2020.01.12 Inter FM「Daisy Holiday!」より
H:こんばんは、細野晴臣です。えー、先週に続いて…
O:こんばんは岡田崇です。
越:こんばんはコシミハルです。
H:正月2回目ですけど。
O:もう、12日なんで…(笑)
H:もう正月も何もないね(笑)なんか、連休なのかね?
O:そうですね。成人の日…
H:あ、成人式がね、あるんだ。えー…きょうの天気はどうなるのかね(笑)
2人:(笑)
H:わかんないですけど…まぁ、年末はね、そんな寒くなかったでしょ。
O:うんうん。
H:まぁ、まだ…今の状態では年末もまだ来てないんですけどね(笑)
越:(笑)
O:なんとも…言えないですね(笑)
H:ね。あー、生放送にしたいなぁ!…なんてね(笑)
O:(笑)
H:まぁ、この感じで…のんびりムードですよね。先週も、今週も。
O:はい。
H:じゃあ、音楽を聴いていきましょう。岡田くん、お願いします。
O:はい。じゃあですね…シングル盤を今度出すんですけども。
H:お。キーポンくん(KEEPON)でしょ。
O:はい。
H:ね。
O:2月に出ると思うんですが…細野さんの、『HOSONO HOUSE』から"パーティー"と"終りの季節"をカヴァーしてくれて。
H:"パーティ"、やってるんですよ。うん。
O:作ってくれたのはもう…おととしの暮れぐらいなんですけども。
H:そうなんだよね。んー。
O:で、まぁ1年ぐらい経って…シングル盤で。
H:ミックスしました。
O:細野さんと、久保田麻琴さんにミックスをしてもらって。シングル盤を出すので…
H:そうですね。
O:"パーティー"を、じゃあ…聴いてもらいましょうか。
H:じゃあ"パーティー"、聴きましょう。
H:キーポンくんね。16歳になったのかな?
O:いま16歳ですね。作ってくれたときが15歳です。
H:末恐ろしいよね。
O:(笑)
H:自分が15歳のときは、ただただ聴いてるだけだったからね。ラジオでビーチ・ボーイズ(笑)「演ってる」んだからすごいよね。
O:そうですよねぇ。ちょうど大瀧さん(大滝詠一)のトリビュートでキーポンくんがカヴァーやってておもしろかったので。
H:うん。
O:今のうちに細野さんのカヴァーやっといたら?っていう風にそそのかして…(笑)
H:そそのかしたんだ(笑)
O:そしたら、「デジタル・サウンドに挑戦してみます!」っていう謎の言葉を残して…(笑)そしたらちょうど、"薔薇と野獣"が出たんですよ、細野さんの。『HOCHONO HOUSE』の先行配信で。
H:あー、あの頃ね。
O:それを聴いて打ちのめされたらしくて、「負けた!」って…(笑)
H:(笑)勝った/負けた…
O:勝った/負けたなのかって…(笑)
H:恐ろしいわ(笑)
O:そしたら、「『HOSONO HOUSE』から2曲、やってみます!」って。これを作ってきてくれて。
H:まぁね。こういう風にやるとは思わなかったよね。
O:んー…
H:まぁ、逆に、負けたよ(笑)
O:(笑)
H:B面は…B面っていうのが、シングル盤じゃないからアレだけどね。"終りの季節"は久保田くん…久保田くんはこのスタジオに来てね、さっきの"パーティー"を聴かしたら、興奮しだして(笑)
O:おお…(笑)
H:もう1曲あるよ、って聴かしたら、「ミックスやらしてくれ!」っていうわけ(笑)
O:(笑)
H:(笑)
O:けっこうノリノリでやって頂いて。
H:ノリノリでね、うん。いやいや…だから、おじさんたちを驚かす存在ですよね(笑)
O:(笑)こないだコンサート行ったら、やっぱり年齢層が高かったです。
H:高いんだ。
O:同級生たちと、まぁ、おじさんが…(笑)
H:不思議な存在だよね(笑)おじさんたちのアイドルなのかな(笑)
O:おもしろかったですけどね。多重録音で、ひとりでコーラス重ねて。
H:おお。今どきっぽいよね。んー。なんか…どうなってくんだろう、と思うよね。
O:んー。
H:15,6歳の年齢からこの先、10年、20年とあるからね。
O:ね。10年経ってもまだ26歳…(笑)
H:そうだよ(笑)いやー、やることいっぱいあっていいよね。うらやましい。時間がいっぱいあるっていうことは。
O:いま、ニューアルバムを作ってるらしいですけどね。
H:あ、ホントに?
