2019.05.12 Inter FM「Daisy Holiday!」より
H:こんばんは。細野晴臣です。さて!先週に引き続き、テイくんと五木田くん。お2人を…先週の続きからね。
五:はい。
テイ:そうですね。
H:僕は5/28, 29、ニューヨークに行くんですけど、みなさん来ないの?
五:そうですね…ちょっと、その時期は行けないんですよね…
H:そっか。
テイ:時差がキツいですよね、ニューヨークは。
H:(笑)
五:真逆ですからね(笑)
テイ:いちばんキツい。
H:僕は行かなきゃいけないんだから…(笑)
テイ:仕事ですからね(笑)
五:2日間やるんでしたっけ?
H:2日間やるんだよ。
テイ:あ、2日になった…増えたんですよね?
H:増えちゃった。
テイ:2日ともsold out。
H:もう、どうしようかと思って…どう思う?大丈夫?僕。ニューヨーク。
テイ:大丈夫ですよ。
五:大丈夫です。あの、僕の友達がですね…ニューヨークで帽子屋をやってまして。
H:いまそれ、かぶってきたやつ?
五:そうです。
テイ:「横山帽子公司(YokkoyamAHatMarket)」。
H:へぇ…
五:彼が…店内でですね、細野さんの曲をかけてると…
H:ありがたいね。
五:ニューヨーカーたちの反応がすごいらしいです。
H:初めて聞くね、それね。
五:カタカナで…「なんつってんの?」って言ったら、「ハローミ、ハローミ」って。
H:ハローミ(笑)
テイ:(笑)
五:「This is Hello-Me?」みたいな。
H:なるほどね。小っちゃい頃、女の子から「ハローミちゃん♪」って呼びかけてきたよね。
五:(笑)すごい人気みたいですよ。ホントに。
H:ホントに?なにが人気なんだろう?(笑)ぜんぜんわからない…こんなおじいちゃん…
五:その帽子屋さん、横山くん(横山寛久)っていうんですけど、横山くんも「なんでこんなに人気あるんですか?細野さん」っていう…
H:でしょ?なんで?
五:わかんないですね…
H:わかんないよね…
テイ:で、『花に水』とかサンプリングした…ヴァンパイア・ウィークエンド(Vampire Weekend)が歌つけたりとか。
五:あー…
H:そうなんだよ。なんで?
五:『花に水』…(笑)
テイ:あれ、カセットだからね。
五:カセットブックですよね。
H:だいたい、あの曲なんて[自分では]忘れてた、っていうか…(笑)
五:(笑)
テイ:ホントですか?
H:店内BGMだから…(笑)あれの、どこがいいのかな、と…
テイ:いやいやいや…
H:訊きたいんだよね。ど、どうなの?
テイ:まあ、でも…ライヴではね、あれは…こないだも言いましたけど、客入れのときでいいんじゃないかな、っていう…(笑)
五:あー。
テイ:細野さん、広すぎて…やってらっしゃることが。
五:『Endless Talking』とか。
テイ:そうそうそう。
H:そうなんだよ。広いんだよ。
五:異常な広さですよね。
H:50年やってるからしょうがないでしょ(笑)
テイ:いや、でも…ずっとワンコードの人もいるじゃないですか。ずーっと打ち込みの人とか。
五:いますね(笑)
テイ:だから、細野さんの場合は広すぎて…それがたぶん、僕が分析するに、インターネットでなんでも検索できちゃう時代…
H:いまの時代だからね。
テイ:そうなんですよ。検索したらこれもハローミでこれもハローミだった…みたいな。
H:(笑)
テイ:ラウンジもやってるし、アンビエントもやってるし。打ち込みも…
H:なんでも屋だからね。器用貧乏っていうか。
五:(笑)
テイ:いやいや…んなことないですよ。
H:いや、ホントにそうなんですよ。
H:そいで?
テイ:それで、えーと…Sketch Show聴きましょうか。
H:おお!聴かして(笑)ひさしぶり…
Wonderful To Me - Sketch Show
(from 『Audio Sponge』)
H:このくらいかな?
テイ:あ、ちょうどいま…3分13秒か。
H:DJ(笑)
五:(笑)
H:Sketch Show、いま聴きたくなる感じはわかるよ。
テイ:『HOCHONO HOUSE』を聴いて。
H:そう思うでしょ。
テイ:はい。
H:自分もそうなんだよ(笑)なんかまた…こういうのもいいなと思って。んー。
テイ:まあ、おこがましいですけど、このとき本当に…『テクノドン(TECHNODON)』のときよりもYMOっぽいな、と僕は思いましたけど。
H:そうだろうね。『テクノドン』のときは…なんかね、YMOを脱しようと思ってたんだね。たぶん。
テイ:大人[=「関係者」]がいっぱいいて…
H:そうそうそう。で、けっこう悩みながら作ってたけど、Sketch Showはぜんぜん悩まなかったからね。楽しんでやってた。
テイ:模索して。
H:そうそう。『BGM』が好きじゃない?幸宏(高橋幸宏)も僕もね。「あんな感じでやろうよ」なんてね。それでこういう曲ができた。
テイ:そういう感じがするよね。
五:んー。幸宏さんも、「『テクノドン』のときはつらかったな…」って…(笑)
H:みんなそう思ってたよ(笑)そうそうそう…ニューヨーク…ニューヨークの思い出…ううー。
五:「みんなピリピリしててさぁ…」って言ってましたね。
H:そうなんだよ。もう…ニューヨークって満月の日、すごいみんなピリピリするんだよな。
五:あー…なるほどね。
H:んー。なんか…大変だった。言えないけど。大変だったんだよ。
五:そうですか(笑)
テイ:僕はあのとき坂本さん(坂本龍一)の事務所の預かりだったんで…
五:なるほど。
H:そうだね。
テイ:で、初めて細野さんとはそこで…最初に教授。幸宏さんは審査員としてお会いして…とあるオーディションで。僕は映像で賞獲ったんですけど。と、細野さんで…
五:え、じゃあ、細野さんとテイさんはニューヨークで会った?
テイ:そうです。
H:あ、そうだ。
テイ:それで、「あ、君が教授のとこの若者か」。
H:(笑)
五:「君が」っていう…(笑)
テイ:いやいや…「教授側」では別にないです、って…(笑)
五:(笑)
テイ:YMO、みんな好きです、って思って。
H:そうだったよ。なんか、最初から…ヘンテコリンな話をしだしたじゃん。宇宙人かな…なんだろう。
テイ:えーとね…そのときハマってたカセットの…ミニマルなアンビエントのカセットを細野さんにコピーして。
H:あ、それを聴いたんだよ。そしたらハワイのニューエイジだったんだよ(笑)
五:(笑)
テイ:そうなんですよ(笑)
H:そう(笑)まあ、気持ち良かったけど。
テイ:そういう、ニューエイジ部分でクロスするところあるかな、って。僕、やっぱりニューヨークにいたから、周りはヒップホップとか多くて。で、細野さんはアンビエントのほうの…L.A.とかシスコとか…ヨーロッパの人とシンクロしてたから。
H:どっぷりだった。
テイ:共通項がニューエイジくらいかな、っていう。社交辞令というか…
H:いや、うれしかったよ。YMOはアンビエント色が無かったから、当時。ひとりで…孤独だったんだよね。で、ニューヨークって[アンビエントの潮流が]無かったんだよね。
テイ:そうですね。僕はちょっと聴いてましたけど。
H:よかったよかった。
テイ:"Dolphinicity"とか好きでしたけどね。
H:あ、ホント?
五:んー。
H:いや、あのチャントはね、いまだに憶えてるよ。ドローンのね。
テイ:そうですね。まあ、でも、いま考えると「神様」に、ハワイのニューエイジが作ったカセットをコピーして渡すなんて…
H:「神様」ってなんだよ…(笑)
テイ:すごい暴挙に出たなと思って…(笑)
五:大暴挙ですよ(笑)
テイ:ちょっと調子に乗ってたな、と…(笑)ま、でも、一応その前にディー・ライト(Deee-Lite)ってバンドで調子ぶっこいてたんで…
H:そうだよ。
五:大ヒットですからね。
テイ:だから、まあ、しょうがないのかな、っていう…「教授のとこの若者」ではないな、と…(笑)
H:いや、スターじゃん。ね。
テイ:いやいや…自己主張がちょっとありまして…
テイ:でも、まあ、リミックスさせて頂いたりとかして。
H:んー。まあ、それ以来だからずいぶん古い付き合いだよな。
テイ:1992年?93年?ぐらいですか。
五:あ、そっか、90年代なんだ…
H:「若者」っていうイメージはいまだに持ってるんだけどね。そうでもなくなっちゃったけどね。
テイ:そうなんですよ。だから…そうそう、幸宏さんと話してて…いま聴いた"Wonderful To Me"っていうSketch Showの1stアルバムの曲は2002年で、細野さんが55歳。幸宏さんが50歳。
H:あ。じゃあ、[いまの]2人だ、おんなじじゃない。
五:やば…
H:働きざかりだね。
五:(笑)
テイ:え?(笑)
H:いや、ホントホント。
五:そっか…
テイ:そうなんですよ。
H:じゃあ、2人で音楽やんないの?
テイ:音楽はやってない…DJやるぐらいですね。まあでも、五木田くんもホントにおもしろいんで、もうちょっと…去年、3回でっかい展覧会やったっけ?
五:そうですね。
テイ:東京オペラシティと、香港と、L.A.と。
H:あ、すごいね。
テイ:で、今年の初めに香港やって…
五:くたびれましたね、ちょっと。個展やりすぎっていう…
テイ:ね。あ、そうそう…追っかけてておもしろいのは、だいたい12枚前後になってる場合が多くて…
H:12枚って、なにが?
テイ:あ、絵です。飾ってある。大きいやつとか…小っちゃいのもあるよね?
五:うん。
テイ:こないだは小っちゃいので20枚ぐらいあったから、ダブルアルバムみたいな…話してると、アルバム作ってる感じで…
H:なるほど。音楽が好きだからね。んー。
五:ひとつの個展がアルバムですね。
テイ:「これとこれがリード[曲]」みたいな。
五:うん。インストっぽい感じと歌ものをどう混ぜるか、とかね。
H:へぇ、おもしれぇな。
五:でもちょっと、アルバムを出しすぎた感じで、いま空っぽで…なんにもアイディアが無いんですよ。
H:僕、おんなじ(笑)
テイ:(笑)
五:なんにもなくなっちゃって…(笑)9月に個展が控えてるんですけど、1枚も…なんにも描けないっすね。空っぽ。
テイ:だって、1年に3枚もアルバム出さないじゃないですか。自分で音作る人は。
H:出せないよ。うん。
テイ:すごいなぁ、と思って。
H:でもその…CDはいっぱい刷って売るわけじゃない?絵はどうなってるの?やっぱり、その場でみんな買ってくんですか?
五:そうなんですよ。
H:その噂を聞くけど、すげぇ…いい値段なんでしょ?
五:いや、なっちゃったんですよね…
テイ:5年で10倍ぐらいになった?
五:10倍まではいかないですけどね。
テイ:徐々に上がってってて…
五:でも、オークションってやつに、僕の絵を買ってくれた人が…すぐ売っちゃう人もいて。で、僕には1円も入らないんですけど。
H:あ、そうなんだ。
五:その、オークションの値段が異常に高くなっちゃって。
H:なるほどね。サザビー(Sotheby's)とかに出るわけ?
五:そうです。
テイ:まさに。クリスティーズ(Christie's)とか…表紙とかになってるんですよ。カタログの。
H:えええ…
五:ヤバいですよ。アート業界も。
テイ:中古レコードといっしょで、ぜんぜん[作者にリターンは]入ってこないんですけど。ま、額が違いますけど…
H:んー。何千万なんだろうね。おそらくね。
テイ:そうですね。
H:怖い。仕事頼めないじゃん(笑)
五:(笑)
テイ:でも、いくらでも描くでしょ。神様には…
五:もう、ぜんぜん…大丈夫です。その辺は。
H:大丈夫?じゃあ頼もうかな。
五:おお、ちょっと…ぜひ…
テイ:いまの2回貼っといてください。
五:(笑)
H:機会があれば…
(H:じゃあ頼もうかな。 五:おお、ちょっと…ぜひ…)x2
五:よろしくお願いします。
テイ:まあ、『NEUE TANZ』もね、描いてくれたから。
H:そうだよ。だから、馴染みがあるんだよ。あれが出た所為でね。最初、テイくんかなとか思っちゃったりね。
テイ:いやいや、僕が五木田くんに振って。
H:振ったんだね。プロデューサーだね。
テイ:そうですね。「監修」ですからね。五木田くんとまりん(砂原良徳)とやりたいな、って。
五:でも、あの『NEUE TANZ』のジャケも悩みましたよ。
テイ:うん。ボツにしたやつ見せてくれたよね。
H:へぇ。そういうことあるんだ。悩むんだね。
五:悩みますよ。やっぱり、YMOですから…
H:そうかそうか。そういうことね。
五:どうしたらいいかな…って。
テイ:で、"Solid State Survivor"は入ってないけど『Solid State Survivor』を[モチーフにした]…
五:そうですね。やっぱりあのイメージっていうのが強力だったんで。
H:あの、麻雀の?
