2020.08.16 Inter FM「Daisy Holiday!」より
H:細野晴臣です。さぁきょうも先週の続きでゲストの佐藤征史さん、くるりの佐藤征史さんを…もう、2週分録ってますから(笑)
佐藤:よろしくお願い致します。すみません、なんかべらべらしゃべっちゃって…(笑)
H:いいんですよ。しゃべんないと。
佐藤:うれしいです、本当に。
H:で、先週最後に話してたミナスの話がすごい興味深くて。ちょっと、ますます聴きたくなってくるんですけどね。
佐藤:はい。じゃあもう1曲、聴いて頂いていいですか?
H:ええ。
佐藤:これはミナスのシンガーと、アルメニアのピアニストっていう…
H:すごい取り合わせ(笑)
佐藤:ホントにその声とピアノだけの作品なんですけど。アルメニアって、あの…あー、名前出て来へん(笑)
H:(笑)
佐藤:すごい大好きな人がいて。アルメニアの民謡を現代風にアレンジした作品を出しておられて…あっ、ティグラン・ハマシアン(Tigran Hamasyan)!
H:あー…
佐藤:そのアルメニアっていう国に行ったことないからわからなかったんですけど、ものすごい世界観があってすごいな、と思ってたんですよ。
H:うんうん。
佐藤:それがブラジルのヴォーカリストと一緒に…アルメニアの空気感っていうのが合わさったら…
H:もう、その話を聞いてるだけで…
佐藤:ものすごい美しいなぁ、と思って。じゃあちょっと、まず1曲聴いて頂きたいんですけど。
H:ぜひ。
佐藤:タチアナ・パーハ&ヴァルダン・オヴセピアン(Tatiana Parra & Vardan Ovsepian)っていう…あの、すみませんね(笑)
H:(笑)
佐藤:という方で、"O Silencio De Iara"。
O Silencio De Iara - Tatiana Parra & Vardan Ovsepian
(from『Triptych』)
H:いいねぇ…聴いちゃったよ。
佐藤:ありがとうございます(笑)ホントにこういうヴォーカリストが…器用、って言ったらおかしいんですけど、日本人的感覚とぜんぜん違うじゃないですか。
H:まぁそうね。
佐藤:自分、初めてブラジルの音楽っていうのを意識して聴いたのがエリス・レジーナ(Elis Regina)やったんですけど。あの1枚目の、"帆掛け舟の疾走(Corrida De Jangada)"っていうんですか。いや、カッコいいけどなにやってるかわからへんし…
H:(笑)
佐藤:拍もどうやって繋がってるのかわからへん…
H:裏の…裏だよね、ぜんぶ。んー。
佐藤:はい。それで…なんて言うんですかね、小節の分解というか、音符と音符の間もすごい細かいじゃないですか。
H:うんうん。
佐藤:だからぜんぜんわからなかったんですけど、それが気持ちよくなってきたときに…出来ないんですけどね、自分では。ブラジルの音楽っていうのがちょっとずつ好きになってきて。それでこういう人たちに出会って…
H:そうかそうか。もう随分、じゃあ、長いんだね、そういう…ブラジル。
佐藤:そうですね。「わからない」もの…けど。
H:「わからない」からこそ惹かれるんだよね。
佐藤:ジャズとかもそうなんです。別に、普通のスタンダードとかはまったく聴かないんですけど、ブラッド・メルドー(Brad Mehldau)の響きだけ好きやったんですよ。
H:あ、そうなんだ(笑)
佐藤:それが今の…アルメニアのピアニストの方(ヴァルダン・オヴセピアン)とか、ティグラン・ハマシアンとかはそれにすごい近い空気感、っていうんですかね。
H:なるほど。
佐藤:天気で言ったらぜったい曇ってる、っていう中で鳴ってるコード感みたいのはすごい好きやったりするんですよね。
H:なんかこう…この時代に空気感がすごいピッタリくるっていうかね。
佐藤:あー…ただ陽気では居られない、という。
H:ついこないだまで…ヒット曲とか、すごかったじゃない。アメリカ製の、音が独特のね。作り込んだような、ヴァーチャルな音楽。
佐藤:はいはい。なんでもソフト一本で作れそうなものですよね(笑)
H:そうそう(笑)そういうのももちろんあるんだろうけどね、まだ。非常にパーソナルでやってる人が増えてきてるよね。アメリカではね。
佐藤:最近ホントに…なんて言うんですかね、50s'・60s'リヴァイヴァルというか。
H:うん。
佐藤:特にベースで言ったらぜったい音が止まってるような…ミュートで弾いて、太鼓とかもすごく抑えてるような音が増えてきたから、新しい音楽でも懐かしい感覚というか。やっぱり自分の耳触りが…すごいそういう音が好きやったりするんで。
H:うんうん。
佐藤:最近の音楽やけど昔ながらの音、っていうのが増えてきて。自分的にはちょっとうれしかったりするんですけどね。
H:大人になったんだね(笑)
佐藤:(笑)でも自分たち、「元祖グランジ世代」って言ってるんです。
H:そうだよね(笑)
佐藤:自分たちが学生時代、高校生のときとかに1992年、1994年…ニルヴァーナ(Nirvana)とかスマッシング・パンプキンズ(The Smashing Pumpkins)とか。
H:そうだよね。
佐藤:あとはオアシス(Oasis)とかのブリットポップもそうやったんですけど。そういうのを聴いて、自分らのバンドを始めたときのテーマは「技術をパワーでごまかせ」っていう。
H:(笑)
佐藤:サビになったらディストーション踏んどいたらいいや、みたいな(笑)
H:なるほどね。その通りやってるな(笑)
佐藤:そういうノリでずっとやってました(笑)
H:あ、なんか時報が…外から入ってくるね(笑)
佐藤:そっか、17時のチャイム…
H:17時の時報。うん。
佐藤:素敵でございます(笑)
H:(笑)
佐藤:…そういうので、ないものねだりみたいな感じで色んな国の、ようわからへん音楽を聴くのが好きになったのかもしれないです。ホント。
H:だんだんそれで、自分でやりだすんだよね。楽しみだね(笑)
佐藤:そうですね…(笑)でも、どっちかって言ったらラジオでかけるっていう…音博とかもそうなんですけど。
H:うんうん。
佐藤:友達とかと…昔やったらカセットテープのベストテープを交換していたような。
H:聴かせ合いみたいなね。やってたねぇ…
佐藤:今で言ったらプレイリストか。Spotifyとか。これ聴いて?みたいのをリアルでやる。
H:うん。
佐藤:音博やったら人を呼んでやる、みたいな。ラジオやったらこんなん誰が聴くねん!というような曲だけかける、みたいな…(笑)
H:なるほど(笑)
佐藤:そういうのをよくやってますね。
H:まぁその楽しみもよくわかるけど…でも、自分でもやりたくなるんでしょう。
佐藤:そうですね…まぁ、何回かやったことはあるんですけど。
H:やってるよね。んー。
佐藤:でもなかなか僕、そんなに上手にメロディーを書ける人でもないから…楽曲を作って、っていうのは…
H:誰かに作ってもらえば?(笑)
佐藤:じゃあそのアレンジをこういう風に持ってきたいよね、とか。
H:やっぱりその大元の…なんて言うんだろう、自分でマイキングしたりね。こういう音って…なんだろう。作り込みというよりも、すごくナチュラルだけど、なんだかすごくリアルじゃない。
佐藤:はい。
H:今、そういう音がやっぱり増えてるよね。
佐藤:うんうん。そうですよね。
H:そういう世界を…自分でもいまも考えてるけど。まぁ、いまは白紙状態なんだよね。この時期。
佐藤:はい。
H:ついこないだまでやってたことが、なんか遠い過去になっちゃって(笑)あの震災のときもそうだったでしょ。
佐藤:そうですね。
H:震災の前と後はぜんぜん変わっちゃったでしょ。
佐藤:変わっちゃいましたね。
H:それとはまた違う質なんだけど、いま。なにか変わってきてるんだけど、まだわからない。
佐藤:わからないですね。なんか震災の後は…もちろん、被災地にお邪魔させてもらって演奏とかね。
H:一緒に行ったことありますね。うん。
佐藤:やっぱりものすごい…ちゃんとやろう、であったりとか。クサい言葉かもしれないですけど、一音一音に魂を込めて、人前でちゃんと聴いてもらうために演奏しないと…っていうような感覚がすごい強くて。
H:それはあるね。
佐藤:それが今まで続いてるので、自分にとってはすごいありがたい経験なんですけど。
H:うん。
佐藤:ひょっとしたら…コロナが終わったら、もっとふざけなアカンのかな?とか(笑)
H:(笑)
佐藤:それが自分でもまだわからないですね。
H:わかんないね、んー。
佐藤:人の前で[演奏]できるありがたさっていうのが…もちろん、震災の後も今も一緒なんですけどね。
H:そうね。
佐藤:どういう音楽をみなさん聴きたいと思うのか、とか。
H:ね。
佐藤:そういうところが…もうちょっとしたら見えてくるんですかね(笑)
H:たぶんね。アートの世界では、たとえば…僕がびっくりしたのは横尾忠則さんが「With Corona」っていうシリーズで、過去の作品とかにマスクを着けてて。その量がすごいんだよ。毎日のように送ってきて頂くんだけど(笑)
佐藤:(笑)
H:圧倒されるんですけどね。やっぱりこれは芸術の力だ、って思ったんですよ。美術とかアートとかそういう…絵を描く人とか。ダイレクトに出てくるんだな、と思ってね。即反応してるっていうか。
佐藤:はい。
H:でも音楽はまだね、即反応は出来てないから(笑)
佐藤:うーん、そうかもしれないですね。
H:まずは…なんて言うんだろう、僕たちは聴くことからやってるんじゃない?今。
佐藤:そっか。
H:「なにを聴きたいか」っていうことからやってるところがあるな、僕なんかはね。
佐藤:なるほど。ピカソみたいに「ゲルニカ!」って表現するアートもあれば…
H:そうそう。アートってわりとそういう、素早い力があるけどね。
佐藤:やっぱり自分たちにしてもリスナーでもあるから、耳からの刺激を経て、じゃあそれをどうアウトプットするか、っていうことなんですかね。そうかもしれない…
H:音楽っていうのはそういうものなんだな、と思って。
佐藤:なるほど。
H:不思議な…つかみどころがないっていうか(笑)
佐藤:なんか、もしもう1曲かけるのであればめっちゃふざけてやつかけようかな、と思ってたんですけど、やめます(笑)
H:あるの?あるのなら聴きたいよ。
佐藤:ホントですか?時代、まったく関係ないと思うんですけど。
H:いいんだよ、それで。
佐藤:いいですか?じゃあトルコの歌姫の曲を1曲、聴いてもらっていいですか?
H:お、いいね。ちょっとそれで元気になるんじゃないの?
佐藤:そうですね。じゃあこれを…ヴォーカリストなんですけどバンド形式でやっておられる…5,6人バンドでわりと大所帯なんですけど。
H:うん。
佐藤:トルコの独特の音階のメロディをこれでもかっていうふうに歌わはるんで。
H:最近の人なのね?
