2018.11.11 Inter FM「Daisy Holiday!」より

 ここ最近でいちばんうれしかった出来事は前テーマの原曲を見つけたこと…

 

daisy-holiday.sblo.jp

 
 
H:こんばんは。細野晴臣です。ベースをやってます。今夜のDaisy Holidayは、都内のリハーサルスタジオからお送りします。では、ここからはいつものように伊賀航くんが仕切って…くれるということで…
 
「「伊賀航ショウ!」」
 
H:伊賀くん、よろしく!
 

∽∽∽∽(♪伊賀航ショウの前テーマ)∽∽∽∽

 

伊賀:あ、こんばんはー。伊賀航です。ベースを弾いています。…前回は…前回イギリス帰りで、海外での様々な出来事をおしゃべりしましたが、今回は、あれからみんなが何をやってきたのか、どんなことがあったのかを訊いていきたいと思います。では、バンドのメンバーを迎える前に…まずは、伊賀航の近況報告(フッフッフッ)…エコーです。

高田:(笑)

伊賀:発表…近況…最近あったおもしろい話…あるかなぁと思った…ら、ぜんぜん無いかと思ったんですけど、さっき(高田)漣くんに言って、教えてもらったおもしろい話がありまして…

高田:自分のことなのに…笑

伊賀:自分のことですけど、忘れてました(笑)えっと…でもこれ、自分でも笑いました。先日ですね、ピーター・バラカンさんの「LIVE MAGIC」っていうフェスに漣くんのバンドで参加、させて頂きまして。んで、ライヴも終わって、さて帰るか、ってなって。みんなで地下の駐車場に向かって。エレベーターで降りて。で、事前精算機で精算しようと思ったんです。んで、前に一般のお客さんがいて並んでて、その人いなくなって、じゃあ、って言って漣くんが精算して通って。で、「次、伊賀さんどうぞ」って(伊藤)大地くんも譲ってくれて。自分で駐車券入れて精算しようと思ったんですけど、それがなかなか精算できなくて。え、なんでだなんでだ、と思って。何回も入れたり出したりしてたんですけど、入んなくて。おっかしいなぁ、と思って…(笑)見たら…前の日使ってた駐車券を…

大地:タイムズの?(笑)

伊賀:事前精算機に入れてしまってて…そんで弾かれてて…(笑)

高田:伊賀くんさ、あの時もちゃんと聞きたかったんだけど、なんで前の日の駐車券が次の日に履いてるズボンのポケットに入ってんのよ(笑)それ着てライヴやってたよね。

伊賀:そう、それ着てやってた(笑)

高田:(笑)

伊賀:それ着て…昨日とおんなじ服…ズボン…

H:そういうことだ。

伊賀:そうです(笑)

H:パンツは換えたの?

伊賀:パンツはかろうじて…

H:裏返しか。

伊賀:それはご想像に…

H:はい。想像したくない。

高田:(笑)

伊賀:ですよね(笑)そう、そうなんです。それはなんでかって言うと、ズルいのは前の日の駐車場で駐車券がいらなかった、っていうことなんですよ。だから、余っちゃったの、駐車券が。それをポケットに入れてしまった。

H:あんまりおもしろくない(笑)

一同:(笑)

伊賀:まあ、まあ。ま、そんなことがありました、と。えーと、どうでしょう?

H:誰に振ったの、いま(笑)

高田:すごい雑(笑)

大地:「どうでしょう」ってのは、おもしろかったのかおもしろくなかったのかを…

伊賀:そうですね(笑)あんまりおもしろくなかった、ってことで…

H:それにしては長かったね、んー。

伊賀:長かったですね(笑)えー、では…「最近聴いている音楽を訊いてください」。えーと…

H:聴いている音楽を訊いてください…伝言ゲームみたいだね(笑)

伊賀:そうですね…じゃあ、あの…訊きます。

H:なんだろ。

伊賀:最近、実は地味にですね、レッド・ツェッペリンLed Zeppelin)が自分の中で流行ってまして。

H:本当?すごいね。

高田:めずらしいね(笑)

伊賀:めずらしい、空前の…それはなんでか…なんでかっていう話は別にいいか。

H:(笑)

伊賀:あの、聴いたからなんですけど。じゃあ、曲はですね…レッド・ツェッペリンの"Misty Mountain Hop"っていう曲。好きで聴いてるんで、聴いてください。

  

 
Misty Mountain Hop - Led Zeppelin
 (from『Led Zeppelin IV』)
 

伊賀:では、ここで改めてメンバーの紹介をしましょう。えー……では…

H:早くして!(笑)

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇(ジングル)◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

伊賀:では(笑)お一人ずつ、最近あったおもしろい話をしていただきましょう。まずは…じゃあ…ま、まずは…じゃあ…えー、漣くん。お願いします。

高田:はい。ん、何を?

伊賀:えっと、おもしろい話!

高田:おもしろい話…

伊賀:あるでしょ。

高田:おもしろいかどうかはわかんないですけど、僕ここんところずっと、自分のアルバムやらなんやらのずーっとレコーディングで。で、よく考えたら伊賀くんと大地くんと(野村)卓史くんと、ライヴもこないだあったし、ずっと一緒にいて。伊賀くんの普段のいろんなことに慣れてきちゃったったっていうか…

伊賀:慣れてきた…いやいや、なんにも無いじゃないですか(笑)

高田:いやいやいや(笑)もう、日々ありすぎるからさ…もう、アレですね、耐性がついちゃった。

伊賀:耐性がついた…おもしろくなくなってきた?

高田:うん。なんかもう、普通にスルーしそうになるっていうか。いっぱい日々、いろんなこと起きてるんですけど、もう見逃しがちになっちゃってる。

伊賀:でもね、あの…駐車場のこと気づいてもらってよかったですよ。あれ、漣くんが気づかなかったら、ずーっとあれ入れてたと思うんです、昨日のチケットを…

高田:明らかに色違ったからね(笑)あの後に払おうと思って…僕らは割引チケットみたいのを貰ったじゃないですか。あれをまた…同じところに入れればいいのに、伊賀くん今度はそれを違うところに入れようとして…

大地:お札のところに…

高田:お札のところに入れようとして、ずっと入れてて、他のお客さんが並んできちゃって…(笑)そんなところですかね。

伊賀:じゃああの、1曲お願いします。

高田:じゃあ、えっと…トミー・ドーシー楽団(Tommy Dorsey & His Orchestra)の"Opus One"という曲を。

  

 
Opus One - Tommy Dorsey & His Orchestra
 

 

伊賀:じゃあ、次はですね…伊藤大地くんに、おもしろい話を…

大地:はい。

伊賀:ちょっと、笑わしてもらっていいですか?

大地:(笑)え、伊賀さんが笑わせられなかったからっていうことですか?

伊賀:そうです、僕の…そうそうそう。

大地:いや、おもしろい話ね、パッと言われると困るんすけど…自分的におもしろかった話。あの…生活クラブっていうのに入ってるんです。

H:なんだそれ?

大地:なんか、生協です。

H:あー。おじいちゃんみたいだ。

大地:はい(笑)家でずっと母親が使ってたから俺も…

H:へえ。

大地:それってまあ、チラシが入ってて、いろいろ毎週頼むんですけど。そこのチラシに出てた商品で、サンダル?真中に引っ掛けるところがついてて、履くと…履いて出るときにまたどっちからでも履けるっていう…

高田:あー、両方向から履けるサンダルね。

大地:はい。要は、後ろから…後ずさりして出なくてもいいサンダルっていうのがあったんですけど、それ俺、高校生の時に自分で…こういうサンダル作ったらいいのにって思ってたサンダルが…

H:発明家だね。

大地:もう商品化されてた、っていう…まあ、おもしろくないか…(笑)

伊賀:それはいい話ですね(笑)

大地:すみません、もう、手短に済ませますけど。

伊賀:あのー、もっとね、その時、年取ってたらね…特許取ってたら…

大地:(笑)いやー、特許取ってればよかったなぁ、っていう…

伊賀:そうそうそう。大金持ちになってたかもしれないですもんね。

大地:サンダルで…

伊賀:ひと儲けしてたかもしれない…

大地:サンダルで家建てられたかなぁ…

伊賀:うん…さて、じゃあ、大地くん。

大地:いい切り返しですね…(笑)

伊賀:1曲、じゃあ…

大地:1曲…最近聴いてるのはですね、SUMMER SONICに今年出た時にですね、その時初めて自分は知ったんですけど、セント・ヴィンセント(St.Vincent)っていう…の、今年出たアルバムの中から…なんか、ピアノと歌だけのアルバムみたいのが出たんですけど、その中から"Savior"という曲を聴いてください。

  

 
Savior - St. Vincent
 (from 『MassEducation』)
 
 

▼△▲▽▼△▲▽(ジングル)▼△▲▽▼△▲▽

 

伊賀:えー…じゃあ、次はですね、野村卓史くんに。

卓史:はい。お願いします。こんばんは。

伊賀:あ、こんばんは。

卓史:えー…最近あったおもしろい話ですか。おもしろいかどうか、わかりませんけど…

伊賀:ぜったいおもしろいでしょ。

卓史:いや…(笑)

大地:相当おもしろいと思います。

卓史:おとといちょうど、大地と一緒にやってるグッドラックヘイワでライヴがあったんですけど。まあ、ちょうどツアーが終わって、ツアー直後にイベントに誘ってもらって…めずらしいイベントで。サンリオピューロランドの深夜イベント、オールナイトイベントっていう…

伊賀:に、出たの?

卓史:出たんです。

伊賀:八王子ですか?

卓史:多摩センターのほうですね。僕も娘いるんでよくサンリオに行ってたんで、おお、サンリオのキティちゃんとかと同じステージに立てる、ってずいぶん盛り上がって行ったんですけど。僕らがやるステージとは別にダンスフロアみたいなのがあって。で、俺らがライヴやってたんですけど、裏が「DJハローキティ」っていう…キティちゃんがDJをやるっていう、いわばその夜一番盛り上がる…大スターですよ、サンリオの…

伊賀:主役ですよね。

卓史:スターがやる真裏で、俺ら。

高田:(笑)

卓史:で、行ったんですけど、なかなか始まった時はさびしい雰囲気で…でもがんばってライヴしました。はい。

伊賀:あっ…

卓史:がんばってライヴをしたっていう話です。はい。

伊賀:あっ……ハハッ。

一同:(笑)

伊賀:おもしろかった。

卓史:で、俺も観たかったっていう。DJハローキティがなにを流すのか。

伊賀:あー、それはぜんぜん聞こえなかった?

高田:だって演奏してるんでしょ?(笑)

一同:(笑)

伊賀:そうだよね。それは残念でしたね。

卓史:そうですね。

大地:まあ、残念なほど(客入りが)少なくはなかったんですけど、もうDJハローキティの人気がすごくて…グッドラックヘイワ敵わなかった、っていうとこすかね。

伊賀:んー…だから、あれじゃない?卓史くん、もうDJハローキティの格好してピアノ弾く…

卓史:俺自身がですか?(笑)

伊賀;そうそう。で、「(本物は)どっちだ?」みたいな感じになってれば…

高田:(笑)

大地:2人組で、片っぽハローキティで俺は素のままで…(笑)

高田:で、ドラムとピアノって…(笑)

伊賀:サポートだから…(笑)

大地:初めて見た人を混乱させていくスタイル…なるほど。

伊賀:はい。ありがとうございました。じゃあ、1曲。

卓史:あ、1曲…はい。あんまり詳しくはないんですけど、ボニー・プリンス・ビリー(Bonnie 'Prince' Billy)という人の"The Curse"という曲が、すごく最近聴いてカッコよかったので、聴いてください。

  

 
The Curse - Bonnie 'Prince' Billy with The Roots of Music
 

 

www.puroland.jp

 

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伊賀:さて、伊賀航がお送りしました今週の伊賀航ショウ。いかがでしたか。来週も続きをやる予定です。お楽しみに。ではまた来週~

 

 

 

2018.11.04 Inter FM「Daisy Holiday!」より

 

 
H:はい、細野晴臣です。こんばんは。
 
????:こんばんはー。
 
H:わー、すごい。女子4人。20代。ピチピチ。
 
????:(笑)
 
H:圧倒されます。えー、チームOK…でいいの?
 
????:そうです。OK!
 
H:ちょっと、じゃあね…自己紹介してって。
 
佑果:はい。水原佑果です。
 
茂木:初めまして、茂木モニカです。
 
酒井:初めまして。酒井いぶきです。
 
希子:こんにちは。水原希子です。
 
H:はい。水原姉妹と、デザイナー…いぶきちゃん。
 
酒井:はい、そうですね。
 
希子:はい。デザイナー兼、モデルもやってるし、多彩な…
 
H:かわいらしいよね。
 
酒井:ありがとうございます。
 
希子:あれ、U.F.O. CLUBの…
 
酒井:U.F.O. CLUBで働いてます。ライヴハウスPAやってます。
 
H:PAやってんだ。すげえ。多彩だな。あと、モニカさん。
 
茂木:はい。
 
H:カメラ…
 
茂木:はい。フォトグラファーとdirector…
 
H:映画も?
 
茂木:はい、英語の方が得意です。
 
H:映画だよ、映画(笑)
 
茂木:あ、映画…(笑)そう、これから映画をつくったりしてて…あと、OKのArt Directorの感じです。
 
H:あ、そうなんだ。いろんなことやってるんでしょ?チームOK。
 
希子:そう、OKというブランドを去年…ブランドっていうよりはプロジェクトっていう感じになってきてるんですけど。すごい実験的なプロジェクトをやっていて…
 
H:うん。
 
希子:で、OKはチームワークじゃないと成立しないので、もう、この中で一人でも欠けたら、OKというものは成立しないっていうぐらい…
 
H:バランスがいいんだ。
 
希子:そう。大切な仲間達です。
 
H:へえ…希子ちゃん・佑果ちゃん、こないだテレビの収録、ご苦労様でした(笑)
 
佑果:ありがとうございました(笑)
 
希子:もう、ホントになんか…
 
H:大丈夫だった?
 
