2020.09.27 Inter FM「Daisy Holiday!」より
H:こんばんは。細野晴臣です。えー…きょうはホントひさしぶりですね、また。
O:こんばんは。岡田崇です。
H:あー、いらっしゃい(笑)
O:ごぶさたしております。
H:このスタジオに来るのは2月以来…あ、そんなことないな。5月だ。
O:そうですね。その後…ジャケットの打ち合わせでチラッと。
H:あ、そうだ。何度も会ってるわ(笑)
O:(笑)
H:でも、こうやって録るのはひさしぶりだよね。
O:そうですね。2月…くらいからじゃないですかね。
H:そう。うん。いやいや、どうしてたか…っていうわりには会ってるからね(笑)
O:(笑)
H:だいたいわかってるんだけど…
O:まぁ、変わらないですかね。
H:変わらないね。岡田くんは特に変わらない。
O:もともと引きこもりなんで…(笑)
H:僕は多少出るほうなんだけどね。まぁ、秋になっちゃったよね。いつの間にか。
O:ね。ホントにもう、「もうすぐクリスマス」なんてのが…
H:冗談じゃなくなっちゃったよね(笑)
O:今年はもう、なかったことにしてほしいですね。
H:そうだね。2020年ってなかった年になるのかな。
O:みんなで留年すればいいんじゃないかな、っていう…(笑)
H:留年ね。じゃあ…1歳、年取らないでいいのかね(笑)
O:ね。みんなラッキー!みたいな。
H:みんなで決めればそうなるよね。
O:うん。全世界的に…(笑)
H:そうだ。さぁ、まぁどうなるかわからないですけどね。えー…音楽、かけていきましょうかね。
O:はい。
H:岡田くんが最近、また…仕入れてるわけね。
O:こんな中でも、まぁ…(笑)
H:(笑)
O:お店には行ってないですけどね。通販というか…
H:通販ね。ネットで買い漁ってるという…もう、癖だね。
O:そうですね。でも、結構届くのに時間がかかったりしますね。
H:なるほど。このリストを見るとですね、和モノがあったり、いろいろ…
O:そうですね。
H:ちょっとじゃあ、1曲聴かせてもらおうかな。
O:じゃあ、1曲目は…ラリー・アレン(Larry Allen)という。
H:知りません。
O:インディアナ州出身のピアニストでヴォーカリストなんですけど、米軍の方ですね。
H:なるほど。
O:1942年から米軍に従事して、楽団でピアノ演奏をしながら東南アジアのほうをずーっと回ってきて、東京にやってきて。
H:うん。
O:1950年…戦後、日本に来て、赤坂のゴールデン・ゲート・クラブという…
H:そんなクラブがあったんだね。
O:わりと有名なクラブだったらしいんですけど、そこで演奏をしてた方で…実況録音盤をSP盤とEPで2種類出していて。
H:よくまぁ、そんなものを手に入れるよね。
O:(笑)その中で"Japanese Rumba"をやってるのがあったので…
H:ほほう。聴きたい。
O:1956年の録音ですね。
Japanese Rumba - Larry Allen
(from『Recorded Direct From New Golden Gate Club, Tokyo』)
H:いやいやいや…自由だな(笑)
O:(笑)
H:いま何やってるんだろうね、この人は。
O:どうしてるんでしょうね。1970年に香港で演奏してる、っていうのはYouTubeに動画が上がってましたけどね。
H:ああそう。いやー、もう、戦後だね。
O:戦後ですね。
H:いやー…まぁ、そういう歌なんですけどね。じゃあ、ラリー・アレン…もう1曲あるんでしょ?
O:あ、はい。聴いてみましょうか?せっかくなんで。
H:うん。全部かけちゃわないとね(笑)
O:"Papa Loves Mambo"。
H:"Papa Loves Mambo"ね。
Papa Loves Mambo - Larry Allen
(from『Recorded Direct From New Golden Gate Club, Tokyo』)
H:なるほど…ますます自由だね(笑)
O:(笑)
H:気楽な商売、っていう感じ(笑)この人はアフリカ系だよね?
O:そうですね。
H:ジャケットをさっき見せてもらったらすごい、おもしろいジャケットですね(笑)
O:(笑)
H:クラウン(clown, 道化)みたいな…
O:「Clown Prince」って書いてありますね。
H:ベースを弾いてるのは日本の方ね。
O:鈴木勲さんという…有名な。
H:有名ですね。
O:渡辺貞夫グループとか…まだご存命。
H:あ、そうですか。
O:当時、米軍キャンプを回り始めた頃なんだと思います。初期の。
H:なるほど。もう、日本の芸能の原点だね、ここら辺は。
O:ね。
H:いやー…これに対抗できるもの、ないなぁ…(笑)どうしよう。
O:(笑)
H:えーとね…これなに、DJ合戦なの?(笑)
O:いやいや、別にそういうわけでは…(笑)
H:まぁじゃあ、ラテンというところで、HISの…
O:おお。
H:ペレス・プラード(Pérez Prado)の曲をやってるんで、"恋のチュンガ"。自分で歌ってますが。
恋のチュンガ - HIS
(from『日本の人』)
H:いやいや…これはひさしぶりに聴いたな(笑)
O:いいですね。
H:HISね。もうちょっとやってみたかったですけどね。うん。
H:さぁて。どうしようかな…
O:(笑)
H:秋はどうやって過ごすか。どっか行くの?
O:いや?
