2020.02.16 Inter FM「Daisy Holiday!」より

 

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H:こんばんは、細野晴臣です。2週にわたってお送りしてきたハマ・オカモトくんとの対談。今週が最終回となります。なお、この模様は3月に発売予定のハマくんのムック本に掲載されるということです。では、最終週のお話、どうぞ。

 

natalie.mu

 

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ハマ:いまだに…それこそ大地さん(伊藤大地)とか、漣さん(高田漣)とか伊賀さん(伊賀航)とか、卓史さん(野村卓史)とかとやるときって、細野さんが[譜面を]書いて渡すんですか?

H:うん。

ハマ:へぇ~!

H:それを読みやすくするっていうね。で、なるべく1枚に収めたい、という(笑)

ハマ:すばらしい(笑)初めて細野さんとお会いした『おげんさんといっしょ』のとき…リハーサルでお会いしてるんですけど。

H:うんうん。あ、なんか譜面が置いてあって、見てたね?

ハマ:そうそう。あ、バレてました?(笑)

H:なんか、見てるなぁ、と思って(笑)

ハマ:そう。あの"恋"を細野さんが、「おげんさんヴァージョン」で弾くっていうときで…立夫さん(林立夫)がドラムで。

H:書き直したの。うん。

ハマ:そのときに…もちろん、あの曲は元々僕が弾いた曲だったので、細野さんが弾くっていうのも興味津々だったんですけど。

H:難しい曲だなぁ、と思った。

ハマ:難しい曲ですよね(笑)なんか、細野さんはどういう風に譜面を見てるんだろう、と思って…バレてたんですね(笑)僕、すごい見てて。

H:いや、みんな、なんか2,3人で寄ってたかって見てたじゃない(笑)

ハマ:そうそう(笑)そしたら、もう…俺、あれホント思い出せなくて。こっそり写真撮ればよかったと思ってるんですけど。めちゃくちゃわかりやすく色分けしてあって。

H:はいはいはい(笑)

ハマ:1番戻ったらこう、みたいな。

H:あのね、難しい曲ほどわかりやすく書かないとね。

ハマ:あれは細野さん、ホントにすごいと思いました、俺。あの書き方。

H:(笑)

ハマ:見たことない。他に。

H:そう?あれは…まだ残ってるかな。ちょっとチェックしてみるわ。

ハマ:ホントですか?そう、あの書き方の手法だけでも教えて欲しいと思って。

H:あ、じゃあ今度コピーして持ってくわ。うん。

ハマ:あ、ぜひ!僕、あの、すぐロストしちゃうんですよ。記号がわからないんで。

H:記号が大事なんだよね。

ハマ:どこに戻るか、っていうのがもう…見失っちゃうから、もう覚えたほうが早い、って思っちゃう。

H:うん。でもそのほうが正解だよ。覚えるのがいちばんいいんだよ(笑)

ハマ:そうですよね。ただ、[譜面を]見なきゃいけないときとかもあるじゃないですか。いやー、俺、あれはなんか…ショックを受けましたね、わかりやすさに。

H:そうか。林くんはもっとキレイだよ(笑)

ハマ:あ、立夫さんはたしかにそう。ホントそうですね。

H:だから、リハで譜面をもらうじゃない?それをぜんぶ書き直すからね。

ハマ:自分流に、ってことですよね。

H:うん。

ハマ:そう…あれ衝撃だったんだよな。たしか青とね…赤…

H:そうそうそう。

ハマ:まぁ蛍光ペンですよね、いわゆる。それでなぞってあったんだけど…

H:そうしないとね、迷子になっちゃうのがいちばんこわいじゃない?

ハマ:そうですね。ああいう曲は特に。そうだ、そう…それをいま思い出して言えてよかったな。実はこっそり見てたつもりがバレてたけど(笑)

H:いやいや、こっそりじゃなかったよ(笑)

ハマ:ホントですか?(笑)まじまじと見てたのかな…

H:へぇそうか、譜面に興味があるのか、と思ってね。

ハマ:そう。読めないんですけどね。その「手法」に興味を持っちゃいました。

H:なるほど。

 

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ハマ:僕はいま、自分と同じ歳のバンドマンとかプレイヤー…プレイヤーはもちろん、いっぱいいるんですけど。スタジオミュージシャンをやってるような。やっぱり「バンドにいるベーシスト」として、ポップスの現場だったりとか、バンド以外のところで呼んで頂くことが多くなってて。

H:なるほど。

ハマ:そうなると、より…さっき言ったような、最初にこういう流れを作った細野さんたちの仕事ぶりは、改めてすごくおもしろくて、聴いてて。ものすごく興味深い…

H:そうかそうか。たしかにバンドによって違うんだよね、記譜法が。

ハマ:そうですね。

H:で、僕がやってるやつはわりとコモンというか。共通した、一般的なものなんだよね。たぶん。だから、バンドの人たちはホントに特殊っていうか…すげぇ読みにくい譜面を書いてくれる(笑)

ハマ:わかります、そうですよね(笑)なので、こう…なんだろうな、細野さんの当時の痛烈だったお話を聴いてて、なんか自分も似たような経験を経てるな、と思うところもあれば、やっぱり聴いてて…時代もあると思いますけど。

H:あるね。

ハマ:そりゃあ強烈だ!と思うところもあるし。いちばんそういう話を…ナチュラルに細野さんに訊けないとダメだ、訊かないとな、と思って。他の…「細野晴臣、ベース史を掘る」みたいな企画とかっていうよりは、僕が僕のために…(笑)細野さんに直接お話を訊けるんだったら訊きたいな、と思うことばっかりなので。

H:うん。要するに…初めてやる曲ってなにが大事かって言うと、「行き方」と…進行ね?AとBとCがあるとしたらどうやって動いていくか。

ハマ:はい。

H:それと「リズム」じゃない。

ハマ:そうですね。

H:で、コード(和音)はコードネームだけでいいんだよね。だから、おたまじゃくしなんか使わないね(笑)記号だけでいいわけ。

ハマ:はい。

H:それはジャズから来てるんだと思うよ。ジャズも自由じゃない。

ハマ:んー、たしかに。

H:譜面書いてそのまま弾くジャズピアニストとかいないから(笑)

ハマ:そうですね。方向性だけはあって、その中で…ってことですもんね。うん。

H:そうそう。だからコードがいちばん大事、というかね。まぁ、ベースはわりとルート(根音)の音で…そんなに厳密じゃないけどね。「フラットファイブ(♭5 / -5)」とか出てくるじゃない?

ハマ:出てきますね。

H:そういうのはベースはあんまり関係ない…(笑)

ハマ:(笑)

H:(笑)

ハマ:すごいよくわかる…っていうとアレですけど、ホントその通りですね(笑)

H:でしょ?(笑)

ハマ:なんかすごい…ギターの人と鍵盤の人が「うーん…」ってなってるときに、「え?でもまぁ、ルート弾いといたらいいんだよね?」みたいな感じになってくるというか…(笑)

H:そうそう、おんなじ(笑)

ハマ:「ですね」とか言われて(笑)「あ、じゃあはーい」みたいな。ここで逆に…こっちが気を遣ってトリッキーなことをし過ぎると向こうがおかしくなってきちゃったりとかする…だからおとなしくしとこう、みたいな(笑)

H:たしかにね(笑)それはある。

ハマ:こっちはあんまり関係ないですからね(笑)おもしろいな~その節はすごいよくわかりますね。あとはまぁ、コードの成り立ちと…細野さんはでも、以前お話したときに…それこそ僕らのアルバムが出て、それをたまたま聴いて下さった、みたいな話をしてて。"Higher"という曲があるんですけど。

H:よかったよ。うん。

ハマ:なんか、「リズムでベースを弾くというのを久しぶりに聴いた」と仰って頂いて。それはすごいうれしかったんですけど。やっぱり細野さんもリズムを出すプレイヤーじゃないですか。とっても。

H:うん。

ハマ:まぁ、いろんなところでお話されてるチャック・レイニーChuck Rainey)とか。その影響がある、とかお話されていましたけど。

H:そうです。うん。

ハマ:やっぱりああいう…音符の長さであったりとか。「止める」とか「伸ばす」とかって…僕が知る限りで残ってる細野さんの録音で、ホント最初っから…ものすごいタイミングというか。やってのけてるなぁ、ってすごい思うんですけど。

H:そうかね?

ハマ:とはいえはっぴいえんどの頃とかって、そこまで16分っていう感じではないじゃないですか。

H:あの頃はまだね…

ハマ:ですよね。またちょっと、プレイヤーとしての性質が違うから…

H:どっちかって言うと白人系というか…(笑)

ハマ:そうですね。うーん。それは、はっぴいえんど自体が1回終わりってなる、ならない、とか[の時期]で…単純に細野さんがその当時聴いてた音楽の方向性がブラックにどんどん寄って行った?

H:そうそうそう。ティンパン(Tin Pan Alley)の頃からそうだね。聴くものがぜんぶ、ファンクばっかりになってきて。

ハマ:いちばん最初にこう、おやっ、となった…きっかけになったのってあるんですか?バンドとか曲とか。

H:大学の頃は、毎週のように新宿のクラブで…モータウンがしょっちゅうかかってる。

ハマ:踊りに行ってたんですか?聴きに行ってたんですか?

H:僕は聴きに行ってるんだけど、みんな踊ってるからついでに踊ったり(笑)

ハマ:ついでに(笑)

H:だから、まぁ、モータウンはやっぱり…でもコピーしたことは無いわけ。

ハマ:へぇ。聴くのは好きだった?

H:うんうん。で、どっかの…六本木のジョージ(George's)っていうオムライスのうまい、黒人の米兵ばっかり来るバーがあるんだけど(笑)ジュークボックスとか置いてあって、リズム&ブルースばっかり入ってる。最新の。で、松本隆といっしょにそこにしょっちゅう行ってたのね。

ハマ:へぇ。

H:アレサ・フランクリンAretha Franklin)みたいなママがいて(笑)

ハマ:(笑)

H:日本人なんだけど(笑)

ハマ:あ、日本人なんですか!日本人だけどアレサ・フランクリン…(笑)

H:髪型がすごい。

ハマ:もう、『ブルース・ブラザーズ(The Blues Brothers)』に出てくるアレサ・フランクリンみたいな…(笑)

H:そのジュークボックスの中身がすばらしくて。で、松本とそれをいつも聴いてて。たぶん、インプレッションズ(The Impressions)の最新のシングルが入ってて。それを聴いてて…「これからはこれだよね」って言ってたね(笑)

ハマ:はー…

H:「キックとベースが絡んでるよね」って(笑)そんな話をしてた。

  

 

Check Out Your Mind - The Impressions

 

 

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ハマ:じゃあそういうところから…まぁ、日本にもどんどん入ってくるわけじゃないですか、結局。その手の音楽が。

H:うんうん。

ハマ:それこそ細野さんが作家としてお仕事されていた1980年代とかの直前ぐらいまで、日本の音楽もすごい…ファンキーになっていく、って言うとちょっとアレですけど。そういう系のアレンジとかもすごい増えていったし。

H:そうね。

ハマ:じゃあやっぱりそういう…でもあれですね、普通に…松本さんの話にもありますけど、細野さんにとっては友達と音楽聴きに行ってて…

H:うん。

ハマ:ヒットチャートってわけじゃないんでしょうけど、そのママが好きだったり、お店が…まぁ、米兵の方に向けてる、っていうこともありますよね。

H:そう。当時は東京の六本木辺りは多かったの。米兵が遊びに来る街として。私服で来るんだけどね。で、ある絨毯バーで…しょっちゅう行くところだったんだけど。知り合いがやってたんで。

ハマ:はい。

H:靴脱いで上がるバーなの(笑)

ハマ:…っていう意味か!「絨毯バー」。へー。

H:そうそうそう(笑)そこに米兵たちがいて、音楽がかかって踊りだすわけ。それがすばらしかった。で、教えてもらったりしてた。

ハマ:あ、そのダンスを?

H:ダンスを。

ハマ:へぇ。

H:で、ミュージシャン仲間が集まってきて、みんなが踊りを覚えて。仲間内ではみんなブガルー(Boogaloo)を踊り出して…ブガルーっていうのが流行ってたわけ。

ハマ:はいはい。ダンスの。

H:うん。そういう黒人のノリっていうのを身体で覚えた、っていうことはあるね。

ハマ:あー、それはすごい大きいでしょうね、きっと。だって見てもいるし、生で。教えてもらってもいるという。

H:うん。

ハマ:のちに結局、ダンスと付随して音楽のジャンルも分かれるじゃないですか。バンプ(Bump)とか。ボックス(Box)とかもそうですけど。

H:うん。

ハマ:あー、じゃあもう、ホントに…ある意味自然な流れですね、きっと。

H:そうだね。その時代の影響だよね。だからそれまでは、踊りって言うとトゥイスト(Twist)とか…あれは別にリズム感要らないからね(笑)

ハマ:たしかに(笑)そうか、もっと体幹を使うっていうか。

H:そう。腰が落ちていくっていうか、首が落ちていくっていうかね。ファンキーな感じね。

ハマ:うんうん。それは結局…それこそ、いっしょに作業する時間が多かった茂さん(鈴木茂)とか立夫さんとかにも自然に…みんなで聴いてて。

H:そうだね。みんなで聴いてたね。

ハマ:ですよね。で、いざセッションとなるとそういうフレーバーが出てくるでしょうしね。

H:出てくる出てくる。そのとき聴いてたものが出てきちゃう。当時…『HOSONO HOUSE』作った頃はね、林くんはビリー・プレストンBilly Preston)ばっかり聴いてたんだよ。

ハマ:へぇ~!

H:いま聴くとそんなでもないんだけど、当時はすばらしかったんだよ。

ハマ:好きだったんですね。へぇ。

H:リズムが良かったのね。

ハマ:うん。やっぱりそれは反映されますよね。

H:うん。反映してたね。

  

 

Will It Go Round In Circles - Billy Preston

(from『Music Is My Life』)

 

 

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ハマ:いやー、おもしろいなぁ。そういう意味では…なんて言うんですかね、僕は驕ってるわけじゃなくて、「変わらない」というか。

H:うん。変わらないよ。

ハマ:自分の感覚ともぜんぜん…

H:ミュージシャンなんだよ(笑)

ハマ:なんか、それはすごくうれしいし…僕以外にもそうやってる人、いっぱいいるから。

H:だから、プレイヤーだからだよ。プレイヤーの人ってわりと少なくなってきてるから(笑)

ハマ:うん。

H:まぁ、バンドマンはさておき、ね。いろんなセッションをこなしてくっていうタイプの人はあんまりいないんで。

ハマ:たしかに。

H:だから…みんなラップトップで音楽作ってる時代だから。

ハマ:そうですね。スタジオ要らないですよね、極端に言うと。ホントに。最近…

H:うん。

ハマ:僕、まったくそこは明るくないんで…

H:あ、ホントに?

ハマ:まったく使えないんですよ。

H:あ、そうなの(笑)

ハマ:よく、なんか、「このデモに簡単でいいんでベース入れてください」みたいのが来るんですけど、なにも持ってないんで…(笑)

H:そうか(笑)

ハマ:持ってる人の家に行ってやる、みたいな…いまだにそうなんで、ちょっと取り残されてますけど。

H:じゃあ、ここでも使っていいんだよ。このスタジオ。

ハマ:いやいや!(笑)いきなり来て、細野さんに「ベース入れさせてください!」つって…(笑)

H:うん。ぜんぜん構わない。

ハマ:ホントですか!(笑)でもたしかに…そうですね。僕は自分の目線で見てもいないですし、細野さんから見ても「そういう人減ったな」って思うんだったら、たしかに減ってはいるのかなぁ、とは思いますね。

H:うん。

ハマ:でもそんな中で、僕はバンドの人なので。バンドから飛び出してってやって…そういう意味では技術的なことであったりとか、理論的なことで言うと自分より上手い人なんてごまんといるし。スタジオミュージシャンの方もいっぱいいるんですけど。

H:うん。

ハマ:やっぱりなんか、そういう…いま細野さんとずっと話してた、自分の「今」がすごい反映されたりとか。そういう余白が出るような演奏を楽しんで残せて。それを聴いて、こういう方法もあるんだな、と思ってみんながおもしろがってくれるのがいちばん本望だな、と思ってますね。ずっと。

H:うん。

ハマ:なので、やっぱり「バンドにいること」が大事だと思ってて。

H:なるほど。

ハマ:「バンドマンがやる演奏」のおもしろさみたいな。細野さんもマインド的にはきっと…そういうお仕事されてたときはその気があると思うので。

H:あるある。

ハマ:なんかそれが自分にとって…最初はどうなんだろうと思ってて、自信があんまりなかったんですけど。「バンドマンだしな…」みたいな。逆に。

H:うんうん。

ハマ:なんですけど、ここ数年はどんどん楽しくなっていってますし。10年前にやった自分の仕事とか、3年先、5年先は恥ずかしくて聴けたもんじゃなかったんですよ。

H:あ、ホント?(笑)

ハマ:再生したくない、みたいな。

H:あー、わかるわ。

ハマ:でも、10年経って、10年前初めてした外仕事とかの演奏を聴くと、なんかがんばってんな、みたいな。

H:新鮮な。

ハマ:新鮮だな、今できないな、とか。

H:そうなんだよ。昔の様にはできないんだよな(笑)

ハマ:できないんですよね。細野さんなんて振り返るとすごい歴史がありますけど、ご自身でも思います?

H:思うね。まぁ、でも当時はそれでよかったんだな、って思うよ。はっぴいえんどとか聴くと。

ハマ:うんうん。

H:あれは一人だけファンクやっても合わない…(笑)

ハマ:そうですね、バラバラだし(笑)そう、なんかそういうことを最近…ようやくおもしろく思えてきたので。

H:うん。

 

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ハマ:で、そんな中で去年…細野さんともDaisy Holidayでお話ししたり。イエローマジックショーもあるし。自分の考え的にもそうだし。今回の本を作るみたいなのそうだし。これはなんか…細野さんともう1回この話できたらいいな、と思ってたので。

H:なるほど。

ハマ:なんかすごい…なんでしょうね、「雪解け」っていうとヘンですけど。

H:雪解け(笑)

ハマ:すごい、サーッと気持ちが軽くなりました。とっても。あんまり細野さん、こういうお話…

H:いや、めったにこういう話、吹っ掛けられないっていうか…(笑)

ハマ:吹っ掛けられない(笑)よかったんですか?吹っ掛けちゃって…(笑)

H:いいんだよ(笑)

ハマ:よかったです。いや、訊くのもね、なんか…

H:いや、普段訊かれないことを訊かれるの好きだよ。

ハマ:ホントですか?でもなんか、ホントに昔の話…僕には計り知れない時間が経ってるけど、さっきも「たぶん南沙織…」とか「野口…(野口五郎)」とか、すごいなと思って。

H:あー。

ハマ:やっぱり憶えてるところは憶えてるんですよね、それは。

H:それは印象深いのは憶えてるよね。緊張したりすると憶えてるね(笑)

ハマ:そうか。だから、こう…そんなところを掘っていいのかな、と思いつつ…そこは自分の、なんなら使命かな、とも思い…訊けましたけど。

H:うんうん。

ハマ:でもホントに、きょうは…これはDaisy Holidayでも…?こんな感じで大丈夫だったんですかね?(笑)むしろなんか、すみません。ホントに僕の聞きたいことしか訊いてないですけど…

H:(笑)

ハマ:でも言いたかったのは…去年、50周年お疲れ様でした、ありがとうございました、っていうのと…

H:自分の10年…

ハマ:はい。っていうので細野さんとお話ししたかったので、来て頂いて光栄でした、という。

H:こちらこそ…

ハマ:すみません、お時間いっぱい頂いて…

H:もっと話せるけど、いいの?

ハマ:ホントですか?

H:いやいや、いい…(笑)

ハマ:でもね、もう、ホント…俺は聞きたいことはもう…あとはもう…だって、まだ俺はゴリゴリ細野さんといろんなところで会うつもりなんで。

H:おお。

ハマ:そのときにまた閃いたら…ということで。すみません、お時間頂いて。きょうはありがとうございます。

H:いやいや。ありがとう、こちらこそ。

 

 

H:なんかこう、隔世遺伝に近いよね。

ハマ:あー、たしかに…たしかにって自分で言うのもアレですけど。

H:50代、40代とこういう話したことないしね(笑)

ハマ:あー、そうですか。でもたしかに、manakaとか安部ちゃん(安部勇磨)もそうですけど…そういう僕もその世代なんで。

H:うん。なんか、似てるところがあるんだろうね。

ハマ:それは前回も仰って頂いて…うれしいです、とっても。

H:いろんなベーシストがいるけど、ぜんぜん話が通じない人もいると思うんだよね(笑)

ハマ:あー、わかる…それはホントに仰る通りですね。当時もいましたか?細野さんが30代のときとか。仕事してて。

H:いやー…いちばん僕に近いっていうか、ああすごいな、って思ってたのは小原くん(小原礼)だね。

ハマ:あー、礼さん。

H:上手ぇ…と思って。

ハマ:礼さんは…そうですね。細野さんの演奏もそうですけど、礼さんの演奏とかホント落ち込むもんな。見てて。

H:(笑)

ハマ:なんでこんな…礼さん、すばらしいですね。

H:うん。なんか、ベースに対するアプローチが似てる。

ハマ:んー、たしかに。それはホント思います、2人には。あと礼さんはすごい…なんだろう、探究心がずっとあるから。

H:そうだよね。

ハマ:細野さんもそうですけど、ホントに。話してて…「最近のフェンダーの新しいやつはピックガードがぜんぜん違うよな」とか。

H:あー、そう。

ハマ:「そうですよね」みたいな。「べっ甲がぜんぜん違いますよね」とか。

H:そうかそうか(笑)

ハマ:僕が去年見つけた…アメリカ人の男性のフェンダーオタク2人組が…ピックガードを専門で作ってるオタクが2人いて。

H:え、作ってるの?