五:そうですそうです。あの鋤田さん(鋤田正義)の写真が…
H:まあね。小学校のときからだったら、刷り込まれてるだろうね。
五:刷り込みですね。ええ。
テイ:五木田くんは『BGM』を最初に聴いたときはどうだったの?
五:わかんなかったですね、あんまり…
H:[当時は]小学生?
テイ:中学年くらいか。
五:なんか暗いなぁ…みたいな。
H:あー。だろうね。
テイ:最初ね。
五:まあ、大きくなってから大好きになりましたけど。でも、小学生にはね、なかなか…
H:だからね、そう思って作ったんだよね。「みんな"ライディーン"が好きなんだろ?」と思って。
五:(笑)
H:小学生がいっぱい増えて、運動会で"ライディーン"がかかってる最中に…あの『BGM』を作ったんだよね。だから「お母さんと一緒に聴いてください」って書いたんだよ(笑)
五:あと、「ヴォリュームを上げないように」*とかね(笑)
H:危険だからね。
五:書いてありましたね。怖かったですよ(笑)
[*『BGM』アナログ盤の帯裏に記載されていた文言、「65才以上の御老人、5才未満のお子様は、ボリュームを小さくしてお聞き下さい。」]
テイ:まあ、でも、結果的には振り落とされずに残ったクチですね。ウチらは。
H:そうだ。
五:そうですね。
テイ:近いところで仕事させて頂いて…
H:みんな集まってきちゃったね。結局ね。んー。そういうもんだよな。
テイ:そうなんですよね。
H:さあ、音楽、かけてください。五木田くん。
五:あー、また…いいですか?
テイ:さっきのCDからいこうか。
五:えーと…3[トラック目]…
テイ:あ、順番でいいの?
五:順番でいいです。
テイ:はい、3曲目いきます。
H:はい。
Tough de Times - The Emperor
テイ:うん、ちょうどいい長さだな。
H:(笑)
五:短いでしょ?
テイ:うん。2分40秒ちょうど。
H:これは誰なんだかぜんぜんわかんない。
テイ:ぜんぜんわかんない。僕いまジャケをね、想像してたけど浮かばなかった。
五:僕もよく知らないんですけど…(笑)
H:これでいいのかな?(笑)
五:エンペラー(The Emperor)っていうグループみたいですね。
テイ:どんなジャケ?
五:いや、これはなんかコンピで…最近出たラテン…マンボナントカっていうコンピレーション…
テイ:ちょっとオブスキュアな…
五:そうそうそう。それに入ってる。
[*↓これですか…?]
テイ:まあ、ラテン系、五木田くん好きだよね。
五:最近、なぜかラテンとかキューバの音楽とかが…なぜか好きなんですよね。
H:んー、いいよね。僕も好きなんだけど…いろんなものが好きすぎて困ってるんだけどね。
五:(笑)
H:聴くだけだったらいいよね。[自分でカヴァーを]やるとなるとね…(笑)
テイ:(笑)
H:どれをやったらいいんだろう、って。
テイ:あー…でも、細野さん今回ちょっとだけ…ちょっとだけでもないか。半分くらい打ち込み。ね。ひとりでぜんぶ作られてて。
H:そうだね。うん。
テイ:またなんか…で、ズルいなぁ、と思うのは。
H:え?
テイ:曲がもう、ぜんぶ良いじゃないですか。
五:うん。そもそもね(笑)
H:まあ、曲があるから…どうやってやるかだけだよ。問題は。
テイ:そうですよね。普通は…僕とかも、「どういう曲をやろうかな?」っていうところで…
H:いや…僕から言わせるとね、そっちのほうが楽しいの。
テイ:そうですか?(笑)
H:うん。白紙からやるほうが楽しいじゃん。自由だから。
テイ:まあ、自由ですね。
H:楽曲があって、しかも自分で作ったから、なんかやりにくいんだよ。
五:あー…
H:「どうやってやったらいいんだろう?」ぅて。そこから始まるから。
五:大変でした?
H:大変だった。もう、こんなに苦労したの初めてかも。
五:え?(笑)ホントですか。
H:ホントホント。だから…『HOCHONO HOUSE』っていう名前を付けたの。もう…頭にきたっていうか(笑)
五:(笑)
テイ:おちょくってやろう、みたいな。
H:そうそうそう。
五:でも僕、テイさんから最初…「なんか、細野さんがひとりで、打ち込みでやるらしいよ」っていうのを聞いたときビックリして。
H:そうかね?(笑)
五:「え?打ち込みですか?」って。もっと、こう…テクノっぽいのを勝手に想像してたんですけど…
H:テクノと打ち込みと違うんだ(笑)
テイ:(笑)なんとも言えないというか、細野さんならではというか。
五:そうですね…
テイ:やっぱりさっきの…やってることが広すぎて…
H:ひどすぎる?(笑)
五:(笑)
テイ:いやいやまさか…(笑)広すぎて、ワイドすぎて…やっぱり、理解不能な人もいるかもしれないね。
五:うーん。
H:それはね、いままでやってきてずっとそうだったの。インターネットの無い時代から僕はやってるわけだから。
テイ:そうですよね。
H:いつも…はっぴいえんどやったあと、トロピカルやってね。そのあとYMOでしょ。みんなついてこないんだよね。振り返ると誰もいない。
五:(笑)
H:ホントに、そういうことを何年かごとに繰り返してきたから。あんまりそういうことにこだわらなくなっちゃったんだよ。
テイ:んー。
H:で、いまになってビックリしてるの。さっきの帽子屋さんの話じゃないけど。
テイ:そうですね。
五:いやー、ホントですね。
テイ:ね。そこをdiscoverしたわけだね。ヤツらは。
H:まあ、そういうことなんだね。
五:だって、アメリカでもレコードがね…
テイ:出てたしね。
H:そうそう。
テイ:L.A.で買ったもんね。
五:L.A.でチラシも置いてありましたよ。
H:あ、ホント?最近僕、ぜんぜんアメリカに行ったことないから。どうしよう、と思って。
五:いや、ホントに人気あるみたいですよ?アメリカで…(笑)
テイ:(笑)
H:いや…(笑)困ったな。その、今までやったものはいいよ。でも、いまやってることはみんな知らないんだから。ブギとかやってるんだよ?
テイ:あー。そうですね。
H:で、ブギウギやっていいの?
五:いいんじゃないですか?ビックリするんじゃないですか?
テイ:うん。
H:ビックリするの?(笑)いやー、もうやんなっちゃった。
テイ・五:(笑)
五:ニューヨークに住んでる日本人たちがみんな、行こうとしたんだけどホントにsold outになっちゃって…
H:あー、そうかそうか。うん。
五:「行けないんだよ…」って残念がってましたね。
H:そう…そのほうがおもしろいっちゃおもしろいけどね。だいたい海外でやると日本人のお客さんがワーッて来てね…っていうことが多いじゃん。
五:んー。
H:そうじゃないほうが、まあ、冒険だよね。
テイ:うん。
H:でも、南部でやるのが怖いよ。
五:あー…
H:ニューヨークやロサンゼルスはなんとなくわかるんだよね。で、ロンドンでやったときも、すごくドキドキしたけど、やってみたら「大阪みたいだな」っていう印象(笑)
五:大阪…(笑)
テイ:ロンドンが…(笑)
H:お客さんはもちろん、ロンドンの人のほうが多いわけだけど、反応が大阪みたいなんだよ(笑)
五:へー。
H:もう、めんどくさいから[MCを]日本語でやっちゃったんだけど…(笑)それでもウケるんだよね。笑ってくれる。なんでだかね…(笑)
五:(笑)
H:まあ、ニューヨークもそれであってほしいんだけどね。ちょっと怖いんだよな。厳しいじゃん。
五:んー…
テイ:YMOはクラブ…DJとか。打ち込みをやってる人には昔からスタンダード…クラフトワーク(Kraftwerk)とかYMO、知ってる子は僕が[NYに]いたころからいましたけど。ソロの細野さんのほうは…
H:そうそうそう。知らないんだよ。
テイ:まあ、YMOも含めた…それ以外のことっていうのが知られてきたっていうことですよね。
H:ああ、まあね…
五:んー。
H:まあ、そういうことなんだけどね。もう、やってみないとわかんないや。やってみて、コケたら報告するよ。
テイ:(笑)
五:報告…(笑)
H:あー…気が重い。そんなわけで、時間きちゃったね。あと1曲。
テイ:うん、細野さんの。
H:僕?
テイ:あ、五木田くん?どうする?どっちでも。
五:どうぞどうぞ。
テイ:どうぞどうぞ。
H:どうぞどうぞ。
テイ:(笑)
H:ダチョウ倶楽部じゃない(笑)
五:じゃあ、いいですか?6曲目を。好きな曲です。
テイ:はい。
H:というわけで、きょうはテイ・トウワ率いる…五木田智央さん。
五:はい。
テイ:はい。
H:お2人を招いてお送りしました。また来てくださいね。
テイ:ありがとうございます。
五:はい。ありがとうございます。
テイ:よいお年を。
五:はやい…(笑)
H:その前にクリスマスがある。
テイ:そうですね(笑)いやいや、神様なんで…(笑)
五:(笑)
H:なんだそれ(笑)
五:お参りみたいになっちゃう(笑)
H:お賽銭。
五:お賽銭は…(笑)
テイ:いやいやいや…
Till There Was You - Peggy Lee
2019.05.05 Inter FM「Daisy Holiday!」より
H:こんばんは。細野晴臣です。きょ…
?:こんばんは!ん?(笑)
H:早い(笑)いいよ、自己紹介。
テイ:すみません…えー、テイ・トウワです。
H:ひさしぶりだね。
テイ:はい。
H:で、テイくんが連れて来たお客さんが…
テイ:はい、5コ下の…
?:はい、今年50歳になります。
H:歳、訊いてないけど(笑)
五:すみません(笑)えー、五木田智央と申します。よろしくお願いします。
H:わりと初めまして、ですよね。
五:そうですね。正式にお話しするのは…ええ。
テイ:そう、ぜひ…あれですよ、間接的にはお仕事をなさってて。『NEUE TANZ』のジャケットを五木田くんが。
H:それで知ってるんだ。
五:あ、そうです、そうです。
テイ:はい。なので、ちゃんとご紹介したいな、と思ったのと…
H:うん。
テイ:五木田くん、僕のちょうど5コ年下なんですけど、五木田くんには5コ上の兄貴がいて…ってことは、僕と同い年なんですよ。
五:そうです。
テイ:で、同じようにYMOで…兄貴の影響で。
H:YMO世代なのね。あ、お兄さんがね。
テイ:そうそうそう。それでおんなじように五木田くんも、スタートが…
H:聴いてたんだ。
五:はい。小学生で…(笑)
H:小学生?そっか。
テイ:僕より早い…で、ひとつ言い忘れなきゃ…あ。
H:言い忘れなきゃ?(笑)
テイ:(笑)言い忘れちゃいけないのが、兄貴の名前が「龍臣(たつおみ)」って言うんですよ。
H:「臣」がつくんだ。めずらしいね。
五:そうなんです。
テイ:しかも「龍」は坂本龍一の「龍」です。
五:「龍」に…「臣」なんですよ。
H:すごい名前だね。
テイ:「五木田龍臣」。
H:立派な名前だね(笑)
五:(笑)
テイ:…っていう自己紹介でした。
五:僕の兄の話でした。
H:そうだね。本人の話を聞きたいな。
五:あ…すみませんね。
テイ:で、五木田くんを僕は『ランジェリー・レスリング』っていう本で…
H:さっき頂いた…作品集?