希子:大丈夫っていうより…もう、私生きててホントによかったって思いました。
 
佑果:同じく。思いました。
 
H:え、ホント?だってさ…芸人と一緒に踊ったりしたじゃない。
 
佑果:はい。筋肉痛になっちゃいました(笑)終わった後…
 
H:でしょ?(笑)
 
希子:♪ナナナナー、ナナナナー…
 
H:そう。胸毛付けて…
 
希子:胸毛付けましたね!
 
H:抵抗ないわけ?(笑)
 
希子:いや、抵抗…が…あるかないかって言われると…(笑)
 
H:そりゃああるよね(笑)
 
希子:あります(笑)けど…
 
H:でも、おもしろい方が勝っちゃったんだね。
 
希子:はい。しかも、本家の方よりも胸毛が圧倒的に多いっていう…衝撃的な。
 
佑果:濃い目だった。
 
H:いやー、あの踊り上手かったよ、ふたり。
 
佑果:ホントですか?
 
H:僕できないよ、あれ。クセが強すぎて。
 
希子:たしかに。
 
佑果:リズムをとるのが難しかった。
 
H:♪ナナナナー…
 
姉妹:♪ナナナナー、ナナナナ次はハチー。
 
希子:♪いきなり出てきてごーめーん。
 
姉妹:♪まことにすいまメーン。
 
H:よくやったね…ホント、よくやってくれたと思うよ。
 
希子:いやー、もうハマっちゃって…あれはやっぱり見てるのと実際にやるのとぜんぜん違う…
 
H:そう、違う。やると難しい。
 
希子:やると難しいけど、なんかアドレナリンが出てきて…
 
H:なんか癖になってない?大丈夫?
 
希子:あ、もう忘れちゃいました。
 
佑果:私は今だに覚えてて…(笑)友達に披露しちゃいます。そしたらみんな大ウケしてくれて…私の特技になっちゃいました。
 
H:自分の芸になるよね(笑)宴会芸。
 
佑果:マスターしました(笑)
 
 

H:さあ!きょうは4人もいるから、みんなで話して(笑)
 
希子:みんなで話しますか!
 
H:で、曲をかけて。一人1曲ずつ。まずはじゃあ、曲を…佑果ちゃんからかな。
 
佑果:じゃあ私から。私はシ-ナ&ロケッツさん。
 
H:お。
 
佑果:細野さんが作曲された"Indian Heart"を…たまらなく好きで…!
 
H:あれ、僕も好きなんだよ。
 
佑果:いやー、もう…ホントにいつ聴いても心地がよくて。
 
H:シーナがなんか、声がすごいしね。
 
佑果:ね。セクシーな…そしてカッコいいメロディが…
 
H:じゃあちょっと聴きましょうか。SHEENA & THE ROKKETSで"Indian Heart"。
 
 
Indian Heart - SHEENA & THE ROKKETS
 (from『@HEART』)
 
 
H:なんの話してたの、いま。英語でなんか話してたでしょ。
 
希子:インターネットの話を。
 
茂木:あ、この曲はいつ作ったの、って訊いてて。細野さんに。
 
H:そう、インターネットがホヤホヤの頃に作った音楽だから(*1997年発表)。なんか思い出があるわけ?インターネット。
 
希子:インターネット…私が最初PCを使ったのは…小学校入ったくらいかな?お父さんがビジネスとして使ってたのを、私はゲームとして使いたくて。ゲームとして使ってたら…やっぱまだ古かったからバグったりとかして、お父さんにすごい怒られたっていう思い出がある。
 
H:怒られてたんだ。
 
希子:いぶきちゃんはいま21歳だけど、インターネットの最初の記憶は?
 
酒井:私もインターネットっていうか、PC?初めて使ったのを憶えてるのは…近所に児童センターがあって。で、私は両親が共働きで、学校終わったら児童センターに一人で遊びに行ってた。で、その時に…夕方になるとみんな帰っちゃうんだけど私の家は帰ってもお父さんお母さんいないから、もう児童館が閉まるまで遊んでたんだけど。最後のほうになるとパソコンが空くから…パソコンでみんなゲームをやるんだけど、けっこう取り合いみたいになっちゃうから、最後のほうまで残って…なんか、タイピングのゲームやってた。ゾンビを倒す…
 
希子:(笑)
 
酒井:ゾンビが近づいてきてて、「Z」とか「Y」とかなったら「Z」とか「Y」を探して、(キーを)押すとちょっとゾンビが離れてく…みたいな。そういうのをやってた。それくらいかな。最初の思い出は。
 
希子:そっか。モニちゃんは?
 
茂木:私きょうだいいないから、いつも一人でコンピューター、インターネットがぜんぶ…
 
希子:使い放題?
 
茂木:うん。なんか、MSMメッセンジャーを憶えてる。Hotmailのチャットルームみたいな。
 
H:あったね、そういうの。
 
茂木:7年生の時にそのメッセンジャーで…私、基地の学校に行ってたから…
 
希子:米軍基地?
 
茂木:米軍基地同士で…会ったことなかったけど、他の基地の男の子と話してたの。MSMメッセンジャーで。で、会ったことなくて…2年あとぐらいに死んじゃったの。その男の子が。
 
H:え?
 
茂木:毎日話してたの、ホントに。急に…
 
希子:でも私もいちばん最初に好きになった男の子死んじゃった。
 
H:みんな経験豊かだな。
 
希子:それは小学校1年生の時に、入学してその子としか遊んでなくて。いつも追いかけっことかしてたんですけど。夏休み終わって学校にいないから、なんでいないのかなと思ってお母さんに訊いたら、海の事故で亡くなっちゃった、っていう…すごい暗い話になっちゃった(笑)
 
茂木:ごめん、暗い話に…(笑)
 
 
 
希子:細野さんはインターネットの最初の記憶はなんですか?
 
H:えーとね…サンフランシスコにレコーディングに行ったときに、スタンフォード大学の卒業生で…「Contents! Contents!」って言いだした人がいたわけ。日系の人で。彼がインターネットの使い方を教えてくれて。
 
希子:えー。
 
H:まだ、ほんとホヤホヤ。
 
希子:2000年になる前?
 
H:なる前かな。うん、1990年代。それで(日本に)帰ってきて、自分もプロバイダーに入ったりして、始めたんだけど…なんだか最初はあんまりよくわかんなかった(笑)だからあんまり使えなかった。
 
茂木:いまはインターネット、どう思ってる?2018年。
 
H:いまは…四六時中つないでるから(笑)無くてはならなくなっちゃってるな。
 
佑果:そうですね…
 
H:とくに音楽とかね、YouTubeとか。絶対、毎日聴いてるから。みんなそうでしょ?
 
茂木:そうです。みんなそうです。
 
佑果:YouTubeは毎日…
 
H:YouTubeで音拾ってるもんね、佑果ちゃんは。
 
佑果:はい(笑)中学生の時からずっとYouTube…もう、放課後家帰ってインターネット開いて、YouTube。ずっと、エンドレスで聴いてた。
 
H:あ、そう(笑)
 
希子:でもさ、いま子どもとかもみんな勝手に開いてYouTubeとかでずっといろいろ見てるじゃないですか。
 
佑果:そうだね。
 
H:やってるよね。
 
希子:やっぱりYouTubeって言ってもすごい情報量だし…だから次の世代の子たちはめちゃめちゃ賢い…インテリな子たちがいっぱい出てくるんじゃないかなって思ってます。
 
H:僕は孫がいるんだけど、いろんなこと知ってるよ。物知り。もう、役に立たないことばっかりだけど(笑)なんでも知ってる。ぜんぶそれはYouTubeとかね。そういう…
 
茂木:でも私はちょっと問題と思うのは、いまの若い人はインターネットのinformationですぐ信じちゃうじゃん。
 
H:そう。いや、いろんな問題あるよ。そりゃあ。
 
茂木:ね。ちゃんとしたfactとか。politicalなことでも…
 
H:そんなものはね、無いよ。たぶん。ぜんぶフェイク…フェイクとまではいかないけど、ネタ元が無いんだよ。もう拡がっていく。拡散してるだけで。
 
茂木:誰が裏にいるか、知らないしね。コメントしてる人とか。
 
希子:そう。でも昔もさ。インターネットがいまみたいに普及してない時でも…たとえば、メディアが出すフェイクなニュースとか、みんなそれを信じてたから。人間はつねにそういう立場にあるっていうか。
 
H:わかってるね…頭いいね。
 
希子:(笑)だからやっぱり、ある意味、インターネットがあることによって、ウソの情報もあるけど、それを(真偽を)調べることもできるし…そういう意味ではいまインターネットがあることは、私たちにとっては、昔よりもいいんじゃないかなぁ。
 
H:うん。自分が鍛えられるよ。自分の判断が試されるじゃない。
 
希子:そうですね。
 
H:だから、ダメな人はダメになっちゃうっていう…(笑)
 
希子:結局そういうことですね。人間は。
 
佑果:どう生きるか。
 
H:いつもこんな話してんの?
 
佑果:けっこうこういう話します(笑)
 
H:ホント?(笑)
 
茂木:いつもphilosophyだね。
 
H:これはね、男の子負けるだろうね(笑)
 
一同:(笑)
 
H:オッケー、オッケー。
 
 
希子:そろそろ音楽、次のいきましょうか。
 
H:茂木モニさん、モニカさん。
 
希子:モニカが紹介する曲はちょっと難しいタイトルで…
 
茂木:読めない…一週間前くらいに探した曲で、でもそれから毎日聴いてるから…いますごく好きな曲。
 
希子:名前は?(笑)
 
茂木:えっと…ユーゴスラビアからの、1974年…センカ・ヴェレタニック?で、曲の名前は…"ジョビ・オシ"かな?ぜんぜんわかんない(笑)「t・v・o・j・e」だから…
 
佑果:カッコいいね。
 
茂木:すごく好き。
 
H:聴いてみよう。
 
 
Tvoje Oci - Senka Veletanlić
 
 
 
H:ところで、みんながきょうここにいる理由があるわけだよね?
 
希子:そうです。次の細野さんのツアーのグッズを…
 
H:グッズを頼んだの。チームOKに。
 
希子:わー!夢です(笑)
 
H:いま一番旬な。ね、そうでしょ?
 
佑果:はい、そうです!旬なクリエイティヴ・チームです(笑)
 
希子:すごい、あの…きょうはスタジオにみんなでお邪魔して…
 
H:いろいろ、カメラでね。撮ってくれたり。16mmをモニカさんが持ってきてくれたりして。
 
茂木:そう。ちょっと映像を撮って…ね。
 
希子:公園に行ったりね。
 
H:で、それをいぶきちゃんが…
 
酒井:はい。
 
H:いろいろ加工したりして。
 
酒井:はい、デザインをさせて頂く…
 
H:グッズが出来てくるの楽しみだね。
 
希子:Tシャツと…あとは、エコバッグだったかな。
 
酒井:そう。いろいろ作りたいと思ってて。缶バッヂも作るんですけど、缶バッヂは私がおうちで作ります。ガシャンガシャンって。
 
H:あ、そうなの?家で作ってるんだ。
 
酒井:あの、このために業務用の缶バッヂマシンを買いました(笑)
 
H:買ったんだ(笑)
 
佑果:楽しそう…
 
酒井:で、佑果ちゃんが協力してくれるから…
 
佑果:300個。そうそう。
 
酒井:作ります。
 
佑果:イエーイ。
 
H:楽しみだね。
 
希子:すごい楽しみです。仕上がり楽しみにしてます。ちょっとライトがまぶしかったのは…ごめんなさい。
 
茂木:申し訳ないです。
 
佑果:スタジオが暗かったから…
 
H:写るのはあんまり好きじゃないんだけど、まあしょうがないからね。うん。
 
 
 
希子:次のツアーはどういった内容のツアーなんですか?すごい楽しみにしてます。
 
H:あのね…正直言うと、わかんない(笑)
 
希子:そっか…(笑)
 
H:いまやってる作業が、ひとりでやってるって言ってるから…みんなザワザワザワってするの。ひとりでやる、って。今まで20年ぐらいバンドでやってたでしょ。
 
希子:あ、そうですよね。
 
H:ひとり篭って。このスタジオに。打ち込みやったりね。
 
佑果:すごいです…
 
H:それで、自分はもう打ち込み系15年ぐらいやってないな、と思って。出遅れてて。勉強しなおしてる(笑)
 
希子:いや、でも、新しい新境地に…
 
H:そう。こんな歳になってそんなことやるとは思わなかったから。
 
希子:えー、でも、そういうところが細野さん、ほんとにカッコいいです。
 
H:いやいや…(笑)ほんっとに悩んでるんだから…
 
希子:そうですか?(笑)でも、こないだチラッと聴かせて頂いた時に…打ち込みだったりとか、テクノっぽいのもやりたい、って、こないだ仰ってましたよね。
 
H:そうだよ。もともとそういう人間だったから…何十年とそれやってたから。
 
佑果:そうですよね。
 
希子:じゃあ、そういう要素が次回のアルバムは…
 
H:またね、それに一回戻ってるだけなんだけど、何年もやってないからほんっとに、時代遅れになってるんだよ。自分がね。
 
希子:いや…
 
H:ホントだよ。20代の頃はああいうことやってて、周りから「10年早い」とか言われてて。つまりなんだ、いまの人は聴く耳が無い、っていうか。その時代のね。まあ、皮肉に言われてたの。いま自分で思うのは、「10年遅い」。
 
希子:そうなんですか?(笑)
 
H:そう言っておこう(笑)
 
希子:私はでも、そう思いませんけど…
 
H:じゃあまあ、がんばるよ。期待に応えないといけない。
 
佑果:ホントに楽しみ…
 
希子:ぜひライヴにはOKチームで行かせてください。
 
H:ぜひぜひ。
 
希子:また追っかけやります(笑)
 
H:そういう人がいると張り合いがあるからね…(笑)
 
希子:よかった(笑)
 
 
 
H:じゃあね、えっと…PAやってるいぶきちゃん。
 
酒井:はい。私が働いてるライヴハウス東高円寺にあるU.F.O.CLUBっていうハコで。そのハコは元ゆらゆら帝国坂本慎太郎さんが内装をやってるんですよ。ペインティングしたりとかしてて。私、坂本慎太郎さんがすごい好きで。で、つい4日前にライヴ観に行ったんですね。で、きょうは坂本さんの曲を流そうと思って。はい。"やめられないなぜか"っていう曲です。
 
 
やめられないなぜか (Why Can't I Stop?) - 坂本慎太郎 (Shitaro Sakamoto)
 (from 『ナマで踊ろう (Let's Dance Raw)』)
 
 
 
H:じゃあもうね、時間がどんどん経っちゃった。
 
希子:足りないですね…
 
H:足りないね。今度またやってもらうから。月に1回やってくれっていう声もあるんで…(笑)
 
希子:ホントですか?
 
