2020.01.12 Inter FM「Daisy Holiday!」より
H:こんばんは、細野晴臣です。えー、先週に続いて…
O:こんばんは岡田崇です。
越:こんばんはコシミハルです。
H:正月2回目ですけど。
O:もう、12日なんで…(笑)
H:もう正月も何もないね(笑)なんか、連休なのかね?
O:そうですね。成人の日…
H:あ、成人式がね、あるんだ。えー…きょうの天気はどうなるのかね(笑)
2人:(笑)
H:わかんないですけど…まぁ、年末はね、そんな寒くなかったでしょ。
O:うんうん。
H:まぁ、まだ…今の状態では年末もまだ来てないんですけどね(笑)
越:(笑)
O:なんとも…言えないですね(笑)
H:ね。あー、生放送にしたいなぁ!…なんてね(笑)
O:(笑)
H:まぁ、この感じで…のんびりムードですよね。先週も、今週も。
O:はい。
H:じゃあ、音楽を聴いていきましょう。岡田くん、お願いします。
O:はい。じゃあですね…シングル盤を今度出すんですけども。
H:お。キーポンくん(KEEPON)でしょ。
O:はい。
H:ね。
O:2月に出ると思うんですが…細野さんの、『HOSONO HOUSE』から"パーティー"と"終りの季節"をカヴァーしてくれて。
H:"パーティ"、やってるんですよ。うん。
O:作ってくれたのはもう…おととしの暮れぐらいなんですけども。
H:そうなんだよね。んー。
O:で、まぁ1年ぐらい経って…シングル盤で。
H:ミックスしました。
O:細野さんと、久保田麻琴さんにミックスをしてもらって。シングル盤を出すので…
H:そうですね。
O:"パーティー"を、じゃあ…聴いてもらいましょうか。
H:じゃあ"パーティー"、聴きましょう。
H:キーポンくんね。16歳になったのかな?
O:いま16歳ですね。作ってくれたときが15歳です。
H:末恐ろしいよね。
O:(笑)
H:自分が15歳のときは、ただただ聴いてるだけだったからね。ラジオでビーチ・ボーイズ(笑)「演ってる」んだからすごいよね。
O:そうですよねぇ。ちょうど大瀧さん(大滝詠一)のトリビュートでキーポンくんがカヴァーやってておもしろかったので。
H:うん。
O:今のうちに細野さんのカヴァーやっといたら?っていう風にそそのかして…(笑)
H:そそのかしたんだ(笑)
O:そしたら、「デジタル・サウンドに挑戦してみます!」っていう謎の言葉を残して…(笑)そしたらちょうど、"薔薇と野獣"が出たんですよ、細野さんの。『HOCHONO HOUSE』の先行配信で。
H:あー、あの頃ね。
O:それを聴いて打ちのめされたらしくて、「負けた!」って…(笑)
H:(笑)勝った/負けた…
O:勝った/負けたなのかって…(笑)
H:恐ろしいわ(笑)
O:そしたら、「『HOSONO HOUSE』から2曲、やってみます!」って。これを作ってきてくれて。
H:まぁね。こういう風にやるとは思わなかったよね。
O:んー…
H:まぁ、逆に、負けたよ(笑)
O:(笑)
H:B面は…B面っていうのが、シングル盤じゃないからアレだけどね。"終りの季節"は久保田くん…久保田くんはこのスタジオに来てね、さっきの"パーティー"を聴かしたら、興奮しだして(笑)
O:おお…(笑)
H:もう1曲あるよ、って聴かしたら、「ミックスやらしてくれ!」っていうわけ(笑)
O:(笑)
H:(笑)
O:けっこうノリノリでやって頂いて。
H:ノリノリでね、うん。いやいや…だから、おじさんたちを驚かす存在ですよね(笑)
O:(笑)こないだコンサート行ったら、やっぱり年齢層が高かったです。
H:高いんだ。
O:同級生たちと、まぁ、おじさんが…(笑)
H:不思議な存在だよね(笑)おじさんたちのアイドルなのかな(笑)
O:おもしろかったですけどね。多重録音で、ひとりでコーラス重ねて。
H:おお。今どきっぽいよね。んー。なんか…どうなってくんだろう、と思うよね。
O:んー。
H:15,6歳の年齢からこの先、10年、20年とあるからね。
O:ね。10年経ってもまだ26歳…(笑)
H:そうだよ(笑)いやー、やることいっぱいあっていいよね。うらやましい。時間がいっぱいあるっていうことは。
O:いま、ニューアルバムを作ってるらしいですけどね。
H:あ、ホントに?
O:なんか、映画音楽を聴いてる、って言ってましたよ。
H:あ、そう?なんの映画なんだろう?(笑)
O:わかんないです(笑)1950年代とか、その頃のを聴いてるらしいですけど。
H:はぁ…どう思う?そこの方。
越:え?
H:あれ?(笑)
越:すごいですね。
H:まぁ、最近の子どもたちっていうのは時々こういう人、出てくるよね。
2人:うん。
H:あの…ダンスなんかはどうなんですか?
越:ダンスはすごいですね。YouTube見ると、みんな踊ってる。世界中の人が。
H:みんな踊ってる、って…(笑)
越:ホントに踊ってるよ?小さい人から大人まで。
H:ね。踊ってるね。
越:ホントに。踊ってる。
H:はい…(笑)
O:(笑)
越:すごい。踊りは、でも、なんかこう…どんどん新しくなっていく。
H:うん。すごいでしょ、みんな。うまいよね。
越:うん。たぶん…見て、イメージすると、身体って動くんだね。いろいろ。
H:なるほど?
越:うん。それがたぶん、私たちの時代と大きく違うのかなぁ、って。
H:要するに、学ぶべきものがいっぱい、いつでも見れるってことだよね。
越:うん。昔は良いダンスとかって劇場に行かないと[見られなくて]…[見られる機会も]一度きりで、その緊張感もあるけど。今はさ、YouTubeで繰り返し見ることができるっていう。
H:そうなんだよ。みんな…YouTube見てるね。こないだここに来た…去年だけど。音くん(福原音)もね。
O:YouTubeでブギウギとかも聴いてたんですよね。
H:そうだよね。
O:こないだ、うちに遊びに来てくれたときに、蓄音器でブギウギを…(笑)
H:あ、そうなんだ。SP盤で?
O:SP盤で、マクシーン・サリヴァン(Maxine Sullivan)とか。聴いてもらって。
H:おお。
O:ウルウルしてました(笑)
2人:(笑)
H:泣いてた?(笑)
O:泣いてましたよ(笑)
H:やっぱり、違うんだね。
O:違うでしょうね、やっぱり。蓄音機で聴くのと。
越:蓄音機はすごいよね。生で演奏してるみたいに聞こえるよね。
O:そうですよね。
H:そうなんだよ。あれはなんだろうね。空気を伝わって、そのまま録音したやつがまた再生されるわけだから。
O:そうですね。
H:生々しいよね。
O:空気の振動がそのまま伝わってくる感じが…YouTubeとかとは違う。
H:そうなんだよね。だから…音楽も映画も、先人たちが素晴らしいものを遺してくれてるじゃない。
O:はい。
越:うん。
H:だから聴けるし、観れるし、ね。ありがてぇな、と思って。去年、ずーっとフレッド・アステア(Fred Astaire)のを観直してたの。ああ、この人がこういう映画を遺しておいてくれてよかったなぁ、と思いながら観てたの。
越:うん。
H:あの人、だって、映画に行かないかもしれなかったんでしょ?
越:劇場で、小さい頃は。1930年代頃からでしたっけ?映画が始まって。
H:で、なんか…失意が原因で映画に行っちゃったようなところがあるじゃない?お姉さんと別れてね。
越:あー、そうですね。うん。
H:その所為で映画が残ってるわけで。だからこう…なんて言うんだろう、劇場でやる優れたものって残らないよね。
O:んー…
越:そうね、劇場の芸術っていうのは、ビデオに残すのは難しい。
H:まぁもちろんね、ビデオで残ってるものもあるけど、伝わってこないんだよな。
越:そうね。フィリップ・ジャンティ(Philippe Genty)とかね。
H:フィリップ・ジャンティ…観たい!
越:(笑)
H:生で観たい。
越:生で観たいよね。
H:もう、ずいぶん時間が経って。ご本人もね、[もう頻繁には公演を]やんないだろうから。だから、映像で残ってても、フィリップ・ジャンティを観てる感じは無いよね。
越:うん。またちょっと違うよね。
H:そこが映画とは違うところだよな。
越:うん。
H:映画っていうのは大事かもしれないね。
O:んー。
H:だから、それを見て僕は…今年は踊ることにしたんで、よろしくね。
越:なんか、今年はダンサー、デビューするんでしょ?
H:そうなの(笑)
O:(笑)
越:M-1にも出るんでしょ?(笑)
H:それはミハルちゃんだよ(笑)和牛といっしょに。
2人:(笑)
H:まぁ、だから…今度ミハルちゃんに踊りを教わろうかな、と思って。ね?
越:ヒップホップ?
H:いや、ヒップホップじゃなくて…(笑)
2人:(笑)
越:なんか、タップやりたいって?
H:タップやりたいね。浅草の芸人たちはみんな出来たじゃん。玉川良一っていう人、知らないだろうけど、あの人もタップ出来たんだよ(笑)すごいな。小堺一機さん、上手いよ。
越:ね。
H:すばらしい。もちろん、ビートたけし。ね。
越:ね。すごいですよね。
H:すごいよね。浅草ってヴォードヴィリアンの発祥地だから。
越:じゃあ、タップ踏みながら歌うの?
H:…うん(笑)
O:(笑)
越:で、帽子も使うんでしょ?
H:帽子が肝なのよ。ずーっと探してて、もうすぐ手に入るかも。ボウラーハット(Bowler hat)。まん丸。銀座の老舗の帽子屋に行ったら、まん丸が売ってなくて。
越:あー…
H:だいたい楕円形なのよ。オーヴァル。
越:まぁ頭の形にね、すると楕円のほうが。
H:まん丸っていうのは芸人用っていうか…(笑)マジックとかね。そういうのに使うんですけど。あれが無いと出来ないんですよね。
越:ウサギとか出すんですか?
H:それは違うよ?(笑)手品やんないよ。
2人:(笑)
H:じゃあ音楽を…ミハルちゃん、かけてください。
越:あ、はい。えーと、バンクス(The Banks)で、".... with Myself"です。
H:…なんだって?危険なタイトルだな。
越:(笑)
Fxxk with Myself - The Banks
(from 『The Altar』)
H:なんか、突然新しいの聴いたから…調子狂っちゃった(笑)
2人:(笑)
H:突然出してくるね、ミハルちゃん。
越:新しいのも好き。
H:部屋で踊ったりするの?
越:するする。
H:大丈夫?身体は。
越:お掃除タイムに…掃除しながら踊る、っていう。
H:んー…僕も。
2人:(笑)
H:じゃあちょっと、また…元に戻してですね。音楽かけますよ、僕。"Daisy Bell"。
O:お。
H:ロバート・ファーノン(Robert Farnon)っていう人がオーケストラでやってます。
Daisy Bell - Robert Farnon
H:ということでね。全部…タイプが違う曲が3曲並びましたが…(笑)
O:(笑)
H:まぁ、正月なんでね。
H:ちょっと待ってね…もう、話題が無い(笑)困った…
O:(笑)
H:振らないとしゃべらないんで…振ってもらいたいぐらいだ。振って!
越:映画?
H:映画の話する?さっきも言ったけど、古い映画ばっかり観てる。観直してるの。いま観るとまた違うんだよな。なんか、全部が終わっちゃった時代じゃない。今。みんな居ないじゃん。誰も居ないの。
2人:んー…
H:映画に出てくる人、みんな居ないの。最近観たのですごいなぁ、と思ったのは、リタ・ヘイワース(Rita Heyworth)の…2本ぐらい観たんですけどね。あんなに歌って踊れる人だとは知らなかった(笑)
越:お父さんもダンサーとかなんだよね。
H:そうなのか。
越:フレッド・アステアと同じで…
H:だから、初期の頃はああいう軽いミュージカルっていうか、そういうものばっかりだったんだね。アステアとも共演してますよね。
越:共演してる。すごいいいですよね。華やかで。
H:なんか、その後はすごいシリアスなドラマもやってたんで、そっちのほうは知ってたんだけどね。
越:『ギルダ(Gilda)』とか?
H:そうそうそうそう。
越:ノワールのところはある…
H:なんか観てる?岡田くんは。
O:いやぁ…
H:『スター・ウォーズ』?
O:『スター・ウォーズ』、観に行ってないですね。
H:行ってないか。観ないね、岡田くんはね。
O:観てないですね。映画館…
H:だって、字幕じゃなくて日本語吹替えが好きなんだもん(笑)
越:(笑)
O:いやいやいや…(笑)
越:日本語が入ると、なんだっけ、デザイン的にダメなんでしょ?
O:いやいや、そういうわけじゃないですけど…コメディはわりと吹替えが好きですね(笑)
2人:(笑)
O:ジェリー・ルイス(Jerry Lewis)とか。
H:テレビの深夜でやってたよね、昔ね(笑)
O:あれがもう、大好きで。テレ東(テレビ東京)、深夜…
H:あー、観てたよ。吹替えのあの人、誰だか知らないけど…(笑)それはそれでおもしろかったよ。
O:「底抜けシリーズ」とかそういうのは、それがデフォルトになってるんで…
H:そうかそうか。
O:あとはナポレオン・ソロ(『0011ナポレオン・ソロ(The Man from U.N.C.L.E.)』)とか…夜、やってたじゃないですか。
H:まぁね、みんな吹替えで。
O:ああいうのが好きだったんです。
H:そうかそうか。ぜひ、ジェリー・ルイスの生の声も知ってほしいけどね。
O:知ってますよ、もちろん!(笑)
2人:(笑)
O:なかなか日本版のDVDに吹替えが入ってなかったりもするんで…あとはアメリカ版じゃないとDVDが出てないのもいっぱいあるんで。
H:そうだね。
O:そういうのは向こうの[音声で]観てるので…英語の字幕見ながら。英語の声で(笑)
H:そっか、すごいね。『紐育ウロチョロ族(The Delicate Delinque)』っていうのを深夜放送でやってて…
O:あー、ありますね。
H:その吹替えがおもしろかった(笑)
O:ほら!やっぱり!(笑)
越:(笑)
H:それね、DVD版にも入ってるよ、吹替え(笑)ぜひ、聴いてください。聴いてください、っていうか、観てください、だな。
[*細野・岡田両氏が聴いていたジェリー・ルイスの日本語吹替えはおそらく近石真介氏によるもの。]
H:ミハルちゃんはなにが…最近観たのかな?
越:去年の暮れは…フレッド・アステアをシネマ・ヴェーラでずっと特集してて、それを観に行ったりしてて…
H:やってたね。
越:レンタルビデオではね、なぜだかヌーヴェルヴァーグだね。クロード・シャブロル(Claude Chabrol)とか。
H:あー、シャブロルは観てないんだけど…んー。そうなんだね。いま観ると良いんだね。
越:うん。
H:わかるような気がする。
越:音楽とかね、良いよ。
H:なんでいま観ると良いんだろう?
