2020.11.08 Inter FM「Daisy Holiday!」より
H:細野晴臣です。今週のDaisy Holidayは、先月放送して好評だったナイツのお2人のゲストの回の続きがあるんで…それをお送りします。実はまだ放送してないところがいっぱいあったんです。お楽しみください。
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塙:じゃあこれは細野さんに…スピードワゴンの小沢さん(小沢一敬)が…
H:出た!
土屋:小沢さんちょいちょい出てきますね、きょう(笑)
塙:みんなに出してる…心理テストじゃないんですけど、みんなにただ訊いてることが…いいですか?
H:はい、どうぞ。
塙:これは僕が天才だと思う細野さんに聞きたいんですけど…将棋のね、藤井聡太さんがいるじゃないですか。
H:まぁ、あんまりよく知らないけどね。
塙:え!?
H:いや、知ってますよ、名前は(笑)
土屋:(笑)
塙:いま8段になって、17歳で…
土屋:2冠ですね。
*2020年11月現在、王位と棋聖の2タイトルを保持。
塙:で、なんかのインタビューのときに「もし将棋の神様がいるとしたらなにを一つお願いしますか?」って…藤井くんに訊いたときになんて答えたと思いますか?という。
土屋:あ、クイズなんだ。
塙:クイズっていうか、正解はあるんだけど…
土屋:もし自分ならどう答える、みたいな。
H:わっかんねぇなぁ…
土屋:(笑)
塙:わかんないですよね、それは(笑)
H:将棋…わっかんないっすよ(笑)
塙:[土屋は]なんて答えたっけ?前に俺が出したときに。憶えてない?
土屋:なんて答えたっけ?
塙:俺は…別にいいんですよ、なんでも。俺は単純に、めちゃくちゃ将棋強くしてくれるように…とか。
H:それはまぁ、そうだろうね。
土屋:そうだよね。あとは「神の一手を教えてください」とかね。
塙:そうそう。
H:なるほどね。あのね…ちょっと話がずれるけど、それで思い出したのが…ロバート・ジョンソン(Robert Johnson)というブルースギターの天才がいたんです。
塙:はい。
H:その人はギターがうまくなりたくて…四辻にいると悪魔が出てくるっていうんで"Cross Road"って曲を作ったんですけど。まぁ、日本でも四辻に道祖神が立ってたり。
土屋:道の…交差点に。
H:魔物が通るんですよ。そこにずっといてギターを弾いてて。そこに悪魔が来て、取引をしたんですって。ギターがうまくなるように。
塙:え?
土屋:悪魔と?
H:ええ。そしたらホントにうまくなって。
塙:(笑)
H:その後、悪魔の使いの犬に追われてノイローゼになっちゃったっていう…話が残ってますけどね(笑)
土屋:なんすかその話!(笑)
塙:とんでもないズレ方じゃないですか!(笑)
H:いやいやいや…(笑)でもおんなじですよ。
塙:そうですよね、そういうことですよね。
土屋:勝てるの?それに小沢さんは勝てるの?
塙:あ、これはもうね、細野さんの勝利です。
土屋:(笑)
H:(笑)
塙:いまだかつてこんな悪魔を出した人はいないです!
土屋:いないでしょ、悪魔との取引…
塙:これは初めてです。一応、藤井くんが言ったのは…「もし将棋の神様がいるなら、僕と一回対局してほしい」と。
H:なるほどね。すごいね、自信が。
土屋:すごい。
塙:17歳で。すごいなって思ったんですよね。
H:それはもう、ホントに自信があるんだね。
塙:自信ですね。
土屋:そうですよね。神と並びたい、というか。なんなら勝ちたいっていう気持ちですよね。
H:そうですよね。
塙:そっか。
H:神様は取引しないからね。
土屋:そうですよね。悪魔だから取引を…
塙:あ。すげぇ、それ…
土屋:細野さんがもし音楽の悪魔に出会ったら、どうするんですか?
H:ベースうまく…って、別に思わないしなぁ。
土屋:思わないですか(笑)
塙:もう出会って…取引してるんじゃないですか?(笑)
H:取引しちゃったのかな?(笑)
土屋:もう何十年前に取引してたんですか(笑)
H:そうかもしれない(笑)
塙:もう、そのときに記憶も消されちゃってるんじゃないですか?
H:あー、そうですよ。
土屋:それは取引で消されたんだ(笑)すごい話だなぁ…
H:あるかもね。
塙:あるかもしれないですね。でも、その人はホントにそうだって言ってるんですよね?
H:そうですね。誰が?
塙:そのギターの…
H:あ、もう忘れちゃってた…(笑)
土屋:(笑)
H:伝説として残ってますよ。で、"Cross Road"なんて曲はみんな好きですよ。エリック・クラプトン(Eric Clapton)もやってるし。
塙:へぇ…もう、そうじゃないと書けないような[曲]という感じですか?
H:そうですね。とにかくギターが異常にうまくなって。突然うまくなっちゃった。
土屋:普通の人が信じられないぐらいうまいから、悪魔と取引したっていう話に信憑性があるんですね。
H:そうなんですよ。伝説になっちゃった。
塙:おもしろい…
H:神様は冗談が通じない、って誰かが言ってて。悪魔は冗談が好きだ、って言ってたよ。
土屋:うわー、すごい。
H:なんか…どっちかっていうと悪魔といっしょに…(笑)
塙:のほうがね。
土屋:お笑いもやっぱり悪魔寄りですしね(笑)
塙:そうだね。
H:神様になっちゃうとね…拝んじゃうから。
土屋:そうですね、ふざけられないですもんね、神様だとね。
塙:そっか…たしかになぁ。
土屋:ずっとふざけてるっていうことはもう、悪魔の所業…(笑)
塙:もう、お笑いという魔物に憑りつかれてるみたいな。
H:魔物ですよ。芸とか音楽とかはもう、魔の世界ですよね。
土屋:そうか、すごいなぁ…
H:それをかわしながら…憑りつかれない、巻き込まれないようにしてく、っていうね。
土屋:うまくやってく…
塙:魔と戦っていく…自分[の中]にもある…
H:回してく感じね、うまく。
塙:いや、もう…「週末」どうでもいいですね(笑)
H:どうでもいいね!(笑)
土屋:(笑)
塙:週末どうでもいいというか、もうPOPEYEどうでもいいですね。
H:(笑)
土屋:いや、POPEYEどうでもいいっていうのはダメだろ(笑)
H:いやー、すごい深い話(笑)
塙:濃い話聞いたなぁ…
土屋:神様か悪魔かって話はすごいですね。
H:すごい(笑)そんな話になるとは思わなかった(笑)
塙:やっぱり対極みたいなことですけど表裏一体というか。
H:そうですよね。おんなじ体で顔が違うっていうね。神様は。
土屋:逆に、小沢さんに会ったときに言ってあげたほうがいいですよ、この話を。
H:(笑)
Cross Road Blues - Robert Johnson
塙:もう1個いいですか?時間…
H:どうぞ。
塙:桂子師匠(内海桂子)が亡くなったんですよ。それで師匠から…「言葉で絵を描きなさい」と。
H:えー、すごいねそれは。
塙:これは…40歳を過ぎてから少しずつですけど、なんとなくわかるようになってきたんですけど。「漫才は宇宙だ」って。それをね、すごい言うんですよ。
土屋:うん。
塙:「漫才は宇宙とおんなじで、あんた達も回ってるし」って言うんですけど。
H:おお…すごいなぁ。
塙:俺、やっぱり、いまだにわかんないんですよね。細野さんってわかりますか?なんとなく。「漫才は宇宙だ」って。
H:んー……いや、わかんない(笑)
土屋:(笑)
塙:細野さんは「音楽は宇宙」みたいな感じ…
H:まぁ「音楽は宇宙だ」って言えば、あー、なるほどね、とか思います。
塙:あ、そうですか!
H:じゃあ、おんなじことなのかもね。一つの道を極めようとしてるわけじゃないですか。
土屋:はいはい。
H:それはだから、おんなじことなんだろうな、って思いますよね。
土屋:「音楽が宇宙だ」というのはなんでわかるんですか?どこが共通してるところですか?
H:んー…ぜんぜん、ボーっとしててわからないです(笑)
土屋:(笑)
H:宇宙って言われると、そうでしょ?(笑)
塙:これですよ。無の境地ですから。そういうことじゃないんですよ。
土屋:理由を説明するっていうのとは違うんですね。
塙:そんなのはないんですよね、理由なんかは。
H:ないです(笑)
塙:流れるようにやってきたわけですからね。時代時代で、その都度やってきたってことですもんね。
土屋:そうか…
H:もっとね、身近なことに例えるなら…海だったらもっとわかるね。
塙:「音楽は海」?
土屋:はー…なんですかね、深いとか、広いとか?
H:もう、いろんなものが底に溜まってて。20世紀の文化がみんな底に溜まってる、みたいなね。
塙:はー…
土屋:なるほど、すごい古いものも全部底に?
H:そうそうそう。あるいは…音楽が特殊だと思ってるのは、地球の空気でしか音が鳴らないから。宇宙に行っちゃうと…
土屋:音がないんですね!宇宙ってね!
塙:これはすごい…すごい話だなぁ、これ!
土屋:すごい!
H:(笑)
塙:空気を利用して音を出してる?
H:そうそうそう。だから、宇宙人がそれを聴きに来るんじゃないかな、って。
土屋:地球にしかないものを!
塙:地球っていうのはなんなのか…音楽だ、と。
H:そう。
土屋:すごい…
塙:そっか、空気なんですね。じゃあもうこれ、必然的にお笑いだってなんだって、地球にしかない…
H:そうですよ。そうそうそう…
土屋:ですね。
H:地球っていうのはすごいんですよ。
塙:音が鳴らないっていうのはどういうことなんですか?
H:いやー、真空だと音が伝わらないし…空気の成分で音が変わっちゃいますから。窒素を吸って声が高くなるでしょ?
塙:あー、ヘリウムガスみたいな?
H:あ、ヘリウムだ(笑)窒素じゃない(笑)
土屋:(笑)
H:だから変わっちゃうんですよ、音が。成分でね。だから、ちょうどいい成分なんでしょうね。地球の空気が。
塙:じゃあなんか…「良い声」って言われてる人は、この地球の空気にちょうど合ってる響きみたいな…
H:まぁそうだろうね。いろいろあって…地球には独自の周波数がある、とかね。
塙:はー…
土屋:なるほど…
H:「シューマン共鳴(Schumann resonance)」って言う名前がついてるぐらい。
土屋:へぇ…
塙:共鳴。
H:共鳴する…なんかね、電離層と地球との間の周波数で、ずーっと音が鳴ってるんですよね。低周波。聞こえないんですよ、だから。
土屋:あ、聞こえないんですね。
H:すごい低い音なんで。
塙:それは、人間には聞こえないけど…
H:聞こえないけど、変換するとこんな感じ、っていうのはYouTubeによく出てますよ。
塙:あ、そうですか。
土屋:なるほどね…
H:その周波数が年々高くなってるんですよ、いま。
土屋:え、そうなんですか。
H:そうなんです。なんか、異変が起こってるっていう。
塙:それは動物とかが騒いだりしてるのもそういうことなんですか?
H:動物もそういうことはすごい敏感ですから。
土屋:自然環境に影響してるんですね。
H:たぶんね。まぁ、ぜんぜん解明されてないんでわかんないですけどね。
土屋:宇宙のことってずっと細野さん…興味があるんですね。
H:宇宙はおもしろい…
土屋:細野さんの六本木の展示も行ったら…まずもう、いきなりでっかい宇宙人みたいのが…(笑)
H:そうそう(笑)
土屋:やっぱり宇宙はずっと…そういう意味では興味持ってたんですね。
H:宇宙はすごいおもしろくてね…小学校のとき、SFの本が好きだったんですよ。ハヤカワミステリー文庫って言って、装丁がいいしね。ペーパーバックで。あの時代に流行ったんですよ、小学生に。僕もそういうのを集めて読んでて。
土屋:へぇー…
H:そういうのから、だんだん…物理学って変だなぁ、と思って。宇宙が膨張してるって初めて聞いたおきびっくりした。膨張してるの!?って(笑)
土屋:たしかに(笑)
塙:どういう概念だ?と、。
H:なんだかわかんないよ、と。それで物理学のわかりやすい本を読み出したりして。
塙:へぇー。
H:なるほどね、と思って。
土屋:わかるもんなんだ、やっぱり…
塙:膨張して、爆発することとかあるんですか?
H:それはね、いろんな説があって…膨張したまま拡散していってスカスカになっちゃうっていう説と、一回膨張が止まって収縮して逆転していく、とかね。
土屋:すごいですね…それはだって、誰も見てないことなのに、それを研究して…
H:そうそう。もちろん彼らは…物理学者たちは数学を使ってやってるんでしょうね。数学は僕はぜんっぜんダメなんで。
塙:あ、そうなんですか。
H:お金の勘定ができないんですよ(笑)
土屋:え?
塙:あ、数字とか苦手だから…もう、感覚とか?
H:苦手なんですよ。数字の持つ…なんか面白い感じは好きなんですよ。
土屋:あー…
H:例えば9という数字が…9+9はいくつですか?
塙:18。
H:18。1+8は?
土屋:あ、9ですね。
H:9が入った数字はそれをやるとぜんぶ9になっちゃう…
塙:はー…そうなんですか。
土屋:不思議ですね。
H:0と9だけ特殊なの。
2人:へー。
H:だから、数字って魔物ですよ。
塙:はー…
土屋:そんなことは知ってるのに、お金の計算はできないんですか?
H:できないんです(笑)
土屋:(笑)
塙:もう、脳みそがぜんぜん違う…
土屋:すごいなぁ…
H:左脳がイカれてるんですかね、僕はね。
塙:いやいやいや、なんとも言えないですけど、まぁ…イカれてることは間違いないでしょう。
2人:(笑)
塙:常人ではないでしょうね。
土屋:でも、脳みそを研究してる人が…ホントに細野さんが計算できないかはわかんないけど…言語を知らない人はなにかの才能はめちゃくちゃ長けてたりとか…
H:あ、そういうのはあるかもね。
土屋:そういう研究はされてるみたいですよね。ひょっとしたら計算ができない分が音楽に入ってたりとか…
塙:そうかもしれないですね。
H:そうね、人それぞれいろんな才能があるんでしょうね。それが障碍だったりもするんですよね。
塙:うんうん。
H:それがプラスに行くとすごい才能になるっていうね。だから歴代のアーティストはみんなそういう障碍があるって言われている…
塙:やっぱり、なにかが秀でているし、その分なにかがちょっとアレだ、っていうね。
H:そうですよね。うんうん。だからお2人もきっと、なにかが…(笑)
塙:僕はもう、確実に運動神経がないですから。
土屋:そうだ、出てますね(笑)
H:…それ!(笑)あの番組観るの大好き(笑)
2人:(笑)
土屋:「運動神経悪い芸人」ね。毎年やってますもんね。
H:あれがいちばんおもしろいね。
塙:そうですよね。結局、いろんな番組出て、あれだけ漫才・ネタがんばっても、うちの奥さんと子どもはあれがいちばんおもしろいって言うんですよ。
H:やっぱり?そうなんですよ。
土屋:細野さんがそれがいちばん好きって言ってるのもすごくない?