ハマ:選べるんですよ、年代が。60年代、70年代、80年代…って選べて。劣化具合も選べて。当時そっくりのピックガードを作る職人がいて。

H:すごいマニアだな。

ハマ:それを礼さんに話したら「すぐ買うから教えてくれ」って言って(笑)その場で教えたりして。だから楽しいですね。話しててもね。

H:ベーシストならではの会話だね、それは。

ハマ:そうですね、そこは。そういう話をいつ会っても礼さんはしてくれるんで…僕も楽しいですね。

 

 

ハマ:細野さんは今後、作品作りにおいては…まぁ『HOCHONO HOUSE』でももちろん演奏されてましたけど。

H:うん。

ハマ:まだぜんぜん…タイミングが合えばベース欲はあるんですか?

H:あるよ。あるけど、自信がない(笑)

ハマ:そんなこと言わないで下さいよ(笑)でも"Nerd Strut"とかすごいカッコよかったな。源さん(星野源)で、インストで弾かれてたじゃないですか。

H:そうね、やったやった。

ハマ:あれもすごいカッコよかったし。

  

 

Nerd Strut - 星野源

(from『YELLOW DANCER』)

 

 

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ハマ:あと、達郎さん(山下達郎)と源さんと細野さんで鼎談されたじゃないですか。俺、あのページでいちばん笑ったのが…「改まって振り返ると話す機会がなかった」、と。2人が。

H:そうそう(笑)

ハマ:ウソでしょ?と思って。レコーディングしてるのに…でも「レコーディングの現場なんてそんな話さないもんね」みたいな話で。まぁたしかにな…と思って。

H:うん。

ハマ:「だから今だから言うけど、細野さんのベースは日本一ですよ」っていう話してて…(笑)

H:あのとき初めて聞いて、そうなの?と思った(笑)

ハマ:「そんな風に思ってくれてたの?」とか言って…いい会話だなぁ、と思って(笑)

H:(笑)

ハマ:いや、その通りですよ細野さん。ご自身ではね、わかんないけど…

H:ぜんぜん自信ないの。

ハマ:達郎さんがあのタイミングであれを言うっていうのに、俺すごい笑いましたけどね(笑)

H:(笑)

 

www.hoshinogen.com

 

ハマ:いいなぁ~、と思って。でも、その通りですよ。だからぜひ、ベースを弾く細野さんを。

H:そうね…おだてられたらやるよ。

ハマ:ホントですか?そんなこと言ったらもう、全方位型で、みんなで…(笑)

H:(笑)

ハマ:みんな言ってますから。安部勇磨が細野さんとちゃんと話をしたことがひとつのきっかけで『HOCHONO HOUSE』が生まれたのであれば、まだまだ俺らから言うことは山のようにあるぞ、っていう話を…(笑)

H:あー、話聞きたいね。んー。

ハマ:なのでちょっと、今度、僕ら世代のバンドマンを集結させ……

H:ぜひぜひ。刺激が欲しい。

ハマ:「細野さんに今やってほしいこと」を募って…(笑)

H:あー、聞きたいわ(笑)

ハマ:昔の作品の良さを伝えるのも僕らは好きですけど、これからやってほしいことを細野さんに言えるのも、たぶん…僕らがいまいちばん恐れずに言える世代なので…(笑)

H:いやー、ホント言ってほしいわ。

ハマ:そこはちょっと、物怖じせずにお伝えしますね、今度。軍団を率いて…

H:じゃあ、そういう機会を持ちましょうね。

ハマ:犬(安部)と猫(ハマ)で…(笑)犬と猫が先陣切ってやります。

H:芸人と違って飲みに行ったりつるんだりしないからね。なかなか…

ハマ:そうですね。なかなかそういう話をする機会もないんですよね。世代が近いからといって…というのもあるし。

H:うん。今度じゃあ、一席設けないとね(笑)

ハマ:ぜひ!じゃあ、それを…僕らが細野さんを囲む会。

H:うん。やろう。

ハマ:ですね。じゃあそれを目標に…

H:ぜひぜひ。お酒飲めないけど。

ハマ:じゃあうまいものを食いに…行きましょう。

H:はい。

ハマ:ありがとうございます。

H:はい、こちらこそ。おもしろかった。

 
 

★2020.02.14 α-STATION FM KYOTO「NICE POP RADIO」より

 

 

 

 高田馬場で乗り換えて - スカート

(from 『トワイライト』)

 

 

澤部:お送りしましたのはスカートで"高田馬場で乗り換えて"という曲でした。こんばんは、スカートの澤部渡です。京都α-STATION、毎週金曜日午後8時からはNICE POP RADIO。今週もわたくしの選曲とおしゃべりにお付き合いください~。えー、120回目の放送となります。先週に引き続き、今週もゲストにライターの松永良平さんをお迎えしております。

松永:こんばんは。

澤部:こんばんは、ハッピー・バレンタイン!

松永:ね、バレンタインデーなのに俺ですみませんね、ホントに。

澤部:いやいやいや(笑)もっと大前提で、バレンタインのラジオを任せていい人間じゃない、僕は…(笑)

松永:バレンタインのラジオ(笑)確かに。

澤部:ね、有名なね、言葉ですけど…

松永:はい、がんばりましょう。

澤部:がんばりましょう。よろしくお願いします。

 

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澤部:えー、先週は昨年末に発売になった松永さんの著書、『ぼくの平成パンツ・ソックス・シューズ・ソングブック』についてたっぷり話をお伺いしましたが、今週はナイポレ恒例企画、わたくし澤部渡と松永さんが持ってきた音楽を交互にお届けしながらいろんなお話をしていきたいと思っております。いまのところ、どんな曲を選んだのか、っつーのはお互い知らないわけなんですが…

松永:そうなんですよ。

澤部:ね。なんか、テーマとかあります?

松永:まぁ、裏テーマみたいのはあるんですけど、それはね…後で言います(笑)

澤部:はい、了解です。どんな1時間になるのか、みなさんといっしょに楽しんでいければ、と思っています。ちなみに1曲目でお送りした"高田馬場で乗り換えて"は松永さんの選曲なんですが…

松永:そうなんですよ。

澤部:ありがとうございます。

松永:僕は学生時代から高田馬場だし、90年代に働いていたレコード屋さんも高田馬場だったし。いまも通勤で高田馬場を使ってますから…乗り換えっぱなしなんですよ、高田馬場で。ホントに(笑)

澤部:そうですね(笑)

松永:まさに「よくぞこんな曲を作ってくれた!」と思ってます。

澤部:うれしいっす(笑)ちょっとね、東京ローカルな曲を作ろうと思って作った曲でした。うれしいです。

 

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澤部:番組ではみなさんからのメッセージをお待ちしております。α-STATIONのホームページにございます"メッセージ"から、番組「NICE POP RADIO」をセレクトしてお送りください。FAXは京都075-344-8940です。番組でご紹介した方全員に西村ツチカさんデザインのNICE POP RADIOオリジナルステッカーをプレゼント。なので、メッセージ内にお名前と連絡先の記入をお願いします。番組のTwitterハッシュタグ、カタカナで「#ナイポレ」もチェック。ツイートよろしくお願いします。、また、この番組はパソコンやスマートフォンでラジオが聴けるIPサイマルラジオ・Radikoでもお聴き頂けます。スマートフォンではGoogle PlayApp StoreからRadikoアプリをダウンロードしてお楽しみください。有料サービスのRadikoプレミアムを利用しますと、全国どこでもα-STATIONをお楽しみ頂けます。詳しくはα-STATIONのホームページ、またはRadikoのホームページをご覧ください。そして、京都のレコードショップJET SET KYOTOのお店にNICE POP RADIOのコーナーを作って頂いています。番組で紹介したレコードも展開されていきますので、ぜひチェックしてみてください。 

 

澤部:それでは早速、1曲お送りしていきたいと思います。こちらも恒例…先攻・後攻はジャンケンで決めるのが恒例となっておりますので…(笑)ちょっとお付き合いください。

松永:はい。

澤部:じゃあ早速…最初はグーでいきましょうか。

松永:最初はグーで。

2人:最初はグー、ジャンケンポイ。

澤部:お、勝った!じゃあ先で、いいすか?

松永:どうぞ!

澤部:はい。えーと、これは松永良平さんの…以前もらったCD-Rに入っていて、僕も並行で聴いてはいたんですけど…改めて聴くと、おお、こんなに良い曲だったか、と思った1曲です。

松永:ほう。

澤部:ノーザン・ライツ(Northern Lights)の"Worried About You"という曲を。

松永:最高の曲です。

澤部:はい。

 

 

Worried About You - Northern Lights

(from 『Vancouver Dreaming』)

 

 

澤部:めっちゃカッコいいですよね。

松永:いやー…いつも、この番組の選曲とか見てて思うけど、よくこういう曲かかるよね。

澤部:(笑)

松永:いや、「よくぞ」こういう曲がかかるよね、という意味ですよ?流れないですよ、ホントに。世界広しと言えども…

澤部:いやー、そうですね(笑)そう言ってもらえるとうれしいです。

松永:ホント、長い間この曲とか、このアルバムは大好きで。だけど自分のステレオというか、耳の中だけで存在する世界、みたいに思う曲じゃないですか。こういうのって。

澤部:そうですね。うんうん。

松永:こういうのが電波に乗って、知らない人の家とかに届いてるっていうのはもう、ビックリするけどね。

澤部:まぁ、これも松永さんにもらったCD-Rに入ってた1曲ですね。

松永:あー、入ってましたかね。

澤部:『Lower California』っていうコンピに…

松永:あ、『Lower California』。憶えてます。はい。

澤部:はい、というわけで…じゃあ、CMですかね(笑)

松永:はい。

 

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[CM]

 

澤部:京都α-STATIONからスカートの澤部渡と…

松永:ライターの松永良平がお送りしています…

2人:NICE POP RADIO!

澤部:はい(笑)すみません、お付き合い頂きありがとうございました。

松永:はい(笑)

澤部:というわけで、今週のナイポレは我々2人が持ってきた音楽を交互にお届けしながらいろいろ話をしていく、という…感じでお送りしています(笑)早速、1曲目はノーザン・ライツの"Worried About You"という曲を…

松永:最高でした。

澤部:最高でしたね。まぁ、話はCM前にしたので…早速、次の曲に行こうと思います。

松永:はい。

澤部:じゃあ、次は松永さんの1曲を教えてください。

松永:はい、じゃあわたくしの1曲目は…西尾賢ソボブキの"COQUI 1"。

澤部:ほう…

 

 

COQUI 1 - 西尾賢ソボブキ

(from 『諸国旅して出逢います』)

 

 

澤部:どこの国ですか?

松永:これは日本。

澤部:そうですよね。

松永:ソボブキはね…まぁこの曲に関して言うと、西尾賢さんというピアニストはGUIROのピアノをやっていて。

澤部:あ、あー!

松永:で、この曲はGUIROのレパートリーに…GUIROがカヴァーしてる、というか。"COQUI"というね。最近、それこそ…ソボブキというバンドなんだけど…これもまぁバンドというか、西尾賢さんを中心としたCorneliusみたいな。伸びたり縮んだりするユニットで。十何年ぶりだろう?アルバムを出されたんですよ。2枚組のCDで。

澤部:へぇ…

松永:2枚組のCDで(笑)

澤部:やばい…

松永:で、この"COQUI"という曲もやっぱりすばらしくて。でも、サブスクとかにも全然出てないし。CD自体、一般流通もしていないので。なかなか…まったく入手できないというわけではないんですけど、経路が限られているので。でも、すごく良いんですよ。

澤部:すげぇ…めっちゃいいっすね。

松永:はい。ソボブキは、最初に観たのは…SAKEROCK田中馨くんが野々歩ちゃん(松本野々歩)やタカハシペチカさんとやったショピンというバンドのデビューライヴというのが…三軒茶屋のグレープフルーツ・ムーンかな?であって。

澤部:うん。

松永:そのときの対バンがソボブキと、ハンバート・ハンバート佐藤良成くんのソロと、ショピンだった…っていう記憶がある。

澤部:へー。

松永:そのときに観たソボブキは3人だったけど…まぁ、これとはまた違うんですけど、雅楽とポップスとワールドミュージックがごちゃまぜになって、すりこぎでこうやったような音楽をやっていて。

澤部:はー…

松永:すごく衝撃を受けて。その人がGUIROの高倉さん(高倉一修)と交流があって、こうやってピアノを弾いてるっていうこともすごく驚いたし。その2枚組、『諸国旅して出逢います』って言うんですけど。澤部くん、ぜひ探して買ってほしいと思います。

澤部:探します。めちゃくちゃ良いな…

松永:これを僕の1曲目にしました。

澤部:なるほどね。はいはいはい…

 

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澤部:それでは、次なんですが…これも松永良平さんのCD-Rに入っていた曲を選んできました。

松永:あ、ホントですか。

澤部:武満徹さんの『東京戦争戦後秘話』のサントラ?のやつを持ってきましたんで、それを聴いてもらいましょう。

松永:はい。

 

 

東京戦争戦後秘話 - 武満徹

 

 

澤部:これ、7インチ再販されたんですよね。

松永:ね、これね。ホント良い曲なんで。

澤部:再発されて買いましたもん。

松永:武満さんの映画の曲だと、"サマー・ソルジャー"っていう曲も僕は好きで。

澤部:ほうほうほう…メモリます。(メモ)

松永:いま探すと大変かもしれないですけど、当時は「武満徹 映画音楽全集」みたいなCDボックスがあって。その中にけっこうね、こういう曲とか、いろいろ入ってたんですよ。すごくおもしろくて、よく聴いてましたね。

澤部:はー…そう、なんかね、なんだろう…そう、たしかにカンタベリー系だ。

松永:んー。

澤部:エレピのジャズなんだけども、こんなギターが…(笑)

松永:そうですね。カンタベリーだと僕はエッグ(Egg)というバンドがすごく好きで。

澤部:えー、聴いたことない!(メモ)

松永:エッグは…それこそエッグを俺に教えてくれたのはNRBQのトム・アルドリーノ(Tom Ardolino)。

澤部:あー!はいはいはい。

松永:亡くなった友達なんですけど。彼が作ってたカセットテープに入ってて。エッグは他のプログレのグループに比べてドラマーの手数がすごく少なくて。

澤部:ほえー。

松永:すごくおもしろい音作りをしている、っていう風に教えてもらって。たしかにその通りだし、探して聴こう!と思って。

澤部:うんうん。

松永:いまでも…『優雅な軍隊(The Polite Force)』っていうアルバムがあるんですけど、それはすごい好きなアルバムですね。

澤部:へー。探します…

 

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澤部:トム・アルドリーノのミックス、僕も金野さん(金野篤)っていう、バンブルビー(Bumblebee Records)の人からダビングしてもらって聴いたんですけど。

松永:はい。

澤部:そこにラニー・シンクレア(Ranny Sinclair)とか入ってて。

松永:あー、そうね。そうそう。

澤部:こんなにすごい音楽が世界にはあるのか、って思って。ホントにビックリしたのを思い出します。

松永:ホントですね。[トム・アルドリーノは]僕のミックスというか、音楽を聴くことの先生のひとりなんで。

澤部:うんうん。

松永:いまでもね、時々…何枚か手元にあるんで、聴き直したりしますけど。

澤部:いいなぁ…それも、なんか、とびきり中身の濃いCD-Rでしたね。僕が金野さんにダビングしてもらったのは。

松永:んー、でもね、濃いんだけど…それを作ってる様が思い浮かぶというか。なんか楽しそうに、えいっ、えいっ!みたいな感じで作ってるのが見える。それがすごい良いところですね。

澤部:なるほどね…たしかに。

 

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澤部:じゃあ、続いては…

松永:はい。じゃあ次はわたくし松永の選曲でお送りします。続いての曲は、ジグソー(Jigsaw)で"Summertime, Wintertime"。

澤部:ほう…

 

 

Summertime, Wintertime - Jigsaw

(from 『Broken Hearted』)

 

 

(澤部:ジグソーって、あのジグソーですよね?)

(松永:そうです。あの"Sky High"の。)

(澤部:意外とMPS[レーベル]…)

(松永:そう。これはMPSのアルバムに入ってる。)

(澤部:はー…)

(松永:この曲はホント、昔から好きで。DJでもたまにかけるんですけど。"Summertime, Wintertime"でしょ?)

(澤部:うんうん。)

(松永:今年の冬って暖冬で、夏みたいに暑い日もあるから、ちょうどいいかなと思って(笑))

(澤部:(笑))

 

松永:お送りしたのはわたくし松永の選曲で、"Summertime, Wintertime"でした。

澤部:めちゃくちゃ素敵。

松永:ね。構成する要素がめちゃくちゃ多い曲なんですけど。

澤部:うんうん。その…"Sky High"で売れる前?

松永:売れる前ですね。

澤部:はぁ…音もなんか、MPSだから妙に良いしね(笑)

松永:そうなのかな?(笑)まぁでも、"Sky High"感はストリングスの配置とかに…ちょっと上のほうに。

澤部:あー。

松永:ヘッドフォンとかで聴いてる人はわかると思うんですけど、上のほうに配置してるのが…"Sky High"なのかな?みたいな気はしますよね。

澤部:んー。なんか、「レコード芸術」みたいな感じのね(笑)おもしろい曲でした。

松永:はい。

澤部:じゃあ後半は引き続き松永良平さんとお送りしますが、ここで一旦CM。

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[CM]

 

澤部:京都α-STATIONからスカートの澤部渡がお送りしております、NICE POP RADIO。今週はライターの松永良平さんをお迎えしまして、選曲を交互にお聴き頂いていますが、ここで小休止のトークタイム。松永さんは昨年末、新しい本の『ぼくの平成パンツ・ソックス・シューズ・ソングブック』を出されたということで。先週はこの30年間を振り返るような内容でお送り…してましたよね?(笑)

松永:そうですね、してました。はい。

澤部:大丈夫ですよね?(笑)はい。してたんですけれども…なんだろう、どういうことを訊けばいいかな。

松永:うん。

澤部:僕、この後の…noteで連載されてたじゃないですか。

松永:はい。

澤部:noteで連載されてたから、「SideB」っていうのがあって。それも読んでほしい、っていう話をしようと思ってたんですけど。

松永:はい。

澤部:先週、ちょっとしたんですよね、その話を。

松永:そうですね。うん。「SideB」はね、本編に…本の中に入った話と入ってない話があって。

澤部:ね。そうそうそう…まるっと入ってない話もあるし。

松永:一部だけ入ってる話もあるし。

澤部:そうそうそうそう。

松永:そういうのも含めて、この本を作るときに…最初はnoteに書いたやつはデモテープというか。

澤部:あー。

松永:デモ作りみたいなものだから、アウトテイクというかね。結局アルバムには入らなかったトラックとして、そういうのがあっていいんだな、っていう風に自分的には納得させた、というか。

澤部:なるほどね。で、その「SideB」がね、非常に良いんですよね。だから、もしこの本を読んでたら…それこそボーナストラック的な意味合いで…

松永:そうですね。

澤部:松永さんのnoteを、ぜひ見てもらいたいな、なんて思ったりしてます。ホント、この本を編集されて…編集は林さんがやられたんですか?

松永:そうです、そうです。林さやかさんという…元はと言えば彼女もカクバリズムの初期のスタッフで。

澤部:ね(笑)

松永:そうなんです、声をかけてくれて。すごくうれしかったですね。

 

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澤部:他、なんかお知らせとかありますか?

松永:えーと、じゃあお知らせ的なことを言うと、この本の出版を記念して…というか、あちこちに行ってるんですけど。

澤部:はい。

松永:京都に行きます。

澤部:おお!

松永:2月の23日。

澤部:あら、もうすぐじゃないですか。来週だ!

松永:京都の誠光社という書店で、安田謙一さんと。

澤部:おお!

