2020.03.01 Inter FM「Daisy Holiday!」より
H:細野晴臣です。
?:(笑)
H:笑われちゃった(笑)
?:緊張感が無さすぎる(笑)
H:無いでしょう(笑)えー、きょうはゲスト、姉妹…姉妹じゃねぇや(笑)姉弟。清水ミチコさんと…
ミ:はい。弟の…
H:清水イチロウくんね。やっと覚えたよ。
イ:こんばんは、清水…「細野晴臣です。」
H:お。
ミ:お前、勇気あるな。
H:(笑)
イ:「こんばんは。いらっしゃい。」
ミ:(笑)
H:いい…いい声だねぇ。
イ:ありがとうございます。
ミ:自分で自分をほめてるみたい(笑)
H:いやいや…僕よりいい声なんだよ。
イ:いや、そんなことないですよ。
H:僕、あんな低い声じゃないんですよ、実は。高いんだよ。
イ:あ、そうですか。
H:うん!(裏声)
ミ:ちょっと!(笑)
イ:(笑)
ミ:魅力が半減した(笑)
H:いやいや…(笑)
ミ:弟はね、細野さんの歌い分けのモノマネがわりと上手で。
H:歌い分けね。
ミ:初期の頃と後半と、ぜんぜん違うんですって。心理的にも。
H:それはたしかに違うわ。
ミ:あ、感じます?自分でも。
H:うん。でも、自分じゃできないよ、それ。
イ:あ、僕できますよ。
H:ちょっとやってみて。
ミ:お前、心臓強いな…(笑)
イ:昔の細野さん、やりますね。「♪きーみの瞳は~」っていう。
*"HURRICANE DOROTHY"の歌い出し。
H:わかったわかった(笑)いやー、その通りだ…
ミ:うるせぇな(笑)似てないですよ、こんなの(笑)このときの…心理的にはどうなんだっけ?
イ:えーとですね、これは「虚無感」ですね。
H:虚無感?(笑)
ミ:占い師みたいになってきた(笑)
H:よくわからない…(笑)
イ:虚無感。
ミ:ありました?
イ:ありましたね。
H:そうですか…
ミ:最近は?
イ:最近はね、ちょっと自分の声が好き過ぎて…
H:えぇ~。
イ:「えぇ~。」
H:(笑)
ミ:やめろ(笑)
イ:あの、細野さんがすごい興味のない話を聞くときの相づち、っていう新しいモノマネが。
ミ:(笑)
H:ホント?どんな感じなの?
イ:「んん~。」
2人:(笑)
イ:こういうときは大抵細野さん、話聞いてないですね。
H:(笑)
ミ:このラジオで?Daisy Holidayで?
イ:「んん~」って言うときは、聞いてないんです。
H:いやいや、そんなことはないよ(笑)
イ:(笑)
ミ:パス、スルー、みたいな(笑)
H:じゃあ…もういいや、2人でやってもらおうかな。
ミ:そうですか(笑)乗っ取ろうか。
イ:(笑)
ミ:でもね、初めて…私がこの番組をオファーされたのは、憶えてないと思うんですけど、ちょうど10年ぐらい前。
H:そうだってね。それはビックリしちゃった。
ミ:そうなんですよ。それで、そのとき…「今度Daisy Holiday出てよ。俺のことだから、たぶん遅くなると思うけど。実現は。」って言ってたけど、ホントに10年経って…(笑)
H:(笑)
イ:10年…(笑)
H:10年か…じゃあずっと、[正式なオファーが]いつ来るか…
ミ:いつ来るか、と思ってたのに…先月でしたっけ。やっと話が来たぞ!と思ったら、事務所から電話があって…
H:飛んじゃったんだよね(笑)
ミ:そのときはもう、弟は飛騨高山から見学に来るつもりで東京に来てたので。
H:来てたんだよね。
ミ:なんて説明しようかな、と思ってたんですけど…(笑)
H:(笑)
ミ:きょうはよかったね、出れて。
イ:よかったです。はい。
H:そのときはどうだったの?[収録が]無くなったときは。どんな心理状態?(笑)
イ:いや…(笑)吉祥寺にいたんですけど、これからホテルを出るっていうところで姉からメールが来て。「きょうなくなったから」って言われて。レコード買いに行きましたけど…
H:あ、ホント。
ミ:なくなったと言っても細野さんが亡くなったわけじゃないから…(笑)
H:いやいやいや…(笑)そういうこともあるかもしれないし。
イ:(笑)
ミ:やめてください(笑)
H:えーと、お2人は…とくにお姉さん。
ミ:はい。
H:声がね…天才だよね。
ミ:モノマネっていうことですか?
