2018.09.02 Inter FM「Daisy Holiday!」より

 オレンジ・クレイト・アートになりたいですね。

 

daisy-holiday.sblo.jp

 
H:こんばんは、細野晴臣です。先週に引き続いて、岡田崇くん。いらっしゃい。
 
O:こんばんは。
 
H:よろしくね。えーと…もう9月ですよ。
 
O:ねぇ。もうすぐ…
 
H:もうすぐクリスマス、って言うんでしょ?(笑)それ、みんななんか言い出してるね、最近。テレビ見てるとそう言ってる人がいるよ。
 
O:そうですか。
 
H:うん。みんなおんなじこと考えてるのかな(笑)早いからね。
 
O:早いですもんね。
 
H:だって、こないだ正月だったよね。
 
O:んー、お餅食べてた…
 
H:毎日お雑煮食べたい、なんて思ってるうちにこんなになっちゃって。んー…こたつとか懐かしいな。
 
O:(もう)すぐですよ(笑)
 
H:すぐか。んー。お正月?クリスマス?どっち?
 
O:お正月が。
 
H:先に正月が来て、その次クリスマスか、来年。
 
O:(笑)
 
H:えー、来年は2019年か。
 
O:ですね。
 
H:んー…じゃ、去年が2017年…?
 
O:はい(笑)
 
H:えー。じゃあ一昨年は…
 
O:その話で30分…(笑)
 
H:ふふ…えーとね、悪夢の話の途中だったけど、忘れちゃった。
 
O:あの、(話し終えるのに)30分かかるという超大作が…
 
H:そうそう(笑)今度ね…いや、メモに全部書いてあるんで。夢日記
 
O:すばらしい。
 
H:それをもとに30分の番組を作ろうかと。
 
O:作りこむ、と。
 
H:うん。いつになるかな…
 
O:それ、アルバムでいいんじゃないですか?(笑)
 
H:アルバムね…あ、いいねぇ(笑)
 
O:おや?(笑)
 
H:…っていうこと自体がぜんぶ悪夢だったりしてね。
 
O:(笑)
 
 
H:曲、かけようか。いい音楽。
 
O:あ、アタシが。
 
H:うん。
 
O:じゃあですね…ジャック・ティーガーデン(Jack Teagarden)というトロンボーン奏者が。まあ、歌もうたうんですが。ウィラード・ロビソン(Willard Robison)の曲をやっております。
 
H:お、ウィラード・ロビソン。
 
O:"Guess I'll Go Back Home This Summer "という曲でございます。
 
 
 
Guess I'll Go Back Home This Summer - Jack Teagarden
 
 
H:なかなかね、味のあるボーカルですよね。
 
O:そうですね。
 
H:岡田くんは歌わないの?
 
O:歌わないですね。
 
H:歌わないんだ。お風呂入りながら歌わないの?鼻唄。
 
O:歌わないですね(笑)
 
H:歌わないんだ!カラオケは?
 
O:全っ然行かないですね。
 
H:僕も。
 
O:1回ぐらい…入ったことありますよ、カラオケ。
 
H:あ、おんなじだよ。どこで?
 
O:下北…
 
H:あー、すごいとこだね。なに歌ったの?
 
O:いやいや、(歌わずに)見てました(笑)
 
H:なんだ、見てたんだ(笑)。僕はね、2回行ったね。強制的に。
 
O:なに歌ったんですか?
 
H:いやいやいや、歌わないよ(笑)
 
O:強制的に(笑)
 
H:1回はね、ロンドン…昔だよ、ロンドンにカラオケって言う名前で、なんかクラブみたいのがあって。連れてかれたの。
 
O:ええ…
 
H:そしたらなんか、気持ち良さそうにイギリス人が"霧のサンフランシスコ(I Left My Heart in San Francisco)"かなんか歌ってたよね。
 
O:うん。
 
H:まあ、それ以外はないよ。なんかカラオケって…楽しいんだろうね、きっと。
 
O:うーん、わかんないですねぇ…(笑)
 
H:とにかくね、歌うたうの好きじゃないよ、僕。
 
O:…え?(笑)
 
H:あれね、一生懸命歌ってるんだよね。ライヴは。
 
O:(笑)
 
 
H:まあ…(笑)えーとね、次の曲は僕がかけますが…スタンダードという繋がりでかけますが、歌っているのは今の人で、スーシー・フルゴール(Susi Hyldgaard)っていう。
 
O:フルゴール…
 
H:「ヒルデガルド」って書いて「フルゴール」と読む…デンマーク読みなのかね?
 
