2019.01.06 Inter FM「Daisy Holiday!」より
H:はい、細野晴臣です。新年…2019年。また、かわいらしいお二人を招いてます。水原姉妹。
姉妹:イエーイ!あけましておめでとうございます!
希子:水原希子です。
佑果:佑果です。
H:はい。なんかもう、恒例になってきたね。
佑果:うれしいです!
希子:光栄です、本当に。こんな楽しい時間を…
佑果:過ごせるなんて…
希子:音楽共有して…
H:今年は、何年?亥年?
佑果:そうなりますね。
希子:亥です。
H:お二人は何?何年生まれ?
佑果:私、戌です。
H:あ、年女だったんだ。
佑果:ミラクルな1年でした。細野さんにも出会えたし…
希子:あ、そうだ!そうだね。
佑果:ロンドンにも…
H:来たね。
佑果:はい。コンサート観に行かせてもらったり…出させてもらったり。
H:出たね。
希子:ホントだ。
佑果:ホントに楽しい1年だったなぁ、と思います。
希子:福岡も出たもんね。
佑果:はい!
H:そうだそうだ、お二人だったね。
希子:盛りだくさんだったね。
佑果:はい。
H:希子ちゃんは何年?
希子:私は午です。
H:えー…いつだかわかんないけど…(笑)
佑果:午は…
H:数年前そうだったね。
希子:数年前です。馬は働きものなので…
H:働いてるよね。
希子:働いてます、本当に。よく働いてます…
H:僕は今年、年男だ。亥だ。
希子:あ、そうなんですか!
佑果:えー!知らなかったです。
H:僕は母親も亥年の蟹座で、そのお母さん…僕のおばあちゃんね。亥年で蟹座なの。3代続いて…(笑)
希子:えー、すごい。
佑果:そんなことがあるんだ…
希子:ちなみに、うちのおじいちゃんも亥です。母方の。
H:あ、ホント?ちょい待ち…同い年ってこと?(笑)
希子:いや、同い年じゃないかも…さらに(一回り)上ですね。
H:よかった(笑)んー。今年も忙しいんだろうね。
希子:今年は…
H:希子ちゃんはテレビドラマ出てるよね。
希子:そうです。いま、テレビドラマ絶賛撮影してて。2月までなんですけど。1月の後半から放映されるので…
H:そうかそっか。
希子:まあ、ちょっと…久しぶりのテレビドラマなので…弁護士のお話で、『グッドワイフ』っていうタイトルなんですけど。
H:うん。
希子:主演の常盤貴子さんが…16年ぶりに弁護士に復帰するというお話で、その旦那さんも弁護士なんですけど、旦那の汚職と浮気が原因で旦那さんが捕まっちゃうので…私が彼女を支えるパラリーガルの役で。女性が強く戦っていく、みたいな。すごくいいですよ。常盤さん、とても素敵な方なので。楽しくやってます。
H:でも、弁護士役って大変だろうね。専門用語とか。
希子:大変です!そう、普段私もう…ボーっとしてるんで…
佑果:(笑)
希子:もう専門用語の連発だし…まあ、すごく勉強にはなりますけど。
H:良い経験だよ。
希子:はい。これをふんばって…乗り越えようと思ってます。
H:佑果ちゃんも、忙しい?
佑果:私はそんなに忙しくないです(笑)でも、好きな音を集めて組み立てたり…そういうのにフォーカスできるようにしていきたいなぁ、って。来年の…目標はたくさんあります。
H:「今年」、ね。
希子:でも、DJ忙しくなったもんね。
佑果:DJ…2年前に始めて、たくさん…いろんな場所でDJするのを通して、音楽の良さみたいなものを毎回知って勉強する、みたいな…けっこう楽しくて。
H:じゃあ、早速…
佑果:あ、そうですね!(笑)
H:聴かせて。
佑果:じゃあ、まずは…何からかけようかな…
H:さっき話してた、ビッグ・ママ・ソーントン(Big Mama Thornton)…
佑果:あ!ビッグ・ママ・ソーントンの"Hound Dog"を聴きたいです。
H:あー、こういうのを聴いてるんだね。おもしろいなぁ…
希子:(笑)
佑果:カッコいい…!
Hound Dog - Big Mama Thornton
佑果:いや、こういう声が出せたらね!