H:うんうん。
 
佑果:やりたい…
 
希子:もう、いつでも呼んでください!
 
H:ホント?じゃあもう、月に1回っていうのは、やるよ。
 
佑果:いま決まりました。録音されてるから…(笑)
 
H:いつも、番組の中で約束する、っていうのはあるんだよ。そうするとやんなくちゃいけない。
 
希子:たしかに(笑)
 
 
H:じゃあ、最後に…希子ちゃんに曲をお願いして、きょうはここで締めることになるね。
 
希子:はい、そうですね。では…あ、前、細野さんグッズをインターネットで購入した際に、たぶんその方が強烈な細野ファン…細野オタクで…
 
H:へえ。
 
希子:1997年にコシミハルさんと収録したラジオの音源を送って頂いたんですよ。
 
H:すごいマニアックな人だね。
 
希子:で、それがもう…それを聴いたんですね。その時にコシミハルさんが紹介してた音楽がありまして、それを聴いて私もすごく好きになったので、それを流したいと思います。ワリー・バダル(Wally Badarou)で"Mt. Fuji And The Mime"。
 
H:懐かしい…それじゃあみなさん、今度また会えることを楽しみにしています。
 
 
 
Mt. Fuji And The Mime - Wally Badarou
 
 
 

2018.10.28 Inter FM「Daisy Holiday!」より

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O:こんばんは、岡田崇です。今晩のゲストはINOYAMALANDのお二人。
 
井上誠:はい、INOYAMALANDの井上と…
 
山下康:僕は山下です。よろしくお願いします。
 
井上:きょうはよろしくお願いします。
 
H:僕もいるんだよ。
 
O:あと…細野晴臣さんです(笑)
 
H:よろしく(笑)
 
O:よろしくお願いします。
 
H:INOYAMALAND。えー、35年ぶりですよ。僕は。
 
井上:はい。たいへんご無沙汰しております。
 
H:いやー、年とったね(笑)お互いに。
 
井上:そうですね(笑)さすがに…
 
H:何度かしか会ってないですよね?僕は。
 
井上:そうですね。僕は…細野さんお忘れかも知れませんけど、2年前ぐらいに近所のスーパーでチラッとお会いして…
 
H:あれ?(笑)
 
井上:それで、ご挨拶だけはしました(笑)
 
H:ここら辺に住んでんのかな?
 
井上:ええ、うちの女房がすぐ近くなもんで、そこのスーパーで…
 
H:そうかそうか。でも、ぜんぜん顔憶えてないね(笑)
 
井上:そうですよね(笑)
 
山下:僕らは細野さんの顔は忘れようがないんですけど(笑)
 
H:そっかそっか(笑)アクの強い顔なんで。
 
O:YENレーベルでINOYAMALANDの『DANZINDAN-POJIDON』を出してから…会ってない?
 
H:会ってないですよ。
 
山下:そうですよね。
 
H:岡田くんはどういう関係でしたっけね。
 
O:今回『DANZINDAN-POJIDON』の「ニューマスターエディション」というのを出しまして…
 
H:そうですよね、これが出るんで来て頂いた、と…
 
O:そのジャケットを僕がやらせて頂いて。
 
H:当時のね、オリジナルの天気図のジャケットを…
 
O:奥村靫正さんのところにお伺いして、当時とものとは別のポジを探して頂いて。それを使って新しいヴァージョンのジャケットを作った。
 
H:で、CDが出て、今度アナログ盤も出ると。
 
O:そうですね、11月…ぐらいに…かな?
 
H:うん。えー、タスキ、というか帯にコメントを書かせて頂きましたけどね。
 
井上:ありがとうございました。
 
山下:お世話になりました。
 
H:いえいえ。「1980年代、ニューウェイブアンビエントのはざ間にはユニークな音楽があったのです。」と、まあ、書いたんですけど。どうですか、INOYAMALANDは海外から引き合いがあったり、したんですよね?
 
井上:ええ。4,5年前からあちこちから来るようになりまして。
 
H:やっぱりね。
 
井上:(海外の方からは)僕らはどこに住んでるのかわからないと思うんですけど、仲間に巻上公一という…
 
H:あ、ヒカシューの…
 
井上:彼のところに世界中のいろんなところから「INOYAMALANDというのを知っているか?」と。
 
H:へえ。
 
井上:「彼らはいまどこで何をしているんだ?」と。巻上くんのところにコンタクトしてきて…
 
H:すごいね、外国人って(笑)どうして知ったんだろうね。
 
井上:たぶん、最近のああいう…インターネットのアレだとは思うんですけど。
 
O:YouTubeとかね。
 
H:そうだな。んー。
 
井上:ずいぶん前からYouTubeにアップされてるんですけども、何年も動いてなかったんですよ(笑)
 
山下:ようやく来たんですよ。
 
井上:そう、急に動き出した(笑)
 
H:30年間…
 
井上:固まったままだったんですけどね。
 
H:これはすごいよね。
 
井上:それはすごい不思議に思ってます。はい。
 
H:こういう時代だから起こることだよね。
 
井上:そうですね。
 
 
 
 
H:えー、じゃあちょっと、ご挨拶代わりに曲を…ね。せっかくだから。かけて頂きたいんですけど…アルバム1曲目に入ってる"SHÜFFER"。どういう意味?
 
山下:や、あまり意味はなくて。いつも…僕らインストゥルメンタルなんで、いちばん困るのが…細野さんも経験あるかもしれないんですけど…
 
H:タイトルね。
 
山下:ええ。なので、テキトーと言ってはなんですけども、付けてしまったタイトルの一つですね。
 
H:でも、SHÜFFER(シューファー)という人がいるんですよね。あ、シェーファー
 
山下:それはたぶん…解説文には書かれているんですけどあんまり関係なくて…
*引用者註:井上氏による楽曲解説曰く「山下さんの好きなカナダの現代音楽作曲家マリー・シェーファーから」。
 
井上:音の響きが好きだという話…
 
山下:そうですね。できるだけタイトルから曲が連想できない方がいいかな、っていう風には思ってるんですね。
 
H:なるほどね。ひねくれてますね。
 
山下:ええ(笑)エリック・サティ(Érik Satie)の影響ですかね。
 
H:あー、そういう…じゃあ、どうぞ。
 
 
 
 SHÜFFER - INOYAMALAND
 ( from 『DANZINDAN-POJIDON』)
 
 
 
H:こういう感じで…ずっと続くわけですよね。この時代の音楽がね。
 
井上:そうですね(笑)
 
H:僕もやってましたからね(笑)当時僕はこういうのをYENレーベルで、YMOの後に…後っていうか、まあ同時期なんですけど、高橋幸宏とやってたんですけど。これ…INOYAMALANDの音を持ってきてくれたのが、上野くん(上野耕路)ですよね。
 
井上:はい、そうです。
 
H:上野くんとはどういう関係でしたっけ?
 
井上:彼がまだ8 1/2というパンクバンドをやっていた時に、ヒカシュー…あ、僕と山下くんもヒカシューのメンバーだったんですが…
 
H:メンバーだったんだ。
 
井上:そうなんです(笑)
 
山下:メンバーというよりも、実は僕らが作った…
 
H:あ、なんだ、そうなんだ。
 
井上:僕らが二人で始めたのがそもそもヒカシューだった…で、そこに巻上くんたちが入ってきてああいう形態のバンドに。
 
山下:実はINOYAMALANDも最初の名前はヒカシューだったんですね。で、こういう音楽やってたんです。
 
H:複雑だなぁ…(笑)
 
山下:複雑なんです(笑)なにかモノに書かれているのでそこを読んで頂ければ…
 
H:そうね。
 
井上:で、そのヒカシューも、それから上野くんの8 1/2というバンドも、アマチュアだった頃によく関西ツアーなんかを一緒にしてた。そういう仲間だったんです。
 
H:そうか…
 
井上:で、彼が1982年に細野さんのところで…『改造への躍動』でしたっけ。
 
 
井上:あれを出した縁があって、で、INOYAMALANDの曲を細野さんに聴いてもらおう、って上野くんのほうから提案してくれたんです。
 
H:ああ、そうなんだね。それで持ってきて、すぐリリース…ってなったんだろうね(笑)
 
山下:おかげさまで(笑)
 
O:ちょうどMEDIUMってレーベル…YENレーベルの中にMEDIUMっていうサブ・レーベルがあって…
 
H:中間音楽だね。
 
O:そこのアーティストを探してる感じだったんですかね。その時。
 
H:そうかそうか。あの、もう一組、いましたね。
 
O:Interior(Interiors)とTESTPATTERNと。
 
H:この、InteriorもTESTPATTERNも…いま出したらいいんじゃないかっていうね。話もありますよね。
 
O:ですよね。
 
H:その頃、1983年のリリースで…その頃岡田くんはどうしてたの?
 
O:中学3年生です。
 
H:(笑)
 
O:1983年の…8月ですよね。
 
H:YENレーベル聴いてたわけね。
 
O:YEN友会…ファンクラブの会員でした。
 
H:あ、そうなんだ(笑)
 
山下:最年少、じゃないですか?
 
O:大変だったんですよ。これの発売日が太田螢一さんの『人外大魔境』と、高橋幸宏さんの『薔薇色の明日』、同時発売だったんです。
 
H:そうなんだ。
 
O:ど、どれ買えばいいんだ…っていう(笑)中学生のお小遣いでは…
 
H:どれ買ったの?
 
O:INOYAMALAND(『DANZINDAN-POJIDON』)と『薔薇色の明日』を先に買って…
 
H:えー!意外(笑)で、後で太田くんのを買った…
 
O:そうなんです。
 
H:当時、高いもんね。
 
O:でも、このレーベルは安かった。2,200円でした。
 
井上:そうですね。少し買いやすい値段設定ですね。
 
O:幸宏さんのと一緒に買っても負担が少ない、みたいな(笑)
 
井上:5千円でお釣りがきた…
 
 
 
H:それで、「イノヤマ」という名前というのは井上さんと山下さん、と。
 
山下:そうですね。たぶん、その前ぐらいに…結局ヒカシューが別の形態になってしまったので、なんか付けないといけないじゃないですか。
 
H:うんうん。
 
山下:なので、僕らはヘンなアレで…「前期ヒカシュー」とかって言って、テクノになる前のヒカシュー、みたいな。そんな言い方してたんですね。
 
H:なるほどね。
 
山下:で、それはあんまりだって言うんで、「イノヤマ」という…で、いつの頃か、ヒカシューの中でも僕ら二人だけの仕事みたいのがあって。インストゥルメンタルの。ヒカシューという名前で仕事はしてるんですけども…
 
H:ヒカシュー集団だね。
 
山下:そうですね。みんな、巻上くんは巻上くんなりに仕事したりしてて。で、その時に僕らに来た時は、じゃあ今回はイノヤマで、と。井上くんと二人で…
 
H:使い分けてたんだね。
 
山下:はい。「じゃあ、イノヤマで行きましょう」と。なのでイノヤマで、あと「ランド」を付けて…
 
H:書いてあるところによると、目の前にディズニーランドのランドが…
*引用者註:井上氏による解説文曰く「そのとき山下さんが来ていた〔原文ママ〕トレーナーにDisneylandのロゴがプリントされていたので「じゃあランド付けよう。イノヤマランド」と、話はどんどん進みました」。
 
山下:あれもね、ちょっとね…当時を思い起こしてみるとそうじゃなくて…(笑)
 
井上:まあ、そういう話にしておくと分かりやすいので…よく着てたんですよ山下さん、たしかに。
 
山下:そうですね。まあ、ともかく昔のことなんで記憶は曖昧ですね(笑)
 
H:30年以上前だからね。その間、なにをやってたか。ちょっと発表してください、山下さん。
 
山下:はい。INOYAMALANDっていうのはそこでひとつ定着したので、おかげさまで…特に、早い時期だったじゃないですか、環境音楽とか。のっけどころだったんで、一応…動かなかったんですけども、知る人の間では「環境音楽のINOYAMALAND」っていう風に浸透してたので、その後始まった…商業施設での環境音楽の仕事が来るようになりまして。
 
H:あー。そうだよ、当時ね、まだアンビエントっていう名前があんまり出てない頃に…たとえば青山のビルから僕のところに来て相談して…店内音楽はどうしたらいいんだ、っていう。それはもう環境音楽だろう、とかね(笑)そういう時代でしたよね。
 
山下:そうですね、そういう流れが…なので、レコードには…盤にはならなかったんですけども、いろんな博覧会…当時はありましたよね。
 
H:あったね。いっぱいあった。
 
井上:あと、美術館だとか。博物館とか。
 
H:僕も頼まれたこと、けっこう多いからね。そうか。
 
井上:それでなんとか、今までこう…やってきて。じゃないと結局、アルバム1枚出していつの間にか消えちゃった、っていうことになってたのかもしれないですね。
 
H:消えてなかったね!すばらしいね。
 
井上:ええ、よかったです。
 
H:それはいつも二人で、ずっと?付かず離れず。
 
井上:そうですね。たぶんあの…彼と知り合ったのはそれこそヒカシューの結成…する前だから…
 
山下:40年、41年…
 
井上:ぐらいになりますね。
 
H:そう。
 
山下:で、お互いにこう…癖(ヘキ)を知っているので、その癖をうまく利用しながらやってこられたような感じですね。
 
H:なるほどね。ライヴとかはあんまりやってなかった?
 
井上:ええ、ほとんどなかったんですけれども、ここ数年またやりだした…今年になってからも5回、6回くらいね。
 
山下:で、ちょうどこのアルバムを出してすぐ後くらいか…
 
井上:あ、茂一さん…スネークマンの茂一さん(桑原茂一)から「ピテカントロプスでやらないか?」って言われて…
 
H:ピテカントロプスってまだあるんだね?
 
O:この当時(1983年前後)ですよね?
 