佐藤:えーとね、最近です。アルバムは3枚ぐらい出されてるんですけど、これは1枚目のアルバムになりますかね。4,5年前ですね。
H:へぇ。
佐藤:えーと、ガイ・ス・アクヨル(Gaye Su Akyol)っていう方で、"Hologram"という曲を聴いてください。
H:ほほう。
Hologram - Gaye Su Akyol
(from『Hologram İmparatorluğu』)
佐藤:すみません、下品っぽい曲をかけてしまいました…
H:いやいやいや!ひさしぶりにこういうの聴いたよ(笑)
佐藤:サラームさん(サラーム海上)とかがお好きそうなあれなんですけど…ちょっとびっくりして。なんかここまでやんのや、と思って。
H:うんうん。
佐藤:カンボジアとかベトナムとかのポップスも、ちょっと日本の演歌っぽくもあったりするじゃないですか。
H:そうだね。
佐藤:そういうのがトルコにもあるんだな、と思って。ちょっと1回行ってみたい国の一つです。行ったことないんですけど。
H:僕は一度行きましたね。
佐藤:なんか…ヨーロッパに居たときに、練習スタジオにみんなで入ってたんですよ。ライヴせなアカンっていうことで。
H:うん。
佐藤:隣のスタジオから、ようわからへん音楽が聞こえてきて。
H:うん(笑)
佐藤:それをずっと、休憩中にタバコを吸いながらとか聞いてたら、なにをやってるのかぜんぜんわからへんけど、これは繰り返されてるぞ、っていうぐらい…(笑)
H:(笑)
佐藤:何拍なのか、音階もわからないんですけど、どうもこれはミニマルな音楽をやっておられるみたいだ、っていうのだけわかって。
H:そうなんだ(笑)
佐藤:で、その人らがどこの人なんや、ってスタジオの人に訊いたらトルコの人たちやったんですよ。
H:へぇ。
佐藤:あー、ぜんぜん、こんな…日本では流れないような音楽もあるんだな、と思って(笑)
H:まったく異質の音楽だよね。
佐藤:そうですよね。どういう感情になればいいのかがあんまりわからなくて…
H:わからない!
佐藤:(笑)
H:真似して演奏は…ちょっと似たようなことはできるけど、ぜったい歌は出来ない。
佐藤:あー…そっか。
H:たとえばモロッコに行ったときに、ベルベル族たちの音楽がベンディールっていう太鼓だけで…タンバリンみたいなやつで、それだけで合唱してるんだけど。
佐藤:えー…
H:すごい、それが興奮するわけ。トランスミュージックって言われてるんだけど(笑)なんか、儀式的な音楽なの。
佐藤:へぇ…
H:そのベンディールっていうタンバリンを買ってきて、誰もやらないからひとりで…
佐藤:(笑)けっこう大きいタイプの?
H:タンバリンのちょっと大きいもので…
佐藤:イメージ的にはアイルランドとかのスルドっぽい…
H:うん、そうそう。あの感じ。スルドっぽいやつ。でも蛇腹が貼ってあって…蛇腹じゃなくて、なんだろう、あれ。ボヨヨン、っていうノイズが出てくる。
佐藤:へぇ。
H:それを3,4人でやるんですけど、ポリリズムでみんな違うんだよね。基本はワルツなんだけど、いつの間にか2拍子になってるわけ。あれー?って(笑)
佐藤:それ、生で聴いたらすごそうですよね。
H:生で聴いたらびっくりしちゃって、そのベンディールを買って帰ってきてずーっとひとりで練習して。
佐藤:(笑)
H:で、なんか出来そうになってきて。仲間が欲しくてしょうがなくて…誰もやってくれないんだよね(笑)
佐藤:細野さんたぶん、そういう楽器多いですよね(笑)海外とかで色々…昔の楽器とかも。
H:多いよ(笑)結局ひとりでやってると限界がきてやめちゃうんだけどね。
佐藤:でもせっかくね、ベンディールやったら少なくとも3人以上とか。大人数でやるほうがトランス感…
H:そう。やりたい…
佐藤:そういう募集して、サークルとか。このラジオで募集して…(笑)
H:でも日本ってそういう人、けっこういるんだろうね。サークルみたいな。もう、びっくりするような人たちがいっぱいいるからね。
佐藤:そうですよね。わりとメジャーな…なんだっけ、座って叩く太鼓とかやったらようけやってはりますもんね。
H:やってるよね。で、ホントにマニアックな人たちがけっこう多いな、と思いますよ。日本も。
佐藤:そっか。タブラとかもね。教室とかやったらみんな行かはりますもんね。
H:上手い人いっぱいいるしね。
佐藤:ちょっと広めて…ぜひぜひ。
H:ベンディール。急に思い出した(笑)
佐藤:(笑)
H:いまだにやりたい気持ちは捨ててないからね。
佐藤:そっか、砂漠地方なんでしたっけ?
H:そう。砂漠の音楽。だから声が砂に枯れてるっていうか…ああいう声じゃないとできないね。
佐藤:最近デザートブルースとか…ギターのブルースの人、何人か出てきはりましたけど、すごい乾いてますもんね、やっぱり。
H:乾いてるねぇ。
佐藤:カッコいいなぁ、って思ったりします。けっこう海外も行かれてるんですよね。ホントに。
H:いやー…随分長く生きてるからね。色々行ってきましたけど。もうこの先はあんまり行けないんじゃないかな、と思って…(笑)
佐藤:いやいや、なにを仰いますやら…でも映画を観させてもらったりしてアレなんですけど、ぜひ細野さんのライヴを海外で観たいな、っていうのは自分もあって。
H:あー。
佐藤:それこそニューヨークとかで観れる日が来るのを楽しみにしております。
H:そうですね、また…もうブギウギは出来ないなぁ…(笑)
佐藤:ぜひぜひ、よろしくお願い致します…(笑)
H:ま、そろそろ時間かな…じゃあ、最後にもう一度『thaw』から。未発表曲…なにがいいでしょう。
佐藤:そうですね…こんなけったいな曲の後で、なにがいいやろなぁ…
H:(笑)
佐藤:えーとね…そうですね、あんまりラジオとかでかかることはないと思うんですけど、"evergreen"という曲を。
H:おお。
佐藤:普通にいい曲なんで、聴いて頂けたら、と。
H:これはどこで録ったやつですかね。
佐藤:これはね…韓国で録りましたね、リズムは。
H:へぇ!色んなとこでやってるな(笑)
佐藤:韓国で録って、オーバーダブとかはぜんぶ新大久保でやりました(笑)
H:(笑)
佐藤:で、歌だけ今年録ったんですよ
H:そうなんだ、今年!じゃあほやほやですね。
佐藤:ほやほやです。
H:"evergreen"。じゃあ、これを聴きながら…またそのうち来て頂きます。くるりの佐藤征史さんでした。
佐藤:ありがとうございました。
evergreen - くるり
(from『thaw』)
2020.08.09 Inter FM「Daisy Holiday!」より
H:こんばんは、細野晴臣です。えー、きょうもまた久しぶりにゲストの方が…このご時世でやってきて頂きました。どうぞ。
佐藤:こんばんは、ご無沙汰しております。くるりのベースの佐藤征史です。よろしくお願いします。
H:ほんっとに久しぶりですね。
佐藤:そうですね。いつぶりなんだろう…
H:いや、もう数えきれないっていうか…(笑)数年…
佐藤:たぶん、どこかのライヴにお邪魔したときとかやと思うんですけど。
H:あ、そうだそうだ!来てくれました。僕のソロコンサートに。
佐藤:ソロか。いつも矢野さん(矢野顕子)とかのコンサートに出られてるときも、終わって楽屋に行って喫煙所に行くとまずおられるんで…(笑)
H:(笑)
佐藤:そこでまず挨拶ができるっていう…(笑)
H:そうそう、喫煙所に来る人とはよく会うんだよね(笑)
佐藤:そうなんですか(笑)昔はホントに色々、ツアーをご一緒して頂いたりとか。
H:けっこう密に会ってた時期がありましたよね。
佐藤:はい。色々…思い出に残ってます。でも自分…ぜんぜん関係ないけど、言っていいですか?
H:もちろん。
佐藤:初めて細野さんの…ちゃんとご挨拶はしたんですけど、イベントで会ったのがたぶん2000年ぐらいの大阪のラジオのイベントで。
H:え?ぜんぜん…20年前?
佐藤:はい。小坂忠さん[のバック]で細野さんが出ておられて。その後に出演者みんなでステージに上がって演奏かなんかをする、っていうときに…自分らもホンマにデビュー2年目とかの若手やったんですけど。ステージに上がって、あ、細野さんが弾いてはったベースや!と思って、内緒でちょっと触りました(笑)
H:ホントに?(笑)それは知らない…観てる人だったのね、じゃあ。
佐藤:あ、その時は出てる人で…
H:あ、出てる人だったんだ(笑)
佐藤:自分らは自分らで出てたんですけど、最後の全員集合みたいなときに…
H:あー、そっかそっか。一緒にステージに上がって…ベース触った(笑)
佐藤:触りました。すみません、本当に(笑)
H:ぜんぜん、いくらでも触っていいんだけど…(笑)
佐藤:なんか、あやかれるかなと思って…(笑)
H:いやいやいや…今度はこっちが触らないとね。
佐藤:いやいや…
[*2001年7月に行われたFM802主催のイベント「MEET THE WORLD BEAT 2001」での出来事。]
佐藤:それで…すみません、話長くて申し訳ないんですけど、自分たちの「京都音楽博覧会」っていうイベントに出て頂いたときに…[イベントが]終わってからライヴ会場で何気に演奏する、というときが…
H:あったね。それは憶えてる。
佐藤:そのときに細野さんに僕のベース弾いてもらったんですよ(笑)
H:そうか…(笑)
佐藤:それもね、もう、しっかりと憶えてます(笑)
H:そういうことは忘れちゃうけどね…フェンダーだったかな?違うかな。
佐藤:あ、自分、そのとき弾いて頂いたのはフェンダーで…触らせて頂いたときもたぶん、[フェンダーの]ジャズベースやったと思うんですけど…
H:そのとき、徳武くん(徳武弘文)のギターで…なんだっけな、あの曲。♪ポンポンポンポンポンポンポンポン…なんていうの?あれ(笑)
(D:"Mr.Sandman"?)
H:そう!"Mr.Sandman"。ド忘れ(笑)もう、ほんっと色んなこと忘れちゃうんだよ(笑)
佐藤:いえいえ…
H:それをやったのは憶えてる。んー。
佐藤:懐かしい思い出でした(笑)
H:でも、いちばん僕が印象深いのは、お呼びがかかって下北沢に呼ばれて…あれは何屋さんだろう。レストランだったかな?
佐藤:え…レストラン…?