塙:あれに勝てないって言うんですもん。
H:だって、わざとじゃないからね。
土屋:そうですね。
塙:そうか、あれこそがフリートークみたいな…ことなんですね。
H:そうですそうです。
土屋:偶然の産物で。
土屋:そうですね、一切しゃべらなくてもおもしろいですからね(笑)
塙:そうか、ただ走ってるだけでもおもしろいという…
H:いや、ほんっとにおもしろいや(笑)ホントに運動神経ないんですね?
塙:ないんですよ。で、今度また「踊れない」やつもやるんで…
H:あー、踊れない、あれも…(笑)
土屋:(笑)
塙:もう、ぜんっぜん踊れないんで…
H:なんでだろう、リズム感よさそうですけどね。
塙:やっぱり手と脚の動きが…いっしょにやるとできなくなっちゃう。
H:あー、そうなんだね。
土屋:やっぱり運動神経につながってるんですね、そこは。
塙:ぜんぜんできない。
/
— アメトーーク!(テレビ朝日公式) (@ame__talk) May 23, 2020
アメトーーク3時間SPは…
26日火曜よる7時から!
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木曜じゃないよ、火曜だよ😁
①運動神経悪い芸人大賞
②勉強大好き芸人#アメトーーク#ヒザ神#水神さま#ガチ中のガチ pic.twitter.com/BC5CEnegWP
/
— アメトーーク!(テレビ朝日公式) (@ame__talk) October 5, 2020
今夜の #アメトーーク! は
踊りたくない芸人&鉄道3時間SP✨
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🌈 #踊りたくない芸人 ▽ジュニア&大悟&陣内…成長をチェック▽運動神経悪い芸人も参戦▽NiziUダンス▽嵐メドレー?
🚅 #鉄道ファンクラブ ▽礼二&良純▽木村文乃も感激#よる6:45から pic.twitter.com/rhYDU9jwhw
H:あの番組に出るのはどんな気持ちなんですか?楽しいわけじゃないでしょ?楽しいの?
塙:あのー…楽しくないですね(小声)
2人:(笑)
塙:で、あれはアメトーークの人気コーナーでして。
H:すごい人気あるよね。
塙:11年ぐらいやってるんですよ。
H:そんなに(笑)
塙:で、スタッフに…大きな声じゃ言えないですけど、もうそれただのジジイだからだろ、っていうところが…
2人:(笑)
H:たぶん、街を歩いてる42歳のやつにいきなり110mハードルやれとか言ってもできないと思うんですよね。
H:それはそうだね(笑)
土屋:でも、ただ遅いだけじゃ笑えないですから。
H:そうなんですよ。
土屋:それはやっぱりすごいんです。才能なんです、それは(笑)
塙:あ、そうですか。うれしいのかな…
H:ボールを扱ったりとかも、ホントにあれは…僕でさえできるからね(笑)
土屋:(笑)
塙:(苦笑)
H:やっぱそうなのよ、年齢じゃないのよ、やっぱり(笑)
塙:「ファミリーヒストリー」に出たんですよ、この前。
H:知ってますよ、見ました。
土屋:あ、ホントですか!ありがとうございます。
塙:そのときに、93歳の親戚のおばちゃんも運動神経悪いってすごい怒ってました。
H:(笑)
土屋:「お母さんは運動神経良いのに」って。
H:あ、そうなんだ。
土屋:「ナイツのあれはダメだろう」とかって言ってね(笑)
H:なんだろうね、やっぱり遺伝なのかね。
塙:遺伝なんですかね…だから、ホントにまだお笑いがあってよかったなと思いますよ。 なんにもなかったですから、それ以外は。できることが。
H:そうかそうか(笑)いやー、おんなじです。僕も。
塙:ホントですか?運動神経は細野さん、ありそうですけど。
H:いや、僕スポーツ苦手なんですけど、運動神経はあるほうなんですよ。
塙:あ、そうなんですか。
土屋:音楽をやってたから、スポーツはやってこなかった、っていう…
H:そういう、集団のプレーが嫌いなんですよね。
土屋:あ、そっか。チームワークとか…
H:チームワークとれないです(笑)
土屋:チームプレーができないんですね?(笑)
H:だから、キャッチボールは好きなんですよ。よくお父さんとね、やらされて…
塙:ふたりでね、やるのは好きだけど…
H:そうそうそう。だから、忍者系なんですよ。忍者っぽいのが好き。
土屋:忍者っぽいのが好き…?(笑)
塙:わかんないけど…(笑)団体でエイエイオー!みたいのはあんまり…
H:ダメなんです。
塙:ダメなんですね。
土屋:たしかに、ぜんぜん画が浮かばないですね。細野さんがチームプレーで声出してるの…
H:まぁ、いろんな理由があるんですけどね。日曜日に野球中継があって…日曜日かどうかはわかんないや。20時ぐらいからやるんですよ。ゴールデンタイムにね。
土屋:そうですね。
H:シーズンになるとね。父親が大好きだから、野球。僕も野球に引っ張り込もうとして諦めたんですけどね。その番組…巨人戦とか食い入るように観てるんですけど、雨が降ると無くなって…「ペリー・コモ・ショー」とか、「ディズニーランド」っていう番組…
塙:あ、そういう番組があったんですか。
土屋:へぇ…
H:それがね、楽しいから…雨降ってくれないかな、とかね。
土屋:(笑)
塙:あ、そうですか。
H:それで野球にあんまり親近感が持てなくなっちゃった。
土屋:なるほどなるほど…
H:でも、お2人は野球好きですよね。
塙:まぁ、特に僕…
H:野球ネタ多いですもんね。
土屋:不思議ですね、運動神経ないのに野球は好き。
H:(笑)
塙:いや、それはでも運動神経ないから好きなのよ。
土屋:あ、自分ができないからね。
塙:やっぱり夢を見させてもらえるというか。ホントに僕…つい最近まで、自分が東京ドームのマウンドに立って160km/hを投げる夢とか見るんですよ。
H:(笑)
土屋:こわいこわい、もうこわいよ(笑)
塙:ヤバくないですか?
H:ホントに夢だね(笑)
塙:夢なんですよ。できればやりたいんですもん。だけどできないことをやってくれてるから、お金払ってでも観たいという…
土屋:よりプロのすごさを…価値がわかるんですね。
H:そっかそっか、なるほど。
塙:自分の代わりにこの人たちがやってくれてる、って思うんですよね。それは相撲とかも…あんなに太れないし、あんなにぶつけられないし…(笑)
H:(笑)
塙:そう思うと、やっぱり好きになっちゃうんですよね。
H:なるほどね。
SPORTS MEN - Harry Hosono & The World Shyness
(from『FLYING SAUCER 1947』)
H:あのー…ちょっと話変わっちゃうけど、そういう点で、同業の芸を観に行くとかあるんですか?
土屋:あー…漫才とかですよね。
塙:やっぱり観に行くときもありますけど、M-1グランプリのホームページとかに…予選の1位2位3位とかが毎日アップされてて。ぜんぶ観ちゃってますね。
H:あー、そっか。
塙:しかも2分だから、1組。観やすいんですよ。だからずーっと見てますよ、暇だったら。
土屋:そうっすね。初めて見る芸人とかが一緒のライヴに出てると[舞台]袖に行って観たりとか、好きですね。
塙:けっこう好きですね、観るのは。
H:やっぱり「あ、この人たちは…」って憧れたりとかはあるんですか?野球と同じように。落語なんかはそうじゃないですか?
塙:はいはいはい…あ、ありますよ。子どもの頃はテレビに出てる人に憧れてましたけど。いまは漫才やってるので…やっぱり漫才師としてすごいな、って思う芸人は結構いますね。
H:見方がぜんぜん違うでしょうね。
土屋:そうですね。
塙:あのー、あした順子・ひろし師匠って…
H:大好きだった。
塙:僕も大好きだったんですよ。だから、いちばん影響受けたんですよ、僕ら。
H:いい影響だ…(笑)
土屋:(笑)
塙:自己紹介であのローテーションでずっとやっていくっていうのがなかなか衝撃で…
H:すごいですよね。あれね。
塙:だから僕らも基本的には自己紹介のネタも、言い間違いをやるのも、順子・ひろし師匠へのインスパイアであれをやってる…
H:なるほど。んー。
塙:ぜったい知ってますもんね。
H:残念。見れないからね、もう。
塙:おもしろかったですよね。
H:あの踊りが好きで…
土屋:♪男はあなたひろし~ですよね(笑)
H:そうです(笑)
土屋:ゴキブリが悶えてんじゃないんだから、っていう(笑)
H:(笑)あの女性すごいわ…
土屋:そうですよね…
塙:結構、影響受けましたからね。
土屋:ああいう歳の取り方したいですね。
H:いいですね。楽しみだな。やっぱり年配たちの芸が好きですよ、僕は。
土屋:うんうん。
H:音楽もね、若い世代だけじゃなくて年寄りの芸もいいですよね。
塙:もちろんもちろん。
土屋:そうですよね。
塙:もう、現役ですもんね。ずっとね。
H:そうなんですよ。
H:…あ、これでもう大丈夫?じゃあもう時間が…では、長い時間おしゃべり頂いて本当に楽しかったです。ナイツのお2人でした。
2人:ありがとうございました!
2020.11.01 Inter FM「Daisy Holiday!」より
手作りデイジー🌼#13
(以下、すべてH:)
こんばんは、細野晴臣です。みなさんお元気ですか?いやー、もう、僕はなんかね…暇なはずだったんですけど結構忙しいですね。締め切りに追われてたりして。きょうの選曲にその影響が出てるかもしれないですけど…しかし、だいぶ経ちますけど…街はまだまだ、マスクの人が多いですよね。
さて、とあるサイトで見たんですけど、フリート・フォクシーズ(Fleet Foxes)のメンバーが興味深いことを語ってました。こういう時期にですね、みなさん…音楽を制作している現場が混乱するかと思ってたら、そうでもなく。もうちょっと精神的にピュアになって「リセット」として捉えている、と。なにか大事な時期を過ごしているんだなぁ、と思わせるような発言をしていてとてもおもしろかったんですけど。
そんなわけできょうは思いつくままに…いつもと同じですね。まず1曲目、レオ・ダイアモンド楽団(Leo Diamond & his Orchestra)で"Three Coins in the Fountain"。
Three Coins in the Fountain - Leo Diamond & his Orchestra
(from『Subliminal Sounds』)
ロサンジェルス出身のマテオ・ストーンマン(Mateo Stoneman)という…この方はすごく変わってますね。窃盗の罪で刑務所に入ってて、そこでキューバ音楽に出会い、キューバまで行ってレコーディングしたりしてる。その後、2013年に出したこのヴィンテージ風アルバムがとても良くて。その中から、"The Very Thought Of You"。
The Very Thought Of You - Mateo Stoneman
(from『Subliminal Sounds』)
「心を落ち着かせるための音楽」をテーマにしているオランダのグループ、ウィール・メイキット・ライト(We'll Make It Right)。2009年のホーム・レコーディングから、"Some Say"。
Some Say - We'll Make It Right
(from『In A Cabin With』)
次に紹介するのはとてもユニークな女性シンガーで、センティ・トイ(Senti Toy)。センティ・トイというのは名前なんです。出身はインド東部のナーガランド州というところで…なんとそこは首狩り族がいっぱいいたところなんですね。センティ・トイのひいおじいさんかな?は、実際に首を狩ってたって言うんですけどビックリしますね(笑)このアルバムを僕は2006年に手に入れてずーっと聴いてたんですけど、初めてラジオでかけます。ちなみにセンティ・トイのお父さんは日本にいて東芝に勤めてたんです。ですから、「Toshiba」が訛って「Toy」になったという…非常に日本にゆかりのある東洋系の女性シンガー。センティ・トイで"Say A Word"。
Say A Word - Senti Toy
(from『How Many Stories Do You Read On My Face』)
えー、次はノルウェー出身のハンネ・ヒュッケルバーグ(Hanne Hukkelberg)という…2004年に出したアルバム『Little Things』。これを初めて聴いたとき、僕はベテランの女性ブルース・シンガーかと思っちゃったんですけど…その後来日して、なんとまあ、女学生のような可憐な人でしたね。では、ハンネ・ヒュッケルバーグで、"Displaced"。
Displaced - Hanne Hukkelberg
(from『Little Things』)
ザ・ブックス(The Books)をきょうもかけたいな、と思ってました。そのタイトルは"Tokyo"という曲です。
Tokyo - The Books
(from『The Lemon of Pink』)
冒頭の話の続きをしたいと思うんですけど。多くの人にも言えるんでしょうけど、去年ぐらいまでは外に向かっていた意識が、内に向かってくる時期を迎えていると思うんですよね。そういう、自然を含めた環境を意識したりする音楽も増えてます。アンビエントの「隣人」と言ってもいいですよね。
さぁ、ところで朗報があります。高橋幸宏、ずっと入院してたんですけど…あの、コロナとは全然無関係なんですけどね。この度、めでたく退院して。本当によかったなと思います。で、スケッチショウをかけたいと思いますが…この曲でいいかどうかはわかんないんですけど、スケッチショウで"Turn Down Day"。
Turn Down Day - Sketch Show
(from『Audio Sponge』)
https://www.youtube.com/watch?v=5nzRC7jnDQ0
きょうの最後はパリス・シスターズ(The Paris Sisters)で"I Love How You Love Me"。
"I Love How You Love Me - THe Paris Sisters
2020.10.25 Inter FM「Daisy Holiday!」より
H:こんばんは。細野晴臣です。えー、ナイツが2週続いた後に、ガラッと変わってですね…原田知世さん。いらっしゃい!
知世:どうも、こんばんは。よろしくお願いします。
H:ひさしぶりですね。
知世:えっと、去年の10月…細野さんのイベントでトークをさせて頂いてから…
H:そうか、そうだよね。あれ…ついこないだだ(笑)
知世:そうです。あれからお会いしてなかったんですね。
H:誰にもね、会えなくなっちゃったからね。
知世:そうですよね。はい。
H:そうか。まぁでも、この間にアルバムを作ってたんですね。
知世:そうです。細野さん、この度はありがとうございました。もう、夢が一つ叶いました。
H:いえいえ…楽しかった。曲が楽しかったし。
知世:あー、うれしい。そのときも細野さん、別々だったから。お会いしなかったので。
H:そう、会わずにね。リモート。
知世:どうだったかな…って。私たちはもう大感激で。ホントに素敵だったので私もとってもうれしくて。
H:よかった。
知世:それ以来ですもんね。ぜんぜん会ってなかったから…きょうはうれしいです、お会いできて。
H:レコーディングはいつ頃やってたんですか?
知世:えーとね、ちょうど自粛に入る…本当はあの時期だったんですけど、少し遅らせて。それで自粛期間中はゴローさん(伊藤ゴロー)と…
H:うん。
知世:ゴローさんが歌える程度の音源を送ってくれて。で、私はiPhoneで…ヘッドフォンで音を聞いて歌って。それを戻して。
H:あ、ホント?