越:なんだろう?いま、もう、ハリウッド映画とかってずーっと予告編を観てるみたいじゃない。音が。
H:(笑)
越:なんか、乗り物に乗ってそのまま行く感じの。
H:アトラクションだよね。
越:でも、いまヌーヴェルヴァーグを観ると、なんだろう、音も良いね。
H:音も良い。
越:歩く音とかさ。で、シーンとしてて。
H:そうそう。で、ロケが多いしね。
越:うん。街の中は…カフェとか。
H:ロケっていいよね。そうそう。あの、ゴダール(Jean-Luc Godard)は僕…その当時は観なかったんだよね。で、いま観ると良いんだよな(笑)
越:うん。
H:特に初期のが好きだな。『男と女のいる舗道(Vivre sa vie)』とか。音楽も楽しいし。去年は恵比寿でイベントを4日間ぐらいやったんだけど、一日、ジャック・タチ(Jacques Tati)の『イリュージョニスト(L'Illusionniste)』をやったのね。
越:お…
H:ジャック・タチはあこがれるんだけど、あの人は190cmぐらいあるから。
越:ね。すごい背が高かったんだよね。
H:うん。真似ができない。
O:(笑)
H:あの人は[身長が]高いからああいう歩き方になったんだよ。ヘンな、ギクシャクした。で、ご本人は「コメディアンはぜったい背が低いほうがいい」って言ってるんだよね。
O:(笑)
H:そのほうが動きがおもしろい、って。それで悩んだ末、ああいう…レインコートにヘンな歩き方になったっていう(笑)
越:なんか、YouTubeでいっぱい観れますね。いろんなテレビ番組に出てたり。
H:あ、そうだよね。あの生放送のやつね。インタビューしてたり。
越:なんか、ロンドンとパリのお巡りさんの違いとか。パントマイムしてたり(笑)
O:へぇ。
H:まぁ、パントマイマーだったからね。あの人。
H:そういえばスティーヴ・マーティン(Steve Martin)をまた観直したりしてて。クルーゾー警部(Inspector Clouseau)の…『ピンク・パンサー(The Pink Panther)』のね。やっぱりおもしろいんだよ(笑)あの…パリで警部やってるじゃん?で、アメリカに捜索に行くんだけど、「英語を学ぶ」っていうシーンがあって(笑)
2人:(笑)
H:「ハンバーガー」の発音が…(笑)「アンッバーガー」とか。言えないのね(笑)フランス人ってそうだから(笑)
O:(笑)
H:それが…何度見てもおもしろい。んー。まぁ、映画は良いね…10年ごとに繰り返し観てても飽きない。
越:うん。
H:良い映画も良い音楽も飽きない。もうこれでいいや、なんて思わないね。『スター・ウォーズ』はどうだったかな…
2人:(笑)
H:どうぞ?
O:…あ、曲ですか?(笑)
H:じゃあ、きょうの最後の曲にしてください。
O:じゃあ、ジャック・ファシナート(Jack Fascinato)という人がやってる、"Road Runner"という曲を。
Road Runner - Jack Fascinato
(from 『Jack Fascinato Arranges Things』)
2020.01.05 Inter FM「Daisy Holiday!」より
H:みなさん、
一同:あけましておめでとうございます。
H:えー、細野晴臣と、そして…
O:岡田崇です。
越:コシミハルです。
H:レギュラーですね。[放送は]5日なんですけどね、5日の深夜で…まぁ、正月気分はもうね。
O:そうですね。
H:過ぎちゃったとこで…気楽にやりましょうかね。
O:はい(笑)
越:お正月はなにしてたんですか?
H:もちろんお雑煮を…
O:お餅を…(笑)
H:ずーっと待ってたんですよ、我慢して。お餅、買ったんだけど、食べないで…
O:カビてません?(笑)
H:(笑)ほんっと、餅好きなんだね。
越:お餅、おいしいですよね。
H:うん。ホントに…だからもう、正月はクリスマスより好きかな、やっぱりな。
O:んー、お餅がありますもんね。
H:うん。クリスマスにもお餅があれば、クリスマスも好きだよ。
O:(笑)
H:それでお2人は…お誕生日を、つい先日、お正月に迎えましたよね。
O:ありがとうございます。
H:これは、うれしいんでしょ?
越:(ため息)
2人:(笑)
H:あれ?(笑)
O:51歳になりました。
H:あ、ホント?それはそれは…もうオッサンか。
O:もう、かなり前から、ですけど…(笑)
H:(笑)
O:いやいや…(笑)
H:えーと…あっ。
越:あっ(笑)
H:いや、いくつになったかは訊かないよ、別に。岡田くんより年上だもんな(笑)
O:(笑)
越:ぜんぜん年上です。
H:ね。うん。
[*5≦x≦10]
H:なんかこう、抱負を語ってもらおうかな、今年。ね?
O:ほうふ…(笑)
H:座右の銘とかね。
O:いやいや…(笑)もう、「行き当たりばったり」、とかね。
H:あー、それだ。うん。ミハルちゃんは?
越:今年はアルバムを作るの。
H:おお!
越:レコーディングする。して、秋ぐらいにコンサートしようかな。
H:おお、もうすぐ来年だ。じゃあ。
越:え?
O:今年ね(笑)
H:秋にやるのね。
越:秋。はい。
H:えー、秋か…
越:秋はどうしてるんですか?
H:秋?(笑)
越:細野さんは、今年はどんな感じなんですか?
H:もう、去年は働き過ぎたんで、今年はちょっとね…休み休みやりたい。
O:(笑)
越:今年も、でも、ライヴとかあるんでしょ?
H:なんか呼ばれてるけどね。あの、大きな島の国に。どこだっけ、あれ?
越:んー、どこだろう(笑)
H:えーと、豪州だ。
越:おお…
H:…そうだ、言っておかなきゃいけないんだけど、去年の11/30だったかな…有楽町のフォーラム(東京国際フォーラム)でライヴやったんですけど。
O:はい。
H:まぁ2日目はコントですけどね(笑)で、お正月に放映されました。僕は観てないんですけど(笑)
2人:(笑)
H:それの編集は、もちろん、お任せしてるんだけど、チェックとかいろいろ大変だったんだけど。ライヴのほうの音声チェックしてて、MCで1か所ね、大間違いしてるのに気が付いて。
O:ほう。
越:なに?
H:"アーユルヴェーダ"っていう曲を歌ったときに、「恋のような愛」とか「愛のような恋」とかね。あ、「恋に似た愛」?ちゃんと覚えてない(笑)で、恋と愛の話をして。なんだっけ…愛は理性、なのかな。ちょっと憶えてないんだけど。間違えたところは…「元々、愛という言葉は日本にはなかった」と言いたかったのに、逆言っちゃったの。「恋という言葉はなかった」、と(笑)
越:(笑)
H:だからちょっと、大間違いだよね。それをちょっと言っときたかっただけ。だから、本番はそこをカットしちゃった。MC。
#細野晴臣 50周年記念公演DAY1:WOWOW1月2日18:00〜放送、DAY2イエローマジックショー3:NHK BSプレミアム1月1日22:30~放送 !ぜひご覧ください。
— 細野晴臣_info (@hosonoharuomi_) December 29, 2019
またDAY1公演MCにて、愛と恋の話で昔なかったのは「恋」というのは逆で「愛」でした。オンエアではカットになっていますがここで訂正させて頂きます。 pic.twitter.com/oK11cI89nJ
H:はい、以上で!曲、かけましょっか。
O:はい。じゃあ、お正月一発目ということで、「世界は日の出を待っている(The World Is Waiting For The Sunrise)」を。
H:恒例ですね。
O:レニー・ディー(Lenny Dee)のヴァージョンで。
The World Is Waiting For The Sunrise - Lenny Dee
H:懐かしいサウンドですね。
O:そうですね。
H:レニー・ディーの"China Boy"っていう曲をずっと使ってましたね、当初。昔。
O:[この番組の]テーマ曲で。
H:ええ。
H:さて、えー、ミハルちゃんですけど。
越:はい。
H:なんか、ここ入ってくるときすごい落ち込んでたけど、なんで?
越:(深いため息)
H:あれ?(笑)
O:(笑)
H:思い出しちゃったかな?(笑)
越:思い出したら、もう…
H:えー、じゃあ、代わりに言いますと、去年のね、M-1グランプリ?和牛が…獲れなかった、と。それが原因ですか?
越:…はい。
2人:(笑)
H:ほんっとに…人生、100%和牛なのね(笑)
越:いやいや…いやいや、って言うのもアレだけど…(笑)
H:あー、そっか。70%ぐらいか。
越:そんな…(笑)いや、お笑い大好きなんで。観に行くのも好きだし。劇場へ。
H:ホントに好きになっちゃったね。
越:うん。ホントによく観に行くんですよね。
H:ルミネ、行くよね。
越:うん、劇場で観るのが、やっぱり楽しいですね。
H:でも、なんでも良いっていうわけじゃなくて、だいたい和牛か…えー、もうひとつ…
越:…
H:あれ?[言わなくて]いいの?(笑)はんにゃ。はんにゃというか、金田くん(金田哲)ね。
越:…(笑)
H:黙っちゃった(笑)顔赤くしちゃって(笑)
越:(ため息)
H:いやいや…大変ですよね、あの2組。応援するのは。でも、和牛、本人たちのほうが落ち込んでるんじゃないですか?
越:ね。
2人:(笑)
越:あれ、観てたんでしょ?
O:観てましたよ。
H:まぁ定番で、安定してるお2人だけど…まぁ大丈夫なんじゃないの?別に。そんな落ち込むことはないんじゃないの?
越:はい…
O:(笑)
H:あ、本人たちのほうが落ち込んでるのかな?
越:いや、ファンの人はみんな、ね。
H:あー、ファンの人は応援してるからね。そうか、大変だね。お笑いの世界も。競争が激しいよね。
越:うん。
H:音楽でそういうの…点数付けられたり、あんまり無いもんな(笑)
O:無いですね。
H:イヤだよね、やっぱり(笑)そう思うとイヤだよね。
O:(笑)
H:なるほど…じゃあ、落ち込んだままでいいですよ。なんか曲かけてください。
越:…
H:あれ?(笑)
越:ナット・キング・コール(Nat King Cole)で……ちょっと待ってください…
H:え?ナット・キング・コールで"Chotto Matte Kudasai"?
O:(笑)
越:違う…(笑)
H:歌ってんの?
O:歌ってるんだ、聴いてみたい(笑)
H:♪チョトマッテ、クダサイ~(笑)
O:(笑)
越:"Just You, Just Me"です(笑)
H:おお。
Just You, Just Me - Nat King Cole
H:なるほど。
H:さぁ、僕はどうしよう。えーと…2020年、ですね。
O:はい。
H:ボーッとしますよね(笑)
O:(笑)
H:オリンピックね。
O:んー…
越:…
H:みんな関係無さそうだね(笑)
O:関係、無いですね(笑)
H:…なんかしゃべって(笑)お正月だよ!
O:(笑)
H:えー、"Serenade To Lemonade"という曲。デヴィッド・ローズ&ヒズ・オーケストラ(David Rose & His Orchestra)で。
Serenade To Lemonade - David Rose & His Orchestra
H:のんびりしちゃった(笑)
2人:(笑)
O:良かったですよ。
H:そうすか?ならよかったけど。初めてかけたね、これはね。んー。
H:えー…
越:なんか、みんな…(笑)
H:え?(笑)
越:みんな眠そう(笑)
2人:お正月だから。
H:こんな感じだよ。
越:(笑)
H:じゃあ、M-1の話でもするか…(笑)
O:(笑)
H:まぁミルクボーイって、史上最高得点でしょ?
O:そうみたいですね。
H:初めて見たよね(笑)初めて今年テレビ出た、って。
O:言ってましたね(笑)
H:いろんな人がいるんだな、って思って。
O:ね。12年やって…
H:やってるんだよね。
O:らしいですけど、初めて見ましたよね(笑)
H:あれでもう、オファーがいっぱい来るわけでしょ?
O:おそらく。
H:ね。もう、さっそく翌日テレビ出てたしね。だから、すさまじい世界だな、と思って。やっぱりグランプリ獲るとすごいよね。賞金も。
O:ね。
[*優勝賞金1,000万円。]
H:ああいうの、音楽界、なんで無いの?(笑)
O:点数付けられるのイヤって言いながら…(笑)
H:賞金、いいよね(笑)
O:(笑)
H:まぁあの…芸人には僕はなれないな、と思いましたね。日々、ネタ考えてないとダメでしょ?すごいなぁと思って。みんな。アイディアが。
O:ね。
H:あのー…あの人たち、パペコじゃなくて…
O:ぺこぱ?
H:ぺこぱ。覚えにくい…(笑)
O:(笑)
H:斬新でしたよね。あのツッコミ。なにツッコミって言ったっけ、あれ?(笑)新しいよね。ツッコミながら言い訳する、みたいな。すごいおもしろかったな、あれ。あの人たちは出てくるんだろうね、いっぱい。
O:なんか、使われやすそうですよね。キャラ的に。
H:まぁなんか、ネタって瞬発力があればあるほど、飽きるのも早いけどね(笑)
H:そういえばミハルちゃんは…え、吉本に入るの?
越:急に…(笑)
H:そんなことはない?(笑)
O:入りたいんですよね、和牛に。
H:だって和牛は今年から3人でやる、って言ってなかった?そこに入るんじゃないの?
越:んー、なんか生配信のネットの番組で言ってましたね。
H:言ってた。で、アメリカ行くとか。水田さん(水田信二)っていう人。
越:そう、水田さんが言ってました(笑)
H:日本はダメだ、と(笑)合わない(笑)
2人:(笑)
H:ミュージシャンっぽいよね(笑)んー、そっか。じゃあやっぱり入ったほうがいいと思うよ?
越:そで、すごい真剣な顔して…(笑)
O:(笑)
H:いや、ホントに。そこまで思い悩むなら、やったほうがいいよ。どうなの?
越:…どうなの?
O:(笑)
H:やめたほうがいいかもね、うん(笑)向いてないよね。やっぱりね、漫才とかの練習はすごいよね。
越:うん。大変だと思います。
H:あれはできないな、やっぱりな。
越:ホントに。
H:即興であんなことできたらいいだろうな、とは思うけど(笑)
O:(笑)
H:えー…はい、では、岡田くん。また。
O:はい。じゃあですね、去年の秋ぐらいに、レイモンド・スコット(Raymond Scott)が『Jingle Workshop』を。
H:あー、聴きましたよ。なかなかよかったな。
O:1951年から1965年までにレイモンド・スコットが作ったCMとかを集めた盤が出たんですけど。
H:楽しかったね。
O:すんばらしかった…(笑)ひさしぶりに。前々回の『Manhattan Research』があって、それはすごいよかったですけど。
H:そうですね。
O:その次に出たの(『Three Willow Park』)が、わりと素材集みたいな感じで…
H:そうだったね。ライブラリーっぽい。
O:曲的にはちょっと物足りなかったのが、今回はすんばらしいアルバムだったので。
H:短いけどね、1曲が。
O:短い(笑)1分とかなんですけど。その中からですね。
H:ぜひぜひ。はい。
O:えーと…"The Tingling Tartness Of Sprite"という曲を。
H:これはたぶん、スプライトかな(笑)
O:そうですね。
H:コマーシャルですよね。
The Tingling Tartness Of Sprite - Raymond Scott
(from 『The Jingle Workshop: Midcentury Musical Miniatures 1951–1965』)
H:終わっちゃった(笑)
O:短い(笑)
H:これ、もっと聴きたいな。
O:じゃあもう1曲、その次のもかけちゃう…
Tart And Tingling (Sprite) French Version - Raymond Scott
(from 『The Jingle Workshop: Midcentury Musical Miniatures 1951–1965』)
O:ミハルさんっぽくないですか?ちょっと(笑)
H:ホントだ。似てるねぇ!
O:似てますよね。
H:歌ってた?これ。ミハルちゃん。
越:うんうん。
H:1950年代、アメリカにいたんだね。
越:(笑)
H:似てるわ~
O:似てますよね。フランス語だったし。
H:はい。じゃあ…どんどんいきますよ。寝ないで(笑)
O:(笑)
越:じゃあ、ステイシー・ケント(Stacey Kent)で…"Ces Petits Riens"。
Ces Petits Riens - Stacey Kent
(from 『Breakfast On The Morning Tram』)
H:あ、終わった。いいね!これは…ステイシー・ケントってどういう方なんですかね?