O:なんか、映画音楽を聴いてる、って言ってましたよ。
H:あ、そう?なんの映画なんだろう?(笑)
O:わかんないです(笑)1950年代とか、その頃のを聴いてるらしいですけど。
H:はぁ…どう思う?そこの方。
越:え?
H:あれ?(笑)
越:すごいですね。
H:まぁ、最近の子どもたちっていうのは時々こういう人、出てくるよね。
2人:うん。
H:あの…ダンスなんかはどうなんですか?
越:ダンスはすごいですね。YouTube見ると、みんな踊ってる。世界中の人が。
H:みんな踊ってる、って…(笑)
越:ホントに踊ってるよ?小さい人から大人まで。
H:ね。踊ってるね。
越:ホントに。踊ってる。
H:はい…(笑)
O:(笑)
越:すごい。踊りは、でも、なんかこう…どんどん新しくなっていく。
H:うん。すごいでしょ、みんな。うまいよね。
越:うん。たぶん…見て、イメージすると、身体って動くんだね。いろいろ。
H:なるほど?
越:うん。それがたぶん、私たちの時代と大きく違うのかなぁ、って。
H:要するに、学ぶべきものがいっぱい、いつでも見れるってことだよね。
越:うん。昔は良いダンスとかって劇場に行かないと[見られなくて]…[見られる機会も]一度きりで、その緊張感もあるけど。今はさ、YouTubeで繰り返し見ることができるっていう。
H:そうなんだよ。みんな…YouTube見てるね。こないだここに来た…去年だけど。音くん(福原音)もね。
O:YouTubeでブギウギとかも聴いてたんですよね。
H:そうだよね。
O:こないだ、うちに遊びに来てくれたときに、蓄音器でブギウギを…(笑)
H:あ、そうなんだ。SP盤で?
O:SP盤で、マクシーン・サリヴァン(Maxine Sullivan)とか。聴いてもらって。
H:おお。
O:ウルウルしてました(笑)
2人:(笑)
H:泣いてた?(笑)
O:泣いてましたよ(笑)
H:やっぱり、違うんだね。
O:違うでしょうね、やっぱり。蓄音機で聴くのと。
越:蓄音機はすごいよね。生で演奏してるみたいに聞こえるよね。
O:そうですよね。
H:そうなんだよ。あれはなんだろうね。空気を伝わって、そのまま録音したやつがまた再生されるわけだから。
O:そうですね。
H:生々しいよね。
O:空気の振動がそのまま伝わってくる感じが…YouTubeとかとは違う。
H:そうなんだよね。だから…音楽も映画も、先人たちが素晴らしいものを遺してくれてるじゃない。
O:はい。
越:うん。
H:だから聴けるし、観れるし、ね。ありがてぇな、と思って。去年、ずーっとフレッド・アステア(Fred Astaire)のを観直してたの。ああ、この人がこういう映画を遺しておいてくれてよかったなぁ、と思いながら観てたの。
越:うん。
H:あの人、だって、映画に行かないかもしれなかったんでしょ?
越:劇場で、小さい頃は。1930年代頃からでしたっけ?映画が始まって。
H:で、なんか…失意が原因で映画に行っちゃったようなところがあるじゃない?お姉さんと別れてね。
越:あー、そうですね。うん。
H:その所為で映画が残ってるわけで。だからこう…なんて言うんだろう、劇場でやる優れたものって残らないよね。
O:んー…
越:そうね、劇場の芸術っていうのは、ビデオに残すのは難しい。
H:まぁもちろんね、ビデオで残ってるものもあるけど、伝わってこないんだよな。
越:そうね。フィリップ・ジャンティ(Philippe Genty)とかね。
H:フィリップ・ジャンティ…観たい!
越:(笑)
H:生で観たい。
越:生で観たいよね。
H:もう、ずいぶん時間が経って。ご本人もね、[もう頻繁には公演を]やんないだろうから。だから、映像で残ってても、フィリップ・ジャンティを観てる感じは無いよね。
越:うん。またちょっと違うよね。
H:そこが映画とは違うところだよな。
越:うん。
H:映画っていうのは大事かもしれないね。
O:んー。
H:だから、それを見て僕は…今年は踊ることにしたんで、よろしくね。
越:なんか、今年はダンサー、デビューするんでしょ?
H:そうなの(笑)
O:(笑)
越:M-1にも出るんでしょ?(笑)
H:それはミハルちゃんだよ(笑)和牛といっしょに。
2人:(笑)
H:まぁ、だから…今度ミハルちゃんに踊りを教わろうかな、と思って。ね?
越:ヒップホップ?
H:いや、ヒップホップじゃなくて…(笑)
2人:(笑)
越:なんか、タップやりたいって?