希子:(笑)
佑果:どれだけカッコいいかって…思いながら聴いてます(笑)
H:ホントだよね。
希子:もうなんか…強いですね。パワー。
佑果:図太い声と、シブい…
H:「Big Mama」だから。
佑果:憧れますねぇ…
希子:私、昔エタ・ジェイムズ(Etta James)のライヴに行ったことがあって。彼女が亡くなる前に。
H:え、すごい!それは貴重だ。
希子:そう。お父さんに…16歳の時、テキサスに会いに行って。で、お父さんが「エタ・ジェイムズ、絶対に連れていきたい」って言って。で、私知らなくて。なんなのそれ、とか言って。生意気に。
H:(笑)
希子:で、連れていかれたら、あまりの…
H:ビックリしちゃった?
希子:もう、とにかくパワー。車椅子で出てきたんですけど。
H:あ、そうだったんだ。弱ってるはずなのに…
希子:弱ってないですよ、一切。ぜんぜん。ステージ立ったら強くて。めちゃくちゃ…ジーンときた瞬間でしたね。
佑果:うらやましい…
希子:やっぱり、女って強いんだな、って。
H:うんうん、強いよ(笑)
希子:彼女は愛をすごい歌うから、いっぱい傷付いてきたんだろうな、と思って。
H:そうそう、ビヨンセ(Beyoncé)がその役やってる映画あったね。
希子:ありましたね。
H:ビッグ・ママ・ソーントンの"Hound Dog"って…プレスリー(Elvis Presley)の"Hound Dog"が大ヒットして、それを子どもの頃聴いてたんだよ。で、大きくなってからこれ聴いたのね。で、ぜんぜん(こっちの方が)良いから…(笑)
佑果:(笑)
H:こりゃなんだろう?と思って。ノリがおもしろいじゃない。こういうのやりたい、って思ったのが30歳ぐらいの頃。
希子:えー。そうだったんですね。
H:まだやってないけどね、これ。
希子:あれ?(笑)いつかやりますか?ここまで来たら…
H:やりたい、やりたい。
希子:ソウルフルな…
H:や、でも歌がね…歌えないよ、こんな風には(笑)
佑果:そうなんですよ!だから憧れるなぁ…っていう。
H:憧れる。最近の日本の若い人、みんな同じ声してる…
希子:わかります。
佑果:個性、っていうのがね…
H:なんかみんな田原俊彦みたいな…あ、こんなこと言っちゃうと怒られちゃう(笑)
佑果:(笑)
希子:やっぱり、でも…ある程度自分の人生を本気で生きてないと、ここまでの声、っていうかパワーが…宿らないですよね。
佑果:ソウルがこもっている…
H:ソウルっていう音楽はそういうもんだからね。
佑果:魂…
H:だから、音楽ってほら…僕も歳とったけど、年寄りもいい味を出せるわけじゃない。年輪、とか。枯れてる、っていう。
希子:はい。
H:まだ日本のロックはそこまで行ってないじゃない。ブルース…演歌はね、あると思うけど。
希子:たしかに。
佑果:そうですね。
H:演歌はすごい強い声の人、いっぱいいるじゃない?
希子:そう。紅白歌合戦とか観てると、やっぱり演歌いいな、って思いますもんね(笑)
H:そうそう!思うよ。
希子:際立つんですよね、やっぱり…ソウルが出てるっていうか。
佑果:坂本冬美さんもね…
H:そうね。
佑果:HISの…
H:あ、HIS?
佑果:大好き…”日本の人”とか。
H:いい思い出だ、あれ。
希子:(笑)
佑果:いやー、あのアルバムはホントに大好きです。
H:いや、僕も好きなんだよ。
佑果:いつも聴いちゃいます。
H:あのね、パープル・ヘイズ("パープル・ヘイズ音頭")は清志郎(忌野清志郎)がアレンジしたんだけど、あんなの無いよ、世界に(笑)
希子:そうですよね。
H:ジミ・ヘンドリックスに聴かせたかった(笑)
佑果:ホントですよね!
希子:ワンアンドオンリーな。
佑果:すごくカッコいい…
H:では…希子ちゃん。
希子: はい。私はちょっと、最近忙しいので、自分のテンションを上げるために速いビートのを聴いてるんですけど。アゼリア・バンクス(Azealia Banks)という女性ラッパーがいまして。彼女自身はハードコアなタイプの女性なんですけど…彼女の曲を紹介したいと思います。
H:ぜひぜひ。
希子:"The Big Big Beat"です。
H:おお、いい音。
The Big Big Beat - Azealia Banks
H:んー…なんか、聴いちゃうよな、こういうの。心地よく。
希子:そうなんですよね。
H:リズムっておもしろい。
佑果:ね。楽しい。
希子:なんか、こういうビートに自分が乗せられて、忙しい時は…なんだろう、マシーンのようになるというか(笑)
H:(笑)
希子:よしいくぞ!みたいな。自分の中のリズムが速くなるので…こういう時は音楽に頼ろう、と思って。強制的にテンションを上げる、っていう。
H:あるよね。たしかにね、僕もこういうの聴くとテンション上がるね。
希子:ホントですか!