井上:そうですそうです。
 
H:あ、当時の話か(笑)
 
井上:ピテカンがオープンした直後ぐらいにライヴやらして頂いたことがあって…
 
H:あ、そうなんだ。
 
山下:そこで1回、一夜限りのライヴやって、なんか二人とも懲りて…(笑)
 
井上:それでたぶん、20年ぐらいやってなかったのかな。
 
H:すごい時間の流れだよね。
 
 
 
井上:で、テクノのアレがあって、今度永田さん(永田一直)とかに、いわば再発掘してもらってから、またライヴを始めた、というような…
 
H:その30年という時間で…たとえば僕なんかは、もういろんな風に変わってったんですけど、変わんなかったわけね。
 
井上:変われなかったんでしょうね(笑)
 
H:それはすごいことだよね。んー。たとえば…好きな音楽ってなに?
 
山下:僕は細野さんですよ、言ってしまうと(笑)
 
H:えー!それは…(笑)やっぱり、環境音楽は聴いてたわけ?
 
井上:ええ。もちろん、いろんな…当時、細野さんは1960年代の方なので…僕はもう今年、66歳なんですけども、最初に細野さんを聴いたのはエイプリル・フールで。
 
H:あ、エイプリル・フールから?
 
井上:野音で拝聴しました。生で。
 
H:聴いてたんだ?
 
井上:聴きました。すごいなぁ、と思って。
 
H:びっくりだね。
 
井上:30分間くらい1曲でいかれたんですよね、たしか。あの頃…
 
H:そうだっけ(笑)ずっとインプロヴィゼーションやってたんだね。
 
井上:ええ。だから、ある意味…広い意味でのアンビエントに感じたんです。当時アンビエントは無かったんですけどね。
 
H:無いよね。
 
井上:ええ。でも、ずっと変わらないで1曲を演奏して…ブワーッと、こう…
 
H:グレイトフル・デッドGrateful Dead)みたいですね。
 
井上:で、小坂忠さんはボーカルなんだけども、ずっとこうやってるだけで…ひたすら…(笑)
 
H:カウベルとかね。
 
山下:僕もやっぱり、エイプリル・フールからなんですけれども…
 
H:えーっ!
 
山下:僕はまだ中学生だったんですけど、東京キッドブラザースというところの最初のEP盤が…エイプリル・フールが伴奏をしてくれてて…
 
H:やりましたね。そうだそうだ。
 
山下:その、芝居のBGMなんで、メロディが盛り上がったりっていう起伏があまりない音楽なんですけれども、淡々と演奏を繰り返していることで台詞が段々々々熱を帯びてくる…そのBGM自体がすごく好きになった、というのが、いま思うと環境音楽的な、アンビエントなものにつながっていくのかな、と。
 
H:うそー?(笑)こじつけだよ(笑)
 
一同:(笑)
 
H:エイプリル・フールの時にアンビエントなんて概念、一切なかったよ(笑)
 
山下:まあでも、その音色を感じてたんでしょうね、いま思えば。
 
H:それは素質ですよ、二人の。んー。
 
山下:そうですか(笑)
 
H:アンビエントの権化だね、そうなってくると。先生だね。
 
山下;既に細野さんは、エイプリル・フールの時にそういうことをやられてた…
 
H:知らずにやってただけだよ(笑)
 
山下:でも、それが一番じゃないですかね。知らずに、って。
 
H:いやー、知ってた方がいいんじゃないですか…
 
井上:僕は映画音楽のほうも昔から好きだったんですけども、伊福部昭さんといろいろ、お仕事させて頂くことがあって。
 
H:あ、そうですか。
 
井上:実は、細野さんといっしょに伊福部さんのお宅に遊びに行ったこと、あったんですよ。
 
H:…僕、憶えてるよ、それ。
 
井上:憶えてますか?
 
H:上野くんもいたね。
 
井上:はい。僕、細野さんの車の助手席に乗っけてもらって、道案内をしながら尾山台まで…
 
H:そんなことあったねぇ。すごい経験だよ。伊福部さんと会ったんだよ。なんか憶えてる、それ。
 
井上:『銀河鉄道の夜』のね。あの頃。
 
H:そう、壁にいろんな民族楽器が置いてあって…いい経験だったな。いや、言われるまで忘れてたけどね(笑)
 
O:忘れるんだ…(笑)
 
H:ほんっと、忘れちゃうよ?年とると。二人はいろいろ憶えてるんでしょうね。
 
井上:はい。あまりなかったもんで、いろいろと…(笑)
 
山下:で、僕ら自身もいろいろ忘れてることを、今度さらに若い世代の…永田くん達の世代がまた掘り起こしてくれて…
 
H:掘り起こされる立場になってきたんだね。
 
井上:そうなんです。いつの間にかそういうことになって…で、今回35年ぶりに『DANZINDAN-POJIDON』を掘り起こしてくれて…
 
H:なるほど。
 
 
 
O:今回の「ニューマスターエディション」というのは、どういうことなんですかね?
 
井上:ええ。最初の版の原盤というか、元のマスターテープをそのままCDにすれば…という風に最初は考えてたんですけれども、なかなかそれが見つかりませんで、いろんな人たちが八方手を尽くしてくださったんですけれども、どうも出てこない。で、うちには当時それを作る元になったマルチテープがゴロゴロ、何本も転がってるんで…
 
O:それがすごいですよね。
 
井上:そこからもう一度、一から作り直してみたら何ができるかな、と。
 
H:再構築だね。
 
井上:益子さん(益子樹)っていう、山下さんの甥っ子になるんですけども…
 
山下:甥っ子の息子…になるのかな。DUB SQUADとかのメンバーの…
 
井上:益子さんが全部、その複雑な作業をやってくれて…
 
H:おお、そう…
 
O:8trのオープンリールを、当時の感じをイメージしつつ…
 
井上:そうですね。
 
山下:当時、細野さんが「ウォーター・ディレイ・システム」っていうのを考案してくれて…
 
H:ぜんぜん憶えてない…(笑)
 
山下:あの、水槽にマイクを立てて…
 
H:あー、あれね…
 
井上:あの独特な響きを一生懸命研究して、分析して、解析してくれて…
 
H:あれ、ちゃんとやったんだっけかな…(笑)
 
山下:やりました、やりました(笑)
 
O:(収録曲中の)半分くらいに使われた…
 
井上:そうですね。全曲録った上でみんなで試聴会をして、じゃあこれは活かそう、これは外そう、っていう風にやったのを憶えてます。
 
H:なるほどね。そうだ、そうだ…おもしろいことやってたね。
 
山下:はい。
 
H:なるほど…それはでも、ギャビン・ブライヤーズ(Gavin Bryars)のパクリだな…(笑)
 
山下:いやいや(笑)でも、昨日…一昨日か。甲府アンビエントのパーティみたいのがあって…
 
H:え、そんなのがあるんですか、今。
 
山下:一昼夜、夜中まで…
 
H:いいなぁ。
 
山下:それに出たんですけども、ちょうど台風のあおりで雨が降ってて。
 
H:いいじゃないですか。
 
山下:で、隣に川が流れてて。
 
H:うわ、すごい。水浸しだね(笑)
 
山下:そんな中で演奏したら、観客の方から、ウォーター・ディレイ…生のウォーター・ディレイと…
 
井上:まさに水の中…湿度100%の中なので…
 
山下:と、言われましたね(笑)
 
H:すばらしい。それはもう、いい環境ですね。
 
山下:そうですね。
 
 
H:では、もう1曲…聴いていきたいと思いますが。これは長い曲ですから、途中まででまたお話に戻りますけど。"APPLE STAR"という曲です。
 
 
 
 APPLE STAR - INOYAMALAND
 ( from 『DANZINDAN-POJIDON』)
 
 
 
H:気持ちよくて寝ちゃう人もいるだろうから…(笑)
 
一同:(笑)
 
H:YouTubeで自然音の…なんかあったりしてね、「眠るための音楽」とか。ありますよね、最近ね。気持ちがよくて僕はよく聴くんですけどね。ところで、ライヴがあるんですって?
 
井上:はい。こないだアナログ盤も出たんですけれども、今度は11/23に渋谷のアップリンクっていう、映画館があるんですけど。そちらのスクリーンにVJを映しながら演奏させていただく…
 
H:あ、ホントに?
 
井上:ええ。11/23に。渋谷のアップリンクでコンサートあります。
 
H:時間は夜ですよね?
 
井上:そうですね。
 
H:まあ、ちょっと良いかもしれませんね。雨が降るといいね。
 
井上:そうですね(笑)東京でもウォーター・ディレイで…
 
 
H:で…じゃあきっと、この流れだと新しいアルバムとか考えてるんじゃないですか?
 
井上:ええ、考えていますけれども…まずは35年分、いろいろと溜めてるものをどう整理して、発表していくか…
 
H:あー、そうだよね。膨大なものが溜まってるわけだ。うらやましいね。
 
井上:(笑)
 
H:ひっつけたり、つなげたり、再構築して…楽しいでしょう?
 
井上:自分たち自身でいろいろ掘り出したりとか、そんなことをしながら来年はいろいろとやってみたいと思ってます。
 
H:よし。つまり、INOYAMALANDはこれから復活していく、と。決してこう…昔のことを出してるわけじゃなくて、これからだね。
 
O:そうですね。
 
H:いい傾向ですよね。
 
井上:はい。ありがとうございます。
 
H:海外からって、たとえばどの国から?
 
井上:ええ。今のところはまず、スイスのレーべルから…
 
H:スイス?おー、なるほど。
 
山下:まだ決まってる…わけでもないのかな?まあでも、おそらくどっかから出るでしょう。
 
井上:で、順番にヨーロッパ圏から、北米、オーストラリアの話もあるかな…まあいろいろ、話だけは各国から来ています。
 
H:いいですね。
 
山下:意外だったのが、アメリカからの反応が良かったので…僕らは何となくヨーロッパ、特にドイツ辺りかなと思ってたんで。
 
H:なるほどね。
 
山下:ドイツからはぜんぜん来ないな、と(笑)一本も来ないですよ、いまのところ。
 
H:ああそう(笑)
 
山下:まあでも本国なので、いまさら…という感じがあるんでしょうね。
 
H:あのね、若い世代…1980年代がブームなのかもしれないね。
 
山下:そうですね。何人かアメリカから…マニアとかミュージシャンが来てお会いしたんですけど、ビックリするくらい若いんですよね。
 
H:若いでしょう。
 
井上:なのに、すごい僕らのこと詳しくて…
 
H:すごいね、勉強してるんだね。
 
井上:(自分たちから)「え、そうでしたっけ?」って訊き返したりするような…
 
山下:たぶん、世代的におじいちゃんがウッドストックで、お父さんたちがニューエイジで…
 
井上:そのおじいちゃんの孫がちょうど、こういうアンビエントを聴いているのかな、と。
 
H:あー、なんか…僕もそういう経験最近あるね。んー。当時の…1980年代に作ったBGMとか、出たりしてね。カヴァーされたりして(笑)
 
山下:それはビックリしますよね。どういうことなんでしょう、っていう。
 
H:最初はワケわかんなくてね。何がいいんだろう、っていう(笑)
 
山下:僕らも最近になってやっと慣れた、っていう感じが…そういうことに。
 
H:これはいいですよね。だから、外国に行くことも、そのうちきっと出てきますよね。
 
山下:ぜひ。行きたいと思います。
 
H:いやー。楽しい時代になってきましたね。
 
O:最後、急に僕に…(笑)
 
H:まとめてください、まとめて。
 
O:というわけで…
 
H:(笑)
 
O:今晩のゲストはINOYAMALANDのお二人と、細野晴臣さんでした。
 
H:どうもー。
 
一同:ありがとうございました。
 
 

2018.10.21 Inter FM「Daisy Holiday!」より

 やっぱりこういう回がいちばん好き…

daisy-holiday.sblo.jp

 

H:こんばんは、細野晴臣です。さて、えー…10月も、そろそろ終わりが見えてきて…
 
O:ですね。
 
H:岡田くんです。よろしく。
 
O:こんばんは。よろしくお願いします。
 
H:えーと。僕はね、毎日のようにスタジオ入ってるんですよ。だからなんにも…世間知らず、っていうの?(笑)
 
O:(笑)
 
H:えー…なにかある?
 
O:僕、二十何年海外からレコード買ってますけど…
 
H:そうだよね。
 
O:先週、シングル盤が届いたんですよ。お、来たな、と。何が来たんだろうと思って、封を開けようと思ってカッターを取り出したんですけど、既に封が開いてる感じだったんですね。
 
H:ほう。
 
O:よく通関…税関で中身を見たりする時があるんで、まあ、それなのかなと思って。ジャケットも入ってるし、と思って、中身を出したわけですね。
 
H:うん。
 
O:そしたら、こう…中身が…(笑)
 
H:無いの?
 
O:抜けて…
 
H:抜き取られたっていうこと?
 
O:ジャケットは入ってるんですけど、たぶんこの開いちゃった口から、運悪くレコード盤が飛び出して…どっかに今、盤だけがあるというですね…(笑)
 
H:ものはなんだったの、それ?
 
O:これは…フェビアン・アンドレ(Fabian Andre)というですね、"Dream a Little Dream of Me"の作家の…ルンバのやつなんですけど。
 
H:ああ、そう。貴重なシングルじゃん。残念。
 
O:(ここで)かけたかったんですけどね。
 
H:ね。どこに行ったの?
 
O:どっかにある、とは思うんですけど…郵便局とかFedExとかに問い合わせをいま、していて。
 
H:あ、してるんだ。なるほど。
 
O:連絡待ち、です。
 
H:すごい。大ごとになってきた。
 
O:(笑)
 
H:盗る奴だったらまるごと盗るもんね。中身だけ盗るってことはないよね。
 
O:ジャケットだけ残しとくはず無いと思うんで…
 
H:でも、財布でお金だけ抜き取る奴いるからな。
 
O:んー、まあね…(笑)ジャケットがビニールに入ってるんですけど、ビニールの向きさえ違ってれば中身は出なかったんでしょうけど…
 
H:あー、そこら辺がちょっとね。なるほど。
 
O:不運が重なりました。
 
H:いやー、出てくるかもしれない、っていうのは楽しみですね。
 
O:出てきたらいいですけどね。でも、たぶん…なんだろう、と思って捨てちゃう人いそうだな、と思って。
 
H:捨てちゃうかもね。ヤカン置きとかにする、っていうかも…(笑)
 
O:溶けちゃいますから(笑)
 
H:喫茶店でよくなかったっけ、そういうの。
 
O:レーベルをコースターにしてるところはありますね。
 
 
 
H:ではね…そういうわけで僕はなんにも持ってないんですよね。えー、お願いしますね。
 
O:はい。もし気になるものがありましたら…
 
H:リストがここにありますんで…えーとね、そうだな…エレクトロニック・カルテット(Electronic Quartett)ってどんなんですかね?
 