H:岸田くん(岸田繁)と佐藤くんがいて。「一拍子とはなんだ」と。
佐藤:あー!はいはい。
H:なんて答えたか憶えてないけど。
佐藤:そのとき…たぶん"Roochoo Gumbo"とかにすごくハマってたときで。
H:あ、そうだったんだ。
佐藤:たぶん、林立夫さんとかにも初めてお会いしたりとかして。それはなんなんや?っていうのが…未だにちゃんとわからないんですけど(笑)
H:(笑)
佐藤:跳ねてるビートの中に跳ねてないビートがある、っていうのが…
H:まぁね。
佐藤:カッチリしてなくて、それをナチュラルにやるにはどうしたらいいんや、っていうのがぜんぜんわかんなくて…(笑)
H:そうだね、それで呼ばれて…あ、そんなこと訊く人がいるんだ、と思って。そこからだな。おもしろい人たちだなぁ、と思って(笑)
佐藤:あー、なるほど。それで自分たちの"石巻復興節"っていう曲で、細野さんにもスネアを叩いて頂いたりとか。
H:はいはい…やったね。
佐藤:色々やってますよね。ありがとうございます、本当に…(笑)
H:けっこう深く付き合ってるね(笑)
H:でも、まぁ…このコロナでホント、誰にも会わないでしょ。
佐藤:会わないですね…ホントに、4月・5月・6月とかはほぼリモートだったんで。
H:なるほど。
佐藤:家で、そういうリモートとか、楽器触るとかも…上の子がずっとリモートの授業をやってたので…
H:あ、そうだよね。
佐藤:なかなか家に居れなくて、ずっと自分らのスタジオみたいなところと往復してたんですけど。電車にも乗りたくないから…
H:だよね。
佐藤:片道7.5kmぐらいを…
H:わかった、自転車でしょ。
佐藤:いや、歩きで(笑)
H:歩きかい(笑)なんでまた…自転車乗ってない?
佐藤:自転車はね、歳でちょっと怖くなっちゃって。
H:そうかそうか。
佐藤:なんか、乗ったらすごいがんばって漕いじゃうんですよ。速いな!と思って。そこから、ここ2年くらいはずっと歩くようになりましたね。
H:へぇ~、そうなんだね。まぁ、どっちが身体にいいんだかね(笑)
佐藤:そうですね。でも、もうこの夏になってからは…こんな中30分以上歩いてたらヤバい、って思うようになったんで…(笑)
H:いやー、危ないよ。けっこう暑いよ、もう。
佐藤:暑いですね、ホント。
H:まぁそんな話はどうだっていい…って言うとアレだけど(笑)
佐藤:すみません(笑)
H:音楽、聴かないとね(笑)くるりで未発表ものを集めたのが…『thaw』(ゾウ)っていうのかね、これ。
佐藤:「ソウ」ですね。「解凍する」っていう意味みたいなんですけど。
H:あ、そうなんだ。初めて聞くな(笑)
佐藤:それを…まぁ、ずっと眠らせてたもんをちょっと解かして出そうか、って言うような。
H:おもしろい。
佐藤:で、自分らも辞書で調べたら「ソウ」っていう響きが好きだったんで…はい。
H:へぇ。これはね、未発表もの…僕知ってる曲あるかな?まだ聴いてないんで…
佐藤:ぜひぜひ…タイトルで選んで頂いても…
H:タイトルでね…よいしょ。
佐藤:ホントね、1998年ぐらいのデモテープから…豪華に海外で録ったものとか。
H:選んで、じゃあ。
佐藤:あ、ホントですか。
H:うん。やっぱり選んでもらおう。
佐藤:海外ものがいいですかね。
H:いいですね。うん。
佐藤:あー、じゃあ…時季外れも甚だしいんですけど、2曲目の"鍋の中のつみれ"という曲を。
H:"鍋の中のつみれ"。はい、じゃあそれを聴きます。
鍋の中のつみれ - くるり
(from『thaw』)
H:はい。"鍋の中のつみれ"。
佐藤:はい。
H:つみれってあの、食べ物のつみれ?(笑)
佐藤:そうですね。なんのメタファーなのかはわかんないですけど…(笑)
H:なんだろうね(笑)
佐藤:ホントに、ご飯作ろうと思って冷蔵庫を開けたら白菜が腐ってたらしくて…(笑)
H:うわぁ…(笑)
佐藤:そういうところに何かの刹那を感じたのかもしれないですね。
H:すごいなぁ。視点がすごい。
佐藤:これ、今はもう無くなったんですけど、ニューヨークのマジックショップ(The Magic Shop)っていう、わりと歴史ある…
H:あー!はいはい。
佐藤:デヴィッド・ボウイ(David Bowie)が最後の作品を作ったようなスタジオで録らして頂いて。
H:ニューヨークだったんだ。そうか…
佐藤:それでアルバム…13,4曲入りのを作ったんですけど、その曲順の中にちょっと入らなかったというか。[『thaw』の]1曲目・2曲目はそこで録ってたんですけど、そこで弾かれちゃって、お蔵入りになってた…
H:そうなんだ。
佐藤:みたいなものを、せっかくの機会だから…
H:そりゃそうだ。ぜんぜん弾かれるような曲じゃないし(笑)
佐藤:でも、この曲はミックスを一応してたりとかするんで。ほかの曲はホントにラフミックスっていうか。
H:そうだったんだ。
佐藤:もう、その状態のものもけっこうあったりするんですけど。
H:やっぱりちょっと、音が厚いね。分厚いっていうか。うん。
佐藤:やっぱり、日本のスタジオで録っても、なかなかドラムの音ってすごく似てきたりとかするじゃないですか。
H:うんうん。
佐藤:それがやっぱり…そこのスタジオでしか出せない音っていうか。
H:いいね。
佐藤:ハウススタジオ、専用のエンジニアさんがいて、ここにマイクを立てたらこういう音が録れるんや、みたいなのが…
H:そうそうそう。そういうのがいいよね。
佐藤:ここ最近…数年、ぜんぜん味わってないですけど…(笑)
H:なんか、なかなかないよね。みんなそれぞれ自分の家でそんなようなことをやり出してるけどね。
佐藤:そうですね。自分もこの前、自分らのスタジオで初めてコントラバスを、自分でマイク立てて録ってみたんですよ(笑)
H:おお。
佐藤:どんなマイクがいいのか、とか。マイクもいっぱいスタジオにあるわけじゃないから…
H:一からやんないとね。
佐藤:ぜんぶの組み合わせとかを色々試して…
H:そうやっていくとわかるよね。んー。
佐藤:これはちょっとローを録るためのマイクなんやな、っていうのがわかってきたらそれをFホールに置いて…じゃあもう1個アタック録るやつを弾くとこぐらいに立ててみよう、とか。
H:なるほどね。
佐藤:なんか、そういうのがすごい楽しかったですね。
H:いやー、おんなじだよ。ミュージシャンってそういうことわかんないもんね。
佐藤:ね、そうなんですよね。
H:で、自分で録ると、あーなるほど、って思うことが…なかなか発見があって。
佐藤:なんに使うんやろう、このマイク…?とか思うやつもありました(笑)
H:そうそうそう(笑)
佐藤:そうですね、発見ですよ、色々。この時期だからこそ…
H:あれ?ということは岸田くんとは会ってるわけ?
佐藤:えーと…[緊急事態宣言が]解除になって…あれって先月でしたっけ?あ、先々月…6月か。
H:そうだね。
佐藤:6月になって、なかなか…リモートで作業をお互いのことをして、送って、送ってとかをやってたんですけど、いかんせん進まなくて…(笑)
H:(笑)
佐藤:ホントに、その3か月間でわりと進むやろ、って思ってたんですけど、ぜんぜん進まへんから…(笑)解除して、移動できるようになったらまず[スタジオに]行こう、つって。解除された日にもう京都行って。
H:佐藤くんが京都行ったわけね。
佐藤:そうですね。それで何曲かのレコーディングと、ヴォーカル録りとかをして…やったりとかしました。はい。
H:へぇ。
佐藤:そこからはまた会ってないですね。
H:そうだね。また元に戻っちゃったもんね(笑)
佐藤:なんか、1週間に1回ぐらい電話する感じで…(笑)でもまぁ、ぼちぼち…新しいアルバムとかも作ってるんで。
H:この時期に作るっていうのは…いいよね、んー。あんまり他にやることもないし(笑)
佐藤:そうですね。でもなんか、最初ね…歌詞とかにしても、なにを歌ったらいいのかがわからないっていう。
H:それが問題だよね。
佐藤:でも、やっぱりこの状況が数ヶ月経ってくると、なんか自分の中でも見極められるようになってきたりとか…
H:まぁね。時間がかかるよね。
佐藤:それでね、出してみてお客さん…というか、リスナーの人がどういう反応とか、受け止められ方をするのかはわからないんですけど。
H:わかんないよね。
佐藤:それぞれがね、どういうのを切ってくるのかっていうのは、すごい今後楽しみなことだなぁ、と思います。
H:そうなんだよ。この経験って特別だよね。特殊じゃない。
佐藤:そうですね。
H:今までにない時代じゃない。
佐藤:はい。
H:だから、それぞれの作品にどう影響してくるのかって、すごい興味があるよね。
佐藤:うんうん。ホント、ね。ヘンな話…地震とかもそうですけど、まさか自分が生きてる間に…まだ43歳なんですけど。
H:(笑)
佐藤:それこそ阪神の震災であったりとか、東北の震災であったりとか。最近の水害とかもそうですけど、まさかここまでのことを体験するとは思ってなかったですね。
H:不思議だよね。だから…僕の前の世代、父親の世代は戦争があったじゃない。
佐藤:はい。
H:それに…匹敵はしないかもしれないけど、生きてる間にあるんだな、と。そういうことがね。
佐藤:それが…なんて言うんですかね。ヘンな話、阪神大震災のときとかは、まだ高校生やったんですよ。
H:あら、そんなだったんだ。そうかそうか。
佐藤:そこまでの責任感ってないじゃないですか。だから…小学生のときは台風が来たらちょっとアガる、みたいな(笑)
H:それは今でもそうだけどね(笑)
佐藤:なんかそういう状況っていうのは…子供たちとかって最初のうちはちゃんと受け止めてなかったのかもしれないんですけど、これだけ色んなことが続いてきて、コロナってなって、自粛みたいになった
ら、ものすごく、子供なりに受け止めてると思うんですよね。
H:お子さん、いくつ?
佐藤:上が高2で下が小4なんですけど。
H:小4の子はどう思ってるんだろう。
佐藤:えーとね…けっこう、普通になんでも抑え込んで親に気を遣うような子なんですけど、3ヶ月くらい経ったときからわりと発狂するようになってきましたね(笑)
H:あ、ホント?(笑)どんな感じになるの?
