2018.10.28 Inter FM「Daisy Holiday!」より

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O:こんばんは、岡田崇です。今晩のゲストはINOYAMALANDのお二人。
 
井上誠:はい、INOYAMALANDの井上と…
 
山下康:僕は山下です。よろしくお願いします。
 
井上:きょうはよろしくお願いします。
 
H:僕もいるんだよ。
 
O:あと…細野晴臣さんです(笑)
 
H:よろしく(笑)
 
O:よろしくお願いします。
 
H:INOYAMALAND。えー、35年ぶりですよ。僕は。
 
井上:はい。たいへんご無沙汰しております。
 
H:いやー、年とったね(笑)お互いに。
 
井上:そうですね(笑)さすがに…
 
H:何度かしか会ってないですよね?僕は。
 
井上:そうですね。僕は…細野さんお忘れかも知れませんけど、2年前ぐらいに近所のスーパーでチラッとお会いして…
 
H:あれ?(笑)
 
井上:それで、ご挨拶だけはしました(笑)
 
H:ここら辺に住んでんのかな?
 
井上:ええ、うちの女房がすぐ近くなもんで、そこのスーパーで…
 
H:そうかそうか。でも、ぜんぜん顔憶えてないね(笑)
 
井上:そうですよね(笑)
 
山下:僕らは細野さんの顔は忘れようがないんですけど(笑)
 
H:そっかそっか(笑)アクの強い顔なんで。
 
O:YENレーベルでINOYAMALANDの『DANZINDAN-POJIDON』を出してから…会ってない?
 
H:会ってないですよ。
 
山下:そうですよね。
 
H:岡田くんはどういう関係でしたっけね。
 
O:今回『DANZINDAN-POJIDON』の「ニューマスターエディション」というのを出しまして…
 
H:そうですよね、これが出るんで来て頂いた、と…
 
O:そのジャケットを僕がやらせて頂いて。
 
H:当時のね、オリジナルの天気図のジャケットを…
 
O:奥村靫正さんのところにお伺いして、当時とものとは別のポジを探して頂いて。それを使って新しいヴァージョンのジャケットを作った。
 
H:で、CDが出て、今度アナログ盤も出ると。
 
O:そうですね、11月…ぐらいに…かな?
 
H:うん。えー、タスキ、というか帯にコメントを書かせて頂きましたけどね。
 
井上:ありがとうございました。
 
山下:お世話になりました。
 
H:いえいえ。「1980年代、ニューウェイブアンビエントのはざ間にはユニークな音楽があったのです。」と、まあ、書いたんですけど。どうですか、INOYAMALANDは海外から引き合いがあったり、したんですよね?
 
井上:ええ。4,5年前からあちこちから来るようになりまして。
 
H:やっぱりね。
 
井上:(海外の方からは)僕らはどこに住んでるのかわからないと思うんですけど、仲間に巻上公一という…
 
H:あ、ヒカシューの…
 
井上:彼のところに世界中のいろんなところから「INOYAMALANDというのを知っているか?」と。
 
H:へえ。
 
井上:「彼らはいまどこで何をしているんだ?」と。巻上くんのところにコンタクトしてきて…
 
H:すごいね、外国人って(笑)どうして知ったんだろうね。
 
井上:たぶん、最近のああいう…インターネットのアレだとは思うんですけど。
 
O:YouTubeとかね。
 
H:そうだな。んー。
 
井上:ずいぶん前からYouTubeにアップされてるんですけども、何年も動いてなかったんですよ(笑)
 
山下:ようやく来たんですよ。
 
井上:そう、急に動き出した(笑)
 
H:30年間…
 
井上:固まったままだったんですけどね。
 
H:これはすごいよね。
 
井上:それはすごい不思議に思ってます。はい。
 
H:こういう時代だから起こることだよね。
 
井上:そうですね。
 
 
 
 
H:えー、じゃあちょっと、ご挨拶代わりに曲を…ね。せっかくだから。かけて頂きたいんですけど…アルバム1曲目に入ってる"SHÜFFER"。どういう意味?
 
