2020.02.23 Inter FM「Daisy Holiday!」より
H:細野晴臣です。えーと…また、きょうもゲストをお招きしています。冨田ラボさん。
冨田:こんばんは。よろしくお願いします。
H:よろしく。えーとね、どこで…去年の暮れに会ったんですよね。
冨田:はい、細野さんのライヴ、コンサートに伺いました。
H:あ、そっか。来てくれたんですね。
冨田:いやー、よかったですね~
H:そうですか(笑)
冨田:とても楽しかったです。
H:楽しかったですか。よかった、それは。コントのほうじゃなくて、ライヴのほう?(笑)
冨田:ライヴのほうです(笑)翌日にコントがあるっていうのをね、僕、その場で知りまして。すげー見たかったですけど(笑)
H:最近はどうなんだろう。忙しいのかな?
冨田:えーと、そうですね。相変わらず毎日制作…やってますね。
H:毎日?んー。なんか、「制作の人」だね(笑)
冨田:そうですね(笑)冨田ラボ以外に他の方のプロデュースとかも多いんで…そういうのがけっこう続いちゃってる感じがあります。
H:あ、そっか。もう、ずーっとね…1年半ぐらい前に、「MPCナントカナントカ」っていう難しいタイトル…(笑)
冨田:はいはいはい(笑)『M-P-C』ですね。
[*『M-P-C "Mentality, Physicality, Computer"』、2018年10月リリース。]
H:あのアルバムを聴いて、「うわー!良い音!」と思って。
冨田:いやいやいや…
H:そしたらおんなじ…Victor系列だったりしてね。
冨田:そうですね。
H:いつかお話聴こうかな、と思って。やっと呼べました。
冨田:いやー、呼んで頂けて光栄…なのとですね、僕はそのとき実は…細野さんが僕の『M-P-C』を聴いてくださって「なかなか良い」と仰ってる、ということを小耳にはさみまして。
H:そうですか(笑)
冨田:よく憶えてるんですけど、僕はそのときライヴのリハーサルをやってたんですよ。わりと本気で小躍りした感じが…(笑)
H:ホント?(笑)
冨田:細野さんの耳に届くとはまったく思ってなかったんで…
H:届きますよ(笑)
冨田:いやー、ホントうれしかったですね…
H:ホント?それは知らなかった。じゃあ、来てもらった甲斐があるね。あの、生まれつき「冨田ラボ」っていう名前なの?
冨田:違います(笑)僕は「冨田恵一」って言いまして…(笑)
H:そうだよね(笑)
冨田:あのー、「Laboratory」の「Lab(ラボ)」なんですよね。
H:やっぱりそうなんだ。うん。
冨田:で、いま16年ぐらいやってるんですかね。2003年ぐらいから冨田ラボというのを始めまして。
H:うんうん。
冨田:だから…小山田さん(小山田圭吾)が「Cornelius」みたいな感じなんです(笑)
H:なるほどね(笑)
冨田:冨田恵一なんだけど「冨田ラボ」。そんな感じでやってます。
H:もう、だから…ベテランだよね。16年やってるとね。
冨田:そうですね…けっこう長くなりましたね。
H:だから、ホントはジャンルがすごく広い人でしょ?
冨田:あー、かもしれないです。途中で大きく変わったりもしましたんで。
H:あ、やっぱりね。うん。まぁじゃあ、早速ちょっと『M-P-C』のアルバムから…なにがいいですかね?
冨田:あ、あとはあの…憶えてらっしゃるかはわからないんですけど、どの曲をお聴きになったのかな、っていうのが僕はすごく気になって…どれでしたかね?
H:いや、どの…全体だね(笑)
冨田:あ、全体ですか。ありがとうございます。
H:音の迫力というかね。どれが良かったかな…あれからね、あんまり…怖くて聴けないんだよ(笑)
冨田:いえいえ、とんでもないです…たぶん、"OCEAN"か"パスワード"がいいかな、と思うんですけど。
H:ほうほう。たぶん、それかもしれないぞ。うん。どっちがいい?
冨田:"パスワード"にしてみましょうか。
H:"パスワード"にしようか。はい。じゃあ、冨田ラボさんの『M-P-C "Mentality, Phisicality…
(冨田:Computer...)
H:, Computer"』というアルバムね(笑)じゃあその中から、"パスワード"。
(from 『M-P-C "Mentality, Physicality, Computer"』)
H:いいね。
冨田:ありがとうございます(笑)
H:なんか…音響マニアでしょ?