佐藤:なんか知らないですけど、寝る前に膨らませた風船をずっと殴り続けるとか…(笑)
H:(笑)
佐藤:そういうのを経験してなる大人ってどんなんやろな、って思ったり。自分たちとはぜんぜん変わったような…ゆとり、ニトリとか言われますけど(笑)ぜんぜん違う世代になっていくんやろうな、と思います。
H:いや、想像できないや、本当に。どういう風に受け止めてるのかも僕はわからないし。街で子供を見るとね、大らかに遊んでたりするんだけどね(笑)
佐藤:そうですね。あんまり気にしていない…まぁ、親ごとのアレもあるかもしれないんですけど…自分たちって人にかかわるっていうか、お客さんありきのお仕事やったりするんで。
H:そうだね。
佐藤:なかなか子供でも外に出したくないっていうのはあって。
H:あるよね。わかる。
佐藤:わりと家に閉じ込めちゃってたんで…ちょっと遊んであげたいなと思ってます(笑)
H:(笑)
佐藤:すみません、こんな話をラジオで…(笑)
H:いやいやいや!こういう話にあるんだよ、どうしても(笑)
佐藤:ホントですか?いっつも、わりとトントントントン曲をかけておられるラジオのイメージなんで。こんなしゃべっててええんかな、って思っちゃうんですけど…(笑)
H:いやー、やっぱり…ひとりで作ってるときは音楽ばっかり…ほとんどしゃべらなくなっちゃった。
佐藤:あー、もうホントに曲紹介ですもんね。
H:でも、それと対照的にこういうときはね、しゃべりがメインでいいと思うよ(笑)
佐藤:逆に…よかったです(笑)
H:ここでちょっと、音楽かけようかね。
佐藤:はい。
H:色々持ってきて頂いたんだけど、なんか選んで聞かせてもらいたいな。
佐藤:あー、そうですか。じゃあ…せっかくなんで、さっきもちょっと京都音博っていう話も出て。
H:うん。
佐藤:今回はリモートで開催するんですよ。
H:そうなんだよね。ちょっと、その話をしていいかな。
佐藤:はい。
H:京都音博、初のオンライン開催。9月20日?
佐藤:はい。
H:これはどういう…オンラインって、会場はどこ?
佐藤:会場は…まだ言えない、言っちゃいけないんですけど…
H:あ、言っちゃいけないんだ(笑)
佐藤:そんなところで、内容もまだ発表にはなってないかもしれないんですけど…(笑)
H:あ、そうかそうか。
佐藤:まぁ自分たちのライヴと、ちょっと音博らしい企画っていうものを…収録になるんですけど、収録したものをその日配信するっていう。
H:じゃあゲストは…呼びにくいよね。
佐藤:でもちょっとゲストも呼んでいこう、と。ヴォーカリストとかを招待して、音博ならではというか。また岸田がやりたいことがあったりするんで…(笑)
H:そうなんだ(笑)
佐藤:それのフォーマットでくるりのライヴとそっちと…っていう2段構えでお届けできたらなぁ、と。思っているんでございますけれども…(笑)すみません、まだ曖昧なことしか言えなくて…
H:いえいえ、いいんです。日にちだけは決まってるね。
佐藤:9月20日ですね。はい。
H:じゃあ、僕もそれ観ようかな。
佐藤:アドレス送りますので…
H:お願いします。
佐藤:よろしくお願いします(笑)
佐藤:それで…京都音博がどういうものかってたぶん、知らない方もいっぱい居られると思うんで、過去に出て頂いた方の曲を1曲…
H:色んな人が出てますもんね。うん。
佐藤:アレシャンドレ・アンドレス(Alexandre Andrés)っていうブラジルの…多彩な楽器をやる、ヴォーカリストであり、フルートを吹きながらやったりとか。
H:はい。
佐藤:ハファエル・マルチニ(Rafael Martini)さんっていうキーボードプレイヤーの方と2人で来て頂いて…あと、そのバックバンドを日本人のバンドがやったという。
H:へぇ。
佐藤:そのアレシャンドレ・アンドレスで"Macaxeira Fields"という曲があって。ちょっとビートルズの"Blackbird"をモチーフにしたような曲なんですけど。それを聴いて頂きたいと思います。アレシャンドレ・アンドレスで"Macaxeira Fields"。
H:ホントだ、"Blackbird"。
佐藤:(笑)
Macaxeira Fields - Alexandre Andrés
(from『Macaxeira Fields』)
H:いやいや…すばらしい。
佐藤:ありがとうございます。ホント…こういう1曲がすごい好きになってたりして、ラジオでもそれをかけたりして。そういう人たちを京都に呼んで…
H:コンタクトして。
佐藤:はい。で、皆さんに紹介できないか、みたいな。
H:なるほど
佐藤:そういうことで始まってるのが音博やったりするんですよ。
H:いいねぇ。
佐藤:1回目にタラフ・ドゥ・ハイドゥークス(Taraf de Haidouks)とか。なんかそういう、世界の…
H:なんか、読みにくい名前が多いですよね(笑)
佐藤:読みにくい名前…(笑)あとは日本でも有名な方やけど、なかなか自分でコンサートに行く機会ってないなぁ、という方とか。もちろん細野さんにも何回も出て頂いたんですけど。
H:出たねぇ。そういえば。うん。
佐藤:そういう人たちを紹介できたらいいな、というようなイベントで。
H:すごい音楽的なイベントだよね。
佐藤:ありがとうございます(笑)でも、さすがにちょっとね、今年は海外から招くとかは難しいので…
H:難しいね。特にブラジルはね…大変なことになってる。
佐藤:そうですね…その、ミナス(Minas)っていう州みたいなんですけど、そこがホントに…4,5年前ぐらいからものすごく色んな人が出てきて。
H:うん。
佐藤:それこそ、こないだラジオで自分で言ってたんですけど、細野さんがティンパンやられてたりとか、ユーミン(松任谷由美)と一緒やったりとか。おんなじ様な場所に立夫さんとか…皆さん集まっておられたじゃないですか。
H:そうだね。
佐藤:そういう感じがミナスにもすごいあって。
H:ああ、そういう場所があるんだね。
佐藤:一緒にやってるピアニストの奥さんもヴォーカリストで、その人の違うCDもすごい良い、とか。3年ぐらいでミナスのCD、100枚ぐらい買いましたね(笑)
H:ホント?(笑)そうか…
佐藤:すごいつながってて、ぜんぶが好きでした。
H:じゃあ、次週その話をもう1回、ちょっと…音を聴きながらとか。できるかな?
佐藤:あ、はい!
H:じゃあ、もう時間なので、きょうは…
佐藤:あ、ホントですか。
H:ここまでで、また来週。
2020.08.02 Inter FM「Daisy Holiday!」より
手作りデイジー🌼#10
(以下、すべてH:)
細野晴臣です。みなさん、お元気ですか?もう8月になっちゃいましたね。月初めの「手作りデイジー」、恒例になってます。それでですね、この番組、イギリスのNTSっていうラジオ局がやってる…まぁ配信系なんでしょうね。そこでもう3回ぐらい放送したんじゃないですかね?「このまま放送させてくれ」というリクエストがあって…いいですよ、ということで。おもしろいな、と思いまして。ところがやっぱり、だんだんちょっと意識してきちゃって…(笑)どんなのかけたらウケるんだろう、なんて、そんなことをね。色気が出た、っていうやつですよね。まぁでもやっぱりそれは関係なく、マイペースでやっていきたいなと思います。
とりあえず最初に…1998年にリリースされた手塚治虫トリビュート・アルバム『ATOM KIDS』から"Omukae De Gonsu"っていうのを聴いて頂きます。これはまぁ、ランチタイムミュージックとしても聴いて頂けるかもしれないですね。「オムカエデゴンス」という、手塚さんの[作品の]中に出てくるキャラクターをテーマにしています。
Omukae De Gonsu - 細野晴臣
(from『ATOM KIDS - Tribute To The King "O.T."』)
ノラ・ジョーンズ(Nora Jones)とやってるギタリストのジム・カンピランゴ(Jim Campilongo)。彼のソロから"Awful Pretty, Pretty Awful"。チェット・アトキンス(Chet Atkins)スタイルです。
Awful Pretty, Pretty Awful - Jim Campilongo
(from『Orange』)
コシミハル、2015年のアルバム『MOONRAY』から"'S Wonderful"。
'S Wonderful - コシミハル
(from『MOONRAY』)
1972年の映画『ラストタンゴ・イン・パリ(Ultimo tango a Parigi)』。音楽はガトー・バルビエリ(Gato Barbieri)。
Last Tango In Paris - Gato Barbieri
(from『Last Tango in Paris (Original Motion Picture Soundtrack)』)
オランダの女性シンガーでベアトリス・ファン・デル・ポエル(Beatrice Van Der Poel)という人がいるんですけど。1997年のオランダ映画『エメラルドの帯(De Gordel van smaragd / Tropic of Emerald)』から、ガーシュイン(Geroge Gershwin)の曲、"They Can't Take That Away From Me"。
They Can't Take That Away From Me - Beatrice Van Der Poel
(from『De muziek uit Gordel van smaragd』)
最近の気分にピッタリくる音楽なんです。ジャジーヌフ(Jazzinuf)の"Coffee and Cigarettes"。
Coffee and Cigarettes - Jazzinuf
(from『Coffee and Cigarettes』)
Whispers In The Dark - Love, Peace & Trance
(from『Love, Peace & Trance』)
1992年の映画『暗闇のささやき(Whispers In The Dark)』。この歌をLove, Peace & Trance…僕のプロデュースで取り上げてみました。
そして…次はですね、ローラ・ニーロ(Laura Nyro)の"Stoned Soul Picnic"。前半はデモからです。
Stoned Soul Picnic (Demo) ~ Stoned Soul Picnic - Laura Nyro
(from『Eli And The Thirteenth Confession』)
じゃあきょうの最後の曲は…ブライアン・ウィルソン(Brian Wilson)、そしてヴァン・ダイク・パークス(Van Dyke Parks)。この2人が作った『Orange Crate Art』のリマスター版が出たんですけど、未発表曲が3曲あって、それが素晴らしい。"Rhapsody In Blue"。ところでヴァン・ダイク・パークスから僕の誕生日…7/9でしたけど、メッセージが届いてすごいうれしかったですね。ありがとうございました。
Rhapsody In Blue - Brian Wilson & Van Dyke Parks
(from『Orange Crate Art (25th Anniversary Edition)』)
2020.07.26 Inter FM「Daisy Holiday!」より
H:細野晴臣です。えーとね…2月以来かな。初めてかな?ゲストに来て頂いています。ceroの高城くん。
高城:はい、どうも。高城晶平です。よろしくお願いします。
H:高城晶平さん。
高城:はい。
H:どうですか、この3ヶ月か4ヶ月…半年だね、もう。
高城:そうなりますね。いやー、僕…子供が2人いて。
H:あ、ホント?
高城:5歳と1歳の男の子なんですけれども。まず保育園が行けなくなるんで、必然的に家にずっといる…
H:そうだよね。
高城:で、そうなるとやっぱり、そっちがメインになってしまって。楽器もぜんぜん触れてないし、って感じで…(笑)
H:そうなんだ(笑)
高城:もう、なんか、音楽家であることをだいぶ忘れてしまいました。
H:あー、おんなじだよ。
高城:(笑)
H:音楽家であるってことは忘れてるな、そういえば。
高城:うーん。そうですね、そういう人多そうですね。
H:多いね。で、今までやってたことがリセットされちゃって。今はスッカラカンというか、真っ白でね(笑)
高城:おんなじです、ホントに。
H:でも本当は…いつだっけな、3月に来てもらうつもりで。
高城:そうですね。
H:その頃、"Pleocene"やってくれてて。
高城:はい。
H:それを聴いて、あーいいなぁ、これはかけたい、と思って…じゃあ次、コロナが明けたら来てもらってかけよう、と思ってたんだけど…明けてないね(笑)
高城:(笑)結局、そうですね。なかなかこの状況が…どこまで続くのか。
H:ね。ホントになんか、ストレスがじわじわ溜まってるでしょうね。
高城:そうですね…
H:じゃあね、その…早速ですけど、"Pleocene"をかけていいですか?