山下:や、あまり意味はなくて。いつも…僕らインストゥルメンタルなんで、いちばん困るのが…細野さんも経験あるかもしれないんですけど…
 
H:タイトルね。
 
山下:ええ。なので、テキトーと言ってはなんですけども、付けてしまったタイトルの一つですね。
 
H:でも、SHÜFFER(シューファー)という人がいるんですよね。あ、シェーファー
 
山下:それはたぶん…解説文には書かれているんですけどあんまり関係なくて…
*引用者註:井上氏による楽曲解説曰く「山下さんの好きなカナダの現代音楽作曲家マリー・シェーファーから」。
 
井上:音の響きが好きだという話…
 
山下:そうですね。できるだけタイトルから曲が連想できない方がいいかな、っていう風には思ってるんですね。
 
H:なるほどね。ひねくれてますね。
 
山下:ええ(笑)エリック・サティ(Érik Satie)の影響ですかね。
 
H:あー、そういう…じゃあ、どうぞ。
 
 
 
 SHÜFFER - INOYAMALAND
 ( from 『DANZINDAN-POJIDON』)
 
 
 
H:こういう感じで…ずっと続くわけですよね。この時代の音楽がね。
 
井上:そうですね(笑)
 
H:僕もやってましたからね(笑)当時僕はこういうのをYENレーベルで、YMOの後に…後っていうか、まあ同時期なんですけど、高橋幸宏とやってたんですけど。これ…INOYAMALANDの音を持ってきてくれたのが、上野くん(上野耕路)ですよね。
 
井上:はい、そうです。
 
H:上野くんとはどういう関係でしたっけ?
 
井上:彼がまだ8 1/2というパンクバンドをやっていた時に、ヒカシュー…あ、僕と山下くんもヒカシューのメンバーだったんですが…
 
H:メンバーだったんだ。
 
井上:そうなんです(笑)
 
山下:メンバーというよりも、実は僕らが作った…
 
H:あ、なんだ、そうなんだ。
 
井上:僕らが二人で始めたのがそもそもヒカシューだった…で、そこに巻上くんたちが入ってきてああいう形態のバンドに。
 
山下:実はINOYAMALANDも最初の名前はヒカシューだったんですね。で、こういう音楽やってたんです。
 
H:複雑だなぁ…(笑)
 
山下:複雑なんです(笑)なにかモノに書かれているのでそこを読んで頂ければ…
 
H:そうね。
 
井上:で、そのヒカシューも、それから上野くんの8 1/2というバンドも、アマチュアだった頃によく関西ツアーなんかを一緒にしてた。そういう仲間だったんです。
 
H:そうか…
 
井上:で、彼が1982年に細野さんのところで…『改造への躍動』でしたっけ。
 
 
井上:あれを出した縁があって、で、INOYAMALANDの曲を細野さんに聴いてもらおう、って上野くんのほうから提案してくれたんです。
 
H:ああ、そうなんだね。それで持ってきて、すぐリリース…ってなったんだろうね(笑)
 
山下:おかげさまで(笑)
 
O:ちょうどMEDIUMってレーベル…YENレーベルの中にMEDIUMっていうサブ・レーベルがあって…
 
H:中間音楽だね。
 
O:そこのアーティストを探してる感じだったんですかね。その時。
 
H:そうかそうか。あの、もう一組、いましたね。
 
O:Interior(Interiors)とTESTPATTERNと。
 
H:この、InteriorもTESTPATTERNも…いま出したらいいんじゃないかっていうね。話もありますよね。
 
O:ですよね。
 
H:その頃、1983年のリリースで…その頃岡田くんはどうしてたの?
 
O:中学3年生です。
 
H:(笑)
 
O:1983年の…8月ですよね。
 
H:YENレーベル聴いてたわけね。
 
O:YEN友会…ファンクラブの会員でした。
 
H:あ、そうなんだ(笑)
 
山下:最年少、じゃないですか?
 
O:大変だったんですよ。これの発売日が太田螢一さんの『人外大魔境』と、高橋幸宏さんの『薔薇色の明日』、同時発売だったんです。
 
H:そうなんだ。
 
O:ど、どれ買えばいいんだ…っていう(笑)中学生のお小遣いでは…
 
H:どれ買ったの?
 
