2019.06.02 Inter FM「Daisy Holiday!」より
H:こんばんは。細野晴臣です。えー、先週に引き続いて、Little Glee Monsterからいらっしゃった…manakaちゃん。
ma:よろしくお願いします!
H:よろしく。どうだったかな、先週。
ma:はい。めっちゃ楽しかったです。やっぱりコーラスとか…私も普段からあの時代の曲をすごいたくさん聴くので、また新たな発見ができて…
H:いや、もうね、ほんの少しだよ。もう、いっぱいあるから。ホントはね(笑)
ma:えー、もっと知りたいです!
H:全部、でも、自分で集めて聴けばいい(笑)
ma:そうですね(笑)でも、細野さんから知って、また辿っていくっていうこともホントにたくさんあるので…
H:それはいいかもね。おもしろいかもね。んー。
ma:はい。
H:まあ、だから…ヒントみたいのはね、全部あげるんだけど。
ma:ありがとうございます。
H:じゃあね…先週、アンドリュース・シスターズ(The Andrews Sisters)が出てきたんで、その人たちのいちばんヒットした曲が…ホントはね、ブギウギばっかりやってたんだけど、戦争中にいちばん人気があったんだよね。
ma:おお…
H:第2次世界大戦のとき。日本は暗かったけど、アメリカはブギではしゃいでたんだよね(笑)
ma:えー、そうなんだ…
H:その中でいちばん兵隊さんに人気があったのがアンドリュース・シスターズ。
ma:んー。
H:でも、ヒットした曲が…まあ、ブギもヒットしたけど、大ヒットは…日本でもヒットしたのがあって。それは戦後なんだけど。"Rum And Coca-Cola"というカリプソの曲を聴いてみましょうかね。
ma:はい。
Rum And Coca-Cola - The Andrews Sisters
H:…っていう、感じ(笑)
ma:んー!「下り」がすっごい、私、好きです。あの、♪Coca-Cola~のところのハモりの下り方がすっごい…
H:あの、アンドリュース・シスターズって三声が平行して動いていくじゃない。
ma:はいはいはい…なんか、だからこそ生まれる気持ち良さがありますよね。
H:そうね。でも、このアンドリュース・シスターズの真似してる女性たち、いっぱいいるんだよ、今も。アメリカに(笑)
ma:あ、今もですか。
H:人気ある。うん。なんか、真似しやすいのかもしれないね、これ。
ma:でも、楽しいですよね。ちょうど気持ち良いハモが多いな、って思いました。
H:そうかそうか。まあ、でも、何聴いてもこの和声っていうか…(笑)
ma:はいはいはい(笑)
H:で、前に番組呼ばれたときに1曲かけたブギがあるんだけど、それのオリジナルが…やっぱり1940年代の、戦争中の人で。
ma:はい。
H:僕もやってる曲なんだよね。"The House Of Blue Lights"っていう曲。それのオリジナルね。歌っているのはエラ・メイ・モース(Ella Mae Morse)という歌手です。
The House Of Blue Lights - Ella Mae Morse
H:…っていう(笑)
ma:うんうんうん…なんかやっぱり、こう…心も跳ねますよね。
H:跳ねるよね(笑)
ma:なんか、それがすごい気持ち良いですね。うん。
H:僕ね、4,5歳の頃ブギウギ聴いてて。飛び跳ねてたんだよね。
ma:(笑)
H:だから、子どもにすごくウケる。ライヴでこういう曲やると、前のほうに座ってる5,6歳の女の子がね、やっぱり飛び跳ねてるんだよ(笑)
ma:なんかこう…たぶん、小っちゃい頃ってもっと感受性豊かじゃないですか。
H:リズムにすごい反応する。うん。
ma:そう、そうなんですよ。だからなんですかね…?
H:うん。だから、manakaちゃんもまだ小っちゃいから…(笑)
ma:そうですね(笑)まだまだ…まだまだいけると思います(笑)
H:(笑)いや、ブギに反応してくれるとね、すごい僕はうれしい。やりがいがあるっていうかね。もう、無くなりつつある音楽なんだよね。
H:さて、なんか持ってきてくれたんだよね。
ma:そうです!あの、恐縮ながら…選ばして頂きました。
H:いや、聴きたいな。なんだろう。
ma:最近聴いている曲で選ばして頂いたんですけど…
H:いいよいいよ、もちろん。
ma:それでは、聴いてください。スー・レイニー(Sue Raney)で"Once Was A Time I Thought"。
Once Was A Time I Thought - Sue Raney
(from 『New And Now!』)
H:んー…知らなかったね。誰これ?(笑)
ma:スー・レイニーという歌手のカヴァーアルバムみたいな…ビートルズも入ってるんですけど。カヴァーされてて。
H:へぇ。
ma:で、原曲を聴いたんですけど、これもカヴァーなので。なんか、原曲よりも私はこのカヴァーがいいなぁ、と思って。
H:あ、ホント?原曲も知らないわ(笑)
ma:(笑)そう、私もぜんぜん知らなかったんですけど、調べて…「ママン&パパン」っていうグループの曲なんですけど…
H:ママス&パパス(The Mamas & The Papas)だ。
ma:あ、そうですか!(笑)私もこのカヴァーがきっかけで知ったので…あ、こんな方もいらっしゃるんだ、と思ったんですけど。
H:あ、ママス&パパス、なつかしい…ママ・キャス(Mama Cass, Cass Elliot)っていう太った女性シンガーがいて、その人サンドイッチ食べて喉詰まらせて死んじゃったんだよね(笑)
ma:えー!