知世:そういうやり取りをして過ごして。で、[自粛期間が]明けてすぐスタジオに入りました。ベーシックを録り始めて。ほかのミュージシャンの方ともすごくひさしぶりに…ようやく会えた、って感じで。
H:そっか。それは8月ぐらいかな?
知世:いや、もっと前です!
H:もっと前か。
知世:レコーディング自体はもう少し…6月ですね。
H:じゃあ、けっこうまだ世の中がコロナっぽい時代に…(笑)
知世:そう、みんなドキドキしながら…私もすごい、シュッシュッ[消毒]いろいろやりながら、マスクして…でも、うれしかったですね。
H:やっぱり…音楽やってる人はそれがいちばんいいよね。なんか落ち着くっていうか。
知世:そうですね。ちょうど私、芝居のほうのお仕事がない期間だったので。
H:そういえばそうだね。
知世:だから本当に…なんて言うのかな、音楽ってわりと少人数じゃないですか。なのでまだできたけど…
H:そうだよね。テレビのドラマとか、ちょっと大変だったもんね。
知世:ぜんぶ止まって…
H:ですよね。
知世:で、私の知ってる俳優さんたちも、ものすごく忙しい人たちがみんな休みになってる状態に…もう、ホント驚きました。
H:急にね。なにしていいかわからないだろうね(笑)
知世:うん。世界中だったんで…ホントに。ビックリしました。
H:でも知世ちゃんは…普段からそんな感じでしょ?なんて言うかな…(笑)
知世:そうなんですよ(笑)私、あんまり出かけなくて…おうちすごい大好きで。ちょこちょこ出かけないタイプだったのでそんなに苦ではなくて。
H:うんうん。
知世:周りのミュージシャンの方もみんな似たようなタイプの人ばっかりで…(笑)むしろ元気でしたね。やっぱり人に会うと…微妙にエネルギーも使ってるでしょう。
H:そうだよ。
知世:だから会わなかった時間に「なんて楽なんだろう」って思った、という方が多くて。
H:そっか。2つに分かれてるね。鬱になっちゃう人と…
知世:そうですね。わりと私の周りの人はそういうタイプが多かったので(笑)
H:それはいいよね。僕が知ってる限り…女性で、閉じこもってる間に鬱になっちゃってる、っていう人がね。多くて。
知世:あの…家族と居ればなにかしら家の中で会話ができるけど、一人で住んでたりすると…
H:たった一人だとね。
知世:友達と会えないから…それはちょっとわかるような気もしますね。
H:ね。大学生とか、新入生…みんな、なんかね。
知世:うん。東京出てきてすぐとか…
H:お友達できないで…
知世:そうですよね。孤独だったろう…で、田舎にも帰れないようなね、状況で…
H:そうそう。きついだろうな、と想像したんですけど。
知世:細野さんはどうやって過ごしてましたか?
H:僕?僕はね…あんまりやっぱり、変わらない(笑)
知世:(笑)
H:閉じこもってるわけじゃなくて、しょっちゅうパトロールに出かけてたね(笑)
知世:えー、どの辺りを?ご近所?
H:うろちょろうろちょろ…車でね。
知世:あー、そうでしたか。
H:街はどんな感じかな…とかね。
知世:うんうんうん。ホントにお正月みたいなときがあったんですよ!
H:静かだったねぇ…
知世:静かでビックリしました。
H:その後、徐々に車も人も増えてき…そういうのをぜんぶ肌で感じてたんで。だいたい、ごはんも外で食べちゃうしね。
知世:どうしてたんですか?
H:あのね、一番きついときは…店閉まってるし。
知世:そうでしたね。
H:テイクアウトがね、お店の前に並んでるんだよね。お弁当みたいに。
知世:うんうん、ありますね。
H:で、めずらしい店がテイクアウトしだしたり。
知世:そうなんですよ!それは…
H:チャンスだ、と思って(笑)
知世:私もチャンスと思って買いに行ったりしてました(笑)
H:やっぱり?
知世:行かないと食べれないものが持って帰ってこれるんだ!みたいな(笑)
H:そうそう(笑)それは今後もずっと続けてほしいけどね。
知世:うん、私もそう思います(笑)
H:えー、音楽…そう、出たばっかりです。10/14に出た『恋愛小説3』。
知世:もう3作目になりました。
H:1,2と出て…もう、なんだろう、歌手ですよね。
知世:…はい(笑)
H:で…"A面で恋をして"、やってるんだね。
知世:はい、やりました。
H:大瀧くんの。んー。これ、選曲はどうやって決めたんですか?
知世:これはユニバーサルのディレクターの方と、ゴローさんと私と3人で…一応、今回は1970年代から90年代ぐらいの、ソングライターの方の曲をやりましょう、ということで。
H:なるほどね。
知世:で、その辺りの曲をそれぞれ出し合って。それでゴローさんに…アレンジの面でどうなのか?っていう。
H:うん。
知世:やりたい、とか、これはやめとこう、とか。それでいろいろ選んでますね。はい。
H:で…やっぱり一押しだね、これは。"A面で恋をして"。聴かしてもらっていいですか?
知世:はい、どうぞ。
A面で恋をして - 原田知世
(from『恋愛小説3 ~You & Me』)
H:いやー、すごいすごい。もう、のっけからナイアガラサウンドになってた(笑)
知世:(笑)
H:これはもう、大瀧くんに聴いてほしいなぁ、と思うけどね。ゴローくんのアレンジもいいね。これぜんぶ生でしょ?
知世:はい。
H:うらやましいね(笑)豪華。うん。
知世:ね、ホントに。
H:あの、♪エイッ、エエイッ、って歌ってたね、最後。
知世:♪ア、ヘイ、ア、ヘイ…っていう…そこにはちょっとこだわりを持って(笑)あれはどうしてもやらなければならない、と…(笑)
H:そうだね(笑)
知世:息と声が…あれ、すごく耳に残ってますよね。
H:あれはね…元はバディ・ホリー(Budd Holly)っていう人がやってたね。
知世:あー、そうですか。私、だからそこは練習して…
H:練習したんだ(笑)
知世:そう、なかなかけっこう難しくて…(笑)
H:あそこが出てきて、あっ、いいな、と思って(笑)
知世:ありがとうございます(笑)この曲って元々ナイアガラ・トライアングル…3人で歌ってらっしゃるじゃないですか。
H:そうだね。
知世:だから、1人で歌わなければならなかったので…ちょっと、いろいろ悩みましたね、歌い方とか。
H:うん。
知世:普通の…自分の歌いやすい歌い方でやると流れてしまって。印象に残らなくて。大瀧さんの…なんて言うのかな、すごく耳に残る、いろんなアクセントが…
H:はいはい…
知世:そういうのを自粛中にいろいろ…(笑)今回は時間があったので。
H:なるほど(笑)じっくりやったわけだね。
知世:はい、研究して。これがいちばん歌…何回かやりましたね。
H:へぇ。すんなり聞こえるけどね。
知世:試行錯誤しました(笑)
H:いやー…ゴローくんって不思議な人だ。こんなアレンジもやるんだね。んー。
知世:ゴローさんもこれはいろいろやらないで、本当に忠実に…もう、完成されてる曲なので。すべてが。
H:なるほどね。
知世:だからあまり手を入れないで、正面から…前からこの曲はいつかやろう、って話はしてたんですけど。「ああ、とうとうやる時が来たか…」って仰ってて(笑)
H:そうかそうか(笑)
H:他にもね…動画が出たでしょ。"A Doodlin' Song"。
知世:はい。
H:すごく評判がいいですね。かわいい、って(笑)
知世:かわいいですよね。あれはもう、私も大好きで…
H:じゃあ、それを聴いちゃおうかな(笑)
知世:(笑)
A Doodlin' Song (Duet with 細野晴臣) - 原田知世
(from『恋愛小説3 ~You & Me』)
H:いやー、音良いな(笑)
知世:(笑)
H:これね、あの時期は暗かったんですよね、世の中ね。いまもちょっと暗いけどね。
知世:うん。
H:パーッとなんか…光が射すような曲ですよね。
知世:私…この曲はディレクターの方が選んでくださって。「細野さんがぜったい良い」ってみんなで…(笑)
H:あ、ホント?(笑)
知世:元の曲を聴いたとき、もう全員が細野さんが既に聞こえていて(笑)
H:(笑)
知世:細野さん以外にない!って思って。いつかご一緒したいとは思ってたんですけど、これだったらストレートにお願いできる、と思って。
H:もうすんなり受けて、すんなり歌って…(笑)苦労しなかったなぁ、これは。
知世:あー、よかったです。
H:楽しかった、だから。うん。
知世:これもやっぱり、歌…英語がけっこう難しくて、私。
H:難しいよね、これは。
知世:言葉が詰まってるし…なので、これもすごい練習しました(笑)で、なんか…小粋な部分っていうのがね、うまく出せますように…と思って。
H:うん。
知世:でもやっぱり、発音のこともすごく気になったりして。
H:わかるわかる。発音を気にしながら歌うって難しいよね。
知世:難しいですよね。で、それも出したいし…いろんな課題がいっぱいあったんですけど、細野さんが歌ってくださったのでぜんぶオッケーになりました。
H:いやいや…(笑)
知世:自分の気になる部分がぜーんぶ…なんか、声に包まれてる感じがして。すごく最高ですね。最後の「All through?」っていう…
H:(笑)
知世:あそこの声とかも…鳥肌が立ちました(笑)すごいセクシーな、すごい素敵な声!
H:ただ低いだけなんで…(笑)
知世:いやー…もう、本当にすばらしい声だなって思いました。
H:よかった…
知世:でもよかったです。細野さんも気に入ってくださってた。この仕上がりを。
H:自分では発想がないというか…頼まれて、あ、こんな曲があるんだ、と思ってね。
知世:あ、そうですか。
H:どっかで聞いてるんだけど。
知世:きっとそうですよね。
H:すごい、歌ってて楽しい曲だなぁ、と思って。
知世:ええ、楽しいですね。なんか、いつかライヴとかで…
H:ぜひ!
知世:ご一緒してみたい…って思ってます。
H:1曲でよければ…(笑)
知世:もう、ぜひ…1曲で充分しあわせです。ぜひいつか…
H:一緒に歌ったことって…?
知世:ライヴで昔…一度だけなんですよ。
H:一度あったね!あれはなんの曲だっけな。"冬越え"だったか…"ファム・ファタール"か。
知世:そうです。そのライブ1回だけだったから…
H:1回だけだったね。そうだそうだ。
知世:だから、またぜひご一緒したいなと思って…それまでまた練習しておきます、これ(笑)もっと滑らかに…小粋に歌えるように(笑)
H:それはおんなじ、僕も。練習しないと…(笑)
知世:大丈夫です(笑)細野さんはそのままで…
H:ライヴの予定はなんかあったの?
知世:えーと、通常は…アルバム出してしばらくしてのツアーは必ずやってきたんですけど…
H:ですよね。
知世:なんとなく、ちょっとできないかな、って。
H:ちょっと無理があるかもね。うん。
知世:はい。なので…ちょっと時間をおいて、みんなが安心して来れる状況ができてからでもいいだろう、と思って。
H:それがいいね。おんなじ考えだ、僕も。
知世:ね。
H:今年はホントはいろいろあったんだけどね、僕も。
知世:そうですよね。ありましたよね。でも、どこにも行けないというのは、ちょっと…
H:それだよ。つらい。
知世:「大丈夫なところ」が地球の中でなくなった瞬間に…ちょっともう、愕然としました。
H:そう。これはもう前代未聞というか、歴史的な出来事だね。ホントに地球上…南極・北極ぐらいかな、ないのは(笑)
知世:人がいるところはどこも…でしたもんね。いやー、自分の人生の中でこういうことがあるとは思ってなかったので。
H:ね、みんなそう思うよ。僕もそう思う。まぁ、いい経験かもしれないですね。
知世:うーん…
H:えー…音楽の話に戻って(笑)
知世:(笑)
H:『恋愛小説3』、10/14発売…
知世:今回は…そう、一応テーマの中に「デュエット」っていうのも初めて入れたんですね。だから細野さんを始め大貫妙子さん、小山田圭吾さん…
H:みんな歌ってるんだね。
知世:そうなんです。で、土岐麻子さん。4人の方に参加頂いてて。
H:なるほど。そっか。
知世:小山田さんと細野さんはご自身のスタジオで歌ってくださった声を頂いて、ミックスしたんですけど。
H:はい。
知世:大貫さんと土岐さんは私がやってるスタジオに…
H:来てくれた?
知世:来てくださって。なかなか自分の歌入れ以外、他のアーティストの方の歌入れって見たことがなかったから。
H:なかなか見れないね。
知世:見れないでしょう?すごい楽しかったです。
H:へぇ…
知世:大貫さんはちゃんとご自身のマイクを持ってきてくださって。
H:それはなんか、有名だね。
知世:ホントに「大貫妙子さんの声だ…」ってもう、それだけで…(笑)マイク通して歌われた瞬間にみんなで感激して。すごく丁寧に…
H:どっかしらで感触が…知世ちゃんとター坊はなんか共通点があるね。
知世:誕生日が一緒です。
H:えー!そうなんだ。
知世:そうなんです(笑)だから最初から…十代のときにお会いしたときからものすごく親近感も。そこで運命的なものを感じて。
H:うんうん。
知世:やっぱり今まで、今もずーっとつながっていられた唯一の…うれしいお相手なので。
H:なるほどね。
知世:すごくご縁を感じてますね。
H:お会いしたりはしてたの?
知世:えーと…ライヴに去年も呼んで頂いたりして。お食事したこともあったり。大貫さん、すごい大好きなので…
H:歌はでも、初めて?一緒に。
知世:初めてです。
H:それ聴いていいですかね。
知世:ぜひ!
H:聴きます。えーと、"新しいシャツ"。
知世:じゃなくて…(笑)
H:違うの?
知世:それは私ひとりで歌っちゃったんですけど…"ベジタブル"です。
H:あ、"ベジタブル"のほうか。
(from『恋愛小説3 ~You & Me』)
H:へぇ…シスターズだね。
知世:うれしいです(笑)
H:よく聴いてるともちろん、ター坊が歌ってる、知世ちゃんが歌ってる、ってわかるけど。
知世:うんうん。
H:さーっと聴いてると…なんだろう、似てるっていうかね。うん。
知世:ホントですか!うれしい。私、大貫さんが途中から出てきた瞬間に…女神が上からフワァーって降りてきたような…
H:(笑)
知世:声の最初の、始まりの出…もうなんかちょっと、感激したんですよね。聴いててもそうだし、出来上がったのを聴いても毎回そう思うんですよね。
H:なるほど。
知世:独特の入り方、言葉の置き方、タイミング…すごい勉強になります。すばらしいなぁ、と思ってます。
H:ター坊は…ター坊って言っちゃうんだけど、つい(笑)どんなお話したの?そのとき。
知世:いや、なんかもう…ざっくばらんな感じ。「これでいいかしら?」とか…いつもの感じで。曲のイメージとは違うじゃないですか(笑)
H:そうなんだよ(笑)サラッとしてて…
知世:べらんめえ調みたいな…(笑)で、歌い出した瞬間に大貫さんワールドに。ガラッと空気が変わるというか。
H:そうですね。
知世:そこにまた…で、そのギャップ?