H:うん。
ミ:わー、うれしい!ありがとうございます。
H:いっつもそう思うんだけど…なんか「芸人」じゃないし、「アーティスト」でもない…
ミ:…それはなにかと尋ねたら?(笑)
2人:(爆笑)
*落語『豊竹屋』の引用。
ミ:そうですかね?でも、細野さんの周りの方が…矢野さん(矢野顕子)とかユーミンさん(松任谷由実)とかが大好きなので、すごくうれしいですし…また、ずーっと保ちますよね。私、高校のときに手に入れたんですけど、あの2人を(笑)
2人:(笑)
ミ:まだ保ってる~、と思って。
H:保つね~(笑)
ミ:弟もよかったね、細野さんを手に入れて(笑)
イ:そうですね。
H:他の人はやらないの?
イ:他…ひとりだけね、高田渡さんっていう。
H:お!そう。
イ:いいですか?やってみて。
H:ちょっとやってみて。
イ:「いやーどうもね、高田渡です。いつもね、うちの漣くんがね、お世話になっちゃって…」
H:ぜんぜん似てないわ(笑)
2人:(爆笑)
ミ:厳しいんだよ、この道は(笑)
イ:すごい似てると思ってた…
H:いやいや、声の質が違う。
イ:あ、そうですか。
H:そんな低くないし。高い声だから。
イ:そうか…
ミ:細野さんは?誰かモノマネできるんですか?
H:あのね、ここに来る前にちょっと聴いたら…清水さんの[レパートリー]を。
ミ:うん。
H:鳳啓助やってるでしょ?
ミ:ちょこっとね、昔ね(笑)CDかなんかで。「エッ」とかいうやつ。
H:そうなんだよ。それが僕、好きなんだよ。「エッ、鳳啓助でございますよ。エッ。」
ミ:(笑)
イ:似てねぇ…(笑)
H:似てない?(笑)
ミ:他人に厳しすぎる、この3人(笑)
H:似てないかな?
イ:似てないと思います。
ミ:自分の中で聞こえるのとはやっぱり違うのかな?
イ:あー…
H:違うのか。すげー似てると思ってるんだけどな…「忘れようとしても思い出せない」。
ミ:…ホントにひどいね、今のは。
イ:ちょっとひどい。
H:ちょっと浪花節になっちゃった。
ミ:そういう問題かな?(笑)
H:あの、大橋巨泉は得意だよ。
ミ:え?
H:「ど…だっつったっただい…(笑)」
ミ:あ、ちょっと似てる。
イ:それいいですね。似てます。
H:でしょ?よかったぁ…
ミ:演芸番組になってきましたね(笑)
H:(笑)
ミ:でも、弟が言ってたんですけど。YMO…というか、細野さんの世代から、二枚目でカッコいいことをやるっていうことは「カッコ悪い」に変わったって言ってました。
H:あ、ホント?(笑)
イ:それが、僕は…細野さんの遺した大きな功績だと思いますね。
H:もっかい説明してくれる?よくわかんないんだ(笑)
イ:えーと、YMO以降ですね、カッコいいことをやるのがカッコ悪くなったんじゃないかな、と僕は思ってるんですけど。
H:なんか、そういうコピーライトを誰かが考えたんだよな。
イ:あ、そうですか。
ミ:ウソでしょ?
