2019.08.25 Inter FM「Daisy Holiday!」より

 

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H:こんばんは、細野晴臣です。さぁ、えー、きょうはですね…「恐るべし10代」というシリーズをやってますけど、それの第2弾ですね。じゃあね…2人、ここに座ってますね。

?:(笑)

H:19歳2人。まず、自己紹介どうぞ。

悠太:あー…えーと、細野悠太です。

音:えー…福原音です。

H:音くんね。悠太、ね。

悠太:はい。どうも。

H:知ってるよ、僕。見たことある(笑)

悠太:あー、どうもどうも。ありがとうございます。

H:似てるね(笑)

悠太:あー…誰とは言わないが(笑)

音:誰とは言わないが(笑)

H:ベースやってんでしょ?

悠太:そうなんですよ。僕、ベースを…

H:んー、なんか、聞いたことがあるよ。"Tighten' Up"、なかなかよかったよ。

悠太:ありがとうございます(笑)

H:いつからやってんの?ベース。

悠太:高校のときから…高校1年生のときにジャズ研に入って、それで…

H:そうか。いつの間にかやりだしたんだね。

悠太:そうだね。

H:そうだ。その前はなにやってたっけな。

悠太:その前…?

H:なにもやってないか(笑)

悠太:なにもやってない。僕、中学校のとき数学部入ってたよ(笑)

H:あ、それ知らなかったですね。

悠太:(笑)

H:最近、なんか免許証取ろうとしてて、落ちたんだって?

音:(笑)

悠太:そう(笑)ホントについ最近…落ちたんだよね。

H:落ちる人、いるんだね、あれね。

悠太:あんまり勉強して行かなかったら、コテンパンにやられましたね。

H:あー。でも、学校は受かったわけだね、大学はね。勉強しないのに。

悠太:それはね(笑)

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H:で、音くんは…なんで2人は仲良くなったんだろう(笑)

音:なんか…僕も不思議なんですけど。

H:ね。音くんはまずね、このスタジオを突然訪ねてきたんだよ。最初ね。

音:そうですね。

H:去年のいつだったかな…あ、今年か(笑)

音:今年の4月の頭ですね…

H:ついこの間だね。それで、うわー!と思って。いろんなこと訊いてくるから。だから、ちょっとビックリしたんだよね。で、なにを訊いてくるか。これから聴けばわかるけど。じゃあね、音くん、持ってきた音楽…自分が好きなやつ、1曲目、ちょっと紹介して。

音:えーと、じゃあ…1940年代らしい、というか。そういうモダンさが好きな人がいて…ウナ・メイ・カーライル(Una Mae Carlisle)っていう人の…

H:うわ、信じられない(笑)

音:"It Ain't Like That"。

H:え、なんで、それ…!?うしたの、いったい?(笑)

悠太:(笑)

音:昔から好きで…

H:昔から?不思議だなぁ…(笑)なんだ、はい、まあ、聴こうか。

 

 

 

It Ain't Like That - Una Mae Carlisle

 

 

H:はい、ウナ・メイ・カーライルの…なんだっけ?(笑)

音:"It Ain't Like That"…

H:そうだ。これ、昔から好きだって言ってたけど、音くんが。僕はもっと前から好きなんだけど…(笑)

音:(笑)

H:去年、これ、リハで演奏…1回練習したんだよね。で、まだ[本番では]やってないんだけどね。難しい、これ。

音:やろうとされたのがすごい…

H:んー、少しできるようになってきたね。このノリが好き。

音:そう。

H:おんなじでしょ?

音:はい(笑)

H:なんでだろう(笑)

音:(笑)

悠太:生まれ変わりなんじゃない?(笑)

H:いや、そう思ってるんだよね(笑)おかしいもん、だって。なんでなんだろうな…不思議でしょうがない。だから、そういう音楽的な遺伝子が…孫みたいなもんだよね(笑)

音:(笑)

H:で、悠太は…君は細野くんだよね(笑)

悠太:あ、はい、そうですね(笑)

H:ベース[のプレイング]が、似てるんだよね(笑)

悠太:あー、そうなんだ。

H:だから、ヘンな2人だよね。で、仲良くなっちゃったんだよね、2人。

悠太:うん。

音:そうですね。

H:バンド組まないの?