H:そうだね、ギャップあるね(笑)
知世:普段はすごい話もおもしろいし、一緒にいて楽しい方なので。
H:いつも作詞するときはハチマキしてるとかって言ってたけどね。冗談だろうけど(笑)
知世:(笑)
H:あと、小山田くんのは…まぁ、アルバムを手に入れて聴いてください(笑)
知世:はい。
H:聴きたいけどね。ぜんぶかけちゃうことになっちゃうから(笑)
知世:(笑)
H:あ、"ユー・メイ・ドリーム"もやってくれてね…
知世:はい、やらせて頂きました。
H:んー、これも後で聴こうっと…そんな感じかな?ちょうど時間となりました。
知世:あー、あっという間だった。今回も…
H:また…
(スマホ:(振動))
H:あれ?ちょっと待って…なんだ、電話だ(笑)
知世:(笑)
H:えー、そうだね、ライヴのときにまた会いましょう、ということですね。
知世:そうですね、ぜひ。楽しみに待ってます。
H:あと、最近…ジョン・レノンとヨーコさんの「DOUBLE FANTASY」[展示]。
知世:はい。
H:こないだ内覧会っていうやつに行ってきて…知世ちゃんいるかな?と思ったけど、いなかった(笑)
知世:そうなんです。ちょうどプロモーション中で…誘って頂いたんだけど行けなくて。まだ、これから始まったから。
H:ずーっとやってますよ、1月ぐらいまで。
知世:まだやってるから、ゆっくりひとりで行こうかな、と思ってます。
H:みなさんもぜひ、行ってください。
知世:ぜひ。
H:というわけで、原田知世さんに来て頂きました。どうもありがとう。
知世:ありがとうございました。
H:またね。
知世:はい。
2020.10.18 Inter FM「Daisy Holiday!」より
H:細野晴臣です。今週も先週に続き、9月の中旬に行ったナイツとの鼎談の模様をお送りします。ぜひ、お楽しみください。
~~~~~~~~~~~~~~
塙:あのー、最近の…たとえば[瑛人の]"香水"とか、米津玄師とかいらっしゃるじゃないですか、いっぱい。
H:うん。
塙:あんまり聴かないんですか?ああいう人たちっていうのは。
H:真剣には聴かないんですけどね(笑)ああいう人たちは…世代が違うし、ぜんぜん関係ないんですよ。僕には。僕の音楽とはぜんぜん関係ない。
土屋:あー…
塙:なるほどね。
土屋:逆に、芸人のほうがそういう目で見てる感じですよね(笑)
H:そうですね。
土屋:やっぱり、流行ったものをね…
H:だから、わりと今の時代に生き生きしてる人たちだと思うんですよね。こっちはもう年寄りで、半隠居ですから(笑)
土屋:半隠居って(笑)
H:いや、ホントにそうなんですよ(笑)
塙:でもそうか、音楽で言う「第7世代」みたいな人たちもね、いるっていうことですよね。
H:「第7世代」ですよ。そうそう。だから僕なんかは第2世代ぐらいですよ。
塙:あ、第2ですか!
H:第1はね、かまやつさん(ムッシュかまやつ)とか。
2人:あー!
H:まぁ、歌謡界は別としてね。親しみのある音楽としてはミッキー・カーチスさんとか。かまやつさんとか。ああいう「ミュージシャン」っぽい人ね。
土屋:そういう意味では、音楽の「世代」とかの話ってなかなか…
H:きょう初めてするなぁ(笑)
塙:初めてのわりにはすぐ第2世代って出てくるなぁ。
H:(笑)
土屋:でも、ホントに細野さんは第2世代なんですね?なるほど。
塙:だからタモリさんとか…なんだっけ、第2世代って。
土屋:あ、お笑いはね。お笑いは第1世代が55号。
塙:コント55号。
H:あー、そうかそうか。
塙:第0世代が内海桂子って呼ばれてる…
土屋:言ってない、誰も言ってない(笑)
H:いやいや…(笑)
土屋:そっか、第2世代…
塙:その…今が第7かどうかわからないですけど、その下とかっていうと誰になるんですかね?細野さんの次の世代。
H:下の世代ですか?
塙:はい、第3。
H:ときどき抜けてるところがあるんだよな。第3世代、誰だろう…あ、ニューウェーブの時代…
塙:松任谷由実さんとか?そこら辺の人ですか?
H:あの人たちは僕と同じくらいですね。矢野顕子、松任谷由実、吉田美奈子ってだいたい同じぐらいにやってましたから。その次だね。
塙:サザンオールスターズとか?
H:サザンはちょっとずれてるけど…どうなんだろうな。わかんないや(笑)
土屋:(笑)
H:そんな話はわかんない、考えたこともない(笑)
塙:なんか、リスナーはこういうの聞きたいだろうなと思って…(笑)
土屋:いや、めちゃくちゃ聞きたいでしょ!
H:そうなの?あのね、音楽で考えたほうがわかりやすいんですよ。人で考えるとわかんなくなっちゃう。
塙:そうか、僕らはそういうのわかんないから…こういう「ニューミュージック」とか、そういう風に分けてくんですね。
H:そうですね。
土屋:はー…
塙:「ロック」とか。
H:ロックっていうと大きすぎるんで、広すぎちゃうんで…
塙:「ロック」の中でもまた、こう…
H:例えばね、YMOは「テクノ」っていう…わかりやすくなっちゃったけど。次が「ニューウェーブ」かな。んー…その後知らないわ(笑)
2人:(笑)
塙:あのバンドブームみたいなね、ところですよね。
H:そうですね、バンドブーム。で、もっと前…最初はね、エレキブームがあったね。
塙:加山雄三さんとか?
H:そうですね、ベンチャーズと…あのとき小学生だったから。
土屋:あー、じゃあもう第1世代…
H:その頃まだいないでしょ?
土屋:いないです(笑)
塙:だって俺、YMOと同い年ですからね(笑)1978年生まれですから。
H:あ、そうか…(笑)
塙:後追いですから。
土屋:そっか。サザンもその年だもんね。78年にデビューしたんですよね。
塙:そうそう。
H:あ、そうなんだね。なるほど。
塙:世界の音楽とかを、細野さんもいろいろ聴かれるじゃないですか。
H:聴いてますね。
塙:やっぱり僕…もちろん僕はぜんぜんわからないので、世界の音楽のことは。だけど、細野さんがそれを僕らに…要するに日本人の耳に合うような形にしてくれているような気はずっとしてますね。
H:あー、なるほどね。
塙:だから細野さんから…海外のこの人の曲ってこういう曲なんだ、とか知ることはけっこう多いです。
H:そういうこともあるだろうね。なんかを紹介するとか、翻訳するとか。そんな側面もありますよね。
塙:じゃあもう、あらゆる音楽とかを、今でも…週末というか。
H:「週末」に聴いてますよ(笑)
土屋:むりやり繋げた(笑)
塙:時間があると…今はどうやって探すんですか?それは。
H:今はもう、ずーっとソファに座って、目の前にPowerBookがあって。テレビついてて。コーヒー飲みながらおせんべかじって、パソコンで探してるんですよ(笑)
土屋:(笑)
塙:もう、アナログとデジタルが混ざってますね(笑)
H:そうですね(笑)
塙:ぜんぜん外出ないじゃないですか。
H:あのね、ごはんだけは外に出るんですよ。
土屋:あ、食事だけ…外食。
H:ええ。昔はだいたいね、深夜までうろついてたんですけど。最近は歳のせいか早く帰ってくる。
塙:深夜…なにやってたんですか?深夜まで。
土屋:飲みに行ったりとか?
H:僕、お酒飲まないんで…
土屋:あ、そうなんですね。
H:なにしてたんだろう?(笑)
土屋:(笑)
塙:なんか、ただの徘徊みたいな…
H:徘徊じゃなくて…(笑)
土屋:わかんない、ってなったらもう徘徊になっちゃう(笑)深夜…(笑)
H:あのね、YMOの頃はテレビゲームが大ブームで。インベーダーゲームとか。そういうのを仲間たちとね、ずーっと朝までやってたんですよ。
土屋:へぇー!
塙:やってたんですか!
H:それが置いてあるのが…アーケードゲームって言って、喫茶店だったり、レストランだったりね。
土屋:ありますね、純喫茶とかに。ゲーム台。
塙:今でも浅草にあるもんね、六区に。
H:で、当時は24時間ですよ、みんな。営業が。
土屋:そんな遅くまでみんなやってたんですね。
H:だから朝までやってたりしてね。
土屋:へぇー!
H:そういう、テレビゲームのせいで深夜に…うん。
塙:その後家庭用の…ファミコンとかになったじゃないですか。ファミコンとかもやられてたんですか?
H:やってました。
塙:細野さん、ファミコンやってたんですか!
H:やってましたよ。
土屋:えー!
塙:なにやってたんですか?ファミコン。
H:えーとね…なんだっけな。あ、「ゼビウス」。
土屋:シューティングゲームの。
塙:あ、「ゼビウス」って、音楽とかも…後のやつなんでしたっけ?
H:音楽は…うん。そういう企画があって。僕も「ゼビウス」大好きだったしね。
塙:♪ティンテンティンテ、ティンテテンティンテン…
H:お、よく知ってる(笑)
塙:もう、大好きなんですよ。
H:リズム感いいですね(笑)
塙:ありがとうございます。
土屋:ほめられた(笑)YMOのおかげで…
H:そっか(笑)
塙:でも僕、その…Eテレでも言ったんですけど、僕めちゃめちゃファミコンやってて。ファミコンの音楽が基本的に好きだったんですよ。
H:あー、おんなじですよ、僕も。大好きだった。
塙:それから後追いでYMOなので…ファミコンめちゃくちゃやって一通り飽きた後にYMOを聴いたときに、やっぱりもう1回ピコピコブームみたいのが来て。
H:なるほどね。繋がってるんですね。下地があるんだね。んー。
塙:そうなんですよ。だから…僕なんかは友達とかがいなくてひとりでやってたときも、「妖怪道中記」っていうファミコンをやってたんですよ。♪ティンテンテンティンテンティンテケテン…ってやってたんですね。
H:和風なんだ(笑)
塙:そしたらそれを星野源さんが、「妖怪道中記」の曲を使ってアルバムとか出してたんで…
土屋:へぇー。
H:あ、そうなんだ。
塙:やっぱり細野イズムというか、好きな人はみんなテレビゲームの音楽を…
土屋:共通してたんだ。
H:そうかそうか。
塙:すごいそこで、星野源さんを好きになったもんね。俺も「妖怪道中記」の音楽好きだった!みたいな。
*SAKEROCK『ホニャララ』収録の"千のナイフと妖怪道中記"のこと。
土屋:細野さんはゲームをやりながら、そういう音楽のところは…聴いててあったんですか?
H:いや、ずーっと入り浸ってやってたから、音楽がもう染み込んでるっていうかね。
土屋:そうか、ゲームに集中してて…音楽はもう自然と染み込んじゃってる?
H:そう。
塙:結局、「スーパーマリオ」とかって名曲じゃないですか。♪トゥトゥントゥントゥトゥントン…
H:すごいですよ。いい曲がいっぱいあるんで…
土屋:ホントですね。
H:作家たちにあんまり脚光が当たらないんですけどね。だからアルバム作ったんですけど…『Video Game Music』っていう。それはいまだに人気があるんですよ。ゲーム音楽を集めて集大成にして…ちょっとアレンジしたり、あるいはそのまま使ったりとか。
塙:僕、「コインデジタルミュージック」はすごい好きですね。
H:コインデジタルミュージック…?
塙:ありますよね、アルバム。あ、知らないですか?
H:知らないかも(笑)
塙:知らないってよくないじゃないですか。僕、めちゃくちゃ聴いてたのに…
H:すみません(笑)
土屋:塙さんが間違えてるってことはないの?
塙:俺、何回も聴いてるわ!
H:(笑)
土屋:じゃあめちゃくちゃ自信あるんだ(笑)
H:なんで「コイン」が付くんだ?
塙:コインデジタルミュージックじゃなかったっけな…違うかな?俺が間違えてるだけかな。
(POPEYE:「コインシデンタル(Coincidental)」…)
塙:『Coincidental Music』だ。ごめんなさい、めちゃくちゃ間違えてました。
土屋:(笑)
H:それ、僕のアルバムじゃん。
塙:そうです。
H:なんだよ!(笑)
土屋:タイトルを間違えてたんでしょ?
塙:間違えてました(笑)
H:コインデジタルミュージック…聞いたことないから…(笑)あせったな。
塙:なんか、ピコ太郎さんもYMOめちゃくちゃ好きで。
H:「ピコ」っていうくらいだからね。
塙:その古坂さん(古坂大魔王)があるインタビューで言ってたのは…音ネタをやる芸人も、結局は名曲だから残ってるんだ、と。
H:なるほど。
土屋:あー…
塙:結局、曲として…
土屋:曲がいいから売れるんだ。芸人も。
塙:♪右ひじ、左ひじ、交互に見て~、とかも…音楽が耳に残るから一発ギャグなんじゃないか、みたいな。
H:あー、そういう風に繋がってるわけね。
土屋:なるほど。みんな口ずさむっていうね。
塙:だからお笑いも結局、最後は音楽と切っても離せない…
H:おんなじだ、じゃあ。
塙:だと思うんですけどね。
H:YMOの3人も…音楽をピコピコやる前からゲームやってましたから。
塙:3人とも好きだったんですね。
H:そうそうそう。初期のゲームはホントに単純だけどね。ピンポン(PONG)とか、テニスとか。音楽はその頃ないかな。バルーンっていう…
塙:バルーン?
*正式名称は「サーカス(Circus)」。
H:なんかね、風船割りゲームっていうのがあって、それがおもしろくて。それを"Firecracker"っていう曲の前に…自分たちで作って、入れたんですよ。
塙:♪トゥールルルー…トゥン!トン、トゥン!トン…
H:そうそう!それ。
塙:あ、あれバルーンの音だったんですか。
H:そうそう。
塙:"Computer Game~Firecracker"ってなってたじゃないですか。
H:タイトルはね。でも、ホントはバルーンゲームの音なんですよ。
塙:これ、聞けてよかった…
H:あんまり言ったことないかも。
塙:♪トゥルルルル…トゥン!トン、トゥン!トン…テレーテーテテーテー…
H:よく知ってんな(笑)
塙:♪テーレレレレー、ティン、トゥン、ティン、トゥン…
H:そうそうそうそう(笑)で、失敗すると…♪トゥートゥートゥトゥー、トゥートゥトゥートゥトゥー…
塙:♪トゥートゥートゥトゥー、トゥートゥトゥートゥトゥーっていうのはその音楽なんですか?
H:そうなんです!
塙:え!あれってすごい知られてるじゃないですか。あの音って。
H:あれはクラシックの葬送行進曲っていう…
塙:あ、それですよね(笑)
土屋:元ネタあるじゃないですか(笑)
塙:バルーンなわけないじゃないですか(笑)
H:(笑)
塙:それが発祥かと思っちゃった(笑)
土屋:(笑)
塙:バカなこと言ってすみません、ホントに…
H:いやいや…みんな知らないかもしれないですよ。
塙:そうだったんですね。
Computer Game ~ Firecracker - Yellow Magic Orchestra
(from『Yellow Magic Orchestra』)
塙:今はもう、やらないですよねファミコンとか…今だと[Nintendo]DSとかSwitchとか。
H:やらないですよー…最後にやったゲームはパソコンでやる「ミスト(MYST)」っていうのをやってましたね。これはすごい…
塙:おもしろかったですか?