五:はい。
テイ:ちらほらとイラストレーションを見てたんですけど、1冊にまとまって、「あ、この人、この作品集で大ブレークするな」って勝手に思ったんですね。2000年ぐらいに。忙しくなっちゃうんだろうな、って思ってた。
H:うん。
テイ:で、僕はちょうど家を建てたりとかしてたんで忙しくて、そんなこと忘れてたんですけど。あるときニューヨークに行ったら…バスキア(Jean-Michel Basquiat)っていう人がやってたギャラリーで…そこで五木田くん、やってんだ、って。
H:へー。
テイ:電話して、観に行こうと思ったらぜんぶsold outだっつって。
H:大人気なんだね。
五:いやいやいや…
テイ:で、それで対談する機会があったんで、「誰がいい?」って話で五木田くんを…で、初めて会った。
五:そのときが初対面ですね。
テイ:5.6年前…そうなんですよ。
H:あ、そうなんだ。
テイ:だから、会ってまだ5年ぐらいなんですけど、「これから僕は君の展覧会、世界中追っかけるから!」って。予告ホームランを。
五:ホントに来てくれてるんですよ。香港からニューヨークから…
テイ:L.A.とかね。
H:で、これが『ランジェリー・レスリング』…ここになんか付箋が貼ってあって、「泰安洋行」って書いてあるんだよね。字だけ(笑)
五:そうなんです(笑)僕、ホントにもう、好き過ぎて…
H:ホントに?字が好きだったの?(笑)
五:(笑)あのアルバムが…
H:ああ、アルバムがね。
テイ:だから、たぶん僕より細野さんのこと詳しいな、と思って。
五:いやいや、そんなことないですよ(笑)
テイ:いやいやいや…でも、幸宏さん(高橋幸宏)ともずっとドラムの話とかしてるじゃないですか。
五:あー、まあ、…ええ。
テイ:龍臣もすごい、好きだもんね。
五:泣きながら話してましたからね。
テイ:泣きながら「ユキヒロー!」って呼び捨てにしてた(笑)
H:(笑)
五:抱きついてましたね(笑)
テイ:どんだけ好きなんだ(笑)
H:そう(笑)あ、音楽もやってらっしゃるの?
五:いやいやいや…まあ、趣味で…若いときにバンドはやってたんですけど。
テイ:バンドではベースと?トランペット?
五:いちばん最初はドラムをやってて。そのあとなぜかトランペットを始めて。
H:んー。
五:インチキジャズっぽいことを…やってたんですけどね。
テイ:でも、こないだの僕のアルバムで1曲、吹いて頂いて。
H:トランペット?
五:実は吹いてるんです。
テイ:インスト曲で。
H:へぇ…すげぇな。
五:いや、すごくないんですけど…(笑)デタラメです。
H:あ、デタラメ?じゃあみんなおんなじだ。
五:(笑)
テイ:いやいやいや…(笑)
H:なんか、音楽…
テイ:うん、五木田くんの選んできた曲を…
五:僕の…いいんですか?
テイ:うん。焼いてきたやつを…これ、ぜんぶアナログからCDに。
五:そうです。
H:あ、そうなんだ。なにを聴いてるのかな。
五:じゃあ、まあ、1曲目…
テイ:聴いてみますか?じゃあ、曲紹介をどうぞ。
五:曲紹介、しないほうがいいんじゃないですか?
テイ:あ、しないほうがいい?
H:じゃあ、聴こう。
(再生、チリノイズ)
H:アナログだ…お。いい趣味だね。
五:いやいやいや…
My Happiness - Ella Fitzgerald
H:いいね。レコードの…何ノイズっていうの?スクラッチノイズ?これがステレオでいいね(笑)
五:(笑)
テイ:そうですね(笑)モノじゃなくて…
五:それも含めて好きになっちゃったんですよね。 このノイズも…
H:いいよね。これ…"My Happiness"はわかるけど、誰が歌ってるのかわからない。
五:これは、エラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)。
H:あ、すごい古い…
五:1950年代ですね。
H:こういうのやってたんだね。
五:やってたみたいですね。
H:スキャットだけじゃないんだね。んー。新鮮。
テイ:そう。だから最近DJをいっしょにやったりとかするんで…
H:[DJで]こういう曲…?(笑)
テイ:こういう曲もかけるよね。
五:かけますね。
H:テイくんも最近そうだよね。
テイ:そうですね。比較的まだ、営業入ってますけど、僕の場合は(笑)ただTPOによっては…ね。
H:んー。
テイ:あ、そうだ。何をやってるかって言うと…2人で。まあ、ジャケットを描いてもらったり、近年、してるんですけど。
H:うん。
テイ:基本的にはうちら、物々交換を中心にしたユニットなんで。
五:(笑)
H:え?どういうこと?(笑)あげたり、もらったりしてるの?
五:主にレコードを…
H:あ、レコードね。
テイ:レコードを送りつけてるだけなんですよ(笑)
五:お互いにね。レコードオタクなんで。
H:いいなぁ。そこはちょっと入れないな、仲間にな。
五:細野さんはアナログをもう聴かない、っていう噂を聞いたんですけど。
H:いや、聴きたいんだけど…情報がもう、僕の中ではいっぱいいっぱいだから、ちょっとストップしてるんだよね。
五:あー…
H:そっち行っちゃうとまた…海のように広がっていくから(笑)
テイ・五:そうなんですよ。
五:危ないんですよ…(笑)
H:危ないでしょ(笑)あのね、仲間にそういう人が一人いるんで、その人に任せてるの。岡田崇くん。
五:あっ…
テイ:岡やんは五木田くん、よく知ってるんだよね。
H:あ、そうなんだ。
五:よく、っていうか、まあ…
テイ:紹介したもんね。同い年?かな?
五:たぶんそうですね。
テイ:50歳ぐらい?だから、[僕の]5コ下って小山田くん(小山田圭吾)とか、まりん(砂原良徳)とか…
H:独特の世代だね。
五:1969年生まれ。
テイ:世の中がみんなLSDやってた年。
五:(笑)
H:まあね(笑)日本ではあんまりいないけどね。
テイ:でも、まあ…盤を見て「69年レコ―ディング」とかだと、あ、これはサイケ入ってるな、とか。
H:まあ、サイケの時代っていうことは確かだね。
テイ:あと72年ぐらいになるとなぜかドラムがめっちゃ音良い、とか。
五:うんうん。
テイ:74年ぐらいを超えるとちょっとディスコ入ってきちゃう、とか。
H:マルチレコーディングの時代になってきちゃうね。
五:そうですね。
H:まあ、とにかく…職種は「画家」なの?
五:いまは、もう、画家ですね。
H:画家って言っていいわけね。
五:もう、そう言わざるを得なくなっちゃって…
H:いつから描いてるんですか?
テイ:(笑)
五:いや…絵はもう、ホント幼稚園ぐらいから大好きで…
テイ:ヤバかった話が、レコード買いたくて。図書カードをもらいたくて…投稿マニアだったんでしょ?
五:そうです、そうです。それはもう、小学生のときから…雑誌に、ハガキに絵を描いて送って…掲載されると図書券がもらえてたんですよ。
H:あ、そう。
五:で、新宿の裏手のレコード屋さんがあって…そこで図書券でレコードが買えて。
テイ:(笑)
H:えー、そんなの初めて聞いた。
五:それを発見して…投稿マニアになっちゃって。
H:それで一生懸命描いてたんだ。
五:そうですね。もう、賞金稼ぎみたいな…
テイ:それが最初でしょ?
五:そうですね。
テイ:で、イラストレーターやって…それでイラストの仕事が増えて、イヤになっちゃったんでしょ?
五:そうっすね。職業…はなんでもよかったんですけど、絵を描くのが好きなだけで。「まあ、イラストレーターでもいいや、食えるなら。」っていう感じでいたんですけど、なんか…実際に仕事になっちゃうと大変で。
H:あー…
テイ:好きな絵を描けないもんね。
五:描けないですね。
H:あー、そうか。
五:クライアントがいて、頼まれるわけで…だんだんいろんなプレッシャーとか…イヤになっちゃって。
H:なるほど。
五:どうしようかな、って。
テイ:で、それでインド行ったんだっけ?
H:あれ、じゃあ横尾さん(横尾忠則)とおんなじじゃん、まるで(笑)
テイ:(笑)
五:インド行ったんすよ(笑)インド行ったり、メキシコに逃げたり…
テイ:で、ニューヨーク行ったんでしょ?最後。
五:そうですね。
テイ:で、また、息子がね…五木田くんの息子が横尾さんとかにハマってるんでしょ?いま。
五:横尾さん…そうですね。好きになってますね。
H:んー。
テイ:コラージュがね。
五:うんうん。
H:おもしろいね。なんか、こう…つながってくんだね。
テイ:そうなんですよね。
五:最近、横尾さんとは…?
H:あのね、今度会うけど、最近はちょっとまだ…今年まだ会ってない(笑)
五:あ、そうですか 。
テイ:ちょうど10コ上でしたっけ?細野さんの。
H:そうなのかな?
テイ:81歳ぐらい?
H:うん。そのくらいだね。元気ですよ。
テイ:ですよね。
H:えーと…「ゴキタ」っていう字はどう書くの?
テイ:5コ上の「五」でしょ?
五:えー、五木ひろしの「五木」と書いて、田んぼの「田」ですね。
H:あーそう?へぇ、めずらしいね。
五:めずらしいですね。
テイ:初めてですよね。
H:うん、初めて聞く。なるほど…最近の画集っていうか…
テイ:いちばん新しいのはどれでしょう?
五:いちばん新しいのは…それ[『777』(2015年)]ですね。
H:これね。パラパラって見ると…ぜんぶモノトーンじゃない?
五:はい。
H:これは…意図してるんだね。最初からそうですか?
五:いや、それも…別に[こだわりは]無いんですよね(笑)
H:無いんですか(笑)これって、原画は色ついてるの?
五:いやいや、白黒です。
H:あ、白黒なんだ。すごい。なんか、音楽に通じるかも。モノが好きで、ノイズがステレオとかね(笑)
五:(笑)
テイ:そうですよね。世の中はステレオで、カラフルで見えてるけど、絵を見ると白黒っていう。
H:なるほど…
五:いや…ね。カラーの作品も作りたいんですけど…なんか、自然な流れでこう来ちゃったんで…
H:それもめずらしいかもね。
テイ:「白黒の人」で有名になっちゃったからね。ここ5年ぐらいね。
五:そうなんですよ。だから、いつかね…フルカラーで。いきたいんですけどね。
H:なるほどね。
H:テイくんなんか曲かけなよ。「紹介者」だけじゃアレだよ。
テイ:そうですね。別に…マージンもらってるわけでもないので。
H・五:(笑)
テイ:最近…自分の番組もあったりして…あと、[自分の作品を]作ってると、ぜんぶサンプリング元みたいになっちゃうんでなかなか…
H:営業になっちゃうのね。
テイ:営業というか…そうですね。どうしよっか…まあ、じゃあ、"Tenderly"かな。こないだ自分の番組でもかけたけど。
Tenderly - Los Admiradores
(from 『Bongos』)
テイ:ふっ…(笑)
五:なんですか?(笑)
テイ:いや、よく[パーカッションを]叩くなぁ、と思って…(笑)
H:(笑)
五:ホントですよね(笑)
テイ:冗談音楽…(笑)これ、『Bongos』っていうアルバムですからね。
H:じゃあ、しょうがないか(笑)
五:ボンゴ、でかいですもんね、音。
テイ:そうね。
H:ボンゴ、買ったの。
テイ:あ、そうなんですか?
H:あっちに置いてある。
テイ:あれ、入ってましたっけ、『HOCHONO HOUSE』には…
H:いや、『HOCHONO HOUSE』には入ってない。これは誰なの?
テイ:これはですね、"Tenderly"で…コマンド・オールスターズって…コマンド・レーベル(Command)が…
H:あったね。
テイ:あ、ご存知ですか。
H:なんか、ステレオが売り物の…
テイ:そう。これはまさにステレオ・チェックレコード。
H:あー、やっぱりそうか(笑)
五:テイさんがすごく持ってて…(笑)
H:あ、そう(笑)ステレオ好きだよね。
テイ:(笑)や、その頃そういうのばっかり聴いてて…93, 94年。ディー・ライト(Deee-Lite)を辞める頃に…
H:あー、その頃か。
テイ:それで『Future Listening!』っていう…「イージー・リスニング」じゃあなんもないな、と思って。よく聴いてたんですよ。ハジメさん(立花ハジメ)なんかといっしょに。
H:なるほど。そういう人たちが好むのはよくわかるわ。んー。
テイ:そうですね。あとは、まあ、音響を含めた良さというか。アレンジのおもしろさというか…もう1個、ちろっと聴いていいですか?
H:いいよ!
テイ:これはハジメさんがパクってるのを最近気が付いたんで。
五:またですか(笑)
H・テイ:また(笑)
H:そこら辺、問題じゃないの?(笑)
五:問題かな…(笑)
テイ:いま、「また」ってハモってたね(笑)
H:(笑)
Diga Diga Doo - Bob Thompson Orchestra and Chorus
(from 『Just For Kicks』)
テイ:はい。僕はもう、ここで終わりです。いまので大体1分30秒…
H:はい(笑)ありがとうございます。
テイ:ね?わかったでしょ?
五:うん、わかった。
H:僕はぜんぜんわかんない。
テイ:あ、そうですか?