越:まぁ、ジャズの人だけど…これはゲンズブール(Serge Gainsbourg)の曲。
H:あ、そう。これはいつの録音なんだろう。
越:最近…まだ生きてる(笑)
H:(笑)
[*アルバムのリリースは2007年。]
O:[最近か否かの基準は]生きてるかどうかなんですね(笑)
越:(笑)
H:いや、良い音…
越:「最近」っていうのはこの番組ではいつぐらいを指しますか?(笑)
O:(笑)
H:いつだろうね、んー…
O:1970年代以降はね。「最近」になっちゃうかもしれませんね。
越:1960年代も「新しい」よね(笑)
O:そうですね(笑)「音、新しいな!」って言いますよね、60年代だと(笑)
H:(笑)
越:「プレスリー以降か、前か」みたいなこと?
O:(笑)
H:まぁ…良かった。いまの。ステイシー・ケント。良い音だった。
H:じゃあ、最後に1曲。ひさしぶりにベント・ファブリック(Bent Fabric)を聴きながら、お別れしたいと思います。えー、"Happy Puppy"
The Happy Puppy - Bent Fabric
2019.12.29 Inter FM「Daisy Holiday!」より
H:こんばんは。細野晴臣です。
?:(笑)
H:えー、きょうはゲストのお2人を招いてますが…原田郁子さんと。
原田:こんばんは。
H:角銅真実さん。
角銅:こんばんは。
H:最近は2人で「くくく」っていうのをやってるの?
2人:はい…(笑)
H:…なに?(笑)
原田:細野さんに「くくく」と呼んでもらう…(笑)
H:言いにくいよ、「くくく」(笑)
原田:うれしいです。
角銅:はい。
H:なんか、無声音で言うとおもしろいね。「くくく」。
2人:くくく…
H:それで…いつだっけな、11月の森ミュージアムで、お2人でやって頂いたんだよね。
2人:はい。
[*正確には10月28日。]
H:そのとき僕、行けなくて。残念だったんだけど。
角銅:ぜんぜん、あの…却って大丈夫でした(笑)
H:そうだったの?(笑)
原田:(笑)
角銅:すみません…(笑)
H:いやいや、そのときの音を聴きたくて聴きたくて。ここに音源が届いてるんで、聴けますね。
2人:はい…
H:さっそく聴いていいかな?"銀河鉄道の夜"。
2人:はい…(笑)
H:じゃあ聴きます。
2人:はい。
銀河鉄道の夜 ~Live@細野観光 - くくく
H:おもしろい音だね(笑)
2人:(笑)
H:おもしろい、猫みたい(笑)
2人:(笑)
H:(笑)
2人:(爆笑)
H:やっぱり猫だよ、これ(笑)
H:もうお話ししちゃおうかな(笑)
2人:(笑)
H:このニャーニャーいってるのは?猫がやってるの?(笑)
2人:(笑)
H:これは郁子ちゃんがやってるの?
原田:そうです(笑)
H:で、マリンバは角銅さん?
角銅:はい(笑)
原田:ちょうど「細野観光」を2人で…ちょっと、笑い過ぎて涙が出ちゃう…(笑)
角銅:観に行ったんですよね。
H:あー、ありがとうございます。
原田:で、[Roland]Jupiter-8が置いてあったので[自分のを]持ってきて、ピヨンピヨン…(笑)
角銅:(笑)
原田:ちょっと…いい過ぎてますね…(笑)
H:いやいや、おもしろいよ。なんか、笑える(笑)
原田:はい(笑)
H:みんな笑ってなかった?(笑)
原田:あの…どっちだったかな?ちょっとポカンとしてた…
2人:(笑)
H:練習はしてるの?こういうのって。2人で。
角銅:真剣に…しましたね。
H:あ、したんだ。真剣に。
原田:マリンバがけっこう大きいので、それが弾けるスタジオを…角銅さんが知ってるところに行って。
角銅:うん。
H:あ、そうなんだ。
原田:けっこう…実は練習しました(笑)
角銅:しましたね(笑)
H:いや、こんなに笑える演奏はなかなか無いよね(笑)
角銅:これは、リハーサルのときは「宇宙のおならの音」って言ってました(笑)
原田:(爆笑)
角銅:「銀河鉄道だから、宇宙のおならみたい!」って言って…(笑)
H:なんだそれ…(笑)なんかちょっと、2人が揃うとそうなるわけかね。んー。
原田:そう、なんか…角銅さんと何回かいっしょにライヴをやらせてもらったことがあるんですけど、いつも時間を忘れちゃって。
H:あー。
原田:でも、タイトな場面でいっしょになることもあったりして、ハッて気付くと、もう時間だ!って…
H:入り込んじゃうんだね。
原田:なんか、そうですね。
角銅:ぜんぜん関係無いことが…
原田:始まる。
H:即興で?あー。やっぱり先が読めないんだね。
原田:なんか、2人で…読めないところに入っていく、分け入っていく感じ…(笑)
H:あー。おもしろいよなぁ、そういうの。
原田:おもしろいですね(笑)
H:だから、観てる人はポカンとするわけね(笑)
2人:(笑)
原田:はい、たぶん…心配だったかもしれません(笑)
H:いやいや…あんまり無いじゃない、こういうのって。笑えるのって(笑)
2人:(笑)
原田:これと、細野さんのカヴァーはもう1曲、"福は内 鬼は外"を…最後やらせてもらったんですけど…
H:あ、ホント?それも後で聴いてみていい?
原田:それもおもしろかったよね(笑)
角銅:はい(笑)
H:あ、ホント?(笑)
原田:こういう、なんて言うんだろ…
角銅:手遊びで。
原田:♪アルプス一万尺~、みたいな。小っちゃいときにやってたやつ…(笑)
角銅:マイク1本立てて、漫才スタイルでやりましたね、たしか。
原田:はい、楽しかったです。
H:えーと、普段は、郁子ちゃん、最近はソロが多いんだっけ?
原田:えーと、クラムボンっていうバンドをやってて。
H:うん、クラムボンとおんなじくらいかな?ソロもけっこうやってる?
原田:そうですね、その合間を縫ってひとりとか…あとは、角銅さんみたいに 誰かといっしょにやるという。
H:あー、そっかそっか。あ、コメントありがとう。美術館の…「細野観光」(笑)
原田:とんでもないです(笑)
H:で、角銅さんは…cero?
角銅:あ、そうです。ceroの…
H:レギュラーなんだ。
角銅:いま、はい、パーカッションとコーラスを…
H:あ、そうなんだ。
角銅:演奏してます。
H:そうだったんだな。そっかそっか。
原田:きっと、ご覧になったことがあるかもしれないですね。
H:たぶんね。いっしょになったこともあるしね。
角銅:あ、そうですね。CIRCLEのとき…
H:そうだ。ちゃんと話したことない(笑)
角銅:はい(笑)でも、ライヴ観てました。
H:ホント?
角銅:カッコよかった…
H:いやいやいやいや…
原田:CIRCLE、いつも福岡でやりますけど、細野さんに会えると思うとうれしいよね(笑)
角銅:はい(笑)
H:ホント?(笑)
原田:それは全出演者がそうだと思います(笑)「あ、細野さんのライヴが観れる」っていう…
角銅:うん。
H:ホント?んー、どこがいいのかな…笑えるのかな?
2人:(笑)
H:じゃあ、角銅さんのソロっていうのを…できたばっかり?
角銅:そうです。1/22に出るんですけど…これの…よかったら聴いてください。
H:じゃあちょっと、この中から…いま聴いてもいいですかね?
角銅:はい!どれがいいか…
H:どれがいいかね?
角銅:じゃあ、2曲目がいいです。
H:なんて言う曲?
角銅:えーと、"Lullaby"っていう曲です。
原田:ホントにできたてですよね。
角銅:うん。湯気が出てるかも(笑)
Lullaby - 角銅真実
(from 『oar』)
H:んー、おもしろい。
原田:たのしい(笑)
H:いろんな音が入ってるね。お若いのに(笑)
原田:(笑)
角銅:インドに友達が…これ録音してたときに住んでて、インドの鳥の声とか街の音も入って…バンガロールとか。
H:あー、ホント?なんか懐かしい。僕もそういうの入れたことある。インド行ったことあるから(笑)
角銅:わたし行ったことないんです!
H:あ、そっか。どこに…どこの人?(笑)
角銅:あ、長崎です。
H:長崎?えー。
角銅:インドはいつ行かれたんですか?
H:インドはね…横尾さん(横尾忠則)と行ったのが30ちょっと前だ。29歳…
角銅:あ、その本読みました!そうや!(笑)
H:読んだ?(笑)
原田:思い出した(笑)
角銅:なんか、お腹壊してました?
H:そうそうそう(笑)
2人:(爆笑)
H:みんなそこしか読んでないの?(笑)
角銅:それがすごい…みんなお腹壊すんだ、って。
H:そう。お腹壊しに行ったから…
2人:(笑)
H:ホントに壊したんで…もう、大変な目に遭ったけどね。死にそうになっちゃった。けっこうキツいバイ菌…強いんだよね、バイ菌が(笑)
角銅:そっか。人もバイ菌も強いんですね。
H:強い強い。もう、だから、「銀河のおなら」だよ。
2人:(爆笑)
原田:身体を通り抜けて…くくく…(笑)
角銅:すごい、いま、「銀河のおなら」で繋がりましたね(笑)
H:そう。無理矢理繋げちゃった(笑)
角銅:(笑)
H:なんか、郁子ちゃんのも聴きたいんだけど、どうしよう?なんかある?
原田:そうですか?んー、なんだろう…ソロの曲かな?
H:うん(笑)
原田:"銀河"って曲があるんですけど(笑)
H:"銀河"、聴こうよ。
角銅:大好き。
原田:おなら…(笑)それも、とってもイントロが長いので…ラジオのやつってあるかな…
角銅:魚のおならの音って聴いたことありますか?
H:え、なんの?
角銅:魚のおならの音。
H:知らない(笑)
角銅:なんか、魚もおならをしてるらしくて。
H:するだろうね。
角銅:でも、それが人に聞こえない高周域の「っ!」って音で。「っっっ!」ってみんなおならしてるらしくて。それで会話っていうか、信号を…
H:会話してるの?おならで?見習わなきゃね。
2人:(笑)
角銅:なんかその話がすごい好きで。
H:おなら好きなんだね。
角銅:はい(笑)
H:(笑)
原田:なんか、よだれとかおならとか言ってるね?角銅さん。なんかのよだれって言ってたね。
角銅:あ、「山のよだれ」が川だ、って言ってましたね(笑)
銀河 (Single edit) - 原田郁子 & 忌野清志郎
(from 『銀河』)
H:気持ちいい。
原田:ひさしぶりに聴きました(笑)
角銅:いい曲!
H:いいね。なんか、共通してるね、お2人はね。
角銅:あ、そうですか!
H:聴いてる感じ…すげぇ落ち着くね。
2人:(笑)
原田:うれしいですね(笑)
H:日本にはこういう音楽があるから、いいね。安心。
2人:(笑)
H:また、来年…もうすぐ来年だけど、5月にまたCIRCLEがあるんで。
2人:はい。
H:いっしょね?いっしょにまた…2人で来るのかな?どうすんだろ。
原田:別々?だけど、2人で…
H:なんかやるね。
原田:あ、やりますか?
H:(笑)
角銅:そんなことできるのかな?(笑)勝手にやりますか?小っちゃいステージ作って。
H:ホント?じゃあ僕もそこ行こうかな。
原田:うん(笑)
角銅:じゃあそうしますか?
原田:それは、楽しみです(笑)なんかそういう遊びもできたら…
H:遊びたいよね。遊びは大事だよ。うん。
原田:わぁ、うれしいね。こんなにちゃんと聴いてもらうと…細野さんに(笑)
H:いやー…ちゃんと聴かなきゃと思うんだけど、なかなかね。こうやってラジオやるとちゃんと聴くけどね。んー。あのね…帰ったら、ぜんぶ聴いてみる(笑)
2人:(笑)
H:カヴァーしたくなるよね。これ、"銀河"。
原田:そうですか。こないだ、だから、"銀河鉄道の夜"から"銀河"に続けて…
H:銀河づくしだね。
原田:そうなんです(笑)
角銅:銀河づくし(笑)
原田:「細野観光」だから、やっぱり、いろんなところに行ってみたいなと思って。
H:うんうん。
原田:角銅さんの音楽の中には…それは細野さんにもとっても感じるんですけど、いろんなところに「飛ぶ」…トリップする感じが気持ちよくて。
H:そう言う自分のだってそうじゃない(笑)
原田:(笑)
角銅:そうですよ(笑)
H:すごいいま、トリップしちゃったもん、銀河に(笑)
原田:トリップしたいです、音楽で(笑)
H:えーと…じゃあ、また来てもらおうかな。ね。わりと、月に1回ぐらい来てもらうとね。
2人:(笑)
H:ほんわかするというか…
原田:この部屋は楽しいですね。
角銅:はい(笑)
H:ホント?(笑)えー、じゃあ、まぁ…今年はもう、いろいろあって…ほんっとに疲れちゃったんで。
角銅:あら?(笑)
原田:おつかれさまです!(笑)
H:まぁでも、来年はどうなんだろうな。オリンピックか。オリンピックの頃は僕はオーストラリアに逃げるよ(笑)
原田:(笑)
角銅:へー!オーストラリアのどこに行くんですか?
H:たぶん、メルボルン辺りの…
角銅:あら!
H:まぁ、ライヴやったりするかもしれない。
2人:へぇ、いいなぁ~!
H:(笑)
原田:観たい。
角銅:勝手についてきますか?私たちも(笑)
H:どうぞ(笑)ちょうどね、冬だから。その頃オーストラリアは。
原田:そうか。
角銅:季節が反対なんですね。
H:そうそうそうそう。じゃあね…なんか、のんびりしちゃったね(笑)風邪は大丈夫?なんか、すごい周りで流行ってるけど。
原田:あ、気をつけたいです。
H:気をつけてください。
2人:細野さんも。
H:はい、ありがとうございます。じゃあ、また来年、会いましょうね。
2人:はい。
H:えー、原田郁子さんと、角銅真実さんでした。
2人:ありがとうございました。
2019.12.22 Inter FM「Daisy Holiday!」より
クリスマス回2019
H:こんばんは、細野晴臣です。さて、22日の夜。みなさん、いらっしゃい。
O:こんばんは、岡田崇です。
越:こんばんは、コシミハルです。
H:ひさしぶりだね。
O:ひさしぶりですね、3人。
越:おひさしぶりです…
H:もうね、いろいろ…いろんなことがあったんでね。やっと落ち着きそうですね。
O:お疲れ様です(笑)
H:もう今年もね、あと1週間で…
O:そうですね。あっという間でしたね。
H:だからね、来年のクリスマスがもうすぐ、ってこないだのステージで言っちゃったけど。その前に…
O:今年のが…(笑)
越:(笑)
H:なかなか来なかったね。んー。でも、もうクリスマスって日本から消えてくんじゃないの?
O:なんか、存在感が、ね。
H:ハロウィンに負けてるよね。そのハロウィンもそんなに…今年は盛り上がらなかったしね。
O:んー。
H:だから、スーパーに行くともうクリスマス商品じゃないのね。お正月商品。クリスマスはどこ行っちゃったの?イエス・キリストはどこ行っちゃった?
越:(笑)
H:えー…とはいえ、どうですか、ミハルちゃん?近況。
越:え、近況?
H:なんか欲しいものは?サンタさんに頼む。
越:サンタさんには、枕買ってほしい。
H:枕?
O:(笑)
越:サンタさんに「買ってほしい」っていうのはヘンだけど…(笑)
O:買いに行くんだ、サンタさん(笑)
H:代行だ(笑)
越:(笑)ベッドのマットレスをね、最近買い換えたんですよ。
H:スプリングのね。
越:そうしたら、すっごい気持ちがよくて。だから横になってばっかりいる。
H:(笑)
越:なんかもう、やさしい感じ?
H:そうだろうね。
越:そう。だから、そのマットレスに合った枕が欲しいなぁ、という今日この頃。
H:サンタさん、ラジオ聴いてるよ、たぶん。
越:(笑)
H:買ってきてくれるんじゃないかな。
O:(笑)
H:じゃあ、岡田くんはなにが欲しいんだろうね。
O:んー、レコード…(笑)
H:レコードかい(笑)
越:(笑)
H:相変わらずだわ(笑)自分で買ってるじゃない(笑)
O:先月ユトレヒトまでレコードフェアに行ってきました。
H:ユトレヒトって、国は?
