2020.03.29 Inter FM「Daisy Holiday!」より
H:こんばんは。細野晴臣です。えーとですね…このご時世に、はるばるやって来てくれました。ゲスト、林立夫くん。
林:こんにちは。このご時世に…
H:(笑)
林:やって参りました。
H:えーとね、3月がまだ続いてますが…これからどうなるのか。どうなるの?
林:どうなるんでしょうね。まったく予測がつかない。
H:みんなわかんないよね。誰も。
林:そう。
H:国の総理大臣もわかんないよね。
林:予測をつけるのをもう、やめる。
H:やめるよね。もうやめた。んー。
林:ね。
H:あの…出歩いてる?
林:んーとね、こないだまで僕、高松にいて。香川県の。
H:あ!香川県はね…
林:あそこはね、街歩いててもなんか、安心な感じで…(笑)
H:あー、いいよね。そうかい。それはなに?休みで、っていうことね。仕事じゃないよね(笑)
林:東京辺りだと、9割方がマスクしてるでしょ?
H:してるしてる。
林:向こうはね、9割方がマスクしてないの(笑)
H:いいね(笑)マスクって、見ると緊張するんだよな。
林:そう。で、みんな美人に見えるんだよね。
H:そうね(笑)いやー…僕の場合はきょうか明日のライヴが中止になっちゃってるんで。
林:そうなんだ。どこでやるの?
H:オーチャードホールの…「EAST MEETS WEST」だっけ?
林:はいはいはい。
H:ニューヨークからウィル・リー(Will Lee)とスティーヴ・ガッド(Steve Gadd)が来て…いっしょにできると思ってたんだけどね。
林:あ、細野さんの?
H:僕の曲をバッキングしてくれるって言うんだよ。
林:うわー!本当?観たかったぁ…
H:すげー楽しみにしてたんですけどね。
林:本当…それは観たかったね。
H:ええ。まぁ、「延期」じゃなくて「中止」なのか、よくわかんないよね(笑)
林:どんなになってただろうね?それは楽しみ…残念。
H:スティーヴ・ガッドとできるってなんか夢のようじゃない?我々にとって。
林:いやー、わかります。
H:まぁ、目の前にいるけどね。スティーヴ・ガッドが。
林:いやいや…(笑)
H:(笑)
林:スティーヴ・ガッドって、別物ですよね。あの人は。
H:別物だね。影響されたよね。ひと頃ね。
林:んー…今のほうが僕は好きですね。
H:あ、そうだよね。
林:すごいシンプル。
H:シンプルになって…枯れてきた、っていうかね。んー。ウィル・リーっていう人はめちゃくちゃ元気なベース…
林:あの人は枯れない。
H:枯れない。ぜんぜん枯れない(笑)
林:あの人はぜったい"枯葉(Autumn Leaves)"という曲はやらない(笑)
H:やらない(笑)イライラするんだろうね(笑)
林:日本に住んでるっていう噂よ?ウィル・リー。
H:え!そうなの?それは知らなかった…
林:だって僕ね、1回名古屋に遊びに行ったときに、ホテルの窓から下を見たら、ウィル・リーが横断歩道を渡ってた。
H:ウソだろ…(笑)
林:ホントホント(笑)
H:そんなバカな…(笑)
林:そっくりさんかな?(笑)
H:ところで…林立夫くん、『東京バックビート族』という自伝が出ましたね。
林:…遺書じゃないです(笑)
H:遺書じゃないよね(笑)自伝だからね。これはね、まだ全部は読んでないけど途中まで読んでて…おもしろい。
林:あ、それ言われるとうれしいですよ。
H:だって、あの…[初めて]会った頃、林くんは高校生じゃない、まだ。
林:そうですね。
H:で、僕は大学生。
林:うん。すっごい年上に見えたけどね。
H:(笑)
林:もう、すっっごい年上に見えた(笑)
H:今は?