H:ぜんぜん会ってないよ。ハジメと。
テイ:あ、そうですか。
テイ・五:(笑)
テイ:うまくまとまって…
H:はい。
テイ:あれ、細野さんは今回、かけられないんですか?曲は。
H:こういう場合かけないね。
テイ:あ、そうですか。かけないんですか?
(スタッフ:(笑))
H:持ちネタが無いんだよ。
テイ:そうですか?じゃあ、五木田くんのCD、2曲目いきましょう。
H:そうしよう。
五:じゃあ、2曲目、お願いします。
テイ:これは…何分くらいあるんだろ…ああ、3分…
五:こないだ500円で買ったレコードですね。
H:500円?
テイ:あの…まあ、ここまで聴けばいいな、ってのがあれば途中でもいいです。
五:はい。
H:うんうん。じゃあ、さわりだけでも…
Hana Maui - Chick Floyd
(from 『Little Grass Shack』)
H:いいね。こういうのも…
テイ:誰ですか?
五:これは…チック・フロイド(Chick Floyd)っていう人ですね。
テイ:ああ!
五:リバティ・レーベル(Liberty)。
H:へぇ…
テイ:なんの楽器の人?
五:よくわかんないですね…
テイ:チック・フロイドって…そうか、五木田くんに教わったのかな?
五:こないだ見せたエキゾなジャケットのやつですね。
テイ:あー、あれか。
五:うんうん。
H:2人でやってよ。
五:(笑)
H:入っていけない(笑)
五:入ってきてください(笑)
H:チック…なに?
テイ:チック・フロイド。
H:知らないよ。
五:1950年代…
H:いいね、でも。
テイ:完璧にマーティン・デニー(Martin Denny)の亜流というか…
五:そうですね。
テイ:レーベルもいっしょだもんね。
H:そうか、リバティね…んー。やっぱり詳しいね、お2人。アナログ聴いてるとね。
五:いえいえ…
H:レーベルの話とか、あんまりしないから。いま(笑)
五:(笑)
テイ:まあ、僕もでもわかんないことがあったら岡やんにメールしてますよ。
H:ああ、岡田くんがいればこの辺は…
五:岡田さんはすごいですね…
H:なんでも知ってるよ。
テイ:そうね…こっちは得意ですね。
H:じゃあ、僕もかけようかな。
五:ぜひぜひ。
H:いまのを聴いてちょっと思い出すんで。えー…ウナ・メイ・カーライル(Una Mae Carlisle)っていうね…数年しかやってない、1940年代の人。
五:うわ…
H:ジャズ…ピアノを弾きながら歌う、美人。
It Ain't Like That - Una Mae Carlisle
H:まあ、ここら辺で…
テイ:あれ…せっかちが伝染ってきましたね(笑)
H:そうそうそう(笑)あのね…こういう曲かけてもあんまり反応しないじゃん。
テイ:いやいや、好きですよ。あんまり知らないだけです。
五:好きです好きです。
H:あ、ホント?お2人は「音響」で聴いてるんだよ。
五:あー…
H:絵を描く人たち、そうだよ。絵のように楽しんでるんだよね。僕はね…カヴァーしたいな、とかね。「曲の良さ」で聴いちゃうんだよ。
テイ:あー、そうですよね。「音符」的な。キーとか含めて。
H:そうそうそう。だから、あんまり音響的にはそんなに…おもしろいわけじゃないじゃん。これは。
テイ:んー、いい音だと思いますよ。でも、それをiTunesとかで買われてるわけですよね?
H:そうなの。
テイ:ですよね。
H:あの、チリチリいわない…
五:(笑)
テイ:(笑)でも、[アナログでも]そういうときもありますよね。
五:うんうん、ありますあります。
テイ:でも、なんかもう…配信でも買えたりするから、なるべく物として…アナログで出てたらアナログで買いたい、っていう…
H:その気持ちはわかるけどね。
五:そうですね。
H:でも、増える一方で大変じゃん。
五:大変ですね。それが問題ですね。
テイ:重いし、デカイし…で、どこにあるかがわかんなくなって、それでめんどくさいから[同じものを]買っちゃうんですよ。
五:(笑)
H:それって…DVDもCDもおんなじだよ(笑)アナログに限らないね。
テイ:で、2枚とかになったときに…
H:あ、それで物々交換…
五:そうですそうです(笑)
H:…入れてもらおうかな(笑)
五:(笑)
テイ:あと…おとといね、話してて…お2人と。会長と、神様と。
五:はい。
H:幸宏と…?
テイ:細野さん。
H:そっか…(笑)はい。
テイ:で、『HOCHONO HOUSE』を聴いた感想として…感想って言うとおこがましいですけど…僕はひさしぶりにスケッチショウを聴いてみて、いい感じだな、と。
H:なるほど。
テイ:2002年ですから、だいぶ前ですよね。
五:んー…
H:じゃあ、その話は来週、聞かして。
テイ:はい。
H:もう、時間来ちゃったから。
テイ:来ちゃった?(笑)じゃあ、来週の頭これで始まります?
H:オッケー。そうしよう。じゃあ、またね、お2人。
五:はい。
テイ:はい。
H:名前言わないけども。
2人:(笑)
~~~~~~~~~~~~~~
テイ:ここでお知らせがあります。5/11に銀座のPLUSTOKYOというところでですね、僕とか五木田くんがDJをして…食べたい人はバーベキューもできるんで。屋上で。夕方5時から…終電までには終わるというね。そういうパーティを今後、いろいろやっていきたいなと思ってます。
H:えー、楽しそうだな、それ。
テイ:そうなんですよ。バーベキュー、食べに来てください(笑)
H:いいねぇ。11日。え、銀座のどういうとこ?
テイ:新しい…本当にもう、クラブですね。ほぼ日本橋に近いんですよね。銀座って言いながら。
H:日本橋、いま、いいよ。場所としてすばらしい。
テイ:以上、営業でした。
五:(笑)
2019.04.28 Inter FM「Daisy Holiday!」より
さよならMinute Merengue…(?)
H:こんばんは。細野晴臣です。きょうは…まあ、平成最後の…放送ですね。ということで、レギュラーの?
O:こんばんは、岡田崇です。
越:こんばんは、コシミハルです。
H:ひっさしぶりだね。
越:すごい久しぶりです。風邪も治ったし!
H:ずっと風邪引いてたの?
O:(笑)
越:そう(笑)久しぶりに大変でした。
H:なんかね、弱ってるよね。免疫がね。春ってそうだよね。免疫低下する、って言うから。桜、なんか観たの?
越:観ました。
H:ほう…どこがよかった?
越:中目黒、きれいでしたね。
H:中目黒か。近づきたくないなぁ…
越:すごい人でしたよ。
H:あれ、岡田くんの住んでる場所の周辺って桜多いでしょ?
O:すごいですよ。
H:部屋から見える?
O:部屋…からは見えないですね。
H:そうか。残念だね。んー。
O:まあ、近所歩くともう、すごいです。
H:今年はすごかったね。長持ちしたというか。寒かったり暖かかったり大変だったな。
越:うん。
O:そうですね。
H:というわけで、平成の最後なんですよ。この番組。
O:ねー。もう、20年ぐらいですね。
H:すごいね。平成って30年でしょ?…ほとんど平成の番組なんだね(笑)
O:(笑)
H:で、4/1のエイプリル・フールに「令和」って発表されたでしょ?
O:はい。
H:令和の「令」が…なんだかんだと、いろいろ取り沙汰されてますけどね。海外の報道では。「命令」の「令」だ、みたいなこと言われてて。
O:そうですね。最初にそういう印象はありましたね。
H:あるよね。まあでも『万葉集』から、とかいろいろ…それで僕はね、この令和っていうのをこれからまた…長い付き合いですから、馴染まないといけない、と思って。
O:ええ。
H:いろいろ考えて、ある結論に至ったんですよ。
O:どんな?
H:聞きたい?
O:はい。
H:もう、この番組でしか言わないよ(笑)
O:(笑)
H:えーとね…話が長くなるから、1曲かけてからにしようかな。岡田くんどうぞ。
O:あ、じゃあですね…最近入手した、大きな16インチのトランスクリプション盤、ラジオ用の。
H:はい。
O:アル・ケイヴリン・オーケストラ(Al Kavelin Orchestra)という1940年ごろの…カーメン・キャバレロ(Carmen Cavallaro)が最初にデビューした楽団なんですけど。そこの楽団が…"Six Lessons From Madame La Zonga"という曲をやっております。
Six Lessons From Madame La Zonga - Al Kavelin Orchestra with Patti Morgan
H:いいですね、カリプソ。
O:いいですね。
H:40年代の音だな。
O:ちょうど1940年の録音なんですけど、けっこうノイズが…もともとのディスクにはあったんですけど。
H:うん。
O:アイゾトープ(iZotope)で…ノイズを取ったんですね~(笑)
H:岡田くんもアイゾトープかい。
O:すっごいですね。
H:すごいでしょ?優れてるよね、最近のアプリケーション。
O:ちょっと感動…楽しくって。ノイズ取るのが(笑)
H:わかるわかる(笑)
O:カセットテープとかもすごい、よみがえって…
H:なんでそういうことが楽しいんだろうね。
O:(笑)ひと皮むけた感じになって…
H:そうだったんだ。そうかそうか…
H:で、その令和の話なんだけど…その前に、みんな昭和生まれだよね、僕たち。
越:うん。
O:そうですね。
H:昭和生まれってのは…明治・大正・昭和だったから、当時。明治生まれのおばあちゃんとか、みんな元気だったんだよね。最近、明治の方はホントに…稀な存在になっちゃったね。
O:んー。
H:稀っていうか長寿の…最高長寿の人、とかね。そういう人たちになっちゃった。えー、昭和何年かな?あ、それは訊かないほうがいいね、ミハルちゃんにはね。
越:.......(笑)
H:(笑)で、平成になって…大正・昭和・平成になったんだね、だから。「三世代」って言うと。
O:そうですね。
H:大正時代っていうのは僕たちの、母親たちが…お父さんもそうだ。そうじゃない?違うの?…あれ?(笑)
O:うちは昭和ですよ。
H:昭和?えー!?
越:うちも。
H:昭和??ご両親昭和?…そうかい。ビックリだね。
O・越:(笑)
H:母親はまだ健在ですけどね。大正生まれですよ。大正は短かったんだよね。15年とか。昭和が長かったね。で、平成は30年、と。そうすると、昭和・平成・令和になるわけだ。
O:うん。
H:で、令和の話だね。…長くなるんで、曲、かけようかな。
O・越:(笑)
H:ミハルちゃんどうぞ。
越:あ、じゃあ、えーとね…『シャイニング(The Shining)』の映画の中で使われてた…
H:およ?
越:レイ・ノーブル(Ray Noble)の…
H:お、目の付けどころがシャイニング*だね。
O:(笑)
[*令和世代のための註釈: 日本で創業した家電メーカー・SHARP(シャープ、旧・早川電機工業)がかつて使っていた企業スローガン「目の付けどころが、シャープでしょ。」のパロディ。]
越:"Midnight, The Stars and You"といいます。ヴォーカルはアル・ボウリィ(Al Bowlly)です。
Midnight, The Stars and You - The Ray Noble Band with Al Bowlly
H:いやー、『シャイニング』を思い出すね。
越:ね。目に浮かびますよね。
H:まあ、怖い…けど、なんともノスタルジックな…ね。ただ、この曲だけ聴くと別に怖くはない(笑)
O:(笑)
H:えーと、じゃあね…令和の話か(笑)ちょっとめんどくさくなってきた(笑)
O:え?(笑)
越:(笑)
H:あの、じゃあ、言うよ。言う、言う。えー…大事な話なんだよ。ホント。じゃあその前に…(笑)
O:(笑)
H:わかってない、と思うでしょ。わかってんですよ。「令」って、発表のときも筆で書いてたでしょ。どなたかはわかんないけど。で、棒が一本長いじゃない、「命」みたいな字。だから「命」みたいな意味もあるらしいんだけど。
O:んー。そうなんですね。
H:だから、いい意味もいっぱいあって、でも、「命令」とかそういうイメージもあって、2つ意味があるっていう。どっちを取るかはきみ次第っていうね(笑)そういうことなんでしょうね。
O:(笑)
H:で、実は…手書きで書くと、まっすぐな棒じゃなくて「マ」になるんだよな。あの、「鈴」っていう字がそうじゃん。「金」偏に「令」って書いて…活字で書くとまっすぐ棒が下に降りてくけど、手書きだと昔から「マ」なんだよね。で、パソコンでね、フォントがあるじゃない。そういう字があるのかどうか[調べたら]、ぜんぶ棒なんだよ。「命」系の。で、パソコンで「マ」にしたいなと思ったんだけど、探したら中国語しかないの。中国語フォント。それだと、やわらかい感じになる。だから…フォントっていうのは社会的なものだから、社会がそういう体制になっていくのか、とか思っちゃったりね。でも個人は、「マ」でいきましょうよ、と…きみ次第ですよ。
O:(笑)
H:まだもうちょっと話したいんだけど、このぐらいにしとこう。はい、じゃあ曲お願いします、僕。はい。
O:(笑)
H:ではね…昔の、ポランスキー(Roman Polanski)の…ポーランド時代の『袋小路(Cul-de-sac)』。
越:あ、それすごい好き。
H:ああ。クリストフ・コメダ(Krzysztof Komeda)っていう人が作ってます。
越:カッコいい…
H:主題曲です。"Cul-de-sac"。
Cul-de-sac - Krzysztof Komeda
H:そういえばね、こないだ…つい先日ですけど、テレビで次のハレー彗星がいつ来るか、っていう話をしてて。正確にはちょっと憶えてないですけど、40年以上後なんですよ。
O:んー…
H:前来たときは僕、観てるのね。1980年代。グアム島まで行って観てきたんですよ。
O:すごい…(笑)
H:みんなでね。僕、脚の骨折って、ギブスはめて観に行って…(笑)
O:ああ、あの頃ですね。
H:そうそうそう…(笑)それでバスの運転手に怒られたりして。「脚の骨折ってまで来るな!」みたいな(笑)
O:ひどい(笑)
H:日本人なんだよ(笑)ゆっくり歩いていったからね。で、そのハレー彗星が…次は46,47年後かな。だから、次はぜったいに僕は観れない。と思って、すごいさみしい気持ちになったの(笑)さあ、君たちはどうかな?
