2019.03.17 Inter FM「Daisy Holiday!」より

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H:こんばんは。細野晴臣です。えーとね…(笑)来ましたね。きょうはnever young beachの安部くん(安部勇磨)が来てます。

安部:はい、よろしくお願いします。

H:よろしく~…「張本人」だからね(笑)

安部:(笑)

H:なんか、あの…ブログかな、インスタかな。写真見たんだけど。

安部:あ、僕、はい…上げました(笑)

H:(笑)

安部:大丈夫でしたか?

H:大丈夫だよ。うん。

安部:あ、よかったです…僕、この前、星野源さんと細野さんのラジオをお聴きして…

H:あ、聴いてたの?

安部:僕は、あの…いろんなところで…ホント違うかもしれないんですけど、[『HOCHONO HOUSE』制作の動機について]細野さんが「安部くんきっかけ、あるよ」みたいなことを言ってくれたんです、っていうので…もちろん、いろんなことがあったと思うんですけど、僕からかもしれないですよ、っていうのをよろこんで言ってしまったんですけど…

H:いいんだよ(笑)

安部:そしたら、[そのことについて細野さんが]「10年ぐらい前からそういう話があったんだ」、って言って…「そういうことになってるけどね」って、ああ、僕はなんて恥ずかしいことを……

H:いやいやいや(笑)直接のきっかけはホントにそうだから。

安部:あ、ホントですか?ありがとうございます…

H:僕、ぜんぶね、自分が言ったこと忘れてて…直近のことだけ憶えてるから(笑)

安部:(笑)

 

 

安部:僕、これ聴いてホントに感動して…

H:どうだったんだろう?それいちばん聴きたいんだよね、感想をね。

安部:いや、もう、僕は感動っていうか、感謝しかなくてですね…

H:ホントに?(笑)

安部:なんていうか、細野さんほどの方で、たくさんの作品を…すばらしい作品を残してくれたのに、まだ!まだこんなものを聴かせてくれるのか!みたいなことを僕は…しかも、こんなに新しくて…細野さんのライヴで、この前のサンプラザの公演に僕、行かせて頂いたんですけど。

H:ああ、来てましたよね。うん。

安部:細野さんが「僕が録っても、やっぱり昔の音みたいになっちゃうんだよね」って言ってて。

H:うん。

安部:それ、僕は「そんなことない!!」って大きい声で言いたいぐらい、「めちゃめちゃ新しくてめちゃめちゃカッコよかった!!」ってすごい…心の中で叫んでまして…

H:ホント?(笑)よかった。

安部:ぜんぶ…あの、僕ら先にサンプルを頂いて。僕らもレコーディング中で…

H:そうだよね。

安部:帰りに車で聴いたんですけど…それまでバンドメンバーでふざけてたんですけど、もう、聴いた瞬間にみんな黙っちゃって。

H:(笑)

安部:すげー…って言って。カッコいい…って言って。みんな言葉を失いました。

H:いやー、よかったです、それは。うれしいですけどね。だから…裏切られた、とか思わないの?

安部:え?(笑)あ、でも、いい意味で…

H:いい意味で(笑)

安部:いい意味で、「うわ、なんだこれは、こんな風なことが起きるのか」みたいな。

H:あー、そっかそっか。

安部:だから、"恋は桃色"とか、3曲目で…あ、もちろん、ぜんぶそうだったんですけど。この曲こんな風になってるんだ、とか、こういう音なんだ、とか。音がカッコよくて。だけど、細野さんの空気感というかがすごいリアルで…うわー、なにがどうなってんだろこれ?みたいな…宝箱を開けたみたいな感覚でした。はい。

H:よかった…(笑)

安部:(笑)

H:いや、なにしろ、作ってる間…たとえば"恋は桃色"とかね。ピコピコいってるじゃん。

安部:はい(笑)

H:これ聴いたら安部くんはどうなんだろうな、とかね。やっぱり思ってたんだよ。

安部:いやいや…あー、うれしいです。そんな考えて頂いてて…

H:驚かしたくて。

安部:(笑)

H:驚いてもらえれば、まあ、成功かな、みたいな。

安部:いや、もう、イントロが始まったとき、なんの曲か最初わからなくて。

H:あー、そっか。

安部:歌が入って、ああ、"恋は桃色"なんだ、って言って。でもいろんな…ドラムの音だったりとか、いろんなところに…でも、ライヴのときに細野さんが、これを作るときはすごい煮詰まったっていうか、すごい考えて、けっこう大変だった、っていうお話を…

H:そうなんだよ。

安部:それを聞いて僕はびっくりしたというか…なんか、僕は、細野さんが遊んでいるような…ユーモアというか、それをサラッとやっているような印象しか僕はなくて…

H:結果はね、そう聞こえるかもしれない(笑)

安部:でも、細野さんもこういう音にする過程で、そうやって悩んだりとか、細野さんでもあるんだな、って…

H:毎回そうだよ。

安部:へえぇぇぇぇ…

H:へぇぇ、って(笑)

安部:(笑)いや、なんかもう、ぜんぶの作品に…細野さんが遊んでいるというか、ユーモアを感じちゃうんですけど、やっぱりそういう…これでいいのかな、とか、これやり過ぎかな、とか考えるんですか?