H:(笑)
O:行かないですね(笑)
H:行かないね。
O:んー、まだまだ…
H:うん。世の中でツイン・パンデミックとか言ってる人もいるよね。
O:はいはい、インフルエンザと。
H:2つ来るってね。おどかすよね。
O:ねぇ。
H:収まりそうになるとおどかすっていう。
O:でも、すぐみんな油断するから…(笑)
H:もう全然、いま世の中油断だらけだよ(笑)
O:ね、結構混雑してましたよ、きょうも。
H:でしょ?車も人もすごい多いよ。連休…今ね、ちょうど連休中に録ってるんですけど。
O:はい。
H:連休なのに人が多い。みんな[遠くに]出ないから(笑)
O:都内で(笑)
H:そんな感じで日々を暮らしてるわけですけど…じゃあ、音楽を聴きましょうか。
O:じゃあ…続いて、柳沢真一(柳澤愼一)さんの…
H:うわー!(笑)
O:"イスタンブール"を(笑)
H:柳沢真一、知ってる人いるかな?(笑)
O:いるんじゃないですか…?
H:いや、僕ぐらいの[年代の]人は知ってるだろうけど。若い人は知らないよ。
O:今、87歳。
H:ご健在ですね。
O:ご健在で、浅草でまだ歌ってますよ。
H:ええー!よく知ってるね、そんなこと。
O:先月もやってて、10月も、たしか…浅草のHUBっていうパブで。
H:あのね、小学校のときに30分番組のコメディーがいっぱいあったのね。
O:はいはい。
H:その中によく出てたみたい。最初、コメディアンかと思って…
O:まぁ、コメディアン…そうですね。金語楼さん(柳家金語楼)とかエノケン(榎本健一)、ロッパ(古川緑波)とかから、かわいがられてて。
H:うん。そしたらあるとき歌い出して、ジャズを。良い声で。クルーナーなんだよね。
O:うんうん。柳沢さんも進駐軍のクラブを回ってて。
H:ああ、そうなんだね。そうか、ご健在なのうれしいな。ギャグを憶えてるんだよね。
O:お。
H:屋台じゃなくて…食べ物を売りに回ってるのね。
O:ええ。
H:「生あったかいゆで卵♪」とかね。
O:(笑)
H:「冷たぁいアイスクリーム」とか。食べ物の温度で声が変わるっていう(笑)
O:(笑)
H:そのギャグ憶えてるんだよなぁ(笑)
O:あれですよね、『奥さまは魔女(Bewitched)』のダーリン(Darrin Stephens)の吹き替えもそうですよね。
H:そうだそうだ。
O:それで一番知ってる人が多いかもしれないですね。聞き覚えがあるといえば。
H:そうだね。じゃあさっそく聴きましょう。なにを歌ってるんでしたっけ?
O:"イスタンブール"。
H:あ、そうだ。
イスタンブール - 柳沢真一
H:なんか、ちゃんとしてるよなぁ(笑)
O:(笑)そうそう、『メゾン・ド・ヒミコ』にも出てますね、柳沢さん。
H:…ちょっと待って(笑)あれ…?
O:老人ホームの中の…
H:そっか…なんだか、ボーッとやってたな…ちょっと気が付かなかったかな…そうだったんだ(笑)
O:そうなんですよ(笑)
H:いやぁ…現場は知らないしね。音楽はやったけど…
O:そうですよね(笑)
H:そうだったんだ…若い頃のイメージしかないんで、わかんなかったかも…ショック。なんで知ってんの?岡田くんは。
O:いやいや…(笑)
H:観てた?観てないよね?(笑)
O:当時は観てないです(笑)まぁ、戦後のこの辺のアメリカン・ポピュラーミュージックを日本語でやってるのを…
H:そうだよね。必ず出てくるよね。
O:そうですね。その辺、結構おもしろいなと思って。
H:なるほど。じゃあ、その流れでもう1曲どうぞ。そういう人いるでしょう。
O:じゃあ、池真理子さんの…
H:池真理子さんね。
O:"ボタンとリボン"を聴いてみましょう。
H:選曲がいいよね。
ボタンとリボン - 池真理子
H:いやー、おもしれぇ…なんか、エキゾチックだよね(笑)
O:(笑)
H:全然スウィングしないんだね(笑)
O:「バッテンボー(Buttons and Bows)」。
H:「バッテンボー」ですよね。これも小学校のときだからね。
O:「バッテンボーの歌」ですもんね(笑)
H:そうそうそう。なんでボタン&リボンが「バッテンボー」に聞こえるんだろうね(笑)
O:ボウ(Bow)ですからね。
H:そうだ。ボウだね。リボンじゃないんだ。小池真理子さん?
O:池真理子さんですね。
H:小池さんじゃなかった(笑)
O:(笑)
H:どんな人?ジャズ歌手じゃないでしょう、この人は。
O:僕ね、池真理子さんってあんまりよく…詳細知らずで。
H:そっか。発声がジャズじゃないもんね。
O:そうですね。
H:この頃よく…もっと前だけど、芸者さんがね。よく歌ってたよね。
O:そうですね。
H:赤坂小梅さんとかね。みんなこんな発声で。ブギウギ歌ってるんだよね、芸者さんが。
O:"三味線ブギウギ"とかね(笑)
H:そうそうそう(笑)で、「ンギウギ」って言うんだよね(笑)鼻濁音で。
O:(笑)
H:ちょっと気持ち悪い(笑)いやー、東京っぽいというかなんというかね…おもしろかった。
H:さて。これに対抗できるものはない。
O:(笑)
H:で、"Japanese Rumba"を見つけたんで。ちょっとめずらしいやつで…ん?もう時間?
(D:最後で…)
H:じゃあもう、これが最後の曲になりますが…ツイン・チューンズ(Twin Tunes)。どこの人か知りません(笑)
O:(笑)
Japanese Rumba - Twin Tunes