林:今はなんか、ほら…近いかな?っていう感じが…
H:そうか(笑)だんだん狭まってきた。あの頃は…黙々とやってたから。
林:うん。
H:「君はどこの人?」なんてぜんぜん訊いたことない(笑)
林:あ、そうだね。
H:だから、どこに住んでるか、なんてあんまり知らなかった。
林:細野さんはあんまり他人のこと訊かないから。
H:訊かないんだよね。ごめんなさい。
林:僕は細野さんが住んでるところ知ってましたが(笑)
H:だって、来るからね(笑)ドラムセット運んできたんだよね。
林:そうなんですよ…あの頃はね、タクシーに載せてくれたんですね。
H:あー、そうだよ。ウッドベースも載せてくれたし。
林:ね。今じゃ考えられないかもしれない。
H:あの頃のことはよく憶えてるよ。暑い夏にさ、2階に上がって行って。布団を垂らして。
林:防音にしてね(笑)
H:汗だくでやってたんだよね(笑)
林:細野さん、ポンチョ着てなかった?あのとき。
H:それは…(笑)それは冬だよ(笑)
林:いまだに、その…(笑)
H:会うたんびにポンチョ、ポンチョって…(笑)
林:ポンチョなんだよね(笑)
H:印象が深いんだね。
林:すごいポンチョ…ポンチョにショートホープっていう…(笑)
H:恥ずかしいね…(笑)
林:一生残る、その場面が…
H:そうか。じゃあ、もう1回ポンチョ着ようかな。けっこう好きだけどね。んー。で、青山に住んでたのね。
林:そうね。そう。
林:ウエストよりももうちょっと細野さんのうち寄り。約100mくらいだけどね。
H:あそこら辺の景色ってすごい好きだったんだけど。
林:変わりましたよ、でも。
H:変わっちゃったね。都電が、ほら。専用軌道で。砂利の上をね。
林:そうです!
H:車が入れない。
林:入れない。そうなの。
H:で、僕は白金…天現寺から乗って中学に通ってたから、青山一丁目で降りるんだよ。
林:うんうん。
H:南青山一丁目で…そこら辺でしょ?
林:それ、うちの駅(笑)
H:あんなに静かなところ無かったね(笑)
林:もう、単なる田舎ですよ(笑)
H:ホントだ(笑)
林:なんにも無かった。うん。
H:だって…都電が満員なのね。当時からもう、ホントに人がいっぱいいたんだけど、南青山一丁目で停まると、シーン…
林:(笑)乗る人も少なければ降りる人もね。
H:少ない。うん。
林:だって葬儀場しかないんですから。
H:そうだよね。まぁでも、いいところで。左側に青山墓地があって、「月光仮面」のロケをやってた。
林:そうなんですよ。
H:知ってる?見た?
林:だって、うちの斜め前でやってるんだもん(笑)
H:やっぱり(笑)
林:「サタンの爪」の人が途中、お昼でお休みしてたりね、してるんですよ(笑)
H:のどかだ(笑)すごいね、それ。歴史的な目撃だよ。
林:でも、あの辺の話をリアルタイムでできる数少ない人ですよね、細野さん。
H:そうだよね(笑)
林:ね。都電でね。
H:もう、誰もいないよ、今。だから、あんなところに住んでたのか、って。その話をしたかったんだけどね。
林:あ、そうなんだ。あの辺は松本さん(松本隆)のうちもわりと近かったんじゃない?
H:松本の家はね…青山と白金の中間ぐらい。
林:中間?どこになるの?
H:今で言う西麻布だけど、まぁ霞町(かすみちょう)の…
林:霞町!あー…昔の名前のほうが良いね。
H:ぜんぜん良いよ。
林:ね。
H:もう、霞町って言っても誰も知らないもんね。
林:あー…高樹町(たかぎちょう)はまだある?もうない?