冨田:わりとそうかもしれないですね。
H:「ラボ」っていうくらいだから。「研究所」でしょ?(笑)
冨田:そうなんですよね(笑)一応…まぁ他の仕事もやりつつ、自分の「冨田ラボ」というのをやるにあたって…真っ先に試したいことは「冨田ラボ」の中でやろうかと。
H:なんか、自分のスタジオをわりとあちこち…3つ目ぐらいなんだって?
冨田:そうですね、3つか4つか…プライベート・スタジオで。最初は自分の家の近くにマンションを借りて。防音も手作りぐらいでやってたりとかで…ずっと賃貸でやってたんですよね。
H:はいはい。
冨田:でもそうすると、簡易的な防音だと夜になると音量をちょっと我慢するとか…そういうこともあったりとかして。
H:あー。
冨田:で、まぁ…いま使ってるところはいちばん長くて。もう9年ぐらい一緒なんですけど。
H:あ、そんなに長いんだ。
冨田:それはもう、自宅を建てるときに地下に。
H:あ、じゃあもう自分の…賃貸じゃなくてね。作ったわけだ。理想的。
冨田:そうしたらですね、賃貸のときのいろんな…周りに気を遣うとかそういうのが耐えられなくなってきちゃって(笑)
H:あー、じゃあ今、大らかにやってるわけだね。
冨田:そうですね。ちょっと籠りっきりになっちゃうのはちょっとイヤかな、と思いつつも…(笑)
H:いやー…ミュージシャンの中にはスタジオが大好きっていう人もいるからね。僕もそうだけど。
冨田:僕もそうですね(笑)
H:籠っちゃうよね、ずーっと。
冨田:ここは細野さんが作業されてるところですよね?
H:うん、ここで作業してたりする。それで、ちょうど1年半ぐらい前に…自分のソロを作ってて。機材がここはものすごい古いの。もう、誰も使ってない機材でやってるわけよ(笑)
冨田:あ、じゃあ『HOCHONO HOUSE』を作られたときには、それほど…新しい機材に入れ替えて、とかではなかったんですか?
H:ないんですよ。
冨田:あー、そうですか。
H:だから苦労したんだよね…音が出なくて(笑)
冨田:なんか、ありますもんね。あの…テクノロジーのおかげだけ、とは思わないんですけど。最近の音像とか。
H:最近のはね、やっぱり違うよね。うん。
冨田:サウンドデザインとかも…明らかにそのテクノロジーのおかげでああなってるところもあるような気がしますよね。
H:あるよね。そうそうそうそう。まぁ、それがずーっと気になってたんで。
冨田:あー、なるほど。
H:とくにアメリカ辺りの流行りものの音とか、すごいじゃない?
冨田:そうですよね。あのー…普通にヒットしてるものが極上の音だったりしますよね(笑)
H:そうなんだよ!(笑)それでね…それにショックを受けたんだよね。テイラー・スウィフト(Taylor Swift)良い音じゃん!とかね(笑)
冨田:ホントですよね。でも細野さん、昔から仰ってますよね。たぶん10年ぐらい前の著作を読ませて頂いたときにも…
H:うん。
冨田:アメリカのヒットソングの音の構築具合というか、そういったものは学ぶべきだ、といった趣旨のことを…
H:いやー、そう。いまだにそう思ってるね。
冨田:でも、ホントそう思いますよね。
H:うん。学んだの?(笑)
冨田:いや…(笑)僕もね、ゼロ年代ぐらいまでは…冨田ラボで言うと直近の2枚以前のものはわりとシミュレーショニズムというか…1970年代、80年代の音像でいろいろやってやれ、っていう気持ちだったんで。リアルタイムのものはまったく聴いてなかったんですけど。
H:あー…いまの僕と似てるな…(笑)
冨田:あ、ホントですか?なんですけど、何かのきっかけで…2010年代ぐらいにヒップホップとかR&Bとか、ヒットチャートものを耳にすることがあって。「普通にカッコいい」ってすごく思っちゃったんですよね(笑)
H:はいはいはい…(笑)そっからだ。そうかそうか。
冨田:そこからなんですよ。はい。
H:いやー…でも、実現してるね。
冨田:あ、ホントですか?