H:あー…いや、考えるよ。

安部:へえぇぇぇ…

H:まあ、なんだろう、作ってる最中はわりと遊んでいるようなもんだけど、やっぱりその前後がね、ツラいんだよね(笑)

安部:へー…

H:こんなの作っちゃったけどいいのかな?とかね(笑)

安部:(笑)

H:これ、もうちょっとうまくできたかな、とかね。いろいろあるんですよ。誰だってそうだよ、きっと。

安部:あー…いまだにやっぱり、そういうのがある…

H:ありますよ。昔っからおんなじだ。

安部:へぇー…なんか、すごいんですね。僕はなんか…もう、一生終わらないんだな、と思って…僕は細野さんがそういう気持ちでやってるのに、僕らもこれはちゃんとやんなきゃいけないぞ、みたいな…

H:いや、ちゃんとやってると思うけど(笑)

安部:なんか…ちゃんとやってるつもりになってるだけかもしれないし、いろんな方向からもっと悩むこととか、もっと真剣にやろうなみんな、みたいな。そうだな、みたいな…

H:いやいや…(笑)

安部:やっぱり、音を聴いただけで僕らは…ダメだよこれ、もう、みたいな。細野さんはこんなことしてくれて、こんな風なのやってるのに、僕らはこんな、なんか…ダメだこれじゃ!みたいな。みんながんばるぞ、みたいな話が…

H:(笑)それは、じゃあ、良い刺激になってるってことだよな。

安部:いや、すっごいなりました。誰よりもなりました。

H:よかったよかった。

安部:ホントに感謝しかありません。ありがとうございます。

H:いやいや(笑)曲かけなきゃね。じゃあその、いま言った"恋は桃色"を聴いてみましょうかね。

安部:はい。

 

 

恋は桃色 - 細野晴臣

(from 『HOCHONO HOUSE』) 

 

  

H:で、聞きたかったんだけど。

安部:はい。

H:きっかけになったのが、『HOSONO HOUSE』のオリジナルのアナログ盤を手に入れて、いいシステムで聴いたんでしょ?

安部:はい、聴きました。はい。

H:で、そのときの話が印象的で、「すごくいい音だった」って。

安部:はい、はい。

H:どこがいいの?(笑)

安部:(笑)あ、でも、細野さんのインタビューとか読ませて頂くと、『HOSONO HOUSE』の音に対して「僕はどこがいいのかわかんないんだよな」って細野さんがよく、仰ってるのを見るんですけど…

H:うんうん。そうなんだよ。

安部:僕は、やっぱ…なんですかね、小さい頃からなんとなく、生活の中で音楽を聴いてて、中学生・高校生までに聴いてきた音楽には無い…なんだろう、音の良い悪いっていうものに対してのすべてが覆されたと言いますか…

H:ほう…?

安部:キレイに鳴ってることだけが良いとか、悪いとか。いろんな…そういう環境で、流れでやった空気感とか、物語があったりとか。その過程がその音に出てたりとか。なにか魔力みたいなものがあるんだな、っていう

H:ああ…

安部:そこになんか…あんまり考えたことがなかったんですね。その17,18歳ぐらいまで。

H:その頃まではなにを聴いてたの?

安部:えー、なんて言うんですかね…(笑)けっこう、その…日本の方と言いますか、いまの日本の30代とか40代の方の音楽を聴いてたんですけど…

H:そっかそっか。

安部:そこの方とはまったく違う音が出されてて、それを細野さんが25歳とかのときにやってたっていう…で、そこからいろんな音楽を掘り出すことによって、細野さんと似たような空気感が…海外にも日本にもたくさん、すばらしい音を出してる方がいたんだっていうのを知りました。

H:そうだよ。

安部:そして、いろんな方のきっかけになって…やっぱり、言葉では表せない何かがある、っていうのが僕は衝撃でした。

H:そっかそっか。うん。あの…「こうなんだ」、ってハッキリわかっちゃわないことがおもしろいんだよね。

安部:あ、ホントそうだと思います。そうですね。

H:だから、1970年代の音楽って、僕にとってはぜんぶそうだったから。

安部:はー…

H:アメリカのザ・バンド(The Band)とかね。まあ、バッファロー・スプリングフィールドBuffalo Springfield)とかね。みんな良いんだけど、なにが良いのかわかんないっていう。