松永:僕が尊敬する大先輩の安田謙一さんと、ダブルレコ発というか…安田さんも『書をステディ町へレディゴー』という本を出されたので。

澤部:最高のタイトルですね(笑)

松永:それのダブルレコ発トークイベントをやります。23日の19時かな?まぁ、Twitterとかいろいろチェックしてもらえれば詳しくわかると思うんですけど。

澤部:ええ。

松永:まだ予約受付中なんですけど、けっこう埋まってきているという話もあるので…

澤部:いいなぁ、行きてぇ…

松永:はい、ぜひよろしくお願い致します。

 

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澤部:えー、そうですね。選曲のほうに戻りましょうか。

松永:はい。

澤部:じゃあ続いてはわたくしでしょうか。えーとね…「SideB」を読んでて、きょうはこのアルバムから1曲選ぼう、と思って選んできました。トニー・コジネク(Tony Kosinec)の"Come and Go"。

松永:おお。

 

 

Come and Go - Tony Kosinec

(from 『Bad Girl Songs』)

 

 

松永:いや、最高ですね。

澤部:ね。僕、去年初めて聴いたんですよ、このアルバム。

松永:あ、ホント?幸せな感じだね、その出会いは(笑)

澤部:(笑)タワレコ新宿がアーティストとかに「私の好きな10枚」みたいのをやってるときに…弊社の社長(角張渉)がこれを挙げてて(笑)

松永:あ、なるほど。

澤部:そういえば聴いたことなかったな、と思って。で、そういう風にしてたら、たまたま吉祥寺のココナッツディスクの新入荷にこれが入ってて。あ、じゃあもう、これはそういうことだ、と思って。買って、初めて聴いたんですよ。

松永:なるほどね。いやー、これはホントにすばらしいアルバムですよ。

澤部:いやー、ホントに良かったっす。

松永:このジャケットの雰囲気とかね、期せずして我々…我々って言いますけど、マンガ好きじゃないですか。

澤部:はい。

松永:その琴線をくすぐるというか…あのままではマンガとしては成立しないかもしれないけど、でも、ああいうイラストを書く人のマンガは読んでみたいと思う、っていうジャケットですよね。

澤部:うんうんうん。すごい…でも、なんか、こういう音なんだ、って思いましたね。

松永:ね。この人もカナダなんで、カナダならではの…なんかね、あるんですよね。

澤部:なんか、変わった感じありますよね。いちばん最後の曲とか、すごいヘンな曲だった気がするな。

松永:けっこう、カナダのアーティストに共通して言える…まぁ、これは俺の個人的な感覚ですけど、「寒さを恐れてない」っていう感じがあって。

澤部:はー…

松永:いろんな意味でね。両方の意味がありますけど。気温的に寒くても平気、っていう部分と、わりと隙間とかが空いちゃって、音が足りなくなっちゃっても平気、みたいなところがある感じがするんですよね。

澤部:うん。

松永:それはやっぱり土地柄、というか。カナダって都市はあるけど、都市と都市の間がすごく離れてるし。あとは全部もう、山とか林とか雪とかだから。そういうところはあると思いますね。

澤部:はー…そう、すごい…最初のアレンジもヘンじゃないですか。

松永:ね。

澤部:ピアノとかすごい遠いし。うわー、すごいカッコいいなぁ、と思って聴きましたね。そう、これが「SideB」に取り上げられてるんですよね。このアルバムが。

松永:はい。

澤部:その感じがすごい良くて…このアルバムをお金がないときに手放しちゃってたんだけれども、それを買い戻すのはなんか違う、っていう話なんですよ。平たく言うと。

松永:そうです。

澤部:で、僕はこのラジオを始めて、自分が金ないときに売っぱらったレコードを平気で買い戻してたんですよ。

松永:(笑)

澤部:なんかね、そこの情緒は忘れていたなぁ、と思いましたね。

松永:あー。まぁ、CDとして買い直すのはね、自分的にはギリギリ「アリ」なんですけどね。

澤部:うんうん。なんか、「売った思い出」に対するね、そういう責任の取り方もあるのか、と思ってね。

松永:まぁ、そこまで厳密に考えてるわけではないですけど(笑)

澤部:(笑)

松永:でもまぁ、このときはそう思っていたし、今も買ってないかな…

澤部:うんうんうん。そうですね。というのがすごい良かったんで…で、「SideB」を読んでほしい、という話をしようと思った、っていうことでした。

松永:なるほど。ありがとうございます。

 

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松永:じゃあ次は、またわたくし松永の選曲でやりますね。

澤部:はい。

松永:シンガーソングライターでつながり…になるのかなと思います。

澤部:おっ。

松永:リッキー・リー・ジョーンズRickie Lee Jones)という有名な女性シンガーソングライターがいますけれども。リッキー・リー・ジョーンズの"Young Blood"という…1stアルバムに入っている曲の、デモヴァージョンというのがあるので。

澤部:へぇ。

松永:それを聴いてください。リッキー・リー・ジョーンズで"Young Blood"のデモです。

 

 

Young Blood [Demo] - Rickie Lee Jones

(from『Duchess Of Coolsville - An Anthology』)

 

 

松永:いや、最高なんですよ、このデモヴァージョンは。

澤部:めっちゃ良いっすね。僕、でも、リッキー・リー・ジョーンズ、素通りしてましたわ…(笑)

松永:アルバムヴァージョンだともう少しAORというか。すごくアレンジされた…ほとんどまったく別の曲になったな、という印象なんですよ。この曲のデモはこんなに奔放な感じだったのか、まさに「Young Blood」だな、という風に思ったんですよね。

澤部:はぁ…

松永:で、彼女は基本ギターで。ということは、ここでピアノを弾いてるのは誰?という話になるんですけど。

澤部:はい。

松永:当時、リッキー・リーはトム・ウェイツTom Waits)と付き合ってて。

澤部:はっ…

松永:ただ、クレジットはなくて。これはね、ライノ・レコードRhino)っていうところから出てた3枚組のベスト盤に入ってるんですけど。一応、わからないことになってると思うんですが、たぶんトム・ウェイツなんですよ。

澤部:はー。

松永:すごく、耳をそばだてて聴くと…

澤部:なんか、男性の声入ってますよね。

松永:聞こえるでしょ?あれはたぶんトム・ウェイツだと思うんですよね。で、ちょっと…ピアノのフレージングも変わっててるし。

澤部:うんうん。

松永:…と、思って聴いてるんですけどね。

澤部:なるほどね。

松永:ちょっとバレンタインっぽくなったかもしれない(笑)

澤部:かもね(笑)リッキー・リー・ジョーンズがジャケに写ってるやつありましたよね。

松永:ありますあります。

澤部:なんだっけ?それが『Blue Valentine』とかでしたっけ?

松永:だったかな?まだその頃は付き合ってるんで…

[*『Blue Valentine』の裏ジャケをチェック!]

澤部:さすが…

松永:このヴァージョンは大好きです。

澤部:めっちゃ良いっすね(笑)そうか、良いなぁ…

 

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澤部:じゃあ、次行きますか。

松永:はい。

澤部:で、最後はちょっと自分の趣味にガン振りしてしまうんですけども。最近、とにかくプリファブ・スプラウトPrefab Sprout)をずっと聴いてるんですよ!

松永:あー、聴いてますね。なんか。ブログチェックしてますよ。

澤部:(笑)すみません…なんだろうな、プリファブも素通りしてたバンドの一つだったんですよ。で、去年『38 Carat Collection』というベスト盤を聴いて、はー、こんなに良かったんだなぁ、なんて思ってたんですけど。で、佐藤優介がすごいプリファブ好きなんで、助言を頼む、と。

松永:はい。

澤部:そしたら「最新作から逆に聴け」と言うんですよ。

松永:あ、なるほど。俺の本のB面方式といっしょというか…

澤部:そうそうそうそう。で、それで『Crimson / Red』っていうアルバムをね、聴くんですけど。優介にも最初注意されたのが「とにかく音には目をつぶったほうがいい」と。

松永:うんうん。

澤部:いわゆる…ベスト盤に入っているような芳醇な中音だったり、芳醇な電子サウンドではない、と。そういう前置きを置いて聴くんですけど、まぁ、それを超えてとにかく曲が良い、と。というわけで、その中でもとにかく曲が良い曲を1曲。

松永:お。いいですね。

澤部:プリファブ・スプラウトで、"Grief Built the Taj Mahal"。

 

 

Grief Built the Taj Mahal - Prefab Sprout

(from『Crimson / Red』)

 

 

松永:でも、今プリファブ・スプラウトを知って味わえる…まぁ、他のトニー・コジネクとかもそうだけど、幸せなことですよ、ホントに。

澤部:いやー、ちょっとね、プリファブに関しては幸せだなぁ、と思いますね。トニー・コジネクはちょっと遅すぎた、っていう気はしますけど。プリファブは…10代とか20代の若い頃とかにパッと聴いて済ませるんじゃなくてホントによかった、って思いましたね…

松永:僕の個人的な話をすれば、プリファブ・スプラウトを初めて聴いたのは…中学生、高校生になってたかな。当時、日曜の深夜に小林克也さんがDJを務める音楽番組があって。そこで1stアルバムの…

澤部:『Swoon』。

松永:『Swoon』から1曲、"Couldn't Bear to Be Special"かな?あれがかかって。

澤部:はー…

松永:これはなんだ?なんて曲?っていう風に耳をそばだてて曲名をメモした、というのを憶えてるけど。

澤部:でもやっぱり、そういう話を聞くと…もっと早く聴いておきゃよかったな、って感じはしますね。

松永:いやいや…まぁ、実際にね、買ったレコードは『Steve McQueen』が最初ですけど。知ったのはラジオでしたね。ラジオで知れてよかったな、と。

澤部:あー、ラジオで聴くといいでしょうね、プリファブとかは…

松永:うん。

澤部:というわけで、聴いてもらったのはプリファブ・スプラウトの『Crimson / Red』というアルバムから"Grief Built the Taj Mahal"という曲でした。

 

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松永:はい。じゃあ次が…僕が今回最後の曲ということで選ばせて頂きましたけど…これがですね、特に解説もなく、とりあえず曲を聴いてください。

澤部:はい。

松永:SACRAで"雲南の風"。

 

 

雲南の風 - SACRA

(from『ついのすみか』)

 

 

澤部:めちゃくちゃ良い…

松永:はい。すばらしいんですよ、SACRAの『ついのすみか』というアルバムなんですけど。

澤部:うん。めちゃくちゃ良いですね…

松永:これは、でもね、リアルタイムではないんですよ。何かのきっかけで…しかも僕じゃなくて僕の奥さんが、当時働いてたレコード屋さんの在庫整理、サンプル盤の整理みたいのをしてたのかな。その中に入っていたんですよ。

澤部:へー。

松永:で、これはジャケットもちょっと気になるし、ということで彼女が家に持って帰ってきて。で、聴いてビックリ、というか。すごいなこれ!っていう。

澤部:うんうん。

松永:たぶん、1991年にリリースされたときは…ほぼ、なんの注目もされなかったと思う。で、後でね…

澤部:再発されましたよね。

松永:再発されたんですけど、再発のCDでもいいんで聴いてほしい…もっと言うと、きょうの選曲の裏テーマというのは、家にあるCDを見直して「CDになってるんだけど配信はされてない」というような曲がけっこうあるんだな、っていうのを見直して…

澤部:うんうん。

松永:まぁ、もしかしたら僕がかけた曲の中でも「いや、この形で配信されてますよ」っていうのがあるかもしれないんですけど。意外とCDは侮れないな、っていうので選んでみたんですよね。

澤部:そうですね。CDはいいですね(笑)僕もね、好きなんですよ。実は。

松永:はい。

澤部:いやー、でもいいな…めちゃくちゃ良かったな。ちょっと…なんだろう、誤解を恐れず言うんだったら、SAKEROCKっぽい、というかね。

松永:そうですね。でも、聞いたらSAKEROCKよりも前だったから…おもしろいですよね。ああいうモチーフで。

澤部:おもしろいですね。すげぇな…めちゃくちゃ良かったなぁ…というわけで、それぞれ4曲ずつ選んでみました。

松永:はい。

澤部:じゃあ、選曲コーナーはここまで。この後はスカート通信。

 

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澤部:京都α-STATIONからスカートの澤部渡がお送りして参りました、NICE POP RADIO。番組はお別れのお時間なんですけども、エンディングも松永さんといっしょにお送りします。

松永:よろしくお願いします。

澤部:よろしくお願いします。えー、スカート通信。スカートのニューシングル『駆ける/ 標識の影・鉄塔の影』が3月18日発売。今年のお正月にサッポロビール箱根駅伝限定CMに使用された新曲"駆ける"のバンドレコーディングヴァージョンと…ボートラでCMヴァージョンも入ってますが。テレビ東京系で放送中の金曜ドラマ『絶メシロード』の主題歌、"標識の影・鉄塔の影"を含む、全9曲ぐらいかな?入ってるシングルになると思います。よろしくお願いします。

松永:お。大盤振る舞い。

澤部:で、ライヴは…2月17日の渋谷CLUB QUATTROフィロソフィーのダンスの自主企画にフルバンドで参加します。そして3月19日の木曜日は、同じく渋谷CLUB QUATTROムーンライダーズのイベントに弾き語りで参加します。弾き語りって言っても、もしかしたら優介といっしょになんかやったり、なんだったらムーンライダーズのメンバーの方といっしょにやる、なんて話もあったりなかったり…こいつは楽しみだ。よろしくお願いします(笑)

松永:なるほど。

澤部:そして、いちばん大事なお知らせが…4月11日の土曜日はスカートデビュー10周年記念公演「新説・月光密造の夜」というのがございます。場所は東京日本橋三井ホールでございます。土曜日開催なんで、よろしかったらみなさん遊びに来てください。チケット発売中。その他の情報はスカートのホームページやSNSをチェックしてください。

 

skirtskirtskirt.com

 

澤部:そして、松永さんからお知らせが。

松永:えー、僕の著書『ぼくの平成パンツ・ソックス・シューズ・ソングブック』が絶賛…絶賛、って自分で言っていいのかわかんないですけど、発売中です。

澤部:絶賛でしょう。

松永:全国の書店で、ぜひお買い上げください。

澤部:はい。

松永:それから…さっきも、2月23日に京都でイベントをやる、と言ったんですけども。これ、Radikoプレミアムとかで聴いてる方もいらっしゃると思うので。

澤部:そうですね。

松永:その前後もありまして。22日は名古屋の喫茶クロカワというところで、GUIROの高倉一修さんと僕のトークをやります。こちらはね、もしかしたらもうSold Outかもしれないんですけど。それから、2月28日は大阪のロフトプラスワンで、VIDEOTAPEMUSICくんと僕のトークを…やっぱりその「平成パンツ」でやります。

澤部:はい。

松永:3月以降もいろいろ予定は決まってるんですけども…Twitterとかインスタとかやってますので、チェックして頂ければと思います。よろしくお願いします。

 

澤部:NICE POP RADIOではメッセージをお待ちしております。α-STATIONのホームページにある"メッセージ"から、番組「NICE POP RADIO」をセレクトしてお送りください。FAXは京都075-344-8940です。番組でご紹介した方にはNICE POP RADIOステッカーをお送りしております。本名・住所・電話番号の記入をお忘れなく。Twitterアカウントをお持ちの方はハッシュタグ、カタカナで「#ナイポレ」を付けてつぶやいてください。

 

澤部:じゃあここで…先週出していたなぞなぞのね、答えを。

松永:ね。いますかね?気になってる人。いますか?

澤部:いや、いる…いてほしいですけどね(笑)

松永:はい。たくさんのご応募があったと…信じます。

澤部:ね。思いたい。まず、どんな問題でしたっけ。

松永:えー、問題は「パンツ一丁で出かけようとしている親戚の男性を呼び止めようとして声をかけている、外人ロックスターは誰でしょう?

澤部:(笑)

松永:これね、光景が浮かび過ぎると惑わされると思うんですけど。

澤部:そうですね。

松永:問題の中に答えは全部あるんですよ。

澤部:うんうん。

松永:まず、親戚の男性…「おじ」。

澤部:そうですね。おじ…?

松永:おじがパンツ一丁で出かけようとしてるんですよ。外へ。

澤部:そうっすね。

松永:で、パンツ一丁じゃダメだろ!って思うじゃないですか。何が必要ですか?(笑)

澤部:(笑)やっぱ、パンツじゃね…まぁ、上が裸なのはいるから…そうなるとやっぱ…「ズボン」ですかね。

松永:で、しかも「親切」なんですよ、この人は。

澤部:そうですね。

松永:だから、ズボンも…敬語でね。

澤部:はいはいはい…(笑)

松永:「おズボン」と言わないか、と…(笑)

澤部:なるほど…(笑)

松永:というわけで正解は「オジー・オズボーンOzzy Osbourne)」でした。

澤部:はい…(笑)というわけで、正解者の方がいれば抽選で。いなければ抽選で。

松永:そうですね。いなければおもしろかった不正解の人でもいいかもしれないですけどね。

澤部:あー、いいっすね。おもしろい不正解とかは番組でご紹介します(笑)

松永:はい、そういう感じです(笑)

 

澤部:えー、じゃあ…きょうはホントに、いろいろ、また素敵な音楽をご紹介頂いてありがとうございます。

松永:いえいえ、ありがとうございます。こういう合戦というか、対抗戦みたいなのはおもしろいですよね。

澤部:そうですね。それぞれ良いカードをね、出せるように…

松永:がんばりました。

澤部:いやー、めちゃくちゃ良かったっす。とりあえずSACRAは買います(笑)

松永:ぜひ買ってください(笑)

澤部:えー、最後にもう1曲、松永さんに選んでもらいました。どんな曲を?

松永:さっきも言いましたけど、CDでは存在するけれども配信はされていなかったり聴きにくかったりする、というのが実は今回の裏テーマだったんですけど。

澤部:ね。うん。

松永:そういう中での僕の最高の1曲を選びました。

澤部:ほう…

松永:ピチカート・ファイヴで"夜をぶっとばせ"、『月面軟着陸』ヴァージョン。

澤部:あー!最高!じゃあ、それを聴いて今週はお別れ。NICE POP RADIO、この時間のお相手はスカートの澤部渡と…

松永:ライターの松永良平でした。

澤部:また来週。

 

 

夜をぶっとばせ - ピチカート・ファイヴ

(from『月面軟着陸』)

 

 

(澤部:これ最高っすよね~)

(松永:最高です。)

(澤部:大好き。)

(松永:これだけ7インチにしてほしいんです(笑))

(澤部:あー、わかるー)

 

 

 

2020.02.09 Inter FM「Daisy Holiday!」より

 

daisy-holiday.sblo.jp

 

H:こんばんは、細野晴臣です。先週から始まったハマ・オカモトくんとの対談。結果、1時間を超えるお話となったので、今週・来週と引き続いてお聴き頂きたいと思います。では、2週目のお話、どうぞ。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

ハマ:そうなんですよね。そう…この間、いまの話もそうですけど。

H:うん。

ハマ:なかなか近年、細野さんとそういう話をしてる人は僕、見ないし。こないだも楽器の話をすごい、して頂いて…

H:そうね、ベースの話ってなかなか訊かれないし。

ハマ:訊かれないですか?

H:最近、ベース弾いてない所為か、ベーシストっていうイメージがないのかな(笑)

ハマ:そうですかね?(笑)そんな…まぁでも、たしかに、それこそ僕より下の世代とか。イベントで…こないだで言うmanakaとか?リトグリLittle Glee Monster)とかは、やっぱり僕が知ってる細野さんとは違う見え方で細野さんを見てるはずじゃないですか。

H:だろうね。うん。

ハマ:たしかに、そういう世代からすると…[細野さんと言えば]やっぱり「歌う」人とか。「ギターを弾いてる」っていうイメージのほうが先かもしれないですね。

H:たぶん、そうなんだろうね。うん。

ハマ:ただ…それこそ『HOCHONO HOUSE』もそうですし、作業をするときって…もはやフラットなんですか?それともやっぱり、「ベーシストをやってた」っていうのはもちろんあるわけじゃないですか。きっと。

H:うん。

ハマ:なんかちょっと、そういう脳になったりするんですか?

H:んーとね、数年前まではなってたかもしれないんだけど(笑)

ハマ:へぇ。でも、数年前までは[わりと最近まで]そうだったんですか?

H:うん。そうだね。

ハマ:へぇ。いまや、でも、もう?

H:なんかいまは、考えなくなってきちゃったね(笑)

ハマ:もう、そこは自然と…というか?

H:うん、なんか、あ、これは入れたいな、って思うとやるくらいで。

ハマ:だから細野さんのベース仕事を…僕もその一人ですけど、見て・聴いてきたファンからすると、最近は[ベースについて]どういう目線で考えてるのかな、っていうのは疑問だったんで。

H:そっかそっか。それはこっちが聴きたい、っていうか…(笑)

ハマ:(笑)

H:やっぱり、[ハマくん自身は]ベースが中心でしょ?

ハマ:そうですね。やっぱり、どうしても職業耳みたいにはなっちゃいますよね。全体を見たい、とは思ってますけど。

H:僕もスタジオでやってる頃はそうだったしね。んー。まぁ、ミュージシャンだったんだよね、僕もね。プレイヤー。

ハマ:はいはいはい、もちろん(笑)

H:最近はそのプレイヤー気質が薄くなっちゃってるね。

ハマ:たしかに、もうちょっと広い目線ですもんね。きっと。いま作られている音楽を聴くと。

H:で、アコースティックベースがすごい好きなのに、自分じゃ弾けないから。

ハマ:はい。

H:伊賀くん(伊賀航)がいてくれて助かってるわけね(笑)

ハマ:そのウッドベースとかは、「やってみよう」みたいなことはあったんですか?