H:タップやりたいね。浅草の芸人たちはみんな出来たじゃん。玉川良一っていう人、知らないだろうけど、あの人もタップ出来たんだよ(笑)すごいな。小堺一機さん、上手いよ。
越:ね。
H:すばらしい。もちろん、ビートたけし。ね。
越:ね。すごいですよね。
H:すごいよね。浅草ってヴォードヴィリアンの発祥地だから。
越:じゃあ、タップ踏みながら歌うの?
H:…うん(笑)
O:(笑)
越:で、帽子も使うんでしょ?
H:帽子が肝なのよ。ずーっと探してて、もうすぐ手に入るかも。ボウラーハット(Bowler hat)。まん丸。銀座の老舗の帽子屋に行ったら、まん丸が売ってなくて。
越:あー…
H:だいたい楕円形なのよ。オーヴァル。
越:まぁ頭の形にね、すると楕円のほうが。
H:まん丸っていうのは芸人用っていうか…(笑)マジックとかね。そういうのに使うんですけど。あれが無いと出来ないんですよね。
越:ウサギとか出すんですか?
H:それは違うよ?(笑)手品やんないよ。
2人:(笑)
H:じゃあ音楽を…ミハルちゃん、かけてください。
越:あ、はい。えーと、バンクス(The Banks)で、".... with Myself"です。
H:…なんだって?危険なタイトルだな。
越:(笑)
Fxxk with Myself - The Banks
(from 『The Altar』)
H:なんか、突然新しいの聴いたから…調子狂っちゃった(笑)
2人:(笑)
H:突然出してくるね、ミハルちゃん。
越:新しいのも好き。
H:部屋で踊ったりするの?
越:するする。
H:大丈夫?身体は。
越:お掃除タイムに…掃除しながら踊る、っていう。
H:んー…僕も。
2人:(笑)
H:じゃあちょっと、また…元に戻してですね。音楽かけますよ、僕。"Daisy Bell"。
O:お。
H:ロバート・ファーノン(Robert Farnon)っていう人がオーケストラでやってます。
Daisy Bell - Robert Farnon
H:ということでね。全部…タイプが違う曲が3曲並びましたが…(笑)
O:(笑)
H:まぁ、正月なんでね。
H:ちょっと待ってね…もう、話題が無い(笑)困った…
O:(笑)
H:振らないとしゃべらないんで…振ってもらいたいぐらいだ。振って!
越:映画?
H:映画の話する?さっきも言ったけど、古い映画ばっかり観てる。観直してるの。いま観るとまた違うんだよな。なんか、全部が終わっちゃった時代じゃない。今。みんな居ないじゃん。誰も居ないの。
2人:んー…
H:映画に出てくる人、みんな居ないの。最近観たのですごいなぁ、と思ったのは、リタ・ヘイワース(Rita Heyworth)の…2本ぐらい観たんですけどね。あんなに歌って踊れる人だとは知らなかった(笑)
越:お父さんもダンサーとかなんだよね。
H:そうなのか。
越:フレッド・アステアと同じで…
H:だから、初期の頃はああいう軽いミュージカルっていうか、そういうものばっかりだったんだね。アステアとも共演してますよね。
越:共演してる。すごいいいですよね。華やかで。
H:なんか、その後はすごいシリアスなドラマもやってたんで、そっちのほうは知ってたんだけどね。
越:『ギルダ(Gilda)』とか?
H:そうそうそうそう。
越:ノワールのところはある…
H:なんか観てる?岡田くんは。
O:いやぁ…
H:『スター・ウォーズ』?
O:『スター・ウォーズ』、観に行ってないですね。
H:行ってないか。観ないね、岡田くんはね。
O:観てないですね。映画館…
H:だって、字幕じゃなくて日本語吹替えが好きなんだもん(笑)
越:(笑)
O:いやいやいや…(笑)
越:日本語が入ると、なんだっけ、デザイン的にダメなんでしょ?
