな、どうするかな、っていう感じ。
H:あー、なるほどね。お父さんと2人ね。最近、仲睦まじい…(笑)
O:(笑)
越:日々、片付けしてますね。おうちのね。
H:その話はよく聞かされてるんだけど…その話するとながーくなる。
越:(笑)
H:「冷蔵庫はいろんなものを入れられるから」…
越:そう!なんでも冷蔵庫に入れちゃうの。
H:そう。そういう話聞くじゃない?自分もおんなじだから、批判できないんだよ(笑)
O:(笑)
越:冷蔵庫っていろんなものが入るんだね!奥へ奥へと…(笑)
H:奥がすごい深い(笑)
O:(笑)
H:だから僕は薄い冷蔵庫が欲しいんだよね。奥行きのない。パッと見渡せる…本棚みたいな。さもなければ、冷凍庫だけでいい。
越:あー。それはいいかもしれないね。
H:冷凍庫、なんでも入れちゃえば傷まないじゃない。
越:あ!うちの父もそう言ってる!
H:でしょ?おんなじなんだよ(笑)
越:「冷凍庫に入れればずっと大丈夫だ」って言うの。おんなじ(笑)
H:うん、大丈夫なの。
O:(笑)
H:世の中の男の人はみんなそうなんじゃないの?岡田くんどうなの?
O:もう、冷凍庫はパンパンですね。
H:あ、やっぱり?冷蔵庫はどうなってるの?
O:冷蔵庫はだんだんスカスカになってきました。野菜室がスカスカですね…
H:んー。だったら自分も入らないとね、そこに。
2人:(笑)
O:夏になったら…
H:うん、傷まないようにしないと。
O:(笑)
H:えー…じゃあクリスマスの音楽、音楽の世界のクリスマス。ミハルちゃんからひとつ。お願いしますよ。
越:はい。えーと…"Sleigh Ride"。
O:お。
H:やっぱりね。
越:誰がいいかなって思ったんですけど…
H:いやー、いろんなのがあるからね。なにがいいの?
越:きょうは歌にしようかな。メル・トーメ(Mel Tormé)。
H:メル・トーメ?ほほう。
Sleigh Ride - Mel Tormé
(from『Christmas Songs』)
H:なるほど。歌うまいね、この人。
越:ね。
H:あのー…クリスマスは何十年とやってきてるけど、それぞれ。音楽は毎年聴いてるわけじゃない、たぶん。小っちゃい頃から。クリスマスソング。
O:ええ。
H:なにがいちばん好きなの?
O:なんだろう…
H:まぁ、"Sleigh Ride"はね…ミハルちゃん、いちばん好きとか言ってなかった?
越:そう。"Sleigh Ride"好き。
O:うん、"Sleigh Ride"いいですよね。
H:ルロイ・アンダーソン(Leroy Anderson)ですよね。「ルロイ」って言えないんだけど…(笑)
O:(笑)
H:じゃあ岡田くんなりに、なにか…
O:じゃあ、スリー・サンズ(The Three Suns)で…
H:お。
O:"Jingle Bells"を。
H:お、定番ですよ。
O:これ、今月の頭の細野さんの「手作りデイジー」の中で『In Japan』のやつがかかってましたけど。
H:うん。
O:それと同じ、チャールズ・アルバータイン(Charles Albertine)という人がアレンジャーがやってるヴァージョンです。
Jingle Bells - The Three Suns
(from『A Ding Dong Dandy Christmas』)
H:はい、スリー・サンズの"Jingle Bells"。この頃ってスリー・サンズ、本人たちいる?
O:アル・ネヴィンス(Al Nevins)が一応、プロデューサーにはなってるんですけど…
H:プロデューサーだよね。
O:もうアルドン・ミュージックやってるんで…自分たちは演奏しないで、おもしろいアレンジャーを連れてきて人にやらせる、っていうパターンになってますね。
H:そうだよね。よく聴いてるとドラミングがすばらしいんだよね(笑)誰だろうね、これ。
O:誰でしょうね?
H:わからないですけど…ギターもなかなか。これは誰だっけ。
O:ギターはデル・カッチャー(Del Kacher)とか…その頃ですかね。
H:そうかそうか、デル・カッチャー…ジョージ・バーンズ(Geroge Barnes)もやってたりするんだっけ?