H:一度ね、YMOの頃は何曲かやったことはあるの。"Wild Ambitions"っていう曲とか。

ハマ:はい。

H:でもね、腕が、指が、疲れる(笑)

ハマ:(笑)いやー、でも、ぜんぜん違いますもんね。

H:まったく違う楽器じゃない?(笑)

ハマ:はい。僕も去年から練習してるんですけど。

H:あ、ホント?

ハマ:もう、使うところも違うし。力のかけ方もぜんぜん違うし。

H:違うよね。

ハマ:じゃあ、そういう録音とかでトライはしたけど、弾きこなせる、みたいにはならなかったんですね。

H:そこまではね、考えなかったね。自分には向いてないと思って。

ハマ:でもやっぱり、いま細野さんがライヴでギター弾きながらやられる音楽性にはもう、絶対に欠かせないものじゃないですか。

H:欠かせないんだよ。

ハマ:特に伊賀さんはすばらしいから…エレキもすばらしいですけど。

H:そうそう。ホントに。

ハマ:それはもう、運命的なんですね(笑)きっと。

H:ウッドベースを弾きながら歌うのは大変じゃない。

ハマ:そうですね。

H:そういう人もいるけどね、世の中には。どっちかって言うと、ギターで歌うほうが楽しいから。

ハマ:はいはいはい。ストロークのほうが。

H:そうそう。

 

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ハマ:細野さんって…さっきご自身で「プレイヤーだった」って仰ってましたけど。

H:うんうん。

ハマ:いちばん、なんていうか…ものすごい数こなしてたのって、おいくつぐらいのときなんですか?だいたい。

H:いくつぐらいだろう…30歳ぐらいがピークかな。んー。

ハマ:それは、ティンパン(Tin Pan Alley)としての仕事というか…

H:ティンパンがもう終わって、その後だね。

ハマ:その後か。

H:だから、スタジオにいっぱい呼ばれるようになっちゃって。たとえば大貫妙子のソロだと全曲弾いたりとか。

ハマ:はい。

H:まったく知らない人のセッションに行ったりね(笑)

ハマ:(笑)それはもう、もともと縁がなくて、呼ばれたから行って…

H:行ったりね。うん。

ハマ:そのときは[周りの]ミュージシャンもみんな知らないんですか?

H:いや、なんとなく知ってるけど…たとえば村上ポンタ(村上秀一)とかね。

ハマ:あー、はいはい。ポンタさん。

H:いっしょにやるとは思わなかったんだけど、1,2回やったことがあって(笑)

ハマ:たしかに、なかなかめずらしい…(笑)そうですよね。それはなんの曲だったかも憶えてないんですか?

H:憶えてないんだよなぁ…山下達郎かな?

ハマ:あ、達郎さんの…そうですよね。2枚目(『SPACY』)とかって…あ、でも、細野さんとポンタさんなのかな…

H:そういう取り合わせは憶えてないんだけどね。まぁ、やったことは確かなんだけど。

ハマ:そうですよね。

[*『SPACY』の場合、"翼に乗せて"・"アンブレラ"・"Solid Slider"を除く7曲で共演している。]

H:で、僕がスタジオで胡坐をかいて弾いてたっていうんで、すごい、なんか、それが気に障ったのか…(笑)

ハマ:(笑)

H:ずっとその話をしてるね。

ハマ:ポンタさんがですか?

H:うん。

ハマ:そのとき胡坐かいてて態度悪かった、みたいな?

H:「態度悪い!」みたいなね(笑)

ハマ:(笑)

  

 

素敵な午後は - 山下達郎

(from 『SPACY』)

 

 

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ハマ:その頃って、ワーッといろんな現場をやったりとか。いま仰ったように、あんまり憶えてないようなレベルでめまぐるしくやってたわけじゃないですか。

H:そうなんだよ。

ハマ:だから、事前に練って用意して行くようなものでもきっとなかったと思いますし。

H:ぜんぜん。

ハマ:で、前に細野さんとお話しさせて頂いたときに…まぁ、いまは違うと思いますけど、いわゆるおたまじゃくしを追って弾けるようなタイプではなかった、っていう話を聞いてたので。

H:ぜんぜん。んー。

ハマ:それこそ、コード進行でやっていくわけじゃないですか。

H:うんうん。

ハマ:そのときって…漠然としちゃいますけど、どういう思考でこなしてたんですか?

H:どうかな…

ハマ:もうホント、赴くままだったんですか?

H:赴くままなことは赴くままだけど、もちろん、曲の成り立ちがあるわけだから。その中でリズムと…まぁ、ドラムの人と考えるんだよね。パターンをね。リズムパターンから入って行って。

ハマ:なるほど。

H:まぁ、そんな、打ち合わせはしないんだよ(笑)音を出してみるっていうだけで。

ハマ:サウンドチェックしながら、ああ、こういう風にやりたいんだな、みたいな。

H:そうそう。で、自分なりにベースでリズムを弾き出したりすると、ドラムスが追いかけてきたりして。なんとなくそうやって出来てくる、っていう。

ハマ:またその逆もあるというか。ドラムの人の…

H:そうそうそう。「あ、それいいね!」とか言いながら作っていく感じね。

ハマ:あー…今って、デモとかが事前にあって…僕もそうやってお呼ばれすることが多いんですけど。

H:うん。

ハマ:まぁ、送られてくるじゃないですか。だから、だいたいのパターンみたいなのはある程度提示された上で…

H:今はそうだよね。うん。

ハマ:その上で「自由にやってください」とか言われるんで、それもそれでちょっと困るんですけど。もうスケッチがあるから。

H:自由じゃないよね(笑)

ハマ:ある意味そうなんですよね(笑)でも、細野さんの時代は、もう…

H:ホントに自由。

ハマ:「1回デモ聴いてみよう」みたいなことすらないんですよね?

H:ないの。いきなり始まるから。

ハマ:それは、歌い手とか作った方もいて、ホントにみんなでやっていく感じなんですか?その場で、1回で。

H:いない場合もあるけどね。アレンジャーはいるね。

ハマ:メロディーはどうしてたんですか?

H:どうしてたかな…(笑)

ハマ:ないときも…ホントにインストを考える、みたいなときもあったんですか?

H:そういうときもあるよ。

ハマ:あー、まぁそうですよね。

H:たとえば…当時は「インペグ屋さん」っていうのがいてね。

ハマ:はい。

H:ミュージシャンを電話で雇うわけだ。「何月何日、1曲だけど」とか言われたりね。2曲とか。あるいはアルバムとかね。

ハマ:うんうん。

H:そういうときに…ぜんぶ受けるわけだ。

ハマ:なるほど、やりますやります!って(笑)

H:芸人みたいに(笑)断らない。

ハマ:(笑)

H:で、行ってみると…ビックリするようなことがいっぱいあったわけ(笑)

ハマ:あー、なるほど。もう、蓋を開いたら…

H:そうそうそう。ビックリして…怯えたりね。

ハマ:それはもう、想定外の楽曲であるとか…っていうことですか?

H:想定外。そうそう。たとえば…あれは誰だったんだろう?んー、誰だっけな。野口五郎なのかな。

ハマ:おお…(笑)

H:そういうこともよくわかんないまま…

ハマ:あ、なるほど!そういう想定外ですね。

H:そうそうそう。

ハマ:楽曲がトンデモっていうことじゃ…そういうのもあるかもしれないですけど。「この人のだったんだ!」っていうビックリ。

H:要するに、歌謡曲だから。で、オーケストラも同時に録るんだよ。

ハマ:ほう…

H:たぶんね、ニューハードオーケストラのメンバーだったと思う。で、僕、あろうことか遅刻してって…(笑)

ハマ:(笑)

H:みんなスタンバってて…(笑)で、前の席が空いてて、そこなんだよ、僕はね。

ハマ:もう、みんなの前に…

H:腰低くして、すみません、って言って。で、もう、すぐ始まるから。

ハマ:そうですよね。

H:ベースのチューニングをしながら1回リハーサルをやったりして。

ハマ:流れを聴いて。

H:で、目の前にある譜面にはおたまじゃくしが書いてある。んー、ドレミファソラシド…とか思いながらいろいろ…(笑)

ハマ:(笑)そう、ね、さっき仰ってたみたいに、パッと弾けるわけではじゃないですか。

H:初見はできない。

ハマ:ですよね。

H:まぁ、なんとなくはわかるから。で、聴くと…なんてことはないわけだ。

ハマ:なるほど。この景色に惑わされてるだけで。

H:そうそうそう。だから、だいたいのおたまじゃくし通りに弾いて。だんだん自分なりにやって。それでも別にアレンジャーは怒らないし。そういうのを望んでいるんだろうし。

ハマ:へぇ。なるほど。

H:で、テイク2とか3で終わっちゃうんだよね。

ハマ:んー。いや、でもそれもすごいですけどね。その緊張感はやっぱり…

H:緊張した…

ハマ:ですよね。計り知れない…今やもう、やっぱり…ヘンな話、何回もできるわけじゃないですか。コンピューターもあるし。当時はね…

H:そうなんだよ。いちばん緊張したのは、前田憲男さんのセッションだね。

ハマ:へぇ…

H:それはね、ティンパン…林立夫鈴木茂、僕の3人で。前田さんはエレクトリックピアノフェンダーローズを弾いて…いきなり、譜面がバンッて渡されて、ぜんぶ書き込んであるわけね。これは緊張したね(笑)

ハマ:(笑)え、どうしたんですか?

H:で、なんにもしゃべってくれないんだよ。

ハマ:へぇ…

H:怖いの。ぜんぜんコミュニケーション取ろうとしてくれないの。

ハマ:はいはい。

H:とにかく、やんなきゃダメなの。

ハマ:もう、ウワーッと…フルで使い切って、読解して…(笑)

H:でも、なんとなくできたんで(笑)それは録音物、残ってるけどね。

ハマ:うん。それはもう、ハッキリ憶えてるんですね、細野さん(笑)

H:憶えてる…いちばん緊張したの、それ。怖かった。

 

 

デサフィナード (Desafinado) - 前田憲男 meets Tin Pan Alley

(from 『Soul Samba: Holiday In Brazil』)

 

 

ハマ:立夫さんも茂さんも、そういうのは当時、あんまり強くなかったんですか?細野さんと同じく…初見でドーンみたいのは。

H:おんなじだと思うよ。

ハマ:あー。じゃあ、まぁ、同じくでしょうね、お2人も…

H:みんな緊張してたと思う。うん。あとはやっぱり…僕より上の世代の作曲家たちは書き込んで、きっちり作るわけだ。アレンジもするから。

ハマ:はい。

H:たとえば、筒美京平さんに呼ばれて…あれはなんだっけな、南沙織だったかな?もちろん本人はいないんだよ。シンガーはいない。で、それもぜんぶ書き込んである。

ハマ:へぇ…

H:スタジオで譜面見ながらうーん…とか言いながら。どうしよう、と思ってるうちに先生が入ってきて。筒美さん。

ハマ:筒美先生。

H:いきなりね、指揮を始めるの(笑)で、えー!と思って…(笑)

ハマ:(笑)

H:これが、それまでの業界のシステムなんだろうね。

ハマ:うんうん。

H:で、我々はそんなの初めてだから。昔の…僕より上の先輩たちはそうやってやってたわけだから。

ハマ:そうですよね。やっぱりジャズとかですもんね、ルーツが。

H:そう。だから、僕の上の世代のスタジオミュージシャンのベーシストって言うと、江藤勲さんっていう人がいたわけ。

ハマ:はいはいはい…

H:その人はそういうプロ、ですよね。んー。

ハマ:そんな中で細野さんとか…いまお名前が挙がりましたけど、立夫さんとか茂さんとか。松任谷さん(松任谷正隆)とか。

H:うん。

ハマ:もうちょっと、こう、ヘッドアレンジというか。

H:そう。なんかもう、仲間内のセッションだから、すごい気が楽だし。楽しいわけだ。

ハマ:そうですよね。でも、それこそ細野さんがいま仰ったように、そこまでは…まぁ切り替わりはどこかっていう話ですけど、ずーっとそういうおたまじゃくしが当たり前のルールで。

H:そういう時代があったんだね。うん。

ハマ:その最中というか、まだその名残がある中で細野さんたちが始めるわけじゃないですか、ヘッドアレンジを…

H:そうそう。

ハマ:まぁ、後から付いた名前かもしれないですけど…そういう、コード進行でいいねいいね、って言いながらやって行くっていう。

H:これはね、はっぴいえんどロサンジェルスに行った影響なんだよね。

ハマ:へぇ。

H:レコーディングしたときに…カーヴィー・ジョンソン(Kirby Johnson)っていうアレンジャーが附いて、ブラスを入れたりしてたんだけど。

ハマ:うんうん。

H:そのときの譜面を見ると、やっぱり…まぁ、ブラスは書き込んであるけど。リズム隊の譜面っていうのはコードとリズムの…セクションごとに、リズムが必要なところだけ書いてあるとかね。

ハマ:へぇ。

H:それの影響がすごい強いね。

ハマ:それはけっこう、ウキウキしたんですか?行ったときに。ここはもうお任せ、っていうか。

H:まぁ、自分たちの曲だからね。知ってるんで。

ハマ:あ、そうか。そうでした。

H:ああ、こういう風に書くんだ、っていう。ノーテーション(notation)っていうんだけど、筆記法。日本はカチンカチンで、クラシックみたいな…(笑)

ハマ:たしかに。

H:でも、ロサンジェルスのセッションではコードネームだけだ、ってことはそこで初めて知って。

ハマ:はい。

H:なんか、譜面用のペンで書かれてて…カッコいい!って思って(笑)

ハマ:へぇ。じゃあその感覚を持って帰って、自分たちのセッション仕事に反映していった、ってことですよね。

H:そうそう。だってそれまでは…ノートとか藁半紙にコードネームと小節を書いて…五線紙じゃなくて(笑)

ハマ:ノートとかに…(笑)

H:そういう時代が長かったから。

ハマ:そうか…いま、全員じゃないかもしれないですけど、僕ら…僕がやってるバンドもそうですし。

H:どういう風にやってんだろ?

ハマ:僕らも…もちろん、デモみたいなものは作った人から送られては来ますけど。ただやっぱり、特にリズム隊とかに関してはフリーですし。バンド以外のときもそうですけど、僕が録音するときに置くのはコードの進行表くらいなので。

H:それは、五線紙で?

ハマ:五線紙じゃないときもありますね。

H:あ、やっぱり?(笑)

ハマ:自分のメモのときとかもあります。なので今回…それこそ「細野観光」を拝見して、細野さんのノートとかメモとか残ってたじゃないですか。

H:はいはい。

ハマ:うわ、すごいな、物持ちいいな、とか…(笑)

H:(笑)

ハマ:いやホント、究極の「物持ちいい」じゃないですか。細野さんの場合は。

H:物持ちがいいっていうよりも、捨てない、っていうだけなんで…(笑)

ハマ:でも、あれがああいう形で残ってて、うわー、なんてことを思ってたんですけど。

H:うん。

ハマ:僕も今回、自分の本でこうやってやるってなったら…僕、呼ばれたセッションで頂いたコード進行表、ぜんぶファイリングしてて。

H:おお。やっぱり捨てないよね、あれは。

ハマ:捨てないですね。で、いろいろ段ボールを漁ったら、僕も残してて。

H:みんなそうなんだよ(笑)

ハマ:はい、僕もけっこう出てきて、ノートが。で、いまの話を聴いてやっぱり細野さんもそうなんだな、と思ったのと。

H:うん。

ハマ:それこそ、ヘッドアレンジの手法が…ロサンゼルスから持って帰って来た、みたいなお話もありましたけど。

H:うん。

ハマ:やっぱり細野さんたちが…やってくれたっていうか、あの時代にそういう風に進めた、広めたおかげがあるから、僕らのいまのやり方もあるな、ってすごい思いますね。

H:んー。

ハマ:そういうものが広まらなくて、引き続き譜面の世界だったら…それはそれで音楽でしょうけど、作られる物のニュアンスがぜんぜん変わりそうだな、と思って。

H:ある程度、ミュージシャンに与えられた自由があるほうが…なんて言うんだろう、おもしろいものができるよね。

ハマ:そうですね。やっぱり、極端に言うとその日の体調とか。

H:体調は関係あるね(笑)

ハマ:そうですよね(笑)あとはそのときに聴いてる音楽とか。自分の中の流行りとか。

H:そうそう。それは大事よ。

ハマ:ああいうものが…指定され過ぎると反映させる隙間がないですけど。ヘッドアレンジ方式でやれるんだったら、そこはふんだんに出そうと思ったら出せるじゃないですか。もちろん、細野さんが言ってたように曲の成り立ちとかは大事ですけど。

H:うん。

ハマ:僕は幸い、自分のバンドもそうですし。それこそ星野さん(星野源)も基本、そういうやり方で進められる方なんで。

H:はいはい。

ハマ:初めて会ったときに、お互い楽譜がちゃんと読み書きできないって…「僕もなんです」なんて言って。それで録音が始まったので。やっぱりそういうほうが楽しいなと思うし。

H:うんうん。

ハマ:僕が携わらせてもらう現場はほとんどそういう空気のとこが…ありがたい話、多いんですけど。

H:うんうんうん。

ハマ:だから、そんな中でのびのびやる、っていうか。やれるのは、元を辿ればホント…いまの話を聴いてると、細野さんたちの経験から基づいた「輸入」っていうか(笑)

H:そうね。輸入した。

ハマ:方式を輸入したのはすごく大きかったんだなぁ、と。改めて思いますね。

H:そうかそうか。

ハマ:おかげさま、というとアレですけど(笑)

H:たしかに、それまでとは違うことを「輸入」したね。たしかに(笑)

ハマ:いやー、ぜったいそうですよね!まぁ、細野さんは自分の話ですしね。きっと、なんかの策略があってやったわけではないと思いますけど。「自分に向いてたから」っていう。

H:そうね。そういうのって、楽しいことの一つだからね。

ハマ:うん。でもそのおかげで…そういう遺伝子っていうか。めちゃくちゃ受け継がれてるんだろうな、っていうのはすごい思いました。

H:だとしたら、それはおもしろいな。誰かが受け継いでる、とはぜんぜん思ったことはないんだけど。

ハマ:うーん。

 

 

風来坊 - はっぴいえんど

(from 『HAPPY END』)

 

 

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★2020.02.07 α-STATION FM KYOTO「NICE POP RADIO」より

 

 

 

 おばけのピアノ - スカート

(from 『ひみつ』)

 

 

澤部:お送りしましたのはスカートで"おばけのピアノ"という曲でございました。こんばんは、スカートの澤部渡です。京都α-STATION、毎週金曜日午後8時からはNICE POP RADIO。今週もわたくしの選曲とおしゃべりにお付き合いください~。えー、119回目の放送でございます。今週・来週はゲストに音楽ライターの松永良平さんをお迎えしまして…まぁ、もう既にスタジオにはいらっしゃるんですが…(笑)

松永:はい。こんばんは。

澤部:こんばんは、よろしくお願いします。

松永:よろしくお願いします。

澤部:番組にはおよそ2年ぶりに出演して頂く松永良平さんなんですけれども、1週目の今夜は昨年末に発売された12年ぶりの著書『ぼくの平成パンツ・ソックス・シューズ・ソングブック』についてお話を伺いつつ、本にまつわる楽曲をたっぷり聴いていこうと思っております。よろしくお願いします。

松永:よろしくお願いします。

 

澤部:番組ではみなさんからのメッセージをお待ちしております。α-STATIONのホームページにある"メッセージ"から、番組「NICE POP RADIO」をセレクトしてお送りください。FAXは京都075-344-8940です。番組でご紹介した方全員に西村ツチカさんデザインのNICE POP RADIOオリジナルステッカーをプレゼントしています。なので、メッセージ内にお名前とご連絡先の記入もお願いします。番組のTwitterハッシュタグ、カタカナで「#ナイポレ」もチェック。ツイートよろしくお願いします。そして、京都のレコードショップJET SET KYOTOのお店にNICE POP RADIOのコーナーを作って頂いています。番組で紹介したレコードも展開されていますので、ぜひチェックしてみてください。 

 

澤部:で、ここで1曲聴いてもらいたいんですけれども、メッセージが…1月のテーマメールが「2019年のよかった音楽」とのことだったんですけど、ここで北海道札幌市のたむさんから頂いています。

私の2019年よかった曲は影山朋子さんの"かくれんぼ"です。影山さんは森は生きているのサポートをされていた方で、この曲が収録されたアルバム『光の速度、影の時間』が初のソロということです。その作品の最後に収録された曲が"かくれんぼ"ですが、元「森」のメンバーで固めており、あのバンドの感じが鳴っていて感動しました。解散したバンドが別の場所で再会するというのは、曲とは別の話ですがとても大好物!スカートとも近いところで活躍していたバンドですので、ぜひ澤部さんにも聴いてもらいたいです!