O:INOYAMALAND(『DANZINDAN-POJIDON』)と『薔薇色の明日』を先に買って…
 
H:えー!意外(笑)で、後で太田くんのを買った…
 
O:そうなんです。
 
H:当時、高いもんね。
 
O:でも、このレーベルは安かった。2,200円でした。
 
井上:そうですね。少し買いやすい値段設定ですね。
 
O:幸宏さんのと一緒に買っても負担が少ない、みたいな(笑)
 
井上:5千円でお釣りがきた…
 
 
 
H:それで、「イノヤマ」という名前というのは井上さんと山下さん、と。
 
山下:そうですね。たぶん、その前ぐらいに…結局ヒカシューが別の形態になってしまったので、なんか付けないといけないじゃないですか。
 
H:うんうん。
 
山下:なので、僕らはヘンなアレで…「前期ヒカシュー」とかって言って、テクノになる前のヒカシュー、みたいな。そんな言い方してたんですね。
 
H:なるほどね。
 
山下:で、それはあんまりだって言うんで、「イノヤマ」という…で、いつの頃か、ヒカシューの中でも僕ら二人だけの仕事みたいのがあって。インストゥルメンタルの。ヒカシューという名前で仕事はしてるんですけども…
 
H:ヒカシュー集団だね。
 
山下:そうですね。みんな、巻上くんは巻上くんなりに仕事したりしてて。で、その時に僕らに来た時は、じゃあ今回はイノヤマで、と。井上くんと二人で…
 
H:使い分けてたんだね。
 
山下:はい。「じゃあ、イノヤマで行きましょう」と。なのでイノヤマで、あと「ランド」を付けて…
 
H:書いてあるところによると、目の前にディズニーランドのランドが…
*引用者註:井上氏による解説文曰く「そのとき山下さんが来ていた〔原文ママ〕トレーナーにDisneylandのロゴがプリントされていたので「じゃあランド付けよう。イノヤマランド」と、話はどんどん進みました」。
 
山下:あれもね、ちょっとね…当時を思い起こしてみるとそうじゃなくて…(笑)
 
井上:まあ、そういう話にしておくと分かりやすいので…よく着てたんですよ山下さん、たしかに。
 
山下:そうですね。まあ、ともかく昔のことなんで記憶は曖昧ですね(笑)
 
H:30年以上前だからね。その間、なにをやってたか。ちょっと発表してください、山下さん。
 
山下:はい。INOYAMALANDっていうのはそこでひとつ定着したので、おかげさまで…特に、早い時期だったじゃないですか、環境音楽とか。のっけどころだったんで、一応…動かなかったんですけども、知る人の間では「環境音楽のINOYAMALAND」っていう風に浸透してたので、その後始まった…商業施設での環境音楽の仕事が来るようになりまして。
 
H:あー。そうだよ、当時ね、まだアンビエントっていう名前があんまり出てない頃に…たとえば青山のビルから僕のところに来て相談して…店内音楽はどうしたらいいんだ、っていう。それはもう環境音楽だろう、とかね(笑)そういう時代でしたよね。
 
山下:そうですね、そういう流れが…なので、レコードには…盤にはならなかったんですけども、いろんな博覧会…当時はありましたよね。
 
H:あったね。いっぱいあった。
 
井上:あと、美術館だとか。博物館とか。
 
H:僕も頼まれたこと、けっこう多いからね。そうか。
 
井上:それでなんとか、今までこう…やってきて。じゃないと結局、アルバム1枚出していつの間にか消えちゃった、っていうことになってたのかもしれないですね。
 
H:消えてなかったね!すばらしいね。
 
井上:ええ、よかったです。
 
H:それはいつも二人で、ずっと?付かず離れず。
 
井上:そうですね。たぶんあの…彼と知り合ったのはそれこそヒカシューの結成…する前だから…
 
山下:40年、41年…
 
井上:ぐらいになりますね。
 
H:そう。
 
山下:で、お互いにこう…癖(ヘキ)を知っているので、その癖をうまく利用しながらやってこられたような感じですね。
 
H:なるほどね。ライヴとかはあんまりやってなかった?
 