H:「カッコいいことはカッコ悪いことだ」とか。当時、流行ったよ。刷り込まれてるんだよ。
ミ:そっか、たまたま…(笑)
イ:小学生だった…(笑)
H:(笑)
ミ:そうか、私、弟はいいこと発見したなぁ、と思ってたんだけど、違ったんだな…
イ:そうか…
H:たぶん…あの頃のコピーライトってみんなすごかったんだよ。糸井さん(糸井重里)とかね。
ミ:あー…そうか。
H:うん。
ミ:私は細野さんを初めて生で見たのは…自分が19歳だから、もう30年ぐらい…あ、40年ぐらい前か。
H:(笑)
イ:サバ読んだ(笑)
ミ:サバ読んじゃった(笑)あの…パルコ劇場で、1人でお歌いになったんですよ。
H:ああ、そう?
ミ:自分よりちょっとだけ年上だ、っていうことはわかってたんですけど、「神童が現れた」っていう感じ…(笑)
H:神童…(笑)
イ:(笑)
ミ:他の人たちも出てたのに、特別に格の高いっていうか、徳の高いものみたいな感じで…だけど決してね、歌いたい!っていう感じの顔じゃないわけ。
H:(笑)
ミ:イヤイヤやって帰る…みたいな感じなんだけど、なんかすごいものを見た、と思って。
イ:へぇ…
H:何歌ったんだろうなぁ…
ミ:忘れちゃった…
H:忘れちゃうか(笑)
ミ:(笑)
H:だから当時はたぶん、歌いたくなかったんだよね。ぜんぜん歌うっていうのが好きじゃなくて。
ミ:演奏は好きだけど?
H:うん。プレイヤーだったから。だから、はっぴいえんどのときもほとんど歌ってないよ。ライヴではね。
ミ:あー、そうですか…
H:そのとき何を歌ったんだろうな…イヤイヤながら歌ったんだよな、たぶん。いまは歌うのが楽しいですよ。イチロウくんが言ったように。
イ:あー、そんな気がします。
ミ:そう感じる。うん。何から変わったんですかね?
H:あのね、2006年に狭山でライヴがあって。イヤイヤながら出てって…『HOSONO HOUSE』っていう昔のアルバムから、[人前では]歌ったこと無い曲も歌ったのね。
ミ:うん。
H:で、そのときはどしゃ降り…どしゃ降りじゃなくて、豪雨じゃなくて、なんだろう…異常気象で、洪水になっちゃったの、会場が。野外で。
ミ:はいはい。
H:で、止まないとこれはできないな、と思ったら止んでくれて、出てったの。そしたらすごい気持ち良かったの、それが。そういう条件が揃っちゃって、そこで刷り込まれたっていうか。「あ、歌うのって気持ちいいな」と思って。
ミ:へぇ…やっぱり持ってますね、細野さん。いろいろ。
H:いやいや(笑)
ミ:だって、この洪水の話も初めてじゃないもんね?[別のときにも]細野さんが歌う番になったら雨が上がった、とか。
H:あー…そうかい?(笑)
ミ:うん。聞いたことありますよね?…マネージャーさんも頷いてらっしゃいます。
H:そっか(笑)いや、雨が降るときもあるけどね、もちろん。んー。
ミ:そのときはどしゃ降りの中やるんですか?ちゃんと。
H:やったことあるよ。うん。
ミ:へぇ…大丈夫?精神的に。
H:いや…それはやっぱりダメだったね。
ミ:正直…(笑)
イ:(笑)
H:だってね、弦がヨレヨレになっちゃうしね、湿気で。打楽器も鳴らなくなっちゃうでしょ。もう、ひどいステージやったことある。でも、神社だったの、それ。熊野の。
イ:へぇ…
ミ:あ、熊野神社で?
H:その前に一青窈が出てて…そのときも雨だったような気がするよ。
2人:へぇ~
H:そういえば一青窈さん、連れてきたでしょ?映画をみんなで観に行った…(笑)
ミ:ありましたね!『Lost In Translation』を細野さんと私と、鈴木茂さんと一青窈さんと…
H:なんでああいうメンバーになったの?
ミ:なんですかね?誰が…
H:自分だよ(笑)
ミ:私?