と、言ってくださっています。僕、まだこれは聴いてなかったんですけども、さっき、こんなメールが収録前に来てましたよ、なんて言ってたら、松永さんはもちろん、既に…

松永:良い曲ですよ(笑)

澤部:(笑)

松永:すごい良い曲です。

澤部:はい、お聴きということで…まぁ、これはもう絶対間違いないだろう、と。普段だったら聴いてからかけるんですけど、ちょっと今回は飛び級で…(笑)僕もオンエアまでにはもちろん聴くんですけども。ということで、聴いてもらいましょう。影山朋子さんで"かくれんぼ"。

 

 

 かくれんぼ - 影山朋子

(from 『光の時間、影の時間』)

 

 

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[CM]

 

澤部:京都α-STATION、NICE POP RADIO。ここからはゲストをお迎え…というか、まぁ、ずっといて頂いているんですけれども…(笑)松永良平さんでございます。

松永:こんばんは。音楽ライターの松永良平です。

澤部:はい。どうもどうもどうも…

松永:おひさしぶり、という感じもしないですが(笑)この番組ではすごい、おひさしぶりなので。

澤部:そうですね。2年ぶりの…そんな気がしないんですけどね。不思議なもんで。

松永:そうですね。

澤部:びっくりしました、2年ぶりということで。また来て頂けて、とてもうれしく思います。

松永:ありがとうございます。

澤部:ではまず、僕から松永さんのプロフィールを紹介したいんですけれども…ここで松永さんもよく知っているあの方からのコメントを聴いてもらいましょう、とのこと。

 

角銅:α-STATIONをお聴きのみなさん、そしてスカート澤部さん。こんばんは、角銅真実です。澤部さんには去年…たしか、神戸であったライヴの会場で会ったり。実は、都内の…東京のライヴハウスの前で見かけたりとかしてるんですけど、恥ずかしくて声をかけられなくて。遠くからいっつも見てます!これからもよろしくお願いします。

(澤部:そんな!ありがとうございます(笑)よろしくお願いします。)

角銅:えーと…わたくし角銅真実は先月、1月22日に新しいアルバム『oar』をリリースしました。このアルバムは私にとって初めて「歌」にフォーカスしたアルバムで…オリジナル曲も始め、カヴァーの曲も入った全13曲のアルバムになっています。いろんな楽器や、楽器じゃない音も入っているので、ぜひ耳をすませて聴いて頂けたら…耳をすませなくても、いろんなところで音楽が流れたらいいなぁ、と思いながら作りました。ぜひ、ニューアルバムの『oar』をチェックして頂けるとうれしいです。

(2人:(笑))

角銅:そして、きょうのNICE POP RADIOには私もよく知っているライターの松永良平さんが出演されているということで…

(松永:すごい展開だね(笑))

(澤部:(笑))

角銅:私から松永さんのプロフィールをご紹介させてください!

(2人:(爆笑))

角銅:音楽ライターのほか、翻訳や編集のお仕事もされている松永良平さん。大学入学のために上京後、レコード店勤務を開始。卒業後、友人たちと立ち上げた音楽雑誌『Rhythm & Pencil(リズム&ペンシル)』がきっかけで執筆活動を開始。現在も雑誌・Webを中心に記事執筆、インタビュー、ライナーノーツ執筆などを行われつつ、時々イベントDJなどもされています。えーと…私も松永さんにはとってもお世話になっていて、ライヴにもよく来てくださったり、その後に飲んだりして、いろんな音楽の話を聴くのが毎回楽しいです。猫の話もしています。

(澤部:(笑))

(松永:猫友達なんで…(笑))

(澤部:あー。)

角銅:松永さん、これからも元気でいてください!

(澤部:(笑))

角銅:ということで、以上、角銅真実でした。ありがとうございました………大丈夫ですか?(笑)

 

澤部:すごい角度の…(笑)

松永:すごい展開だった(笑)

澤部:ね、プログレが過ぎる(笑)

松永:いやー、素晴らしいですね。

澤部:ありがたいです。

松永:今後、雑誌とかそういうので仕事するときは、自分のプロフィールは文字じゃなくて今の音声で提出したいです。これですね、って。音声ファイルで(笑)

澤部:新しすぎる(笑)

松永:いや、ホントね、角銅さんとは…普段は角ちゃんと呼んでますけども。いろんな話をするんですけど。まぁ猫話が多いですね。

澤部:いいっすよね。うちも実家は猫いるんで…猫はいいですよねぇ。

松永:いいですよね。1回ね、何人かでライヴ終わりにタクシーで移動するときがあったんですけど、そのときに猫の話になって。彼女が飼ってる猫の名前を…なんて言うの?って訊いたら、「キリンです」って言ったら、運転手さんが、フッ、って笑っちゃって(笑)

澤部:(笑)

松永:運転手さんが俺らより先に回り込んで笑ったっていう、すごい良い話があるんですけど。

澤部:めっちゃ良い話っすね(笑)「キリン」って名前なんだ(笑)

松永:そうそうそう(笑)

澤部:角銅さんらしい、というかね(笑)

松永:良い名前ですね。

澤部:前に…レコーディングのときに角銅さんのマリンバ借りたなぁ。"忘却のサチコ"っていう曲で。

松永:はいはいはい…マリンバだけ借りたの?

澤部:そうそうそう。もう、こんなに鳴らすの難しかったんだ、と思って。来てもらえばよかった!って、ホントに思いましたね。

松永:ね。なかなかマリンバっておもしろいですよね。好きな楽器です。

澤部:うんうん。あんなに難しいとは思わなかった。

 

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澤部:はい。というわけで、角銅さんのアルバムからは後で、もう1曲聴いてもらうとして…ここで話を松永さんに…『ぼくの平成パンツ・ソックス・シューズ・ソングブック』に戻したいと思います。昨年の12月17日に発売になりまして。おめでとうございます。

松永:ありがとうございます。

澤部:12年ぶりなんですね。

松永:…まぁ、数えると12年ぶりなんですよ。その前に出した本っていうのがインタビュー集で、『20世紀グレーテスト・ヒッツ』っていう、これまた大きく出たタイトルだったんですけども。

澤部:(笑)

松永:その後も[他の]人の本作ったり、編集…『音楽マンガガイドブック』っていうのでは澤部くんにもライターで参加してもらったし。

澤部:うんうん。

松永:いろいろ作ってはいたんで…言われてみれば干支一回りするぐらい出してなかったんだなぁ、というのは自分でも意外な感じでした。

澤部:そうでしたね。で、その出版を記念してココナッツディスク吉祥寺店で行われたトークイベントぶり…

松永:そうですね、ぶりでした(笑)

澤部:あ、でも新年会…カクバリズム新年会がありましたね。

松永:それはね…[トークイベントよりも]前です。

澤部:あ、そっか、前か。

松永:そういうのもありました。

 

澤部:僕、トークショーをやる前にココナッツディスクに入って松永さんと棚見てたら、「さわまんはデニス・ランバート(Dennis Lambert)とか好きだから、きっとこのアルバムも好きだよ」って言って…

松永:あー、そうそうそう。ありましたね。たまたまあったんですよ、目の前に。

澤部:そうそう。棚にささってて。じゃあもう、今すぐ買います!っつって買ったアルバムがあって。じゃあそこから1曲聴いてもらいましょうか。

松永:はい。

澤部:えー、ゴーゴニ,マーティン&テイラー(Gorgoni, Martin & Taylor)で"Somethin' About the Sunshine"。

 

 

Somethin' About the Sunshine - Gorgoni, Martin & Taylor

(from 『Gorgoni, Martin & Taylor』)

 

 

松永:ホントにこれはね…ヴァン・ダイク・パークスVan Dyke Parks)へのコンプレックスというか、アンサーソングというか。アンサーソングかな?たぶんね。"Somethin' About the Sunshine"だもんね。

澤部:あー、なるほどね…

松永:「サンシャインについてちょっと言いたいことがある」的なことですから…(笑)

澤部:(笑)すごい、でも…異色の曲ですよね。アルバムで言うと。

松永:ね。他はもうちょっと無骨なね、男っぽい曲も入ってるし。

澤部:もうちょっとメジャー7th感のあるさびしい曲とかも入ってたりするんですけど。なんというか、職業作曲家の人たちがムキになるときってたまにあるじゃないですか。

松永:はいはい。

澤部:なんか、そういうところなのかな、と思って。

松永:あー。「俺らだってこんぐらいできんだよ」みたいなね(笑)

澤部:そうそう(笑)

松永:それはあると思いますね。

 

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澤部:ということで、松永さんの本『ぼくの平成パンツ・ソックス・シューズ・ソングブック』についてお話をしていきたいと思います。

松永:はい。

澤部:じゃあ、簡単にご紹介いただいてもいいですか?

松永:はい。まぁ、簡単にもなにも…平成元年というのが1989年なんですけど、その年、僕は20歳になったばっかりで…1968年生まれなんで、前の年の10月に20歳になって。で、平成が終わる31年は51歳。だから、その20歳から51歳までの30年間を1年ごとに、いろんなエピソードを思い出しながら書き留めていった本なんですけども。

澤部:うんうん。

松永:元々、本にするつもりもなく…

澤部:はいはいはい。あの、noteにね。

松永:Webのブログで…それこそ去年の、平成31年の1月1日になんとなく思い立って。こういうのを書いておけばいいんじゃないかな、と思って。最初はすごい軽い気持ちで始めたんですよ。1年を1日…短い量で、メモ書きみたいな感じでやればいいのかな、と思って…思ったんですけど、書いてみたら意外とおもしろかったから。

澤部:うん。

松永:あと、まぁ、人に読んでもらうにはどうしたらいいのかな、と思ったんで「ソングブック」…1曲選んでやる、というのはね。僕の好きな作家の別の本でソングブックというのがあって、そのアイディアをちょっと拝借して。で、それを合体させて。

澤部:はいはいはい。

松永:なおかつ、タイトルが必要だな、と思ったんで…まぁ平成の話だし。なんかね、「平成パンツ」っていう言葉をパッと思いついたの。その理由は忘れましたけど。きっかけは。で、「僕の平成パンツ・ソングブック」だったかな、最初は。

澤部:はいはい。

松永:だけど、あれ、パンツだけ穿いてもしょうがないな、と。

澤部:(笑)

松永:靴下とか靴も履かないと外には出て行けない。で、意外とその平成30年の歴史…まぁ歴史っていうほど大したものじゃないんですけど。自分が大学生だったり、レコード屋だったり、無職だったり、ライターだったり、っていうのを経て外に出て行く時代の話だとしたら、やっぱりちょっと、パンツだけだと出て行けないな、と思いまして(笑)

澤部:そうですね(笑)

松永:それでソックス・シューズというのをくっつけて…長いかな、とも思ったけど、とりあえずそれで始めてみようと思ったのが1月1日ですね。

 

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澤部:そうなんですね。で、そこから着々と更新されていって。

松永:そう。何日か書いた時点で…2つあって。1個は、平成30年間のことを書けばいいんだな、と思ってた。2018年の12月31日まで書けばいいんだ、と思ってたら、平成31年が4月30日まである、っていうことを発見して…発見というか、それは最初から決まってたことなんだけど(笑)

澤部:はいはい。

松永:だからこれ…4月30日まで書き終えないと、つまり31年のことまで書かないと完結しないんだな、と思ったのが1つと。

澤部:うんうん。

松永:あと、書いてみたらやっぱり、いろいろ思い出すことが多くて。備忘録みたいな感じでは行かないのかも、と。なんか長くなってきちゃって。元々ホントはそんなに長くするつもりはなかったんですけど、1章1章をね。

澤部:うん。

松永:…っていうのの積み重ねですかね。うん。

澤部:そして、本になるわけですね。

松永:はい。書いてるときに、いろんな友達とか知らない人からTwitterとかで「おもしろい」みたいな声が上がってたんで、これはもしかしたら瓢箪から駒で…意外といけるかも、と思ったんだけど、4月30日まで書き終えて、どうだ書き終えた!ドヤ!みたいな感じだったんだけど、無風状態がしばらく続きまして。

澤部:あー…

松永:けっこう半年ぐらいはもう、なかったもの、というか、終わったものとして考えていましたね。はい。

澤部:そうか…

松永:で、9月の終わりくらいだったと思うんですけど、知り合いの編集者の林さん(林さやか)に声かけてもらって、話が進み始めた…っていう感じです。

松永:で、そのときに「平成の話なんで平成の余韻が残る…つまり2019年のうちに出せますか?」って訊かれて。

澤部:あー…

松永:それが条件だったの。で、どうだろう。9月の末、ほとんど10月になるぐらいにそういう話をしてるんで、はたして間に合うのかしら?じゃあ、年内いちばん最後の発売日に設定すれば間に合うのかも、みたいな話をして。で、あるいは…俺もね、ちょっと弱気になって、来年の5月1日に出すのはどうですか?みたいな(笑)

澤部:(笑)

松永:「それはなんですか?」って言われたんで、いや、平成終わって1周年…(笑)

澤部:一周忌(笑)なるほどね(笑)

松永:でも、「そういう数え方をする人はいません」という風になったんで…(笑)

澤部:たしかにそうですね(笑)

松永:がんばって去年のうちに出せました。はい。

 

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澤部:そう、僕もそのnoteの連載を…最初のほうはWebでちょぼちょぼ読んでたんですよ。そうしたら本になる、と…だから僕、だいぶ後のほうになって読んでたんです。気付かなかったんですけど。

松永:いえいえ。やってますよ、っていうのもそんなに言ってなかったから。

澤部:いや、でもね、[ブラウザの]タブでずっとnoteのページを開いてたんですよ。で、半分ぐらい読んだかな、っていうときに本が出る、ってなって。あ、じゃあ本で読もう、と思ったんですよね。

松永:なるほど。

澤部:で、そうして本が出たと思ってたら「B面」の存在を知って。

松永:はいはい。そうなんです。

澤部:それで…本読んだ後にB面読みましたね。

松永:はい。B面の存在はね、ホントは澤部くんみたいな人に気が付いてほしかった。ホントに(笑)

澤部:(笑)

松永:まぁ、元はと言えば…1日1年くらいのつもりで書いてたから、早く書き終わっちゃって。2月の半ばくらいにはもう30年まで行っちゃって。で、どうしようかな、このまま4月30日まで何かが起こるのを待っているだけ、というのもつまんない気がしたんで。ひっくり返して、だんだん若くなっていくというのもやればいいのかも、後で思い出した話とかもあるし、と思って、それでB面を始めたんですね。

澤部:うんうん。

松永:始めてみたらいろいろ思い出すこともいっぱいあったし。なおかつ、名刺代わりの仕事とか友達を得ていた自分がだんだん無職になり、さびしくなり、彼女もいなくなり、みたいな。

澤部:(笑)

松永:あ、逆戻りするってこういうことなんだ、っていうのはすごく思いましたけどね。

澤部:あれはすごいよかったですね。あの、なんだっけ…CDの査定に行ったらカッターで十字にキズを入れている人がいた、みたいな。

松永:そうそうそう。あの頃はね、CD時代のそういうオカルト的な…

澤部:そんなのあったんですね。

松永:ありましたよ。十字もあったし…あと、緑色のマジックで塗ると音が良くなる、という迷信が信じられていたんで…その方が持っているCDはほぼ全部、緑色のマジックが盤面のほうに塗ってあって…

澤部:へぇ…

松永:すみません、これは買えないんですけど、って言ったら、「え!なんで?音が良くなるんですよ!」みたいな(笑)

澤部:(笑)

松永:っていう時代もありました。

澤部:そうなんですね…いや、それ全然知らなかったんでビックリしました。

松永:ね。だから、メディアとしても…よく考えたら、最初はCD時代で、90年代に「渋谷系」や「Suburbia」の影響でアナログをみんな買う時代があって。で、また落ち込んで。で、今はまたアナログをみんな買う、みたいになってるから。そういうのも書いてておもしろいな、と思いましたね。

 

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澤部:ホント、30年の物語をしっかり読むなんてことはあんまりない、というかね。そういう意味でもすごい貴重だった気がしますよ。

松永:ま、「俺の」ですけどね。とはいえ。

澤部:いやでも、それがね、大事なんですよ。やっぱね、その、なんつーんだろうな…ヘンな話をすると、「誰だよ」って思われるような人もいるかもしれないけれども、「誰か」の記録が残ってるっていうのはめちゃくちゃ大事だと思うんですよ。

松永:あー。

澤部:いち個人の記録…その人の物語がここに残ってるっていうのがホントに大事で。だからむしろ…例えばラジオを聴いて、松永さんのことを知らない人が今あえて読むっていうのはめちゃくちゃ良いと思うんですよね。

松永:あー、なるほどね。

澤部:だから僕らみたいに、昔からNRBQとかの解説で松永さんのことを知っていて…とかじゃなくて。松永さんのことは知らなかったけど音楽が好きな人がいたらぜったい読んでほしい。という意味で、こうやって本になってるというのは非常に最高の形だなぁ、ってね、思いましたよ。

松永:ホントですか。ありがとうございます。

 

澤部:というわけでNICE POP RADIO、この後の選曲コーナーは「ラジオ版『ぼくの平成パンツ・ソックス・シューズ・ソングブック』」ということで、本の目次を開いて1章から1曲ずつ松永さんに4曲、選んで頂こうと思っております。その前に、もう1曲ご紹介しましょうか。僕が松永さんを最初に知ったのは…このラジオに来てもらったときも話したと思うんですけど、NRBQの『Transmissions』っていう…

松永:はい。日本だけで出た…

澤部:はい、編集盤のライナーを読んだのが最初で。そこに書かれてたリユニオンライヴの話とかがすごい楽しくて。で、それでもう、最高…とか思ってたんですね。なので、そのコンピレーションに入ってる、ここでしか聴けない楽曲を1曲、聴いてもらおうじゃないか、と。

松永:はい。

澤部:ということで、NRBQの"Beautiful Lover"という曲を。

 

 

Beautiful Lover - NRBQ

(from 『Transmissions』)

 

 

[*同曲は後年、テリー・アダムス(Terry Adams)が自身のソロアルバムでセルフカヴァーしている。]

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[CM]

 

澤部:京都α-STATIONからスカートの澤部渡がお送りしております、NICE POP RADIO。この番組ではわたくしスカート澤部渡オススメの音楽、金曜のこの時間にピッタリの音楽をたくさんお送りしている…ところなんですけれども、ここからはライターの松永良平さんに「ラジオ版『ぼくの平成パンツ・ソックス・シューズ・ソングブック』」というテーマで選曲して頂きました。

松永:はい。

澤部:というわけで、今回の本は平成30年間が時系列順に綴られているんですけれども、1章が1989~1993年、2章が1994~2001年、3章が2002~2010年、4章が2011~2019年となっております。ということで、1章につき1曲という流れで松永さんに4曲選んでもらいました。

松永:はい、選びました。

澤部:どんな感じなんでしょうか?

松永:えーとですね…まぁ、第1章というのは平たく言うと僕が大学…7年まで行ったんですけども。なかなか卒業できない、だけどようやく卒業する、っていう辺りまでが1993年なんですけど。

澤部:はいはい。

松永:その頃に…これは本の中でも書いたんですが、もう後の「渋谷系」というか、フリッパーズ・ギターピチカート・ファイヴを聴き始めていたんですけど、なかなかね、頭が…ロック少年で。ストレートにそこに入って行けなかったんですね。なんか、オシャレっぽ過ぎるかな、みたいな躊躇がありまして。

澤部:ね。なんか評価が割れた、みたいな…あ、それは小沢さん(小沢健二)の1st(『犬は吠えるがキャラバンは進む』)か。

松永:そうそう、そうです。それで、その時期に意外と僕の緩衝材、迂回路になってくれたのが、当時の…まぁUSインディーではないんですけど、アメリカで登場してきた、すごいポップなセンスを持って変わったコードを使う曲を書く人たちとかバンドで。その筆頭というのがマシュー・スウィートMatthew Sweet)。

澤部:あー、はいはいはい。

松永:その『Girlfriend』というアルバムがすごく重要で。あれはホントに多くの人にとっての迂回路になったと思うんですけど。そこから1曲、CDのボーナストラックに入っているデモヴァージョンの曲がありまして。

澤部:この本にも取り上げられてたやつですね。

松永:はい。この曲を聴いてください。マシュー・スウィートで"Teenage Female"。

 

 

Teenage Female [Demo] - Matthew Sweet

(from 『Girlfriend』(BVCP-196))

 

 

澤部:うーん、いいっすね、めっちゃ…

松永:いや、この曲はね、最高。なぜ正式にレコーディングしなかったのかな、と思うんですけど。

澤部:でもこの感じ…この音の感じもめっちゃいいっすね。

松永:この曲は歌詞がホントに良くて。サビが「私は10代の女 私は10代の女」…つまり、テレビで観たスターにあこがれて、追っかけしたいけどそれもできない、内気な10代の女の子なんですよ。まぁ少女のオタクというかね。そういうマインドをすごく真剣に歌っていて…

澤部:はー…

松永:なんかそれがね、すごく自分にもグッとくる部分があったというか。そうですね、マシュー・スウィートはこの時期、いろんな人の気持ちを解放してくれた存在だと思いますね。んー。

澤部:僕、マシュー・スウィートはそれこそ18,19歳ぐらいの時期に聴いて…あー、なんかわかんなかったな、っていう気持ちになっちゃって…それ以来、あんまり近づけてなかったんですけど。

松永:うんうん。

澤部:そのときわからなかったペイヴメントPavement)とかティーンエイジ・ファンクラブTeenage Fanclub)がわかるようになってきたんで…

松永:あー、いま聴くといいかもしれない。

澤部:いま聴いたらめちゃくちゃ良いかもしれないな、って思ってます(笑)

松永:はい、思います。ぜひ聴いてください(笑)

澤部:はい、聴いてみます。これ、『Girlfriend』の…

松永:の、ボーナストラックですね。

澤部:聴いてみます。

松永:はい。なので、『Girlfriend』は俺的にはボーナストラック付きでぜひ聴いて頂きたい、と思います。

澤部:探します。これがじゃあ第1章ですね。

松永:はい、第1章です。

 

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松永:続きまして、第2章が1994~2001年。これは大体…「リズム&ペンシル」という雑誌のジョナサン・リッチマンJonathan RIchman)特集号というのを僕が仲間と作るんですけど、それが動き出して、実際に出て、ちょっとする…ぐらいの時間なんで、やっぱりジョナサンをかけたいな、と思ったんですけど。

澤部:はい。

松永:きょう持ってきたのは彼の有名曲というか…名曲で、みんな知ってる、という感じの"That Summer Feeling"という曲なんですが。

澤部:うんうん。

松永:ちょっとそれの変わったヴァージョンというか。もしかしたらこれは最初に録った弾き語りのデモなんじゃないかな、と僕は思ってるんですけど、クレジットがなくて…ちょっとわからないんですが。ジョナサンと仲がいいA.P.C.というファッションブランドのジャン・トゥイトゥ(Jean Touitou)というデザイナーがいるんですけど、彼が作ったコンピレーションに入っている曲なので、ブートレグではないんですよ。

澤部:へぇ!