井上:ええ、ほとんどなかったんですけれども、ここ数年またやりだした…今年になってからも5回、6回くらいね。
 
山下:で、ちょうどこのアルバムを出してすぐ後くらいか…
 
井上:あ、茂一さん…スネークマンの茂一さん(桑原茂一)から「ピテカントロプスでやらないか?」って言われて…
 
H:ピテカントロプスってまだあるんだね?
 
O:この当時(1983年前後)ですよね?
 
井上:そうですそうです。
 
H:あ、当時の話か(笑)
 
井上:ピテカンがオープンした直後ぐらいにライヴやらして頂いたことがあって…
 
H:あ、そうなんだ。
 
山下:そこで1回、一夜限りのライヴやって、なんか二人とも懲りて…(笑)
 
井上:それでたぶん、20年ぐらいやってなかったのかな。
 
H:すごい時間の流れだよね。
 
 
 
井上:で、テクノのアレがあって、今度永田さん(永田一直)とかに、いわば再発掘してもらってから、またライヴを始めた、というような…
 
H:その30年という時間で…たとえば僕なんかは、もういろんな風に変わってったんですけど、変わんなかったわけね。
 
井上:変われなかったんでしょうね(笑)
 
H:それはすごいことだよね。んー。たとえば…好きな音楽ってなに?
 
山下:僕は細野さんですよ、言ってしまうと(笑)
 
H:えー!それは…(笑)やっぱり、環境音楽は聴いてたわけ?
 
井上:ええ。もちろん、いろんな…当時、細野さんは1960年代の方なので…僕はもう今年、66歳なんですけども、最初に細野さんを聴いたのはエイプリル・フールで。
 
H:あ、エイプリル・フールから?
 
井上:野音で拝聴しました。生で。
 
H:聴いてたんだ?
 
井上:聴きました。すごいなぁ、と思って。
 
H:びっくりだね。
 
井上:30分間くらい1曲でいかれたんですよね、たしか。あの頃…
 
H:そうだっけ(笑)ずっとインプロヴィゼーションやってたんだね。
 
井上:ええ。だから、ある意味…広い意味でのアンビエントに感じたんです。当時アンビエントは無かったんですけどね。
 
H:無いよね。
 
井上:ええ。でも、ずっと変わらないで1曲を演奏して…ブワーッと、こう…
 
H:グレイトフル・デッドGrateful Dead)みたいですね。
 
井上:で、小坂忠さんはボーカルなんだけども、ずっとこうやってるだけで…ひたすら…(笑)
 
H:カウベルとかね。
 
山下:僕もやっぱり、エイプリル・フールからなんですけれども…
 
H:えーっ!
 
山下:僕はまだ中学生だったんですけど、東京キッドブラザースというところの最初のEP盤が…エイプリル・フールが伴奏をしてくれてて…
 
H:やりましたね。そうだそうだ。
 
山下:その、芝居のBGMなんで、メロディが盛り上がったりっていう起伏があまりない音楽なんですけれども、淡々と演奏を繰り返していることで台詞が段々々々熱を帯びてくる…そのBGM自体がすごく好きになった、というのが、いま思うと環境音楽的な、アンビエントなものにつながっていくのかな、と。
 
H:うそー?(笑)こじつけだよ(笑)
 
一同:(笑)
 
H:エイプリル・フールの時にアンビエントなんて概念、一切なかったよ(笑)
 
山下:まあでも、その音色を感じてたんでしょうね、いま思えば。
 
H:それは素質ですよ、二人の。んー。
 
山下:そうですか(笑)
 
H:アンビエントの権化だね、そうなってくると。先生だね。
 
山下;既に細野さんは、エイプリル・フールの時にそういうことをやられてた…
 
H:知らずにやってただけだよ(笑)
 
山下:でも、それが一番じゃないですかね。知らずに、って。
 
H:いやー、知ってた方がいいんじゃないですか…
 
井上:僕は映画音楽のほうも昔から好きだったんですけども、伊福部昭さんといろいろ、お仕事させて頂くことがあって。
 
H:あ、そうですか。
 
井上:実は、細野さんといっしょに伊福部さんのお宅に遊びに行ったこと、あったんですよ。
 
H:…僕、憶えてるよ、それ。
 
井上:憶えてますか?
 