悠太:バンド…ちょっと。

音:ちょっとだけ…

H:お?なんだ、やりだすか…じゃあ、入れてもらおうかな。

悠太:プロデューサーとして…(笑)

音:そんな…(笑)

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H:音くんは…楽器はなにがやりたいの?

音:僕は一応ギターを…小学6年生ぐらいのときに始めたんですけど…

H:おお。

音:それこそ、40年代の曲をひとりでカヴァーするようになった…高1ぐらいのときに、[自分で]いろいろやらないと、誰もやってくれないんで…

悠太:(笑)

音:それで一応、ぜんぶ…多少はかじれたんですけど、でも、ギターがいちばん好きではあります。

H:あ、そう。でも、40年代的にはギターって難しいんじゃないの?

音:そうですね。なので、いちばんどっぷり、っていうか…高1ぐらいのときに、自分が40年代の人間だと思うぐらい…そうやって自己紹介に書くぐらい…「40年代、ハーレムのジャズクラブ育ち」みたいな。そういう冗談を言ってました。

H:生まれ変わりなのかな、なにかのね。

悠太:んー。

音:そのときはギャップがあり過ぎて、ちょっと…

H:周りとぜんぜん違うでしょ、だって。

音:そうですね。ギターでできる音楽じゃないので…

H:そうだよね。だから、人がいないよ。いっしょにやる。育てないとダメ、っていうかなんというか…19歳が人を育てられるかどうか…(笑)

音:(笑)

悠太:いま僕は音くんにいろいろ教えてもらってるんで…

H:あ!育てられてるんだ(笑)

悠太:そう、いま育てられ中(笑)

H:どんな影響…どこまで行ってるの?いま。悠太は。

悠太:いや、でも、ぜんぜんまだ深いところまでは行ってないけど…ウンチャイのその…「おっちゃんのリズム」?

H:ウンチャイって誰だ?それは僕だよ(笑)

2人:(笑)

悠太:僕はおじいちゃんのことをウンチャイと呼んでいるわけですが…(笑)

音:最初はホントにビックリした…(笑)

H:それで、なんだっけ…「おっちゃんのリズム」?

悠太:そう、「おっちゃんのリズム」について教えてもらって。

H:なんだこれは(笑)

悠太:なんだっけ、ドラムが…

音:ブギウギからロックにつながる一本線みたいなのが…僕はあると思うんですけど、そこを日本でも細野さんがやられているのを…ノリをいろいろ比べて聴かせて。

H:すげえな。研究者だね。

音:そういう会をいつも…来てもらって、2人でやってます(笑)

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H:そうか…どうなってるんだろうな…

悠太:(笑)

H:悠太はほら、イマドキっぽいじゃん。

悠太:そう……?

H:少し(笑)

悠太:そう、なのかな?(笑)

H:いや、ベースやってるから、いろんな音楽やるじゃない。ラテンもやってるでしょ、最近。

悠太:そうだね。

H:ラテン研究会入ってるんだよね、2人で。

悠太:そうそうそう(笑)

H:で、ファンクもやるでしょ?

悠太:そうだね。

H:最近はなにがいいの?自分ではどこら辺がいいの?

悠太:いま、ネオソウルを…

H:おや…(笑)

悠太:ネオソウルをやっておりますね…

H:ネオソウルって、いったいなんなんだ。

悠太:や、僕もよくわかってない(笑)

H:なんか持ってきた?音源は。

悠太:あ、ぜんぜんネオソウルじゃない…

H:いや、いいよ、なんでもいいよ。なにがかけたいの?

悠太:あ、じゃあちょっとラテンっぽいやつで…ニコラ・クルース(Nicola Cruz)の"Inversions"っていう曲。

H:んー…知らないな、これは。

  

 

Inversions - Nicola Cruz & Uji

  

 

H:これはもう、長いから途中でね。

悠太:(笑)

H:すごい、やっぱりイマドキっぽいじゃん。

悠太:そう、だね。

H:んー。音くんはこういう音楽、どうなの?