H:ちょっといま、声低いけど。
佑果:(笑)
希子:時にはね、テンションを強制的に上げなきゃいけない時があるから…
H:たしかにね…踊るの?
希子:踊ります!
H:どこでも踊るんだもんね。
希子:どこでも踊ります!
佑果:(笑)
希子:朝からすごい大変なシーンをいっぱいやらなきゃいけないっていう時は、ホントにテンションを上げないと乗り切れないから…
H:そりゃそうだ。
希子:現場でこれを自分のヘッドフォンで聴きながら踊ると、ホントに不思議に…それまでは、今日は大丈夫かなぁ…って思ってるムードが一瞬にして切り替わって…
H:んー。
希子:音楽ってちょっと脳みそをハッキングするというか…そういうのを最近、自分でめちゃくちゃ体感してて。
H:なるほど。
希子:やっぱり、音楽に乗っ取らせた方がいいんだな、と思って。
H:身を預けて。気持ちいいよね。
希子:たとえば、悲しい気持ちにならなきゃいけない時とかも、そういう音楽を聴いて脳みそを自らハッキングして悲しくなって…エモーションを音楽でコントロールできるというか。
H:おもしろいよなぁ。
希子:おもしろいです、すごく。音楽って。
H:なんか、最近見直されてるよ。認知症の人に音楽がすごく効果がある、とかね。
希子:あ、そうですか。絶対あると思います!
H:やっぱり、すごい存在だね。音楽ってね。
佑果:そうですね。音ってすごい、深いですよね。
H:深い。もうね、最近毎日スタジオでやってるんだけど、自分の作業を。日によってぜんぜん音が違って聞こえるし。なんかこう…つかみどころが無いんだよ。音って。
佑果:たしかに。
希子:毎日それと向き合わなきゃならないってある意味、毎日自分と向き合ってるようなものですよね(笑)すごい精神的な…
H:そう…そうなんだよ。よく言ってくれた(笑)
希子:ちょっとmeditationみたいな感じになりますよね。
H:なるねぇ。なかなか他では体験できないことを体験してるよ、今。まあでも…結局は楽しいんだよね。
希子:そうですね。佑果ちゃんもいつか音楽、がんばって作ってね。
佑果:ね!作るとしたらやっぱり、楽しいのがいいな、と思って。
H:いつでも作れるよ。今すぐ作れるんじゃない?
佑果:そうですね、パッと…形だけ…(笑)
H:あとは道具があれば。
佑果:そうですね。道具を集めよう…
H:おもちゃがいっぱいあるから。
希子:ここにおもちゃもあるし…
H:なんかね、期待しちゃうな。おもしろそう。
佑果:なんか、木琴の音とか鉄琴の音が好きで。
H:トイ・ミュージックみたいなね。
佑果:そういう音とビートを合わせたりとか…
希子:アイディア盛りだくさん。
佑果:言葉では表せないんですけど、いっぱい、ね…(笑)
希子:やっちゃおう!
佑果:あとは最近、水の音に耳をフォーカス…意識してしまって。たとえばお風呂に入ってると…水を叩くと場所によって音階があって。あ、水にもあるんだ!と思って。遅かったかもしれない…(笑)最近気づいて。
H:いや、なかなか、いい耳してるよ(笑)
佑果:あとは街で…金沢に最近行ったんですけど、街に川がたくさんあって。
H:あるね。
佑果:すっごい透き通った水が…流れてる音が、場所によってまた、ボリュームが出たり出なかったりとか。水も鳴いてる!とか思って…ヘンって言われるかもしれないけど(笑)
H:いや、でも…ホントにいい耳なんだよ。いい耳っていうか、音にすごく鋭敏だね。んー。
希子:よく街とか歩いてると、携帯で音をレコーディングとかしてるんですよ、佑果ちゃん。
佑果:そうですね。
H:なんか、タイプとしては自分にそっくり(笑)
希子:あ、そうですか?