H:そうだよ(笑)
ミ:私、そんなネットワークあるかな…
H:え!ある人だと思ってた(笑)
ミ:一青窈さんを誘ったのは私、憶えてます。で、行くことになったのも憶えてるんだけど、誰が最初に言い出したか、っていうのは憶えてなくて。もしかして10年ぐらい前にあった番組…はっぴいえんどのときの番組ですかね?
H:いやいや…?
ミ:それだったら大滝さん(大滝詠一)もいるはずですもんね。
H:そうだよ。まだ健在だったし。
ミ:そうだ、あのときご飯もごちそうになったんですよね。ありがとうございました。
H:そう。
ミ:「そう。」だって…普通は「いえいえ…」って言いますよ、大人なら(笑)
イ:(笑)
H:そっか(笑)
ミ:「そう、あれ俺。」(笑)
H:そのとき、車に乗せてみんなでどっか…代々木のほうに行ったのかな?あれ。どこだっけな…
ミ:そうですね。
H:で、そのとき僕、ラジオ…遅かったよね?時間。
ミ:遅かったの。
H:「深夜便」(NHKラジオ深夜便)かけてたの。そのときなんか、ヘンな反応してたね。
ミ:あのね、落語家さんが映画についてすごい怒ってたの。
H:あー…はいはい。
ミ:「なんでこの人いっつも怒ってるのかな?」って、細野さんが言ってましたね。
H:そっかそっか。憶えてるね、よく。
ミ:憶えてる(笑)とくに…カッコいい車だったんですよね。それで、何がかかるのかな、と思ったら…AMなんだ、と思って(笑)
H:そうだよ、AM大好きなの(笑)これ、AMじゃないよね?FMなんだ…
ミ:知らなかったのかよ…(笑)
イ:(笑)
ミ:Inter FMです。よろしくお願いします。
H:それでね…一青窈さんと2,3回ね、メールのやり取りがあったの。その後。メールアドレスを交換したんだね、きっと。
ミ:そうですね。
H:でもね、最初に会ったときに「私のこと知ってますか?」って訊かれて。知ってるよ~裸足で歌う人でしょ?って言ったら、怒られちゃった(笑)
イ:(笑)
ミ:当たり前ですよ…(笑)
H:「そういうこと言う人なんだ…」って…(笑)
ミ:ヒヤヒヤするわ…(笑)あの後、誰でしたっけ…武部聡志さんか。
H:そう!武部くん。
ミ:現る。それで一青窈さんに「よかったなぁ~」って。「細野さんとご飯を食べられるなんて、ホントにお前は成功したんだ!」って仰ってて…(笑)
イ:(笑)
H:そんなこと言ってたっけ?(笑)
ミ:酔ってらっしゃったのかな?すごい印象的だった…(笑)
H:その後、メールが来て…余計なことを僕、また書いちゃったんだよな。
2人:(笑)
H:一青窈っていう名前は崑崙山の妖怪みたいだ、って書いちゃった(笑)
イ:(爆笑)
ミ:なんで2回も…(笑)
H:そしたら、返事が無かった(笑)
2人:(爆笑)
H:いや、すごい良い名前だと思って、ほめたつもりだったんだけど、ダメだったね。んー。
ミ:台湾の…顔の一族と書いて顔一族っていう…すごい一族のお嬢さん。
H:あー、名門なんだね。
ミ:名門なんですよね。そう。
H:いやー…だから、あれ以来僕は一青窈さんにはもちろん会ってないし。清水ミチコさんともプライベートでは会ったことがない。
ミ:そうですね。めずらしい会だったんですよね。
H:で、茂とも会ってないでしょ?