音:こういう音楽はフィジカルで聴く感じで…関係無いな、って(笑)

悠太:(笑)

音:そう思ってたところ、最近はちょっとずつ聴くようにしてるんです。

H:あ、そうなんだ。どっちかっていうと、僕は両方…両方の型を持ってるけど…(笑)自分の中には両方あるんで困ってる、っていうことはあるんだけどね。まあ、普通はイマドキで行っちゃってるからね、みんな。

悠太:まあ、それはね。

H:うん。それはそれでいいんだけど。古い音楽を…悠太はどう思うわけ?

悠太:やー、なんか、まだあんまり…未知数、っていうか、あんまりわかってないところがあるから。

H:うんうん。

悠太:そういうのを教えて欲しいな、って、音くんに。

音:(笑)

H:あ、そうなんだ。んー。ベースなんて…昔、40年代ってみんなアコースティックベースじゃん。ウッドベース

悠太:うんうん。

H:そういうのはどうすんの?やるの?

悠太:まあ、左利きだから…

H:あー、そっか…

悠太:ちょっと、買えるところもあんまりないかな、とは思うけど…まあ、やってみたいっていうのはある。

H:うん。そうなんだよ、左利きで…僕もベースはいっぱいあるんだけど、それ、あげられないんだよ(笑)

悠太:矯正したほうがいいのかな?やっぱり。

H:いや、いまさら…でも、左利きのベーシストっていいんじゃないかな。カッコがいいよね。

2人:カッコがいい。

H:響きがいい、っていうか。まあ、ギタリストは多いよね。ジミヘン(Jimi Hendrix)もそうだし。みんなやっぱり、自分独自のやり方を編みだしてるけど、いろいろやったらいいんじゃない?ウッドベースも。

悠太:うんうん。

H:で、2人でバンドを組んだらどうなるのか、っていう興味はあるんだけどね。ただ、ドラムスとか周りにいるの?

悠太:いや、いない…

H:いないのか(笑)

音:もうひとり…わりと仲良く3人でしてる人、先輩がいて。その人は悠太くんよりは…なんだろう、1970年代のファンクとかを…

H:あ、ちょっと古いんだね。

音:リズムボックスとかに興味を持ってるらしくて。でも、まあ、なかなか、いろいろ…ドラム…

悠太:そいつは「ドラムなんて要らない」派で、リズムマシンさえあればいい、みたいな…

H:あ、そうなんだ。

音:それもちょっと違う気が…(笑)

H:若者の世界のことはよくわからんが…(笑)

音:僕もわからない…

 

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H:どうしようかな…音くんに訊きたいんだけど、なんで40年代の音楽を聴くようになったの?

音:僕は…きっかけがなに、っていうのははっきり無い、というか、あんまり憶えてなくて。

H:無いの?

音:中学1年ぐらいのころから、1930年代から1950年代ぐらいのポップスのヒットチャートを聴くようになって。

H:ほうほう。

音:で、喘息持ちなんですけど…喘息が悪化して学校生活に支障をきたしたときに、どんどん音楽に癒しを求めちゃったというか…

H:それだ。んー…

音:それで…最初期の録音、というか、レコードができたときのものとかまで聴くようになって…

H:んー、マニアだね。

音:家族にも怖がられるんで、まずいなぁ、って思って…

悠太:(笑)

音:でも楽しいんですけどね、すんごく。

H:それ、漫才師の中川家とおんなじような話だよ(笑)

音:(笑)

悠太:それはどういう…?(笑)

H:え?弟の礼二(中川礼二)っていう人ね。「学校行かなくていいから吉本行け」みたいな、そういう話でしょ?

音:あー。

H:壁に向かっていつもしゃべってる、っていう…(笑)

悠太:(笑)

H:いや、そうか…お笑いじゃなくてよかったね(笑)

音:(笑)

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H:えーと…じゃあ、もう1曲、音くん。

音:じゃあ、どうしようかな…細野さんと前にお話しさせて頂いたときに、『Star Spangled Rhythm』っていう…

H:なんでそれを知ってるんだろう、っていう疑問がまずある。

音:僕は元々フレディ・スラック(Freddie Slack)版の…ジョニー・マーサー(Johnny Mercer)が歌ってる分をヒットチャートで聴いてて…

H:ええ?

悠太:ぜんぜんわからない…(笑)

音:原曲がどんななんだろう、っていうのを…

H:ジョニー・マーサー版を聴いてたの?ジョニー・マーサーが歌ってるやつ?ライヴのやつ?