O:たぶんこれは…オンディオリンかオンド・マルトノを使ったフランスのカルテットですね。
 
H:あー。1950年代。
 
O:1950年代ですね。1958年ぐらいですね。
 
H:どんなの?あんまりオススメじゃないの?
 
O:いや、持ってきてるぐらいなので…
 
H:あー、じゃあ聴こうよ。
 
O:聴いてみましょうか。
 
H:"Always"。
 
 
  
 Always - Erectronic Quartett
 
 
 
H:…どこがエレクトロニックなの(笑)
 
O:(笑)まあ、「電気楽器を使ってる」ってことじゃないですかね、1958年だと。
 
H:1950年代かぁ…もう、ホント、大昔になってきちゃったな。んー。僕は1940年代生まれですけどね。
 
O:10歳ぐらいの頃ですね。
 
H:ええ、そうなんですよ。だから、こういう音楽いっぱい聴いてましたからね。
 
O:昔は…そうですよね、映画音楽とか、そういうのが普通に…
 
H:そう、ヒットチャートに出てきたりね。ラジオ聴けばなんらか、こういう音楽いっぱい聴けましたから。
 
O:いい時代ですね。
 
H:まあ、テレビが無かったしね。初期。1950年代は…無かったんじゃなかったかな。
 
 
 えーと…この感じでもうちょっと聴いていきたいですよね。ここにあるタイトルだけでリクエストします。
 
O:(笑)
 
H:"Mambo Magic"、どうでしょうか。
 
O:"Mambo Magic"。
 
H:レグ・オーウェン(Reg Owen)っていう人ね。
 
O:レグ・オーウェンって前に僕、細野さんから教えてもらった…
 
H:そうだっけ?教えたことはないよ、なんにも(笑)
 
O:"Paddle Wheel"っていう曲だったっけかな。
 
H:ふうん、よく憶えてるね、そんなこと(笑)
 
O:(笑)ライブラリー系の人ですね。レイモンド・スコットっぽいとか、アンドレ・ポップとか、「そんな感じのだよ」って言って…
 
H:僕が言ってたの?
 
O:はい。ここで。
 
H:なんでそんなこと知ってるんだろう、自分が(笑)
 
O:(笑)
 
H:ほんっと、どんどん忘れてくから…はい。じゃあその"Mambo Magic"。レグ・オーウェンで。
 
 
 
 
Mambo Magic - Reg Owen
 
 
 
H:いいね。僕こういうの好きなんだよね(笑)
 
O:(笑)
 
H:音がなんか、気持ちがいい。録り方がいいんだよな。まったくのMONOだけどね。
 
O:そうですね、この頃のは。
 
H:こういう音を今に置き換えてやろうと思ってたんだけど、なかなかできないもんなんだよね。意外と。
 
O:MONOでもちゃんと立体感っていうか、こう…
 
H:奥行きがある。
 
O:ありますよね。
 
H:やっぱりレコーディングの…スタジオの中での位置がね。
 
O:セッティングと、マイキングと。
 
H:うん。まあこの当時はもう、マイキングはマルチだろうけどね、たぶん。
 
O:そうですね。いまので1960年代じゃないですかね。1969年か。
 
H:そっか。まあ、こういう音を聴くのはホント、僕は楽しみで…
 
 
 いい?もっとリクエストして。
 
O:はい。
 
H:田村大三っていう方はどなたでしょうか?(笑)
 
O:大正生まれのですね、指笛の…
 
H:指笛!
 
O:指笛の人なんですよ。
 
H:めずらしいね、そりゃ。初めて聴くよ(笑)
 
O:小学校で体育の先生がピーッってやってるのを見て、指笛できるんじゃないか、と思ってやったらできるようになって。
 
H:すごいね。
 
O:戦前…街頭で童謡からクラシックまでやって指笛のレコードを…最終的にはカーネギーホールかなんかに出たらしいですよ。
 
H:すげえ(笑)なかなかいないもんね、指笛の人は。
 
O:指笛はいないですね。口笛の人はいますけど。
 
H:どうやってやるのか皆目見当もつかないんだけど…
 
O:人差し指入れて…こうやんのかな。
 
H:あの、沖縄の人がやるよね、よく。そう。その人がやってるのがこれは…『現金に手を出すな』、「グリスビーのブルース(Le Grisbi)」。
 
O:そうですね。
 
H:シブい曲をやるよね(笑)聴いていいですか?
 
O:はい。
 
H:田村大三、"現金に手を出すな"。
 
 
 
 
 
 
H:あの、これ…これ練習?練習してんの?(笑)
 
O:伴奏が…ちょっと心もとない感じで…(笑)
 
H:なんか、コードがすごいいい加減だったよね、サビの…(笑)
 
O:取れなかったんだな(笑)
 
H:なんか、みんな自信なさそうにやってんのね…(笑)
 
O:自信が無いのが音にすごい表れてますよね(笑)
 
H:表れるね。自信って大事だよな。ヘタでもいいから思いっきりやると、パンク的なね、勢いが出てくるけど…
 
O:(笑)
 
H:なんか、さびしくなってきちゃった。でも、指笛の人はすごいね。
 
O:すごいですよね。
 
H:一人だけ、でっかい音で。これは、録るの大変な音だよ。よくまあ録ったな。(音が)割れちゃう、歪んじゃうもんね。
 
O:あー。
 
H:すごい…口笛の百倍ぐらい強いね(笑)ちょっとなんか、興味があるな。指笛か。
 
O:「指笛協会」みたいなのがあるらしいですよ。
 
H:あるんだ。んー。やってみたいな。なんか、タクシー呼ぶ時、それで止めたいじゃん?(笑)
 
O:止まってくれるかなぁ…(笑)
 
H:たぶん日本ではムリだろうね(笑)
 
O:素通りされちゃいそう(笑)
 
H:あー、そういうシーンを観たことあるなぁ…まあいいや。はい。
 
 
 えーと…申し訳ないから僕もなんかかけようかな。
 
O:ぜひ。
 
H:唐突だけどね。最近、ちょっと聴いただけなんだけど。えー…まあちょっとソウル系のね、1950年代の。タムズ(The Tams)だな、Tamsのこういう曲。"Hey Girl Don't Bother Me"という曲ですね。
 
 
 
Hey Girl Don't Bother Me - The Tams
 
 
 
H:Tamsの"Hey Girl Don't Bother Me"。あの、左右にキッチリ分かれてるでしょ。
 
O:分かれてますね(笑)
 
H:この頃の音楽を(再発で)出すじゃない?そうすると、リマスターでこう…なんていうの、疑似ステレオにしちゃうじゃない。
 
O:うん。
 
H:たぶん当時…これ4トラックかなんかで録ってんのかな?
 
O:4トラックぐらいですよね。
 
H:1960年代だから。まあビートルズもよくやってたけど。でも、ホントはMONOで聴きたいんだよな。こういうのはね。
 
O:だからシングル盤で見つけて、モノラルの…
 
H:そうそう、シングル盤っていうのはいい音してたんだよね。中学の時にAtlanticのシングル盤買って聴いたらすげーいい音だったんだよな。
 
O:やっぱ、シングルはぜんぜん別物ですよね。
 
H:別だね。音圧が高いというかね。
 
O:CD化とかするのもMONOで…シングル盤からやってもらいたいですけどね。
 
H:ホントだなぁ…うん。ちょっと考えるわ。いまシングル考えてるから…(笑)難しいねー、ホントに、いま…デジタル時代って。
 
 
 じゃあね…はい、(リストに)戻ってですね…岡田コレクションからですね、なんだろう…"Cool Stunt"。このタイトルが気になるんでね。
 
O:あー。
 
H:どうですか。
 
O:三保敬太郎さんの曲ですね。渡辺晋とシックスジョーズのアルバムに入ってる。
 
H:三保さんが、曲を作ったっていうこと?
 
O:そうです。作曲がそうです。
 
H:すごく才能のある人ですよね、三保さんって。
 
O:そうですね。
 
H:♪タラララララララタララ…タララタッタ…
 
O:「11PM」ですね。
 
H:名曲だよね(笑)すごい人だな。じゃあその、渡辺晋さん…ナベプロ創始者ですね。ベーシストです。シックスジョーズで"Cool Stunt"。
 
 
 
Cool Stunt - 渡辺晋とシックスジョーズ
 
 
H:上手ぇ…すごいね。クオリティ高いですね…曲もちゃんとしてますよね。
 
O:そうですね。
 
H:こういうシーンが日本にあったっていうことだからね。これを土台にいまの芸能界ができてるっていう…(笑)
 
O:そうですね。不思議な感じがしますね。
 
H:ちゃんとしてたなぁ。僕はうれしい、感心しちゃう。見習うべき点があるね。んー。
 
O:(笑)
 
 
H:その三保さんのリーダーアルバムというか、そういうものはあるんですか?
 
O:はい。原六朗さんっていう作曲家がいるんですけど。
 
H:どういう方でしたっけね。
 
O:"素敵なランデブー"とか、美空ひばりの。その辺を書いてた方で。その『原六朗作品集』というのがあって、アレンジしてインストでやってるんですけど。それを三保敬太郎さんがアレンジと演奏をやってる…
 
H:三保さんっていうと、レーサーでもあるんだよね。
 
O:そうですよね。
 
H:まあ、すごい…ユニークな人ですよね。じゃあ、それを聴いてみたいと思います。"太陽はいつまでも"。では、きょうはこの曲でお別れしたいと思います。また来週。
 
 
 
太陽はいつまでも - 三保敬太郎とストリング・ポップス・オーケストラ 
(from『素敵なランデブ―:原六朗作品集』)
 
 

2018.10.14 Inter FM「Daisy Holiday!」より


daisy-holiday.sblo.jp

 
H:細野晴臣です。えー、前回に引き続きレギュラーメンバーで、今回はめずらしく…
 
越:こんばんは、コシミハルです。声が上ずっちゃった(笑)ひさしぶりで…なんかうまく声が出ない。
 
H:あんまりいつもと変わんないけどね。
 
O:(笑)
 
H:それと…
 
O:岡田崇です。よろしくお願いします。
 
H:この3人が集まるのはめずらしいけどね、最近。
 
O:ちょっと久々ですね。
 
越:はい。
 
H:何ヶ月ぶり、っていう感じだよな。
 
越:ずっとね、あの…
 
H:なにやってたの?今まで。
 
越:バレエをやってました。バレエの舞台をね。
 
H:バレエの舞台の制作をやってたよね。
 
越:やってましたね。終わっちゃいました。
 
H:いやー、よかったよ。また再演するでしょ?
 
越:ね。たぶん…そうなるといいですね。
 
H:で、いろんな事があったけど…なに聴いてんの?最近は。
 
越:え?いろいろ。新しいものも、古いものも。
 
H:じゃあ、なんかかけてください。
 
越:はい。じゃあ、テディ・ウィルソン(Tedyy Wilson)にしよっかな。
 
H:ピアニスト。
 
越:はい。
 
H:曲は?
 
越:………
 
O:(笑)
 
H:知らないな?(笑)
 
O:(笑)
 
 
H:曲?
 
越:えっとね…"I've Got The World… On A…String"?
 
H:何語だかぜんぜんわかんないけど…まあ、いいや(笑)
 
 
  
 
I've Got The World On A String - Teddy Wilson
 
 
 
H:はい、ありがとうございました。
 
越:…
 
H:なんかしゃべってよ(笑)
 
越:あ、はい。シーンとなっちゃった。
 
H:シーンとやろう(笑)唸る?
 
O・H:んー…………
 
越:(笑)
 
H:どうぞ、ミハルちゃんも。
 
越:え、いや…(笑)
 
H:えー、なかなかラジオで唸る人もいないよね。
 
O:んー………
 
H:夢じゃないんだから(笑)
 
O:(笑)
 
 
 
H:さあ…では。
 
O:じゃあですね…道志郎…
 
H:お、日本の方。
 
O:…とリズムセクションで…
 
H:オルガンの人ですよね。
 
O:そうですね、電子オルガンの方ですね。"日曜はダメよ"。
 
H:お、いいね。聴きたい。
 
 
 
日曜はダメよ - 道志郎とリズムセクション
 
 
H:かわいらしいね。当時…子どもの頃、道志郎さんってけっこう名が通ってたんだよね。
 
O:もう、百何十枚とか作ってるんじゃないですか?レコードとカセット合わせて160枚ぐらい出してらっしゃる…
 
H:すごいね、そんな人いないな。
 
O:(笑)
 
H:今の時代ってこういうタイプの人いないよね。
 
O:いないですねえ。
 
H:オルガン奏者って特にいない。いい時代だよな、ホントに。
 
越:んー。
 
 
 
H:じゃあね、僕もちょっと思い出してきたんで…ま、ミハルちゃんがこれ聴くとたぶん泣いちゃうと思うんだよね。
 
越:泣く?
 
H:うん。泣くと思う。ちょっと泣いてみせて。
 
越:え?なんだろ。なんだろなんだろ。
 
H:昔『echo de MIHARU』だったかに入れた…『echo de MIHARU』だったかな?カヴァーしたんだよね。あまりにも好きで。
 
越:なんだろう…ん?
 