O:オランダ。
H:オランダだ。いやいや…それは、なにしに行ったかって言うと?
O:世界最大級のレコードフェアっていうのがですね、あって。それに、レコードを見に…買いに…(笑)
H:すごいよね、行動力というか。ほんっとに好きなんだね。レコード、アナログ盤なの?
O:アナログですね。まぁ、CDもちょっと売ってますけど。
H:SPもあるの?
O:SPもありましたね。
H:どのくらい買ってきたの?
O:いやでも、SPは重いんで…何枚ぐらいかな…30,40枚ぐらいかな?
越:すごい(笑)
O:重かった…(笑)
H:よく割れないわ。
O:もう、厳重に…
H:で、アナログ盤も買ったわけね。
O:少しは、買いましたね。普通のLP、シングル…
H:なんか掘り出し物はあったんですか?
O:まぁ、ちょこちょこはあったような気もします。
H:どうなんだろう、今、世界のそういう市場って。どんどん品薄なんじゃないの?
O:いやでも、相変わらず盛り上がってましたよ。
H:あ、ホント?広ぉいところでやるわけね。
O:すっごい広いところです。2日間まるまる歩いても見尽くせないぐらい広いです。
H:全部見るの?それを。
O:いやぁ、さすがにそれは…(笑)
H:(笑)
O:今回はわりとSP盤をずーっと見てて。あんまり、全部のショップを見るっていうことはしなかったですね。
H:んー。
O:レコードと同じくらいの巨大な規模で、アンティークのマーケットも同時にやってるんで。そっちも楽しい。
H:あー、そう。アンティークって、例えば…家具とかそういう?
O:家具とかはもちろんですし…
H:東京ではシェルマンっていう、ヴィンテージ蓄音器のあるお店がフェア、やってましたね。欲しいものはいっぱいあるんですけどね…
O:うちにも知らせが来ましたけど…「お問い合わせください」って書いてあるんですよね、値段…(笑)
H:そうそう、値段がね(笑)値段、付けられないんだろうね。
O:だって、高いのは百何十万って書いてあるのに…(笑)
H:それ以上なんだろうね(笑)
O:問い合わせる…もっと高いんだ、と思ってね(笑)
H:だって、すごい立派な蓄音器ですよ。ほしいねぇ…
越:すごいキレイですよね。
H:ね。何台も何台も欲しいね。
O:博物館に…(笑)
H:一台あればもう、他に置くところ無いしね…(笑)実は僕もシェルマンで昔買ったんですよね、蓄音器。手ごろなのを。最近使ってないですね。
O:脚が折れちゃったやつ?
H:折れちゃったんですよ(笑)地震でね、倒れちゃったのよ。中に入ってたSP盤が、"Hong Kong Blues"。
O:お。
H:ホーギー・カーマイケル(Hoagy Carmichael)の。それは無事だったんだけど(笑)
O:(笑)意外と地震でSP、大丈夫でしたね。うちもレコード棚とか全部倒れてきましたけど、SPだけじっと…場所が変わらなかったという。
越:(笑)
H:さすがだね。SPはすばらしいね。意思が強いっていうかね。んー。がんばってくれるという。
H:さぁ!お話だけではないよ、きょうは。クリスマスと言えばね、やっぱり音楽ですよ。ね?
2人:(首肯)
H:ん?違うの?同意してくれないと…(笑)
O:ラジオだったんだ…(笑)
越:(笑)
H:クリスマスの良さっていうのはいま、音楽の中にだけあるような気がしちゃう。自分ではね。
O:確かに。
H:でも、巷ではあんまりかかってないね。イルミネーションばっかりだね。
O:そうですね。
H:あれがまぁ、クリスマスなんだろうね。今は。だからずーっと…いつまで点いてるのか知らないが、イルミネーション、けっこう人が集まるみたいですよ。
O:んー。
H:じゃあね…ミハルちゃん、クリスマスと言えば?
越:え?じゃあ、フランク・シナトラ(Frank Sinatra)ですね。
H:だろうね。んー。
越:でも、ちょっと新しいフランク・シナトラの…"Mam'selle"です。
H:クリスマスソングではないのね。んー…
越:え?トミー・ドーシー(Tommy Dorsey)がいいですか?
H:いや、わかんないよ(笑)なんでもいい(笑)
O:(笑)
越:トミー・ドーシーとやってる…ちょっと待ってください…どっかに行ってしまいました。これってどうなってるんだろ?
O:相変わらずですね、そういうところは。
越:あ、ちょっと、ホントに…
H:じゃあ、ミハルちゃんを飛ばして、岡田くんから始めます。
越:えー!どこに行っちゃったんだろ…
O:(笑)
H:なにがいいですか?
O:どうしましょうか。じゃあ、ジョニー・マーサー(Johnny Mercer)で"Jingle Bells"。
H:お、いいね!これだよ、やっぱり。
Jingle Bells - Johnny Mercer & The Pied Pipers
H:いいねぇ…なんだろう、この良さは。
O:パイド・パイパーズ(The Pied Pipers)といっしょにやってますね。
H:ジョニー・マーサーのこの鼻声、好きだなぁ。いちばん、なんか、アメリカの都会の感じがする。この人。
O:(笑)
H:このアレンジ、いいね。モノっていうのはいいね。
O:良いですね。
H:ビッグバンドがうるさくないっていうのがいいね(笑)
O:(笑)
H:そんなこと言っちゃあ失礼ですけど(笑)ちょうどいいバランスなんだよな。音が。これは…1950年代かな?
O:今ので1947年ですね。
H:あ、47年なんだ。終戦の年だよ。あ、終戦2年目だ。あ、誕生日の年だ。僕の。
O:生まれた年ですね。
H:さぁ、用意できましたかね?
越:用意できました(笑)フランク・シナトラで、"Mam'selle"。
H:クリスマス関係無いんだけどな…
O:(笑)
越:え?クリスマスの曲がよかったの??(笑)
H:そうだよ!(笑)
O:えー!(笑)
H:なんだそれ(笑)信じらんない(笑)
越:なんか、クリスマス…っぽい?クリスマスのような?
H:まぁいいよいいよ、それで。大丈夫。
越:え、じゃあもう1回選曲しましょうか?
H:いいよいいよ、もう始まっちゃったから。
越:(笑)
Mam'selle - Frank Sinatra
H:歌の内容は関係ないよね、夜景にはね(笑)
越:うん(笑)
O:(笑)
H:こんな感じでいいわけね、雰囲気でね。いいよね、洋楽ってそうだよね。洋楽大好き(笑)
2人:(笑)
H:えーと、僕はサンタさんになにが欲しいかって…みんな訊いてくれないから僕が言うけど、あのね、山高帽…なんて言うの?ホントは。
越:あー、あのね、探してる帽子。
H:探してるのよ、ずっと。まんまるの。最近の帽子ってみんな楕円形じゃない。オーバルっていうんだよね。たまご型っていうやつ。
越:うん。
H:でも、ダンス用はまんまるじゃないと、ハット・トリックっていうのができない。
越:あ、ダンサーになるの?
H:そう!(笑)
O:(笑)
越:来年はダンサーになるの?
H:そうなの(笑)
越:踊るんだ!
H:踊るよ!(笑)
2人:(笑)
H:ダメ?
越:楽しみだ(笑)
H:あのね、ハット・トリックって…「クルリンパ」はできるんだよ。
O:「クルリンパ」(笑)
H:あの…日本のコメディアンの人ね(笑)「クルリンパ」の人。
O:ダチョウ倶楽部の…[上島竜平]
H:あの人のは、ぜんぜん上手くないよ、あの人(笑)
O:(笑)
H:あれは「クルリンパ」。僕のは「クルリンパ」じゃない。えーとね、ずーっと見てるのはやっぱりボブ・フォッシー(Bob Fosse)かな。
O:うんうん。
H:"Steam Heat"とか、帽子すごい使うじゃん。
越:なんで急にそこに…そうなったんですか?
H:ん?なんでだろう?どうしてかな?
越:どうしちゃったの?(笑)
H:どうしちゃったんだろう?(笑)最初ね、ローレル&ハーディ(Laurel & Hardy)見直してたの。そしたら去年、新作で…
O:ああ、ありましたね。
H:あったでしょ?えーと、なんだっけ…『Stan & Ollie』っていう映画。この役者たちがね、なかなかそっくりだったんだよね。で、スタン・ローレル(Stan Laurel)っていう人は、実は僕の小技ね。指の芸とか。親指がこう、離れちゃうやつとか。
越:あー、あれね。
H:あれの元祖なんだよね。あれをやってるんだよ。あれのやり方をね、短編とかオリジナルの作品でやってるんだよ。フィンガー・レッキングっていうんだよ。
O:フィンガー・レッキングっていうんだ。
H:で、帽子も得意なの。指でぷーって、指くわえて息を吹くと、帽子が上がっちゃうわけ。それって僕、父親から習ったんだよ。小学校のときに。
O:(笑)
H:指の芸もそう。それのオリジナルがスタン・ローレルなんだよ。
O:細いほうですよね。
H:そう、細いほう。すぐ泣いちゃう人。あの泣くのがいいんだよね(笑)
O:(笑)
H:えー…まぁ、そんなようなことやってたら、だんだん帽子を…どうやったらいいんだろう、って。その流れでボブ・フォッシーを見だしたんだよ。昔ね、"Steam Heat"っていう振り付けは日本では金井克子さんがやってたの。観たことある?ミハルちゃんは。
越:うん。
H:あ、ホント?で、なんかそれが記憶に残ってて。「Steam Heat 金井克子」って検索しても無いんだね、動画が。まぁその代わりオリジナルがあるんで、シャーリー・マックレーン(Shirley MacLaine)の主演した映画(『The Pajama Game』)とか観たりね、してたの。
越:んー。
H:で、あの人[ボブ・フォッシー]は…若い頃はアステア(Fred Astaire)にすごいあこがれたじゃん。でも、ああいう風にはなれなくて。アステアには誰もなれないじゃん。で、独自のをやり出して…裏方に回って、振り付けはやり出したりして。アステアが亡くなったのは1987年…かな?
越:うん。
H:ボブ・フォッシーもその年に亡くなってるんだよ。同時に。フォッシーが60歳で、アステアが88歳。
O:そうですよね。
H:その年以来、その伝統が…
O:途絶えちゃった。
H:途絶えた。
O:それを、来年から細野さんが…
H:(笑)
越:(笑)
H:で、なにが言いたいかと言うと、そのまんまるい帽子をサンタさん、ください…(笑)
2人:(笑)
H:はい、じゃあ僕が音楽かけますね。最近ね、やっぱりナット・キング・コール(Nat King Cole)のクリスマスソングを聴くと心が躍るんだよね。えー…"Mrs.Santa Claus"。
Mrs. Santa Claus - Nat King Cole
H:えー、ナット・キング・コールで"Mrs. Santa Claus"。えーと…なんかここでしゃべると、それ聴いてる人が「あ、そうなのか」って[プレゼントを]贈ってくれたりする…(笑)
O:(笑)
H:聴いてる人がサンタさんなんだね。
2人:(笑)
H:前ね、『プロデューサーズ(The Producers)』っていう映画の話をしたんだよね。なかなか[DVDが]手に入らないと。オリジナルがね。そしたら贈ってくれて…2人の方がDVD贈ってくれたんだよ。サンタさん、ありがとう。
2人:(笑)
H:ここでお礼を言いたいと思います。はい。
H:さて…もうクリスマスは終わり?
O:終わるんだ(笑)
越:(笑)
H:あんまりしゃべることないよね(笑)どうなんだ?もう、さんざんやってきたよね。20年。
O:20年ぐらい…
H:で、いっつも同じ曲かけてるよね(笑)そういうもんだよね。だって、ぜんぜん飽きないでしょ?
O:しょうがないですよね。うん。
H:もう、なんだろう、良い曲って飽きないよ。「もう聴きたくない!」ってこと、ないよね。
O:(笑)
H:そういうことある?なんか。
O:いやー、あんまり無いですね。クリスマスソングは特に。
H:ね。「もう聴き飽きた!もういいや!」ってことはないからね。ずーっと聴くね。
O:(笑)
H:じゃあ定番で、最後の締めを誰か…推薦してくれない?
越:(笑)
H:譲り合ってもしょうがない。じゃあ、岡田くん。
O:(笑)じゃあですね、"Mrs.Santa"と言われちゃったんで、"Mr.Santa"を。
H:おお!
O:これ、クリスマス・ジャグ・バンド(The Christmas Jug Band)…ダン・ヒックス(Dan Hicks)ですけど。
H:あ、ダン・ヒックス。んー。
Mr. Santa - The Christmas Jug Band
(from 『Rhythm On The Roof』)
H:えー、そういうわけで…シナトラの"White Christmas"を聴きながら、今晩はこれで…なんか、これからどうするの?みなさんは。
2人:??(笑)
H:いやいや、クリスマスはどうするのか、という…特にないの?
O:家でじっと…
H:チキン食べる?
O:そうですね。それぐらいです。
H:ミハルちゃんも食べてるよね、チキン。毎年。
越:食べてますね。今年は親戚と、家族と…お食事会をして。
H:あ、ホント?いいね。幸せそうで。
O:(笑)
H:幸せなの?(笑)
越:(笑)
H:あ、泣いちゃった(笑)まぁ、クリスマスはそういう感じで、僕も…さびしい(笑)
O:(笑)
H:それではみなさん、また来週。
一同:おやすみなさい。
White Christmas - Frank Sinatra
2019.12.15 Inter FM「Daisy Holiday!」より
H:こんばんは。細野晴臣です。えー、きょうは11/25月曜日の午後4時過ぎ。先週分を録り終えまして、これから2週目の収録になります。今週も「DJ Wataru」に番組を進めてもらいます。
高田:(爆笑)
H:よろしくね(笑)
伊賀:伊賀航ショウ!
高田:それ必ず言うよね(笑)
伊賀:ショウ、ショウ、show!”...
高田:(笑)
∽∽∽∽(♪伊賀航ショウの前テーマ)∽∽∽∽
伊賀:こんばんは、伊賀航です。今週もベースを弾いてます。さて、2週目となった伊賀航ショウ。今週はみなさんの近況を訊いていきたいと思っています。どうですか?まず、伊賀さん…あっ…
H:(笑)
伊賀:どうですか!まだ、アメリカが恋しいとか?アメリ…カは…アメリ…か…
▼△▲▽▼△▲▽(ジングル)▼△▲▽▼△▲▽
伊賀:恋しい、っていうか、僕はアメリカにすごいあこがれがあったから…もう、アメリカ行けてうれしかったです。そして、あのー、なんか、ニューヨークにも行ってみたいなって思ってたので、行けてうれしかったし、なんか、地下鉄とか、空気とか、人がゴチャゴチャした感じとか…グリニッジ・ヴィレッジとか行ったりして、ベタですけど(笑)
高田:(笑)
伊賀:まぁそんな感じで、僕はすごい、あのー、楽しいっていうか、有意義でした。はい。みなさん、えー、どうですか?最近は?
大地:(笑)
高田:すごいザックリ…(笑)
伊賀:どうしてますか?なにしてますか、最近?
大地:最近ですか?もう、細野さん50周年、ライヴモードですけどね。
伊賀:ですよねぇ、そうですよね。絶賛リハ中…
大地:でも、遅ればせながら、3日前に『NO SMOKING』、やっと観に行けました。
伊賀:おお!
H:観てくれたんだ。
大地:とてもよかったです。
H:おお、ありがとう。ホントよかった。
大地:細野さんの…映画の内容は、細野さんが話し聞かせてくれて知ってることもいっぱいあったんですけど。
H:うんうん。
大地:それを改めて…知識として、っていうか、細野さんがどういう風に音楽をやってきたか、っていう…知ってることも多かったけど、なんか、そういう感覚じゃなく観れたっていうのが…
H:へぇ。客観的にね、観れるからね。
大地:もっとドキュメントかと思ったら、すごく映画として観れたんですよ。
H:おお、そうか。
大地:はい。すごいよかったです。
H:それはうれしい。んー。褒められるの大好き。
大地:(笑)ただ、細野さんからしたらずっと自分が写ってる、っていう…
H:だから僕は観てないんだよね。
大地:あ、観てないんですか?