松永:そのヴァージョンを聴いてください。ジョナサン・リッチマンで"That Summer Feeling"。

 

 

That Summer Feeling - Jonathan Richman

(from 『Manifeste A.P.C. (Section Musicale)』)

 

 

澤部:めちゃくちゃいいっすね(笑)

松永:これね、でも…いま聴いてたら、最初のデモではないですね。たぶん、ジャン・トゥイトゥに招かれてフランスで録ったものだ…という気がするんで。『I,Jonathan』というアルバムがあるんですけど、1991年に。そのときに"That Summer Feeling"の超ロングヴァージョンみたいのをやってるんで…そのときの感じかな。

澤部:へぇ…

松永:まぁでも、ここでしか聴けない弾き語りヴァージョンなんで。僕はすごい大好きなんです、このヴァージョン。

澤部:うんうん。すごい、ホント…最初のギターをポロンポロンと弾いて、ちょっと音質調整して…みたいな。ピックアップいじって…みたいな音まで入ってて。こういう感じで音源残ってるって、いいっすね(笑)

松永:そうですね。まぁ、ライヴを観たことがある人はわかると思うんですけど、大体ライヴはこの感じなんですよね。

澤部:観てみたい…僕、前松永さんに個人的に話しましたけど、ようやくわかったんですよ、ジョナサン・リッチマンが(笑)

松永:ようやく。はい。

澤部:だから、これからもっとアルバム聴いていこう、と思ってるんですよ。

松永:そうですね。

澤部:というわけで、聴いてもらったのはジョナサン・リッチマンで"That Summer Feeling"でした。

松永:はい。

 

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松永:で、第3章。第3章というのが、今度は2002~2010年。これは僕がレコード屋さん、Hi-Fi Record Storeというところで働くようになって。買い付けをしたり、いろんなところに出かけたり。ライターも始めたんで、いろんな人と会うようになる時期なんですけど。

澤部:はいはい。

松永:この本で…今まで人に言ってなかったけど初めて書いたエピソードがあって。それがアルゾ(Alzo)というニューヨークのシンガーソングライターのやっていた家具屋さんかな?木工用品とか、デザインしたものを売るところを訪ねたときのエピソードで。

澤部:うん。

松永:実はアルゾはその数か月前に亡くなっていて。一緒に行ったスタッフと話して、[家族が]近所にいたから行ってみよう、と。で、まだそのお店はやってるかわからないけど、日本から来た、って言えば喜んでくれるかもしれないし…ぐらいの気持ちで行ったんですね。

澤部:はいはいはい。

松永:そしたらものすごく…僕らが想像していた以上にドラマチックに受け止めてくれて。そのときに交わした会話…アルゾの未亡人である奥さんと交わした会話とか。すべては細かくは書けないんですけど、すごく印象に残っていたので、こうやって書けたのはすごいよかったなぁ、と思って。

澤部:読んでて泣いちゃいましたもん。めちゃくちゃよかった…なんだろうな、アルゾの亡くなった後に出た幻の2ndアルバムとか、なんてことなく聴いちゃってましたけど、そういう話を読んでからまた聴くとまた違うというかね。

松永:そうですね。なので、ちょうど僕もその幻の2ndアルバムというか…アルゾが用意していたというか、持っていた、幻の音源を集めた『Takin' So Long』というアルバムから選びました。アルゾで"So Glad"。

 

 

So Glad - Alzo

(from 『Takin' So Long』)

 

 

松永:聴いちゃいますね(笑)

澤部:ね。じっくり聴いちゃいますね。

松永:そう、すばらしいんですよ。

澤部:ね。やっぱいいなぁ。こんな…ピアノ弾いてる人が足かなんかでリズムを取ってる音とかが入ってて。いいなぁ、いろいろ考えちゃうなぁ。

松永:そうですね。

澤部:ボブ・ドロウ(Bob Dorough)ももういないし…あ、でもこれはボブ・ドロウは関係ないんでしたっけ?

松永:このときは関係ないかもしれないですね。

澤部:そっか。

松永:ボブ・ドロウが来日するときに取材することができたんで、アルゾのことはやっぱり訊きましたけどね。

澤部:うんうん…

松永:すごくよく、良い印象で憶えてくれていて。うれしかった記憶がありますけど。うん。

澤部:ボブ・ドロウもね、死んじゃいましたからね。

松永:はい。

澤部:だいぶ大往生の部類だとは思いますけど(笑)

松永:それはそうですよ。ホントそうです。

[*アルゾの1stアルバムのプロデュースとアレンジを手掛けたボブ・ドロウは2018年4月、94歳でこの世を去った。]

 

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松永:えーと、最後が2011~2019年ということで…正直、そこで紹介したい曲はいっぱいあるんですけど。

澤部:はい。

松永:あえて、というか…ちょうどね、このオンエアーの…明日?2月8日、武蔵野公会堂というところ。東京ですけど。で、ワンマンライヴをやるHi, how are you?という…元々京都でやっていた男女2人組がいまして。なぜかそのHi, how are you?の原田くん(原田晃行)というのが…学生時代というか、京都にいた頃から僕と付き合いがあって。

澤部:あー。

松永:ちょっと澤部くんとは違うんですけど、彼も古い音楽というか、自分の世代じゃない音楽に対する興味がすごくて。

澤部:うんうん。

松永:話しててもおもしろかったんですよね。それで「自分が好きな曲を集めたカヴァーアルバムを作る」というので、だったらライナーノーツを書かせてほしい、というのを僕がお願いして…それは手書きの文章をノートに書いて、それをそのまま載っけてもらったんですね。

澤部:はー。

松永:手書きで書いたものを印刷する、というのは自分が学生時代にやってたミニコミとかそういうの以来なんですけど、それをやりました。なので、そのアルバムから1曲、聴きたいと思います。Hi, how are you?で"だいじょーぶ"。

 

 

だいじょーぶ - Hi, how are you?

(from 『Hi,ppopotamus how are you?』)

 

 

松永:はい。これ、たぶん…間違ってないと思うんですけど、当時原田くんが住んでたアパートで録ってるんじゃないですかね?外の音が聞こえているというのは。だったと思いますね。

澤部:うんうん。

松永:Hi, how are you?自体は原田くんがボーカルを取る曲が多いんですけど、時々この女性の馬渕さん(馬渕モモ)が歌う曲があって。これがまさにそれですけど。

澤部:うん。いいっすよね…

松永:元はね、DOOPEESというか、いとうせいこうさんの『建設的』というアルバムに入っている曲ですけど。

 

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澤部:…聴き入っちゃいますね(笑)

松永:そうですね。でも、この時期…澤部くんもそうだけど、自分よりもだいぶ下の[世代の]ミュージシャンと知り合って、話すようになって。そのときに感じたのが、自分よりも昔の音楽をよく知ってるというか。よく知ってるだけじゃなくて、自分なりにちゃんとそれを受け止めてることがおもしろくて。ただ勉強して、「この頃こういうことありましたよね」みたいな、知ってる感じではなく…それがすごいおもしろかったんですよね。

澤部:うん。

松永:そのときにわりと…今とか昔とかがシャッフルされて、関係なくおもしろくなる、みたいのを初めて感じたかも。

澤部:うーん、なるほどね。

松永:まだね、90年代にも「60年代のカルチャーがおもしろい」とか、そういうのもあったんですけど、それは「探して獲りに行く」感じだったというか…

澤部:あー。

松永:21世紀、というか、この年代はそういうのが勝手にどんどん生活とかにも入ってくるから…それをみんなが取り入れたり、うーん違う、とか思いながら自分の音楽を作ろうとしている感じがおもしろい時代、でしたね。やっぱり。

澤部:なるほどね…さすがに第4章くらいになると自分の影もチラついてくるんで…(笑)

松永:いえいえ…それこそ、ね、澤部くんと会ったときの話とか書いてありますからね。

澤部:そうそうそう。

松永:そんなこんなでした。そんな4曲でした。

澤部:はい、ありがとうございます。というわけで松永さんの著書、『ぼくの平成パンツ・ソックス・シューズ・ソングブック』は全国の書店で発売中です。

 

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澤部:で、なんと今回、プレゼントを頂いたということで…(笑)

松永:はい。これはリスナープレゼントですね。

澤部:そうですね。この『ぼくの平成パンツ・ソックス・シューズ・ソングブック』に、わたくしと松永さんのサインを入れて、1名の方にプレゼントしたいと思います。ご希望の方はα-STATIONのプレゼントページからエントリーしてもらえれば、とのことです。

松永:はい。

澤部:そしてエントリーの際に…なんと、なぞなぞを1問用意したとのことです(笑)

松永:はい。これはね、僕と澤部くんが元々…ふれあうというか、交友が出来るきっかけというのが、僕が当時ブログでなぞなぞを出して、正解の人に自分のミックスCDをあげる、というのをやってまして。それを学生時代の澤部くんが欲しいと思ってくれていて。

澤部:そうそうそう…

松永:というくだりがあるんですけれども、そのときに出していたようななぞなぞを出したいと思いますので、ぜひみなさん考えてください。

澤部:(笑)

松永:では、問題です。「パンツ一丁で出かけようとしている親戚の男性を呼び止めようとして声をかける、外人ロックスターは誰でしょう?

澤部:なるほどね(笑)

松永:画を思い浮かべてください。パンツ一丁で、あなたの親戚の男性が出かけようとしているんですよ。それを親切な外人ロックスターが呼び止めようとしてくれている。というのは誰でしょうか?わかった方は…これいつまででしたっけ?

澤部:これはですね…締切は2月13日までですね。来週の放送で正解発表なので、それまでにもらえれば、という感じですかね。

松永:はい。ぜひみなさん、間違ってても大丈夫です。

澤部:はい、間違ってても、熱意で応募してください(笑)

松永:よろしくお願いします。

澤部:よろしくお願いします~

 

fm-kyoto.jp

 

澤部:というわけで、来週のNICE POP RADIOでも松永良平さんにご出演頂きます。

松永:はい。

澤部:来週はテーマなしで、最近僕や松永さんが聴いてる音楽をお送りする予定…そういう感じでしたっけ?(笑)

松永:えー、そういう感じでしょうか?(笑)まぁ、来週もお楽しみにお待ちください。

澤部:そうですね(笑)来週もよろしくお願いします。

松永:よろしくお願いします。

 

澤部:京都α-STATIONからスカートの澤部渡がお送りして参りました、NICE POP RADIO。番組はそろそろお別れのお時間となってしまいました。スカート通信。スカートのニューシングル『駆ける/ 標識の影・鉄塔の影』が3月18日発売です。今年のお正月にサッポロビール箱根駅伝限定CMに使用された新曲"駆ける"のバンドレコーディングヴァージョンと、テレビ東京で放送中の金曜ドラマ『絶メシロード』の主題歌、"標識の影・鉄塔の影"をはじめ、"駆ける"のCMヴァージョンやCDだけのボーナストラックも収録されます。過去のライヴ音源がポロポロっと…前、この番組でも紹介したようなライヴ音源がチョロチョロっと入りますので、ぜひお楽しみに…

松永:すごい。

澤部:そしてライヴのおしらせをいくつか。2月17日の月曜日は渋谷CLUB QUATTROで行われます、フィロソフィーのダンスの自主企画にスカートが参加です。2マン企画となっております、ぜひ遊びに来てください。

松永:お。

澤部:そして2月20日にですね、川辺くん(川辺素)の…風知空知でミツメの川辺くんがやってるイベントに呼ばれました。弾き語りの2マンがございます(笑)

松永:あ、なるほど。それはまたレアな感じですね。

澤部:そうなんです。けっこう、他にない感じになると思うんで、ぜひみなさん、はい。そして3月19日の木曜日、東京渋谷CLUB QUATTROで開催のムーンライダーズ主催のイベントに弾き語りで出演が決まりました。

松永:おお。これもすごい。

澤部:そうなんですよね。これもぜひ、みなさん…たしかチケット売り切れちゃってたかな?だったと思うんですけど…でも、来られる方はお楽しみに、という感じですかね。

松永:はい。

澤部:そして大事なお知らせとして、スカート10周年記念公演「新説・月光密造の夜」は4月11日の土曜日午後6時スタート。会場は東京日本橋三井ホールです。チケット発売中、学割なんかもあります。その他、明日ですね。2月8日には佐藤優介ANIMAL CROSSINGのメンバーとして、出演したりします(笑)

松永:はい。

澤部:UFO CLUBで…山本精一さんと2マンという謎のイベントです。はい。よろしくお願いします。

松永:なるほど。

澤部:SNSとかホームページなどをチェックしてもらえればと思っております。 

 

skirtskirtskirt.com

 

澤部:NICE POP RADIOではメッセージをお待ちしております。α-STATIONのホームページにございます"メッセージ"から、番組「NICE POP RADIO」をセレクトしてお送りください。FAXは京都075-344-8940です。番組で紹介した人にはNICE POP RADIOステッカーをお送りしますので、本名・住所・電話番号の記入をお忘れなく。Twitterアカウントをお持ちの方はハッシュタグ、カタカナで「#ナイポレ」を付けてつぶやいてください。ところで、今週最後にお送りするのはコメントを頂いていた角銅真実さんの曲を、松永さんに選んでもらおう、ということで…

松永:はい、選びました。

澤部:どの曲が…いいんでしょうかね?

松永:まぁやっぱり、きょうは何曜日か、ということを考えたらこの曲しかないかな、と思います。

澤部:(笑)

松永:角銅真実で"わたしの金曜日"。

澤部:はい。NICE POP RADIO、この時間のお相手はスカートの澤部渡と…

松永:松永良平でした。

澤部:はい、また来週~

 

 

わたしの金曜日 - 角銅真実

(from 『oar』)

 

 

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2020.02.02 Inter FM「Daisy Holiday!」より

 

daisy-holiday.sblo.jp

 

ハマ:細野さん。

H:うん。

ハマ:もうご準備がよければ…

H:オッケー。

ハマ:きょう、わざわざ時間とって頂いて…ありがとうございます。

H:いえいえ…もう始まってるの?これ(笑)

ハマ:あ、もうぜんぜん準備して頂いて…なぜ、きょう時間を作って頂いたかを説明しないとなぁ、と思い。

H:うん。

ハマ:「ベース・マガジン」とかを出していますリットーミュージックさんからですね、僕の…ぼく、デビューが2010年なんですけど。

H:おお、そっかそっか。

ハマ:なので、今年でちょうど10年なんですけど…まぁ、その1年前にもちょっと変わった…ヘンなバンドやったりしたことがあって。

H:なんだっけ、それ?

ハマ:ズットズレテルズっていう名前の…

H:あ、それは知らない…

ハマ:やってたんですよ。7人組の(笑)

H:へぇ。

ハマ:で、それから換算して、2009年から去年(2019年)までの10年で…まぁ、バンドももちろんそうですけど、よそでレコーディングをした曲もけっこうたくさんあったりとか。ラジオやったり、すこしテレビのお仕事したり…とかっていうのがありまして。

H:うん。

ハマ:それを、こう…ベースをメイン、とかではなく、僕のやってきたことの10年間の本、みたいなものを作りましょう、、というお話になりまして。

H:あ、ホント。うん。

ハマ:その中で、楽器載せたりとか、きょう細野さんに来て頂いたのもそうなんですけど、対談をやらせてもらったりとかという中で…一つの企画として、いっしょにラジオをやったディレクターの人、とか。初めてベース・マガジンに載ったときに対談した人と10年ぶりに対談したりとか…

H:誰だれ?(笑)

ハマ:えっと、スクービードゥーScoobie Do)っていうバンドのベースのナガイケさん(ナガイケジョー)と…もう辞めちゃったんですけど、ザゼン・ボーイズZAZEN BOYS)にいた吉田さん(吉田一郎)っていう…いまソロでやってる方なんですけど。

H:ほうほう。

ハマ:まぁ、そういう昔とか、最近とか…今の自分を作ってくれてる人とかとやって、最後に細野さんとお話しできたらうれしいな、と思ってご連絡した…次第です(笑)

H:なるほど。オッケーオッケー。わかりました(笑)

ハマ:きちんと言うと…(笑)

H:きちんとしてるね(笑)

ハマ:いやいや…(笑)

 

ハマ:なので、僕が訊きたいことを訊いてしまう形になるんですけど…

H:あ、いいですよ、なんでも。

ハマ:まずは…去年、それこそ『HOCHONO HOUSE』のリリースと、それに伴ってここでお話しさせて頂いたことがある意味始まりで。最終的にはイエローマジックショー3に呼んで頂いたじゃないですか。

H:そう。出て頂いてホントにもう、ありがたくて。まぁ、申し訳ないっていうか…(笑)

ハマ:(笑)いやいや、僕はもう、終わってからきちんとお礼も言えずだったので…

H:ね、なんかドタバタして、あれから誰にも会ってないんだよ(笑)

ハマ:そうですか。でも、ね、たくさん出てらっしゃいましたもんね。

H:うん。

ハマ:僕は呼んで頂いたこともとってもうれしかったんですけど。密かな、というか、いちばんの自慢は「僕がいちばん着替えた」という…(笑)

H:そうなんだ(笑)

ハマ:僕がいちばん衣装チェンジが…細野さんと同じぐらいだったのかな?もしかしたら。同じ数ぐらいなんですよ。

H:そうだっけ?

ハマ:ネコやって…

H:ぬいぐるみ。

ハマ:その後、細野さんの前で「ウソノさん」をやるという…これも話さなきゃいけないですけど(笑)で、その後、学生をやって。

H:あー、学生服もあったね。

ハマ:で、最後にジョイマンさんをやるので多少脱いで、という…だから、四変化ぐらいあったなぁ、と。

H:けっこう大変だっね(笑)

ハマ:あとアレだ、ベース兄弟もあったんで、伊賀さん(伊賀航)と…(笑)

H:あ、そうだ(笑)最多だ。すごいな。

ハマ:そうなんですよ。あんなに出番を頂いちゃって…

H:せわしないね、それは。

ハマ:あの日にいろいろやらせて頂いたじゃないですか。細野家に入ったのもうれしかったんですけど、ウソノさんがあったじゃないですか。

H:はい。

ハマ:あれが、もともと星野源さんの…

H:噂は聞いてたよ、ずっと。

ハマ:あ、ホントですか。じゃあ、細野さんも、なんとなくは…

H:なんとなく知ってた(笑)

ハマ:ご存じだったんですね(笑)そう、源さんのプロジェクトの「ニセ明」という…源さんがずっとやってる[キャラクター]の長い友人という設定で…というのが元なんですよ。

[*布施明のパロディ。]

H:なるほど。

ハマ:ただ、初めてその話を源さんとしたときに、僕はまだ細野さんとお会いしてなくて。

H:あ、そんな前だったの?