O:…ギリギリ観れるのかどうか…(笑)
H:まあ、生きてたら観てね。
O:はい。
H:次の時代のハレー彗星の観測って、その[彗星の]そばまで行って中継するっていうことが起こりうるわけだからね。
O:おー、すごい…
H:見物ですよ。いいなぁ、みんな。観れないよ、確実に観れない、僕…えー、がんばろうかな。
越:(笑)
O:がんばってください、ぜひ!
H:これ、がんばって生きれるもんなのかな?(笑)歯ぁ食いしばって。
O:(笑)
H:だから、いまのテレビ出てる人たちはわりと若いから、みんな観れるんだろうなぁ、とかね。思うんですよね。
H:そんなこんなで…平成最後の曲、1曲。
O:平成最後の曲って言われると…(笑)
H:気楽に気楽に。
O:気楽な曲をかけます。じゃあ、ハリー・ブリュアー・グループ(Harry Breuer Group)という…さっきの選曲のB面がハリー・ブリュアーの40年代のグループなんですけど。
H:うん。
O:それで…"Mystery Man"という曲を
Mystery Man - Harry Breuer Group
H:はい。ハリー・ブリュアーと言えばですね、ずっとこの番組のテーマでお世話になってますよね。
O:そうですね。"Minute Merengue"。
H:もう何十年と…ずっとこれでやってきました。
O:はい。
H:が、しかし…5/1から令和になりますので、そろそろテーマ音楽を変えようかな、と。
O:おお。
H:でも、すぐには出来ないんで…当分はいまの…♪チーチッキ チーチッキっていうやつから始まりますので、よろしくね。
O:(笑)
H:来月からね。えー、いま思いついたことなんですよね。それでは…ミハルちゃんどうぞ。
越:じゃあ、また映画音楽の中から…
H:おー、なんだこれは…(笑)
越:リリアーナ・カヴァーニ(Liliana Cavani)の…
H:いいね、よく観てたよね。
越:なつかしい。『愛の嵐(Il Portiere di notte, The Night Porter)』のテーマ曲を。
H:影響されたよね。
越:ダニエレ・パリス(Daniele Paris)。
H:昔は「ダニエル・パリ」って言ってたんだけど、作曲家ね。
越:そうです。イタリアの作曲家…
H:この曲は…原美術館で1回演奏したね、僕たち。
越:…あ、そうだっけ?
H:そうだよ。
越:私はサロン・コンサートでやりました。
H:そういえば、1回しかやったことないけどね。ぜひ聴きましょう。
越:はい。
H:ということで、平成最後の曲は…"愛の嵐(Portiere Di Notte)"(笑)
O:(笑)
H:最近、この世に足りない…エロスですけどね。ではまた来週も…来週じゃないや、来月…来週だやっぱり(笑)
O:(笑)
H:令和の時代にお会いしましょう。
Portiere Di Notte - Daniele Paris
2019.04.21 Inter FM「Daisy Holiday!」より
『メゾン・ド・ヒミコ』のサントラ、本当に名作なのでぜひ…
(以下、すべてH:)
こんばんは。細野晴臣です。えー、ひさしぶりに、ひとりでぼちぼちとやろうと思いますが。きょうは…めずらしいですけど、自分のいままでの映画音楽を中心にやってみたいな、と思います。まずは最近ですけど…最近といっても去年ですけど。『万引き家族』から"Image & Collage"という。これは映画の中で使われている音楽をまとめたり、ちょっと新しく付け加えたりした音楽なんで…それを聴いてください。
Image & Collage - 細野晴臣
(from 『万引き家族「オリジナル・サウンドトラック」』)
えー、『万引き家族』のイメージ…音楽というのかな。本編では入っていないメロディなんかもありますけど。おかげさまでですね、この『万引き家族』はすごい大ヒットして…日本アカデミー賞を頂いたりとか。鈴木慶一から頂いたんですけどね。で、香港に行って、国際アジア映画祭でも音楽の賞を頂いたりして。ありがたいな、と。おこぼれ頂戴、という気持ちで頂いたんですけど。香港ではジェジュン(김 재중,Kim Jae Joong)という人を紹介したりしてね。一時話題になりましたけど。これは原稿を頂いてそれを日本語で読んだというだけなんですけど…(笑)なんか、ジェジュンファンがいろいろ話題にしてましたね。なにもかも、平成の思い出ですね。
で、最近は…また映画音楽をこないだやったりして。それはマレーシアの監督の作品なんで、これから…ま、いつどうなるかはわかりませんが、音楽は付けたんです。
ところで、この『万引き家族』のDVDが4/2に出たんですが…この番組始まって以来、すごいことをやります。3名の方に…(笑)いや、笑っちゃうってことはないけどね。『万引き家族』のDVDをプレゼント致します。誰にするかな、なんて、こっちで選ぶわけじゃないんですけどね(笑)応募、してくれるんですか?あ、ホントに?じゃあ、抽選ですね、それは。じゃあ、抽選させて頂くということで…3名の方にプレゼントするという。なんか、ラジオっぽいですよね。初めてです、こういうの。だいたい自分の音楽をこうやってかけるのもめずらしいんですけど。
で、続けますね。映画音楽の中で印象深いのは『メゾン・ド・ヒメコ』かな。この中で…これも使われてない(笑)番外編の音楽をCDでは入れちゃったんですけどね。あえてそれを聴いちゃいますね。"Unsung Song"。歌われなかった歌。ま、インストですけど。
Unsung Song - 細野晴臣
(from 『The Original Soundtrack of “La Maison de Himiko”』)
まあ、淡々としたインストですけど。このとき僕は…三拍子がすごく好きだったときがありましたね。まあ、いまでも好きなんですけど。三拍子はほんっとおもしろいですね。いろんな…リズムのアプローチがとてもおもしろいんですよね。 で、この頃は…そうね、いつだったかな、これは。もう記憶が定かじゃないです。歳を取っちゃってわかんないんですけど…ぜんぶ、平成の思い出ということで。
最近、鈴木惣一朗くんががんばってまとめてくれたものがけっこう出てまして。去年の12月に出たのが『銀河鉄道の夜』ですね。完全版ということで。これもやっぱり、思い出深いものでした。未発表曲っていうのはそんなに無いんですけど、それも入ってる完全版ということでしたね。なにをかけようかな…『銀河鉄道の夜』から、エンディングテーマをかけましょう。
(from 『銀河鉄道の夜』)
えー、『銀河鉄道の夜』のエンディングテーマですね。この曲は鈴木惣一朗くんやコシミハルの影響がすごく強い音楽なんです、実は。
それほど映画音楽はやってないんで…そうだな、なんだろう。映画音楽ではないんですけど、その鈴木惣一朗関連で…80年代にモナド(MONAD)とノン・スタンダード(NON-STANDARD)という2つのレーベルをやっていたものをまとめて*、非常にすばらしいボックスセットを作ってくれました。出たばっかりですね、これは。その中に未発表曲があるんですが…これはなんで[発表するのを]止めたかというと、ライナーノーツに書いてあります。テクノ時代の…YMOのような曲なんですね。いままでの流れだとちょっと強烈ですけど、聴いてください。"北極"。
*モナド・レーベルの4作品がボックスとしてまとめられたのは2002年。ここで細野さんが言及しているコンピレーション(NON-STANDARD collection)にはモナドの楽曲は含まれていない。
北極 - 細野晴臣
(from 『NON-STANDARD collection -ノンスタンダードの響き-』)
えー、"北極"という、これは未発表音源ですけど…これ、歌を入れるつもりで作ったんで、なんかこう、カラオケなんですよね(笑)で、歌は作らないでそのままほったらかしにしてあったんですが、それを鈴木惣一朗くんが発見しちゃったわけですね。まあこれは、このままたぶん、歌は入れないまんま…でしょうね。
えーと…いま思い出す映画は『人間の約束』。この映画はですね、日本のヌーヴェル・バーグ派…だと言われていました、吉田喜重監督の作品なんですけど。当時…これはいつでしたっけね。平成の思い出なんで…平成じゃないか、これは。昭和だ(笑)えー、昭和時代に作った音楽なんですけど。その当時、僕は父親が病気で倒れて、非常に危ない時期だったんですね。で、その映画が三國連太郎さんが主演で…かなり老齢な役だったわけで、それがダブっちゃって、非常に落ち込んで作ってたんですけど、映画観てて「これ、音楽要らないんじゃない?」なんて言っちゃったりして。失礼なこと言ったような気がして。先日…日本アカデミー賞の舞台にその吉田喜重監督がいらっしゃってて。岡田茉莉子夫妻、ですね。岡田茉莉子さん・吉田喜重さん夫妻と、岸惠子さん、吉永小百合さんと。そういった重鎮が並んで賞を頂いてましたけど。そのときに、お会いして挨拶したかったんですけど、人が多くて辿りつけなかったという…そういうことがありました。その『人間の約束』から"OHENRO-SAN"という曲。これは『omni Sight Seeing』というソロにも入ってます。
Ohenro-San - 細野晴臣
(from 『omni Sight Seeing』)
吉田喜重作品『人間の約束』から"Ohenro-San"、かけました。
じゃあ、最後にもう1曲だけ、かけさせてください。『メゾン・ド・ヒメコ』と同じく…その次の作品でしたね。犬童監督(犬童一心)の作品で、『グーグーだって猫である』。これは大島弓子作品が原作でしたね。その中に入れた曲があるんですけど…これは他に入れてないんで、このサントラにしか入ってないんですけど、なかなか聴けないのできょうはこれを最後にかけたいと思います。
その前に…番組の初めに紹介しました、『万引き家族』のDVDプレゼントについてですけど、これは番組のホームページのメールのところをクリックして、「DVD希望」と書いて送ってください。締切はあさってまで、とします。厳しいですね(笑)はい、お願いします。
*現在は終了しています。
では…これは僕の歌で作りました、"アーユルヴェーダ"という曲です。ではまた来週!
(from 『「グーグーだって猫である」 オリジナル・サウンドトラック』)
2019.04.14 Inter FM「Daisy Holiday!」より
H:こんばんは。細野晴臣です。今夜のDaisy Holidayは、先月26日にTower Records渋谷店で行った長門芳郎さんとのトークイベントの模様をお送りします。お楽しみください。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
H:(チェック、チェック…)
長門:もう1回、盛大な拍手。
(盛大な拍手)
H:どうもありがとう。いらっしゃい。
長門:いやー…こういうシチュエーションっていうのは初めてじゃないですか。
H:初めてだね。
長門:ですよね。付き合いは、お陰さまで…
H:ホント長いね。
長門:47年ぐらい?
H:『HOSONO HOUSE』ぐらいから…その後だね。
長門:『HOSONO HOUSE』の後ぐらい。でも、最初に会ったのは1972年ですから。
H:じゃあ、ほとんどそういう時期だね。
長門:そうですね。はっぴいえんど…僕、[出身が]長崎なんで…
H:長崎に呼ばれて…あれは、どこ?なんか、船に乗って…
H:あ、それは能古島か。
長門:だから、長崎で1972年8月5日に、僕が主催のコンサートをやったんです。
H:そう、そうだ。
長門:そこにはっぴいえんどとか、いとうたかおとか、布谷文夫、矢野誠さん。
H:はいはい。
長門:来て頂いて…翌日かな?コンサート終わった日かな?僕の車で…
H:憶えてます。
長門:はっぴいえんど、2台分乗して能古島まで行く船着き場まで僕が送ったんです。
H:あー、そっか。それで混同してるんだ。僕は。
長門:僕、免許取って3日目だったんです。
H:危ねぇ…(笑)いくつだった?