H:そんなこと、いま思い出したよ(笑)
ma:サンドイッチ…ありゃ…
H:そのね、ママス&パパスのジョン・フィリップス(John Phillips)っていうシンガーがいて。その娘さんが、ビーチ・ボーイズ(The Beach Boys)のブライアン・ウィルソン(Brian Wilson)の娘さんとウィルソン・フィリップス(Wilson Phillips)っていうグループ作って曲を出してるんですけど、ちょうどいまそれを思い出したんで聴いてみようかな。"Good Vibrations"。
Good Vibrations - Wilson Phillips
(from 『Dedicated』)
ma:んー、おもしろい…!
H:あ、やっぱり?(笑)これ、ぜったい反応すると思ってたんだけど。
ma:すごい…なんですか?
H:これ、難易度が高いよね。
ma:ですね。え、全部声ですよね?
H:声でやってるね。
ma:えー!これは最新ですか?新しい?
H:いや、わりとね、古い…何年前かな、これ。ちょっと憶えてないな。10年以上前だよね?んー。
[*「親世代」の楽曲カヴァーを多数収録した『Dedeicated』というアルバムの中の1曲。リリースは2012年ながらジャケットに漂う2000年代初頭感…]
ma:すごい…え、めっちゃ好きです。
H:だと思ったよ(笑)
ma:おもしろい!うれしい…(笑)
H:これ、レパートリーに入りそうだもんね。
ma:いや、めっちゃやりたいですけど、こういうのって現実的にすっごい難しいですよね?
H:まあ、レコーディングだからできるっていうね。
ma:そうですよね。めっちゃ、でも、聴いてて楽しいですね。
H:そうだよね。いちばん[曲に]入り込んでたね、いまね(笑)
ma:いえいえ…(笑)なんか、めっちゃ曲調が変化していくから…
H:そうそうそう。
ma:お、こんな曲になったか、みたいな感じで。曲がり角が多かったです。
H:そうだね(笑)まあ、話の流れでママス&パパスが出てきたんで、かかったんだよね。
H:もう1曲、なんか、持ってきてくれたの?
ma:はい。もう1曲選ばして頂いたんですけど…はい。フォスター・シルヴァーズ(Foster Sylvers)で、"Misdemeanor"。
Misdemeanor - Foster Sylvers
(from 『Foster Sylvers』)
H:これは僕、知らない…いつの人だろう、これ?
ma:えっと、ジャクソン5(The Jackson 5)が流行った時代に…
H:やっぱりそうなんだね。
ma:そうなんです。[彼らに]憧れて歌っていた子たちの…ジャンルが「キッズ・ソウル」っていうらしくて。
H:なるほど。子どもだもんね。
ma:私、個人的になんですけど…ソウルって精神的に元気なときにしか…構えて、よし聴くぞ、って思うときに聴くなぁ、っていうイメージなんですよ。私自身が、なんですけど。
H:なるほど。
ma:なんですけど、キッズ・ソウルはなんか…とにかく[音楽を]かけとこかな、くらいのテンションで聴けるんですよ(笑)
H:気楽に聴けるんだね。わかるわ(笑)
ma:そうなんです(笑)なので、最近…これはそのジャンルの中ではド定番だと思うんですよ。なんですけど、私はこれがすごい好きで。
H:聴いててね、あ、ジャクソン5みたい、と思ってた(笑)
ma:そうですよね。そっくりなんで、かわいらしくて…最近よく聴いてます。
H:かわいいよね。そっかそっか。おもしろい…ぜんぜん知らない世界だ(笑)
H:じゃあ、ちょっとね…最近のね。1970年代に僕たちがすごい影響を受けたリトル・フィート(Little Feat)っていうバンドがロサンゼルスにいて。
ma:はい。
H:そこにローウェル・ジョージ(Lowell George)っていう、亡くなっちゃったんだけど、ギタリストがいて。その娘さんがいま、活躍してるんですよ。イナラ・ジョージ(Inara George)というお嬢さんで…そのイナラがやってるユニットで、ザ・バード・アンド・ビー(The Bird And The Bee)という…まあ、とてもユニークな男女ですけど。彼らの曲で、"Birds and the Bees"。
Birds and the Bees - The Bird And The Bee
(from 『The Bird And The Bee』)
H:こんな感じ。
ma:んー、知らなかったです。
H:僕も。
ma:え?(笑)
H:なんか、有名な曲[カヴァー]だと思ったらオリジナルだった(笑)
ma:めっちゃ、でも、いいですね。すごい好みです。
H:僕も。
ma:ホントですか?(笑)
H:ホント(笑)なんか、声の処理が素晴らしいよね。最近こういうの無くなっちゃってるから、余計良いよ。なんて言うんだろうね。
ma:うんうん。
[*もしかして:]
H:じゃあね、時間が無くなっちゃったんで最後に…僕がいちばん好きなザ・パイド・パイパーズ(The Pied Pipers)というコーラスグループ。
ma:はい。
H:これはね、有名な歌手の後ろでコーラスをする、っていう仕事が多くて。それがまたいいんです。じゃあね、いっぱいあるんですけど…フランク・シナトラ(Frank Sinatra)が若い頃…1940年代頃のレコーディングですけど、ザ・パイド・パイパーズのコーラスといっしょにやってます"Stardust"を聴いて、これで…また来てくださいね。
ma:はい、ありがとうございます。
Stardust - Frank Sinatra