音:えーと、フレディ・スラック・オーケストラの、わりと短い…で、本物[原曲]聴いたらすごい、とんでもない…

H:その映画は観たの?

音:映画も、僕…字幕が付いてなくて…

H:それ…さっきもウナ・メイ・カーライルに注目してて、ジョニー・マーサーにも注目してる。とくに『Star Spangled Rhythm』を観てる。そんな人は、僕以外にはいないんだよ。普通はね。

悠太:(笑)

音:僕も、[現代の日本で]ブギウギをやってる人がいる、っていうことにビックリして…(笑)

悠太:(笑)

H:なんだこれは(笑)ライバル?(笑)

音:いや、そういうことじゃない…(笑)

H:なんか教えてもらおうかな(笑)

音:いやいや…(笑)あの…はい、ビックリしました。

H:じゃあその『Star Spangled Rhythm』から。

音:ちょっと長いんですけど、"Hit The Road To Dreamland"。

H:もうこれは、何十年と聴いてるかな、僕は。

 

 

Hit The Road To Dreamland - Mary Martin & Dick Powell

(from『Star Spangled Rhythm』)

 

  

H:あのね、突然悪いけど、この音源はエコーがかかってる。

音:そうですね。

H:ちょっと気になるのね、それが(笑)僕の持ってるやつはエコーがついてないから(笑)まあ、そこがおもしろいんだけど。違う音源なんだな。んー。

音:そういうのがけっこう、いっぱいあります。

H:だから、聴き比べないとダメなんですよ。

悠太:ふーん。

H:Monoなのに変な疑似Stereoにしちゃったりね。

悠太:へー。

音:再発の分とかでもぜんぜん…30年代、40年代のは「色付け」されてて。

H:そうなの。

悠太:んー。

H:ジョニー・マーサーはこのラップのとこもぜんぶ歌詞書いてるからすげえな、って思うんだけど。これも僕はライヴでやったりしてたんで…

音:あっ…これをやるんですか(笑)

H:やってるよ(笑)これは得意なレパートリーだよ。

音:おお…

H:知らないだろうけど…(笑)

音:すいません(笑)

悠太:(笑)

 

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H:自分がいつも、なにかけようかな、と思って、ずっと…この何十年とラジオやってて、しょっちゅうかけてる音楽なんだよね。こういうのはね。

音:んー…

H:それをいま、人が持ってきてかけてるっていうのが、不思議でしょうがないんだよね(笑)なんなんだろう…ってずっと思ってるんだよね。んー。たぶん、妙齢の…若い女の子でそんな人がいたら、僕は結婚しちゃうかもしれない(笑)

2人:(笑)

H:っていうか、自分みたいなもんなんだろうな…なんなんだろう、これ。こういう経験初めてだから。なんなんだろう…

悠太:(笑)

H:だから、これ、悠太じゃなくてよかったよ。逆に。

悠太:そう?(笑)

H:自分の孫がそうだったら…なんか、もうちょっと違うことになってただろうね(笑)

悠太:(笑)

H:やっぱり、遺伝子が違うほうに行くのが人間のね、進化だから。同質-同質になっちゃうとね、血族が濃くなっちゃうじゃない?

悠太:そうね。

H:だからちょうどいいんだけど。[悠太には]まったく理解できないところがいっぱいあるから。試験に落ちたりね(笑)

悠太:(笑)

H:行く予定の日がダメだったりとか。

悠太:いやー、申し訳ないです(笑)

H:いいんだよ、いいんだよ(笑)だから、まったく赤の他人の…知らない人が突然ここに来て、"Hit The Road To Dreamland"が好きだ、なんて言われたらね、やっぱり考えるんだよね。なんでだろう、って。どうなってんのかな、って思うわけ。遺伝子が。

音:あー…

H:人間って、同質のものをみんな持ってるけど、僕がやってるブギウギとかってあんまり…誰もやらないんだよ、いま。

悠太:んー。

H:無くなっちゃうから余計…[自分が]やっとかないと残らないな、と思ってやってるのね。でも、そういう人がいるなら…音くんみたいな人がいるなら、やってくれればいいわけだ。そうすると僕はすごい楽なんだよね。安心するの。残るから。