安部:(笑)

H:分析ができない。

安部:はいはいはい…あ、それ僕、同じようなことを…

H:同じだね、じゃあ。

安部:だから、『HOSONO HOUSE』のここのフレーズはどうやって入れたんだろうなぁ、とか。その分の余白というか…細野さんの作品にはぜんぶ余白があって、なんでこれがこうなんだろう、とか…

H:余白なの?それは…(笑)

安部:なんか、すごいイメージを掻き立てて頂けるんですよね。

H:そっかそっか。

安部:だから、けっこう、もっと説明できそうなものが多い中、細野さんの音楽はそういうのが説明できなかったり…

H:あー、あれは無理だ。僕もわかんないもん。説明できない、自分で。

安部:(笑)ただ、それが僕にはすごい魅力的で…当時のバックバンドのみなさんとのコミュニケーションの中だったりとか、ふとしたときにできたフレーズなのかな、とか…

H:まあ、そうなんだよ。たぶん。

安部:それが残ってるっていうのが…いい意味で作りこまれ過ぎてなくて、みなさんの人間味がたくさんあふれてる音楽っていうのが…

H:あー、特に『HOSONO HOUSE』ってそうだよね。セッションで作ったから。

安部:はー…

H:だから、オリジナルと違うんだよ。オリジナルっていうか、デモを作ってたから。[デモには]自分なりのアイディアがあるんだけど、バンドにそれを持ちこむと…んー、なんかその感じにならないわけね。バンドのアレンジになるから。

安部:はいはい。

H:でも、それもおもしろかったし。ただそれ…自分で作ったやつ、忘れてたわけ。オリジナルのデモを。で、今回それを聴いて…あ、こうだったのか、とか思ってね。

安部:へぇ…

H:いちばんそれがわかったのが"住所不定無職"。

安部:あー、はいはいはい…書いてありますね、この[ライナーノーツに]…

H:ホントはそのデモテープ、聴かせたいんだけど…

安部:あ、聴きたい!聴きたいなって思ってました!(笑)

H:いやいやいや…じゃあ、こっそりね(笑)

安部:やったー!ホントですか!え、じゃあ当時のものがいまも残ってる…?

H:残ってる残ってる。

安部:…へー!!

H:カセットもね。

安部:え、"住所不定無職"以外のやつもカセットに入ってるんですか?

H:何曲かあるね。

安部:っ…えー!聴けるんですか?

H:まあ、聴けるよ。

安部:ウエー!聴いていいんですか?!

H:ラジオではちょっと流せないけど…

安部:あー、ぜんぜん…もしよければ後で聴かせて頂きたいです…へー!うれしい…

H:どうせ死んだらああいうの出しちゃうんだろうけどね(笑)

安部:(笑)

H:まだ出して欲しくない。早く死ね、なんて思ってないでね(笑)

安部:(笑)

H:もうちょっと生きる。ね。んー。あとちょっとで…(笑)

natalie.mu

 

 

安部:今回ホントに…この『HOCHONO HOUSE』も、またぜんぜん違う…だって、こんなことしてるの細野さんしかいないじゃないですか、きっと。

H:おじいちゃんだからね(笑)

安部:50年経って、またいま新しく録り直したっていう…

H:きっかけはね、安部くんで…あー、やってみようか、なんて気軽にやっちゃったのがいけない…

安部:(笑)

H:やってみたら難しくて…

安部:だって、やったことある人が他にいないから、これ難しいよね、ってわかってあげられる人もなかなかいないと思うので…

H:いないね~

安部:ホントに難しいことなんだろうな、って…でも、やっぱり楽しいな、っていうのもあるんですよね?途中で。

H:もちろん、それはあるよ。楽しくなきゃやってらんないよね。なんでも。音楽は特に。

 

安部:僕、泣いちゃったんですよ。1曲…

H:え?