H:上野くんもいたね。
 
井上:はい。僕、細野さんの車の助手席に乗っけてもらって、道案内をしながら尾山台まで…
 
H:そんなことあったねぇ。すごい経験だよ。伊福部さんと会ったんだよ。なんか憶えてる、それ。
 
井上:『銀河鉄道の夜』のね。あの頃。
 
H:そう、壁にいろんな民族楽器が置いてあって…いい経験だったな。いや、言われるまで忘れてたけどね(笑)
 
O:忘れるんだ…(笑)
 
H:ほんっと、忘れちゃうよ?年とると。二人はいろいろ憶えてるんでしょうね。
 
井上:はい。あまりなかったもんで、いろいろと…(笑)
 
山下:で、僕ら自身もいろいろ忘れてることを、今度さらに若い世代の…永田くん達の世代がまた掘り起こしてくれて…
 
H:掘り起こされる立場になってきたんだね。
 
井上:そうなんです。いつの間にかそういうことになって…で、今回35年ぶりに『DANZINDAN-POJIDON』を掘り起こしてくれて…
 
H:なるほど。
 
 
 
O:今回の「ニューマスターエディション」というのは、どういうことなんですかね?
 
井上:ええ。最初の版の原盤というか、元のマスターテープをそのままCDにすれば…という風に最初は考えてたんですけれども、なかなかそれが見つかりませんで、いろんな人たちが八方手を尽くしてくださったんですけれども、どうも出てこない。で、うちには当時それを作る元になったマルチテープがゴロゴロ、何本も転がってるんで…
 
O:それがすごいですよね。
 
井上:そこからもう一度、一から作り直してみたら何ができるかな、と。
 
H:再構築だね。
 
井上:益子さん(益子樹)っていう、山下さんの甥っ子になるんですけども…
 
山下:甥っ子の息子…になるのかな。DUB SQUADとかのメンバーの…
 
井上:益子さんが全部、その複雑な作業をやってくれて…
 
H:おお、そう…
 
O:8trのオープンリールを、当時の感じをイメージしつつ…
 
井上:そうですね。
 
山下:当時、細野さんが「ウォーター・ディレイ・システム」っていうのを考案してくれて…
 
H:ぜんぜん憶えてない…(笑)
 
山下:あの、水槽にマイクを立てて…
 
H:あー、あれね…
 
井上:あの独特な響きを一生懸命研究して、分析して、解析してくれて…
 
H:あれ、ちゃんとやったんだっけかな…(笑)
 
山下:やりました、やりました(笑)
 
O:(収録曲中の)半分くらいに使われた…
 
井上:そうですね。全曲録った上でみんなで試聴会をして、じゃあこれは活かそう、これは外そう、っていう風にやったのを憶えてます。
 
H:なるほどね。そうだ、そうだ…おもしろいことやってたね。
 
山下:はい。
 
H:なるほど…それはでも、ギャビン・ブライヤーズ(Gavin Bryars)のパクリだな…(笑)
 
山下:いやいや(笑)でも、昨日…一昨日か。甲府アンビエントのパーティみたいのがあって…
 
H:え、そんなのがあるんですか、今。
 
山下:一昼夜、夜中まで…
 
H:いいなぁ。
 
山下:それに出たんですけども、ちょうど台風のあおりで雨が降ってて。
 
H:いいじゃないですか。
 
山下:で、隣に川が流れてて。
 
H:うわ、すごい。水浸しだね(笑)
 
山下:そんな中で演奏したら、観客の方から、ウォーター・ディレイ…生のウォーター・ディレイと…
 
井上:まさに水の中…湿度100%の中なので…
 
山下:と、言われましたね(笑)
 
H:すばらしい。それはもう、いい環境ですね。
 
山下:そうですね。
 
 
H:では、もう1曲…聴いていきたいと思いますが。これは長い曲ですから、途中まででまたお話に戻りますけど。"APPLE STAR"という曲です。
 
 
 
 APPLE STAR - INOYAMALAND
 ( from 『DANZINDAN-POJIDON』)
 
 
 
H:気持ちよくて寝ちゃう人もいるだろうから…(笑)
 
一同:(笑)
 
H:YouTubeで自然音の…なんかあったりしてね、「眠るための音楽」とか。ありますよね、最近ね。気持ちがよくて僕はよく聴くんですけどね。ところで、ライヴがあるんですって?
 