H:アメリカ製ですけど、もう、終わんないんですよ。
土屋:終わんない?
H:ええ。奥が深くて。
塙:これはロールプレイングゲームみたいなものですか?
H:うん、そうです。ある島に…突然立ってるんですよね。誰もいない。で、壊れかけたボートが海に停泊してて。うろちょうろちょろすると、地面にメモが落っこってて。
土屋:はい。
H:それを拾って読むと…なんかヒントが出てくるっていう。
塙:おもしろそう。めちゃくちゃおもしろいじゃないですか。
H:ものすごい世界なんですよ。で、どこ行くんだろう…って最後まで行ったんですけど、攻略本がないとできないんです(笑)
土屋:(笑)
塙:え、そうなんですか?どこにも載ってないんですか?ネットとか見ても。
H:うん、そうなんですよ。
土屋:自分では見つけられない…
H:見つけられないんです。おもしろくてね…だから仕事中もやってましたよ。
塙:仕事中もやってたんですか?
H:これ、あんまり言えないんですけど(笑)
土屋:(笑)
塙:仕事してるふりしながらパソコンで…(笑)
H:そうそうそう(笑)
塙:そんなことやってたんですか(笑)
H:中毒ですよ。ああいうのって中毒になるんですね。
土屋:謎解き系とかが好きなんですね。なるほど。
塙:なんか、さっきの細野さんが…アプリを使って曲をすぐ探すのはやらないって言ってたように、スピードワゴンの小沢さん(小沢一敬)っていろんな名言を言うのが好きな人なんですけど。
H:(笑)
塙:あの人も…ドラクエとかもネットを見ると「次、こうしろ」ってすぐ出てくるじゃないですか。あれをやらない、と。あれをやらないのが含めてゲームなんだよ、と。
H:それは正しいかもしれない。
土屋:なるほどね、小沢さん言いそうだね、それ(笑)
塙:「俺はそれがゲームだと思ってるから」と。
H:そっかそっか(笑)わかりますよ、それは。
塙:やっぱり自分でやるほうがおもしろい、っていう…
H:男の人って地図見ないで車を運転するの好きでしょ?知らないところ行くときに。
土屋:あー、わかります。
H:で、ナビを入れちゃうと、ナビのまんま行かなきゃいけないじゃないですか。ときどきナビに抵抗するでしょ?みんな(笑)
土屋:そうですね(笑)ナビを信用しないときありますね。
塙:あります。
H:信用しないでしょ?(笑)反対の方向に行ったりするでしょ。そういうところがあるんですよね、男の人って。
土屋:そっか。自力で解きたい…
H:そうそうそう。
塙:じゃあナビはあんまり入れないんですか?
H:まったく知らないところに行くときはもちろん入れますけど…まぁそれで行けるんですけどね(笑)
塙:でも、僕なんかは逆かもしれないですね。ナビで行った道しか走らなくて。
H:あれ、そうなの?
塙:もうちょっと冒険したほうがいいんでしょうか。
H:したほうがいいと思うな。
土屋:一番早い行き方とか、空いてる道とか見つけない?
塙:狭いところ行って窮屈になるの怖いんですよね。
H:(笑)
塙:トラウマになってて。1回、原宿でナビを無視して行ったら、いつの間にかどんどん細くなっちゃって行き止まりの歩行者天国になっちゃったんですよ。
土屋:(笑)
塙:それでもう、バックできなくて。300人ぐらい人が見てて。そしたr「あれ、アイツ…」みたいになっちゃって。
H:それはつらいわ(笑)
塙:で、何回も切り返して…ポップコーン屋さんの前で何回も切り返して…
土屋:(笑)
H:目立つねぇ(笑)
塙:それからもう、怖くて…
H:マスクしてるといいけどね、今だったら。
塙:そうですね、今だったら。
土屋:今だったら車の中でもマスクできるけど。めちゃくちゃ見られるからね。
塙:東京の…特にこういった場所って狭いから。
H:狭いところ多いですよね。
塙:運転とかもね、気を付けないとね。
H:でも、そういうのがおもしろいんですよ。
塙:あ、おもしろいんですか。
H:狭いところ…例えば向島の辺りの商店街ですごい狭いところ入っちゃって。
土屋:あー…あそこまで行くんですか?向島のほうまで。
H:ええ。とにかく23区全部制覇したいっていう(笑)
塙:あ、運転で?
土屋:(笑)
H:ええ、運転好きなんですよね。
塙:そうなんですか。
H:で、狭くて行き止まりのとことかすごい好きなんですよ。バックするのが。
塙:俺の真逆ですね(笑)
H:そう(笑)
土屋:イヤじゃないですか?それは…(笑)
H:イヤなんだけど…
塙:でも、1回は行けてるわけですからね。だからバックすれば戻れるわけですもんね。
土屋:細くなってきても、行けるところまで行こう、っていう感じなんですね。
H:もうね、どんな細くても行ける!って信じて…(笑)
塙:でも1回、中野サンプラザのときに思いっきりぶつけた、って…
H:そうそう(笑)ああなっちゃうんですよ、車が。かわいそうに…(笑)
土屋:だから擦ってるんですね、けっこうね(笑)
H:ガムテープだらけになっちゃう(笑)
土屋:(笑)
塙:ガムテープ…ガムテープで止めてるんですよ、細野さんが!(笑)
H:(笑)
塙:ディーラー行ってくださいよ、ホントに(笑)
土屋:理由がわかりましたね、細い道好きなんですね。
H:あまりにもみっともないと、ディーラーに持ってくのが恥ずかしいんですよね(笑)
土屋:いやいや…直さないほうが恥ずかしい(笑)
H:そっか(笑)
塙:ディーラー持ってかないでガソリンスタンドとかでね、カーコンビニ倶楽部とかで直すタイプの人いますけど…そういうことだったんですね。
H:そうそう。でも、フランスにいた人が僕の車見て「パリじゃみんなこうだよ」って言われた。
土屋:え、そうなんですか?
H:「当たり前だよ」みたいなね(笑)
塙:よく言いますよね、海外ってけっこうぶつけても…
土屋:気にしない…
H:そうそう。
塙:それはパリ詳しいんで、土屋くんが。
H:え、そうなんですか?
土屋:1回しか行ったことないです(笑)
H:(笑)
土屋:唯一の海外旅行がパリ。しかも競馬、凱旋門賞を観に行っただけなんですけど…(笑)
塙:ルーブル美術館でしたっけ?モナリザも生で見たらしいです。
H:それはそれは…
土屋:モナリザも見ましたね。でも、かみさんと一緒に行ったんで…
H:長い間行ったんですか?
土屋:1週間ぐらい行きましたね。
H:一か所にずっといるんですよね?
土屋:そうですね。
H:うん、そのほうがね、おもしろいですよね。
土屋:けっこう狭いんですね、パリ。
塙:あ、そうなんですか。
H:そうですね。歩けるんですよね、どこへでも。
土屋:歩けるし…今はキックボード?が置いてあって。
H:あ、そうなの?
土屋:それはアプリで登録すると、街に置いてあるキックボードに勝手に乗れるんですよ。
塙:あー、じゃあ東京よりも進んでる…
H:あ、それはいいな。
土屋:それでもう、全部回れちゃうから。
塙:奥さんと2人ででしょ?2個借りて。お金はどうするの?
土屋:お金はアプリで精算されてるんですよ。
塙:あー。
H:さすが、すごいね今。
塙:すごいですね。
土屋:日本に来たら、東京なんかはまたそれで回れますよ。
H:そうかそうか。まだ来てないね。
土屋:狭い道も行けます(笑)
H:いいね(笑)
土屋:キックボードだったら車擦らなくてもいいから…(笑)
塙:広いからね、23区だったら。
土屋:そうだね(笑)さすがにキックボードじゃ無理かもしれない。
塙:そうですよね…ちょっと「車びいき」みたいな話になっちゃいましたけど。
土屋:いやいや、車擦った話ですよ(笑)
H:(笑)
WILD AMBITIONS - Yellow Magic Orchestra
(from『浮気な僕ら』)
塙:いま僕らが、この9月から…月火水木ニッポン放送。しかも木曜日は2回。で、土曜日はTBSで…週に5本ラジオになっちゃって。
H:すごい。そんな人いる?
土屋:15時間半やってるんです。
H:えー!生ですか?全部?
土屋:はい、生なんですよ。
塙:で、毎日30分フリートークを喋らなきゃいけないんですけど。
H:おもしろいね、それ(笑)鍛えられますね。
土屋:鍛えられますよ、ホントに…
塙:細野さんだったらどうしますか?もし、30分毎日話すってなったら。
H:いやー…例えば、事前になにか考えますか?そういうときって。なに喋ろうかな、って。
塙:ある程度考えないとね…考えてますけど。
H:なんかあの…ここで出すのはどうかと思うけど、「さまぁ~ず×さまぁ~ず」。あの番組好きだったんですけど。番組の中で[9月いっぱいで]終わるんだ、って言うんですよね。
土屋:はいはいはい…
塙:出てましたもんね。
H:「さまさま」ね。「モヤさま」じゃなくて。
*細野さんが出演したのは「モヤさま」(モヤモヤさまぁ~ず2, テレビ東京)。「さまさま」(さまぁ~ず×さまぁ~ず, テレビ朝日系列)本編への出演はなかったものの、番組内恒例のパペットコーナーがしばらく放送されなかった際にはそれに対する細野さんからの投書(クレーム)が紹介されたことがある。
H:あの人たちも…なんの話をしようとしたんだっけ。忘れちゃった(笑)
土屋:(笑)
塙:フリートークですよね、あれも。
H:あ、フリートーク。そのフリートークが好きなんだよ、僕。そういうのを観るのが。
土屋:あー。「さまぁ~ず×さまぁ~ず」はそうですよね、ずっとお2人のフリートークでしたもんね。
H:そうそう。
塙:あ、フリートーク好きなんですね。
H:好きですね。それは「パペポ(鶴瓶上岡パペポTV)」から来てるのかな、最初。
H:そうですね。それがおもしろかったし。
土屋:でも、ラジオの良さでもありますね。
H:そうなんですよ。だから、なにも考えないでも行けちゃうでしょ?たぶん。
土屋:行けますかね…
塙:だからもう、ジャズですね。
H:ジャズ。それだ。
土屋:そこはもうセッションで…決めずに行って。
塙:なにも決めないで、その場でぶつけ合うという。
H:そうですそうです。それが出来るお2人なんで…期待です。
土屋:どうでしょうかね…それが始まった初回の月曜日、ちょっとやっぱりギクシャクしちゃって。
H:あ、そうなんだ。
土屋:最後はなんか、酸欠みたいになっちゃって(笑)
H:(笑)
土屋:ヘンな汗出てきちゃって…(笑)
塙:30分持たなかったです。20分ぐらいでもう、なんか…
土屋:でも一応セッションみたいにしようとね、打ち合わせせずにやったりしましたけど。まぁ、慣れてくるかもしれないですけど。
H:それは…もう、全然大丈夫でしょう。だって…本業の漫才のほうはどれくらい練習するんですか?
塙:練習しないと無理だ!っていうネタはものすごくやりますけど、練習しないほうがいい、というネタもあるので。
土屋:ネタによってね。うん。
H:やっぱりね。そうだと思ったんだよね。
塙:だから、[事前に]ホントになんにも言わないで言うところもありますよね。そうじゃないとね…
H:そうでしょう?なんか、破綻するところがおもしろいじゃないですか(笑)
塙:そうですそうです。
土屋:そうですね。最近は時事ネタで[塙が]急に言ってきて…
H:それはドキドキするね(笑)
土屋:僕がたまたまネットニュースで見逃してるニュースだったりとかすると、ホントになに言ってるのかわからない(笑)
H:わかんないんだね(笑)
土屋:そのときはもう、聞いちゃいますね。それなに?って(笑)
H:そういうのがおもしろいんですよ(笑)そういうところが見たいんですよ。
土屋:相当コアなお客さんですけどね(笑)
H:やっぱりフリートークはいちばん…芸の神髄かもしれないですよ。
土屋:あー、そうか…
H:だって、みんな今の人ってお芝居みたいにやってるじゃないですか。コントとか。脚本があって…(笑)
土屋:はいはい…
H:お芝居うまいな…とは思いますよね。でも、それとは根本的にちょっと違いますもんね。即興は。
土屋:そういうのが磨かれていくというね…
塙:漫才とはまた別っていうことですもんね。漫才は一応、フリートークではないですもんね。
H:そうですね。それはそれで楽しいし。でも、それをできる人たちがフリートークをやるっていうのがおもしろい。
塙:だから、トークライブが人気あるのってそういうところにあるんでしょうね。
H:そうでしょうね。音楽もそうだと思うんですよ。ライヴ演奏。
塙:ライヴ演奏は生っていうね…
H:なにが起こるかわからないんで。体調次第ですからね(笑)
土屋:はー…そっか。
H:だからYMOって体調関係なかったんですよ。コンピューターがやるから(笑)
土屋:(笑)
塙:はいはい…要するに、プログラミングされてるっていう部分もあった…
H:そうそう。で、どんなに気分が落ち込んでても音は元気だし(笑)生はそうじゃないんですよ。元気がないと元気のない音が出てきちゃう(笑)
土屋:やっぱり音に出るんですね…
H:出ちゃいます(笑)
塙:じゃあもう、 だんだん…YMOとかも経て、いろいろ歳を重ねていくたびに今はこういう音楽がいい、とか。ライヴがいい…とかっていうことはもちろん、あるわけですよね。
H:ありますよね。ずいぶん長くやってるけど…別になんかね、慣れるわけじゃないし。アマチュアみたいなもんですよ。
塙:アマチュアなもんですか?
土屋:(笑)
H:気分は。
塙:気分は?ええ…?
H:いやいや…(笑)
塙:そんなことありますか?
土屋:プロの中のプロなんですけど…
H:いやー…やっぱり、すごいコンプレックスありますね。
塙:あ、ホントですか?
土屋:えー…
H:プロに対する。アマチュアなんで(笑)
塙:(笑)
土屋:誰もプロを名乗れなくなりますよ(笑)
塙:もうわけわかんないよ、そんなん言われたら。どうしたらいいんですか?
H:いやいや(笑)ちょっと言ってみただけですけどね(笑)
土屋:(笑)
H:では…長い時間おしゃべり頂いて、ホントに楽しかったです。
塙:楽しかったです。ありがとうございました!
土屋:ありがとうございました!
H:ナイツのお2人でした。
The Man of China(中国の人) - 細野晴臣
(from『Coincidental Music』)
2020.10.11 Inter FM「Daisy Holiday!」より
H:こんばんは。細野晴臣です。えーとですね、きょうは…ちょっと変則的な番組になりますね。POPEYEの取材を兼ねて、なんと、ナイツのお2人がここにいらっしゃいます。よろしく。
2人:よろしくお願いします!