H:…なんてね(笑)
高田:観ましたよね、いっしょにね(笑)
伊賀:いっしょに観たじゃないですか(笑)
大地:(笑)
H:観たね(笑)でも、あんまりね、しっかり観てないんだよね。
大地:そうですよね。
H:自分の[写っている]ところは目を伏せちゃうんだよ。だから、音は聞いてたよ。
大地:(笑)
伊賀:僕は、いちばん好きなシーンが、細野さんの映画で…
H:知ってる。
伊賀:あのー、フランクフルト(Frankfurt)?
H:そっちか(笑)あれね。
伊賀:フランクフルトの、影の…
H:突然出てくる映像のシーンね。
[*タイトルは「shadow walk in Frankfurt」。]
伊賀:はい、あのシーンがすごい好きだな、って思って。
H:あぁ、うれしい。
伊賀:それをこの前細野さんに言ったら、それは細野さんが作った…編集された、と。
H:うん。自分でも好きだよ。ああいうのを[映画に]入れて欲しいなと思って頼んだら入れてくれたんで、よかったなぁ、と思って。
伊賀:他にも細野さんが入れた映像とかあるんですか?
H:ない。
伊賀:そこだけですか。
H:うん、あんまり無いから、映像。だからこれからは、僕は音楽やんないで映像やる…かもしれないんで、よろしくね。
一同:(笑)
大地:あのシーンはホントにiPhoneで撮ってるんですか?
H:そうだよ。ただ撮ってるだけ。普通に。みんなも撮ってるように。影がおもしろかったから。
高田:へぇ…
H:あとで加工したら、すげぇおもしろくなっちゃって。[加工作業に]入り込んじゃって。
伊賀:あの長さが全部?
H:全部。なにしろついでに…歩いてただけだから。トランジットの4,5時間が空いてたんで、小山田くん(小山田圭吾)とかとね、いっしょにフランクフルトを散策してた。いい街だったんだよね。
Pantomime - 細野晴臣
(from 『細野晴臣アーカイヴス Vol.1』)
H:でも、いちばん好きなシーンは、伊賀くんと話してて…
高田:あー、良いですね、あれね(笑)
伊賀:そうですか?(笑)
H:「どんな映画が好きか?」っていう。「観る前の[映画]」(笑)
高田:名言ですね、あれは(笑)
伊賀:「どんな音楽が好きですか?」(笑)
H:「聴く前の[音楽]」(笑)
高田:(笑)
H:でも、あれはホントなんだよね。予告編がいちばん好きだもんね。
高田:たしかに、そうですね(笑)
伊賀:いやー、あの会話がそんなにクローズアップされてるとは思わなかったからビックリしたんですけど…あれはラジオの収録中、ですか?
H:だったよね。
伊賀:ですよね。
H:あれも、じゃあ、伊賀航ショウなんだ(笑)
高田:そうそうそう(笑)
伊賀:そうですよね(笑)
高田:あれは、アルバムのレコーディングをしてたのかな?
H:そうだ。ずいぶん前なんだな。
高田:そうですね、[具体的に]いつのかは、ちょっと…
伊賀:よく憶えてるね、漣くんは。
高田:いやいや、スタジオにいるからそうかな、と思って…(笑)
[*上記の話題から察するに、『NO SMOKING』劇中に登場する伊賀航ショウは2017年5月放送分(シーズン4)。]
伊賀:どうですか?卓史くん。
卓史:???(笑)
伊賀:なんか、お話ありますか?
卓史:ちょっと…実はまだ、『NO SMOKING』観れてなくて。なんですけど、小田切さん(オダギリジョー)の映画…
H:あ、あっちのほう観た?
卓史:はい。あれを観に行って。
H:あ、ホント?
卓史:細野さんの、役者としての…(笑)
H:いやいやいや、そんなのは見なくていいけどね(笑)
卓史:すごい、映像のきれいな素敵な映画だったんで。
H:んー。僕もちゃんとは観てないんだよね。
卓史:(笑)
H:(笑)
伊賀:細野さんはそういう、自分が…
H:自分の[出演してる作品]はぜったい観たくないんだよね(笑)
伊賀:はずかしいですか?
H:はずかしい、っていうか、自分好き?
伊賀:いや、キライです。
一同:(笑)
高田:きょうイチの即答だね(笑)
伊賀:自信をもって…(笑)
H:この中で、自分が大好きっていう人は手を挙げて。あれ、いないかな?
大地:自分、キライじゃないですけど、姿を見るのはやっぱりイヤですね。
H:キライじゃないよね。
高田:音とかはね、うん。
大地:卓史とグッドラックヘイワやってて、ライヴの映像を撮るんですけど、2人とも座ってるじゃないですか、演奏的に。で、2人しかいないから、映像が切り替わっても卓史かオレしか映らないから(笑)
高田:(笑)
大地:結局、オレも卓史も自分が演奏してる姿をカッコいいとかはぜんぜん思わないんで…
H:思わないよね。
大地:はい。それでいっつも映像はうーん…ってなりますね。
H:だから、な…自分を好きなタイプの人っていいよね。
伊賀:いいですね。あこがれますね。
H:いるよねいっぱい、そういう人(笑)
高田:(笑)
伊賀:いいなぁ、と思います。ああいう風に…
H:そうなろうか!ね!
高田:(笑)
伊賀:どういう…どういう風にしたら…(笑)
H:ナルシシズムを自分の中に育てて。
伊賀:じゃあもう、鏡の部屋に…
H:そうそう、鏡の部屋に…(笑)
大地:鏡の部屋…?(笑)
高田:なんかわかんないけど、そういう発想が既に違うような気がする(笑)
伊賀:だよね、もうね(笑)古いっていうか、違うっていうか。
H:まずね、目をね、こうやって…
一同:(爆笑)
H:二重にするんだよ(笑)もう三重になっちゃった。ラジオだから見えないだろうし(笑)
伊賀:目から…目からね、いきますか(笑)はい、ありがとうございました。
H:どうもどうも。
伊賀:あ、もうそろそろ大丈夫ですか?
(スタッフ:ぜんぜん。)
H:(笑)
伊賀:あ…えーと、次、どの辺いきましょうか。
◎●○◎●◎○●(ジングル)●○◎●◎○●◎
伊賀:そうですね、あのー…あとはアレですね、細野さん、あのー…(笑)
H:なんか嫌がってない?(笑)
伊賀:いやいやいや…(笑)あのー、六本木ヒルズでね、「細野観光」っていうね。
H:それね。
伊賀:細野さんの所蔵品とか、そういうのが…展示されてるイベントがありましたね。
H:んー。
伊賀:みなさん、行きましたか?
大地:行きました。
H:行ったんだね。ご苦労様。
伊賀:卓史くんは?
卓史:僕、ちょっと…(笑)
伊賀:漣くんは?
高田:僕は行きました。はい。
H:…野村くんは要注意人物だ(笑)
卓史:(笑)
高田:あ、でも、伊賀くんも行ってないんだ?
H:行ってないんだ!(笑)
伊賀:申し訳ない…(笑)行ってないです。野村と伊賀は要注意人物ですね。
高田:(笑)
H:まぁでもね、僕もあんまり行ってないんで…僕も要注意人物。
高田:(笑)
伊賀:行ってないんですか?(笑)
H:行ったんだけど、やっぱりおんなじだよ、映画と。姿じゃないけど、自分のものが並んでるのを見て、楽しい?
伊賀:いやー、楽しくはない…
H:でしょ?いろんなことを思っちゃうよね。
伊賀:やっぱそうですよねー。でも、やっぱりそれは、展示しとこうかな、っていう自分の気持ちもあるんですか?
H:ないない。あのね、スタッフの人がみんなやってくれて、優秀な人が選んでくれて。
伊賀:あ、「これは展示したほうがいいですよ」っていう…
H:だからそれはもう、全部預けちゃったんだよ。自分じゃわかんないから。
伊賀:へぇ…
大地:よくこんなに取ってあったなぁ、っていうのがすごい…
H:それが、ビックリしちゃって(笑)自分の周りになんにも無いのに、自分の部屋はゴミだらけなの(笑)どこにあったんだろう。
伊賀:(笑)
大地:候補に挙がったけど、展示はされなかったものもあるんですか?
H:あるだろうね、たぶん。
大地:「これは展示しますよ」みたいなのは、細野さんにもチェックは…?
H:一応ね、目録とか。すごくこまめにやってくれて。楽器とかね。こんなの使ってないよ、とか。
伊賀:あ、自分で憶えてないような…
H:憶えてないの。あんなギター持ってたんだ、って。ビックリしちゃった(笑)ベースもいっぱい持ってるんだなぁ、って。
大地:歌詞の、手書きの…
H:歌詞とかね。昔はパソコン無い時代だから。
高田:譜面もね。
H:譜面も書いてたね。
大地:そうでしたね。あとは、ニュー・オーリンズの研究の本とか…あ、こんなに研究してたんだ、と思って。
H:ただのね、メモ魔なの。書いてるだけなの。ただただ書いてるだけ。
伊賀:それはいまも続けてるんですか?
H:いまはパソコンの中にぜんぶ。メモが入ってる。
伊賀:へぇ…
高田:なるほど。
H:だから、パソコンだと残らないかもしれないよね。
高田:そうですよね。ホントですね。
H:[紙の]ノートは残っちゃうんだね(笑)
大地:そうですね。
伊賀:あー、ハードディスクが壊れちゃったりとかして…
H:壊れたり、インターフェースが変わっちゃったりね。
伊賀:そうですね。あー…
H:ひと昔前のパソコンのハードディスクなんて、もう使えないじゃん。
伊賀:そうですね。
高田:見れないですもんね。
伊賀:え、じゃあもう、パソコンに入れてたけど無くなってしまった細野さんの何年間、みたいな…
H:あるよ。クラッシュしちゃって消えちゃったやつもあるよ(笑)
高田:なんか一時期細野さん、そういうこと仰ってましたよね。レコーディングしようと思ってたマテリアル…いろんなメモとかがぜんぶ見れなくなっちゃって。
H:そう。ショックだったんだけど、それはそれで忘れるよね。あきらめちゃう。
伊賀:なんか、毎日そういうのやったりするんですか?思いついたら、みたいな。
H:思いついて…僕は脳みそに溜めないで、外付けにぜんぶ入れちゃう。
高田:なるほど(笑)
伊賀:あー…(笑)ぜんぶ[外部に]出していく…
H:だから、それを読みとるときは頭にハードディスクをのっけて、ラインを耳に突っ込んでね。
一同:(笑)
高田:おもしろい、でも、それ…(笑)
H:いや、おもしろくないよ(笑)
高田:なんか細野さんの一時期の…『銀河鉄道の夜』とか『omni Sight Seeing』の頃の作品とかって、そういう…脳から直接アウトプットされたみたいな音楽、っていうか。
H:あ、そうかそうか。
高田:整然としていないような要素もすごく多くて。
H:脳みそだよね、あれね。
高田:なんかすごい不思議な…普通は「まとめる」ところが、ワーッと「湧き出てる」というか。すごいなぁと思って。改めて聴いて。
H:普通は譜面に書いたりしてまとめるじゃん。あの頃からね、譜面使わなくなっちゃった(笑)
高田:なるほど。
H:最近はもう、使ってないじゃん(笑)
高田:んー、そうですね。
H:だから、コンピューターの恐ろしいところはそこだよね。脳と直結してる。
伊賀:もう、すぐ作っちゃう…
H:だから、作りながら作ってるっていうか…なんて言うんだろう(笑)
高田:そうですね。そんな感じですよね。
伊賀:いや、すごい…いろいろ…貴重な話を…ありがとうございました…
H:(笑)
高田:伊賀くん、なんか元気無くなっちゃったね(笑)
伊賀:(笑)
H:つまんなかったかな。
高田:(笑)
大地:おもしろかったです(笑)
伊賀:いや、いまね、なんか感慨深かったです。ホント、いい話でした。
大地:[「細野観光」には]行ってないけど。
伊賀:行ってないけど…(笑)行ってないけど、感慨深かったです(笑)ありがとうございました。それでは1曲…
H:ホントに?(笑)
大地:そこは元気があるんだ…(笑)
伊賀:もう、きょうはいいですか?
大地:(笑)
H:逃げてるな(笑)
The House of Blue Lights - 細野晴臣
(from 『Heavenly Music』)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇(ジングル)◇◆◇◆◇◆◇◆◇
伊賀:伊賀航ショウ!僕、伊賀航がお送りしています。さてみなさん、来年の予定で決まっていることがあれば教えてください。どうですか?大地くん。
大地:来年…いろいろあります。卓史とやってるグッドラックヘイワを来年どうするかは、この細野さんのリハーサルが終わった後に話そうか、って言ってるんで、まだ決まってないんですけど。
伊賀:なるほど。
大地:まぁ、毎回みんなでよく言ってますけど、まだ自分、年末感がなくて(笑)2020年ですからね、なんか…
伊賀:そうですね…
H:んー。
大地:どうなるか…オリンピックありますね。
H:普通の年じゃないよね。
大地:そうですよね。ちょっと…どうなる…あ、でも40歳になります、来年。
H:えぇー!
高田:(笑)
大地:遅ればせながら、3月に…
伊賀:おめでとう。
大地:ありがとうございます(笑)
高田:(笑)
大地:伊賀さんの50歳を祝いたくて仕方なかったんですけど、気付いたら51になっちゃってたんで…(笑)
伊賀:それはいいじゃないですか…(笑)
H:オッサンかぁ…(笑)
大地:そうですね(笑)自分は少し意識ありますね、40歳っていうのは。
伊賀:大台ですね。
大地:はい(笑)
高田:自分も大台、乗ってるのに…(笑)
伊賀:(笑)
大地:(笑)
伊賀:どうですか?卓史くんは。ありますか?なんか。要注意人物として(笑)
卓史:要注意人物…(笑)いや、あの、一刻も早く『NO SMOKING』を観に行こうと思ってます。はい。
高田:まだやってるからね。
伊賀:はい。以上ですか?
卓史:以上です。
伊賀:はい。漣くんどうですか?
高田:そう…あの、ぜんぜん関係無いんですけど、今年はすごいツイてなかったんですよ(笑)いろいろ…
伊賀:たとえば?(笑)
高田:たとえば…数か月の間に2回車のマフラーが落ちたりとか(笑)
伊賀:落ちたねぇ、落ちてたねぇ…(笑)
高田:まぁ言えないこともあるんですけど、いろいろなことが起きてて。最後の最後に、友達からもらったキーホルダーの…ハングルース(Hang Loose)っていう恰好をしてるハワイのお土産の…キーホルダーが落ちて、指を詰めた状態になって…
伊賀:(笑)
高田:そういう地味にイヤなことずーっとが続いてて。グラスも割れるし、なんだかんだ…だから来年は健康でいい年だといいな、と思ってて(笑)
大地:「身代わり」、って言いますからね。よく。
高田:そうそうそう。
H:え、厄年とかじゃないの?
高田:ぜんぜん違うんですけど…なんかしちゃったんですかね(笑)
伊賀:じゃあ来年はぜったいいいよ。
高田:ありがとう(笑)
伊賀:だって、ここまで来てね、ツラいことばっかりだったから…
H:(笑)
大地:そのトーンで言うと、なんか、ホントに…(笑)
伊賀:はい、すいません(笑)
H:じゃあ、伊賀くんはどうなの?
伊賀:僕ね…あ、来年ですか。
H:はい。
伊賀:もう、そんなになんにもないっていうか、あのー…音楽の仕事しますけども…
高田:DJ?(笑)
伊賀:いやいやいや、DJじゃない…(笑)
大地:番組?