H:なんかね、高速の表示に「高樹町」っていうのはあるね。
林:あ、そうなんだ。
[*首都高3号線「高樹町入口」。]
H:もう、いろんな地名がどっか行っちゃって忘れちゃったけどね。
林:箪笥町(たんすまち)、憶えてる?六本木から溜池に…
H:あー!良い名前だ…(笑)
林:ね。箪笥町、好きだったんですよ、僕。
H:狸穴(まみあな)。
林:狸穴ね。「狸穴蕎麦」っていうのがありましたね(笑)
H:あったね(笑)こういう話になっちゃうよな、どうしてもね。
林:(笑)
[*2020年4月現在、「麻布狸穴町」としてかろうじて現存。]
H:そうか…まぁほとんど同世代っていうことだな、じゃあ。
林:同じような東京を体験してますよね。
H:そうだよね。んー。まぁでも、当時は高校生で…なんでいっしょにやることになったかっていうと。
林:はい。
H:僕は大学で音楽サークルみたいなのにね、入ってて。
林:ピープ(PEEP)。
H:ピープ。アマチュアのライヴでオーディションして、ムーヴァーズが来て…そのドラムが林くんだったわけ。
林:でしたね。
H:すごい、ビックリしたね。ムーヴァーズ観て。
林:衣装で?(笑)
H:いや、衣装でじゃない…(笑)ホントに中身で。
林:あ、そう?
H:サイケ。
林:サイケ(笑)
H:なにやったっけな…モビー・グレイプ(Moby Grape)やってた?
林:かもしれない。ちょっと、どの曲やったか憶えてない。
H:なんかね、ショックだったんだよね。
林:あのオーディションで僕が憶えてるのは…僕らはね、"Satisfaction"やりたくてしょうがなかった。
H:あー。
林:ところが、ファズのディストーションの音が出せなくて…
H:本に書いてあった(笑)
林:そしたら茂(鈴木茂)がね…
H:茂ね(笑)ファズ…
林:もうなぜかね、シャー!っていうノイズが出たまんま…
林:あのオーディションはCIA…茂のバンドの。
H:CIAは3人組のね、ベンチャーズスタイル。
林:と、ムーヴァーズと。他にいた?
H:他にね、ヒロ柳田。3人組の…PPM(Peter, Paul & Mary)スタイルのフォークやってた。
林:ヒロが?
H:うん。
林:で、あの「ギョスタ」だよね、あれ、たしか。オーディションやったの。
H:そうだったけ?
林:たしか「ギョスタ」だったと思う…
H:ちなみに「ギョスタ」というのは「御苑スタジオ」というね…(笑)みんなあそこを使ってた。いまだにあるんじゃないかね。
林:あります。
H:うんうん。はっぴいえんどもあそこでデモを録ったんだよね。
林:へぇ~!
H:なんか、モビー・グレイプやったりしてたんだよね。オリジナルないから(笑)
林:あ、そうなの?最初は?
H:最初ね。
林:へぇ。そのとき細野さんはベースなに使ってたの?
H:なんだっけな…たぶん、日本製の…エルク(Elk)から頂いたベースだったと思うよ。
林:へぇ。ここの…細野さんの家で練習したときって、細野さんはベースなに使ってた?憶えてる?
H:なに使ってたかな…憶えてない(笑)
林:記憶にないんですよね、僕も。
H:ないよね。ベースやってたかな?(笑)
林:やってたと思う(笑)
H:やってたね(笑)たぶん、借りてたんだと思うよ。
林:そう?
H:グレコ(Greco)とかね。日本製の。フェンダー(Fender)なんてもう、とんでもないよね。買えない。
林:フェンダーといえば…「エレキベース」と言ったら「フェンダーベース」なんだってね。
H:あ、そう?