音:でも、40年代とか…僕は特に40年代が好きなんですけど、そういう感覚…すごい、興奮するようなものが散らばってて…そういうのがちゃんとヒットチャートにあって。黒人・白人関係無く…

H:自由だったんだよ。

音:すんごい、音楽のあるべき姿みたいのがひとつ40年代に…まあ、戦争があったおかげでもあるんですけど。そういう感覚みたいのが自分の中で…なんとかこれを…みたいな気持ちが、聴いてるうちに、これできないかな?みたいのが芽生えはじめたんですけど…

H:んー。

音:そのときに、偶然細野さんが…"House Of Blue Lights"をやってるのを夜中…中華街ライヴの再放送を観て。なんとなく「はっぴいえんどとかYMOの人」みたいな認識があったんですけど、すんごくビックリして…

H:なるほど。そりゃビックリするだろうね。

悠太:(笑)

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音:でも、細野さんが作られた…アンビエントのときとかテクノのときとかの音源を聴いても、すごく40年代…だけじゃないんですけど、宝物…うおー!っていう興奮みたいなものを思い出すような感覚が、[細野さんの]オリジナルを聴いてもあって。それですごく…

H:なるほどね…そうかそうか。いや、ちょっとね、言葉が出ないわ、僕、もう(笑)

2人:(笑)

H:テーマがなんかね、深淵だよ、これは。なんだこれは…うーん…やっぱり僕の生まれ変わりだよ(笑)

音:いやいや…(笑)

H:おっかしいな、まだ生きてるのに(笑)

2人:(笑)

H:不思議な体験だ。まあ、そういうこともあるけど、2人が何かをやりだすっていうのがすごい僕は…ま、どうせ僕、これからそんなに長くないから。2人がやる時代がこれから来るからね。「2人」って、別に決めつけてるわけじゃないよ?ひとりひとり、自由にやればいいんだけど(笑)音楽をやる道があるんだね、2人はね。

悠太:んー。

H:まあ、音くんはね、演奏家としてはあんまりよくわからないんだよ、まだね。見たこと無いし。悠太はね、肉体的に…リズム感があるから。パフォーマンスをできるわけだよ。音くんは、今のところ研究者だよね。どっちかって言うと。

音:そうですね。

H:なんか学者になれそうなタイプだよね。

悠太:「教授」だ(笑)

音:教授…(笑)

H:でも、まあ、自分で表現しだしたらそれはそれでいいと思うよ。

音:やっぱり、なんか、僕がそう感じてるだけかもしれないですけど…細野さんの音楽のいちばん深い部分というか…そういうものを言葉じゃなくて、表現で語れるように…発達していくツールをうまく使って、その心って伝えられるんじゃないかな、と思うので。やっぱり表現が先に立って…という風には、ちょっと…

H:まあね。僕がやってるのはそれだからね。言葉じゃわかんないもん。自分でも、音楽ってどういう風に表現したらいいか…わかんないのを模索してるのがおもしろいわけじゃん。だんだんできるようになったり、ね。

音:あー。

H:ロック系のミュージシャンのバンドじゃない?いま[いっしょに]やってるのは。そういう人たちがだんだん、ノリが出てくるっていうのはすごいおもしろい。でも、10年かかるんだけどね。だから今度…わかった!2人と僕でバンドを組めばいいんだ、やっぱり(笑)

2人:(笑)

H:プロデュースじゃダメなんだよ。

悠太:あー、そうなんだ。

H:いっしょに演奏しないとダメなんだ。それは楽しいじゃん。ね?

悠太:そうだね。

H:やろうかね。

音:え…

H:ドラムス、誰か連れてくるわ。林立夫ならできる(笑)

2人:(笑)

H:でも、いちばん大事なのはやっぱりキーボード…ピアノなんだよね。

音:そうですね。

H:もちろん、歌もね。なんかいろいろ考えてみるわ。

悠太:ホントに?(笑)

音:すごい…

H:でも、テクノもやるけどね(笑)なんかかけて、じゃあ。悠太。

悠太:あ、僕ですか?

H:あっ…もう時間ね?じゃあ、きょうはここで切るけど。また来週。続きやります。

悠太:はい。