井上:はい。こないだアナログ盤も出たんですけれども、今度は11/23に渋谷のアップリンクっていう、映画館があるんですけど。そちらのスクリーンにVJを映しながら演奏させていただく…
 
H:あ、ホントに?
 
井上:ええ。11/23に。渋谷のアップリンクでコンサートあります。
 
H:時間は夜ですよね?
 
井上:そうですね。
 
H:まあ、ちょっと良いかもしれませんね。雨が降るといいね。
 
井上:そうですね(笑)東京でもウォーター・ディレイで…
 
 
H:で…じゃあきっと、この流れだと新しいアルバムとか考えてるんじゃないですか?
 
井上:ええ、考えていますけれども…まずは35年分、いろいろと溜めてるものをどう整理して、発表していくか…
 
H:あー、そうだよね。膨大なものが溜まってるわけだ。うらやましいね。
 
井上:(笑)
 
H:ひっつけたり、つなげたり、再構築して…楽しいでしょう?
 
井上:自分たち自身でいろいろ掘り出したりとか、そんなことをしながら来年はいろいろとやってみたいと思ってます。
 
H:よし。つまり、INOYAMALANDはこれから復活していく、と。決してこう…昔のことを出してるわけじゃなくて、これからだね。
 
O:そうですね。
 
H:いい傾向ですよね。
 
井上:はい。ありがとうございます。
 
H:海外からって、たとえばどの国から?
 
井上:ええ。今のところはまず、スイスのレーべルから…
 
H:スイス?おー、なるほど。
 
山下:まだ決まってる…わけでもないのかな?まあでも、おそらくどっかから出るでしょう。
 
井上:で、順番にヨーロッパ圏から、北米、オーストラリアの話もあるかな…まあいろいろ、話だけは各国から来ています。
 
H:いいですね。
 
山下:意外だったのが、アメリカからの反応が良かったので…僕らは何となくヨーロッパ、特にドイツ辺りかなと思ってたんで。
 
H:なるほどね。
 
山下:ドイツからはぜんぜん来ないな、と(笑)一本も来ないですよ、いまのところ。
 
H:ああそう(笑)
 
山下:まあでも本国なので、いまさら…という感じがあるんでしょうね。
 
H:あのね、若い世代…1980年代がブームなのかもしれないね。
 
山下:そうですね。何人かアメリカから…マニアとかミュージシャンが来てお会いしたんですけど、ビックリするくらい若いんですよね。
 
H:若いでしょう。
 
井上:なのに、すごい僕らのこと詳しくて…
 
H:すごいね、勉強してるんだね。
 
井上:(自分たちから)「え、そうでしたっけ?」って訊き返したりするような…
 
山下:たぶん、世代的におじいちゃんがウッドストックで、お父さんたちがニューエイジで…
 
井上:そのおじいちゃんの孫がちょうど、こういうアンビエントを聴いているのかな、と。
 
H:あー、なんか…僕もそういう経験最近あるね。んー。当時の…1980年代に作ったBGMとか、出たりしてね。カヴァーされたりして(笑)
 
山下:それはビックリしますよね。どういうことなんでしょう、っていう。
 
H:最初はワケわかんなくてね。何がいいんだろう、っていう(笑)
 
山下:僕らも最近になってやっと慣れた、っていう感じが…そういうことに。
 
H:これはいいですよね。だから、外国に行くことも、そのうちきっと出てきますよね。
 
山下:ぜひ。行きたいと思います。
 
H:いやー。楽しい時代になってきましたね。
 
O:最後、急に僕に…(笑)
 
H:まとめてください、まとめて。
 
O:というわけで…
 
H:(笑)
 
O:今晩のゲストはINOYAMALANDのお二人と、細野晴臣さんでした。
 
H:どうもー。
 
一同:ありがとうございました。