長門:22歳ですよ、僕。
H:あー、じゃあ…
長門:[細野さんは]3つ違いですから。
H:25歳ぐらいなんだね、僕は。
長門:そうですね。まあ、昔はね、みんな若かったんですけど。
H:うん。
長門:きょう、このステージ、普段はK-POPのアイドルとか、ジャニーズ系のアイドルが踊り跳ねてるんです。
H:踊ってんの?ここで。
長門:踊り跳ねてるんです。
H:僕、踊んなくていいね?
長門:いいです(笑)それで…おそらくですね、最年長出演、というか。
H:まあ、光栄です。
長門:ということで…ここ[5Fイベントスペース]はパイド・パイパー・ハウス(PIED PIPER HOUSE)じゃない。去年まで、そこの端がパイド・パイパーだったの。
H:ここだったんだね。
長門:5Fだったんです。で、今年1月に6Fに移った。
H:はい。さっき寄りました。
『HOCHONO HOUSE』㊗️発売記念㊗️細野晴臣トークショー開始前に6階パイドパイパーハウスを訪れた細野さん。ポスターにサイン入れていただきました。ありがとうございます。
— パイドパイパーハウス (@PiedPiperHouse) 2019年3月27日
いつまでもお元気で🙏 #HarryHosono #LLAP pic.twitter.com/QF2ylSkYLH
長門:で、きょうはなんの話をしましょうかね。
H:いやー、なんの話しようかな(笑)
長門:まあ、『HOCHONO HOUSE』発売記念なんですけど…もう、いろんなところで細野さん語ってるし、記事もいっぱい出てるし。
H:なんかね、SNSのいろんな書き込みを送ってくる人がいて、まとめてね。ぜんぶ読ませてもらってるんだけど、いっぱいあって、もう圧倒されましたけどね。
長門:追っかけきれないですよね。けっこう気になります?Twitterでなんか書かれてないか、とか…
H:あのね、エゴサーチってやらないんですけど、怖くて。すごい怖いよ。
H:やってたね(笑)わかるわ。
長門:でも…絶賛ですよね。
H:まあなんか…貶してくれるよりうれしいよ、ぜんぜん(笑)
長門:そうですよね。それで『HOCHONO HOUSE』の云々、みなさんファンの方はもうぜんぶ読んでると思うんで。
H:うんうん。
長門:きょうは、ここだけの話、というか。
H:ここだけの話ね。
長門:「細野さんと僕」って…
H:うん。個人的な、訊きたいことはあるでしょう。
長門:そうですね。そうだな…僕、レコード屋、また始めたんです。
H:そりゃ知ってるよ(笑)
長門:(笑)
H:だから、パイド・パイパー・ハウスが[南青山の]骨董通りにあったでしょ?あの頃がすごく懐かしいんだよなぁ。
長門:そうですね。1975年オープンで…まあ、元々僕はスタッフだったんですけど、1977年まで細野さんと事務所やってて。
H:そうなんですよ。ちょうど『TROPICAL DANDY』と『泰安洋行』の頃…
H:「三部作」の頃ね、やってくれたんです。
長門:まあ、そういうこともあって、僕はパイド・パイパー・ハウスの店頭に立つようになったんですよ。
H:その後…誰が作ったの?パイド・パイパー。
H:岩永さんね。
長門:立教の後輩ですよね。
H:そうですね。
長門:彼が初代社長で、僕が2代目になって…いや、こんな話でいいのかな?
H:いいんじゃない?
長門:あっという間に時間が経ちますよ。それで…1989年に閉めちゃうんですよね。
H:1989年まで続いたわけね。んー。
長門:で、その間、細野さんとはピチカート・ファイヴの仕事とかね。させて頂いて。
H:そうね。僕は知らなかったんだけど、僕の父親が[パイド・パイパー・ハウスに]買いに行ったっていう話を…
長門:そうですよ。1975年か76年?ある夜…細野さんのお父上がふら~っと店に入ってきてね…なんて言ったかはっきりは憶えてないんですけどね、「細野です」って言ったのかもしれない。
H:ホント?(笑)まあ、そらそうだろうな、おんなじ名字だもん。
長門:(笑)で、「『TROPICAL DANDY』くれ」と。
H:ホントに?聴きたかったのかな。
長門:3枚買いましたからね。だから、お友達にあげたのかも。会社の人とかね。
H:会社の同僚に武部さん(武部聡志)、アレンジャーのね。そのお父さんがいたの。
長門:え!あ、ホントですか!
H:たぶん、僕の父親の上役だったんで、武部くんと会うと[彼は]僕を見下ろすんだよ(笑)
長門:(笑)ホントですか、初めて聞きました。それで、3枚買ってって…「よろしく」とか言ったかもしれません。
H:(笑)
長門:ただ、はっきり憶えてるのはね、アルコール入ってました。
H:だろうね。
長門:ちょっと赤かった、顔が。
H:勇気を出して行ったんだと思う。だって普段はね、ぜんぜんコミュニケーション無いから。どう思ってるのかも知らないし。
長門:うんうん。
H:YMOの頃はさすがにね、応援してくれてはいたの。でも『TROPICAL DANDY』とか、あの頃はね、まったく断絶してた。
長門:ホントですか。だから、気になってたんでしょうね。
H:だからね、ビックリした。その話を聞いて。
長門:で、駅前のレコード屋さんじゃなくてわざわざ…あんな不便なところまで。
H:なんでパイド・パイパー・ハウスを知ってたのかね?
長門:ですよね。誰かに聞いたのかな…それはよく憶えてます。
H:じゃあ、対応してくれたんだ。
長門:もちろん、僕が…
H:ああそう。
長門:あとは…あの頃、パイド・パイパーの喫茶スペースがあってね。
H:あったね。
長門:丸い、大きな切株があって。そこのところに細野さんが座ってりとか。
H:時々行ってましたよ。ええ。
長門:そこに坂本くん(坂本龍一)が来たりとか。あの頃、坂本くんは発売日に…気になるんでしょうね。来たことありますよ。
H:あ、そう?
長門:「売れてる?」みたいな(笑)
H:ホント?(笑)
長門:あとはター坊(大貫妙子)とかね。山下くん(山下達郎)とか。あとはライダース(ムーンライダース)の連中はしょっちゅう来てて。
H:あー。
H:来た?へぇ。うれしい。
CHATTANOOGA CHOO CHOO - 細野晴臣
(from 『TROPICAL DANDY』)
H:それで、『泰安洋行』ができた後に…たぶん、そのカセットかなんかをリヴォン・ヘルム(Levon Helm)に渡したの?
長門:いや、最初僕が[渡したのは]ジョン・セバスチャン(John Sebastian)です。
H:あ、ジョン・セバスチャンに渡したんだ。
長門:ジョン・セバスチャンに「三部作」の最初の2枚を…だから、『泰安洋行』は1976年に渡したんです。
H:『泰安洋行』のアルバムが出回っちゃったんだよな、それで。
長門:うん。セバスチャンが気に入ったでしょ。で、彼は地元ウッドストックでラジオ番組を持ってて、そこでね、細野さんのレコードをかけたんです。
H:かけたんだ。
長門:そしたらリヴォン・ヘルムだとか、みんな…
H:聴いてたのかな?
長門:そう、ファンになって…
H:(笑)
長門:あとは…マリア・マルダー(Maria Muldaur)にも僕はあげたんですよ。あとはジェフ・マルダー(Geoff Muldaur)とかね。日本に来たときに…「釣りに行く」って言うんでね。エイモス・ギャレット(Amos Garrett)とジェフ・マルダーが。
H:はいはい。
長門:そこに行く途中の車の中で「これをかけてくれ」って言って、細野さんの曲の中から僕が選曲したカセットを桑本くん(桑本正士)に渡したんですよ。カメラマンのね、亡くなった桑本さんに。
H:うん。
長門:渡したその車中で、2人が聴いたわけですよ。
H:あ、そうなんだ。それは知らなかった。
長門:それで、「Harry Hosonoか」、みたいな。一目おかれた、というかね。
H:その後ね、ジェフ・マルダーとマリア・マルダーが来て、青山のCAYで1回やったんだよね。そのとき僕、なぜか知らないが、ビル・ワイマン(Bill Wyman)を連れて、1Fのカフェで座って観てたの(笑)で、みんなビル・ワイマンのこと見ないんだよ。
長門:知らない、わかんないんですよ。
H:ここにビル・ワイマンがいるよー!って言っても、誰も興味を示してくれないの。
長門:影が薄いんです。影が薄くて…あの頃から、名刺に「ビル・ワイマン(ローリング・ストーンズ)」って書いてる(笑)いや、これは噂ね。僕は見てない。
H:(笑)
[*↓気付いてた人。]
長門:で、ビル・ワイマンは[細野さんについて]誰から聞いたかというと、マリア・マルダーから。
H:そうかそうか。で、ビル・ワイマンが「世話しろ」って言うんで、ストーンズが来たときに。楽屋まで行って…清志郎(忌野清志郎)とね、楽屋に行ったっていう話はよくしてるんだけど。
長門:はい。
H:その後…翌日かな。代官山に「サージェント・ペパーズ」っていう焼肉屋があったわけ。
長門:すごいですね(笑)
H:で、僕はなんにも考えずにそこに連れてっちゃったわけ。
H:そしたら、すごい気にしてて(笑)「なんでここにしたんだ?」とか言われて…(笑)
長門:新宿に「ローリング・ストーン」とかありましたよね。
H:あ、そうなんだ(笑)そっち行けばよかった。
番組を聴いているのだけど細野さんに若干の記憶間違いがあるので正しておかなくては、、
— 日笠雅水 (@maaco3) 2019年4月14日
ビル・ワイマンとマリア・マルダーあたりの話し、ここに清志郎さんもからんできて面白い話しなんです、これは私の役目だな。 https://t.co/eBjScJETb8
ストーンズとして初来日した時、細野さんとビル・ワイマンと黒人のSP2人と日本人女性の通訳と私の6人で代官山のサージェントペッパーズって焼肉屋さんで食事したんです、ビルが細野さんに会いたいと連絡してきて、支払いは細野さん、あんな大金持ちに、しかも食欲旺盛なSP2人の分も😂
— 日笠雅水 (@maaco3) 2019年4月14日
サージェントペッパーズは細野さんが店名を慮ることなく予約、当日現場で「よりによってこんな名前のお店に!ヤバイ!」って言ってるところにビルがやって来て、ニヒルな感じの笑みを浮かべ「君たちがロンドンに来た時には僕のスティッキーフィンガーズって店に招待するよ」と言ったのでありました。
— 日笠雅水 (@maaco3) 2019年4月14日
H:その次の日かな、CAYにジェフ・マルダーとマリア・マルダー来るよ、と。そしたら「行こう」って言うんだよね。「[彼らは]友達だ」と。
長門:あー。
H:で、翌日行って。終わった後、控室に行って。ビル・ワイマンとね。そしたらビル・ワイマンが椅子に座って僕が立ってたら、向こうのほうからマリア・マルダーが駆けて来たの。
長門:(笑)
H:ダァーって駆けてきてハグするんだよ。
長門:細野さんを?
H:そうそう(笑)「アンタがRoochoo Gumbo Manね!」って言われたんだよ。
長門:(笑)そうなんですよ、一時期ジェフ・マルダーが"Roochoo Gumbo"を向こうでレコーディングする、っていう話もあったんですよね。
H:なんかね、麻田浩さんから英語の訳を頼まれて。書いたんだけど、訳がひどかったらしくて、その後立ち消えになったっていう(笑)
長門:そうそう、エリック・クラプトン(Eric Clapton)はビル・ワイマンから[細野さんのことを]教えてもらったみたいですね。
H:エリック・クラプトンまでいったんだ。それは知らない、初めて聞いた。
長門:だから、クラプトンが日本に…80年代かな、来たときに、レコード屋で細野さんのレコードを探してたっていう…
H:ホントに?(笑)
長門:未確認情報ですけど…(笑)だから、けっこうそういう風に広がった感じはありますね。
H:だから、ぜんぶの元は長門くん…(笑)
長門:「日本にHarry Hosonoあり」っていうね。
H:まあ、一部でね。ウッドストック辺りでは。
Roochoo Gumbo - 細野晴臣
(from 『泰安洋行』)
長門:最近またすごいじゃないですか。世界各国で。
H:これは、なんだかわかんないんだけど…
長門:これはね…まあソフィア・コッポラ(Sofia Coppola)の映画(『Lost In Translation』)もありますし。
H:あれはあれでね、アメリカ行ったときに若者が…(客席を見ながら)大体こういう世代の…若いかな?(笑)若者が来て歌ってくれるんだよね、"風をあつめて"。街の中でね。ストリートでね。
長門:や、でもね。僕、連日パイドの店頭にいて、海外のお客さんたくさん来るんですよ。
H:いまも?