ミ:会ってないですね、あれから。
H:ヘンなの。
ミ:ホントですね。あのときの鈴木さんの話もすごいおもしろかった。よく憶えてる。
H:うん。
ミ:「人ってさ、驚くとホントに跳ぶんだよ。知ってる?」って言ってたのを憶えてます?(笑)
2人:(笑)
H:知らない…(笑)
ミ:鈴木さんがその集まりに来るまでに、誰かが車を運転してたのを目撃して。そしたらその人が「えー!」って言ってすごくビックリしたのと同時に、座りながら跳んだんですって(笑)「だからあれはマンガじゃないんだ!」って言ってて…めっちゃかわいい人だな、って(笑)
イ:(笑)
H:茂はね、おもしろいよ…(笑)
ミ:おもしろい方ですね。はっぴいえんどを結成して4人で地方かどっかに行ったときに、電車の中で大滝さんが「○○とかけて××ととく、っていう遊びをしよう」って言って、「俺はなんて年寄りの中に来てしまったんだろう…」と思った…(笑)
2人:(笑)
ミ:その話し方もすっげーおもしろかった…(笑)
H:そうかそうか…たしかになぁ…(笑)
ミ:たしかにそうかもね(笑)
H:そう、大滝と僕でそれをやってたよ。謎かけをね(笑)
ミ:あ、そうなんですか!(笑)大滝さんもすごい、パロディーみたいの好きでしたもんね。
H:好きだったね。もう、そんな話ばっかりしてたね。仲良いんでしょ?清水さん。
ミ:はい。ライヴによくいらしてたし…メールでもやり取り、ありましたね。
H:なんかもう、すごい大きな顔してたでしょ?(笑)
ミ:叱られたことありましたね、何回か(笑)
H:そう(笑)
ミ:あとはやっぱりラジオで、「ああいう冗談はよくない」とかそうやって教えてくれることもありました。
H:すごい。先生だな…そうか、そういう風に言ったほうがいいのかな、じゃあ。
イ:(笑)
ミ:何を目指してるのかわかりませんけど…(笑)少なくとも、AMかFMかぐらいはわかっといてください(笑)
H:そうだね…音楽かけようかな。
2人:(笑)
ミ:逃げた(笑)
H:何がいいんだろう…あ、なんか持ってきてくれたんでしょ?
ミ:そうです!
H:じゃあ…それ、なんだっけ?
ミ:はい、アーサー・キット(Eartha Kitt)という方の"Sho-Jo-Ji"を…
Sho-Jo-Ji (The Hungry Raccon) - Eartha Kitt with Joe Reisman's Orchestra & Chorus
H:なるほど。
ミ:おもしろいですよね。
H:これ、いつ頃から聴いてるの?こういうの。
ミ:これを知ったのは…30年ぐらい前ですかね。
H:あー、やっぱり。んー。
ミ:もう、小学校のときには知ってたんですか?
H:うん。流行ったからね。
ミ:あ、この曲が?
H:ヒットした。うん。
ミ:へぇ…
H:"Uska Dara"っていうトルコの歌も…♪ウーシュカダーラ、ギーデリカ…っていうね。それの後にこれが流行ったのかな。どっちだろう?どっちが先かわかんないや。
ミ:日本びいきだったんですか?このアーサー・キットさんは。
H:キットさんね。なんかトルコの歌とか、ヘンテコリンな歌が得意だったね。
ミ:ヘンテコリンな…(笑)
イ:(笑)
ミ:たしかになんか…英語の発音もちょっとヘンテコリンなんですよね(笑)
H:♪オルウェイズハングリー~
イ:(笑)
ミ:そうそう、聴き取りやすいなぁっていう…(笑)
H:イチロウくんの音楽の趣味は何?
イ:あの…僕、ジャズが好きだったんですけど。
H:そうか。
イ:でも、最近は…
H:いい声だなぁ。
イ:はい(笑)
ミ:似てますけどね(笑)
イ:最近は義理の兄の影響でレナード・コーエン(Leonard Cohen)っていう人を聴いてます。
H:お兄さんいるんだっけ?
イ:えーと、姉の相方というか…
H:あ、旦那さんね。レナード・コーエン!渋いねぇ。
イ:なんかやっぱり、声の低い人が好きみたいで、僕。
ミ:おー…
H:おんなじ(笑)高い人嫌い(笑)
イ:(笑)
ミ:たしかに、声高い人ってあんまり魅力ないかもね、歌は。
H:そう?(笑)
イ:いや、そっちのほうが人気あるんだよ、やっぱり。少数派ですよ。
ミ:そっか。ロックなんかはそうか。
H:男の人は高くなって、女の人は低くなってるっていう時代だからね。んー。
ミ:へー。なんか、通販の番組って、高い男の人の声がいちばん売れるんですって(笑)いちばん響くんだって。なんでだろう?