O:んー。
 
H:ニューヨーク生まれでデンマーク人という。いまデンマークスウェーデン辺りでやってるジャズシンガーなんだけど、なんかすごい音響的で暗ーいアルバムをいっぱい作ってたんだけど、これはちょっと明るめで"Baby It's Cold Outside"というスタンダード歌ってます。
 
 
 
Baby It's Cold Outside - Susi Hyldgaard & Aldo Romano
 
  
H:えー、スーシー・フルゴール。彼女は1963年生まれですね。このスタンダードを歌ってるのは聴きやすいけど、実は侮れないシンガーなんです。なかなか手ごわい人なんですよね(笑)
 
O:そうなんですか。
 
H:ええ…もう、本当は低い声なの。なんか、(この曲では)かわいぶって歌ってるけど、こわいんだよ(笑)
 
O:そういう感じには聞こえなかったですけどね。
 
H:この曲だけがこういう感じで、あとはすごいよ。音響的だし。ワケわかんないっていうか、惹き込まれるよ。おもしろい。そういうシンガー…女性シンガーいっぱい出てきてますけどね、出て来たと思ったら、静かになっちゃったり(笑)2018年。もうすぐ2019年。音楽はどうなっていくんだろう、という。
 
O:はい。
 
H:いっぱいいろんな人が出てて…例えばあの人はどうしたんだろう、という。フアナ・モリーナ(Juana Molina)という人が、去年かな、来日して。
 
O:はい。
 
H:なんかね、ちょっとチラッとコンタクトされたんですよ。でも、僕ぜんぜん時間ないんで、まったく接触しなかったんですけど。ちょっと観たかったなぁ、と思って。なんて言うんだろう、「オルタナ系」って、呼ぶのはあんまり好きじゃないけど、そういう女性シンガー多いんですよね。男より多いんだよね。
 
O:そうかもしれないですね。
 
H:だからおもしろいのは特に、女性シンガーが多いんですよね。…ということの流れで、どうぞ。
 
O:(笑)その流れに、僕が持ってきたものには全くない…
 
H:だろうね(笑)いいよ、流れ変えて。
 
 
O:さっきはジャック・ティーガーデンだったので、作曲者本人、ウィラード・ロビソンの歌で、"Heard A Mocking Bird Singing (in California)"という曲を。
 
 
 
Heard A Mocking Bird Singing (in California) - Willard Robison & His Deep River Music
 
 
H:これはね…ヴァン・ダイク・パークスVan Dyke Parks)が歌ってるとしか思えない(笑)
 
O:そっくりですよね、声。
 
H:おんなじ声だよ!で、曲も…ヴァン・ダイク・パークスが作ったみたいな曲もあるしね。不思議な関係だ…とにかく、このウィラード・ロビソンという人は…なんだろうね、隠れた天才ですよね。
 
O:んー、ほんと知られてないですよね。
 
H:ヴァン・ダイク・パークスがこのスタジオに来て、ピアノを弾いて、「これがウィラード・ロビソンという人の曲だ」って言って歌ったんだよね。そしたら、ヴァン・ダイク・パークスの曲にしか聞こえない…(笑)
 
O:(笑)
 
H:やっぱりじゃあ、ヴァン・ダイク・パークス聴きましょうよ。
 
O:はい。じゃあですね、次…これ去年出たオムニバスに入っているヴァン・ダイク・パークスの曲で、"Sun's Always Shining (in Roma)"という曲です。
 
H:一番新しいやつですね、ヴァン・ダイク・パークスの中で。
 
 
 
Sun's Always Shining (in Roma) - Van Dyke Parks
 (from "Unsung Heroes: Songs of Eleni Mandell")
 
 
 
H:すっばらしい…こういう音楽がまだあるんだね。
 
O:今のは…僕もよくわからないんですけど、エレニ・マンデル(Eleni Mandell)という…イナラ・ジョージ(Inara George)といっしょにリヴィング・シスターズ(The Living Sisters)というのをやっている女性の曲で…
 
H:あ、そうなんだ。
 
O:彼女の曲ばっかりを集めた…いろんな人がカヴァーしたアルバムが去年出たみたいですね。
 
H:それは初耳だ…
 
O:ベネフィットコンサートをイナラの(呼びかけで)やって…だから、ライヴ音源なのかもしれないですけど。
※引用者註:時系列的にはアルバムのリリースが先(2017.01.20)。同1.25に行われたコンサートには残念ながらVan Dyke Parksは不参加。
 
H:その作曲者の女性、もう1回言ってくれる?
 
O:エレニ・マンデル。
 
H:今度ちょっと詳しく聴かせてね。
 
 
H:まあ、あの…元気でよかったな、ヴァン・ダイク・パークスがね。
 
O:そうですね。
 
H:(ヴァン・ダイク・パークスが)ブライアン・ウィルソンBrian Wilson)を復帰させた時にね…一緒に作りましたよね。
 
O:『Orange Crate Art』ですか。
 
H:そうです。
 
O:すばらしいアルバムですね…
 
H:ねえ。すごい初々しい。もう、なんか…キュンとするような。あれでブライアン・ウィルソンってポップスの歴史を生きてきたというね。生き証人というかね。ビジネス以外のところがおもしろいというか…おもしろいっていうよりも、感動するよね。じゃあその"Orange Crate Art"。ヴァン・ダイク・パークスブライアン・ウィルソンです。では、この曲を聴いてきょうはおしまいにします。また来週。
 
 
 
Orange Crate Art - Brian Wilson & Van Dyke Parks