高城:はい、ぜひ。
H:うれしいな、これ。これ聴いてね、うわー!って思ったんですよ。
高城:あー、うれしいです(笑)
PLEOCENE - Shohei Takagi Parallela Botanica
(from『ミッドナイト・ランデヴー』)
H:いやー、やっとかけられた…(笑)
高城:うれしいです(笑)
H:いやいや、こちらこそ。もう、ホントによくやってもらって、うれしいですね。
高城:難しかったです(笑)
H:だろうね!自分でやろうと思わない(笑)
高城:(笑)
H:これ全部、生でやってるわけ?
高城:そうですね。ギター、アコーディオン、ドラム、ウッドベース。あとシンセサイザーが入ってますけど、基本的はせーの…で。
H:せーので?すごいなぁ。なかなかそれ、僕はやろうと思ったことがない(笑)
高城:(笑)
H:これはでも、ソロの…まぁ、別ヴァージョンですよね。ソロはソロでアルバム…タイトルなんでしたっけ。
高城:えーと、『Triptych』というアルバムを。
H:あ、そうだ、『Triptych』だ。うん。
高城:そうですね、それのシングルカットで7インチのレコードを出して。それのB面として…
H:あ、そっかそっか。
高城:ライヴでよくカヴァーさせて頂いてたんで。
H:それって僕、見たことあったかな?
高城:そうですね、CIRCLE…去年のCIRCLEで演奏してましたね。
H:そっか。そうですね。
高城:あと、去年の細野さんの50周年の…
H:あ、恵比寿の。そこで僕聞いたんだ。
高城:そのときは高田漣さんにだいぶがんばってもらって…(笑)
H:じゃあもう…ceroはもちろん、続いているわけで。
高城:そうですね。今はそのソロと2本というか…やっていっているという感じですね。
H:ceroは…ライヴの予定があったんじゃなかったっけ。
高城:そうですね。日比谷の野音であったんですけど、それが中止になってしまい。
H:そっかそっか。
高城:で、そのまま野音で、無観客で配信をやったんですね。ついこないだ。
H:やってたね。
高城:おそらく、日比谷の野音で無観客でやったのは初めてなんじゃないかな、って…(笑)
H:すごいね、初めてだね(笑)見ものだね。
高城:まぁ寂しいこと…(笑)
H:さみしい(笑)そうだろうね。
高城:異様な雰囲気でしたね(笑)
H:でも、芸人さんよりはまだいいよ(笑)
高城:まぁそうですね。たしかに。笑いっていうのは難しそうですね。
高城:細野さんは無観客っていうのは、どうですか?
H:いやー…まぁ、あんまり関係ないかな、僕は。
高城:通常運転?
H:通常かな?よくわからない。やってみたことないから。
高城:おもしろそうですね、なんか。見てみたいです、ぜひ。
H:いや、見ちゃダメなんだよ(笑)
高城:そうか、無観客だから…(笑)
H:配信か。配信ね。なんかそういうの苦手でね。リモートとかね。あんまり向いてないっていうか。
高城:やっぱり会議だとかそういうのって無駄だ無駄だ、って言われてましたけど、案外その「無駄」っていう部分がけっこう大事だったのかも、とか思いますね。
H:そうだよ。たしかにそうかもしれない。
高城:リモートだとその無駄がなさすぎるところが逆に…ちょっと心配になっちゃいますね。
H:たとえば電話でも…FaceTimeとかで顔を見ながらやると、いつ切っていいかわかんないね(笑)
高城:そうですね。それこそ今流行ってるZoom飲みっていう…一応、顔は合わせて飲んでるんだけど…
H:あれね。
高城:一度やったんですけど。
H:やったんだ(笑)
高城:なんか、すごい飲んでしまって…必要以上に。いつ止めていいかわからなくて…最悪な飲み方になってしまいました。
H:そうか…まぁでも…これは話していいかどうかわからないけど、お店やってるんだよね?
高城:あ、そうですそうです。それはもう周知のことなんで、ぜんぜん大丈夫なんですけど。一応いまお店もボチボチと開いているという感じですね。
H:阿佐ヶ谷って良い街だよな、と思ってね。
高城:うん。とても住みやすいところだし…たしか日本で、狭い面積の中に入っている居酒屋率が日本一らしい。
H:ホントに?(笑)
高城:ええ、阿佐ヶ谷が…意外に1位なんですよね。
H:意外だね。そうか…
高城:札幌とか新宿とかよりも実は、阿佐ヶ谷が密度が一番高いという。
H:そうだったんだね。
高城:小っちゃいお店がいっぱい並んでて。海外から来た方とかはけっこう感動してますね。
H:そういう景色、いいよね。
高城:やっぱり小っちゃいお店ですから、どこも。それがやっぱりおもしろいみたいですね。
H:じゃあ、いろんなミュージシャンなんかが来るの?
高城:そうですね。中央線のその辺りに住んでる人たちもよく来るし、働いてる人もミュージシャンが多いし。僕意外にも。
H:あー、そっか。
高城:まぁやっぱり、みんな今…音楽の仕事、無くなっちゃってますから。
H:そうみたいだね。
高城:大変そうですけどね。
H:大変な人は大変だ。んー。
高城:そうですね。
H:…大丈夫?(笑)
高城:僕は今のところ…(笑)でも、いつあるかわからないから…セカンドライフじゃないですけど、考え始めちゃいますね。音楽以外の生き方ってなにがあるだろう、とか。
H:お店があるじゃないですか(笑)
高城:いやー、そうですね(笑)ただ…
H:それも大変か。んー。
高城:そうですね…難しいところですね。考えちゃいます。
H:そうかそうか。まぁこの歳になるとね、あんまり考えなくなるね(笑)
高城:(笑)なんとかなるか、と…
H:なんとかなるよ。もう、いつもなんとかなってきたんで…
高城:いやー、もう、その気持ちで行きたいと思います、僕も(笑)
H:大丈夫大丈夫。まぁ来年…今はまだ7月、8月。ね。どうなるんだか…ぜんぜんわからないわ、最近のことは…(笑)
高城:(笑)まぁ、今年いっぱいは難しいかもしれませんね。音楽の現場は。
H:だね。なにしろ世界が収まってくれないと、身動きが取れないよね。
高城:ですよね。
H:いろいろ、海外に行く予定、全部無くなっちゃったんで。
高城:そうですか…僕らもceroでアジアツアーとか、少し前から行き始めて。せっかくそういう関係ができてきて、これからそういう関係をあっためていけるのかな、って思ってた矢先なんで…
H:そうかそうか。
高城:また行きたいですね、ホント…
H:うん。そのうちまた、再開するでしょう。みんな待ってるよ。
高城:そうですね(笑)
H:じゃあ、ceroの音楽聴いていいかな?
高城:あ、ぜひぜひ!聴きましょう(笑)
H:適当に選んでいいかな、僕…じゃあね、"C.E.R.O."っていう曲(笑)名刺代わりに。
高城:(笑)
C.E.R.O. - cero
(from『Obscure Ride』)
高城:まぁ、曲はこんな感じで…(笑)
H:いやー、かなりファンキーだな。
高城:ありがとうございます。
H:元々…あれ、僕、ずいぶん前に早稲田の…大学で一緒だったね。
高城:あー、そうですね!あれ…もうどれくらい前になりますかね?もう5年以上前ですね、たぶん。
H:そうだね。あの頃とちょっとまた変わってるよね。
高城:そうですね。あの時…ceroってバンドもだいぶ変遷が多いというか…たぶんその頃、僕がまだベースボーカルで。
H:あ、そうだったっけ(笑)
高城:そうなんですよ。まるで違うバンドでしたね、きっと。
H:違うよね。印象が違うんだよね。
高城:もっと…まぁ、ロックバンド然としてたかな、という。
H:そうそう。あれから…なんだろうな、ミュージシャンとして進化してるっていうか。演奏力もね。なんかそんな感じするよね。
高城:やっぱり、そもそも聴くのが好きな人たちが集まってやってて。
H:そうなんだ。
高城:で、その時々で好きな音楽、みたいなほうに…光に集まるように行ってしまう、と(笑)
H:なるほど。
高城:そうすると変遷がグチャグチャ…あっち行き、こっち行き…(笑)
H:おんなじだよ、僕と(笑)
高城:そんな感じになっていった結果なんですけど。まぁ、「バンド」と一応定義付けてはいますけれども、実際のところはホント…ただ好きな音楽のために、その時々で解散しては集まり、解散しては集まりをずっと繰り返してるっていう。
H:すげえ。音楽的なグループだよね。んー。
高城:そうですね。
H:それにしちゃあ続いてるよね(笑)
高城:それが逆によかったのかもしれないですね。そうやって脱皮を繰り返すということが。
H:なるほど。僕なんかの場合は、はっぴいえんどとかも2年とか3年で終わっちゃってるし…(笑)
高城:(笑)そうですよね。やっぱり…それこそ僕たちが音楽的な変遷をあっち行き、こっち行きってしているのって、どこか念頭に細野さんがあるかな、って思ってて。
H:ドキン(笑)責任取れないよ(笑)
高城:いやいや(笑)でも、やっぱり細野さんのこれまでのディスコグラフィみたいのを見ると、不思議な一貫性がどこかにあったりとかして。
H:ホント?それはうれしいけどね。
高城:感じるんですよね、一ファンとして。だから自分たちのあっち行き、こっち行きだったのが、結果的に聴いた人がなにか一貫性を感じてくれたら僕らもうれしいなぁ、とは思うんですけどね。
H:それはそうだろうね。僕はね、たまたま長くやってるから。その場その場では一貫性を感じられなかったんだけど…(笑)
高城:(笑)
H:トータルで見るとそうなるんだろうね。時間はかかるけどね。
高城:そうですね。まぁ、細野さんの声とかっていうのは変わらずあったり…
H:声は変わらないしね。
高城:そういうのが意外と重要なことなのかもな、とか最近考えたりしてますね。
H:そうかそうか。そうだね。それは言えるかもしれない。
H:なんか、最近聴いてるのを持ってきてくれたの?