林:だから、なんて言うの…「サランラップ」みたいなもんで(笑)
H:あ、そっか(笑)登録商標…
H:それはでも、日本だね。「エレキ」って…(笑)
林:まぁね(笑)じゃあ、「エレクトリックベース」。
H:あー、そっかそっか。なるほど。それは初めて聞いた。
林:しかもそれはプレシジョンなんだってね。
H:あ、プレシジョンのほうがメインなんだね。なるほど、そう言われるとわかるよ。プレシジョン、すばらしいよ。
林:あのベースがなかったら、いまのポップスの姿はないよね。
H:ないだろうね。
林:そう考えるとフェンダー、すごいね。
H:すごいよ。みんな使ってたからね。フェンダーの音が好きになったのはチャック・レイニー(Chuck Rainey)からかな。まぁ…ドラムスの話のほうがいいんじゃないの?(笑)
林:あ、そっか(笑)
H:なに使ってたの?
林:僕、楽器、あんまり詳しくなくて…(笑)
H:やっぱり。おんなじ(笑)
林:うん。いちばん困る質問なんだよね(笑)
H:そっか(笑)でも当時から、良いものは使ってたんでしょ?
林:いや、なかったですよ?
H:本の中には…お兄さんの影響がすごい強いじゃない。
林:うん。兄貴がムラヤマのドラムセットを持ってて。
H:あ、ムラヤマね。んー、渋い。
林:本物の革のやつね。
H:いいねぇ。
林:それを使ってて…自分で初めて買ったのはロジャース(Rogers)のスネアかな。
H:ロジャース。松本もロジャース使ってたね。
林:あ、そう?アルバイトしたお金を貯めて買いましたね。
H:ワンセット?
林:いや、スネアだけ。ワンセットなんてとんでもないですよ…
H:そうだよね(笑)あー…なんか、何十年前?これ。
林:50年前…
H:50年前…だろうね()
林:半世紀(笑)おそろしいね。
H:でも、クリアに憶えてるよね。
林:うん。憶えてる。
H:どんな気持ちで僕ん家でセッションしたの?
林:どんななんだろうね…なんか、人攫いに遭ったような…(笑)
H:(笑)
林:なんだったんでしょうね?ただ…僕の周りで音楽的に刺激的な話とか、そうだよね、って思えるような話ができる唯一の人ですよね。細野さんは。
H:あ、そっか。
林:たまたま僕は兄貴とかの影響があってちょっとマセてて。でも細野さんはその辺の音楽ぜんぶ知ってるじゃないですか。ずっと聴いてて。
H:まぁね。でもお兄さんって僕より年上でしょ?
林:そうですね。
H:じゃあ、プレスリー世代、っていうかね。ロカビリー世代だね。
林:ロカビリー世代。ホントにそう。
H:僕の姉もそうだったから…あの頃、1,2年違うとやっぱり違うんだよね。
林:だいぶ違うね。うん。
H:で、プレスリーはもちろん知ってるけど、のめり込んで聴いたことはない(笑)
林:あ、細野さんはあんまり行かなかったの?プレスリーには。
H:姉に連れられて『G.I.Blues』は観に行って。おお、いいなぁ、とか思ってね。そっから集め出したりしてた。
林:へぇ…そうそうそう。きょうは僕、細野さんに会うので、フッと思い出したのが…
H:はい。
林:昔、カセットを作ってくれて。
H:そうだっけ?