安部:"僕は一寸"の…

H:あら!あれ泣く人いるね。星野くんも…(笑)

安部:歌詞を聴いて、涙が、もう…

H:それがよくわからない(笑)

安部:いや、もう、こんな…歌詞をご本人を目の前にして言うのはホントアレなのかもしれないんですけど…ぜんぶに感動するんですけど、僕は細野さんが歌う「嵐の中歩くのが好き / 坂を登れば きっと景色が変わる」っていう歌詞に…

H:ああ、そこね。

安部:僕はいろんなことを考えてしまい…

H:若いのにねぇ…(笑)

安部:もう、細野さんじゃなきゃ歌えない言葉で、これを歌ってくれるっていうのがどれだけ僕にとって前向きに背中を押してくれることなんだろう、とか。

H:そう。

安部:あと、「白い家に住んで 彼女と二人で」の部分がまた違う言い方になってたりとか…

H:そうだよね。

安部:そこの、時間が経ってのなにかがあったんだろうな、細野さんの中で…みたいな。なんか、映画のようで、僕はもう、泣いちゃったんですよ。もう、ホントに素敵な歌詞で…

H:いや、そんなこと思って作ってないからね。いやー、信じらんない。

安部:「ここに生まれ幾年月 / 枝が分かれて / 無限の道が見える」とか、もう、僕…えー!って思って、もう…

H:(笑)

安部:このことをこんなにやさしく歌ってくれる方って誰もいないじゃないか、と思って…

H:おじいちゃんが孫に説教してるみたいなもんだよ(笑)

安部:(笑)でも、僕はすごい感動して…前向きに、すごいポジティブになれたというか。

H:あ、そう。

安部:なんか、いろんなことを楽しんでいこう、とか。すごい前向きになれて…すごく感動しました。

H:えー、そうなんだ。

安部:星野さんもそう仰ってました?

H:そう、なんか、おんなじようなこと言ってたよ。星野くんはお風呂場でそれを聞いてて泣いちゃったんだって(笑)

安部:(笑)

H:やっぱりおんなじところかもしれない。「嵐の中歩くのが好き」とかね。

安部:僕、だからバンドメンバーとかに、お前わかるかこれ!みたいな。

H:(笑)

安部:お前、言ってくれてんだぞ細野さんが、こんな素敵な言葉を、って…

H:わかんないだろう、それは(笑)

安部:いや、「嵐の中歩くのが好き」って…

H:いやいや(笑)誰だってそうなんじゃないの?(笑)

安部:でも、それを、すごく素敵な言葉、簡単な言葉で…あとは声とアレンジで、そのいろんな意味を伝えてくれてるっていうのが…

H:だんだん恥ずかしくなってきた(笑)

安部:僕、もう、今年いちばん…1月の頭に聴かせてもらったんですけど、ああ、こういう詞を書ける細野さんってホントにすごいな、と。だってもう、いろんな…音楽の知識があって、いろんなアレンジがあって、このアルバムもホントにすごいな、っていう…細野さんの歴史を辿ってくかのようなアルバムだな、とか思ったんですけど。やっぱり、それだけじゃなくて、言葉とかも…ホントにすごい方なんだな、って。ぜんぶすごいなって改めて思いました。

H:いやいやいや…恥ずかしいなぁ(笑)

安部:(笑)僕はだから、これに感謝を言いたくて…ホントにもう、この歌詞ヤバすぎちゃうな、っと思って。だから自分のラジオでも言いたくてしょうがなかったんですけど、まだ発表前だったんで…頼むから聴いてください、と。

H:なるほど。

安部:で、他の…いろんなところが[『HOSONO HOUSE』から]変わってたりするじゃないですか。そこの変わったところも、細野さんの中でなにかあったんだろうな、と思って…

H:なにかあった、っていうか…別になにもないけど…(笑)

安部:でもなんか、重みが…言わずとも…

H:あの、46年前の自分が作ったわけじゃない?まだ24,25かな?そんな奴の考えてることはわかんないんだよ、僕。

安部:(笑)

H:自分でもね。なに考えてたんだろう、と思うわけ。で、歌えないな、と思ったの。

安部:あ、いまだとこの言葉はもう…

H:歌えない言葉がいっぱいあったんだよね。うん。

安部:そこでやっぱり、変えようって思うのもけっこうな決断じゃないですか?そこはあっさり変えたり…?

H:あっさりあっさり。うん。

安部:へぇ…

H:自分のことだから。他人の歌詞だったら、ちょっとね(笑)

安部:そう、僕、「鬼は内」の変わった理由とかもこれで初めて…ああ、日本にそういう場所があってそういう歴史があるんだ、とか。

[*再構築に際し、"福は内 鬼は外"の歌詞の一部が変更されている。]

H:あるある。

安部:それなんか社会の授業とか…

H:授業じゃないよ(笑)

安部:やっぱり、すばらしい音楽っていうのはこうやって歴史も教えてくれるんだな、とか。

H:大げさになってきたね、だんだん(笑)