ハマ:「おげんさんといっしょ」で僕は初めてお会いしたんですけど。

H:そうだね。

ハマ:ホントにその直前だったんですよ、お話が。そもそもの発端が。

H:うん。

ハマ:でも、まぁ、さすがにお会いしてない仲で「ウソノ」とか言ってるのはどうなんだろうね、という(笑)

H:(笑)

ハマ:源さんも「いや、ホントそうだよね」と。だからきちんと会って…

H:いやいや、ふつう…まぁ、[ハマくんは]芸人の人じゃないけど、みんな勝手にやってるじゃない(笑)

ハマ:たしかに(笑)ただ僕の場合は細野さんはもちろん、先輩ですから…まぁそういう話をしてたら、それこそ源さんに「おげんさんといっしょ」で引き合わせて頂いたというか。

H:あー、そっかそっか。

ハマ:それでご一緒できたんで…これだったら細野さんも怒らないだろう、と。

H:怒る理由がないよ、なんにも(笑)

 

ハマ:もともと僕が…それこそデビューしたぐらいとか、高校生の頃が『HOSONO HOUSE』の細野さんぐらい髪長かったんですね。

H:おお、そっか。

ハマ:そうなんですよ。で、19歳ぐらい…デビュー前にはもうヒゲ生えてたので。

H:19から生えてたんだ(笑)

ハマ:はい。なんなら18ぐらいから生えてたんですけど(笑)なので、たまにふざけて「『HOSONO HOUSE』のジャケの感じだ!」みたいな。友達とかも言ってた経緯があったんで…

H:あー、そうかそうか(笑)

ハマ:あの頃の細野さんに扮してウソノさんというのを…

H:じゃあ、長い間…歴史があるってことでしょ?(笑)

ハマ:そうなんです、実は。それこそ学生時代に言ってたような話を源さんとして、「あ、おもしろいね」ってなったのが具現化した、という感じなんですけど。

H:なるほど。

ハマ:いやー、まさかイエローマジックショー3で細野さんの前でウソノさんやるとは、ホント思わなくて…(笑)

H:(笑)

ハマ:なんなら、希子ちゃん(水原希子)とかいるし。

H:ね。

ハマ:どうしようと思って。しかも、最初、そのお話し頂いたとき…細野さんがその場にいないんだったら、まぁ…と思ったら、まさかのジッと見られるという…(笑)

H:後ろにいて、隠れてたの。うん。

ハマ:でも、あれはホントに貴重な…というか、あんな形で…

H:お互いにね。んー。

ハマ:でもあの後、あの恰好のまま演奏させて頂いたんで。

H:そうだ。そのまま演奏に入って、"はいからはくち"だったっけ。

ハマ:そうです。で、安部ちゃん(安部勇磨)が歌ってくれて。だから、あそこで演奏させて頂けたんでよかったですけど、あれで演奏もなく暗転して転換してたら、ホントにコイツどこの誰なんだろう、っていう…(笑)

H:(笑)

ハマ:「あ、ちゃんと楽器弾けるのね」っていうのをお客さんにわかってもらえてよかったですね。

H:あー、よかったね(笑)

 

 

 はいからはくち - はっぴいえんど

(from 『風街ろまん』)

 

 

ハマ:いやー、でも…ホントに、イエローマジックショー2(2019年)も、元々いちばん最初にやってたもの(2001年)も、僕は拝見してた側なんで。

H:あ、観てたのか。

ハマ:もちろんもちろん。

H:そうか。

ハマ:なので、ホント光栄でしたね。光栄でしたし、細野さんはあんなに、0から100までずーっと出てらっしゃるっていうのは…

H:疲れたよ…(笑)

ハマ:最後のジョイマン…

H:あれがいちばん疲れたよ(笑)

ハマ:ですよね!僕らもゼーゼー言ってましたから、後ろで。

H:いやー、これはおじいちゃんだから…

ハマ:(笑)

H:無理だ、っていう予測はしてなかったんだよね。

ハマ:あ、やったらできるだろう、と。

H:と思ったら、ぜんぜんできなかった(笑)

ハマ:あれは、だって…(笑)ウォーミングアップぐらい飛んで跳ねてますからね。反復横跳びみたいなもんですもんね。

H:うん。ジョイマンって鍛えてるんだね、あの人…(高木晋哉)。

ハマ:あれは下半身強くないと無理ですね。

 

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ハマ:あの日はホント…夢のような時間でしたね。そのお礼を言いたい、というのもきょう、ちょっとあったんですけど。

H:いや、こちらこそだよ。もう…夢のようなっていうか、悪夢のような一日…(笑)

ハマ:夢の種類が(笑)でも、前日もね、ライヴしてらっしゃってね。2日間ですもんね。

H:そうなんだよ。[2日間とも]おんなじライヴだったらいいけどね、まったく違うことやったから(笑)

ハマ:まったく違いますもんね。

H:だから、事前にリハなんてあんまりできないじゃない。即興だよね、ほとんど。

ハマ:そうですね。僕らも…出てる演者もほとんどミュージシャンが主なんで、やっぱり演技とか…なかなか縁がないんで。

H:いや、でもさすが、上手だったね。

ハマ:ホントですか!

H:上手っていうか、しっかりしてたね(笑)

ハマ:大丈夫ですかね?イエローマジックショーでしっかりしてて大丈夫でした?(笑)そこだけが心配でしたけど…

H:大丈夫(笑)あのほら、never young beachの…

ハマ:はい、安部ちゃん。安部勇磨

H:安部くんがすごい緊張してたのは伝わったけどね(笑)

ハマ:安部ちゃんおもしろかったですね(笑)[歌った後、]戻り方がわかんなくなってましたね、セットに(笑)

H:(笑)

ハマ:いやでも、あれはホント貴重な…

H:なかなかないよね。ミュージシャンが集まって[コントを]やるっていうのはなかなかないね。

ハマ:ないですね。あの画はやっぱり細野さんじゃないと作れないっていうか、細野さんのもとに集まってるから…

H:すみませんね、なんか。申し訳ない気持ちになっちゃってね。

ハマ:いやいやいや…男だけでムンとしてたらまだアレなんですけど、希子ちゃんもそうだし、リトグリLittle Glee Monster)もね、今回いたりとか。画がやっぱりすごいおもしろい。

H:そうなんだよ。よく出てくれたな、みんな…(笑)

ハマ:いやー…僕と伊賀さんがリトグリの横に並んでる画はもう、強烈で…(笑)

H:(笑)

ハマ:あのときに"Rydeen"をやる、ってなって、伊賀さんと事前にちょこっとだけ打ち合わせをして。

H:うん。

ハマ:"Rydeen"はやっぱり、ベースラインがすごく象徴的でもあるんで、ここはメロディというよりはベースラインを弾きませんか?っていう話をして。

H:2人で…あんなの聴いたのは初めてだよ(笑)

ハマ:あの日のお客さんだったら絶対わかってくれるだろう、と。

H:まぁね。

ハマ:ただ、一応イントロのあのテッテケテッテケ...は出したほうがいいね、とかいう話をして(笑)

H:あれはやっぱりね。

ハマ:カラでやって…そしたらすぐわかってくれて、お客さんが。"Rydeen"のベースだ、って。

H:うん。

ハマ:ただ、僕と伊賀さんの誤算はそこからなんですけど。

H:なんで?知らなかった。

ハマ:細野さんはわりとすぐ[鐘を]鳴らしてくれるんじゃないか、と…

H:あ、聴いちゃったんだよ(笑)

ハマ:そうなんですよ(笑)僕と伊賀さん[の想定で]はだいたい2周したらカンカンカン、と鳴って…

H:鳴らさなかったね、そういえば(笑)

ハマ:いや、細野さん、ホントにずっと聴いてるから…でも、僕はそんなこともあるかもしれない、と思って、一応メロディを採っといてたんですね。

H:あ、そうだったんだ。

ハマ:なので、あの映像…まだご覧になってないと思いますけど。

H:いや、そこは見てる(笑)

ハマ:あ、ホントですか?(笑)途中からね、「あ、これ細野さん鳴らさない…まだだ、って思ってるな」と思って(笑)メロを弾いてなんとか伊賀さんとやったっていう…

H:そうだったのか。それはまったく、いま初めて聞くことだ。

ハマ:でも、あれは僕と伊賀さんと、無意識かもしれないですけど、細野さんとの連係プレーだったな、と(笑)

H:そうだね(笑)

ハマ:いやー、強烈な思い出ですね。友人もたくさん観に来てて…"Rydeen"のベースだけを演奏するっていうのは、細野さんのイベントじゃないとまずないことだし…

H:ないだろうね。

ハマ:後ろにいるんだもん、細野さんが。

H:(笑)

ハマ:なんならここに幸宏さん(高橋幸宏)いるし…みたいな。

H:そうだよ。みんなで聴いてたんだよ(笑)

ハマ:本物に囲まれて…(笑)

 

 

 Rydeen - Yellow Magic Orchestra

(from 『Solid State Survivor』)

 

 

ハマ:あと、放送を観たら、後ろで[カメラに]抜かれてる小山田さん(小山田圭吾)がなんともいえない表情をしていてすごい笑いましたね(笑)

H:そうかそうか…(笑)

ハマ:小山田さんは学校の先輩なので、和光学園の先輩なので。

H:あ、そうだよね。うんうん。

ハマ:「さよなら細野くん」…細野さんが卒業[転校]するという、ロッチのお2人とやった…

H:教室のね。学園コント。んー。

ハマ:あれのときにみんな学生服を着たじゃないですか。

H:着てたね。

ハマ:和光って学生服の文化がない…制服がないんですよ。

H:私服なんだよね。それは知ってるわ。

ハマ:で、U-zhaanさんが舞台裏で小山田さんに、「なんか学生服、違和感あるね。レアだね。」とか言って。

H:(笑)

ハマ:[小山田さんは]「着方がわかんないんだよね」って言ってて。

H:知らないんだ(笑)

ハマ:僕もなんで、「ですよね」って(笑)あの、首周りにある…

H:詰襟ね。

ハマ:2人で、「このプラスチック、何?」みたいな話になって(笑)

H:なんなんだろうね、あれ(笑)

ハマ:すごい貴重な…小山田さんも先輩だから、それは知らないよな、と思って。

H:そう言われると、あのプラスチックはなんなんだろうな(笑)

ハマ:あれなんなんでしょうね?そう、なのでホントに…さっきも言いましたけど、リトグリもいるし…僕はただただ楽しませて頂いただけなんですけど。

H:だったらよかった。

ハマ:ホント、良いイベントでしたね。呼んで頂いてありがとうございました。

H:なんか、誰か文句言ってなかった?(笑)

ハマ:誰も文句言ってないですよ!(笑)みんな、細野さんが最後まで全力ですごい、って言って。

H:いやいや…最後のジョイマンの踊りのとき、後ろで誰かが冷やかしてたな、僕のこと(笑)

ハマ:ホントですか?(笑)僕らは僕らで精一杯で…あのステップがぜんぜんわからなくて。

H:わからないよね、あれ。難しいんだよ。

ハマ:何回教えてもらってもできなくて…

H:できないの、あれ。希子ちゃんたちは上手いんだよ、あれ。

ハマ:そう。希子ちゃんたちはうまいですよね。

H:勘がいいのかな?(笑)もうマスターしちゃって。楽しそうにやってるんだよ。

ハマ:反射神経がいいっていうか…僕らもずーっと不安なままやってたんで。

H:ならよかった。

ハマ:みんな一緒です。特に男性陣は(笑)

H:仲間がいてよかった…

 

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ハマ:そう、ああいうイベントに出させて頂いたのもありますし…去年、それこそDaisy Holidayも含めて、ベースのお話もさせて頂いたりした中で…

H:うん。

ハマ:僕、細野さんとしゃべった事で…引っかかってるっていうか、ずっと話さなきゃと思ってたことがあって。

H:なんだろう。

ハマ:たぶんデイジーのときだったっけな…もしかしたらそれよりももっと前かもしれないですけど。20代の後半かな?それこそユーミンさん(荒井由実/松任谷由実)と演奏されてた頃に、フレットレスのフェンダーのプレシジョンだった、っていう話をしてて。

H:そう。

ハマ:でもあれ、盗難でしたっけ?結局…

H:車にね、置いといたら窓を割られて…

ハマ:そうだ。なくなっちゃった。それがすごい…ずっと[頭に]残ってたっていうお話をされてて。

H:そう。

 

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ハマ:ちなみに…プレベですよね?

H:プレシジョン。うん。

ハマ:プレシジョンの…何色だったんですか?

H:サンバーストだったね。

ハマ:あ、そうですか。そのとき僕、言ったのかちょっと憶えてないんですけど、僕、同じのを持ってるんで今度…って言って。

H:お、ホント?

ハマ:で、きょう持ってきたんですよ。

H:え、くれるの!んなことはないか(笑)

ハマ:(笑)まぁ、弾いてくれるならぜんぜん…僕もすごい使ってて。

H:懐かしいな。あれ以来僕は使ってないんだよ。

ハマ:僕はね、黒なんですけど。

H:あ、ホントだ。きれいだね。黒、良いね。ちょっと、触らせてもらっていい?

ハマ:お渡しします。

H:けっこう使い込んでるね。(なにかにぶつかる音)おっと、ゴメン。

ハマ:ぜんぜん大丈夫です。

プレベ:~♪)

H:あー、やっぱり良いね。

ハマ:まさしくこれですか?

H:そうそう。これ。

ハマ:そうですよね。プレベはフレットのラインが入ってないんですよね?最初っから。

H:そうなの。

ハマ:ジャズベースは入ってるんですけど。

H:あ、そうなのか。

ハマ:純正のプレベは入ってなくて。

プレベ:~♪♪)

H:まったく、これだよ。

ハマ:あ、よかった。そう、その話を細野さんに聞いて…周りにそれを持ってる人がいないんで、僕。

H:これ、まだ手に入るのかな。

ハマ:たぶん…めったに出ないですけど、探せば…

プレベ:~♪♪♪)

H:これ、すごくいい。

ハマ:あ、ホントですか?

H:なんか…懐かしいっていうか(笑)

ハマ:そう、「しばらくそれに未練があって、自分で買おうと思わなかったんだよね」なんて仰ってたので、たぶんこれとあんまり変わらない型なんだろうな、と思って。

H:…いいねぇ。

ハマ:(笑)

H:(笑)

ハマ:いや、細野さん、使うならぜひ言ってください。僕もけっこう使ってて…好きなんで。でも、良い音するんですよね。やっぱり。

H:うん、なんかそんな感じする。

ハマ:やっぱり、ジャズベースのそれとは違う感じの音なんで…

プレベ:~♪♪♪♪)

H:うん。重さもちょうどいいし。

ハマ:そう、そんなに重くないですね。細野さんとその話してからずーっと、細野さんに見せるのが…見せるのが夢、ってヘンですけど(笑)

H:はい、ありがとう。

ハマ:いえいえ!すみません、急に…

H:これは…欲しくなった。

ハマ:やっぱこれなんだなぁ。数年ですか?実際に使ってたのは。

H:吉田美奈子のときに初めて使って…『扉の冬』っていうアルバムの頃。

ハマ:はいはい。『扉の冬』って1stアルバムでしたっけ?

H:美奈子の1stアルバム。うん。

ハマ:そうですよね。顔がアップのやつ。

H:そうそうそう。それと同時期だったのかな?ユーミンは。ほとんど。ユーミンの1枚目、2枚目(『ひこうき雲』、『MISSLIM』)ぐらいはやってたんだけど、その後になくなっちゃったんだね(笑)

ハマ:じゃあ、まぁ、年数でいうとそんなに長くなかったんですね。へぇ。

H:でもね、最初はほら…[フレットの]ポジションとか難しくて。

ハマ:そうですよね。うん。

H:で、やっと慣れて。どんどん気持ち良くなってきて、弾くのが。特にスラーがね。

ハマ:はい。そうですよね。他では出ないですよね。

H:出ないんだよ。他にないんだよ、あれ。で、やっとできるようになって、楽しくなってきた頃になくなっちゃったんで…(笑)すごいショックだった。

ハマ:じゃあ、僕ちょっと…あ、これはもちろん、細野さん、なんかの録音のときにパッと思い出したら連絡頂ければ持っていきますけど。

H:あ、ホントに?

ハマ:もしなんか[市場に]出てるのがあったらすぐ…

H:あ、教えて。

ハマ:「いまありますよ!」っていう…

H:ぜひぜひ。

 

 

 扉の冬 - 吉田美奈子

(from 『扉の冬』)

 

 

2020.01.26 Inter FM「Daisy Holiday!」より

 

daisy-holiday.sblo.jp

 

H:こんばんは。細野晴臣です。きょうですね、2年前…来て頂いた声優、アイドル(笑)

?:(笑)

H:豊崎愛生さん。

豊崎:こんばんは、豊崎愛生です!

H:はい、こんばんは、いらっしゃい。

豊崎:おじゃまします…はぁ~、またしても呼んで頂けるなんて!

H:いやいや…(笑)ついね、こないだ、イエローマジックショー3に出て頂いて。

豊崎:はい、出演させて頂きまして…それもホントに、私の中では奇跡で。

H:奇跡?(笑)

豊崎:はい。会社のみなさんとか、周りの人たちに、「私、今が人生のピークだ」って言うのをずっと言ってたんです(笑)

H:そうなの?(笑)

豊崎:でも、思い返してみれば前回ラジオに呼んで頂いたときにもみんなに「私、細野さんのラジオに出られるなんて今がたぶん人生のピークだと思う」っていうのを2年半前から言ってたんで…(笑)

H:ピークがいっぱいあるね(笑)

豊崎:なので、[ピークを]更新して頂きました。ありがとうございます!また呼んで頂けるとは…

H:いえいえ…

豊崎:そう!前回ここにお邪魔させてもらったときに、私、あまりにも細野さんが好き過ぎて、ボロボロ泣いてしまって…(笑)

H:え、ホントに?(笑)

豊崎:そうなんです(笑)

H:泣いたっていうのは知らなかったな。

豊崎:いやぁ、今もね、泣きそうな気持ちはあるんですけど…(笑)きょうはもうね、一時間前にここに着いたんで。

H:あ、そっか。そうなんだよね(笑)

豊崎:そうなんです(笑)

H:ごめんなさいね(笑)

豊崎:いや、ぜんぜんです!私が時間を…勘違いというか、意気込み過ぎて…

daisy-holiday.sblo.jp

 

H:もう、でも、忙しいでしょ?

豊崎:あ、でもそんなことないです。そんなことないです、っていうか…(笑)楽しくお仕事させて頂いてるので…

H:楽しそうだね。んー。

豊崎:はい。もう、好きなことばっかりですね。

H:あ、ホント?それはよかったねぇ。

豊崎:(笑)

H:でも、最初はやっぱりいろんな経験をして、いろんな苦労をしたんでしょうね。

豊崎:そうですね。上手くいかないこともほとんどで、いまも上手くいかないことだらけだな、と。

H:そうなの?

豊崎:はい。思いますね。特に、なんか…声の仕事をやっていて、音楽にも関わらせて頂いたり、作らせてもらってたりとかで…声優のお仕事って、原作とか…元の漫画があったりとか、小説があったりとか、っていうことがほとんどで。

H:そうだよね。うん。

豊崎:それを表現する…なんて言うんだろうな、ポジションの一つというか。そういう気持ちでお仕事をさせてもらっていることが多いので…音楽を作るとかって、ゼロから…

H:うん、違う世界だね。

豊崎:はい。クリエイトするっていう…

H:なんとなくわかるよ。あの、キャラクターでやってるじゃない?アニメのね。だいたい小っちゃな女の子、っていうか、かわいい、ね?(笑)

豊崎:そうですね(笑)

H:それに合わせて、自分もそっちに気持ちがずーっと行ってるわけでしょ?たぶんね。

豊崎:そうですね。

H:で、そうやって声を出してるし。でも、そういうアルバムじゃなくて「自分のアルバム」を作るときに「自分」に戻るわけだよね。

豊崎:はい。

H:そうすると、自分の中のいちばん奥のほうから出てくるものを表現したい、と思うんでしょうね。

豊崎:そうですね。なんか、「本来の自分」っていうのが…それこそ午前中に子ども向け作品で、小さいおともだち向けに声を出していて、すごい平和な世界線でおしゃべりしてて…(笑)

H:(笑)

豊崎:でも午後になると、めちゃくちゃシリアスな…戦う現場に行ったりとか。もう、命がかかってる、みたいな状況…

H:そうかそうか。作品によってキャラが変わってくるって、他になかなか…俳優さんはそうかもしれないけど、ちょっと違うな。やっぱり声優さんって特殊ですよね。

豊崎:なんかこう、一日にいろんな役を何個もやったりとか…

H:器用だねぇ…

豊崎:それをもう、10年以上繰り返してると、「本当の自分」はいったいどの声で、いったい私は誰なんだ、みたいな…(笑)

H:だろうね(笑)

豊崎:そんなときに、自分のルーツに戻るために、もともと好きだったもの…なんでもなかった自分が、声優という仕事を始める前になにを聴いていたのか、とか。じゃあ、子どもの頃になにが好きで、何色が好きで、とか。

H:うんうん。

豊崎:そういうことを掘り下げる中で、細野さんの音楽は常に、私のルーツの琴線に触れ続けていてくれていたな、っていうのをすごく思うので…

H:そっかそっか。そういう関わりがあるわけだな。

豊崎:前にここに呼んで頂いたときに、「そもそも僕を最初に知ったのはいつなの?」みたいなお話をして頂いたときに…

H:そうそう、訊いた訊いた。

豊崎:そこもよく考えると、たぶん「ちびまる子ちゃん」の映画だったりとかしていて(笑)

H:あ、やっぱりそうかそうか!あれが"はらいそ"だったからな。

[*1992年公開『ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌』の劇中で"はらいそ"が使われている。その他の使用楽曲も必見(ただし2020年1月現在で未円盤化)。]


豊崎:それも含めて、たぶん、自分の人生で…なんて言うんだろうな、元を辿って行けばいくほど…いまアニメの仕事をしているっていうことも含めて。音楽が大好きで、とか。ルーツを辿れば結局細野さんがいる(笑)

H:(笑)

豊崎:っていう感じになってるな、っていうのはすごく思うので…

H:そうかそうか。

豊崎:またお会いできて本当に…光栄だし、うれしいです。

H:いえいえ…

ameblo.jp

 

natalie.mu

 

 

H:じゃあ、音楽聴きましょっか。ね(笑)

豊崎:ごめんなさい、なんか…(笑)

H:豊崎さん…なんて呼ばれてるんでしたっけ?愛ちゃん?