H:うん、そう思うよ。これ聴いたときに、あ、並んでるな、って思ったよ(笑)
冨田:いやー、恐縮ですね、すごいうれしいですね。
H:でも、そこはもう、目指したでしょ?だって。
冨田:目指したと言えば目指しました。だからその…もちろん、楽曲の骨組みはよいものにしなきゃ、っていうのはあったんですけど。アメリカのヒットチャートなどを聴いていて感動するのが、曲が良いだけじゃなくて、サウンドデザイン自体にグッときたところがあったので…
H:そうなんだよ。デザインされてるんだよね(笑)
冨田:なんとか、やっぱり…追い付け追い越せじゃないですけど、そこも自分の納得いくようにしないとダメだな、っていうのは『M-P-C』とかやってたときのテーマでもあったんで。
H:なるほどね。
冨田:そこをそう言って頂けるのはうれしいです。
H:いや、それを感じたんで、ずーっと…その当時の僕のいちばんのテーマだったから。この後はどうなってるの?『M-P-C』の後は。
冨田:えーと…今まさに曲を作り始めた、ぐらいの感じで。まぁ、今年制作をやるんですけど。
H:お。楽しみだね。んー。
冨田:なんかね、その辺の…いわゆるサウンドデザインに…でも、ホントなんかね、最近あれなんですよね。聴くもの聴くもの「良いなぁ…」って思う…(笑)
H:そうそう、おんなじ(笑)
冨田:あ、おんなじですか?(笑)いや、ホントそうなんですよ。でもそうすると…それが「普通」になってしまったときになにを考えようかな、みたいな…
H:そうなんだよ。今はそれがわりと「普通」になってる時代だよね(笑)
冨田:そうですよね。
H:この先どうなるの?っていう感じだよね。んー。
冨田:ですよね。で、結局…良くサウンドデザインされたものが「普通」になった場合に、じゃあデザインじゃなくてやっぱりその「中身」の話になってくるのかな、とか。
H:そうだよね、それはあるだろうなぁ。どうなってくんだろう。
冨田:僕もぜんぜん、予想はできないんですけど。
H:だから、今は曲を「作る」っていうよりも「デザイン」してるでしょ?みんな。別にAメロ、Bメロがあるわけじゃないしね(笑)
冨田:そうですね。リフの断片を繰り返していって、デザインで聴かせるっていう。だから、曲自体の構造についてもけっこう考えますよね。
H:考えるね。
冨田:いま仰ったように、メロディと和声だけでストーリーを作っちゃうと、ちょっとトゥーマッチかな?と思ったりとか。
H:いやー、なかなか…わかるわ。いまどきっぽい事を考えてるね、やっぱり(笑)
冨田:というか、細野さんも同じように考えてらっしゃるのがやっぱりすごいなぁ、というか。
H:まぁね、だから…聴く耳っていうのはあるんで、いろいろ聴いちゃうんだよね。そういうのをね。その中に冨田さんのも入ってるわけ。
冨田:いやー、ありがとうございます。
H:でも今、すごく…この先どうなるんだろうな、とは思ってるね。それをじゃあちょっと、新作で今度聴かせてもらおうかな(笑)
冨田:それは…がんばりたいと思います(笑)
H:注目してますよ。
冨田:ありがとうございます。
H:それで、そういえば…なんだっけ。あ、昔のやつをミックスし直して出したでしょ?
冨田:あー、去年やりましたね。2006年がオリジナルのアルバム、『Shiplaunching』っていうんですけど。それをやり直しました。
H:そこに幸宏(高橋幸宏)が入ってるんだね(笑)
冨田:あ、入ってます。大貫妙子さんとデュエットで。
H:あ、ホント?それ聴きたいんだけど。ぜひ、聴きましょう。
冨田:あ、じゃあ…"プラシーボ・セシボン"、聴いてください。
プラシーボ・セシボン feat.高橋幸宏+大貫妙子 - 冨田ラボ
(from 『Shiplaunching [2019 Mix]』)
H:これは…生だよね?
冨田:あのー、ドラムは打ち込み…なんですけど…(笑)
H:あ、打ち込みなんだ(笑)そういう風に聞こえないわ(笑)
冨田:当時、自分でドラムセット作って打ち込みをやっていて。
H:…あ、音自体は生?
冨田:そうですね。自分でセットして…それでプログラミングしてますね。
H:なるほどね。いやー、ベースいいな。誰?