土屋:ナイツの土屋です。
塙:塙です。
土屋:よろしくお願いします。
H:どうも。えー…なにをするんでしたっけ?(笑)
2人:(笑)
塙:きょうはちょっと、3つくらい乗っかっちゃってるんでわかんなくなっちゃって。
H:(笑)
土屋:POPEYEの取材と…
塙:細野さんのラジオに呼ばれたのに、POPEYEの取材もあって。別に録ると思ってたらラジオの中で取材も一気にやっちゃおう、みたいなことなんですけども。
H:そうそうそうそう。
土屋:で、始まる前からもうパニックなんですよ。
H:(笑)
ポパイ@POPEYE_Magazine 最新号「WEEKEND LIFE CATALOG」にて、ナイツさん x 細野晴臣の対談が掲載されています👀
— 細野晴臣_info (@hosonoharuomi_) October 12, 2020
また、この対談の模様は、interFM「Daisy Holiday」(10/11・10/18放送回)にてお聞きいただけます🎶
10/11放送回は、radikoから 👉
https://t.co/6XR93g31UC https://t.co/uVMrbEGXud
塙:ということですけども。
土屋:そうですね。いやー、緊張しますよね。
H:大丈夫大丈夫。
塙:大丈夫ですかね?あんまり慣れてないです。こういうパターンは。
H:いやー、僕も慣れてないですね。
土屋:(笑)
塙:あー、そうですか。
土屋:でもなんか好きなんですよ、僕。やっぱり塙さんが…あこがれの細野さんの前に行くといつもよりおとなしくなるのが好きで。
H:そうなの?(笑)
土屋:緊張してる塙さんはなかなか見れないんで。
塙:そりゃあそうでしょう。
土屋:何回見てもたまらないですね、これが(笑)
塙:やっぱり…ホントに申し訳ないですけど、石橋貴明さんの比じゃなかったです。
土屋:いや、やめなさいよ(笑)
H:あー(笑)
土屋:タカさんでも緊張しなさいよ、それは。
塙:緊張するけど、ちょっと違うんだよ。次元が違うんだよ、やっぱり。
土屋:ほんっとになんかこう、固まるときがあるからね。
塙:そうなんだよ。不思議な感じですね。
塙:今週…というか、この放送をしてるときにはもう流れてるんですけど、EテレでYMOの…
H:あ、それね、予約録画してますよ。
塙:あ、ホントですか。
H:なんかもう、噂になってますよ(笑)
塙:あさって?やるんですけれども。
土屋:「B面ベイビー!」でしたっけ。
H:「B面ベイビー!」。
塙:で、松武秀樹さんが来て。生のタンスを見て。
H:タンスね(笑)
塙:この声もボイスチェンジャーで…やりました、"テクノポリス"。
H:ホント?(笑)
塙:俺マジで、感動しました。あれ。
H:へぇ、大掛かりだね。あんなの持ってきたんだ。
塙:ただタンスって、僕…テレビとかのライヴ映像で見るともっと大きいイメージがあったんですけど。
H:壁みたいになってたでしょ?
塙:壁みたいに…あの上に載せてたから…
H:そう。わざと大きく見せてた(笑)
塙:そうなんですね。だから、意外になんか、あんまり…
H:普通のタンスだった?(笑)
塙:いや、タンスではないですけど(笑)でも、あのときのやつをそのまま使っているという。
H:いまだにあるんだね。すごいな、あの人。
塙:けっこうビックリしましたね。
H:じゃあ、"テクノポリス"ってオケを使ったんですか?
塙:はい、そうですそうです。♪T-E-C-H-N-O-P-O-L-I-S…Tokyo!ってやりました。
H:(笑)
土屋:塙さんがやったの?
塙:やったの。
土屋:なんでやらせてもらえるんだ、そんなの(笑)
塙:だけど、初めてやったら…自分のときは自分の声のほうが聞こえるから、人に対して[聞こえる音が]機械になってるのか不安になっちゃって。
土屋:あー、なるほどね。
塙:で、何回もやるんだけど、スタッフさんがもういいです、みたいになって(笑)
H:(笑)
塙:もうなってますから、みたいな。
土屋:1回でいいですよ、みたいなね。
塙:そうそうそう。
土屋:なかなかできない経験ですよね。
H:それはなんか、見ものだな。
塙:いやー、ホントに勝手にやらせて頂いて…
H:いやいやいや(笑)
H:ホントにYMOが好きなんですね(笑)
土屋:ホントに好きなんですよね(笑)
塙:YMOはめちゃくちゃ…めちゃくちゃ聴いてましたね。
H:あー、そう。
塙:はい。いま思うと…改めて、テレビ[収録]があるときに聴くじゃないですか。で、最近ガラケーからスマートフォンに変えまして。
H:やっと?(笑)
土屋:やっと変えたんですよ、スマホに。
塙:で、変えたら…今までiPodとかCDとかで聴いてたのが、プッていけるじゃないですか。
H:そうだよね(笑)
塙:それで車と連動できるじゃないですか。すさまじく便利ですね。
H:やっと気が付いた?(笑)
土屋:はやく変えればよかったのに(笑)はやくスマホにしなさい、ってずーっと言ってたのに、ぜんぜん…頑なにガラケーだったから。
塙:細野さんもけっこう、あれプッてやってらっしゃるんですか?このラジオでも以前聞きましたけど。
H:そうだよ(笑)やっぱり、それがあるともう元に戻れなくなっちゃうね。
土屋:あ、なるほどね。便利に…
H:すごい簡単。うん。
塙:いま、曲を流すと…判断してくれるアプリがあるんですけど。
H:Shazamだっけ?
塙:あれもすごいですよね。
土屋:あ、口ずさんだら?
H:そう。みんなあれで見つけてくるんだよね。毎週ラジオやってるけど、かける曲を[リスナーが]みんなそれで探してくるの。
塙:みんなそれで探すっていうのは…メロディーはわかるけど曲名はわからない…
H:そうそうそう。
塙:あれやるとね…すごいですね。
H:そうなんだよ。僕持ってないんだけどね(笑)
2人:(笑)
H:やっぱり、探すのが好きだからね。苦労して。
土屋:今までもじゃあ、あるんですね。あの曲なんだったっけな…みたいな。
H:あるある!そんなことばっかりですよ。
塙:でも、それを自分でレコード屋さん行ったり、パソコンで調べたり…
H:ほとんどパソコンの中で検索して…ヤホーで(笑)
土屋:出た!(笑)ありがとうございます。大サービスですね(笑)
塙:ありがとうございます。頂きました。そんなフリじゃなかったんですけどね(笑)
土屋:そうだね、俺らが振ったみたいで恥ずかしいですね(笑)言ってほしかった、みたいな。
H:きょうは、おもしろくなくてもいいんだよね?別に(笑)
土屋:(笑)
塙:そうなんですよ。えー、「週末をどう過ごされていますか?」
H:あ、テーマがあるんだ。
土屋:質問がいっぱいありますね。
H:テーマは「週末」ね。
塙:あ、週末と言えば…"FOCUS"っていう曲あるじゃないですか。
H:YMOだ。
塙:♪世界の終末weekend~、って。
H:(笑)
塙:あれだけが俺、めちゃくちゃ…風呂場で歌ってましたね。
H:ホント?(笑)
土屋:へぇ~
塙:あれどういう意味だったんですか?♪世界の終末weekend~、って。
H:…ぜんぜん憶えてないな(笑)
土屋:(笑)
塙:憶えてないですか。
H:いま"FOCUS"って言われて、あ…あったな…って。
塙:あの曲も好きでしたね。
H:あの頃FOCUSって雑誌があったでしょ、週刊誌。
塙:あ、あのことなんですね。
H:うん。そうそうそう。でね、3人とも追われてたんだよね。
塙:あ、そうなんですか!
土屋:あ、ちょうどそのときに?週刊誌に追われてたんですか。
H:うん。ネタがないかどうかね。
塙:人気がもう…YMOの。
H:そうそうそう。人気があったせいか、外を歩くとヘンな車が止まってるんだよ。
土屋:へぇ…すごい、やっぱり。
H:そういう勘が冴えてきて、あの車はぜったいそうだと思う、っていうね。
土屋:そうなんですか(笑)
塙:じゃあ♪世界の終末文春~、みたいなことなんですね。
H:そうそうそう(笑)
土屋:そういうことなの?(笑)
H:今ならそうです(笑)
塙:そんなのわかんないで聴いてましたよ(笑)カッコいい曲だ、と思って。
土屋:ちゃんと意味があったんですね(笑)
H:そうか…あれ、作ってからあんまり聴いてないな。
塙:えー!
H:かけようかな(笑)
塙:"FOCUS"も聴きたいですけどね、ふつうに。
FOCUS - Yellow Magic Orchestra
(from『浮気な僕ら』)
塙:「週末」っていう概念ってあんまりないんじゃないですか?土日。
H:そうなんですよ…どうですか?
塙:僕らは、もう…
土屋:僕らはけっこう、パターンが決まってて。今、土曜日のラジオを生放送で。
H:あ、レギュラーがあるとね。
塙:細野さんも…
土屋:ゲストに来て頂いた…はい。
土屋:あのラジオが決まってて。日曜日がだいたい地方の営業…
H:日曜日は休みじゃないんですね。
塙:営業に行ってるんですよね。
土屋:このパターンがあるんで、だいたい週末はスケジュールは固まっていて。
H:なるほどね。んー。生だからね、放送がね。
土屋:そうですね。
塙:今から十何年前とかはその土曜日のラジオもなかったので、土日で営業行ってたんですよ。
H:あー、やっぱりそうなんだね。
塙:そうすると、金曜日の夜中に、朝の3時まで生放送の番組をやってて。それの打ち上げに行ってけっこう食べて…で、そのまま土曜日営業行って。土日の地方のおいしいもの食べて。やっぱりね、10キロくらい太っちゃいました。
H:(笑)
土屋:不規則になりますよ。深夜やってた頃はね。
H:体壊しちゃうね。
塙:けっこう、だから…今はそんな感じですね。
H:じゃあ、今は健康なんですね。
塙:今はやめましたんで、そういうの。
土屋:今は…ラジオは朝なんで。規則正しくなりますね。
H:それがいいですよ。
土屋:そうですね。で、日曜日に地方行くときはだいたいまた早いので…7時に羽田空港集合とかね。
H:大変だなぁ、営業って…
土屋:そうですね。移動の週末、っていう感じですね。
塙:[細野さんは]ないですもんね、感覚…
H:週末っていう感覚は薄いですね、うん。
土屋:このラジオのオンエアーは日曜日ですよね。
H:日曜日の深夜ですけど、収録はもう、いつでも自由にやってるんで…
土屋:そうですよね、生じゃないですからね。
塙:もう、実質このPOPEYEの取材は終わりっていうことになりますけどいいんですか?
H:(爆笑)
土屋:週末に対してのね(笑)
塙:もうないんだから、これ以上…あと週末の質問が続くだけなんだから。
土屋:そうですよ、「細野さんは週末の感覚がない」で(笑)
H:「ない」で終わっちゃった(笑)
塙:「Q.秋ならではの週末の過ごし方」って…
土屋:(笑)
H:それはじゃあ、お2人に聞きたいですね。
塙:秋ならではの週末の過ごし方…?
土屋:例えば僕だったら競馬が趣味なので。週末にあるから…だから「秋GⅠ」とか。そういう意味では競馬ファンは熱いですね。
H:あ、そうなんですか。競馬か。消しゴムはどうなんですか?
土屋:いや、なんで知ってるんですか!(笑)
塙:ありがとうございます。やっぱり昭和の感じがしますか?消しゴムサッカー。
H:いや、すごい…なんでハマるんだろう、あそこに(笑)
土屋:細野さんが消しゴムサッカーをちょっとでも知ってくれてるっていうのがわけわかんないですけど…(笑)
H:知ってますよ(笑)見ちゃったもん。
塙:あ、見てくれたんですか!ネットサーフィンし過ぎですよ、細野さん(笑)
土屋:ご覧になって頂いちゃいました?(笑)
H:すごい熱意だね。
土屋:なかなか伝わらないかもしれない…でも、ああいうの、僕は子供の頃はずっとあれを…
H:あ、そうなんだ。昔からやってたんだね。
土屋:そうですね。あれはもう、平日も週末も関係なく…ずっと一人でやってたもので。
塙:(笑)
H:ナンシー関さんとかはああいうの好きそう…
土屋:あ、消しゴム版画ですよね(笑)
H:塙さんはそういう趣味は?
塙:僕は…ドラマですかね?
H:あっ…ドラマ(笑)
塙:ドラマをね、週に23本見てますね。
土屋:見過ぎだと思うんですけどね、23本は。
H:あ、見てるんだ。
塙:あ、ドラマ出てもいます。
H:出てるのは知ってますよ、見たから(笑)
塙:あ、ありがとうございます。
土屋:すごい。
H:もう、評判の演技…(笑)
土屋:いやいや(笑)
塙:評判の…ね、流れるような棒読み。
土屋:好評ではないんですよ、これがね。
塙:表情筋が殉職している…
土屋:いや、ダメなんですよ(笑)
H:(笑)
塙:自分がドラマに出るようになって、日本のドラマを見なさ過ぎたな、って反省して…
H:あ、そうなんだ。
塙:だから、細野さんのドラマ「恋は桃色」の…
H:あれね!ペンションの。
塙:あれ、めっちゃおもしろかったですね。
H:いやー…自分のは見ないんだよなぁ。
塙:あれめちゃくちゃおもしろかった。
H:ホント?どんな筋なの?なんて…(笑)
土屋:出てたのに?(笑)
塙:入院してるシーンしかないからあまりよくわかんなかったという…(笑)
H:そうそうそう(笑)タバコ吸ったりね。
塙:でも、あのドラマのペンションが、太神楽の鏡味味千代さんっていう人のお父さんがやってるペンションなんです。
H:え!
土屋:そうなの?
H:どういう方なの?
塙:寄席に出ている…
土屋:太神楽だから、傘を回したりっていう芸の…
H:あ、そうなんですか。
塙:僕があのドラマおもしろかったみたいなことを言ってたら、味千代さんから、あれは実は父の…私の実家なんです、って(笑)
H:へぇ!あそこが?
塙:あそこが。だからあの放送以来、ペンションの予約がすごい殺到して…っていう話で。
H:あ、それはよかった。本物の…あれはペンションなんですか?元々。
塙:あれはペンションなんですよ。お父さんが始めたペンションで、1日何組かお客さんとってやる、っていう…
H:あー、そっか。
塙:あのドラマがすごいおもしろくて。
H:あー、そうですか。見てみようかな。
塙:見てないんですか?あれ。
土屋:(笑)
塙:リリー・フランキーさんのお父さんの役でね。
H:なんかね、自分の…自分の見ますか?塙さん。
塙:僕は一応見ますよ!
H:あ、見ますか。やったー!とか思うんですかね(笑)
土屋:「やったー!」(笑)
塙:いや、やったー!とは思わないですね、たしかに(笑)
H:僕はね、落ち込むだけだから。
塙:あー…
土屋:落ち込みますか(笑)
H:いやー、落ち込みますよ。で、何十年か経ってからやっと見たりね。
土屋:あー、時間が経ってから?