O:ジョージ・バーンズもいたんだっけかな…ヴィンセント・ベル(Vincent Bell)とか、けっこういろんな人がやってますね。
H:そうだね。スタジオセッションでね。んー。この頃のスリー・サンズのサウンドも好きですけどね。
O:ちょうどステレオの時代ですからね。右・左…ちょっと振りすぎですけど(笑)
H:そうそう。「リビング・ステレオ(Living Stereo)」っていう…ビクターだったよね、これは。
O:そうですね。
H:さぁ、僕の番だな…クリスマスソングっていうとやっぱり、フランク・シナトラ(Frank Sinatra)とナット・キング・コール(Nat King Cole)とビング・クロスビー(Bing Crosby)っていうね。出てきちゃいますよね。僕が好きなのは…ナット・キング・コールですね。"All I Want for Christmas"っていう曲が好きなので…どうぞ。
All I Want for Christmas (Is My Two Front Teeth) - Nat King Cole
H:(シュタイナーの鐘を鳴らす)
O:(笑)
H:あー、いい音だ、これ。青葉市子さんから頂いた…
越:すごいきれいな音ですね。
H:うん。シュタイナー・チャイムっていうね。
越:それ、どうなってるの?中。
H:ん?中?
越:すごくない?見た感じからは想像できない音が…
H:見た感じは…木の筒みたいなね。音程がちゃんとしてる。
越:ね。すごいきれい…
H:はい。急に変わっちゃうんだよね。これ鳴らすと。
2人:(笑)
H:場の空気が変わっちゃう…えー、なんだっけ?あ、クリスマスね(笑)
O:(笑)
H:みなさんのクリスマスはどんな過ごし方をしてたか…もっぱらクリスマスらしいことはなんにもしてないけどね。あれ?クリスチャン?みんな。違うか(笑)
O:教会とか行ってましたよ、僕は。小学校の頃とかは。
H:お。洗礼受けてる?
O:一応…
H:お!クリスチャンだよ、そいじゃあ。「そいじゃあ」ってことはないけど(笑)
O:そいじゃあ…(笑)
越:(笑)
H:ミハルちゃんのお父さんもクリスチャンだ。
越:はい。
H:じゃあ、2人ともほら、教会行かないと(笑)僕はお寺行くけど、クリスマスに。
2人:(笑)
H:なんで行かないの?僕、去年行ったよ。
越:今年はね…なかなか、こういう時期なので。
H:あ、そうだ。それは今世界的に問題になってるよね。教会に集まっちゃいけない、みたいなことで。
越:いろんなね、制限があって…
H:でもやっぱり、本来は教会で…24日の夜ね。
越:そうですね。本当はみんなで歌を歌って…
H:讃美歌をいっぱい歌うよね。
越:そう。きれいなんですよね、音楽が。でも細野さんも教会に行ったりしてましたよね、前ね。
H:キリスト教系の高校行ってたから…あ、大学もそうか。いや、けっこう好きだったよ。
越:小さいときはどんなクリスマスだったんですか?
H:それを言いたかったんだよ。昭和30年代のクリスマスはすごい印象深い。家族で銀座に行くの。
越:あー、いいなぁ。
H:家狭いし(笑)
2人:(笑)
H:クリスマスツリーなんかね、置けないし。買えないし。で、銀座に行くともう、そこがクリスマスツリーみたいな場所だから(笑)今とはちょっと違う…あ、いちばん多いのはサラリーマンの酔っぱらい。もう、典型的な…(笑)
越:(笑)
O:ネクタイ巻いて、三角の帽子…(笑)
H:そうそう(笑)あと鼻メガネみたいな、おもちゃのね。で、ケーキのおみやげ持ってたり(笑)
O:ショートケーキだ(笑)
H:ケーキが売れ残ってるのが店頭にいっぱいあるんだよ。それを買って帰って食べてたのかね。んー。そんな感じしか憶えてないな。街中にクリスマスソングが流れてるけど、ほとんど「ジングル・ベル」ばっかり(笑)
越:(笑)
H:みなさんは?
O:僕も家族で銀座とか行ってましたよ。
H:あ、じゃあおんなじじゃない。なんか食べるのね。
O:うん。
H:そういえばそうだよ。でも予約もしないでみんな、うろちょろして…お腹すいて、食べようとするとどこも入れないの。
O:(笑)
H:で、ここ空いてる!と思って入っていくと、チキンの小さなロースト?それしかありません、って言われてみんなでおんなじものを食べるの(笑)
越:(笑)
H:骨付きで、銀紙が巻いてあるような…すごい冷めてて(笑)まぁ、そんな感じのクリスマスは数年で終わったね。なんだかこの30年、40年はなかったね、そんなことは。身内で集まってパーティーとかした?