高城:そうですね。
H:聴きたいな。どんなの聴いてるんだろう。
高城:えーと…じゃあ友達というか、近いところにいるバンドでWool & The Pantsという3ピースのバンドがいまして。聴いて頂いたらわかると思うんですけど、ものすごい渋くて…
H:(笑)
高城:乾いた音像で。一切リバーブなんかも使わない…(笑)
H:いいね!(笑)
高城:スライ(Sly & The Family Stone)みたいな。そんな手触りの音楽をやってる若い人たちがいるんで…
H:聴きたい。
高城:彼らの"Bottom Of Tokyo"という曲を。
Bottom Of Tokyo - Wool & The Pants
(from『Wool In The Pool』)
H:なるほど。
高城:はい。
H:ミニマルだな。
高城:そうですね(笑)ホントにストイックにやっているという…
H:んー。いくつぐらいの人たちなんだろう。
高城:えーと…まぁ20代だと思うんですけど。
H:あー。
高城:硬質な感じですね。で、まぁ、これ日本語で歌ってるんですけど、「わたし」っていうのが「ワティシ」みたいになっちゃってたりとか。
H:(笑)
高城:言ったら、細野さんの"ジャパニーズ・ルンバ"とかみたいな感じを冷たいファンクに乗っけてる、と。
H:訛ってるんだ(笑)
高城:そういう意味ではユーモアみたいなものも感じるし。なんかとっても粋だな、と。
H:なるほどね。どんな人たちなんだろう(笑)
高城:そうですね(笑)僕もあんまり話したりしたことはないんですけど…なんか回転数間違ったかな、みたいな歌声で…(笑)
H:たしかに。
高城:それが素敵だな、と。
H:最初聴いて、ちょっと笑ってしまいました(笑)
高城:回転数おかしいんじゃないか、みたいな(笑)ライヴでもこのまんまなんで、それがすごいなぁ、と思いますね。
H:いやいや…おもしろいな。なんか、渋いっていうのがすごいおもしろい(笑)
高城:僕がこの曲を選んだのは彼らを紹介したいっていうのももちろんあるんですけど。"Bottom Of Tokyo"というタイトルで、東京のことをちょっと話したいな、なんて思ったりなんかして。
H:なるほどね。
高城:細野さんはこれまで東京を離れてもいいかな、みたいな。離れようかな、みたいに風に思ったこととかってありますか?
H:いやー、しょっちゅう思うんだよね。最近もね。東京、もういいかな、って時々思うんだけど。でもやっぱり離れられないんだよね。
高城:僕も東京生まれ…僕は西東京っていう、まぁそっちのほうなんで。細野さんとはまた違った東京の見え方だと思うんですけど。
H:なるほど。
高城:やっぱり僕も今のところ東京を離れようっていうアイディアはまだ出てこないんですけど。今のコロナとかの状況を前にすると、いずれそういう選択肢も常に念頭に置いといてもいいのかな、とか思い始めちゃったりして。
H:やっぱり?いや、僕もそうなんだよね。東京が好きだけど、それは僕の中の幻想なんだよね。原風景っていうのが今はもう無いから。全部変わっちゃったんで、景色も。
高城:そうなんですよね。
H:だから下町に行ったり。あるいは、ときどき見知らぬ街に行ってね。景色を見に行くんだけどね。時々、あ!残ってる!っていうところがあるわけですよね。
高城:うんうん。
H:まぁでも、東京生まれってなかなか最近いなかったけど…また増えてきてますね。ceroも東京のバンドだ。
高城:そうですね。たしかに…でもこれからまた、周りの人間でも東京を出て行った人も少なくないですからね。
H:そうだよね。
高城:おもしろみみたいなことで言えばやっぱり…それこそ、僕も僕で幻想を東京に見ているんですけど。
H:何年生まれ?
高城:僕は1985年生まれです。
H:…ついこないだじゃない(笑)
高城:(笑)といってももう35歳なんですけど。
H:そうかそうか。まぁでも今の音楽界の中では中堅になってきてるんだね。
高城:そうですね。やっぱり20代前半とかの子、いくらでもいますからね。
H:出てくるもんね。
高城:彼らと僕が見ている東京もまたやっぱり違うだろうし…そういう、20代前半の彼らがどういう東京のおもしろみみたいなのを感じてるのか。ちょっとわからないなぁ、とか思っちゃったり。
H:んー、「ボトム」。"Botto Of Tokyo"。
高城:そうですね(笑)
H:まぁでもceroは若い世代から見たら希望の星でもあると思うよ。
高城:あー、そうなんですかね…
H:なんか、ミュージシャン的にすごく洗練されてきてるし。腕がいいっていうか(笑)
高城:(笑)僕たちがなにか、下の世代になにか希望を与えられてるとすれば、さっき言ったようなあっち行き、こっち行きっていうのが可能なんだ、っていうことを見せられたのはもしかしたら…
H:なるほど。
高城:やっぱり今の…僕より下の世代のいろんなバンドを見てると、すごくコンセプトが最初から出来上がってるのを感じるんですね。
H:あ、ホント?
高城:僕らなんかはまだコンセプトが曖昧というか…
H:おんなじだ、僕と(笑)
高城:(笑)偉いな、と思うんですよ。若い人たちが「僕たちはこれをやる!」っていうのが。
H:そうかそうか。
高城:でも、そうせざるを得なかったのかな、とも思うんですよね。プレゼンテーションが出来なきゃ…
H:なるほどね。今のポップス業界…やっぱり片目で見てるんだろうね。
高城:そうですね。それを思うと自分たちはラッキーだったのかな、と思いますね。
H:うんうん。さらに僕なんかはもっと自由だから(笑)
高城:うらやましいです(笑)
H:いやいや…えー、もう時間が来ちゃったような気がするんだけど。
高城:あー、そうですね。
H:また落ち着いたら来てもらおうかな。
高城:ぜひぜひ、いつでも。
H:マスク無しで。
高城:そうですね(笑)
H:えー…もう曲はかかんないか…じゃあ、ここで締めるね。どうもありがとうございました。高城晶平さんでした。ceroからです。
高城:どうもありがとうございました。
2020.07.19 Inter FM「Daisy Holiday!」より
岡田崇の手作りデイジー🌼#2
(以下、すべてO:)
こんばんは、岡田崇です。今夜のDaisy Holidayは細野さんに代わって僕がお送りします。「岡田崇の手作りデイジー」、第2弾です。どうぞ最後までよろしくお願いします。
さて、今夜の「真夜中のランチタイム・ミュージック」はイタリアの音楽家、ジャンピエーロ・ボネスキー(Giampiero Boneschi)さんのオーケストラで"MILANO, Autostrada Del Sole"。「太陽の高速道路」という曲です。1962年作のホリデーミュージックです。
MILANO, Autostrada Del Sole - Giampiero Boneschi & His Orchestra
(from『Autostrada Del Sole』)
数か月前、コロナでミラノがひどいことになっているニュースを見て、「そういえばジャンピエーロ・ボネスキーさんは大丈夫かな?」と思って調べてみたんですけれども、コロナとは関係なく去年の5月にお亡くなりになっていました。日本にはまったくニュースが届かなかった気がしますね。ボネスキーさんのことを知ったのは、もう20年ぐらい前ですかね。パリでたまたま買ったレコード…電子音楽のレコードだったんですけれども。それがすごく良くて。日本に帰ってきてから検索しまくって。そしたら本人のメールアドレスが出てきて。まぁダメもとでコンタクトを取ってみたんですけれども、丁寧にお返事を頂いたりして。それからけっこう、メル友のようにやりとりをしていて。翌年にはミラノまで会いに行きました。ご自身のスタジオに招いてくれて、ピアノ演奏してくれたりね。車で楽器屋さんを巡ってくれたり。とてもよくしてくれました。会いに行ったときはまだ情報が少なくて、ボネスキーさんがどんな方だかよくわからないで行ったんですけれども。泊っているホテルにボネスキーさんが迎えに来てくれて。フロントに降りて行ったら、ちょっとフロントがどよめいていて。まぁ…超有名人なわけですね。サンレモ音楽祭の審査員をやっていた方で。イタリアでは超有名な大作曲家先生だったわけです。そんなことも知らずにノコノコね、遊びに行っちゃったりして…今バックで流れてるのがボネスキーさんを知るきっかけになった電子音楽ですね。"Harmonical Articulator"という曲です。
Harmonical Articulator - Giampiero Boneschi
(from『A New Sensation In Sound Vol. 7』)
In The Middle In The Middle - Fay Lovsky & La Bande Dessinée
(from『Fay Lovsky & La Bande Dessinée』)
聴いて頂いたのはフェイ・ロブスキー&ラ・バンドデシネ(Fay Lovsky & La Bande Dessinée)の"In The Middle In The Middle"でした。7月第1週に放送された細野さんの「手作りデイジー」の中でFay Lovesky & Dominique Cravicの曲("Shades of Harry ")がかかりました。普段のデイジーの収録でしたら対決DJ方式のように交互に曲を選ぶことが多いので、細野さんの選曲に触発されて「そう来たか!むーん…なら、この曲を!」となるんですけれども、今の状況ではそういうわけにもいきませんので…2週間遅れの選曲返し、ということで。今BGMで流れているのはレイモンド・スコット(Raymond Scott)の"Portfino"という曲をフェイ・ロブスキーがカヴァーしたものです。
Portfino - Fay Lovsky
(from『The Portofino Variations』)
相方のドミニク・クラヴィック(Dominique Cravic)という名前を初めて知ったのは、かのSPレコードコレクター…いや、漫画家のロバート・クラム(Robert Crumb)。ロバート・クラムさんがフランスに移住してから結成したバンド、レ・プリミティフ・デュ・フュチュール(Les Primitifs du Futur)のメンバーとしてでした。1986年にはアルバム『Cocktail D'Amour』も発売されて…当時、六本木のWAVEで買ってよく聴いていました。ではそのアルバムから、"Eddie & Lonnie"を聴いてください。
Eddie & Lonnie - Les Primitifs du Futur
(from『Cocktail D'Amour』)
近況、というか。先週14日に装丁を担当した長谷川博一さんの著書『追憶の泰安洋行』が出版されました。細野さんが1976年に発表した『泰安洋行』について、当時の関係者や細野さんご本人などからの証言で検証していくという、とてもおもしろい内容になっています。ぜひ。
んー…忙しい時に限っていろいろと他のことをしたくなるもので。Amazon PrimeとかBSとかで古い映画をついつい見直しちゃったりね。『電送人間』とか『ガス人間第一号』とか『美女と液体人間』とかね。『ハリーの災難(The Trouble with Harry)』とかもやってましたね。ルビッチ(Ernst Lubitsch)の『街角(The Shop Around the Corner)』、そんなのも観ましたね。では、『美女と液体人間』のサントラから佐藤勝さんの音楽で"キャバレー「ホムラ」"を聴いてください。
キャバレー「ホムラ」 BGM - 佐藤勝
(from『「美女と液体人間」オリジナルサウンドトラック 』)
Mambo Diablo - The Harris-Leigh Woodwinds
(from『Modern Woodwind Expressions』)
1954年の作品で、ハリス-レイ・ウッドウィンズ(The Harris-Leigh Woodwinds)による"Mambo Diablo"でした。イェール大学でクラシックを学んだ若手作曲家・ピアノのアート・ハリス(Art Harris)と、管のミッチ・レイ(Mitch Leigh)によるグループで。木管五重奏をジャズにどう載せるか、というね。クラシックとジャズの融合を試みています。
次は、ウィラード・ロビソン&ヒズ・ディープ・リヴァー・ミュージック(Willard Robison and His Deep River Music)で"Old Folks"・ウィラード・ロビソンが1938年に作った曲ですね。
Old Folks - Willard Robison and His Deep River Music
次はジョセフ・マイロウ(Josef Myrow)という作曲家のアルバムから"L'Affaire"という曲を聴いてください。ヴァン・ダイク・パークス(Van Dyke Parks)の『Discovery America』やブライアン・ウィルソン(Brian Wilson)とのアルバム『Orange Crate Art』の中で数曲アレンジしている編曲家、フレッド・マイロウ(Fred Myrow)のお父さんです。
L'Affaire - Josef Myrow
[*『Orange Crate Art』でFred Myrowがオーケストラアレンジを担当したのは次の2曲。]
次は"Quiet Village '67"、テオフィル&バーナード(Theophile & Bernard)です。ブルックリン生まれのローリー・オルガン奏者、テオフィル・ヴェッター(Theophile Vetter)とドラマーのバーナード・スピロ(Bernard Spero)のコンビ。1967年の録音です。
Quiet Village '67 - Theophile & Bernard
では最後に、ハーブ・マギドソン(Herb Magidson)作詞、アリー・ルーベル(Allie Wrubel)作曲の"Gone with the Wind"、「風と共に去りぬ」。映画とは関係ありません。リチャード・マリノ・オーケストラ(RIchard Marino Orchestra)の演奏でお別れです。ではまた来週。おやすみなさい。
Gone with the Wind - Richard Marino Orchestra
(from『Out Of This World』)
デイジーホリデーのプレイリストを更新しました。今夜は細野さんはお休みで「岡田崇の手作りデイジー#2」をお送りしました。関連動画をご紹介しています。お時間ある時にチェックしてみて下さい!Happy Record Hunting!https://t.co/aB1ovNAGtw#daisyholidayhttps://t.co/7wihDYymL6 pic.twitter.com/Meo6lGQ1CJ
— 岡田崇 (@_okadatakashi) July 19, 2020
2020.07.12 Inter FM「Daisy Holiday!」より
伊賀航ショウ!