H:『居酒屋兆治』とかね、数年前やっと観たね。
塙:へー!観れなかったんですか。
H:観れない(笑)恥ずかしくて。
塙:俺たぶん、逆にそれで言えば…2年前ぐらいに3人で漫才やったじゃないですか。
H:そういうのは憶えてますよ。
土屋:NHKで。
塙:あれは逆に僕、なんかイヤなんですよ。
H:そうかい(笑)
塙:なんでかって言うと、細野さんが真ん中の後ろのほうにいて…僕、もうちょっと掛け合いをやったほうがいいな、って思ったんですよ。あまりにも細野さんを見なさ過ぎたんで…まっすぐを向いてやり過ぎちゃったんで、もうちょっとやろうかな、と思ったら、細野さんが「もういいよね」って。一発撮りで終わっちゃったんで。
H:あらら。
土屋:(笑)
塙:でも俺の立場からは「細野さん、もう1回やりましょう」は言えないので…
土屋:言えないよね。
H:そうだったんだ。
塙:で、細野さんはもうなんか、すごい完璧にやられてたんで。
H:そうだっけ?(笑)
土屋:いや、すごかったですよ。一発で。おもしろかったですもん。ボケ方が。
塙:そうなんですよ。
H:ぜんぜんそれは知らなかったな。言ってくれればいいのに(笑)
土屋:言ってくれればやりましたか?撮り直し?(笑)
H:いやー、やりますよ。何度だって。別にイヤじゃないから(笑)うん。
塙:そうなんだ。じゃあ2回ぐらいやればよかった…
H:次の機会があればね。
土屋:次の機会があったらすごいですよ!3人漫才またやるなんて(笑)
「イエローマジックショー2」は、音楽と、笑いが満載です😄
— 細野晴臣_info (@hosonoharuomi_) October 29, 2018
放送:2019年1月2日(水)23:30~24:59(BS プレミアム)
出演:細野晴臣、小山田圭吾、小池美波(欅坂46)、坂本龍一、清水イチロウ、清水ミチコ、ジョイマン、高橋幸宏、東京03、ナイツ、星野源、水原希子、水原佑果、宮沢りえ(50音順) pic.twitter.com/zu1GLeIBcJ
H:前、東京ボーイズに出て頂いたじゃない?あの頃は3人いらっしゃって。
土屋:リーダーが…
H:リーダーがお亡くなりになってお2人になって…ちょっとドキドキしたんですよ。「入ってくれ」って言われるんじゃないか、とかね(笑)
土屋:3人になるっていう(笑)
*2001年の「イエローマジックショー」冒頭では東京ボーイズの3人がYMO漫談を披露。その後、2018年の「イエローマジックショー2」はナイツ+細野の3人による漫才で幕を開けた。
塙:ホントにお笑いとか好きですもんね。
H:好きですね。
塙:週末…とかはわかんないですけど、寄席に行かれたりとかは?過ごし方としては。
H:あのね…最近ね、このPOPEYEでも何度かやってるんですけど、浅草の料理屋に行くんですよ。料理屋っていうか、キッチン。ヨシカミ。
塙:あー!洋食屋さん。
土屋:師匠が好きでした。
H:しょっちゅう行ってる。
塙:しょっちゅう行ってるんですか…
土屋:へー!
H:で、このコロナの時期に心配になっちゃうんですよね。いろんな店が困ってますから。
土屋:そうですよね。
塙:連れてってくださいよ、ヨシカミに。僕もけっこう行くんで。
H:行くでしょ?だって、行くと…こないだ塙さん一家が来ました、って。
塙:家族で行ったりするんですよ、あそこ。
土屋:そうなんだ。へぇー。
H:ちゃんと報告してくれるんですよ。店主さんが。
塙:あ、そうなんですか。なんだかんだ言っても定番というか、おいしいですよね。
土屋:そうですね。
H:味の波がありますけどね(笑)
土屋:いろんな方が作ってる、というのもありますけどね(笑)
塙:なにを食べられるんですか?ヨシカミで。
H:僕の場合、ハンバーグで育ったんで、まずはハンバーグ…なんですけど、毎回じゃあアレなんで…こないだはチキンカツとかね。
土屋:あー、いいですね。
塙:チキンカツとか、ビーフシチューとか。
H:なんの話だっけ?(笑)そういう話じゃなくて…
土屋:ヨシカミの…(笑)
H:ヨシカミに行くと、きょうは寄席ですか?って言われるんだよね。寄席の帰りに寄ったのか?って。週末だったかな?
2人:あー!
H:それも週末だな、たしか。うん。
塙:ヨシカミだけを目的に行ってもそういう風に言われる?
H:言われちゃうんだよね。
塙:あー。じゃあ、それぐらい細野さんが落語とか好きなのをわかってる…?
H:ご存知みたいですね。
土屋:でもだいたい、寄席行って、ヨシカミ行って…のパターンはけっこう多いんですよね?
H:それはないんですよ(笑)
土屋:あ、ないんですか!
H:食べに行くだけで…(笑)
土屋:そうなんですね(笑)寄席のときは寄席だけで…
H:そうですね。寄席もなかなか行けないんですけど、ナイツのお2人の…あれはなんて言うんだ、独演会?
塙:独演会です。去年ね、来て頂いて。
H:行きました。
塙:ありがとうございます。ホントに。今年はね、ちょっと…一応やるんですけどね。なんかソーシャルディスタンスみたいので…
H:やるんですか?お客さん間引きで、っていう…
塙:そうなんです。
H:あー、そういうことね。んー。それが大変だな、と思ってね。
塙:俺、だから…これは使えるかどうかわかんないんですけど…今年の頭か、ちょっと忘れましたけど、細野さんから年賀状なのか…ハガキが届いたときに。
H:うんうん。
塙:ぜんぜんコロナとかの前に、「気候の変動とウイルスに気を付けてください」って書いてあったんですよ。
土屋:えっ!
H:ホントに?
塙:飾ってあるんですけど、パッて見たときにちょっとゾッとしたというか…
H:それは年賀状みたいなこと?
塙:ぜんぜんコロナの前ですよ。去年の年末とか、今年の初めに…
土屋:え、憶えてないんですか?
H:いやー、憶えてない。そんなこと書いたっけね?
土屋:すごくない?(笑)
塙:憶えてないんですか。だとしたらすごいですよ。
H:いつもそういうの、無意識に書いちゃうから。憶えてないんですよね。
土屋:へぇ…
H:そんなこと書いたんだ。ビックリだな…
塙:ちょっともう、予言者みたいな感じで…
H:いやいや(笑)
土屋:ホントだよね(笑)
塙:予言者ですよ。
土屋:ぜったい取っておいたほうがいいよ、それ。
塙:取っとくよ!そりゃあ。
土屋:それは取っとくか、元々(笑)
塙:娘が落書きしようとしたんだから。マジでぶん殴ろうとして…細野さんからもらったアメも勝手に開けて舐めようとしたんだから。
H:いやいや(笑)
土屋:それはいいだろ(笑)アメはいいだろ、別に(笑)
塙:ダメだよ。あれだって賞味期限切れたって俺はずっと取ってあるんだから。飾って。
H:飾るんだ…滅多なものはあげられないな、君に…(笑)
土屋:(笑)
塙:いやー、そうですか。書いたことはぜんぜん忘れて…
H:それはね、別に意識してないですね。ビックリだね。
塙:そうですか…
土屋:へぇ…
塙:週末…あ、子供の頃の、学生時代の週末というのは…
H:学生時代の週末は休みだからね。
土屋:そうですよね。ありますよね、「週末」というものが。
H:週末はやっぱり、映画観たりね。そんなことをやってたんじゃないかね?
塙:もちろん東京のどこか…銀座とか。
H:あのね、小学校のときは友達と都電に乗って、白金から日比谷まで。一直線ですよ。5番線っていうやつに乗って行くと、日比谷の映画街に着くんで。
土屋:へぇ。あ、都電がこの辺から日比谷に行ってたんですね。
H:そう。目黒から永代橋まで。
土屋:あ、そうなんですね。
塙:映画館がいっぱいあったんですか?
H:日比谷はね。
塙:日比谷。今もなんか…
H:今も映画館ありますね。
塙:あそこら辺が、じゃあ…
H:ずっと…すばらしい建物があったの。日比谷映画劇場っていう。そこにしょっちゅう行ってた。西部劇観たりね。
土屋:そうなんですね。
塙:今はもう、無くなっちゃったんですか?
H:そこはないですね。もう、いろんな良い建物がぜんぜん無くなっちゃって。なんでこれ壊しちゃうの?っていうビルも壊しちゃうんですよね、東京って。
塙:たしかにそうですね。新しいものばっかりできて…
H:ぜんぜんなんか、街の景色にもう思い入れがないですね、最近。変わっちゃうから。
塙:なんか…週末どこか旅行に行ったりとか、地方に行ったりとかっていうのはあまりなかったんですか?
H:どうだったっけな…バンド活動っていうのはそういうメリハリがないですもんね、やっぱり。ツアーをやると…もちろん地方でね、過ごすけど。週末だから、っていうことはないんですよね(笑)
塙:あー、まあそうですよね。
H:どうしよう、ウィークエンド…
土屋:歌詞みたいですね(笑)「どうしようウィークエンド」、いいですね。
塙:もう、十分取れ高は録れたんじゃない?だってもう「Q.レストラン、ショップ教えてください」、これはもうヨシカミでいいですし。
土屋:あ、そうだラジオ…週末のラジオとか…
塙:だってもう、細野さんが週末にラジオやってますから…そういうことなのかな?「週末ラジオやってる対談」みたいな。
土屋:いや、たぶん「他の番組で聴いてるラジオは?」とかなんでしょうね。お気に入りのラジオ番組を教えてください、っていう。
H:あ、そういうのもね…車で移動してるときによくAMで…AMが好きなんですよ。
塙:あ、AMが好きなんですか。
H:なんか、音が好きなんですよね。
土屋:あ、違いますか?やっぱり。
塙:なんか古い音の…
H:そう、古い感じ(笑)それで…NHK、夜中だと「深夜便」とか聴いちゃうけどね。
塙:うんうん。
H:ああいうのが好きなんですよね。
塙:そうなんですか。
H:あと、ラジオで落語を聴いてたから。小さい頃から。
土屋:あー。
塙:みんな仰いますね。
H:おばあちゃんがそういうの好きで…すごく気持ちよかったんですよ。冬なんかはこたつに入って、上のほうにラジオがあってね、真空管の。志ん生さん(古今亭志ん生)とか圓生さん(三遊亭圓生)とかね。
土屋:いいですよね、ラジオで聴く…
H:すごいおもしろくて。しみじみと。
土屋:やっぱり寄席が好きなんですね。落語が。
H:好きだけどね。そっちの道には行かなかったんですけどね(笑)
塙:お笑いは行こうとは思わなかったんですよね?今まで。
H:いや、時々ね…「コメディアンになりたい!」っていう衝動が出てくるんだけど…
土屋:(笑)
塙:い、今でもですか?
H:今でもね。
塙:すごいですね、それ。
土屋:すごいですね(笑)
H:でもね、芸人の世界って厳しいから…でしょ?
土屋:いや、音楽のほうが厳しいんじゃないですか?(笑)
塙:芸人やってる人よりもミュージシャン目指してる人のほうが圧倒的に多いと思いますけど…
H:いやいや…(笑)どっちもどっちなのかな?じゃあ。いや、すごいじゃないですか、競争が。
塙:まぁ、そうですけどね…
H:テレビを中心に考えるとどうしてもね。テレビに出なくなっちゃうと忘れちゃうんだよね。昔とはそれが違いますよね。
塙:でも、芸人の場合はテレビで…例えばM-1グランプリとか、R-1ぐらんぷりとか。コンテストがあるので、必ず毎年みんなチャンスがある、っていうのはいいでしょうね。
H:あー、そうですね。
塙:音楽の場合はね、ないですもんね、チャンス。
H:ないですね。
土屋:おもしろければ優勝できる、っていうシステムがありますけど。
H:すごい賞金が出ますもんね。
塙:賞金、1,000千万円出ますしね。
H:すごいですよね(笑)それは真剣ですよね、みなさん。
土屋:真剣です、もう本当に…
塙:音楽って…音楽の仕組みがわかんないんですけど、どうやって売れるんですか?
H:僕に聞かないほうがいいですね(笑)わかんないんで…
塙:えー?