林:うん。その中にね、チャック・ベリーの"Havana Moon"とね…
H:おお。
林:それからね、"Ruby Baby"が入ってたんだよね。
H:お、ディオン(Dion)だ。
林:ディオンだ、あれ。
H:ディオン。それが聞きたかったわけね(笑)
林:そうそう。ディオンだったかドリフターズ(The Drifters)だったか、誰だったかなぁ、と思って。ディオンだね、あれ。
H:ディオンなの。オリジナルはドリフターズなんだけど、カヴァーしたディオンのほうが大ヒットして。
林:あ、そういうことなんだね。
H:ディオンっていう人は昔、その頃「ダイオン」って書かれてて…(笑)
林:そう(笑)
H:ボブ・ディランは「ボブ・ダイラン」(笑)
林:すごいね(笑)
H:そういう時代だよ(笑)ディオン・ディムーチ(Dion DiMucci)っていうイタリア系の…歌がなかなかうまい人なんだけどね。ベルモンツ(The Belmonts)っていうロカビリー、コーラスグループやってて。独立して、大ヒットをいっぱい飛ばしたの。
林:あ、そうなの?何年くらいですか?あれ。
H:あれはね、1962年ぐらいかな。その頃がいちばんおもしろいからよく憶えてるんだよね。
林:あー。
H:でも、そんなポップスの時代なのにサイケデリックが出てきて…まぁ、ムーヴァーズなんかはそういう世代だよな。
林:うーん…
H:そういう話は小原(小原礼)とかみんなとよくしてたんでしょ?
林:でも、よく考えるとサイケデリックってなんだかよくわかんないジャンルですよね。
H:それは…高校生だしね(笑)
林:なんだかね(笑)
H:なんでモビー・グレイプなんかを聴き出したわけ?
林:それはね…理屈じゃないんだよね。
H:理屈はないだろうけど(笑)
林:よくわからないんですよね…
H:誰かが持ってきたの?
林:そうだろうね。それが誰だかちょっとわからないです。
H:あー。なんでだろう?たとえば…その後なんだけど、バーンズっていう慶應のね、松本隆が…
林:はいはいはい…小山さん?
H:そう、小山(小山高志)とか松本隆とか…大学生で、シャドウズ(The Shadows)のカヴァーをやってたグループが、突然リズム&ブルースみたいなことをやりたいっていうんで「ベースやってくれ」、って言われて(笑)
林:へぇ~!
H:それでオーディションされて…
林:ピープで?(笑)
H:そうそう(笑)生意気な!と思ってね。で、ジミ・ヘンドリックスとかやったんだよね。
林:それ、ギターは誰?
H:伊藤剛光っていう、お坊ちゃんだよ。
林:政治家さんみたいな名前。
H:(笑)で、いいとこに住んでるの。青山の。
林:あー。名前からしてそうっぽいね。
林:へぇ…
H:で、そこの家にまたモビー・グレイプがあったんでビックリした。僕はひとりで聴いてたの。どうやって手に入れたかはちょっと憶えてないんだけど。
林:うんうん。
H:で、みんな…ムーヴァーズもそうだし、バーンズも。なんでモビー・グレイプを知ってるんだろう、と思ってビックリしてたわけ。
林:あの頃って…いわゆる鍵盤弾きがいなかったじゃないですか。
H:誰もいない(笑)
林:ね。だからギターのサウンドですよね。竿物っていうか。
H:そうだよね。竿物…(笑)
林:竿物って、みんな言うじゃない(笑)
H:初めて聞いたよ(笑)
林:ギターサウンドですよね。
H:そうそう。ホントにキーボードがいない。ボーカリストもあんまりいなかった。
林:そうね。たしかに…
H:ちょっと音楽でも聴くか(笑)
林:そうか(笑)そういうことよね。
H:なに聴こう…その頃の音源はないからね。1回、テープレコーダーを回したことがあるんだよね。
林:なんのとき?