長門:いまも来ます。それで、はっぴいえんどを買いますよね。『風街ろまん』。それから『泰安洋行』。細野さんを探しに来るんです。外国の人が。
H:ホント?
長門:ジェイソン・フォークナー(Jason Falkner)って知ってます?いまはベック(Beck)のバックとかやってます。彼もね、来ましたね。2年ぐらい前に。
H:ああそう。
長門:ちょうど『泰安洋行』の発売日、40何周年のときにね。『泰安洋行』買って、『風街ろまん』も買っていきましたよ。
H:ホントに。
長門:あとね、いろんな国の人…ヨーロッパから、南米から、「Hosonoあるか?」と。
H:ホント?(笑)
長門:いや、ホントですよ。ベックも2回ぐらい来ましたかね。
H:あ、そうなの。それは初めて聞いた。
長門:とにかくね、細野さんでしょ?あとね、佐藤博さんの『awakening』。
H:あー、はいはい。
長門:これもよくね、売れますね。海外の人に。あと山下くんの『FOR YOU』とかね。
H:なるほどね。
H:シティ・ポップね。だから、最近のそういう…だんだんわかってきたけど、やっぱり、この時代ならではだね。
長門:うん。
H:昔は考えられないよ。その時代の空気があるから…だいたい、インターネットが無いからね。
長門:でもおもしろいのが…細野さんのトロピカル時代?「三部作」の時代。その前の『HOSONO HOUSE』。それから、アンビエント時代。YMO。この辺、いろんなファンがいるんですよね。
H:だろうね(笑)みんな若いよね。
長門:若いです。海外の人も、日本のミュージシャンの人も、普通の方も、求めてきますね。70年代の音楽。
H:うんうん。
長門:そういえば細野さん、昔レコード店の店長やってましたね。
H:いや、知らない、そんなの(笑)
長門:テンガロンハットかぶって…
H:それ『ノルウェイの森』じゃない(笑)観てないんだよ。
長門:あ、観てないんですか?
H:自分の映画観てない。『居酒屋兆次』、こないだ初めて観た(笑)
長門:ウソ?(笑)え、DVDとかで…
H:DVD、一応持ってるんだけど…なかなか観ないね。
H:なんか、スローモーションでしょ?すごいそれがイヤで。
長門:いやいや…でも、あれって…テンガロンハットかぶったレコード店の店長もめずらしいんですけど、[お店の]壁に、ね。
H:そう。
長門:ローラ・ニーロ(Laura Nyro)からツェッペリン(Led Zeppelin)…
H:エイプリル・フール(Apryl Fool)もあったでしょ。
H:あれは監督(トラン・アン・ユン, Trần Anh Hùng)がね…マレーシアの人かな?やけに詳しいんでね。
[*ベトナムの方です。]
長門:うん。
H:だから、僕も呼ばれたし、幸宏(高橋幸宏)も出てるんですよね。
長門:出てましたね。
H:なんでそんなに詳しいのかは知らないよ。
長門:でも一応、時代考証的には合ってるんですよね、エイプリル・フールで。はっぴいえんどは無かったような気がするな。えー、ぜひ観てください。細野さんのレコード店店長(笑)
Like A Family - 細野晴臣
(from 『万引き家族「オリジナル・サウンドトラック」』)
長門:最初に言うべきでしたね、日本アカデミー賞。最優秀音楽賞。
(拍手)
H:ありがとうございます。
長門:それから…アジア・フィルムアワード(Asian Film Award)、最優秀音楽賞。
(拍手)
H:あ、どうも…(笑)あれはビックリした。いや、どっちも準備してなかったんだけど、スピーチとか。突然言われたんで、咄嗟に英語でしゃべっちゃったんだよね。めちゃくちゃ。
長門:え、それはアジア…香港かなんかで?
H:そう、香港で。
長門:あー、ホントですか。
H:なんかもう…で、その前にね、プレゼンターやったんですけど。キム・ジェジュン(Kim Jae Joong)っていう、韓国ポップのアイドルっていうか…よくわかんないんだよ。
長門:あー。
H:で、原稿渡されて、日本語書いてあって、それを読んだんだよ。で、紹介したの。そしたらそれが話題になっちゃってて。「よくやってくれた!」みたいな。
長門:写真は見ました。
H:ジェジュンファンがね、喜んでるっていうか。
香港にて開催のアジア・フィルム・アワード🇨🇳🏆#万引き家族 で🎼音楽賞ノミネートの #細野晴臣 さんが、アジア新人賞を受賞した #ジェジュン さんのプレゼンターとして登壇されました❗️#asianfilmawards pic.twitter.com/vZD5rSLrza
— 映画『万引き家族』公式 (@manbikikazoku) 2019年3月17日
長門:あとあれですよね、日本アカデミー…慶一(鈴木慶一)から受け取るっていうのが、なんか…
H:もう、それがね…楽しかったね。
長門:ね。あれはなんか、感慨深いですよね。たぶん、お互いにね。慶一もそうだし。
H:そうそうそう。だから…あれを貰ったら来年、渡さなきゃいけないんだよ。立場として。
長門:次、誰だろう?
H:慶一だったりするとおもしろいなぁ、と思って(笑)
長門:あー、またね。
H:ずーっと同じことをやり取りして…(笑)
長門:いいっすね、それ。
H:いいでしょ?
長門:坂本だったりして。
H:まあ、それでもいいよ。渡したくない人もいるけどね。
長門:(笑)
細野晴臣が「万引き家族」で最優秀音楽賞を受賞しました。万引き家族チームのみなさま、ありがとうございました❣️プレゼンターの鈴木慶一さんにも感謝です。
— 細野晴臣_info (@hosonoharuomi_) 2019年3月2日
https://t.co/qTXee2vTeB pic.twitter.com/Vrt0dKCOCC
長門:あ、来月あれですね。N.Y.とL.A.で…
H:(ため息)…気が重いんですよ。
長門:僕ね、L.A.の会場は知らないんですけど、N.Y.のグラマシー劇場(Gramercy Theatre)。あそこ、いいですよ。渋いですよ。
H:外見だけ見たんだけど、よかったですね。
長門:1930年代に、元々映画館として…
H:映画館っぽかったね。ああいう小屋が東京にあればいいんだけどね。
長門:で、昨日ね、座席数を調べたのね。499席。なんで500にしなかったのかな。
H:(笑)
長門:そこ、2回満杯でしょ?
H:そう。2日やります。
長門:グラマシー・パーク、朝、散歩行くといいですよ。
H:あ、ホント?
長門:ジョン・セバスチャン、観にくるかもしれない。
H:来るかな?んー。
長門:来たらゲストに入れてもらえますかね?(笑)
H:いや、もちろん出てほしいけどね。紹介はもちろんしたいし。
長門:昔、YMOでアーヴィング・プラザ(Irving Plaza)でやったことあると思うんですけど。
H:…どこだっけな?
長門:N.Y.の。
H:うん。やったっけ?
長門:そこにもジョン・セバスチャン、行ったみたいですね。
H:え、それは会ってないかな…
長門:そのとき会ってないですかね?あと、ドクター・ジョンがL.A.の、最初のYMOのツアー…中華レストランみたいなところで…
H:ああ、はい。
H:来てたみたいね。会ったかな?
長門:あの前に僕、ドクター・ジョンに「トロピカル三部作」渡してたから、彼は細野さんを観に行ったら、ピアノかなんかでセッションできるんじゃないか、と。
H:おお?
長門:そういうつもりで行ったみたいですよ。そしたら、テクノだった。
H:(笑)かわいそうに…
長門:いやいや…途中で帰ったかもしれないですね。
H:まあね…先生だよ、僕にとっては。ドクター・ジョン。
長門:それから、ヴァン・ダイク・パークス(Van Dyke Parks)ね。
H:L.A.はヴァン・ダイク・パークス、来るよ。
長門:あー、行くでしょうね。
H:こわいよー。
長門:そうね…
H:先生たち、来ちゃうよ。
長門:いやいや…でも、楽しみですね。
H:どうしたらいいか、今度相談させて。
長門:ヴァン・ダイクはね…曲者ですからね。
H:ね。曲者…
長門:えー、ということでね。そろそろ時間なんですけど…最年長トークゲストの、細野晴臣さん。
H:はい。どうもありがとうございました、わざわざ。
(拍手)
(拍手)
ろっか・ばい・まい・べいびい - 細野晴臣
(from 『HOSONO HOUSE』)
2019.04.07 Inter FM「Daisy Holiday!」より
↓see also...
H:こんばんは。細野晴臣です。えー、きょうは先週に引き続いて…話の続きをしたいと思います。OKAMOTO'Sのハマ・オカモトさん。
ハマ:はい、よろしくお願いします。
H:きょうは「ハマ・オカモトさん」になっちゃった(笑)
ハマ:(笑)先週と違う呼び方…ありがとうございます。
H:えーと、先週の最後に話してた…じゃあ今度はOKAMOTO'Sを聴きたい、というところで終わっちゃったんだけど(笑)
ハマ:ありがとうございます。
H:僕は…ついこないだかな。ラジオでよく"Higher"っていう曲を聴いてたな。
ハマ:あー、ありがとうございます!新譜から…
H:すばらしいなと思って。
ハマ:あれは…細野さん、あの曲ってどういう印象、というか…せっかくなんでちょっとお聞きしたいんですけど。どんな感触で聴いて頂いたのかな、と。
H:音像がホント良かった。あとはやっぱり…ファンクな感じがすごい好き。
ハマ:うれしい。ありがとうございます。
H:ドライヴしてるっていうかね。んー。
ハマ:あの曲はデモが上がって…基本、デモが少し固まるとバンドでせーの、でやってみてるんですけど、いつも。
H:うんうん。
ハマ:ああいう曲なので、やっぱりベースがなにか示さないと曲にならない、というか。
H:あー、そうだよね。ベースで決まるんだよね、ああいう曲って。たしかに。
ハマ:そうなんですよ。それは丸投げ、というか…僕次第になってしまうので。
H:あー…
ハマ:なにも浮かばなくて、スタジオで寝っ転がって椅子に寄っかかりながら…みんなが休憩中に閃いて。で、あ、これがいい!って思ったんですけど…細野さんも制作の中で、経験としておありになるかちょっとわからないですけど。
H:うん。
ハマ:僕、たまにあるのが、プリプロダクションとかそういうときに弾いたフレーズが、たとえそれをまんまやろうと思って、本番のレコーディングになっても、なんかね、違う感じに…
H:あー、わかる。
ハマ:なりますよね。
H:なるなる(笑)
ハマ:だから僕…本チャンというか、聴いて頂いたのは、僕がプリプロで寝っ転がって弾いてるのをまんま使ってて。
H:あ、それはすごい…
ハマ:もう、あの…トライしたんですけど、本番で。でも、ぜんぜんダメで…(笑)
H:わかるけどね。そういうことあるよ。
ハマ:ありますか、細野さんも。
H:あるある。自分でデモ作ったりするときに、仮に弾いてるやつがいちばん良かったりするんだよね。
ハマ:なんか、なんにも考えないで弾いてるときとか。
H:そう。
ハマ:そういう瞬間のほうがおもしろかったりするなぁ、というのが…
H:あるよ。
ハマ:やっぱり僕らも10年バンドやってきてると…本番がいちばん良い、っていうことじゃないときもあるっていう。楽器単体とかで言うと特に…
H:そうそうそう(笑)そうなんだよ。
ハマ:それを[プリプロの音源を]まんま使って、おもしろいように…それで[細野さんに]音がおもしろい、と言って頂いたのもすごいうれしいんですけど、ちゃんとエンジニアさんも居つつ…あれはうちのドラム(オカモトレイジ)が自分でミックスして…
H:へー!そういうこともあるんだね。
ハマ:はい。初めてやったんですけど、ちょっとそういう、おもしろい曲を作って…聴いて頂いてありがとうございます。
H:ホントは["Higher"を]かけたいんだけど、次の番組があるんで、そこでかけなきゃいけない…
ハマ:(笑)そうですね、そこでご一緒しますから…
H:この番組では違う曲をかけよう。
ハマ:ではですね…うちのバンド、最近ギター(オカモトコウキ)も歌うようになってきまして。
H:へー。
ハマ:まあ、曲作りはギターとボーカル(オカモトショウ)でやっていくんですけど、ギターが自分で書いた曲を自分で歌ったりするようになりまして。このアルバムで"偶然"という曲があるんですけど、それを…せっかくなので聴いて頂きたいな、と思います。
H:ぜひぜひ。聴きたい。
ハマ:はい。
偶然 - OKAMOTO'S
(from 『BOY』)
H:なるほど。
(♪outro)
H:まだあった(笑)
ハマ:いいんです。
H:あの…[ハマは]自分に近いベーシストだ、って、聴いてて思うんだけど。
ハマ:ホントですか?