イ:(笑)
H:たしかに高いわ…(笑)ちょっとマネして?
ミ:簡単に言わないでください、なんでもできると思うな(笑)
イ:(笑)
H:いやー、なんでもできるでしょう(笑)
イ:…あ、僕ですか?
H:どっちでも。
ミ:「今回のラジオは!」(笑)
2人:(笑)
ミ:恥かかされた…(笑)
H:なんか違う…違う人だよ(笑)
ミ:違いましたね(笑)こんなに訛ってない…(笑)
H:訛ってたよ(笑)
イ:訛ってたほうが売れたりするんですかね?
ミ:まさか…どうなんだろう、ひとりしかいないでしょ?(笑)
イ:あ、そっか…(笑)
ミ:この人の経営してるジャズ喫茶っていうのは、お父さんがやってたのを…父が亡くなって引き継いだんですけど。
H:あ、そうなんだね。
ミ:いまは誰でも演奏できるような…
イ:そう。僕の楽器を置いてるんで…
ミ:ヒマな時は…
イ:外人さんとかがよく演奏しますね。
H:あ、ホント?外国人も来るんだね。
イ:いっぱい来ます。
H:あ、そう?有名なんだね。
イ:そうですね…(笑)
ミ:フラッと楽器弾けるっていうのがすごいよね。趣味人が多いよね。
イ:こないだね、日系三世みたいな人が来て。そこでレナード・コーエンさんも歌ってる"Hallelujah"を歌ってくれたんですよ。ギターの弾き語りで。
H:ほう。
イ:感動しましたね。すごく良くて…
H:すごいな…えー、高山っていうと、中央線で行くと…中津川を通って名古屋から行くと…あれ、違うか。ぜんぜん違う。行ったことないわ、高山。
ミ:うん、たぶんそうですね(笑)なんか遠いところに連れて行かれた…(笑)
イ:(笑)
H:いや、すっごい遠いようなイメージなんだけど…(笑)
ミ:でも、遠いよね。
イ:遠いですね。松本経由で…車だとね。5時間ぐらい。
H:あのー、古い宿屋とかがいっぱいあるところにあるの?喫茶店。
イ:いや、うちは駅前なので…
H:あ、駅前なんだ。そうか。
イ:ぜひ一度お越しください。
H:行きたい行きたい。高山の夢は見たことがあるんだよ。
ミ:(笑)
イ:どういうことですか?(笑)
ミ:高山の夢は見たことがある…すごい新曲が出た(笑)
イ:(笑)
H:20代の頃に見た夢を憶えてるんだよね。
ミ:へぇ…横尾さん(横尾忠則)の影響?関係無い?
H:いや、その頃は横尾さん知らなかった(笑)
ミ:あ、そうなんですか(笑)
H:えーと…ああいう宿場みたいな通りでね。向こうからね、天狗が2人、こっちに向かってくるんだよ。
イ:おお…
H:で、棒を持ってるの。僕は子どもなの。で、僕の頭をパーン!って叩くの。
イ:(笑)
ミ:いきなり…(笑)
H:それだけの夢なんだけど(笑)それがなんで高山かは知らないよ?自分では「高山だ」って思ってるの。なんか縁があるのかな?
ミ:でも、天狗っていうお店あるよね?
イ:ありますね。けっこうたくさんありますね。
H:あ、ホント?