H:練習…練習っていうの?なんて言うんだろう(笑)
林:練習…(笑)今で言うリハーサルですね。
H:うんうん。なんかやった憶えがあるんだけど、残ってないんだよな。
林:へぇ。でも細野さん、よく持ってますよね、そういうのね。データとして。
H:捨てないだけだよ。捨てちゃうんでしょ?(笑)
林:どっかなくなっちゃうんだよね。
H:家の中のどっかにあるんだよね。で、引っ越しを僕はけっこうするんで、なくなったものもいっぱいあるよ。
林:そう。そこが怖いね。というか、そのなくなったものを見てみたいね。すごいものがいっぱいありそうじゃない。
H:いや…なにがなくなったか憶えてるから、思い出したくないの。大事なシングル盤がごっそり盗まれた。
林:じゃあこれは…この話題はやめましょう。
H:やめよう。うん。じゃあ、音楽…なにを聴いたらいいんだろう(笑)えー…ずいぶん後になっちゃうけど…あ、これ聴きたいな。
林:…なつかしい(笑)
H:急に(笑)これは匿名でね、森高千里さんが歌ってるんですけど。
林:匿名で森高千里さんが…(笑)
H:だって、「Chappie」っていうアーティスト名だよ。"七夕の夜、君に逢いたい"。
七夕の夜、君に逢いたい - Chappie
H:これ、なんで…たまたまかけたんだけど。思い出したんだけど、この曲をきっかけにまたティンパン(Tin Pan)みたいなね…久しぶりだったんだよね?
林:そうだね。博さんだよね、たしか。
H:そう、佐藤博。このメンバー良いなぁ…
林:良い音してるね。
H:もう…いや、すっばらしい。なんつってね(笑)
林:ヘッドフォンで聴くことってあんまりないから、こうやって聴いてると良いね(笑)
H:良いでしょ?ヘッドフォンはなかなか良いんですよ。だから…この後だっけ?ティンパンやったのは。
林:そうだね。
H:ね。そうなんだよ、2000年なの。これは2000年より前なのかな。
林:前なんだね!そうか…でも、そのままの音の感じがするね。
H:そうだよね。この…それまでなにやってたの?(笑)
林:子育て(笑)
H:あー、そうか(笑)
林:もうね、本当に子育て…
H:1回、なんか引きこもってたよね。ドラムから離れて。
林:引きこもったっていうか、だから…子育て(笑)
H:まぁ、仕事もね。なんかいろんな、違う仕事やってたりね。
林:そうですね。
H:そっちがなんか、有名になっちゃったりしてね。
林:うーん、あんまりスタンスは変わってないんだけどね。今も。
H:そうか。今はまた、ドラマーになってるもんね。そんな感じだよ、今。
林:そう?ドラマー、なんだ…
H:うん。ダメ?(笑)
林:いや、別に…(笑)「ドラマー」っていうのがどうも自分で…くすぐったい(笑)
H:なんて言ったらいいかな…
林:細野さんも「ベーシスト」って、ちょっとくすぐったいでしょ?
H:くすぐったいよ。
林:でしょ?
H:というか、ピンとこないね。
林:ね?わかる?その感じ。
H:あんまし、上手くないし(笑)
林:幸宏(高橋幸宏)と話してても同じこと言う(笑)
H:やっぱりみんなそうだよな。だから…あ、林くんはね、ドラム以外もできるじゃん。
林:いや、できないですよ…
H:知ってるもん、だって。見てるもん。
林:それは触ってるだけだから…
H:いやいやいや、ゾンビーズ(The Zombies)の"Tell He Know"(笑)
林:なんか、ポンチョの復讐みたいになってない?(笑)
H:いや…(笑)くっきり印象に残ってるもん。♪ジャカジャジャッジジャッジャッジャッ…
林:あれ好きなんだもんね、あの曲。
H:だから、いい趣味してるな、と思ったの。そのとき。
林:あ、ホント?
H:うん。要するに、プレイヤーってもっと…なんかこう、プログレみたいなね。方向に行っちゃう人、多いじゃん。
林:あー、そうかな。僕らの周りにはいないですね。
H:いないよ。
林:ねぇ。
H:だから…聴く音楽がぜんぜんドラムに関係ないっていうのがよかった。
林:あー、そうかもしれない。ドラムはあんまり聴いてないほうが多い(笑)
H:そこがなんか、自分にも通ずる…共通点があるね。
林:はい。なんか、それはわかります。
H:…もうね、話が尽きないんで、次の週にまた続きをやりますんで。きょうはこれくらいでね。
林:はい。
H:また来週。突然ですけど(笑)