H:聴いてみますかね。聴けばわかるよ。あとで曲の紹介します。
 
 
Satyricon - Bruno Nicolai
 
 
H:というわけでこれは…"サティリコン"というタイトルだよね。
 
越:んー、なつかしい…
 
H:これはフェリーニ(Federico Fellini)の(映画)『サティリコン』とは関係無いね(笑)
 
越:ね、違う。
 
H:イタリア映画なんだけど。パロディなのかね?よくわかんない。ぜんぜん中身知らないからね。見れないから(笑)ただ、これはあの…最初に聴いたの憶えてる?どこで聴いたか。
 
越:うん。コレクションでね、聴きましたよね。
 
H:クー・ドゥ・ピエ(Coup De Pied)だよね。
 
越:そう。クー・ドゥ・ピエの。
 
H:林和子さんのコレクション。選曲が素晴らしかったよね。
 
越:ね。あの時よかったですね。すごい楽しかった。
 
H:そこで聴いて、「なにこれ?」って。ふたりで。
 
越:そう。
 
H:訊いたら、こうこうこうだ、と。
 
越:そう。
 
H:あの頃は『ベティ・ブルー(Betty Blue)』もまだ上映される前に使ってたんだ、音楽を。
 
越:ああ、そうね。
 
H:よかったんだよ。これ、ブルーノ・ニコレ(Bruno Nicolai)っていう人が作った曲ですけどね。"サティリコン"。
 
越:懐かしい。すごい好きでした。
 
H:ね。懐かしいでしょ。泣かなかった?
 
越:うん(笑)
 
H:笑ってら。…どうぞ。
 
越:あ、私ね?
 
H:うん、順番なんで。
 
越:ぜんぜん、ちょっと違うのを…ジャイン(Jain)っていう人の"Alright"っていう曲です。
 
 
Alright - Jain
 
 
 
H:なるほどね。最近こういうのを聴いてるわけね。
 
越:うん。フランスの女の子なんですけどね。若い人。
 
H:えー…どうですか、岡田くん。
 
O:はい。
 
H:いまの(聴いて)どう思ったの?
 
O:…あんまり僕、聴かない感じの…
 
越:(笑)
 
H:だろうね。じゃあちょっと唸ってみて。
 
O:んー……
 
H:はい。じゃあ…
 
O:(笑)
 
H:こうやって音楽、みんなで聴くってなかなか無いからね。みんな、つったってこの3人だけじゃないんだけどね、聴いてる人いっぱいいるから(笑)
 
O:レコードを持ち寄って聴くってことが、最近無いですよね。
 
H:ないねぇ。昔やってたよ。
 
O:友達ん家に持ってって…
 
H:なんだろうね、あれね。
 
O:楽しかったですね。
 
H:楽しかったね、うん。ま、いま、この場でそれやってるわけだからね。
 
 
 
 
 
O:じゃあですね、沢田駿吾で…
 
H:いいね。日本の音楽家特集。
 
O:"いぬのテーマ"という。
 
H:いぬ?
 
O:ジャン・ポール・ベルモンド(Jean-Paul Belmondo)(主演)の…
 
H:あー、『いぬ(Le Doulos)』っていう映画あったね。
 
 
いぬのテーマ - 沢田駿吾
 
 
H:フィルム・ノワールの感じでいいですね。不安な感じで。
 
O:(笑)
 
H:そう来たか…じゃあ僕はね、どうしようかな…"誘惑されて棄てられて"を日本の歌手が歌ってるのをかけようかしらね。どこ行っちゃったかな(笑)
 
O:んー………
 
H:ちょっと待って(笑)ああ、これだ、あった…それでは発表します。牧村旬子さんの、"誘惑されて棄てられて"。これはピエトロ・ジェルミ(Pietro Germi)の映画の中で(流れる)カルロ・ルスティケッリ(Carlo Rustichelli)の曲なんですけど、日本語で歌ってます。
 
 
 
誘惑されて棄てられて - 牧村旬子
 
 
 
 
H:これ前もかけたみたいだけどね(笑)ダメなの?ダメなの?!
 
O:いやいやいや…
 
H:いいの?歌謡曲じゃないから、これは。
 
O:ですね。
 
H:イタリアの映画音楽だから…いいの?
 
O:スクリーン・ミュージックなら…オッケーなんじゃないですか? 

H:オッケーなの?
 
O:(笑)
 
H:気をつけなきゃね。コンプライアンスとか。別に一般的な意味のコンプライアンスじゃなくてね。放送局の…歌謡曲じゃないから。
 
O:(笑)
 
 
 
H:さて…もうおしまい?まだ?まだあるよ…ミハルちゃん、どうぞ。
 
越:わ!まだ?
 
H・O:(笑)
 
H:楽しくやろうよ。
 
越:ちょっと古いけど…
 
H:いいよ古くたって(笑)古いのいっぱいかけるじゃない、この番組。
 
O:(笑)
 
越:ヨランダ・ビー・クール(Yolanda Be Cool)?
 
H:なにそれ!初めて聞いた。何語?
 
越:"We No Speak Americano"。
 
H:んー、なんでもいいや。うん。
 
越:ピーター・ラビットの映画でもかかっていた。
 
H:へえー。
 
越:いやもう、聞いたら「ああ、なんだ!」って言います。
 
H:本当?言うかな…
 
 
 
 
We No Speak Americano - Yolanda Be Cool & Dcup 
 
 
H:なあんだ、これか…
 
越:?
 
H:これ?
 
越:これこれ。
 
H:こんなの聴いてんだ(笑)
 
越:お掃除する時とかいいの。
 
H:あー、お掃除ね。…これなんか…なんとも言えないな…これは(笑)
 
越:その、それがいいのよ。それが。
 
H:じゃあ、ちょっといま掃除してよ(笑)
 
越:お昼にね、窓開けて。掃除機の音と、なんかいい感じなの。
 
H:んー…なんかこの手の音楽って…(まだ曲中だけど)しゃべっちゃうけど(笑)
 
越:そう!そういう聴き方がいいと思う。
 
H:なんか、ランバダじゃなくて、なんだっけ…そんなのがあったよね。
 
O:ありますね。
 
H:あとはなんか、あの、スキャットマン、ナントカの…
 
O:スキャットマン・ジョン(Scatman John)。
 
H:なんかみんな似てるんだよな、感触が…オッケー。これはこれでいいや。こういうの聴いてるってことで。お掃除の音楽ね。
 
越:(笑)
 
H:岡田くんも僕も掃除しないからな。
 
O:…ガーン。
 
H:(笑)
 
O:バレちゃった…
 
H:お掃除音楽ってけっこう…女性には必要なんだよね。よく聞くもん。YMOの"ライディーン"聴きながらお掃除してる人とかね。昔いたよ。
 
越:なんか、あの…ホントはラジオとか(聴くのが)楽しいの。
 
H:ああ、そうだよね。
 
越:軽く楽しむ…だって掃除大変だもん。それの気を紛らわすための…
 
H:まあ、なんでも大変だけどね。散歩してる?
 
越:あんまり歩かなくなっちゃったんだよね。
 
H:暑かったからかな。
 
越:ほんっとに、ホントに外出ない。歩いてますか?
 
O:いや?
 
H:一日8歩とか…8歩ぐらいでしょ?
 
越:8歩…万歩計とか8歩とか、ほんと…
 
O:すっごいですよね、8歩って…(笑)
 
越:ほんとに。
 
O:台所とかに行っただけでも8歩は歩くじゃない?
 
H:まあ、その時に万歩計を持ってないんだろうな。
 
越:持ってないからなんでしょうね。寝室からリビングまで8歩、みたいな。
 
H:部屋をウロチョロしてるだけで一日…100歩ぐらいは行ってるんだよな。
 
 
H:はぁ、なんか…これでおしまい?(笑)唸る?
 
H・O:んー………
 
H:ミハルちゃんも唸ってよ、お願い。
 
越:ええ…
 
H:できないんだ、恥ずかしいんだね。お年頃で。
 
越:(笑)
 
H:また来週。
 
 
 
 
 

★2018.10.19 α-STATION FM KYOTO「NICE POP RADIO」より

 

 
 
今回の選曲テーマと氏のコメントが心に刺さりまくったため…
 
 
(以下、すべて澤部:)
 
 
 Shopliftin' Blues - yes, mama ok?
 (from 『砂のプリン』)
 
 
 お送りしましたのはyes, mama ok?で"Shopliftin' Blues"という曲でございました。改めましてこんばんは、スカートの澤部渡でございます。京都α-STATION 毎週金曜午後8時からはNICE POP RADIO。今週もわたくしの選曲とおしゃべりにおつきあいください。
 51回目の放送でございます。9月末の生放送からハードコア選曲回やtofubeatsくんといっしょにやったライヴの音源のオンエアーなどイレギュラーな放送回が続きましたが、今週からはいつも通りお届けしようと思っております。後半の選曲コーナーは「さよならジャニス」ということでお届けしようと思っておりますが…この番組でもたびたび名前が出てくるレンタルCDショップ・ジャニス(Janis)の特集を組もうと思っております。詳しくは後ほど…
 
 
 番組ではみなさんからのメッセージをお待ちしております。α-STATIONのホームページにあります"メッセージ"からNICE POP RADIOをセレクトしてお送りください。FAXは京都075-344-8940。Twitterアカウントをお持ちの方はハッシュタグ「#ナイポレ」を付けてつぶやいてください。またこの番組はパソコンやスマートフォンでラジオが聴けるIPサイマルラジオRadikoでもお聴き頂けます。有料サービスRadikoプレミアムを利用しますと全国どこでもα-STATIONをお楽しみ頂けます。詳しくはα-STATIONのホームページ、またはRadikoのホームページをご覧ください。
 そして、京都レコードショップJET SET RECORDSのお店にですね…この番組との連動コーナーがスタートしております。第1弾として、先月開催しましたスカートの自主企画「静かな夜がいい」Vol.1のコーナーができてますので、ぜひお店に遊びに行ってみてはいかがでしょうか。
 
 
 それでは、この番組では初めてかけます。10/31リリースになります『遠い春』というシングルから、テレビ東京系のドラマのオープニングテーマに書き下ろしました"忘却のサチコ"という曲を聴いてください。
 
 
忘却のサチコ - スカート
 (from 『遠い春』)
 
 
 京都α-STATIONからお送りしておりますNICE POP RADIO。早速、みなさんから頂いたメッセージをご紹介しましょう。京都市右京区のはるさめさんから。「澤部さんこんばんは。ナイポレ放送50回目おめでとうございます。以前番組内で「まだお知らせできない」と話されていたことが少しずつ発表され始めていますね。」そうなんですよ、ようやくです(笑)あとひとつくらいあるかな、という感じでございます。その発表も楽しみにしてもらえればと思います。「"いるのにいない"、とても好きな感じの曲だったので新譜の発売がホントに楽しみです!51回目からも素敵な音楽届けてくださいね。」ありがとうございます!うれしいっす。
 
 そして、ラジオネーム福知山のひろあさんから頂きました。えー、秋選曲にかけたメッセージですね。「RCサクセション最高です!私はラジオでこれをよくリクエストするんですが、なかなか流されませんよねー」だそうです(笑)まあちょっと特殊な…RCサクセションのパブリックイメージとは離れた"甲州街道はもう秋なのさ"という曲をね、かけたんですけど。たぶん、ラジオじゃちょっとかけづらいだろうな…でも、カーステレオからこの曲が聞こえたら最高だろうな、なんてよく思うんですけどもね。
 
 そしてラジオネーム大坂市のあらさきさんから頂きました。「澤部さんこんばんは。先日の「静かな夜がいい」Vol.1、最高でした!澤部さんの手元をよく見える位置にいたので、カッティングを堪能することができてうれしかったです。新曲の"いるのにいない"はとても素敵な曲で、シングルの発売がますます楽しみになりました。」そうですね…けっこういい感じなんですよ。4曲…けっこう現状報告のつもりで4曲まとめてバッて入れたんですけど、4曲通して聴くとまたなんか違った感じになっててすごいおもしろいっす。ぜひ。「それから、"月光密造の夜"の佐久間さんのアグレッシブなドラムがむちゃくちゃカッコよくて、強く印象に残っています。またサポートメンバーの方々をゲストに呼んで、ライヴの裏話などのトークをして頂けたらうれしいな、と思ってます。とにかく、最高の夜をありがとうございました!」とのことでした。うれしいっす。そうですね、またメンバーとワイワイしゃべるような回、やりたいっす。ちょっと近々…みんなのスケジュールを聞いて、やれたらなあ、と思っております。
 
 そしてひゃらりひゃらり子さんからも…「JET SETに行ってナイポレコーナーを見てきましたよ!トーフくんオススメのイノヤマランドを買ってしまった!」なんて報告も、Twitterで頂いてます。ありがとうございます!ぜひJET SETのほうも見に行ってください。よろしくお願いします。
 
 
 
 ではここで…NICE POP RADIO、普段だったらエンディングにやってるような弾き語りのコーナーをここでやらせてもらおうと思います。
 先日、パラダイス・ガラージという、日本の…ポップシンガーが、18年ぶりのアルバムを出しまして。豊田道倫という名前でその間やってたんですけども。で、そのアルバムがけっこう妙な感じで、すごい…なんか、こう、なんとも言えないんですよ。そのパラダイス・ガラージという名義でリリースするのは18年ぶりで、パラダイス・ガラージが出した『実験の夜、発見の朝』というアルバムの20周年をある種記念したような側面もあると思うんですね、今回のリリースは。で、そこに入ってる"I love you"という曲があるんですけど、とにかくズタボロになった大人たちがそこに向かって演奏している感じがめちゃくちゃ泣けちゃって、最高だったんで…その"I love you"という曲は前にラジオでかけてしまったので、ちょっと弾き語りでやってみようと思います。
  
 
I love you (パラダイス・ガレージ Studio Cover) - スカート
 
 
 パラダイス・ガラージの"I love you"という曲を歌ってみました。
 
  
 NICE POP RADIO、この後お送りします今週の選曲コーナーではですね…今月末で閉店してしまうレンタルショップ・ジャニスをテーマに…この番組でも何度か、ジャニスで借りたCD、なんて話をしてきました…が、東京以外でお聴きの皆さんだと「ジャニスとは何ぞや?」と、心斎橋にもそういうライヴハウスがあるけれども、そこのことなんだろうか、と思っている方も多いと思います。えー、少しここでジャニスについて紹介しようと思います。
 東京の神保町…御茶ノ水のほうにある、いわゆるレンタルCDショップなんですね。で、1981年(創業)という、けっこう長い歴史の中でずっとやってたお店なんですけれども、「音の図書館」をコンセプトに廃盤や希少盤などを数多く取り揃えており、在庫はCD・DVD合わせておよそ8万枚にのぼるそうです。
 僕が通い始めたのは、僕が中学生の時に好きになったyes, mama ok?というバンドがありまして、そのバンドは僕が好きになった頃にはぜんぶ廃盤だったんです。で、買うことができないんだけれども、とにかくなんとかして聴きたい、と思って。そしたら「ジャニスにyes, mama ok?の在庫がある」なんていう情報をネットかなんかで見て、それで利用するようになったのが最初だったと思います。最初に行って借りたのがそのyes,mama ok?の『砂のプリン』、『Tea Party』、『コーヒーカップでランデブーって最高よ』という3枚のシングルがあったんですよ。まあ、『コーヒーカップでランデブーって最高よ』ってシングルはもう持ってたんですけど、「(日本)コロムビア盤とLD&K盤で内容が違うらしい」っつって、コロムビア盤が置いてあったんで…僕が持ってたのはLD&K盤だったんで、それで借りたのはよく憶えています(笑)
 