伊賀:いやいや、番組もないですけど…
H:(笑)
伊賀:まぁ、あのー、かわら…変わらずっていう感じです。
高田:(笑)
伊賀:あのー…今年も別に悪いこともなく、良いこともなく、生きてきたな、っていう。
高田:それはでも、いちばんいい…
伊賀:だから、あの…死ぬときは、たぶん、スパッって死にますから。
H:(笑)
伊賀:みんなの前からいなくなりますから。
大地:いつも気がついたら帰っちゃってて…(笑)
H:(笑)
伊賀:まぁ、ホント…じゃあ細野さん、最後にお聞きしてもいいですか?
H:僕はもう、死んだも同然だからね。
伊賀:いやいや…
H:50周年なんてのは普通、生きてる間にやらないよ。
伊賀:いやー…細野さん、でも、お会いした時よりも今のほうがめっちゃ忙しく…
高田:うんうん。
H:こないだね、沖縄の照屋林賢。最近会ってなかったけど、めずらしく電話があって。なんか用かなと思ったら、「元気ですか~?」って(笑)
高田:(笑)
H:それで、「忙しいのは知ってます。晩年に忙しいのは大変ですね(笑)」って言われちゃった…(笑)
大地:晩年…(笑)
H:そうなんですよ、晩年なんですよ(笑)
一同:(笑)
H:そんな感じ。
伊賀:だからこれから、さらに…加速度的に…(笑)
H:いやいや…来年、今年が終われば「51周年」っていうのは無いからね(笑)
伊賀:いや、わかんないですよ?(笑)
H:いや、わかるよ(笑)
大地:(笑)
高田:なにがわかんないのかわかんないよ(笑)
伊賀:「51周年記念ライヴ」みたいな(笑)
H:だから…隠居もいいなとは思うんだけど、もう来年のスケジュールが入ってきてるんだよ。
高田:うん。そうですよね。
H:だから、みんなにも関係あるよ。
伊賀:ドキッ…
H:また、ほら、外国行ったりすることが増えるんだよね。
伊賀:外国はホント…言葉わかんないですけど、行くと楽しいです。
H:(笑)
高田:いまの言いっぷり、ぜんぜん楽しそうじゃないよ(笑)
伊賀:いや、ホントにそう思ってます(笑)すいません…じゃあ、えーと…最後に時間が余ったので、みなさんの…
H:余ったの?
伊賀:ここは要らないですか?
(スタッフ:もう要らないです!)
大地:(笑)
伊賀:じゃあ、ここで曲を…
(from 『「グーグーだって猫である」オリジナル・サウンンドトラック』)
▼△▲▽▼△▲▽(ジングル)▼△▲▽▼△▲▽
§§§§§§§§§§§§(ED)§§§§§§§§§§§§§
伊賀:というわけでいかがでしたか?今回の伊賀航ショウ。さて、締めです。今年、2019年も無事に終わりを迎えようとしています。来年はねずみ年、オリンピックの年でもあります。みなさんにとって、良い1年になりますように、お祈りしてます。よいお年を。では、また来年お会いしましょう。みなさん、お元気で。伊賀航でした。
(伊賀:いやー、ホントに…みんなに助けてもらいました。)
2019.12.08 Inter FM「Daisy Holiday!」より
(H:あ、これか…[収録]回ってんの?)
(スタッフ:ちょっとお声頂けますか?レベルを…)
(H:はい。チェックチェック、ワンツー。)
(伊賀:あ、あ…)
(スタッフ:伊賀さんはいいです。)
(高田:(爆笑))
(H:(笑))
○●○●○●○●○●♪Back Bay Shuffle○●○●○●○●○●○
H:こんばんは。細野晴臣です。えー、実はいま11/25月曜日の午後3時過ぎで、まだ昼間ですけど、都内のスタジオに…11/30と12/1にある、国際フォーラムで行われるコンサートのリハをやってます。ここにメンバーが集まっていますので…ここからはおなじみ、伊賀航ショウに切り替えてもらってですね、伊賀くんに仕切ってもらいます。どうぞ!
伊賀:伊賀航ショウ!
H:(笑)
伊賀:[台本に]書いてあったので…
高田:(笑)
H:まあね(笑)
伊賀:読ませて頂きました。
@*&@*&@*&(ジングル)@*&@*&@*&
∽∽∽∽(♪伊賀航ショウの前テーマ)∽∽∽∽
伊賀:こんばんは、伊賀航です。変わらずベースを弾いています。さて、いま細野さんが仰ったように、きょうは東京国際フォーラムで行われるコンサートのリハーサルのために、いつのも…いつものメンバーが…(笑)
H:「いつのも」(笑)
伊賀:いつものメンバーが、集まっているわけですが!全員で集まるのはあのアメリカツアー以来?
H:んー、そうだよ。
伊賀:ね。半年…
H:もう半年経っちゃったね。早いね。
伊賀:あっという間ですね。あ、みなさん元気ですか?
高田:(笑)
大地:元気でーす。
伊賀:声が無かったんで心配になりましたよ。
大地:いや、いまの伊賀さんの声を聞いてみんな元気になってる感じで…(笑)
伊賀:…。
H:え、元気無くなっちゃった?
高田:(笑)
伊賀:すみません…(笑)元気…元気ですか?
高田:元気です。
伊賀:よかった。
高田:心配してたの?(笑)
伊賀:心配して、不安になってて、いま…
H:伊賀くんは元気なの?
伊賀:僕はそんなに元気無いですね(笑)
H:無いのか。
伊賀:無いですけども、みんなの元気をもらいながら…
H:無いよみんな、元気。あげられないよ(笑)
高田:(笑)
伊賀:無いんですか(笑)卓史くん、元気ですか?
卓史:元気ですよ。
伊賀:安心しました。
H:よかったよかった。
伊賀:えー、まずはですね、伊賀さん…
H:自分じゃん、伊賀さん(笑)
高田:書いてあると全部読むよね(笑)
伊賀:アメリカにですね、みんなで行ってきまして。半年ぐらい前に。
高田:いまその話したよね?(笑)
伊賀:あ、ご存知のように…(笑)で、それを自分が…アメリカでのエピソードを披露してくれ、ということなんですが…えーと…なんかありますか?あ、俺?
一同:(笑)
伊賀:自分の話でした(笑)じゃあですね、みんなにちょっと選んでもらうんですけど、ニュー・ヨーク編とロサンゼルス編、どっちがいいですか?
高田:どっちかなぁ…
大地:どっちがおもしろかったかなぁ…
高田:やっぱり、ロスのほうがおもしろいんじゃないの?
伊賀:ロサンゼルス。
高田:ニュー・ヨークもおもしろいけどね。
伊賀:ロサンゼルス、3票。
H:…どっちでもいい(笑)
一同:(笑)
▼△▲▽▼△▲▽(ジングル)▼△▲▽▼△▲▽
伊賀:えー…ちょっとロサンゼルスのお話を…
大地:お願いします。
伊賀:これ、でも、長くなってしまってちょっと申し訳ないところですけど、お話します。えーと、ロサンゼルスで、何日間か滞在したんですが。あのー、最終日…あ、ライヴの日だ。ライヴの日にお土産を買おうと思って、ホテルからひとりで…珍しく外出しました。で、いくつかGoogleマップでお土産屋を見つけておいて、歩いてったんですけども。なんか、お店入ったんですけど、あんまり自分が欲しいようなお土産が無くって。で、フラフラ歩いてたら、なんか、ホテルの近くなんですけど…初夏にロサンゼルスではすごい綺麗な花が咲くんですよ。それがハカランダ(Jacaranda)って言って、街中で咲いてるんですよ。
H:あー、あったあった。白い花ね。
伊賀:あのね、薄紫色なんですよ。
H:あ、そうか。薄紫だっけ。
伊賀:それがずーっと咲いてて。で、僕、着いたときからめっちゃ気になってて。みんなに言ってるんですけど、みんなはぜんぜん興味ないんですよ(笑)
高田:いや、そんなことはないけど…(笑)なんで[伊賀くんが]そんなにハカランダの花がきれいだきれいだ、っていうのかがずっとわかんなかったんだよね。
大地:ね、いままでそんなに伊賀さん…
高田:伊賀くんが花のこと言ったことないじゃない、いままでさ…(笑)もう会って15年以上経つけど。
伊賀:逆言ったら、だからみんなが驚くべきなんです。そこで反応しなきゃダメじゃん。
一同:(笑)
大地:あー、急にどうしたの?っていう…
高田:んー。でもずーっと言ってたよね、たしかにね。
伊賀:空港に着いたときから僕、もう…高速道路乗ったら…
H:おお。おんなじだよ、僕も。仲間。
伊賀:あ、ホントですか?気になってました?あの花なんだろうって。
H:そう。だから訊いたんだよ、アメリカの人に。
伊賀:おんなじです!僕は漣くんとかに、あの花なんだろうね、って…
H:漣くんが知ってるわけないじゃない(笑)
伊賀:まったくね、返答が無いんですよ(笑)
高田:花にはそんなに興味を持ったことが…(笑)
伊賀:そう。だから僕はインターネットですぐに…
H:お、すごいね。
伊賀:「ロサンゼルス 紫 花」って入れたら…
大地:(笑)
伊賀:「ジャカランダ」って書いてあったんですよね。
H:そうだよね。ジャカランダ。なんて読むの?
高田:ハカランダ。
伊賀:漣くんはハカランダって言うから、あ、そうなんだ、って思って。まぁ、ちょっと長くなってしまいましたけど。すいません。
H:んー、長い(笑)
伊賀:(笑)
伊賀:すいません、3日分いきます。えーと、ハカランダが咲いてるところを見つけたんですよ。ホテルの周りで。
高田:うんうん。
伊賀:で、とぼとぼ歩いてってたら、いままでハカランダを見た中でいちばんきれいに咲いてて。いちばん大きな花だったんですよ。これちょっとすっごいな、と思って。近寄ってったんですよ。そしたら、甘いにおいがしてて。で、すごい良いにおいだなぁ、と思って、とぼとぼとぼとぼ歩いてって。並木になってたんで、そっちのほうに進んで行って。で、しばらくして気付いたら、なんか、街が…テントとか、ビニールでできた家とか、そういうのが並んでるなぁ、っていうのが見えたんですね。
H:(笑)
高田:そのときは花しか見てなかったんだよね?(笑)
大地:なるほど…
伊賀:気付いたら…足元を見たら、テントとビニールの建物が並んでて。あれ、おっかしいなぁ、と思って。街が荒れてるっていうか、ちょっと汚れてるんですね。で、これなんか違うな、と思って、引き返そうと思ったら、ちょうど信号が赤になっちゃったんですよ。戻ろうと思ったけど、止まってたんですよ、信号に。そしたら…脇を見たら、後ろのほうから人が近づいて来てて。外人が。
H:外人…(笑)
高田:伊賀くんが外人だよ!(笑)
伊賀:白人の方が…(笑)近づいてきてらっしゃってて。そんで、うわ、なんかこっちに来てる…と思って、もうちょっと近寄ってきたら、なんか言ってるんですよ。
H:んー。
伊賀:でも僕、皆さんご存知だと思うんですけど、英語とかまったくダメで。
高田:(笑)
伊賀:なに言ってるかぜんぜんわからないんで、無視してたんですね。そしたらどんどんどんどん近寄って来て。フッ、って見たら、その人が裸で。裸の上に毛皮来てるんですよ。
卓史:毛皮…(笑)
伊賀:裸の上に毛皮着た人が俺の横のほうに来て…うわ、怖いけど[信号が]赤だし、ぜんぜん赤が変わらなくて待ってたら、ホントに僕の横に来て、ピタッと寄ってきて。なんか言ってて。ほんで、もう、なんにもわかんないから、怖くて怖くてしょうがないんだけど…そこでじっとして話をしてるのも怖かったんですけど、もう怖くて…
高田:(笑)
伊賀:いま、そのときのことを思い出してます(笑)
高田:怖さをいま思い出してるの?(笑)
伊賀:で、もう耐えられなくなって、信号赤だったんですけど、「No!」って言って、走りだして…
一同:(笑)
伊賀:Noしか言えなかったです。
H:ホントは、あれだよ、「花がきれいだよね」とか言ってたんじゃないの?(笑)
高田:言ってたかもしれない…(笑)
伊賀:あの、よく考えてみると、けっこうフレンドリー?
H:なんだよ、そうだったんだよ(笑)
大地:脅してる感じじゃないんだ。
高田:でも、伊賀くんが入ったそのエリアっていうのがさ、あれだよね…
H:どこなんだ、それは。
高田:スキッド・ロー(Skid Row)っていう、いちばん言っちゃいけないって言われてる…
H:あ、そんなとこ行ったんだ。
伊賀:そうなんですよ。ほんっとに危険地域の…「世界の危険地域No.5」みたいところに入ってくるような…(笑)
H:あ、そんなに危険なの?そこ。へぇ。
高田:で、普通の人だったらたぶん、わかると思います。明らかに急に景色が変わるんで。伊賀くんたぶん、花しか見てない…(笑)
卓史:よっぽど花が…(笑)ホテルのね、2ブロック先だ、って言ってて。1ブロック行った時点でちょっともう、変わり始めるんですよ。
伊賀:そうなんですよ…
Flowers - Tin Pan
(from 『Tin Pan』)
高田:あと伊賀くんさ、そもそもその前の2日間…オフの間にさ、俺ら散々お土産買いに行ってたんだけどさ、その間に一切買わなかったのに、なんでライヴの当日に慌ててお土産買ってるのよ(笑)
伊賀:買わなきゃ、と思って…火がついたんだね(笑)
H:なにが買いたかったの?
伊賀:いや、なんか、みんなに配る用のシールとか…
高田:シール!(笑)
大地:(笑)
伊賀:あるじゃないですか、シール。キーホルダーとか…(笑)
高田:そういうのは無かったね…(笑)あー、それは悪いことしたね…(笑)シール売ってるところは行かなかったなぁ。
H:それは安いな、それはな(笑)
伊賀:オスカー像の磁石で出来たやつとか…(笑)
高田:(笑)
卓史:それ、空港にも売ってると思いますよ(笑)
一同:(笑)
伊賀:まぁまぁまぁ、そんなことがあって。そこから急いで逃げようと思って。
H:なるほどね。
伊賀:まぁ、そこから続きがありまして。
高田:そうだよね!(笑)
伊賀:その後、赤[信号]のところを…あ、赤が変わらないから青のほうに進んだんですよ。
H:まじめだね(笑)
高田:(爆笑)
伊賀:そしたら、スキッド・ローのどんどんどんどん奥のほうに入って行って…(笑)
高田:(笑)
伊賀:もう、みるみるテントもバラックも増えてくるんですよ。で、なんか背の高い黒人の人が鍋洗ってたりとか…もう小走りでそこを通過して。くるくるってUターンして、また小走りで、急いで逃げてきました(笑)
大地:この話、アメリカから帰ってきて[顔を合わせると]必ず出る話で、もう月に1回ぐらい聞いてる…それでもおもしろいんですよ(笑)
高田:もう6回ぐらい聞いてる(笑)
H:初めて聞いた(笑)
伊賀:あの、恵比寿ガーデンホールで細野さんの…細野さんを歌うコンサート。
H:大変だったよね、あれ。うん。
伊賀:あのときに幸宏さん(高橋幸宏)がいらっしゃってて。幸宏さんにその話をしたらめっちゃウケてました(笑)
H:(笑)
大地:楽屋で話してましたね(笑)
伊賀:だから、何回もしてますよね、この話(笑)
高田:伊賀くん、あれでしょ?そのすごい気に入ったハカランダの花はさ、旧山手通りにも咲いてたんでしょ?(笑)
H:ホントに?(笑)
伊賀:帰国してすぐに、旧山手を車で走ってたら、TSUTAYAの前に…(笑)
高田:ハリウッド・ランチ・マーケットの前に…(笑)
H:あ、そうなんだ。
伊賀:おんなじ花が、あれ!って…あるじゃん日本に…(笑)ってことでした。
H:オチがついた。
伊賀:ご拝聴ありがとうございました。
◎●○◎●◎○●(ジングル)●○◎●◎○●◎
伊賀:えーと…それでは、みなさんはいかがでしたか?アメリカの印象は。大地くん、どうでした?