O:いやいや、そういうわけじゃないですけど…コメディはわりと吹替えが好きですね(笑)
2人:(笑)
O:ジェリー・ルイス(Jerry Lewis)とか。
H:テレビの深夜でやってたよね、昔ね(笑)
O:あれがもう、大好きで。テレ東(テレビ東京)、深夜…
H:あー、観てたよ。吹替えのあの人、誰だか知らないけど…(笑)それはそれでおもしろかったよ。
O:「底抜けシリーズ」とかそういうのは、それがデフォルトになってるんで…
H:そうかそうか。
O:あとはナポレオン・ソロ(『0011ナポレオン・ソロ(The Man from U.N.C.L.E.)』)とか…夜、やってたじゃないですか。
H:まぁね、みんな吹替えで。
O:ああいうのが好きだったんです。
H:そうかそうか。ぜひ、ジェリー・ルイスの生の声も知ってほしいけどね。
O:知ってますよ、もちろん!(笑)
2人:(笑)
O:なかなか日本版のDVDに吹替えが入ってなかったりもするんで…あとはアメリカ版じゃないとDVDが出てないのもいっぱいあるんで。
H:そうだね。
O:そういうのは向こうの[音声で]観てるので…英語の字幕見ながら。英語の声で(笑)
H:そっか、すごいね。『紐育ウロチョロ族(The Delicate Delinque)』っていうのを深夜放送でやってて…
O:あー、ありますね。
H:その吹替えがおもしろかった(笑)
O:ほら!やっぱり!(笑)
越:(笑)
H:それね、DVD版にも入ってるよ、吹替え(笑)ぜひ、聴いてください。聴いてください、っていうか、観てください、だな。
[*細野・岡田両氏が聴いていたジェリー・ルイスの日本語吹替えはおそらく近石真介氏によるもの。]
H:ミハルちゃんはなにが…最近観たのかな?
越:去年の暮れは…フレッド・アステアをシネマ・ヴェーラでずっと特集してて、それを観に行ったりしてて…
H:やってたね。
越:レンタルビデオではね、なぜだかヌーヴェルヴァーグだね。クロード・シャブロル(Claude Chabrol)とか。
H:あー、シャブロルは観てないんだけど…んー。そうなんだね。いま観ると良いんだね。
越:うん。
H:わかるような気がする。
越:音楽とかね、良いよ。
H:なんでいま観ると良いんだろう?
越:なんだろう?いま、もう、ハリウッド映画とかってずーっと予告編を観てるみたいじゃない。音が。
H:(笑)
越:なんか、乗り物に乗ってそのまま行く感じの。
H:アトラクションだよね。
越:でも、いまヌーヴェルヴァーグを観ると、なんだろう、音も良いね。
H:音も良い。
越:歩く音とかさ。で、シーンとしてて。
H:そうそう。で、ロケが多いしね。
越:うん。街の中は…カフェとか。
H:ロケっていいよね。そうそう。あの、ゴダール(Jean-Luc Godard)は僕…その当時は観なかったんだよね。で、いま観ると良いんだよな(笑)
越:うん。
H:特に初期のが好きだな。『男と女のいる舗道(Vivre sa vie)』とか。音楽も楽しいし。去年は恵比寿でイベントを4日間ぐらいやったんだけど、一日、ジャック・タチ(Jacques Tati)の『イリュージョニスト(L'Illusionniste)』をやったのね。
越:お…
H:ジャック・タチはあこがれるんだけど、あの人は190cmぐらいあるから。
越:ね。すごい背が高かったんだよね。
H:うん。真似ができない。
O:(笑)
H:あの人は[身長が]高いからああいう歩き方になったんだよ。ヘンな、ギクシャクした。で、ご本人は「コメディアンはぜったい背が低いほうがいい」って言ってるんだよね。
O:(笑)
H:そのほうが動きがおもしろい、って。それで悩んだ末、ああいう…レインコートにヘンな歩き方になったっていう(笑)
越:なんか、YouTubeでいっぱい観れますね。いろんなテレビ番組に出てたり。
H:あ、そうだよね。あの生放送のやつね。インタビューしてたり。
越:なんか、ロンドンとパリのお巡りさんの違いとか。パントマイムしてたり(笑)
O:へぇ。
H:まぁ、パントマイマーだったからね。あの人。
H:そういえばスティーヴ・マーティン(Steve Martin)をまた観直したりしてて。クルーゾー警部(Inspector Clouseau)の…『ピンク・パンサー(The Pink Panther)』のね。やっぱりおもしろいんだよ(笑)あの…パリで警部やってるじゃん?で、アメリカに捜索に行くんだけど、「英語を学ぶ」っていうシーンがあって(笑)
2人:(笑)
H:「ハンバーガー」の発音が…(笑)「アンッバーガー」とか。言えないのね(笑)フランス人ってそうだから(笑)
O:(笑)
H:それが…何度見てもおもしろい。んー。まぁ、映画は良いね…10年ごとに繰り返し観てても飽きない。
越:うん。
H:良い映画も良い音楽も飽きない。もうこれでいいや、なんて思わないね。『スター・ウォーズ』はどうだったかな…
2人:(笑)
H:どうぞ?
O:…あ、曲ですか?(笑)
H:じゃあ、きょうの最後の曲にしてください。
O:じゃあ、ジャック・ファシナート(Jack Fascinato)という人がやってる、"Road Runner"という曲を。
Road Runner - Jack Fascinato
(from 『Jack Fascinato Arranges Things』)