 で、そこから時間は経ち…いろんな希少盤とかをそこで借りるようになるんですけれども、ホントに…なんでもあるなここ、みたいな感じなんですよ。で、まあそういう細かい話は後でいろいろしてこうと思うんですけど…けっこうブートレッグとかもたくさんあって。それこそ高校とか大学生の頃にビーチ・ボーイズThe Beach Boys)の『Smile』のブートレッグを借りて、もうなにがなんだかよくわかんねぇな、とか思いながら聴いてたんですけど…(笑)で、そこにこのトラックが入っていたか、というのはもう自分の記憶でも無いんですが、このブートレッグが正規版として後に世に出るんですね。そこに入っているビーチ・ボーイズの"Surf's Up"っていう大名曲があるんですけど、それのブライアン・ウィルソンBrian Wilson)がひとりでやっているヴァージョンがあるので、ちょっと聴いてみましょうか。
 
 
Surf's Up 1967 [Solo Version] - The Beach Boys
 (from 『The Smile Sessions』)
 
 
 京都α-STATIONからスカートの澤部渡がお送りしております、NICE POP RADIO。この番組ではわたくし澤部渡オススメの音楽、金曜のこの時間にピッタリの音楽をたくさんお送りしていけたらな、と思っております。
 今週の選曲テーマは「さよならジャニス」と題しまして…まあ、僕がジャニスで借りたCDっていうのがけっこう、たくさんあって。そこをキッカケにしていろんなものに出会っていく、みたいな感じだったんです。で、やっぱり学生だったんでお金もなかったし、気になるんだけども聴いてみたい、みたいなものは一度借りて、それでどうしても欲しくなったら買おう、みたいな感じだったんですけども。今回のこの特集のために自分の古い日記とか、そういうものから情報をサルベージして、どんなものを借りてきたのか、っつうのを見てたんですけど。まあ、けっこうな数を結局自分の手元に…置いてしまっている、というのがわかりました(笑)そう。やっぱりこう…でもそれでも…なんていうんですかね、レンタルして…「結局2度手間じゃないか」って思われると思うんですけど、なんかそういう遠回りが自分にとっては大事だったのかもしれないな、と、今となっては思います。
 
 
 まず、1曲聴いてもらいましょうかね。これもさっき言ったパラダイス・ガラージからの連鎖で…連鎖の中のひとつでした。カーネーション(CARNATION)というバンドで"オートバイ"。
 
 
オートバイ - CARNATION
 (from 『天国と地獄』)
 
 
 聴いて頂いてますのはカーネーション、"オートバイ"という曲でございました。『天国と地獄』という最高のアルバムの1曲目でございます。ま、この番組でもよくカーネーションはかけますけれども、その中でもホント特に好きな一曲でございます。ミ-ターズ(The Meters)というバンドの"Live Wire"という曲をサンプリングして、そこからいろんな味付けをして自分の曲にしている、という…すばらしい曲です。実は冒頭にかけたyes, mama ok?の"Shopliftin' Blues"という曲もマックス・ローチMax Roach)という人の『Deeds, Not Words』というアルバムの冒頭の1曲目("You Stepped Out Of A Dream")をサンプリングした曲だったりするんですけど、そういう時代だったんですね。なんか楽しそう。うらやましいっす。
 
 
 で、次聴いてもらいますのはダンカン・ブラウン(Duncan Browne)という人です。あの…以前この番組でも、たしか春ぐらいにかけたと思うんですけれども。そのダンカン・ブラウンという人の"Here and Now"という曲をかけるんですけれども…ジャニスがありがたいっていうのは廃盤のCDとかをたくさん扱っていた、ってことなんですね。で、別にこのアルバムが廃盤で貴重でみんなが探してた、っていうわけじゃないんですけれども、ヘンなタイミングで不意に出たダンカン・ブラウンのアンソロジーに収録されてた、未発表の曲だったんです。で、僕はこの曲をそこで初めて聴くんですけれども、それがとても印象に残っていて。とてもすばらしい曲なのですぐに聴いてもらいましょう。ダンカン・ブラウンで"Here and Now"。
 
 
Here and Now - Duncan Browne
 (from 『Journey: The Anthology 1967-1993』)
 
 
 聴いて頂きましたのはダンカン・ブラウンで"Here and Now"という曲でございました。すばらしい楽曲ですね。以前かけたのは『Give Me Take You』というアルバムからだったと思うんですけれども。ま、そのアルバムよりも少し前の話、の曲でございました。とても、なんていうか…いいですね。室内楽的で。最高な一曲でございました。
 
 
 そして、次に聴いてもらいますのはすきすきスウィッチという日本のバンドです。たしか、ナイポレでもかなり初期に一度かけたことがあって…で、僕がすきすきスウィッチを知るようになったのは、それこそパラダイス・ガラージの豊田さんから薦めてもらったのが最初だったと思います。「とにかくすばらしいよ」みたいな話を聞いて、そうなんだ、と思ってジャニスに駆け込んだ憶えがあります。どうやっても聴く手段が無かったんです。今みたいにYouTubeも充実していなかったし、サブスクなんてNapsterが浮かび上がっては消え…みたいな時期だったし。なんか、そういう中でホントに、アルバムを1枚借りてそれを聴く、なんていうのがとても大事だった頃だった、と思います。そのすきすきスウィッチというバンドの"おみやげ"という曲を聴いてみましょう。
 
 
 (from 『忘れてもいいよ』)
 
 
 聴いてもらいましたのはすきすきスウィッチで"おみやげ"という曲でございました。んー。すばらし過ぎるというか、どう…いやー、やっぱいま聴いても感動します。ホント、シンプルな言葉で、それがシンプルに聞こえなくなるまで何かを追い込んでいく…すごい、ポップ・ミュージックのなんていうか…過激派な、音楽だと僕は思います。すばらしい、やっぱ最高です。
 
 
 はい。続いて聴いてもらいますのはシトロバルCITROBAL)という、日本の1990年代後半から2000年代ぐらいにかけて活動していた女性シンガーソングライターがいまして…LD&Kのカタログを掘っていくうちに、なかなか彼女の1stが見つからない、と。そういうわけでジャニスに借りに行って、レンタルして、ああ、こういう音楽なんだ、と思って。いつか手に入れたいな、と思って。それから2,3年するうちに池袋のレコファンで見つけた時のうれしさみたいのは今でも残っています。今回、この放送のためにそのCDを久しぶりに開けたんですけども、知らない間にブックレットにシミができていて。はたしてこのシミっつうのは、んー…買った時からこうだったのか、それとも気づかないうちにこうなっちゃったのか、なんてことも忘れてしまいました。15年も経つとこうなってしまうんだな、という…寂しいような、なんとも言えない気持ちになりました(笑)はい。シトロバルで"Celluloid"という曲をお聴きください。
 
 
Celluloid - CITROBAL
 (from 『my caution line』)
 
 
 聴いてもらいましたのはシトロバルで"Celluloid"という曲でした。このアルバムが出たのはたしか1999年で、このアルバムを探してたのは2003年でした。日本…というかまあレコードというかCDとか、作品を取り巻くどうしても避けられないものの一つに廃盤というものがあります。僕はそれをとても憎んでいました。いつでも好きな時にCDが買えるように、いつでも好きなように音楽が聴けるようになればいいのに、なんて思ってた。で、実際それが少しずつ、サブスクリプション・サービスとか、YouTubeとかのおかげで実現されつつあるんですけれども…どこか気が晴れないというのはどういう風の吹きまわしなんだとは自分でも思うんですけれども(笑)そこら辺はもう少し深く考えていこうと思っているテーマでございます。
 
 
 そして最後に聴いてもらいますのは…もう万物の終わりに捧げたい一曲です。羅針盤というバンドの"むすび"という曲なんですけれども、これも最初ジャニスで借りて…ああもう、これは借りるんじゃなくて買えばよかった、と思って。でもやっぱ学生の頃だったんで、なかなか買う機会が無いなぁ、なんて思ってたら、友達が「澤部くん、俺このCD持ってると売っちゃいそうだからしばらく預かっといてくれ」と言われて…それでまだ預かってるCDがうちに2枚あるんですけど、前も放送でかけたLove Joyっていうバンドと、この羅針盤の『むすび』っていうアルバムなんです。僕はこれをいつまで預かっていればいいんでしょうか、という感じもするんですが…(笑)そこから、ホントに…えー、もう、なんか、なんつうんですかね、とても胸が痛む一曲を聴いてみましょう。ちょっと長い曲なんですけれども聴いてみてください。羅針盤で"むすび"。
 
 
むすび - 羅針盤
 (from 『むすび』)
 
 
 聴いてもらいましたのは羅針盤の"むすび"という曲でございました。んー…どうでしょう、めちゃくちゃ胸に来ませんか?山本精一さんの、平熱のように聞こえるんだけど実は体温が高いような歌声が胸に沁み入ります。ホントに。えー、もう…大好きな一曲でございました。
 
 
 いかがでしたでしょうか。今週は「さよならジャニス」というテーマで選曲しました。この時間お送りしましたのは、カーネーション"オートバイ"、ダンカン・ブラウン"Here and Now"、すきすきスウィッチ"おみやげ"、シトロバル"Celluloid"、羅針盤"むすび"という5曲をお送りしました。
 
 何かが終わるような、そういうかなしい気持ちになってきましたが…やっぱり、こう、ホントにいろんな思い出がありますし…ジャニスというのが無かったら、もう少し違った人生だったんだろうな、というのは常々思う部分ではあります。なんかそれをね…実際僕、2011年から2018年の間、ホント、閉店するって言われる直前までジャニス、あまり行ってなかったんですよ。自分のレンタルCDを置いてもらったりはしてて、お店には顔出してたんですけど。ホント、7年もの間CDを借りてなくって。で、久しぶりにジャニスに行こうと思ったのも、プリンス(Prince)の聴いてないアルバムをいろいろ借りようと思って。あれはサブスクにも上がってないし、今後も上がんないだろうから…そうだな、いろいろ借りに行って、ひさしぶりにいろんなCD聴くようにしよう、なんて思ってたら、その矢先に…プリンスのサブスクに上がらないと思っていたアルバムがぜんぶ解禁になり、そしてジャニスが閉店してしまうという、負のピタゴラスイッチが…起きてしまうわけなんですけど。そうですね、なんか…あぁ悔しいという気持ちもあるし、うーん仕方がないことだよねという気持ちもあるし…寂しいなぁ。寂しいということだなぁ。うん。でも、なんかこう、そこにあるという…そこにあるべきものが無くなっていくかなしさっていうのは、スカートが今後歌っていくテーマの一つだと思います。うーん…そうだね、少しずつこういう、かなしいことにも慣れていかなきゃいけないんだね。うん。
 
 きょうオンエアーした楽曲ですが、後日レコードのジャケットを僕のインスタグラムにアップしていく予定でございます。最近サボっててすみません。リリースのバタバタでなかなか時間がとれず…汚い部屋でCDのジャケットを置くわけにもいかず、という感じでございます(笑)

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 京都α-STATIONからスカートの澤部渡がお送りして参りましたNICE POP RADIO。番組はそろそろお別れのお時間でございます。 
 
 スカート通信。メジャー1stシングル『遠い春』が10/31発売でございます。表題曲の"遠い春"や放送中のドラマ「忘却のサチコ」オープニングテーマなどを収録した全4曲でございます。初回盤のDVDには春のワンマンライヴの映像を収録してますのでそちらもぜひよろしくお願いします。さらに購入特典として、この番組NICE POP RADIOの弾き語り音源「NICE POP RADIO SESSIONS」をプレゼントします。特典CDはですね、タワーレコードで配布されるBタイプとそれ以外のAタイプという、ちょっとね、まあヘンな感じになってますけど(笑)その2タイプがございます。詳しくはスカートのWebサイトをチェックしてください。
 
 そして、重要なお知らせです。Newシングル『遠い春』の発売を記念して、番組初の公開録音が決定しました~。α-STATION公開録音イベント「NICE POP RADIO in TOWER RECORDS京都店」、というわけで日時は11/4(日)15:30からです。会場は京都河原町タワーレコード京都店。観覧はもちろんフリー。まあ、でもねぇ…そんなコミュニケーションが成立する番組でもないからちょっと心配は心配なんですけど…(笑)弾き語りのライヴとかもやる感じで、いろいろ楽しみに、みなさん遊びに来てもらえればと思います!
 
 はい、10月のライヴは10/26(金)「スカートと君と~君の手をひいてつむぐ夜~」なんつうタイトルがつきましたが。神奈川にあります新百合ヶ丘昭和音楽大学北校舎スタジオリリエでライヴが決まりました。わたくしの母校でございます。この日はなにか、ちょっと特別な夜になる予感。昔の自分と現在の自分というのを同時に見せられるような一日になったらな、と思います。よろしくお願いします。
 
 『遠い春』リリースワンマンツアー「far spring tour 2018」チケット発売中。11/18仙台を皮切りに12/19東京キネマ倶楽部と駆け抜ける6公演。京都の近辺ではですね、12/14大坂Shangri-Laとなっております。その他CDの発売に伴ってインストアイベントなども発表されている頃だと思いますので、詳しくはスカートのWebサイトをチェックしてください。
 
 NICE POP RADIOではメッセージをお待ちしております。α-STATIONのホームページにあります"メッセージ"からNICE POP RADIOをセレクトしてお送りください。FAXは京都075-344-8940です。Twitterアカウントをお持ちの方はハッシュタグ「#ナイポレ」を付けてつぶやいてください。番組の感想やわたくしへのメッセージ、選曲テーマやカヴァーのリクエストなどもお待ちしております。
 
 
 今週最後にお送りしますのはスカートの"さよなら!さよなら!"という曲です。この曲も、僕が長年バイトしていた本屋がつぶれたというのを知らずに1年近く過ごしてしまった日々の後悔を歌った…というと大げさなんですけど(笑)でも、それをキッカケに書いた曲でございます。"さよなら!さよなら!"という曲を聴いて、今週はお別れ。この時間のお相手はスカートの澤部渡でした。また来週!
 