?:こんにちはー。
??:こんにちは。あ、聞こえた聞こえた。
???:聞こえたけど姿が見えないな(笑)
?:あれ?写真が…顔が出なくて…すいません。あ、こんにちは。
一同:(爆笑)
?:あ、すごい(笑)
???:ヒゲのびてるなー(笑)
??:すごいね(笑)
?:こんなに生えるんすね(笑)
~~~~♪Back Bay Shuffle - Artie Shaw~~~~
H:こんばんは、細野晴臣です。さぁ今回はひさびさに…バンドメンバーに声をかけて、リモートでつないでます。リモート、好きじゃないんですけど。一度やってみたかったんです。えー、ひさびさですけど。今年初めてですよ。みんなね…返事してくれー(笑)
大地:(笑)おひさしぶりです。
H:元気そうだね。伊賀くんがちょっとなんか…ボロボロになってるっていうか(笑)ヒゲ面だね。すごいヒゲだね。
伊賀:(笑)
大地:『キャスト・アウェイ(Cast Away)』ですよ、『キャスト・アウェイ』(笑)
H:『キャスト・アウェイ』だ。そうだ。
H:みんな、忙しい…わけはないよね(笑)
卓史:そうですね(笑)
H:どんな生活してたの?3か月間。伊賀くんはどう?
伊賀:僕は…のんびりしてました。
H:だろうね(笑)顔に出てるよ。
伊賀:あの…うちにいました。
H:みんなうちにいたんだけどね。
伊賀:あ、そっか…(笑)
H:でも、ぼちぼち仕事してるの?
伊賀:配信のライヴとか、たまに…
H:そっか。配信だね。じゃあ、大地くんはどんな感じだったの?
大地:自分はもう、ひたすら整理してましたね、家を。
H:あー、そういう人結構いるよね。んー。
大地:そうなんですよ。断捨離じゃないんですけど…楽器の倉庫が家にあるんですけど、グッチャグチャだったんで。
H:うんうん。
大地:棚とか買って。ドラムが全部、完璧に入るようにして…
H:おお、すごい。すごくきれいになったんだろうね。
大地:めちゃくちゃきれいになりました。それで、もう使わないだろうという楽器…入りきらないのがちょっと出てきたんで、メルカリで売ったりとかしてました(笑)
H:ホント?まぁそうだろうね、みんな…じゃあ、あの…名前忘れちゃった(笑)
卓史:野村です!(笑)
H:そうだ(笑)野々村くんじゃなくて野村くんだ(笑)
大地:[アンジャッシュの]「児嶋だよ!」みたいになってるよ(笑)
卓史:(笑)
H:(笑)どうしてた?
卓史:僕もなにもなくなっちゃって…しばらくは、急に料理作り始めたりとか。
H:あー。
卓史:細野さんは嫌いって仰ってましたけど、リモートでなんかやれることないかなぁと思って。そういうのをいろいろ調べたりとか。そういうことをやったりしてました。
H:なるほど。
大地:細野さんは?
H:え、僕?僕はね、けっこう…この番組を手作りでやってたりして。
大地:あ、そうですよね。
H:うん。3月、4月…4月からかな。けっこうやってたよ。
大地:訊きたかったんですけど、インスタのストーリーに曲…上げてたじゃないですか。
H:うん。
大地:あれ、めちゃくちゃ凝って作ってるなぁ、と思って。
H:あれはすごい反響があるんだよね。んー。
大地:いやー、すごいよかったですよ。
H:もう、この番組は…NTSっていうロンドンの配信ラジオでやってたりするんで。
大地:あ、そうだ。そうですよね。
H:これ[この回]が行くかどうかは知らないが。
H:まぁ、先に進めるよ(笑)伊賀航ショウだから(笑)伊賀くん、お願いしますよ、ホントに。
伊賀:(笑)
H:進めてね。大丈夫?
伊賀:はい。伊賀航…伊賀航ショウの前テーマ。
H:そんなのがあるんだ(笑)
@@@@♪Tropicale Stephanie - Harry Breuer and his Quintet@@@@
伊賀:「こんばんは伊賀航です。ステイホームでもベースを弾いています。リモートでつないでやるのでいつもより…仕切りが難しいんですが、がんばります。」
H:なんか、読んでるね(笑)
大地:なんか、いつにも増して棒読みっすね(笑)
H:(笑)
伊賀:あの、さっき届いたんで…印刷したばっかりです。
H:あー、台本がね。
伊賀:そうです。
H:でも、ここからはアドリブだよ?
伊賀:そうです。「ここからはアドリブで」…えー…「コロナ禍でどうしてたか」っていうと…まぁなにもしてないんですけど…
H:もうその話はしちゃったよね、いま(笑)
伊賀:あのー、だから、話といいますと…DJパーティーみたいのに夜中出かけて。
H:えー?
伊賀:そしたら…DJ見てたら、外人にキスされそうになって。
大地:(笑)
伊賀:男なんですけど。男の…背の高いフランス人みたいな、めっちゃカッコいい人に、話しかけられて、チューされそうになって…(笑)
H:え?チュー?(笑)
一同:(笑)
伊賀:あの…僕、ゲイにモテるんだなぁ、と思って。はい。
H:それ…すごいリスクが高いな。濃厚接触。
伊賀:そうですね(笑)
大地:すべてがリスク…(笑)
伊賀:そんなことがあったのと…あとですね、その後…その2日後くらいに友達の家に遊びに行ったら…その友達の友達の家に行ったら、今度はそこで飼ってる犬にすごいモテて。
H:(笑)
伊賀:犬が自分の膝から離れなくって。
H:いい匂いがするんじゃないの?
卓史:(笑)
伊賀:いやいや…(笑)それで、その後友達の家に戻って。友達の家にいたら、そこに猫がいて。
H:(笑)
伊賀:猫が俺の指をなめまくって…
H:うわぁ…(笑)
伊賀:で、その猫もまた離れなくって。
大地:(笑)
H:どうしたんだろう。
伊賀:だから、ゲイと犬と猫にモテるんですよ。女の人にはモテません。
H:はい(笑)そういうオチだとは思ってた(笑)
大地:ぜんぜん家にいないじゃないですか(笑)
H:そうだよ。いまの話で印象深いのは「ウロチョロしてる」ってことだよ(笑)
一同:(笑)
伊賀:そうですね(笑)
§§§§§(♪ジングル)§§§§§
伊賀:じゃあ、ここでちょっと曲を。
H:曲、なに?
伊賀:最近聴いてたやつ…キーファー(Kiefer)っていうピアニストの"Happysad Sunday"っていう。「幸せな悲しい日」っていう曲がありまして。それを聴いてました。
H:ほう。じゃあ、それを聴かせて。
伊賀:はい。
Happysad Sunday - Kiefer
(from『Kickinit Alone』)
H:けっこう僕も夜になると、ごはんを…自炊があんまりできない状態だったんで、外で食べてたの。
大地:はい。
H:ただ、お店の中には入れないからね、当時。4月は。テイクアウトやってるところが多いんだよね。あちこちのおいしい店がテイクアウトをやりだしたから。いいチャンスだ、と思って手あたり次第食べたよね。
大地:(笑)
H:ここに持ってきて。このスタジオにね。だからわりと僕もウロチョロしてたんだよ。
伊賀:贅沢ですね(笑)
H:贅沢かな?でも、自分で作ったらたぶん、栄養失調で倒れちゃうと思う(笑)毎日チャーハンばっかり食べてるわけにもいかない。
伊賀:(笑)
H:…伊賀航ショウでした(笑)
大地:終わった(笑)
H:終わっちゃった(笑)
△▼△▼(♪ジングル)△▼△▼
H:次、次は?
伊賀:…「というわけできょうの…今回の伊賀航ショウはリモートでやってます。さて、コロナ禍でバンドメンバーはどうだったんでしょうか。」じゃあ卓史くん、どうでしたか?
卓史:僕…でも、2月ぐらいまでは普通に飲みに行ったり。3月半ばぐらいが最後に…その後、緊急事態宣言とかが出てからはさすがに、外に行くわけにはいかないし。
伊賀:そうですね。
卓史:それで、なんか…料理を、がんばって…(笑)
伊賀:なにを作ってたんですか?
卓史:普通のものなんですけど…でも家で燻製が作れるということがわかって。
伊賀:燻製!
卓史:家でいろんなものを燻製にして…燻してました(笑)
伊賀:燻しまくってたんだ。
卓史:燻しまくってました。
伊賀:なにを燻したんですか?
卓史:えーと、ゆで卵、枝豆、かまぼこ、ベーコン、ししゃも、塩ジャケ、なんかそういう…(笑)酒のつまみになりそうなものはだいたい燻してましたね。
伊賀:へぇ~(食い気味)
大地:(笑)
伊賀:それ、おいしいんすか?
卓史:うん。塩ジャケがいちばんおいしかったです。
伊賀:へぇ~。じゃあ、燻製を作ってたっていう。主に。
卓史:あの…(笑)燻製も作ってました。はい。
伊賀:他には?
卓史:他には…さっきちょっと話した「リモートでなにかできないのか」っていうので、キセルのお兄さん(辻村豪文)とかといっしょにちょっと実験的に…すごく遅延が少なく音声のやり取りができるソフトがあるっていうので、それでお互い家に居ながらにしてセッションしたり、それを録音したりとか。そういう実験をやってましたね。
伊賀:へぇ~(食い気味)
卓史:まだ実験途中で…いろいろ、ノイズが乗ったりとか。問題が多いんですけど。はい。そんな感じです。
伊賀:じゃあ…野村くんが…(電車/自動車の通る音)あっ…ごめん…(笑)
卓史:(笑)
H:誰とも最近話してないね、伊賀くん?