安部:いやいや…大げさじゃないですよ細野さん!俺、ホントに…勉強だなって思っちゃいますもん。楽しく勉強できちゃうっていう…

H:あ、そう。

安部:音楽ってすごいな、っていう…僕、あんまり勉強とか好きじゃないんですけど、細野さんの音楽を聴くとそういうところも自然と…そういう歴史があって、文化があるから、細野さんの言葉とか音楽があるんだな、っていうところで…やっぱ、文化とかそういうものを抜きにして音楽っていうのは成り立たないな、とか思っちゃいましたね。

H:だんだん論文みたいになってきたんじゃない?(笑)

安部:(笑)そういうところまで考えさせてくれるんですよね。

H:あ、そう。役に立ってるんだ、じゃあ。

安部:いや、もう…立ちまくりですよ細野さん…ありがとうございます。ホントに…

H:いやいや…よかったよかった。作ってよかったわ。じゃあね、"僕は一寸"聴きますか。その。

安部:あ、よろしくお願いします。

H:どこが泣けるのかね。自分では泣かないですけど(笑)

安部:(笑)

 

 

僕は一寸・夏編 - 細野晴臣

(from 『HOCHONO HOUSE』) 

 

  

H:ちょうど夏に作ってたからね。

安部:へぇ…それでタイトルが「夏編」っていうのも、すごい素敵なんですよね。

H:もう、暑かったから…

安部:(笑)

H:ホントに…参っちゃった。

安部:でも、僕、この…[ライナーの]説明のところも、この歌詞に対してはそんなに触れないんだ、っていうところがまた…

H:んー?どういうこと?

安部:僕の中では…アレンジもなんですけど、この歌詞に対してもっと触れるのかな、ってあったんですけど。

H:あ、そうか。ぜんぜん触れてないよ。

安部:そうなんです。だから、細野さんの中ではそんなになのかなぁ、みたいな。

H:(笑)

安部:僕けっこう、歌詞すげー!って思ってたんで…

H:あんまりね、歌詞について…いままで言われたことないし、自分でも触れないようにしてるんだよね。

安部:へぇー…なんで触れないようにするんですか?やっぱ、恥ずかしい、みたいな?

H:恥ずかしいよね(笑)

安部:(笑)あ、そういうのもあるんですね…

H:だってほら、はっぴいえんどで大作詞家がいたからね、隣に。

安部:あー…でも、いやー…そういう意識っていうか、あるんですね。

H:というか、なるべく詞に関しては触れないように生きてきたからね。

安部:へぇー…

H:でも、密かにね…自分なりに、自分の詞は…捨てたもんじゃあないとは思ってる(笑)

安部:(笑)ホントにそうです、僕…いまだに、歌詞とか書くときに、行き詰ってどうしよう、とか思うと、細野さんのDVDボックスみたいな…

H:ほうほう。

安部:横浜のライヴ映像とかが入ってる、3部作とかが入ってるやつを…僕、ビクターの豊島さん(豊島直己)から借りたまま返さないでいるんですけど…(笑)

H:買ってよ…(笑)

安部:(笑)でも、売ってなくて、ぜんぜん。

H:売ってないよね、確かに。

[*2007年の『ハリー細野 クラウン・イヤーズ 1974-1977』のこと。ほしい…]

安部:で、あれを読んだりして。あ、こういう言葉をこういうメロディーと合わせるとこんな風に聞こえて、こういう意味合いがきっと細野さんの中にはあるのに、それをこうやって、押しつけがましくなく言えるんだな、とか。

H:すごい…勉強家だね。

安部:(笑)そういうところから、すごい…あ、じゃあ僕もこういうのでいいかも、とか。こうしてみよう、とか。すごい考えます。そういうことを。

H:あ、ホント。じゃあそういう…なんだろう、生徒みたいなもんだな。

安部:(笑)

 

H:その生徒の作品を、次週聴くけどね。新作。

安部:あ、すいません…あー!緊張しますね…(笑)ちょっと今回は…音のこととか、すごい…

H:うん。

安部:2年前に細野さんに聴いて頂いたときに、なんかもうちょっと音がこうなったらこうかもね、みたいなことを言って頂いて…

H:言った?そんなこと…(笑)

安部:「スタジオ変えてみたらもっといいかもね」とか。

H:あらら。

安部:なので、ちょっと僕らもいろいろ、チャレンジしてみようと思って。

H:あ、ホント?楽しみだね。

安部:ちょっと緊張しますけど…たぶんちょっと変わったと思います。

H:あー、うれしいね。いまはそういう時期なんだ、みんな。ね。

安部:ちょっと聴いてほしいです…

H:じゃあ、次週を楽しみに…きょうはこれぐらいで。また来週。安部くんでした。

安部:あ、ありがとうございます…