ミ:やっぱ関係あるのかな、何か。
イ:あるかもしれない。
H:どういう育ち方をしたわけ?お2人は。
ミ:(笑)
イ:あの…わりと音楽に囲まれてましたね。
H:特殊な家だったんですね。
イ:そうですね。ジャズ喫茶の横に居間があったんで。
H:つまり、お父さんがもう、ホント音楽好きなわけね。
イ:そうです。
ミ:ジャズが好きでしたね。
イ:しかもベーシストだったんですよ。
H:あ、そうなの!そうなんですか。
ミ:そうだ。ウッドベースの大きいのがね。
H:あったんだ。
イ:でも、「ジャズをやってた」って言うから、ジャズをやってたんだと思ってたんですけど…父の時代ではハワイアンからなにからぜんぶ「ジャズ」…
ミ:洋楽のことぜんぶ「ジャズ」(笑)
H:そうだったね(笑)
イ:キューバ音楽とかもやってたみたいで。名前はキューバンボーイズみたいな…
H:お、いいじゃない。
イ:そういうバンドでベースを弾いてたみたい。
H:それはどこでやってたんだろう?東京?
イ:あのね、それが…その頃はテレビとかが無くて。わりと大きいところでやってて。1,000人以上のお客さんがいたから…屋外とかだったのかもしれないし。
H:高山で、ってこと?
イ:そうです。
H:あ、そう。
イ:それで…僕がライヴやって50人ぐらいお客さんが来た、とか言うと「少ねぇ~」とか(笑)
H:(笑)
イ:50人でやったー!とか思ってたのに。
H:その、お父さんの録音物は無いの?
イ:無いんですよ…でもこないだ、父が書いた譜面っていうのを初めて見ました。
ミ:へぇ~。見して。
イ:うん、今度。
ミ:書けるんだ、譜面。
イ:うん。あの人は譜面読めるんですよ。
ミ:へぇ、意外…へぇ~。
H:あれ?清水ミチコさんは譜面読むでしょ?
ミ:でも、すごい時間をかけて…っていう感じですね。
H:あ、ホント?じゃあおんなじだ、僕と。
ミ:あ、ルビ振ります?
H:振るー。
ミ:いちばん楽ですよね。「振るー」…(笑)
イ:(笑)
ミ:ギャルか(笑)
H:(笑)
ミ:振る?イチロウ。
イ:僕は振らないように今、がんばってます。
ミ:あー。
H:もう今はね、譜面使わなくなっちゃったよ。
ミ:コード譜は?
H:コード譜さえも使わない、もう。
ミ:耳コピってこと?
H:うん。なんか…覚えちゃうから。
イ:こないだ細野さんが演奏されたユーミンの…なんだっけ、"卒業写真"のベースをコピーしようと思って聴いてたら…
H:あ、言ってたね。
イ:いや、驚いちゃって。
H:なにが?
イ:すごい独創性と…なんて言うんですか、リズム感?ユーミンの歌を抜いて、後奏の部分とか聴いてると、これは90年代以降の音楽なんじゃないか?とか思うぐらい新しい…
H:いやいや…言い過ぎだよ。
ミ:あれって、その場で考え付くっていうか…
H:うん。ぜんぶそう。
ミ:その場でってこと?
H:ぜんぶ…このラジオもそうだけど、その場の…
ミ:この場はそうでしょうね、すごい伝わります(笑)
H:(笑)
ミ:台本無いだろうな、っていう感じはわかります(笑)へぇ…
H:ぜんぶその場でやってきて…で、僕はユーミンとはあんまり深く話したことはなかったんだけど、こないだ…去年の暮れにね、ラジオに呼ばれて。
ミ:あ、聴いてました。
H:聴いてた?じゃあ、あれも聴いてたんだ。「清水ミチコと話してるみたい」って言っちゃったんだけどね。
ミ:え、そんなこと言ってましたっけ?
H:あれ、カットされたのかな?(笑)カットされたんだ…
2人:(爆笑)
ミ:さみしい気持ちになったわ(笑)知らなきゃよかった…(笑)
H:そうか…やっぱりイヤなのかな?そんなことはないよな。
ミ:でも、もし自分がディレクターだったらやっぱりちょっとカットするかも。
H:そうすか?(笑)
イ:(笑)
卒業写真 - 荒井由実
(from 『COBALT HOUR』)
H:…あ、2週分録ってるんだ、今。そうか。
ミ:やった。すごい、何詐欺っていうんだろう?これ(笑)
H:ちょっと休憩したいんだけど。いいですか?
ミ:私もこれおいしいんで、もう1杯もらっていいですか?
H:ちょっと休憩(笑)