さよなら!さよなら! - スカート
 (from 『20/20』)
 
 
 

2018.10.07 Inter FM「Daisy Holiday!」より


daisy-holiday.sblo.jp

 

 
H:こんばんは、細野晴臣です。きょうは久しぶりに、レギュラーの…
 
O:岡田崇、です。
 
H:よろしくね。
 
O:よろしくお願いします。
 
H:どうすか?
 
O:もう、10月ですよ。
 
H:10月だって。
 
O:イヤになっちゃう(笑)
 
H:イヤになっちゃう…なんか、次々にやってくるね。新しい日が。
 
O:(笑)
 
H:きょう終わると明日だよ、だって。
 
O:マジすか?
 
H:明日の次はあさってだぜ。
 
O:ああ…昨日になんないかな…
 
H:ね。最近、なんかね、身体がリワインド(rewind)してる感じがあるよ。巻き戻し。
 
O:若返ってる、ということですか?
 
H:なんだろう。ずっとね、僕スタジオにいま籠ってて。
 
O:お、やってますよね。着々と…
 
H:やってますよ。着々、というか大変だよこれは…もう本当になんか、後悔してるんだけど(笑)
 
O:(笑)
 
H:難しいことやってるんだよ、いま。●●●。●●。あ、まあいいや、これはね、まだ解禁してない。大丈夫(笑)
 
O:(笑)
 
H:だから、スタジオ入ってると…なんて言うの?内面にしか旅に行かないっていうかね、外にぜんぜん行かないの。
 
O:そうですよね。自分に向き合うしかないですもんね。
 
H:そう。だからヴァーチャル感覚、すごいんだよね。なんだろう。
 
O:ひとりでやってるし…
 
H:そう、ひとりで…久しぶりだよ、ひとりでやってるの。20年前はずっとひとりだったな僕、そういえば。孤独に(笑)
 
O:(笑)
 
H:えー…どうですか、岡田くんは。
 
O:もう、五十肩がね…痛くて、もう。つらい。
 
H:えー?おんなじだね、僕と。
 
O:腕、左がぜんぜん上がんないですね。
 
H:左が治るのは…半年くらいかかって治るんだよ、それ。
 
O:突然ですか?
 
H:まあ、なんとなく突然。
 
O:いまはずっとストレッチやったりとか…
 
H:そうすっと今度は右に来るからね。
 
O:移るんですね…(笑)
 
H:移るよ(笑)僕は左がひどかったのが治って右に来てんの。で、手を伸ばしてなんか取るの大変なんだよね。
 
O:そう!なんか、奥の方にあるものを…
 
H:それ。いちばん痛いの。イテーっていって、ジーンと尾を引くんだよな、痛みが。
 
O:ホントに…それですよ、いま。
 
H:じゃあ岡田くんは、年相応に(五十肩に)なってるわけね。
 
O:そうですね。
 
H:ということは僕は若返った、ってことだよね。五十肩に。
 
O:「七十肩」かもしれないですよ。
 
H:そんな話は聞いたことが無いね。
 
O:(笑)
 
 
 
H:はい、音楽の時間です。
 
O:きょうはですね、前回来た時にウィラード・ロビソン(Willard Robison)とかをかけたと思うんですけど。
 
H:ウィラード・ロビソン、はい。
 
O:ヴァン・ダイク(・パークス)がやらないのかな?っていう話をしてたじゃないですか。
 
H:うん。
 
O:調べたら、2006年にヴァン・ダイクがプロデュースしたマーレイズ・ゴースト(Marley's Ghost)という4人組の楽団がいて。
 
H:知らんなぁ…
 
O:その人たちのアルバムの中で1曲、ウィラード・ロビソンをヴァン・ダイクがプロデュースして、やってますので…
 
H:ぜんぜん知らなかった。聴きたい。
 
O:"There's Religion in Rhythm"です。
  
 
There's Religion in Rhythm - Marley's Ghost
(from 『Spooked』)
 
 
H:なるほどね。ヴァン・ダイクっぽい…
 
O:そうですね。
 
H:わりと、こう…マジメにやってるな、っていう感じ(笑)
 
O:(笑)
 
H:なるほど…知らなかったな。
 
O:ぜんぜん知らなかったです、そんなアルバムが出ているなんて。
 
H:まあね。あの…ヴァン・ダイク・パークスVan Dyke Parks)って…なんだろ…いいや(笑)
 
O:(笑)
 
 
 
H:えーと、僕がかけるものってないんですよね。
 
O:…お?(笑)
 
H:なんでかって言うと…ちょっと今度、次、自分だけのところ(回)で発表するけど、いま大きな変化を迎えてるんだよ。
 
O:お。そうなんですか。
 
H:ずっと15年ぐらい、バンドでやってたじゃない。ブギやったりね。
 
O:はい。
 
H:で、いま取りかかってる仕事が、それを許さないわけよ。
 
O:そうですね。
 
H:うん。だもんで、さっきも言ったけど、ヴァーチャルな感じで、拡張現実の気持ちになってるわけ。そういう時に、今の音楽ってどうなってるんだろう、って思って。
 
O:うん。
 
H:表面的にはあんまりおもしろくないんだけど。なんだろう、たとえば、時々ビックリするような音があるじゃない。(♪iPhone)たとえば、マイケル・ジャクソンの『DANGEROUS』っていうアルバムがね、良かったり。(ブリトニー・スピアーズの)『Britney』のネプチューン(The Neptunes)のプロデュースが良かったりね。
 
O:はい。
 
H:それにちょっと首突っ込んだのよ。で、元をたどって行ったら1990年代ぐらいに「ニュージャックスウィング(New jack swing)」っていうのがあって、テディ・ライリー(Teddy Riley)という人物がいて。これが天才なんですよね。その彼が手がける音がすごいんだよね。それにすごく影響されて…(笑)
 
O:(笑)
 
H:いっぱい聴いてて。謎なんだよ、今だに。あの音作りが。そう簡単に出ないんだよね、低域とか。出てるようで出てないようで出てるようなね、すごいヘンな…で、それの流れがずっと、今に至るんだよな。
 
O:うんうん。
 
H:で、僕はFM聴いてて、昔。2000年代かな。車でよく聴いてたわけ。そしたら音がやたら良くなってたのね、当時。それの源流は「クワイエット・ストーム(Quiet Storm)」っていうムーヴメントで。FM放送用のミックスみたいなね。それも元をたどればニュージャックスウィング辺りの影響があるわけ。音作りの。
 
O:そうなんですね。
 
H:だからいま、音作りの世界にバーって入っちゃってて(笑)なんか、今までとちょっと違うんですよね。というか、時々あるんだけどね、こういうことは。
 
O:(笑)
 
H:そんな中で、いろいろリサーチして…ま、そのうちかけるけど、きょうはそういうのじゃなくて…世界一せわしない音楽っていうのを聴いてみていい?
 
O:はい。
 
H:ものすごいせわしないから(笑)このジャンルはなんだかよくわからないよ、僕には。で、どれを聴いてもおんなじなんだけど。適当に選んでみる…『Granada Music』っていう、アルバムがあるんですけどね。じゃあ、"Bambawa"っていう曲。
 
 
Bambawa - Boogie B
(from『Granada Music Volume III』)
 
 
H:ま、こんな感じなんですよ(笑)
 
O:どの曲もこんな感じなんですか?
 
H:これは比較的ユルいほうだよ(笑)
 
O:もっとせわしないのがあるんですね(笑)
 
H:なんかコンピレーション…この"Bambawa"っていうのはBoogie Bっていうグループなんですけど、アフリカ系ですよね。ザイール辺りの音楽を思い出すよね。昔フランスで「ズーク(Zouk)」っていうのが流行って、それにすごく似てる。「メレンゲ(Merengue)」とかもせわしない。
 
O:うん。
 
H:なんでこんなせわしないんだろうって思って。気持ちがいま、追いついていけないんだよね、こういう音楽に(笑)
 
O:(笑)
 
H:さっき言ったクワイエット・ストームとか、ああいう流れはカリフォルニア辺りで発生してて、音が素晴らしいと。だいたいみんなスローテンポなんだよね。なんかこう、今の音楽より良いんだよね、音が。なんだろう、あれは。いまだに価値があるよ。今度やるけど。岡田くんが好きかどうかはわからないけど(笑)
 
O:(笑)
 
 
 
H:はい、戻します。岡田くんの世界に。
 
O:いやいや…どうしよう(笑)
 
H:いいよ、どうしようもしなくて(笑)
 
O:あの…今度11/3の「レコードの日」っていうのがあるんですけど。そこで大滝(詠一)さんのカヴァー集っていうのが出るんですよ。『GO! GO! ARAGAIN』っていう。アラゲイン(ARAGAIN)っていうのはナイアガラ(NIAGARA)を逆に綴ったもの…
 
H:へぇ、おもしろいね。
 
O:ARAGAINっていうのは、大滝さんの楽曲管理の会社がARAGAINっていうんですけど。
 
H:あ、そっか。
 
O:で、そのジャケットを手伝いしたんですけど、前に野上(眞宏)さんの写真展のトークショーの時に会ったキーポン(KEEPON)くん…
 
H:ああ、キーポンくん。キーポンくんの噂は時々聞くね。
 
O:彼が、ついにですね。
 
H:デビューしたの?
 
O:"ロックン・ロール・マーチ"をやってまして。
 
H:ほほう…なんか噂聞いてるよ。ライヴに出たりとか。中学生だよ(笑)
 
O:14歳ですね(笑)細野さんから音像についてアドバイスを受けた、って言ってましたけど(笑)
 
H:(笑)
 
O:ミックスに時間をかけてみたんです、と言ってましたので。聴いてみましょうか。
 
H:ほう。ちょっと聴いてみたい。キーポンくんで、"ロックン・ロール・マーチ"。
 
O:はい。
 
 
ロックン・ロール・マーチ - KEEPON
(from『GO! GO! ARAGAIN』)
 
 
H:すげえな。恐るべし。
 
O:ひとりで全部…
 
H:ひとりでやってるんだ(笑)
 
O:ひとり多重録音ですね(笑)
 
H:すごい中学生だよね。声が大滝くんに似てるよね。
 
O:ねえ(笑)
 
H:かなり…入りこんでるね。
 
O:一年半前にはっぴいえんどを聴いたらしいですよ、初めて。
 
H:ついこないだじゃん。なんてこったい…これからどうなるんだろう、この人(笑)
 
O:最近は細野さんのテクノ部分も聴くようになってきました、と。
 
H:本当?
 
O:先週、YMOの1stを買ったらしいです(笑)
 
H:本当?先週?(笑)いやー、楽しみっていうか、恐るべしだよなぁ。なんか、最近の子ども…子どもって言えないか、中学生は。でもすごいな。うん。オリンピック出れるよね。
 
O:(笑)
 
H:えー、キーポンくんね。憶えておいてください、KEEPON。おもしろいね。
 
 
H:えーと…ということで僕はかけるものが無いんだよ(笑)
 
O:じゃあ…このあいだ、神保町で買ったシングル盤が…ピエール・スピエールとゆかいな仲間(Pierre Spiers et son orchestre)。フランスの1958年ぐらいだと思うんですけど、アンドレ・ポップ(André Popp)とか、あの辺りと同じ時期だと。
 
H:いい時代だよね。
 
O:その中から"もっとも素晴らしいジャヴァ(La Plus Bath des javas)"。
 
H:日本盤なんだね。
 
O:そうなんです。日本盤で買ったんです。
 
 
La Plus Bath des javas - Pierre Spiers et son orchestre
 
 
H:どんなグループだったんだろう(笑)冗談音楽かと思ったらわりとマジメにやってるよね、音楽。
 
O:この人は時々かける、ジャンゴ(・ラインハルト)みたいなチャン・チャオ・ヴィダル(Tchan Tchou Vidal)っているじゃないですか。あの人の演奏のバッキングとかやったりしてる人たちです。
 
H:なんだ、マジメな人たちじゃん。
 
O:もともとハーピストみたいです。
 
H:あ、そう。なんかでもバッキングでスパイク・ジョーンズ(Spike Jones)みたいなことやってるね(笑)
 
O:そうですね。ミュージック・コンクレートというか、現代音楽がちょっと混じったような。
 
H:そのチャン・チャオ・ヴィダル、聴きたくなったなぁ。
 
O:じゃあ聴いてみましょうか。"Bye Bye Blues"を聴いてみましょうか。
 
H:はいはい。
 
 
Bye Bye Blue - Tchan Tchou Vidal
 
 
H:いいっすね。
 
O:いいですよね。
 
H:この人はいま、どうしてるの?
 
O:いや、もういないんじゃないですかね。さすがに。
 
H:そっか(笑)いや、こういうギター、弾きたいけど弾けないんだよなぁ。ピックが四角なんだよね。
 
O:あ、四角なんですか。
 
H:うん、なんかヘンな…独特のピックを使ってるんだよね。マヌーシュの人たちは。
 
O:みんな…ジャンゴとかも、みんな?
 
H:そうそう。
 
O:へえ…四角なんだ…
 
H:これは(高田)漣くんから教わったんだけどね。
 
O:(笑)
 
 
H:じゃあね、スウィングつながりで僕、最後にかけたいものが出てきたんで。ソニー・ロリンズSonny Rollins)なんだけどね(笑)
 
O:おお。
 
H:これは…トリオかな?彼自身のトリオで、"St.Thomas"。マックス・ローチMax Roach)のドラミングがすごい。…あ、カルテットですね。トミー・フラナガンTommy Flanagan)がピアノです。
 
 
St.Thomas - Sonny Rollins 
(from『Saxophone Colossus』)