佑果:(笑)
H:聴いてる音楽もなんか似てるし…
佑果:そうですね。
H:不思議な気持ちになっちゃうよ。
佑果:うれしいです(笑)
H;こういうのって…あんまりね、女性…女の子はそういう風に聴かないんだよね。あんまり探検していかないんだよね。
希子:あー…
H:いまある音楽をファーって聴いて…ルーツを探ったりとかしない。普通は。
希子:そうですね。私の周り…私たちの周りにはそういう…モニカ(茂木モニカ)も含め、そういう人が…(笑)
H:あー、集まってるんだね。
希子:集まってるんですね。みんなめちゃめちゃ個性強いんですけど(笑)
H:チームOK。
希子:チームOK、なかなか個性が強い…つわものたち…(笑)
佑果:それこそYMOのルーツとかも奥が深すぎる…ニュー・ウェーヴの世界とか。
H:そうそう、ニュー・ウェ-ヴ。
佑果:あんまり私、ニュー・ウェーヴを掘ってなかったんですけど、最近…
H:ニュー・ウェーヴも奥が深いよ(笑)
佑果:ディーヴォ(Devo)とか。こんなにカッコよかったんだ!と思って。最近聴いてたりとか。
H:もう聴くものいっぱいあるね、じゃあ。大変だ(笑)
佑果:足りないです!時間が…
希子:すばらしい音楽があり過ぎるんです、世の中には。
佑果:そうですね。この世に、もう…出尽くしちゃってるというか。
H:そう。だから、よりどりみどりだよ、いま。
佑果:そうですね。
H:探す人があんまりいない。自分が何が欲しいのかわかってないからね。
希子:たしかに。そこですね。選択肢はいっぱいあるのに。
H:ある。あるけど、掘り出せない、っていう。
希子:それはやっぱり、自分との…
H:そう。自分の問題だよね、やっぱり。
佑果:好きだから掘るんでしょうね。
H:好きなんだよ。
希子:みんな、でも、それぞれね。好きなものって形あるから…
H:じゃあちょっと聴かせて、好きなもの。
希子:あ、じゃあ、次の佑果ちゃんの好きなもの…
佑果:えっと…では、バーバラ&アーニー(Barbara & Ernie)っていう…
H:これは知らないな…
佑果:"Play With Fire"という音楽がありまして。1971年に出てるんですけど。これ、最近レコード屋さんに行って見つけて…とにかく、音楽がカッコいい…
Play With Fire - Barbara & Ernie
H:ふんふん。やっぱり70年代の音なんだね。おもしろいな。
佑果:70年代ってやっぱりカッコいいなぁ…タイムスリップできるとしたら私は70年代のカッコいいミュージシャンのライヴを観に行きまくりたい!って…できることなら(笑)
希子:でも、80年代も楽しそうだね(笑)
佑果:そう。でも、70年代って服もかわいい…サイケデリックなスピリットとか入ってる。なんか引き込まれる…
希子:あれ、幸宏さん(高橋幸宏)が言ってた…いや、違うよ、って。「70年代の後半から80年代に入った時がいちばん楽しかったよ」とか言ってたかな…
佑果:そうだね。
希子:言ってたような憶えが…
H:そうかもしれないけどね。なんだろう…こないだね、孫がベース弾いてるんだけど。
希子:はい。お会いしましたよね、私(笑)
H:ああ、そうだよね(笑)そのセッションがあって。浅草のライヴハウスで。いっぱいいろんな…「中南米研究会」みたいな大学生が集まって。
希子:おお、おもしろい!
H:すごいみんな上手いんだよ。ビックリしちゃって。で、集まってきた人がけっこう…なんて言うの、清潔で、オシャレで。かわいい女の子とかね。かわいい男の子とか(笑)キレイなの、みんな。で、昔のことを思い出して…昔はこうじゃなかった、汚かった、って思って…(笑)
佑果::えー!
希子:そっか…
H:みんなロングヘアーでヒゲ生やしてね。僕もそうだけど(笑)
希子:ヒッピー。
H:もうヒッピーの集会みたいな…パーティみたいのはあったけど。サイケで。
佑果:いやぁ…楽しそう…
H:不穏な感じ。危険な感じもあった(笑)それに比べてすごい今はクリーンだ。みんな…いい少年少女たちがね(笑)
希子:そっか…
佑果:なるほど。
H:だから、70年代は…けっこう汚いんだよ(笑)
希子:そうですよね(笑)
佑果:でも、ファンキーな感じがあるのって…ただgoodっていうよりかはおもしろい…
H:まあ、いろんな思い出があるよ、僕も。
佑果:あ、聞きたいです。エピソードを。
希子:「70年代汚いエピソード」を…(笑)
H:エピソード…ん?
(D:来週に回しましょうか…)
H:じゃあ…この続きは…(笑)
希子:細野さんの汚いエピソードが…(笑)
H:汚いエピソードは来週にします。
希子:楽しみ!(笑)