伊賀:(笑)野村くん、曲、なにですか?
卓史:あ、はい。僕が最近聴いてた曲で、ティンバー・ティンブル(Timber Timbre)というバンドの"Moment"という曲。聴いてください。
Moment - Timber Timbre
(from『Sincerely, Future Pollution』)
〇◎〇◎(♪ジングル)〇◎〇◎
伊賀:大地くんはどうですか?
大地:俺も…最後にライヴしたのが2月の20…何日かですかね。そのライヴから東京に帰ってきた月曜日に、2月の最後の土日のライヴが延期になります、ってなって。
伊賀:うん。
大地:うわー、なんか来ないでほしい流れになっちゃったなぁ、と思って。で、3月はどんどんどんどん…ちょっとずつ、「来週は延期になりました、再来週はまだわかりません」。で、再来週になってみたらやっぱり延期になってた、みたいな。ちょっとずつだんだん延期になっていって。
伊賀:うん。
大地:3月は延期になっちゃったなぁ、なんて。まぁ[こういう状況が続くのも]1か月ぐらいかなぁ、なんてその時はホントに思ってたんですけどね。
伊賀:うんうん。
大地:で、3月の末に伊賀さんと録音の仕事があったんですけど。
伊賀:録音、したよね。
大地:3月は数本レコーディングがあったりとかしたけど、そこからしばらく…4月・5月はほとんどなにもなかったんじゃないかな。
伊賀:んー。うん。
大地:なんか、毎日なにもなくなると同じような日々が続いて…あれ、2週間前の月曜日はなにをやってたかな、というのが、まったく色がなくなっていって。それがイヤでしたね、すごく。
伊賀:あー。ずーっと同じ、みたいな?
大地:うん。なんかそういう感覚になるっていうか。
伊賀:いまはけっこう、忙しくしてるんですか?
大地:いや…でも、ちょっとレコーディングがあったりとか。そうですね…今月末に細野さんのバンドで知り合った斎藤圭土くんと2人で。誘ってもらって。それも延期[振替]公演なんですけど、目黒でやる予定があるんですけど、それもまだちょっとどうなるか、今の時点では…配信にするかもっていう話もあるんですけど。
伊賀:んー。
大地:ね、どうなりますかね。
H:そうか、ブギウギね。もうすっかり忘れたな。
一同:(笑)
伊賀:細野さん、ブギウギ忘れちゃったんですか?(笑)
H:もうね、去年のこと、全部忘れたね。もう、違う時代になっちゃったじゃん。
大地:そうですよね。
H:去年の忙しさに比べてこのゆったり感。おかげさまで、だよ(笑)
大地:(笑)でも、去年は細野さん、忙しかったですよね。
H:そう、すごかったでしょ?みんなもいっしょでね。
大地:だから…思えば細野さんの50周年のフォーラム(東京国際フォーラム)2Daysあったじゃないですか。
H:うんうん。
大地:で、2日目の最後はみんな、ジョイマンさんのナナナナ~でステージに出て行って…
H:そうそう(笑)
大地:たぶん、それを俺らは楽屋で見たままま…細野さんとちゃんと挨拶しないままバンドメンバーは帰っていったんで…
伊賀:そうだ(笑)
H:(笑)
大地:そのナナナナー以来の…(笑)
H:じゃあ次はナナナナーで始まるかな(笑)
一同:(笑)
ΔΛΔΛ(♪ジングル)ΔΛΔΛ
H:そうなんだよ。 だからあの…1月になって、そろそろみんなで食事会でもしようかと思ってたら。
大地:ありましたね。
H:うん。どんどん、あれあれ?っていう感じでね。集まれなくなっちゃったよね。で、やっと今…それ以来だよ、ホントに。ひさしぶりに顔見るね。
大地:ホントに…みんな、変わらない。
H:変わんないね。伊賀くん以外は。
伊賀:(笑)
大地:伊賀さんだけ…(笑)
伊賀:じゃあ細野さん、今度はいつ会いますか?
H:そうだなぁ、来年の…(笑)
伊賀:(笑)
大地:ヘタすりゃ来年ですよね。ホントに。
H:そうだよね。こんな感じがダラーって続くじゃん。
大地:そうですよね。
H:そうだ、CIRCLEで会おうかなと思ってたし、マック・デマルコ(Mac DeMarco)が4月に来るって言ってたときも…そのつもりだったんだけどね。
卓史:うん。
H:あと、8月に…オーストラリアってのがあったじゃない?
大地:ありましたねぇ。
H:一応、いまは来年に延期されてるけどね。もうね、ライヴ、僕、できなくなっちゃった(笑)
一同:(笑)
H:もう、すっかり忘れちゃった。
大地:今年は絶対ゼロですもんね。
H:そう、ゼロだよ。ブギウギってどんなんだっけ?と思って。
一同:(笑)
H:はい、どうぞ?伊賀くん。
大地:(笑)
伊賀:はい。えーと…じゃあ、こんなところでしょうか。
一同:(笑)
ζδζδ(♪エンディングテーマ)ζδζδ
H:これ以上のことは望まない(笑)
伊賀:じゃあ、最後に細野さん。
H:僕?曲?いや、みんなでやってよ。
大地:そしたら…今月、6月ぐらいからひとりで練習してるんですけど、スタックス(Stax Records)の音源に合わせて 練習したりしてて。よく聴いてたのがカーラ・トーマス(Carla Thomas)の"B-A-B-Y"という曲です。聴いてください。
伊賀:はい。「では、曲を聴きながらお別れです。またいつか、お会いしましょう。お相手は伊賀航でした。みなさん、お元気で。さよなら。」
H:はい(笑)
大地:これ、編集大変そう…(笑)
B-A-B-Y - Carla Thomas
H:近々はどうするのかな?みんな。大地くんはなんかあるの?これから。
大地:もう、その斎藤くんのライヴがあるかないか、っていうのと。
H:あー、そうか。
大地:9月以降はまだ全然、みんな…これからどうするのか決めるっていう。もう、そこ次第です。
H:なるほど。
大地:そこがなくなったらホントにバイトします、Uber EATSとか(笑)
H:そうか…
大地:細野さん家に届けたりして…(笑)
H:(笑)野村くんは?
卓史:僕は…家で配信ライヴとかやってみようかな、と。
H:あー、それね。うん。
卓史:でももう、ライヴとかは全くないですね。うん。
H:伊賀くんはどうなの?
伊賀:あの、友達の配信ライヴが何本か…
H:みんな配信ライヴだね。
伊賀:スタジオとか借りて、そこにセットを組んでライヴやる、みたいのは何個かやってて。でもなんか、それも…始めはみんな見てくれるらしいんですけど、段々見なくなってくるって言ってました(笑)減ってくる…
H:へぇ…あのー、なんかやろうか。YouTubeで(笑)
大地:お!
H:いや、YouTubeやろうかな、とかはね。ずいぶん前からあるんだけど。
大地:あ、ホントですか!
H:ちょっとなんか…ラジオが楽しくてそっちまでいかなかった(笑)レコーディングもね、やろうと思えばできるよね。んー。というわけで、じゃあ…別に、みんなで寄り集まって食べたりもできるよ。ね。そうしようかな。
大地:そうですね。
H:8月になったらでもいいし。また…リモートは好きじゃねぇや、やっぱり(笑)
一同:(笑)
卓史:生で…漣さん(高田漣)もいないし。
H:生で、うん。オフラインで。漣くんにも会いたかったしね。
伊賀:そうですね。
H:じゃあね…これっていつ切ったらいいかわかんないんだよ(笑)
一同:(笑)
H:じゃあ、おしまいにしようか。お疲れさま!連絡します。
一同:お疲れさまでした。
2020.07.05 Inter FM「Daisy Holiday!」より
(以下、特記無き場合はH:)
はい、こんばんは、細野晴臣です。みなさんいかがお過ごしでしょうかね。えー…予告通り、月初めに「手作り」をやっていきたいな、と。言ったからにはやらなきゃな、と。しかし…おんなじ感じがダラダラっと、メリハリがない感じが続いてますよね。そのうち晴れるんでしょうかね。
で、きょうは…そんなわけで、思いつくまま音楽をかけていきたいと思います。まず最初はですね、恒例になってます、「真夜中のランチタイム・ミュージック」。ザ・ハーモニーキャッツ(The Harmonicats)の"Tea for Two"!
Tea for Two - The Harmonicats
それでは"Tea for Two"つながりで行きたいと思います。ジョー・ムーニー(Joe Mooney)の"Tea for Two"ですけど…ウーロンティーが好きみたい。
Tea for Two - Joe Mooney
モーズ・アリソン(Mose Allison)です。"Some Right, Some Wrong"。
Some Right, Some Wrong - Mose Allison
(from『The Way Of The World』)
えー、3週間前になりますかね。クロード・ソーンヒル(Claude Thornhill)特集をやってマキシン・サリヴァン(Maxine Sullivan)をかけましたけど。そのマキシン・サリヴァンのバッキングでベースを弾いていたのがジョン・カービー(John Kirby)で…そのジョン・カービー&ヒズ・オーケストラというのがあります。まぁ、まずはマキシン・サリヴァンの歌を聴いてください。"Nice Work If You Can Get It"。
Nice Work If You Can Get It - Maxine Sullivan
ジョン・カービーという人はマキシン・サリヴァンと結婚した後、ウナ・メイ・カーライル(Una Mae Carlisle)のプロデュースをしています。
I Met You Then, I Know You Now - Una Mae Carlisle
えー、ウナ・メイ・カーライルで"I Met You Then, I Know You Now"でした。
さて、この曲はですね。オランダのアムステルダムのバスタ・レコード(Basta)で活躍していたフェイ・ラブスキー(Fay Lovesky)という女性。すばらしい才能なんですけど。ドミニク・クラヴィック(Dominique Cravic)といっしょにインストをやってます。"Shades of Harry"。
Shades of Harry - Fay Lovesky & Dominique Cravic
(from『Simply Unique』)
ロンドン出身の若者、ジェイコブ・コーリアー(Jacob Collier)という…これはすばらしい才能の持ち主ですね。ビーチ・ボーイズ(The Beach Boys)の"In My Room"をやってます。
In My Room - Jacob Collier
(from『In My Room』)
ずいぶん前になりますけど、ウィルソン&フィリップス(Wilson Phillips)という…ビーチ・ボーイズとママス&パパス(The Mamas & The Papas)の娘ふたりですね。"Good Vibrations"やってます。
Good Vibrations - Wilson Phillips
(from『Dedicated』)
If I Loved You - Jeff Lynne
(from『Long Wave』)
えー、きょう最後にかける歌はですね、スティナ・ノールデンスタン(Stina Nordenstam)。スウェーデン、ストックホルムの女性シンガーですけど。ひさしぶりにかける曲…この曲はほんとによく、昔かけてたんですけど。"I See You Again"。では、みなさんお元気で。また会いましょう。
I See You Again - Stina Nordernstam
(from『And She Closed Her Eyes』)