冨田:ありがとうございます。僕、自分で…(笑)
H:お。すげぇ(笑)
冨田:これ、楽器はぜんぶ僕ですね。
H:あ、すごい!オールマイティなんだね。
冨田:わりと楽器弾くのが好きで…やってますね。20代の頃はサポートで楽器を弾く仕事を…ギターでやってたんですけど。
H:うんうん。
冨田:でもなんか、宅録…多重録音するようになってからはいろんな楽器を弾く形になりました。
H:いちばん得意なのはなんだろう?(笑)
冨田:なんでしょうかね…子どものときはピアノ習ってましたけど。
H:あ、そうなんだね。
冨田:でも、レコーディングした楽器の量で言うと、ベースがいちばん多いかもしれないですね。
H:ホント?
冨田:何にでも入るじゃないですか(笑)シンセベースを使う場合以外は。
H:うんうん。
冨田:ということで言うと、もしかしたらベースがいちばんかもしれないですね。
H:なるほどね。それは興味深いわ。んー。
H:ところで…『M-P-C』作った後って、どんな評判だった?それをすごい知りたいんだよね。
冨田:そうですね…実はその『M-P-C』の1枚前、『SUPERFINE』というアルバムから…先ほどの話で言うと、音像をリアルタイムの、サウンドデザインされたものに変えることに意識的になって。
H:なるほど。
冨田:というか、それが好きになって変わっちゃったんですけど。その前までは、ホントに…いま聴いて頂いてるように、70年代、80年代のをやっていたんで…
H:うんうん。
冨田:『M-P-C』よりも、その前に変わるときに、自分としては…こんな、けっこう変わっちゃってどう思われるかな?みたいのを…まぁ、心配半分、楽しみ半分でやってたんですけど。
H:うん。
冨田:「あ、変わったな!」っていう人と、「根本は変わってないじゃん」っていう、2つの意見があって。
H:なるほどね。
冨田:まぁ、たしかにそれはそうだ、と。概ね「良い」という風には言って頂けて。で、『M-P-C』が出たときには、「やっぱり前作の流れでまだ行くんだな」というような批評家が多かったと思います。
H:うん。それはまぁ、国内だよね?
冨田:国内ですね。海外の方には届いてないんじゃないですかね?(笑)
H:ホント?いや、そこがね、気になるんだよね。届けないと(笑)
冨田:あー…そうですね。『M-P-C』が届いてるかどうかはわからないですけど、段々ね、サブスクとかになってきて。海外の方にも聴いて頂きやすい環境にはなってるとは思うんで。
H:そうだよね。
冨田:作り手の意識もどんどん変わるかな…とも思ったりとか。
H:あの…日本の音も良くなってるけど、とくにアニメとか聴くとすごいなぁと思うんだよね(笑)
冨田:あー、そうですよね。
H:あとは…意外とアイドルグループ、少女たちの音とかすごいよね。
冨田:すごいですよね。
H:そういうのやってる?
冨田:たまにやりますけど…ただ、たぶん僕がやっても、アイドルソングのガッチガチにすごい感じにはなってないと思うんですけど(笑)
H:なんないよね(笑)
冨田:あれ、なかなか独特な手法ですよね?
H:そうなんだよ。気になるんだよ(笑)
冨田:気になりますよね(笑)明らかに[自分たちとは]違うこと考えてやってるな、っていう風にはけっこう感じるんですよね。
H:そうなんだよ!(笑)
冨田:なんなんでしょうね、あのルーツはね…(笑)
H:なんだ、冨田さんも知らないんだ(笑)
冨田:いやー、僕もちょっとわからないんですよね…(笑)
H:ただね、うるさい(笑)
冨田:そうですね(笑)わりとビジーな感じはありますよね。でも、あのビジーさが「若さ」とか感じさせてるんですかね?