H:あ、売れちゃった、って思うしかないんですよ(笑)YMOとか。
土屋:売れちゃった、と思うしかない…(笑)
H:たぶんね、売る側の人たち…大人たちね。そういう人たちがいろいろ考えてるんでしょうね。
塙:あー…戦略というか。
H:そうそう。お金つぎ込んだし回収しなきゃ、とかね。やっぱり思うんでしょうね。
2人:へぇー…
H:だから僕たちはね、乗っかるだけなんですよ。ワールドツアーなんてやるでしょ?あんなお金…普通出来ないんですよ。お金かかって。
土屋:そうですよね。
H:で、プロデューサー連がね、レコード会社の。すごく志が高いっていうのかな。そのツアーをAクラスにしたい、と。例えばリムジンを用意したり、ホテルもB級じゃなくてA級にするとかね。良いツアーなんですよ。質がいい。だからお金、すごいかかってるんだろうな、と思って。
土屋:へぇ…
塙:それはでも、もちろん、売り上げからやられてるわけですよね。
H:そのときはね、売れてないんですよ。
塙:え。
土屋:じゃあ前に…
塙:売れるとわかってるから。
H:それをつぎ込む…賭けですね。ギャンブルですよ。
塙:音楽ってそういうことなんですね…
土屋:そうか、仕掛ける人たちがそれぐらい先に…
H:そうそうそう。だから音楽ってギャンブルですね。そういう意味では。ショウビジネスの中ではね。
塙:お笑いはぜったいないもんね、そういうの。
土屋:売れる前から、そんな…(笑)
塙:要するに、無名の曲をタイアップで使って、そこからバーン!ってテレビのエンディングで流して、「この曲はなんだ?」って後から売れさせる、みたいな。
H:そういうのはありますよね。
塙:いや、でもそういうことよりも単純に…もちろん曲がいいから、ということだとは思うんですけど。
H:基本はそうですよね(笑)それがないとね、売るほうもやる気が出ないですからね。
恋は桃色 New ver. - 細野晴臣
(from『HOCHONO HOUSE』)
2020.10.04 Inter FM「Daisy Holiday!」より
手作りデイジー🌼#12
(以下、すべてH:)
はい、細野晴臣です。もう10月になってしまいましたが…思えばですね、この1年を振り返ると、ずっとマスクをして毎日手を洗ってたような気がしますね。手の常在菌が悲鳴を上げてて。これでいいのかな、と思いますけど。まぁ、習慣になってしまいました。
そしてきょうも、また相変わらずなんですけど…ひとつのテーマではなくて、あれこれとやってみたいと思います。最初はですね、先月にかけた口笛の名手マジー・マルセリーノ(Muzzy Marcellino)の大ヒット曲というかな。クレジットされてなかったと思うんですけど。1954年の映画『紅の翼(The High and the Mighty)』という。これは僕、小学生のときに観ているんですけど。飛行機が墜落しそうになって、なんとか助かっていくというジョン・ウェイン(John Wayne)主演の映画でした。それではディミトリ・ティオムキン(Dimitri Tiomkin)作曲によるヴィクター・ヤング・オーケストラ(Victor Young and His Orchestra)で「紅の翼」、"The High and the Mighty"。
The High and the Mighty - Victor Young and His Singing Strings
Provence-The Bull Fight - Jean Prodromides
(from『Le Voyage en Ballon』)
いま流れてる音楽は1960年に制作された『素晴らしい風船旅行(Le Voyage en Ballon)』というフランス映画の音楽なんですけど。作ったのはアルベール・ラモリス(Albert Lamorisse)という…この方はですね、その前に『白い馬(Crin-Blanc)』、『赤い風船(Le Ballon Rouge)』という大変すばらしい短編を作った人で。その2本も幼稚園の頃に観てますけど。このアルベール・ラモリスさんはですね、その後…この映画の後ですね、空中撮影の事故で亡くなってしまいました。そして音楽はジャン・プロドロミデス(Jean Prodromides)という、あんまり多くは作ってない方ですけど、本当にすばらしい音楽だな、と。子供の頃から思ってました。そういえば、『銀河鉄道の夜』のアルバムを出した後にフランスから手紙が届いたんですね。妙齢の女性なんですけど、なんとこの「ジャン・プロドロミデスという作曲家を思い出させる」、と書かれてました。なんかうれしかったですね。その後、ラジオで…歌詞付きのポップミュージックとしてヒットしてたんですよね。それをやっと、最近手に入れました。レ・リフ(Les Riff)による"Le Voyage en Ballon"。
Le Voyage en Ballon - Le Riff
時代がガラッと変わりまして…かつてあった大恐慌とか、世界大戦とか。そういった不況の時代の音楽を集めてみました。最初はランブリン・ジャック・エリオット(Ramblin' Jack Elliott)が歌う、1927年にブラインド・レモン・ジェファーソン(Blind Lemon Jefferson)が歌ってました、"Rising High Water Blues"。
Rising High Water Blues - Ramblin' Jack Elliott
(from『A Stranger Here』)
次の曲はですね…ちょっと時代がまた飛んじゃいますけど、1947年にジェシ・アシュロック(Jesse Ashlock)が発表した"My Bank Account Is Gone"。僕がカヴァーしたのを聴いてください。
My Bank Account Is Gone - 細野晴臣
(from『Heavenly Music』)
次は"I Done Made Up My Mind"という曲。これも1947年、スワン・シルヴァートーンズ(Swan Silvertones)というゴスペルの…ホントに最初の輝かしいグループが歌ったものですが、ここではアーロン・ネヴィル(Aaron Neville)です。
I Done Made Up My Mind - Aaron Neville
(from『I Know I've Been Changed』)
感染が拡大しているというこの世界状況。これはどういうカラクリなんでしょうかね。そんな中で今の音楽家たちがどういう動きをしているのか。僕が思うに、彼らはとても内省的になってるし、とても静かな音楽をやり出してるように思うんですけど。まぁ、前からやってる人がだんだん脚光を浴びてるという側面もありますね。そんな中で…テイラー・スウィフト(Taylor Swift)[の新作『folklore』]に1曲参加している人物、ボン・イヴェール(Bon Iver)。これはバンド名なんですね。実際はですね、ジャスティン・ヴァーノン(Justin Vernon)という人がひとりでやっているようなところがあります。インディーズ的な動きをしてますけど、グラミー賞も獲ったり、非常に売れてる人です。それでは2016年に出た『22, A Million』というアルバムから、"45"。
45 - Bon Iver
(from『22, A Million』)
次はイギリスから、ジェイミー・ウーン(Jamie Woon)。今から5年前に出したアルバム『Making Time』から"Skin"という曲。
Skin - Jamie Woon
(from『Making Time』)
きょうの最後は…色んなアーティスト、例えばビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)などからとても尊敬されているというブルーノ・メジャー(Bruno Major)、"Regent's Park"。
Regent's Park - Bruno Major
(from『To Let A Good Thing Die』)
2020.09.27 Inter FM「Daisy Holiday!」より
H:こんばんは。細野晴臣です。えー…きょうはホントひさしぶりですね、また。
O:こんばんは。岡田崇です。
H:あー、いらっしゃい(笑)
O:ごぶさたしております。
H:このスタジオに来るのは2月以来…あ、そんなことないな。5月だ。
O:そうですね。その後…ジャケットの打ち合わせでチラッと。
H:あ、そうだ。何度も会ってるわ(笑)
O:(笑)
H:でも、こうやって録るのはひさしぶりだよね。
O:そうですね。2月…くらいからじゃないですかね。
H:そう。うん。いやいや、どうしてたか…っていうわりには会ってるからね(笑)
O:(笑)
H:だいたいわかってるんだけど…
O:まぁ、変わらないですかね。
H:変わらないね。岡田くんは特に変わらない。
O:もともと引きこもりなんで…(笑)
H:僕は多少出るほうなんだけどね。まぁ、秋になっちゃったよね。いつの間にか。
O:ね。ホントにもう、「もうすぐクリスマス」なんてのが…
H:冗談じゃなくなっちゃったよね(笑)
O:今年はもう、なかったことにしてほしいですね。
H:そうだね。2020年ってなかった年になるのかな。
O:みんなで留年すればいいんじゃないかな、っていう…(笑)
H:留年ね。じゃあ…1歳、年取らないでいいのかね(笑)
O:ね。みんなラッキー!みたいな。
H:みんなで決めればそうなるよね。
O:うん。全世界的に…(笑)
H:そうだ。さぁ、まぁどうなるかわからないですけどね。えー…音楽、かけていきましょうかね。
O:はい。
H:岡田くんが最近、また…仕入れてるわけね。
O:こんな中でも、まぁ…(笑)
H:(笑)
O:お店には行ってないですけどね。通販というか…
H:通販ね。ネットで買い漁ってるという…もう、癖だね。
O:そうですね。でも、結構届くのに時間がかかったりしますね。
H:なるほど。このリストを見るとですね、和モノがあったり、いろいろ…
O:そうですね。
H:ちょっとじゃあ、1曲聴かせてもらおうかな。
O:じゃあ、1曲目は…ラリー・アレン(Larry Allen)という。
H:知りません。
O:インディアナ州出身のピアニストでヴォーカリストなんですけど、米軍の方ですね。
H:なるほど。
O:1942年から米軍に従事して、楽団でピアノ演奏をしながら東南アジアのほうをずーっと回ってきて、東京にやってきて。
H:うん。
O:1950年…戦後、日本に来て、赤坂のゴールデン・ゲート・クラブという…
H:そんなクラブがあったんだね。
O:わりと有名なクラブだったらしいんですけど、そこで演奏をしてた方で…実況録音盤をSP盤とEPで2種類出していて。
H:よくまぁ、そんなものを手に入れるよね。
O:(笑)その中で"Japanese Rumba"をやってるのがあったので…
H:ほほう。聴きたい。
O:1956年の録音ですね。
Japanese Rumba - Larry Allen
(from『Recorded Direct From New Golden Gate Club, Tokyo』)
H:いやいやいや…自由だな(笑)
O:(笑)
H:いま何やってるんだろうね、この人は。
O:どうしてるんでしょうね。1970年に香港で演奏してる、っていうのはYouTubeに動画が上がってましたけどね。
H:ああそう。いやー、もう、戦後だね。
O:戦後ですね。
H:いやー…まぁ、そういう歌なんですけどね。じゃあ、ラリー・アレン…もう1曲あるんでしょ?
O:あ、はい。聴いてみましょうか?せっかくなんで。
H:うん。全部かけちゃわないとね(笑)
O:"Papa Loves Mambo"。
H:"Papa Loves Mambo"ね。
Papa Loves Mambo - Larry Allen
(from『Recorded Direct From New Golden Gate Club, Tokyo』)
H:なるほど…ますます自由だね(笑)
O:(笑)
H:気楽な商売、っていう感じ(笑)この人はアフリカ系だよね?
O:そうですね。
H:ジャケットをさっき見せてもらったらすごい、おもしろいジャケットですね(笑)
O:(笑)
H:クラウン(clown, 道化)みたいな…
O:「Clown Prince」って書いてありますね。
H:ベースを弾いてるのは日本の方ね。
O:鈴木勲さんという…有名な。
H:有名ですね。
O:渡辺貞夫グループとか…まだご存命。
H:あ、そうですか。
O:当時、米軍キャンプを回り始めた頃なんだと思います。初期の。
H:なるほど。もう、日本の芸能の原点だね、ここら辺は。
O:ね。
H:いやー…これに対抗できるもの、ないなぁ…(笑)どうしよう。
O:(笑)
H:えーとね…これなに、DJ合戦なの?(笑)
O:いやいや、別にそういうわけでは…(笑)
H:まぁじゃあ、ラテンというところで、HISの…
O:おお。
H:ペレス・プラード(Pérez Prado)の曲をやってるんで、"恋のチュンガ"。自分で歌ってますが。
恋のチュンガ - HIS
(from『日本の人』)
H:いやいや…これはひさしぶりに聴いたな(笑)
O:いいですね。
H:HISね。もうちょっとやってみたかったですけどね。うん。
H:さぁて。どうしようかな…
O:(笑)
H:秋はどうやって過ごすか。どっか行くの?
O:いや?
H:(笑)
O:行かないですね(笑)
H:行かないね。
O:んー、まだまだ…
H:うん。世の中でツイン・パンデミックとか言ってる人もいるよね。
O:はいはい、インフルエンザと。
H:2つ来るってね。おどかすよね。
O:ねぇ。
H:収まりそうになるとおどかすっていう。
O:でも、すぐみんな油断するから…(笑)
H:もう全然、いま世の中油断だらけだよ(笑)
O:ね、結構混雑してましたよ、きょうも。
H:でしょ?車も人もすごい多いよ。連休…今ね、ちょうど連休中に録ってるんですけど。
O:はい。
H:連休なのに人が多い。みんな[遠くに]出ないから(笑)
O:都内で(笑)
H:そんな感じで日々を暮らしてるわけですけど…じゃあ、音楽を聴きましょうか。
O:じゃあ…続いて、柳沢真一(柳澤愼一)さんの…
H:うわー!(笑)
O:"イスタンブール"を(笑)
H:柳沢真一、知ってる人いるかな?(笑)
O:いるんじゃないですか…?
H:いや、僕ぐらいの[年代の]人は知ってるだろうけど。若い人は知らないよ。
O:今、87歳。
H:ご健在ですね。
O:ご健在で、浅草でまだ歌ってますよ。
H:ええー!よく知ってるね、そんなこと。
O:先月もやってて、10月も、たしか…浅草のHUBっていうパブで。
H:あのね、小学校のときに30分番組のコメディーがいっぱいあったのね。
O:はいはい。
H:その中によく出てたみたい。最初、コメディアンかと思って…
O:まぁ、コメディアン…そうですね。金語楼さん(柳家金語楼)とかエノケン(榎本健一)、ロッパ(古川緑波)とかから、かわいがられてて。
H:うん。そしたらあるとき歌い出して、ジャズを。良い声で。クルーナーなんだよね。
O:うんうん。柳沢さんも進駐軍のクラブを回ってて。
H:ああ、そうなんだね。そうか、ご健在なのうれしいな。ギャグを憶えてるんだよね。
O:お。
H:屋台じゃなくて…食べ物を売りに回ってるのね。
O:ええ。
H:「生あったかいゆで卵♪」とかね。
O:(笑)
H:「冷たぁいアイスクリーム」とか。食べ物の温度で声が変わるっていう(笑)
O:(笑)
H:そのギャグ憶えてるんだよなぁ(笑)
O:あれですよね、『奥さまは魔女(Bewitched)』のダーリン(Darrin Stephens)の吹き替えもそうですよね。
H:そうだそうだ。
O:それで一番知ってる人が多いかもしれないですね。聞き覚えがあるといえば。
H:そうだね。じゃあさっそく聴きましょう。なにを歌ってるんでしたっけ?
O:"イスタンブール"。
H:あ、そうだ。
イスタンブール - 柳沢真一
H:なんか、ちゃんとしてるよなぁ(笑)
O:(笑)そうそう、『メゾン・ド・ヒミコ』にも出てますね、柳沢さん。
H:…ちょっと待って(笑)あれ…?
O:老人ホームの中の…
H:そっか…なんだか、ボーッとやってたな…ちょっと気が付かなかったかな…そうだったんだ(笑)
O:そうなんですよ(笑)
H:いやぁ…現場は知らないしね。音楽はやったけど…
O:そうですよね(笑)
H:そうだったんだ…若い頃のイメージしかないんで、わかんなかったかも…ショック。なんで知ってんの?岡田くんは。
O:いやいや…(笑)
H:観てた?観てないよね?(笑)
O:当時は観てないです(笑)まぁ、戦後のこの辺のアメリカン・ポピュラーミュージックを日本語でやってるのを…
H:そうだよね。必ず出てくるよね。
O:そうですね。その辺、結構おもしろいなと思って。
H:なるほど。じゃあ、その流れでもう1曲どうぞ。そういう人いるでしょう。
O:じゃあ、池真理子さんの…
H:池真理子さんね。
O:"ボタンとリボン"を聴いてみましょう。
H:選曲がいいよね。
ボタンとリボン - 池真理子
H:いやー、おもしれぇ…なんか、エキゾチックだよね(笑)
O:(笑)
H:全然スウィングしないんだね(笑)
O:「バッテンボー(Buttons and Bows)」。
H:「バッテンボー」ですよね。これも小学校のときだからね。
O:「バッテンボーの歌」ですもんね(笑)
H:そうそうそう。なんでボタン&リボンが「バッテンボー」に聞こえるんだろうね(笑)
O:ボウ(Bow)ですからね。
H:そうだ。ボウだね。リボンじゃないんだ。小池真理子さん?
O:池真理子さんですね。
H:小池さんじゃなかった(笑)
O:(笑)
H:どんな人?ジャズ歌手じゃないでしょう、この人は。
O:僕ね、池真理子さんってあんまりよく…詳細知らずで。
H:そっか。発声がジャズじゃないもんね。
O:そうですね。
H:この頃よく…もっと前だけど、芸者さんがね。よく歌ってたよね。
O:そうですね。
H:赤坂小梅さんとかね。みんなこんな発声で。ブギウギ歌ってるんだよね、芸者さんが。
O:"三味線ブギウギ"とかね(笑)
H:そうそうそう(笑)で、「ンギウギ」って言うんだよね(笑)鼻濁音で。
O:(笑)
H:ちょっと気持ち悪い(笑)いやー、東京っぽいというかなんというかね…おもしろかった。
H:さて。これに対抗できるものはない。
O:(笑)
H:で、"Japanese Rumba"を見つけたんで。ちょっとめずらしいやつで…ん?もう時間?
(D:最後で…)
H:じゃあもう、これが最後の曲になりますが…ツイン・チューンズ(Twin Tunes)。どこの人か知りません(笑)
O:(笑)
Japanese Rumba - Twin Tunes