O:しないですね。丸焼きの鳥を買ってきて…ぐらいはしてましたけど。
H:ミハルちゃん家はどうなの?
越:え?昔?(笑)
H:黙って聞いてないで、自分のこと言いなよ(笑)
越:小さい頃は…父は第九の時期だから…
H:あ、お父さんは…ここで発表しますと、読売交響楽団の…オーボエって言っちゃいけないんだよね。
越:間違えました(笑)
H:ファゴット。
越:そうです(笑)
H:ファゴット奏者です。だから、クリスマスは…
越:年末は忙しくて。
H:ベートーヴェンの第九を演奏することがいっぱいあったわけね。
越:そうですね。だからだいたい、おうちに夜はいなくて。母と2人で静かに…
H:あ、コンサートは行かないで?
越:行ったりすることもあったけど…小さい頃は大きいツリーがおうちの中にあって、それを飾ったりとか。
H:すばらしいね。
越:そういうのをしてました。
H:いいじゃない。プレゼントは?
越:はい、頂きました(笑)
H:あ、いいじゃん…なにもらったの?ぬいぐるみ?スヌーピー?違うか。
越:(笑)なんか、大きいね、ソックスの中に入ってたりとかね。人形が好きだったんで、着せ替え人形とかね。
H:へぇ…いいな。家ではなにかけてたの?音楽かけてた?
越:そうですね。
H:第九?(笑)
越:いろんなクラシック音楽を聞いたりしてましたね。
H:じゃあちょっと、その中で…
越:え!
H:どういうのを聴いてたか、ちょっとかけてください(笑)
越:ええ…クラシック?
H:いやいや…(笑)自分なりに。
越:え?いまの話…え?(笑)
H:話、関係なくていいから(笑)
O:(笑)
越:フランク・シナトラで?
H:どうぞどうぞ、それでいいですよ。それがいい。
越:フランク・シナトラで…アーヴィング・バーリン(Irving Berlin)の曲で"They Say It's Wonderful"という曲です。
They Say It's Wonderful - Frank Sinatra
H:というわけで、クリスマスソングをかけてきてますけど…いつ頃からか、クリスマスが苦痛になってきた時代があるよね。
O:(笑)
H:なんか…そうでもない?
O:そうですか。
H:あ、そうでもないか。ミハルちゃんはどう?そうでもない?
越:うん、けっこう楽しい(笑)
H:(笑)
越:なんか、街を歩いててもきれいじゃない。
H:まぁね、イルミネーションがね。あれにみんな騙されちゃうんだね。
O:(笑)
越:すぐ騙されちゃうんです…なんか、わぁ!って気持ちがちょっと。
H:うん。いつ頃からかな?クリスマスイブに車で街に出ると、ラーメン屋さんなんかが見えるじゃん。
O:はい。
H:そこで女の子がひとりでラーメンを食べてる姿を見て、あ、なんか苦しいな、と思って(笑)
2人:(笑)
H:なんかいろいろ苦しくなってきたなぁ、と思ってね、クリスマスって。僕のお父さんは「苦しみます」って言ってたから…(笑)
2人:(笑)
H:「さんざん苦労する」って言ってたよ(笑)
O:(笑)
H:まぁ、善し悪しですね。でも音楽はいいよね。じゃあもう、時間が来ちゃったよ。最後にひとつ…バァーっとお願いしようかな。「バァーっと」ってことはないけどね(笑)
O:スタンダードばっかりになっちゃってるんで…ちょっと今年はですね、たまには自分のをかけようかな、と思って。
H:お!(手を打つ音)出ました!
O:こりゃめずらしい。
H:(シュタイナーの鐘を鳴らす)
2人:(笑)
O:ヴァガボンド&ハリー(Vagabond & Harry)という名義ですね。
H:あ!あれか!
O:懐かしい…もう23年前ですよ。
H:そんなに経ったの?
越:(笑)
O:"Who Wants The Hula-Hoop?"という…
H:そうだ…それだ。
O:まぁ賑やかに。
H:では、よいクリスマス、よい年末を。まだ年末がありますからね、我々。
O:はい。
H:では、また来週。
Who Wants The Hula-Hoop? - Vagabond & Harry