豊崎:「あきちゃん」です(笑)

H:あきちゃん。あー…字が難しいんだよね。

豊崎:そうなんです、愛が生まれる、って書いて…

H:「あいなま」って言う人もいるんでしょ?(笑)

豊崎:そうです!(笑)もう、好きなように呼んで頂いてぜんぜんいいですよ、ってみなさんに言ってるんですけど、細野さんには「あきちゃん」って呼んでもらえるとうれしい…

H:あ、じゃあ…

豊崎:あー!うれしい~!(笑)

H:じゃあ、あきちゃんのソロから…

豊崎:(高音)~!

H:なにがいい?

豊崎:あの…(笑)ちょっと落ち着きますね。あ、コーヒーをいただきます!せっかく淹れて頂いたんで…

H:どうぞどうぞ。コーヒー好きなんだよね?

豊崎:コーヒー大好きです。きょうも3杯くらい飲んできました。

H:へぇ。じゃあ僕は…これ吸っていい?

豊崎:あ、もちろんです。

H:声の人って、気を付けてる?大丈夫?

豊崎:あ、ぜんぜん大丈夫です。私、父親もsmokingな人だったので。

H:あ…ホッとした(笑)

豊崎:でも、『NO SMOKING』観ました!

H:ん!観たんだ!

豊崎:おもしろかった(笑)観に行って…観に行ったんですけど、改めて情報を確認してると、私が観に行った日じゃない日に、細野さんのサインが当たるよ、みたいなのを…(笑)

H:あ、そうなんだ(笑)

豊崎:劇場の…きょうご覧になった方の中から当たるよ、っていうのがあったんで、「あ、そっちに行こう!」と思って。行こうとしたんですけど…でもちょっと、なんか大人気ない、っていうとアレなんですけど…(笑)

H:[サインなら]あげるよ、そんな…(笑)

豊崎:いや…(笑)いまのはおねだりしたわけじゃぜんぜんなくて!前も…私のずっと大事にしていた『HOSONO HOUSE』にサインを頂いてたりとか。

H:うん、そうですね。

豊崎:もう、思い出がもう、なによりも勝ります!なんの話をしてたんだ…あ、コーヒーを飲みました!

H:それで、曲をかけて…(笑)

豊崎:そうだ!そうなの、そうなんです…(笑)あの…そうなんです、私、声優なので…なんて言うんだろう、自分の歌い方とか、ホントの自分ってなんだろうとか。

H:うん。

豊崎:もともとコンプレックスがすごくあって。声に対して。

H:あ、そうなの?

豊崎:でも、だからこそ歌える歌、っていうのをすごく探していて。いまも答えは出てないというか、探し中なんですけど…

H:わかるわかる。プロセスだ。んー。

豊崎:なんかこう…なんて言うんだろうな、「台詞を読むように」じゃないけど、「歌を歌いあげる」じゃなくて、普段おしゃべりをしているからこそ…「お話してるように歌が歌えるといいな」っていうのを思いながら歌った歌で…

H:いいね。うんうん。

豊崎クラムボンのメンバーが関わってくれて。

H:あ、そう!

豊崎:はい。演奏も曲も詞もぜんぶ…

H:それはそれは。

豊崎:MVにも出演してくださった、すごく思い入れのある1曲です。

H:聴かせてください。

豊崎:はい。豊崎愛生で"Dill"。

 

 

 Dill - 豊崎愛生

 

 

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H:うん。難しい?歌うの。

豊崎:8分の6拍子?とか…(笑)

H:拍子がね。あ、でもね、クラムボンと相性いいね。

豊崎:ありがとうございます。他にも…その後もミトさんに作ってもらった曲があったりとか。大助さん(伊藤大助)に叩いてもらったドラムがあったりとか…なんですけど、そうなんです(笑)

H:(笑)

豊崎:10年…は経ってないけど、実はそれぐらい前の曲で。

H:そう?いつ?これ。

豊崎:2010年とかですね。

H:あ、そんな前なの?これ。へぇ。

豊崎:そうなんです。

H:いまでも交流ある?

豊崎:そうですね。ミトさんはラーメン屋さんで美味しいお店をいっぱい教えてくれます(笑)

H:そうなんだ(笑)

豊崎:はい(笑)

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H:僕は一度だけ、声優の仕事…仕事っていうか、ゲストみたいので…ちょい役でね。あれはなんだっけ?「犬の生活」?『犬ヶ島』だ。「犬の生活」は違う映画だ(笑)

豊崎:(笑)

H:『犬ヶ島(Isle of Dogs)』っていう…アメリカのね、アニメの。犬の役ですけど。

豊崎:はい。

H:難しいね。いや、まぁ、なんとか出来たんだけど。特殊な仕事だな、と思いましたよ。だって、台本見ながら画面も見て。

豊崎:(笑)

H:台本の字を落としちゃいけないしね。でも、画面の口合わせもしないといけないっていう。両方、2つ、違う脳を使うじゃない。

豊崎:そうですね。

H:それは10年もやってると、やっぱり慣れちゃうのかね。

豊崎:私、右目と左目の視力がぜんぜん違うんです(笑)

H:え、やっぱりそうなんだ。

豊崎:その所為じゃないかもしれないんですけど…でも、なんか、癖がやっぱりあって。

H:うん。

豊崎:私は左手で台本を持って、右目で画面を見てるみたいなんですよね。

H:じゃあ左目は台本見てるわけ?(笑)

豊崎:だから、左は近いものを見ていて、右目は遠くにピントが合うみたいで。

H:それで、やっぱり、視力が変わっちゃったんだね。

豊崎:そう、かもしれないです。それもあるかもしれないです(笑)

H:おそらく脳の使い方もそうなんだと思うよ。右の脳、左の脳で使い分けてるんだろうね。

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豊崎:もう、私からすると…細野さん、ドラマ出られるじゃないですか。

H:いやいやいやいや…(笑)

豊崎:(笑)台詞を覚えるとか、身体…自分の姿かたちを使って表現するとか…

H:なんでやるんだろう、自分でも、ホンっトに…やりたくないのにやっちゃうっていう(笑)

豊崎:えー?もう楽しみでしかない…それこそコントもめちゃくちゃ楽しかったです(笑)

H:コントはね、楽しいんだよね。

豊崎:(笑)

H:カツラかぶったりね。ああいう風にすると、なんかすごい楽しいの。素のままでは出られないんだよな、コントは。

豊崎:そうなんですね(笑)

H:昔のね、コメディアンの人もみんなそう。鼻の頭を赤く塗ったりね。そうすると、キャラがコメディアンになる、っていう。

豊崎:うんうん。

H:それで舞台でおもしろいこと出来る、っていう。素顔で出て行く人があんまりいなかったから、昔は。

豊崎:あー、そうなんですね。私も、なんか、アニメの仕事って…なんて言うんだろう、自分の顔とか姿じゃないところにキャラクターが…自分の分まで空を飛んでくれたりとか(笑)かわいく居てくれたりとか。

H:そうだよね。んー。

豊崎:それこそ、動物になってくれたりとか。いろんな人生を体験できるっていうか…今回の人生では絶対に叶わなかった夢みたいなものをたくさん見せてくれるというか。それ[キャラクター]として生きていく時間をもらえる、っていう気がしてて。

H:なるほどね。

豊崎:それがすごく楽しい仕事だなぁ、とは思うので。キャラクターが私にとっては一つのお面というか、メイクというか。

H:そういう人…声優さんって[顔出しで]映画に出て演技する、とか、そういうことはあんまり考えないのかな?

豊崎:最近はもう、なんでも出来る人がいっぱい増えてて…(笑)

H:あー、そうね(笑)

豊崎:すごいなぁ、と思います。

H:いや、みんなすごいよね。表現力がね。

豊崎:ホントに…怖いもんなしなのかな、って思う人が周りにいっぱいいます(笑)

H:そう(笑)

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H:でも、ないの?そういうことは。俳優さん。あるでしょ?

豊崎:そうですね…比較的、多いほうかもしれないんですけど…(笑)

H:ですよね。

豊崎:なんか、ユニットをまた別で…ソロの音楽活動とはまた別でユニットを組ませてもらっていて。

H:前のは…「ソフィア」?

豊崎:あ、スフィア(Sphere)です。

H:うん。「スフィア」だ、そうだ(笑)

豊崎:4人組で歌を歌わせてもらったりとか、コンサートをやらせてもらったりとか…してるんですけど、そっちとかはまたぜんぜん…ソロの音楽活動では見えなかった景色っていうのを見せてもらえたりとか。出会わなかった音楽だったりとか…

H:わりとアニメに近い世界があるの?

豊崎:そうですね…どっちかって言うと、ユニットのほうはお客様がいちばん望むもの、っていうのを…見た目とか、パフォーマンスとかも含めて、迷ったときはそっちを第一優先して選んでいきたい、っていう気持ちがあって。

H:んー。

豊崎:その反動…でもないんですけど(笑)ソロの音楽活動は…わりとグッズとかから自分で関わらせてもらったりとか。なるべく0から1を創り出せるような人たちの近くに身を置いて…みたいな。

H:なるほどね。

豊崎表現者というよりは…みたいな気持ちでいるんですけど。そこがスタンスとしてはけっこう違う…

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H:じゃあまた音楽、聴かせてもらっていいかな?

豊崎:えーと、もう1曲、すごく悩んだんですけど…私、東京タワーがすごく好きで。

H:いいね、僕も好きだよ(笑)

豊崎:(笑)

H:スカイツリーも最近、まぁいいかな、と思うようになってきたけど(笑)

豊崎:そうですね。でも、断然東京タワーのかわいさが…

H:ね。スカイツリーができてから余計、そう思うようになったね。

豊崎:はい。一生懸命感とか…光の感じとかも愛おしくなって。

H:そうそう。うん。

豊崎:で、やっぱり東京の象徴というか。私の中ではあこがれの象徴が東京タワーで。で、へこんだりとか…ちょっと迷ったりとかしたら、東京タワーにのぼるようにしてます(笑)

H:のぼるんだ(笑)

豊崎:そういう気持ちを音楽チームに伝えて作ってもらった曲というのがあるので…それをぜひ聴いてもらいたいと思います。

H:はい。

豊崎豊崎愛生で、"タワーライト"。

 

 

 タワーライト - 豊崎愛生

(from 『all time Lovin'』)

 

 

H:いや、すばらしいね。

豊崎:ありがとうございます。

H:これ、ヘッドフォンで聴くと良いね(笑)

豊崎:永野亮さんというアーティストさんに作って頂いて。

H:あ、ホント?音作りがすごい優秀ね。

豊崎:ディレクターさんに伝えておきます…(笑)

H:(笑)

豊崎:うれしいです。わぁ、うれしいな…

 

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H:これからまた、こういうアルバムは…そろそろ作るのかな?

豊崎:どうなんですかね?(笑)[作りたいっていう]気持ちはすごくあって。で、もう、ちょうど私は音楽活動10周年の年なので…いままで耳を傾けてくださった方に、なにかしら形として恩返しというか、ありがとうというか、プレゼントを…

H:うわぁ、偉いな(笑)

豊崎:(笑)

H:僕は恩返し、なんにもしてないわ(笑)

豊崎:いやー!細野さんからは頂き過ぎていて、もう…(笑)

H:(笑)

豊崎:世の中の人々は何を/どう細野さんに返せばいいのか!っていう状態だと思います。

H:いやいや…

豊崎:なので、私…こないだイエローマジックショー3に参加させて頂いたときに、錚々たるメンバーのみなさんを見て…出演予定のみなさんを見たときに、私なんかが混ざって良き場所ではない、みたいなことをすごい思ったんですけど…(笑)

H:とんでもない(笑)

豊崎:「細野さんに50周年おめでとう&ありがとうを言いたい」ということを直接言いたい、という気持ちだけで参加しました(笑)

H:あ、そっか(笑)ありがたいことで…

豊崎:申し訳ない、逆に、ホントに…(笑)

H:いやいや、あそこにいちゃいけないのは自分だよ(笑)

豊崎:なにをおっしゃいます…(笑)

H:(笑)

豊崎:いやいや、もう、人生を変えてくれた…と言うと、ちょっと重たいかもしれないんですけど(笑)

H:いやいや…

豊崎:でも、勝手に私はそういう方が…細野さんもそうだし、曲を作ってくださっていたアーティストさん、みんなそれぞれ…新しい曲に出会うたびに…私、すごい影響されやすいので、価値観をどんどん変えてもらったりとか。

H:いいことだよ。

豊崎:あ、こういうレコーディングの仕方あるんだ、とか。

H:あ、なんだおんなじだよ、僕も。おんなじように聴いてるよ(笑)いま聴いてて、あ!すごい良い音!とか思ってた(笑)

豊崎:わぁ、うれしい…ありがとうございます。なんか、楽しいことをいっぱい、形にして返して行けたらいいな、とは思ってはいます。

H:これからも、じゃあ、楽しみにしてますので。

豊崎:わぁ。

H:また来てもらおうかな。折々。

豊崎:ホントですか!いいんですか?

H:もちろん。

豊崎:え!言いましたね?(笑)

H:言ったよ!(笑)

豊崎:逆にちょっと、最後に…きょうはなんで呼んで頂けたんでしょう?(笑)

H:いや、やっぱりお礼っていうか、出て頂いた…(笑)コントに出るってなかなかないですよね。抵抗はなかったのかね?

豊崎:あんまりないです、コントに関しては(笑)

H:ならよかった(笑)

豊崎:むしろ、安部さん(安部勇磨)みたいに、細野さんの目の前で歌う、とか…(笑)

H:(笑)

豊崎:演奏する、とかっていうアーティストのみなさん…

H:緊張してたよね、安部くんは(笑)

豊崎:ホントすごいなぁ、と思って。しかも犬の格好で…(笑)

H:ホントにね、よくやってもらって…みなさんにはホントに感謝してるんですけどね。

豊崎:コントなら、もう、いつだって要員として呼んで頂ければ…(笑)

H:ホントに?ホントだね?(笑)

豊崎:私はどういう方向性を目指してるのかアレなんですけど…(笑)でも、もう…とても楽しい時間を過ごさせて頂けて。改めてここでも…本当にありがとうございました。呼んで頂いて。

H:いやいや…とんでもないです。声優界のアイドルに来て頂いて…

豊崎:いやいやいや…

H:おまけに自分のアルバム聴いてもらってて。うれしいです(笑)

豊崎:いや、こちらこそ、もう…

H:じゃあね、次のアルバム、楽しみにしてます。

豊崎:はい。がんばって、なんか…いろんなものを吸収して、胸を張って…自慢のように届けられるものを…(笑)

H:大丈夫そうだな。楽しそうだし。んー。

豊崎:ちゃんと聴いてもらえるよう…そしてあわよくば、なんか、どこかでご一緒できるように。

H:そうだね。コントじゃなくて?(笑)

豊崎:そうですね(笑)コントもうれしいし…音楽的なところで、また人生として交わることができたら本当に…それが私の次の目標、かな?はい。

H:うん。じゃあ僕も、まだがんばります(笑)

豊崎:(笑)

H:また来てください。

豊崎:わぁ、ありがとうございました。

H:豊崎愛生さんでした。

豊崎:ありがとうございました!

 

ameblo.jp

 

natalie.mu

 

2020.01.19 Inter FM「Daisy Holiday!」より

 

daisy-holiday.sblo.jp

 

(以下、すべてH:)

 

 こんばんは。えー…もう正月気分はすっかり、どっか行っちゃいまして。もう、来年の正月が楽しみで…なんでかって言うと、お雑煮をいっぱい食べて…正月以外には、やっぱり食べないですね。正月に食べるために普段食べない、という。お餅っていうのはホント美味しいですね。安倍川。えー、磯部。砂糖醤油のことはなんて言うんだろうね、専門用語で。「砂糖醤油」としか言ってない(笑)

 

 さて、えー、きょうはちょっと中継ぎというかね…「息継ぎ」だ、中継ぎじゃないな(笑)マンボを…と言ってもですね、本物のラテンバンドじゃなくて、リズム&ブルース系の人とか。いろんな人がやってるマンボをダーッ、と聴いていきたいと思います。

 では、最初の曲は"Tennessee Mambo"という曲で、ジューン・カーター(June Carter)という人ですね。

 

 

Tennessee Mambo - June Carter

  

 

"Tennessee Mambo"、ジューン・カーターという…テネシーの人でしょうね。

 

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 1950年代はマンボ・ブームが起きて…立役者はやっぱりペレス・プラード(Pérez Prado)、ですね。"Mambo No.5"とか、"Mambo Jambo"とか。日本でも大ヒットして。日本では50年代、「マンボ・ズボン」が流行ったりしてね。ピッチピチの。一方ではビートニクとかもいましたけど。まぁ、「マンボ族」っていうのがね、いっぱいいましたよ。で、マンボっていうのはそういう…音がいいんでしょうね。「マンボ」っていう言葉の音がいいし。なんかこう、決してマンボっぽくないものにもマンボというタイトルが付いているっていう。で、"Mambo No.5"…「No.1」っていうのがあるのかどうか、ちょっとうろ覚えなんですけど。"Mambo 207"。207番。そういう曲を作っている人はエロール・ガーナーErroll Garner)です。

 

 

Mambo 207 - Erroll Garner Trio

 

 

えー、エロール・ガーナー・トリオで"Mambo 207"でした。エロール・ガーナーと言えばですね、"Misty"という名曲…これはスタンダードになってますけど。それの作者でもあって。ジャズピアノとしてはとても豊かな才能がある。特徴はね、レコーディングのピアノの音色がちょっとおもしろい音。他の人とちょっと違うんですね。ちょっとシャキシャキっとしてる感じですけどね。まぁ、日本にもファンがけっこう、いっぱいいましたね。

 

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 で、次のマンボはプラターズ(The Platters)ですね。日本にも何度も来日して、"煙が目にしみる(Smoke Gets In Your Eyes)"とか、いろんなヒット曲がありますが…その人たちがマンボをやってるのはあんまり知らなかったんですけど、聴いてください、"Shake It Up Mambo"。

  

 

Shake It Up Mambo - The Platters

   

 

ザ・プラターズで"Shake It Up Mambo"。

 

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 カントリーの大御所がマンボをテーマに歌ってるんですけど。その人はですね、ハンク・スノウ(Hank Snow)という…低音の魅力というか。ヒット曲もいっぱいある人なんですけど、なぜかマンボが好きなんでしょうかね。"That Crazy Mambo Thing"。「クレイジー・マンボ」と言ってるんで、呆れてるんですかね。

 

 

That Crazy Mambo Thing - Hank Snow

  

 

ぜんぜんマンボっぽくないっていう…(笑)"That Crazy Mambo Thing"、ハンク・スノウでした。えー、「Mambo Jambo」って言うと「呆れた」ような[意味合いの]スラングで…よく使ってたみたいですね。「バカみたい」、みたいなことなんでしょうけど。

 

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 フランスはパリでもマンボが流行ったみたいですよ。"Mambo en Paris"、オルケストラ・ルイ・ヴァローナ(L'Orchestre Lewis Varona)です。

 

 

Mambo en Paris - L'Orchestre Lewis Varona

 

 

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 フランスだけじゃなくてイタリアでもマンボ・ブームで…もう、世界中ですね。50年代の映画によく出てきますね。フェデリコ・フェリーニ(Federico Fellini)の『カビリアの夜(Le Notti di Cabiria)』なんかではクラブの中でマンボがかかったり…そういうことがあったんですけど。ソフィア・ローレンSophia Loren)が"Mambo Bacan"という曲を大ヒットさせました。

 

 

Mambo Bacan - Sophia Loren

 

  

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Orin and Inokichi - Masaru Satoh Orchestra

(from『Yojimbo』)

 

  

  『用心棒』の中も、ずいぶんマンボだらけですね。佐藤勝作曲の音楽が…僕は中学のときで、観ていて非常に衝撃を受けて。かなり影響されています。えー、『用心棒』の中から…まぁ、どのシーンだかちょっと、憶えてないですけど(笑)

 

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 では、続けて…"Niki Niki Mambo"。ザ・ニュー・トーンズ(The Nu-Tones)。

 

 

Niki Niki Mambo - The Nu-Tones

 

 

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 えー、マンボっていうのはどんなスタイルなのかって言うと、はっきりした定義はなくて。たぶん、ペレス・プラードが言いだしっぺということなんでしょうかね。「ウー!」っていうような言葉、掛け声が入ってるとマンボ…みたいな風潮があったみたいで。まぁ、だから…なんかインパクトが強い感じですよね。もとはルンバとか、キューバ系のラテン音楽なんですけど。まぁ、すごい自由な、どんな受け取り方もできるっていうような…一世を風靡した「クレイジー・マンボ」ですね。

 

 では、"Lovers Mambo"、ジ・オンタリオス(The Ontarios)。

 

 

Lovers Mambo - The Ontarios

 

 

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 じゃあ最後に…えー、ヴォーン・モンロー(Vaughn Monroe)という歌手ですね。"They Were Doin' The Mambo"。

 

 

They Were Doin' The Mambo - Vaughn Monroe

 

 

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