大地:アメリカの印象…自分も初めてだったんですね、アメリカ行ったのは。
H:そうだったの?
大地:はい。ドラムが生まれた国ですから、楽しみでしょうがなくて。もう、ニュー・ヨークの日はあこがれのドラムショップに、伊賀さん、漣さん、付き合ってもらって行って。ライヴ観に行ったり…楽しかったですね。ただ、いちばん印象的というか…こんなに時差ボケなるんだ、自分、っていうぐらい食らいましたね。いままでは時差ボケ、ヨーロッパ行ってもぜんぜんなかったんで自信があったんですけど、時差ボケしないのは漣さんだけでしたね。
高田:うん。
H:そうだよね。
大地:それがなんか、いちばん印象と言うか…
伊賀:あ、時差ボケが印象的?
H:つらかったよね。
大地:つらかったです。あ、これか!と思って。
高田:卓史くんもけっこうあれだったよね?
卓史:そうですね。僕、もう、時差ボケしたまま帰国しましたね。
高田:そうだよね(笑)
卓史:ずっと眠くて、日本帰ったらピッタリ…(笑)
高田:それはけっこういいよ(笑)時差ボケひどい人は最後、日本に戻ったときにまたさらにおかしくなって…
卓史:そうですよね、ヘンになって…
H:そうだよ。帰ってきてからひどかった。
大地:細野さんはウチらより前も後ろも長く滞在されたから余計に…
H:なんかね、ニュー・ヨークからロサンゼルスに来た時点でもう時差ボケだよ。
高田:あー、[時差が]3時間あればけっこう来ますよね。
H:国内…アメリカが広い!日本は狭くて良い!
一同:(笑)
伊賀:そうですよね、飛行機で5,6時間かかって…
高田:たしかにたしかに…
伊賀:(いいですか?)…漣くん。
高田:ん?
伊賀:漣くんは、アメリカの印象は…あ、行ったことあるんだよね。
高田:そう。20歳ぐらいのときにしばらく居たことがあって。僕は西海岸にいたんだけど、そのときの印象は…とにかくごはんが美味しくない、というイメージがすごく強くて。
H:うん(笑)
高田:ニュー・ヨークは美味しいかもしれない、って言われてたけど。今回行ったら意外とどこ行ってもごはんが美味しくて、なんかビックリしたっていうか。その代わり、値段もすっごい高くなってたけど。
伊賀:高かったね。
高田:もう、ニュー・ヨークの朝食とかね。まぁ美味しいんだけど、たっかいなぁ、と思って。
大地:2千円ぐらいかかった…
高田:ね。大地くんと2人でドラム屋さんに行って、帰りにミネラルウォーターとか買ったら、普通に400円、500円してね。日本だと100円ぐらいで買えるようなものが…やっぱりだいぶ物価が高いんだな、と。すごいビックリしましたね。
伊賀:ですよねぇ…
高田:…なに?いまの(笑)
伊賀:すいません…(笑)細野さんは、印象…
H:僕?
伊賀:でも、よく行かれてますかね?細野さんは。
H:まぁ、そんなに頻繁じゃないけど。
伊賀:何年ぶりですか?
H:何年ぶりだろう…あ、でもね、2,3年ぶりだよ。YMOでコンサートやったり、ヨーコさん(オノ・ヨーコ)手伝ったり。
伊賀:あー、そうかそうか…そのときと印象的には…?
H:別にそんなに…ないよ(笑)
伊賀:(笑)
H:あ、でもたしかにね、ごはんは美味しかったね。
高田:美味しかったですね。
H:はっぴいえんどのときに初めて行ったんだよ。1972, 73年だよね。
高田:はいはいはい…
H:もう、ホンットにまずくてまずくて…(笑)で、4人でね、「あ、あそこに美味しそうな中華屋がある」と思って。ロサンゼルスでね。立派な建物なの。老舗みたいな。
伊賀:はい。
H:ここならいいだろう!って入って行ったら、客が誰もいないのね(笑)
高田:(爆笑)
H:で、みんなお金が無いから、麺つゆ…つゆ麺、つゆそば?なんて言うの?頼んだの。4人で1個ずつ(笑)そしたら、なんかね…ぬるま湯にメリケン粉を入れて茹でたような麺が入ってて(笑)ぬるいの。で、味が無いの。お湯なんだよ。お風呂に浸けた麺みたいな…(笑)
一同:(笑)
H:残しちゃったもんなぁ…で、結局美味しかったのは、その当時はデニーズばっかり行ってたね(笑)日本にまだないから。
高田:あー…
伊賀:ダイナーみたいな…
H:ダイナー。でもね、ヘルズ・エンジェルスの名残みたいな連中がいっぱいいてね。たむろしてるから、端っこの目立たないほうに行って。で、ハッシュドブラウンばっかり食べてたね。
伊賀:それは美味しかったんですか?
H:それは美味しいんだよ。あとはパンケーキだな。そればっかり。
伊賀:アメリカですねぇ…
H:うん。
(from 『HAPPY END』)
H:まぁでもね、昔のほうがおもしろかったよ。安旅行だから、モーテルに泊まったんだよ。はっぴいえんどで。そしたらそこの1階にもダイナーがあって。ハンバーグが美味しいんだよ。いまはああいうダイナーが無くなっちゃったからね、アメリカから。どんどん。そしてそのモーテルは…なんて言ったらいいんだろう、いま。なんて言ったらいいのかわからなくなっちゃったけど、まぁ言うけどね(笑)オカマの娼婦のたまり場なの。
高田:へぇ…
H:しかも黒人たちなの。きれいなんだよ?でも、オカマ同士の、女の男が、取っ組み合いのケンカしだしたりね(笑)映画みたい(笑)すごかったなぁ…そんなような旅で、昔のほうがおもしろかった。
伊賀:もう、日本人は細野さんたちぐらいしかいない…
H:もうね、日本人とは思われないもん。「どこの居留地から来たんだ?」みたいな。ネイティヴ・アメリカンだと思われたり(笑)中国人かと思われたりね。で、サン・フランシスコに寄ったら、そこは日本人だってわかったみたい。日本人が多いのかね?
高田:そうですね。うん。
H:で、土地のおばちゃんに道を訊かれたりして(笑)
一同:(笑)
伊賀:地元の…(笑)
H:だから、こないだ行った旅は東京に近いよね。世界中、ぜんぶ。
高田:そうですね、どこ行っても…
H:味もみんな美味しくなってるし。
伊賀:差が無くなってきてるんですね。
H:うんうん。でも僕はニュー・ヨークのホテルの朝食が大好きで。気に入っちゃって。納豆に海苔に…
一同:(笑)
高田:そうだったんですね(笑)
H:あとシャケに…(笑)日本より美味しかったんだよ。
伊賀:僕らは無かったですね、それは(笑)
H:違うホテルだもんね。だから、いつもいっしょに行こうとしことは無いね(笑)
高田:そうですね。途中で、でも、映画(『NO SMOKING』)の撮影の流れで行ったりはしたけど。
H:あ、そうだね。うん。
伊賀:行きましたね。
大地:ホットドッグを食いに…
H:あー、ホットドッグ美味しかったよなぁ…
高田:あれは発祥のところなんですか?
H:そうそう。コニー・アイランド2軒が始めて、そのうちの1軒なんだよ。すごい歴史的な…
高田:なんか、マスタードとケチャップを自分で入れるシステムが向こうっぽいですよね。
H:そうだね。で、街のホットドッグサンドがまずいんだよ。
高田:あー、そうなんですか。
H:まぁ、そこら辺はちゃんと…昔行ったときに美味しそうだと思って買ったらまずかったんだ。
卓史:確かに、露店みたいな…
H:露店もいっぱいあるね。んー。
伊賀:というわけで…ここでじゃあ、1曲。
高田:ほー?(笑)
H:こんなところで(笑)
高田:そこはもう、いいんじゃないの?(笑)
伊賀:なんか、音楽聴きたくないですか?あ、そんなことない?じゃあ…
◇◆◇◆◇◆◇◆◇(ジングル)◇◆◇◆◇◆◇◆◇
(伊賀:これはちょっともう、しゃべれ…大丈夫ですね。巻いたほうが…)
(高田:もうここじゃない…最後のところ。)
(大地:ラジオの勘が…(笑))
(伊賀:いやー、これ、アメリカのやつは楽だわ、なんか。)
(大地:楽…(笑))
(伊賀:みんな話すことあるから…じゃあ、最後いきましょうか。)
§§§§§§§§§§§§(ED)§§§§§§§§§§§§§
伊賀:というわけで、いかがでしたか。今回の伊賀航ショウ。時期的にはフォーラムのコンサート後なんですが、アメリカ公演の話を中心にお届けしてしまいました。すみません。あのアメリカ公演からもう半年も経ったのか、英語も忘れてきちゃったなぁ。そんな感想も言いつつ…
高田:(笑)
卓史:ホントに読んでますね(笑)
高田:機械みたい(笑)
伊賀:あのアメリカ公演からもう半年も経ったのか…今週はこの辺でお別れです。では、また来週お会いしましょう。お相手は伊賀航でした。
(高田:すごいよ伊賀くん、書いてあることをひたすら読むよね。)
(伊賀:ホントはいちばんそうしたい。それで終わりたい。はい、[O.A.は]15日!)
(高田:すごいサクサク…(笑))
2019.12.01 Inter FM「Daisy Holiday!」より
こんばんは。Daisy Holiday!の時間です。今宵は先月16日にシネスイッチ銀座で行われた、映画『NO SMOKING』のトークショウの模様をお届け致します。ぜひ、お楽しみください。
司会:はい、それでは…お客様にご挨拶をお願いできればと思います。
H:はい、司会の細野晴臣です。
(会場拍手)
H:どうも。いらっしゃい。えー、きょうは司会としてですね、ゲストの方をお招きしてて…佐渡監督(佐渡岳利)です。
佐渡:よろしくお願いします。
(会場拍手)
H:監督はゲストとして司会者に何か質問があるんですか?
佐渡:そうですね。司会の方にいろいろ訊かなきゃいけないなと思ってやって参りましたので…(笑)
H:じゃあ僕はあんまり考えないんで、聞いてるだけで…
佐渡:そうですね、あくまでも司会ということで…
H:じゃあ、お任せします。ええ。
佐渡:はい。ということで、みなさん、本当にきょうはありがとうございました。お忙しい中お越し頂きまして…
(会場拍手)
佐渡:観終わった直後、ですよね。
H:あー、そうか。んー。
佐渡:ということで…『NO SMOKING』。先日、舞台挨拶でご一緒させて頂いたとき、「なかなか観れないから音で聴いたら良い感じだった」、って仰られたんですけど…
H:あー、目を瞑って観てましたね。
佐渡:なかなか、やっぱり…それはまだ変わらないですか?
H:いまだに見てないですよ(笑)
佐渡:(笑)
H:ちゃんと見るのは1年後くらいですかね。
佐渡:(笑)
H:いやー、やっぱり自分が出てるのを好んで見る趣味はないですよ。
佐渡:そんなにダメですか?
H:いや…ホントに自分が好きだったらいいんだけど、そんなに好きじゃないんですよ(笑)
佐渡:(笑)でも、かなりカッコいい…と、僕は思いましたが。
H:なんかね、人々の声が届くと大体そんな感じで。あぁよかったな、と思うんですけど、ホントなの?と思うんですよね。
佐渡:いや…ホントですよね?
H:いやいやいや…(笑)
(会場拍手)
H:あー、ありがとう。別に確かめたいとは思わないですよね、そんなことは(笑)
佐渡:でも…僕も映像の仕事をやる端くれにおりますので、やっぱりカッコいい被写体のときのほうが気持ちも上がるので。今回はたいへん楽しく撮影させて頂きました。
H:あの、僕は世の中をカッコいいか悪いかで判断してないんですよね。好きか嫌いかでやってるもんですから…(笑)
佐渡:(笑)
H:で、自分が好きかって言うと、そうでもないという(笑)
佐渡:きょうですね、僕はノルマを頂いてまして。忘れないうちにそのノルマを達成していいでしょうか?
H:どうぞ。なんでしょう?
佐渡:「好きか嫌いか」というお話で言うと、最近の外国の音楽とか、注目されている好きな音楽とかってありますか?細野さん。
H:そうだな…僕はここに来るまでずっと…きのう、おとといも、ボブ・フォッシ(Bob Fosse)という振り付け師の…
佐渡:はい。
H:振り付けであり、映画監督であり…1986年だったかに60歳で亡くなっちゃったんですけど。そのボブ・フォッシの映像をずっとチェックしてて、自分で編集したりしてね。また。
佐渡:あ、そうなんですか!
H:ええ。映像を並べてね。
佐渡:フォッシの振り付けの。
H:なんでやってるかと言うと…実はあの人、帽子が欠かせないんですよ。ダンスにね。
佐渡:あー…
H:丸いハットですけど。あの人若くして、ちょっと薄くなっちゃったんですね。
佐渡:あ、頭髪が…
H:自分で言ってるんですけど、それで帽子を使うようになった、と。
佐渡:うんうん。
H:で、その帽子の使い方が素晴らしくて。ハット・トリックって言うんですけど。いまこの帽子じゃできないんですけど(笑)練習をしたい、と。思ってるんですよ。
H:いや、作るわけじゃないけど(笑)ちょっとしたことですよ。そういう小技が好きですから(笑)
佐渡:(笑)
H:で、この映画にも出てきましたけど、いろんな小技は父親から教わった、と。その元ネタは、大体はローレル&ハーディ(Laurel and Hardy)っていう2人組の…1920年代からやってる、一世を風靡したね、コメディ映画の2人なんですけど。『僕たちのラストステージ(Stan & Ollie)』という映画が…去年だったかな、今年だったかな。封切りされて、それを観に行ったりしてて。
佐渡:あ、その方々が主人公になった?
H:その人たち[本人]はもういないんですけど、役者さんがやってる[=演じてる]んです。それは素晴らしかったです。
佐渡:ほお…
H:とくにスタン・ローレル(Stan Laurel)っていう[役の]、細長い顔の人の演技がおもしろくて。その人も帽子の技をやったり…ちょっとこれ、マイクを置きますけど、こういう…
佐渡:はいはい、おなじみの。
H:こういう技をね、その人が始めて。当時、1920年、30年代ぐらいの若者たちはそれを見て影響されたんだと思うんですよ。その中の1人がうちの父親で、それを子どものころの僕に教えてくれた、という。最近そういうことがだんだんわかってきたっていうね(笑)それまではわかんなかったんです。
佐渡:(笑)
H:まぁ、その流れでボブ・フォッシの帽子のトリックとか。その辺にすごい興味があって。
佐渡:ちょっとそのつないだの[映像]をね、ぜひ拝見したいですね。
H:今度やると思いますよ。ちょっとだけね(笑)すごく難しいです、非常に難しい。
佐渡:ホントですか?
H:まず、まん丸の帽子が売ってないんですよ。俗に言う山高帽、と言うんでしょうかね。黒い…時々売ってるのはちょっと細長いんですよね。楕円形なんですよ。
佐渡:あ、上から見たときに?
H:でも、まん丸じゃないとできないんですね。それを探すところからいま、始まってます(笑)
佐渡:始まってるんですか(笑)じゃあ、そういう帽子を売ってるところをご存知の方がいらっしゃいましたら…
H:そうですね。なかなか売ってないんで、探したいですね。ええ。
佐渡:そうですか。いやー、楽しみですね。
Pantomime - 細野晴臣
(from 『細野晴臣アーカイヴス Vol.1』)
佐渡:映画の中で、細野さんがディレクションされたフランクフルトの、影の…「shadow walk in Frankfurt」ですか?あれはけっこうね、みなさん、カッコよくなかったですか?素晴らしい映像作品だな、と思いましたけど。
H:ぜひともあれはね、入れて欲しかったんで、お願いしちゃったんですけど。あれは3年か4年前に、オノ・ヨーコさんとアイスランドでパフォーマンスやったときの帰りに、小山田くん(小山田圭吾)とトランジットでフランクフルトに。4,5時間あったのかな?待ち合わせというか…飛行機待ちか。
佐渡:あ、そうなんですか!