H:そうかもしれない。とにかく、そこが違うね、冨田ラボは。落ち着いた音が…(笑)
冨田:そうですかね。まぁ、わりとキャリアとかもあるのかもしれないですけどね。
H:そうだろうね。あとは、洋楽に近いっていうかね、音がね。
冨田:そうですね。洋楽ばっかり聴いてきて…細野さんとはちょっと世代が違いますけど、やっぱり僕の世代ぐらいだとまだ洋楽ばっかり聴いていた世代でもあるので。
H:そうだよね。今は違うんだろうね。
冨田:違うみたいですね。
H:ね。洋楽聴かないみたいね(笑)
冨田:そうですね。最近の若いミュージシャンとかと話したり…あと、作品を聴いてもそうなんですけど、洋楽と並立に…細野さんはもとより、僕なんかも長く、日本の音楽界で作ってるじゃないですか。
H:はいはい。
冨田:そういったものが並立で、ルーツとして入り込んでる様をときどき聞いて。
H:あー、なるほどね。並立ね。もう、並んでるんだよね。
冨田:そういう感じがするんですよね。
H:そういう時代なのはわかるわ。んー。
冨田:不思議なんですよね…
冨田:あと僕、細野さんにひとつ申し上げたいことがあって。
H:なんでしょう?
冨田:僕の…先ほど『Shiplaunching』の説明をするときにも「シミュレーショニズム」って…
H:言ってたね。
冨田:はい。僕、「シミュレーショニズム」っていう言葉を…たぶん、冨田ラボを始めたときから使ってるんですけど。
H:そうだったんだ。んー。
冨田:あの…確か細野さんがスウィング・スローをやられてたときに、インタビューで「シミュレーショニズム」という言葉をお使いになってた…
H:使ってた。
冨田:あ、憶えてらっしゃいますか?詳細…一言一句は正しくないと思うんですけど…「そこに自分が心を打たれていない限り、現行の音楽、ヒットチャートを追うのは不健康で、そうであればシミュレーショニズムで自分をクリエイトするほうが健全だ」的なことを仰って…
H:それは憶えてないな(笑)そんなこと言ったんだ(笑)
冨田:あ…そういうことを仰っていて。もちろん作品もそうなんですけど、そのインタビューでの細野さんの発言が…完全に僕をそっちに導いてくれて。
H:ホント?(笑)
冨田:導かれたんです、僕。
H:知らなかったな、そんなことは(笑)
冨田:もちろん、そうだとは思うんですけど…(笑)
H:へぇ…
冨田:現行のヒットチャートとかにはあんまり興味の持てる音がなかったときに…
H:あー、そういうときあったよね。うん。
冨田:そういうときもあるじゃないですか。で、まぁ、僕は駆けだしのプロデューサー、編曲家だったので、いろいろ…現行に寄せなければいけないのか、みたいな圧力とか。いろいろあるじゃないですか。
H:あるね。
冨田:そういうときに、自分の心持ちとしてどうしようかな…みたいに思ってるときに、そういった細野さんの言葉を…
H:なるほど。読んでたんだね。そっか。
冨田:はい。それで完全にそっちに…
H:そうですか。まったく関係ないところでやってる人だと思ってたから…(笑)
冨田:いやいやいや…(笑)ホントにそれで冨田ラボがああいう風に発進して…まぁ、いまはまたちょっと変わったりはしてるんですけど。
H:そうですか。もう、だから…楽しませてもらってますよ。そういう意味では。
冨田:いやー、ありがとうございます。光栄です。ホントに。
H:まぁ、これを機会にまた…出てくださいね。もう時間が来ちゃったんで…
冨田:いくらでも。はい。
H:1曲だけ聴こうか?なんか、持ってきてくれたのがあるでしょ?最近聴いてる曲っていうのを、ちょっと紹介してもらおうかな。
冨田:最近聴いてる曲がよろしいですか?
H:もう、いちばん…気になってる曲でも、なんでも。
冨田:最近…僕、なんか、わりと音が悪いのばっかり聴いてるんですよね(笑)
H:あ、ホント?そっち行っちゃったんだ(笑)
冨田:それか…『M-P-C』を作ってたときに、「あ、これ音良いな」って思ってたやつとか…
H:おお。それ、聴きたいな。
冨田:それにしましょうか。ではミッシー・エリオット(Missy Elliott)で、"I'm Better"を聴きましょう。
H:じゃあ、それを聴きながら…おしまいにします。また、来てください。
冨田:どうもありがとうございました。
H:冨田ラボさんでした。
I'm Better feat.Lamb - Missy Elliott
(H:音が少ない(笑))
(冨田:音少ないですよね。なんか、少なさにちょっと…)
(H:うん。ショックだよね、少なさが(笑))
(冨田:そうなんですよ(笑)ラップミュージックなので…)
(H:ね。それで…すごいエネルギーが詰まってる。)
(冨田:そうですね。)