H:で、街に出て…なんにもすることがないんで(笑)良い街だったんですよ、フランクフルトっていうのはね。川が流れてて橋があって。で、やることがないんでスマホで撮ってたら、自分の影が見えて。車が走ってて。
佐渡:ほお…
H:たまたま撮ってたのを後で見たらおもしろかったんで、ちょっとそれを加工したんですね。編集して。
佐渡:すごく良いですよね、腕前が。
H:だから、僕は音楽を辞めて映像をやりたい(笑)
佐渡:(笑)いまからね、映画監督として…いかがですか?
H:やりたいです、弟子にしてください。
佐渡:(笑)僕はもう…僕が弟子入りして、小僧としてがんばりますんで。
H:いやいやホントに…何も知らないから。
佐渡:それで…先ほどのノルマの続きで、いろんな国に行ってライヴをなさっておられるわけですが、他に行ってみたい国っていうのはあるんですか?外国で。
H:それは、ライヴに関係無ければいろいろありますね(笑)仕事で行きたいとはあんまり思えないんですけど…
佐渡:(笑)
H:たとえば最近、1940年代ぐらいのポーランド映画、ハンガリー映画…東ヨーロッパの映画が好きなんですけど。最近でも良い映画が、時々出てくるんですよね。ワルシャワとかね、行ってみたいんですけどね。
佐渡:んー。
H:知り合いですけど、青葉市子っていう女性シンガーソングライター…彼女がこの間行ってきた、と。ちょっと聞いていいなぁ、と思ったんですよね。
H:ええ。行きたいですね。
佐渡:じゃあ、またそこでもね、映像を撮られて…拝見したいですね。
H:や、自分の映像は撮られたくないですよ(笑)
佐渡:影だったらいいですか?
H:自分が撮りたいね。
佐渡:(笑)
H:撮られたくはないですね(笑)自分もそうでしょう?だって。撮るほうでしょ?
佐渡:あー、そうですね。たしかにそうかもしれない(笑)
H:自分が撮られたらどうですか?見ますか?
佐渡:時々、映り込むときがありますよね?ああいうとき、やっぱりブルーになりますね(笑)
H:映り込むぐらいしょうがないでしょう(笑)
佐渡:でもやっぱり、僕とかは裏方なので…
H:裏方意識だね、それは。僕だって裏方ですよ。
佐渡:なにを仰いますことやら…(笑)
H:僕だって、裏でこそこそやるのが好きなんですよ(笑)ホントに表がキラい…ここは表ですよね。裏に行きたいぐらい…
佐渡:そんな、世界の…アメリカやイギリスの方々をあんなに盛り上げていらっしゃったのに(笑)
H:まぁ、あの…なんだろうね、タヌキと言われる所以ですかね。人々が望む姿に豹変しちゃうっていう…
佐渡:あ、あれは変身されてるんですか!(笑)
H:あれはタヌキなんですよ(笑)
佐渡:(笑)でも、ホントに…僕も実際にあそこで撮影しているわけですが、ホントすごいんですよ、グルーヴ…みんなが身体を揺らしてノリにノってる感じが。
H:それがね、やってるとわからないんだよね。お客さんの表情まではわからないんですよ。暗いし。いまもあんまりわかんないですけど。
佐渡:そうですね、たしかに。
H:逆に言うと、観てみたかったですよね。客先の中でね。
佐渡:でも、ホントに…僕もいろいろな撮影をさせて頂くんですけども、いろんなアーティストの。日本でも外国でもやらせて頂くんですけど。
H:Perfumeとかね。
佐渡:そうですね。なかなか「きたー!」っていう感じになるときってそんなにないんですけど、細野さんのときは「きたー!」っていう感じですね。
H:なりましたか?
佐渡:なりました!
H:それは…なんか、良かったな。
佐渡:アドレナリンがすごい…[劇中で細野さんのライヴを評して]「ドーパミン・ボタン」って言ってる、ね、お客さんがいらっしゃいましたけど、上手いこと言ってるな、と思って。
H:でもあれは…誰も予測してなかったですね。
佐渡:はいはい。
H:僕自身がすごい怯えてて、出る前…(笑)ブーイングの嵐だろう、と。大体そういう気持ちでいつも出ていくんですよ。きょうもそうですけど。
佐渡:(笑)
H:座布団飛んできたり…
佐渡:「帰れ!」とか言われたり…
H:そういう経験もあるんですよ、でも。
佐渡:そうですか!
H:ジェームス・ブラウン(James Brown)の前座で出たときに、座布団が飛んできたんですね。座布団じゃないな、あれは。なんだろう?(笑)
佐渡:(笑)
H:ヤジですね、「帰れ!」って。
佐渡:(笑)
H:なんか、邪魔者だったんですよ。僕はね。すごい落ち込みましたけど。
佐渡:でもね、いまはそれを跳ねのけて世界に羽ばたいてらっしゃる…
H:ええ…まぁありがたいことにね、幸いですよ。ホントに。
No Smoking - 細野晴臣
佐渡:この『NO SMOKING』、タバコが…「No Smoking」っていうテーマですか?
H:思いつきで…「タイトルなにがいい?」なんて訊かれて、パッと思いついたんですよね。その頃、僕ね、「No Smoking」に悩んでたんですよ(笑)街中…とくに銀座はね、キツいですね。
佐渡:そうですか(笑)
H:喫煙所の在り処って大体僕はチェックしてるんですけど、まぁ、[銀座にも]1か所あるんですよね。昔はあちこちにあったんですよ。AppleStoreの前で吸えたしね。で、いまはもう、どこに行っても…路地に行くと、ベタベタ貼ってあるんですね。「No Smoking」と。
佐渡:ありますよね。
H:ここはいいだろ!って思うところほど貼ってあるんですよ。誰にも迷惑かけないだろう、と思うんだけど。だから、そういう悩みを抱えている人間の発想です。『NO SMOKING』って(笑)
佐渡:タバコをお吸いになる方はね、共感できるかもしれませんね。
H:吸わない人には反感を買うでしょうね。「なにが『NO SMOKING』だ!」みたいな。
佐渡:(笑)
H:まぁ、画面の中ではいっぱい吸ってますが(笑)
佐渡:そうなんですけどね(笑)でもね、世界中いろんなところで…世界中で吸われてますけど、どうですか?世界で吸われた気分は。
H:いま紛争中の香港はすごく吸いやすい街で…(笑)
佐渡:そうですか(笑)
H:ブロックごとに大きな灰皿が置いてあるんですよ。信号の辺りにね。まぁ吸う人が多いんですね、あっちは。で、ロンドンも吸いやすいですね。
佐渡:あー、そうですか。
H:ロンドン、ニュー・ヨーク辺りでは外で吸うんですけど。建物の中ではダメなんですね。どこでも。で、一度僕、どこだっけな…あ、レイキャビク(アイスランド)のホテルに泊まって。オノ・ヨーコさんのパフォーマンスに付き合ったとき。
佐渡:はいはい。
H:もう、我慢できなくて。吸っちゃったんですよ、部屋で(笑)300ドル取られまして…(笑)
佐渡:(笑)
H:厳しいんですよ。
佐渡:けっこう怒られたんですか?
H:怒られます。だから絶対部屋では吸えないです。
佐渡:じゃあそういうね、みなさんも気をつけて…
H:気をつけてください。スモーカーの人は気をつけて生きていかないと…大変ですよ。
佐渡:ちなみにこのポスター…メインビジュアル、これもテイ・トウワさんと五木田さん(五木田智央)。素晴らしい方々にやって頂いたタバコのビジュアルですが、いかがですか?
H:なんか、あの…ホッとしますね(笑)煙をくゆらせる図柄って、なかなか最近見ないですからね。
佐渡:そうですね。
H:昔はよくありましたよね。巷では普通の出来事ですから。それがなくなっちゃった。だから、倉本聰さんも言ってましたけど、「こういう世の中じゃなければタバコはやめてた」と。やっぱり、身体に良いわけじゃない。かと言って、騒ぐほどひどいわけではない。
佐渡:はい。
H:でも、一応歳取ったらやめるだろう、と。でも、こういう世の中だから吸い続けてるんだ、と倉本さんが仰ってたんですね(笑)
佐渡:(笑)
H:僕もそうかもしれないですね。なんだろうな、煙を吸わなくても、肺に入れなくても、「煙を出す」っていうのはなかなかいいんですよね。
Yellow Magic Carnival - Van Dyke Parks
(from『細野晴臣トリビュート・アルバム - Tribute to Haruomi Hosono』)
佐渡:今回ね、映画の中にいろんな…ゲストっていうか、たまたま?ドキュメントなんでね、撮影してたら映った方々がいろいろ出ていらっしゃいますけど。
H:はい。
佐渡:例えばね、ヴァン・ダイク・パークス(Van Dyke Parks)さんとか。
H:うん。
佐渡:ああいった仲間と会ったりするときっていうのは、どんな感じになるものなんですか?
H:いy、ヴァン・ダイク・パークスさんとは数年に一度会ってたんですよ。今までも。はっぴいえんどの頃ですから、20代からずーっと、今に至るまでの知り合いですよ。遠いところにいる人ほど…まぁ、これは音楽家の性なんでしょうけど、音楽を聴いているとすごく親しみ深いんですよね。会わなくてもね。
佐渡:あー、「近い」感じがすごくなさるという…
H:親戚みたいな気持ちなんですよ。まぁ、ヴァン・ダイク・パークスという人は僕にとっては「先生」に近いですけどね。マエストロと呼んでますけど。
佐渡:細野さんが外国に行かれたときに、海外の方にすごくお知り合いがいらっしゃるので、僕もすごいなぁ、と、yっぱリ思うんですが。すごいですよね、交友関係が。
H:いやいや!誰も知らないですよ(笑)
佐渡:ホントですか?(笑)
H:ホンットに、引きこもりですから、僕(笑)あんまりよく知らないですよ。だから、音楽を通して向こうからコンタクトしてきた人とかは、何人かはいますよ、もちろん。マック・デマルコ(Mac DeMarco)とか。でも、誰でも知ってるっていうわけじゃないから…(笑)ホントに少ないですね。
佐渡:でも、楽屋の挨拶とかホントにいろんな方が…
H:来てくれましたね、ありがたいことに。うれしいですね、それは。例えばね、亡くなってしまいましたけど、ドクター・ジョン(Dr. John)が東京のBLUE NOTEによく出てたんですけど、来るたんびに、これは挨拶に行かないと、っていう。そういう気持ちになるんですよね。
佐渡:うんうん。
H:だから、そういう人っていうのは、5年に一度会うか会わないか…ですけど、とても親しみを感じる、というか。逆に、近い人ほど遠いっていうか(笑)
佐渡:(笑)やっぱり音楽でのつながりっていうのはすごく…心のつながりっていう感じになるんですかね?
H:それはありますよ。音楽によって、DNAがおんなじだな、とか感じるんですよ。同じものを聴いて育ってきたんだろうな、とかね。聴けばわかっちゃうんですね、なんでも。そういうことが。
佐渡:あ、その方の素性が?
H:そうです。ええ。まぁ、そんな偉そうなことを言える立場じゃないですけどね(笑)向こうがそう思ってくれたらうれしいですな。
佐渡:50周年ということで、ここから先ってどういうことをされるんですか?
H:ここから先?(笑)ここから先はもう…あんまりないですよ(笑)
佐渡:ないんですか?(笑)
H:いや、今年はもう、参っちゃいましたね。なんで50年生きてるとこうなるんだろう、っていう。意外と50周年の人、多いんですよ。陽水(井上陽水)とかね。
佐渡:あ、そうですか。
H:みんな、なんかね、多いんですよ。でもみんな、自分から50周年だぜ、って言わないんですよ。
佐渡:あ、確かにそうかもしれない…
H:僕も言ってないんですよ?「よく自分で言うな?」なんて言われたんですけど、言ってないですよ。巻き込まれてるだけですから。
佐渡:(笑)
H:だから、人間は長生きしてると…もう長生きの部類なんでしょうけど、この時代ではね。70、80ぐらいまでは現役ですよね。で、自然と50年、60年経っちゃうわけでしょ?で、周りの方がね、それをおもしろがって喜んでくれるなら、まぁ、それは受け入れていこうかな、と。思うんですけど、ちょっと大変だったんですよね(笑)
佐渡:(笑)
H:重なっちゃうから。いろんなことが。この映画もその一つです。
佐渡:(笑)
H:まぁ、撮られてるだけですけど、すごい神経使いますから。
佐渡:あ、そうですか、やっぱり。お邪魔でしたか?
H:そうです、邪魔です(笑)
佐渡:(笑)
H:いっつも狙ってるわけでしょ?で、タバコ吸ってるのもホントは撮られたくないですよ。
佐渡:そうですよね(笑)
H:でも撮っちゃうんでしょ?
佐渡:撮っちゃうんですよ(笑)
H:だからこういう映画になっちゃった、っていう。
佐渡:(笑)でもね、ホントに細野さんの50年が凝縮されてるっていうか。もちろん全部ではないんですけど。幼い頃の細野さんの姿も収まっていて…
H:50年どころじゃないですね、小っちゃい頃だと。70年ですね(笑)
佐渡:小っちゃい頃の少年・細野さんのかわいさがけっこう話題になってますけど。
H:あの…わかんないんですよ、自分のことは…はい(笑)
佐渡:(笑)
H:自分がかわいいなんて、誰が思う?(笑)
佐渡:あれ?思わないですか?(笑)
H:思わないよ(笑)
佐渡:でも、写真をみなさん…展覧会(「細野観光」)でもけっこう出てましたけど、女性なんか特に、かわいい!って仰ってましたけど。
H:まぁ、みんな心がやさしいんでしょうね。
佐渡:(笑)
H:例えば、パンダとかコアラとか、よく見るとかわいくないけど、まぁみんなかわいいかわいい、と。
佐渡:(笑)
H:だから、パンダの気持ちはいちばんわかりますよ(笑)
佐渡:かわいいからじゃないんですか?本当に。
H:いやいや、そうじゃないですよ。かわいくないですよ。
佐渡:ホントですか?(笑)
H:けっこう怖い目をしてますからね。
佐渡:(笑)
H:僕、ニュー・ヨークのライヴの前に、そのことを英語で言ったんですよね。なんでみんな[ライヴを観に]来るのか謎だったんで、自分はパンダなんじゃないかな、と。最近パンダのような気持ちになってる、って英語で言ったんですよ。
佐渡:あ、仰ってましたね。
H:ウケてたかな?
佐渡:ウケてましたよ(笑)
H:あ、そうか。アメリカでも「パンダ」って言ったら[ニュアンスも含めて]通じるんですね。よかった(笑)
佐渡:お話はすごくウケてらっしゃいましたね。
H:あ、そうですか。よかった…
(スタッフ:そろそろお時間…)
H:あ、もう時間…
司会:最後に、おひと言ずつお願いできればと思います。
H:えー!それがいちばん難しいんだよな。ひと言…
佐渡:じゃあ、司会の細野さんから。
H:司会として…この時間、映画とかコンサートはこの時間、お腹空きます。僕はこれで解放されるので、ご飯を食べに行きます(笑)みなさんはどうするんだろう。どうですか?
佐渡:あの、ホントにね…細野さんは僕も大好きで。大好きな細野さんを、みなさんにも大好きになって頂きたいな、と思って作りましたので。まぁ、来てくださってるから元々大好きだと思うんですけど、もっと好きになって…
H:嫌われたくはないですけどね。
佐渡:(笑)ぜひお楽しみ頂ければ、と思います。
司会:ありがとうございます。それでは本日のトークショウ終了致します。細野晴臣さんと佐渡岳利監督でした。
(会場拍手)