H:こういう風には、僕は弾けないよ(笑)
ハマ:(笑)それは、もう…そんな風に言って頂けて光栄です、ホントに。
H:いやいや、あの…意外と、リズムでベースをやる人ってそんなにいないんだよ、いま。
ハマ:あー、はいはいはい。
H:なんか、J-POPって言われてるジャンルは特にそうだよね。んー。
ハマ:そうかもしれないですね。僕もそういう…ソウルミュージックとか、そういうものがとても好きなので。
H:うんうんうん。
ハマ:こういう曲調になるとどうしても…(笑)そういうスイッチがバキッと入るんですけど。
H:これは、僕だったら80年代、やっぱりこういう風に弾いてたかもしれない。80年代っぽい音楽だと思っちゃうけどね。うん。
ハマ:はいはいはい。でも、まさしくそういうテーマで…
H:あ、やっぱりそうなんだ。
ハマ:なので、管楽器とかも後から入れて頂いて…というような曲だったんですけれども。いやー、恥ずかしいっていうか、どうしたらいいかわかんないですね、聴いてもらっている間に…(笑)ありがとうございます。
H:(笑)こうやってベースだけを聴く、っていうのはあんまりないけどね(笑)
ハマ:いやー、ホントですよね。自分の演奏をね…目の前で細野さんが目を瞑ってちゃんとヘッドフォンで聴いてくれてるっていう状況、無いですからね(笑)
H:でも、聴かないわけにもいかないし(笑)
ハマ:そうですよね(笑)鼻ほじってたりとか…(笑)それはそれですごいな、と思うけど…いやー、ありがとうございます。ちゃんと聴いて頂いて…
H:いやいやいや。これは…持ってる楽器はフェンダー(Fender)…ジャズベース?
ハマ:これはジャズベースで弾きました。
H:あ、そう、うんうん。音がやっぱりそういう音…なんか親近感があるっていうかね(笑)自分にはね。
ハマ:あ、そうですか。こういう曲はジャズベースかな、っていうのと…そうですね、それこそ、近いニュアンスって言うか、音色は細野さんを参考にしてるところがあるんで、僕は。
H:"Higher"はなにを使ったの?
ハマ:"Higher"は…あれもジャズベースなんですけど、あれはフロントをぜんぶ切っていて、リアだけで…
H:あ、そういうことやるんだね。
ハマ:はい。で、アンプのほうちょっと…[音が]痩せたところを足したような感じですね。
H:なるほど。アンプでやってるわけだね。
ハマ:そうですね。あれはそれで弾きましたね。星野源さんの楽曲とかはほとんどプレベ(プレシジョンベース)を弾いてます。はい。
H:あー…なんか、テレビの収録で間違えて僕、それ…あ、違うな、自分のを、似てるんで…
ハマ:そうそう(笑)初めてお会いしたときに…「おげんさん」っていう番組で初めて僕、細野さんにお会いしてるんですけど、あのときは細野さんが"恋"を演奏されて。
H:うん。難しい曲…(笑)
ハマ:(笑)そうそうそう。で、最後、エンディングでみんなが集まるっていうときに…
H:あー、そうだそうだ。うん。
ハマ:細野さんのベースと僕のベースが横並びになってて、僕のベースを細野さんが取ろうとして…(笑)
H:そうそう(笑)
ハマ:これ僕のです!って言って、生放送中に。「あ、ごめん、似てるから…」って言って…(笑)ありましたね。
H:あったあった。似てるんだよ。
ハマ:そう。サンバーストのね、楽器でしたからね。あったあった…
\おげんさん一家大集合!/
— おげんさんちのねずみ~(C・> (@nhk_ogensan) 2017年5月4日
豪華すぎる家族の記念写真をパチリ。今日はみんな、番組を見てくれてありがとう!!「とーっても楽しかった」って人はリツイートでおしえてね~ ( C・> #おげんさん #星野源 #高畑充希 #宮野真守 #藤井隆 #細野晴臣 pic.twitter.com/CLrQVdd5s5
[*↓プレベの例]
[*↓"Crazy Crazy"MVで氏が弾いてるベース、めちゃくちゃカワイイですね…]
H:へぇ、なんか…じゃあ、フェンダー以外はなにかあるわけ?
ハマ:僕は楽器、すごく好きで…
H:あー、コレクターみたいな感じ?
ハマ:ステージで使ったり、録音で使うものに関してはホントにフェンダー系と…あと、最近ヘフナー(Hofner)のヴァイオリン・ベースと…
H:あ、あれも使ってんだ。へー。
ハマ:はい。最近ライヴでも使ってて…とてもいいですね、あの楽器。
H:音が特別だね。
ハマ:特別ですね。ようやく、1966年のやつかな、を…個人的には、それこそ、細野さんが[ベースを]始められた頃の話をね、先週して頂いたときに、グヤトーン(Guyatone)とかテスコ(Teisco)のお話しされてたじゃないですか。
H:はい。
ハマ:ああいう…いわゆる、いまではビザール・ギターって呼ばれているような…
H:ビザール・ギターって言われてるんだ(笑)
ハマ:はい。最近ああいう、ちょっと形が奇妙な…要はフェンダーを模した、でも、ちょっとヘンテコじゃないですか。スペクトラム(Teisco SPECTRUM 5)とか、当時あったような。
H:うん。
ハマ:ああいうのとか、イタリアのエコー(EKO)とか…
H:あー、エコーね。おもしろいよね、エコーは。うん。
ハマ:ああいう、外国の[本国以外の]、フェンダー、ギブソン(Gibson)に手が届かないような人たちが、当時、この値段だったら買えるよね、って使ってたちょっとヘンな楽器。ああいうのにすごく惹かれまして。
H:なるほどね。
ハマ:ああいうものを見つけて、ビビッと来たら買うようにしてて。
H:音はどうなの?
ハマ:音は…ホンットおもしろいんですけど、見た目通りの音がするというか。
H:(笑)
ハマ:やっぱこう、軽い感じ、っていうんですかね。フェンダーとかギブソンより線は細いんですけど。
H:だから、音楽によっては使い勝手がいいかもね。
ハマ:そうなんですよ。特にギターは、たぶん、現代の音楽にもぜんぜん適用するんですけど…
H:そうだろうな。
ハマ:ベースはやっぱり、ピッチが合わないっていう死活問題があるので…
H:あー、そうかそうか。
ハマ:なかなか、良いものはそんなに…ですけど、でも、むりやり使っちゃえばたぶん…
H:なるほど。
ハマ:特にロック…バンド形式だと。
H:そうだよね。ガレージっぽいよね。
ハマ:そうですね。こないだ自分のライヴで…とある曲にベースソロがあるんですけど。
H:うん。
ハマ:自分の誕生日の日にライヴをやるっていうイベントがあって。せっかくなので、持ってるコレクションを10本ぐらい持って行って、その曲のベースソロを延々…下手と上手でベースを換えてやるっていうのをやりまして…(笑)
H:すげぇ…(笑)
ハマ:そのヘンな楽器をぜんぶ背負い直して…
H:それはすごいな…
ハマ:そういうときじゃないと日の目を見ないので…
H:なるほどね。
ハマ:そういうのをやりましたね、こないだ。だから、楽器は好きですね。
ハマ:でも、細野さんの…カプリ・オレンジ(Capri Orange)かな?あのオレンジ色のプレベ。
H:そういう名前があるんだ。知らないんだよね(笑)
ハマ:はい、一応、半分フェンダーの人間なので…(笑)
H:ああ、そうだよね。フェンダーのなんかやってるんだよね?
ハマ:エンドースメント契約をしてるんですけど、僕…なので、細野さんのカプリ・オレンジのプレシジョンベースとか、すごい好きです。僕。
H:僕もあれは好きだけどね。
ハマ:あれいいですね。あの色自体もすごく…もう、いまとなっては貴重なので…
H:無いのかね?いま。んー。
ハマ:80年代カラーなんですよね、たしか。
H:あー、そっかそっか。
ハマ:あれもすごい、カッコいいですね。
H:あれ気に入ってるな。うん。
ハマ:細野さんが使ってる楽器ぜんぶ好きですね。ヘフナー弾かれてることもありますもんね?
H:ヘフナーはライヴでよく、弾いてるし…もう1個、ヘンテコリンなヘフナーがあって。なんか、形がちょっと違うやつがあるの。
ハマ:へぇ。
H:それはバンド仲間の伊賀くん(伊賀航)から…預かってるのか、もらったのか、買ったのか憶えてないんだけど…(笑)
ハマ:出た、細野さんの人の縁の…(笑)
H:そうそうそう(笑)それがなかなか、良い音なんだよね。
ハマ:やっぱりヘフナーの…ホロウボディのベースって、なんであんなに特別な音するんでしょうね。
H:そう。テクノに合うんだよね。
ハマ:へぇ…僕、初めて観たYMO、ワールド・ハピネスで観たときは、細野さんずっと、ヴァイオリンベース弾かれてて。2011年かな?はい。
H:そうそう。なんで使い始めたかっていうと、軽いと思ってたフェンダーが重く感じるようになったんだよ(笑)
ハマ:あ、なるほど。ずっとね、提げてると…
H:肩凝って、背中痛くなっちゃうんだよ。
ハマ:で、軽いの無いか?って…
H:ヘフナーって空気みたいじゃん!
ハマ:そうですね、持ってない、みたいな…(笑)フェンダーに比べちゃうと、たしかに。
H:「エアベース」に近いよ(笑)
ハマ:(笑)なるほど、それが決め手なんですね。
H:最初はそれで…こんな軽いんだったら大丈夫だ、と思ってね。でも、段々、音の良さに気が付いてきてね。
ハマ:音も、たしかに、抜群の存在感ですもんね。
H:そうそう。ただ、リズム&ブルースっぽいものはなかなか難しいね、うん。
ハマ:ちょっと、こう、重心が軽くなっちゃうというか。
H:そうね。弾きにくいじゃん、だいたい。指でね。改造しないと。
ハマ:そうですね。サステインも短いですからね。[拍が]長いときはあんまり伸びてくれないっていうのはありますしね。
ハマ:細野さんが歴代の楽器を使っている[様子を]…写真で残っているものとか、映像で見ると、ホント、ポイントポイントでカッコいいなって思うんですよね。YMOのスティングレイ(Musicman Stingray)とか。
H:あー、あれはね…見せものだった(笑)
ハマ:(笑)
H:ステージでしか使ってないから…
ハマ:あ、そうなんですか。気に入ってはいらっしゃったんですか?
H:ステージ映えするんでね。うん。
ハマ:あ、そういう意味で…はいはい。
H:ヘンなベースを、いろいろね、持ってくる人がいるんだよね。
ハマ:あー、「どうぞ」って…なるほど。
H:そうそう。「使ってくれ」って。で、なんかね、ネジで留めて、スタンドに付けて、回転させるようなベースをYMOで使ったことある(笑)
ハマ:えー、それ俺、見たことないかも…あー、そうですか。
H:いいよ、見なくて、あれは(笑)恥ずかしい。
ハマ:(笑)そうですか。そう、あのスティングレイを親指弾きしてる細野さんとかを、すごい僕…中3ぐらいのときに見て。
H:そうなんだ。もう、めちゃくちゃ重いから、もう…
ハマ:重いですね。ちょうどね、"東風(TONG POO)"とか弾いてらっしゃって…
H:はいはい。
ハマ:いちばん、どうやって弾いてるか見たいところで、カメラのカットが変わるんですよね…
H:(笑)ベースって、ぜんぜんね、映してくれない…(笑)
ハマ:そうですよね(笑)耳コピしてて、そこ、さっきまでの手でどうやってこれ弾いてるんだろう?っていうタイミングでね…
H:あー、そっか。
ハマ:まさか俺、この話をご本人にする日が来るとは思わなかったですよ(笑)
H:(笑)
ハマ:そうそう…いやー、見てきてますよ、細野さんの楽器遍歴。
H:あー、見られてるんだね。んー…もう、ぜんぶ忘れたね。
ハマ:(笑)じゃあ、なんか…思い出したいとき、連絡してください(笑)
H:あ、そうだね(笑)
ハマ:代表して…
H:あれ、どうやって弾いてるの?って訊いてみるといいかもね。自分の…よくわかんないんだよね。
ハマ:じゃあ僕も必死にコピーしますよ。そこは…(笑)
H:じゃああの…すぐ30分経っちゃうんで…また、自分のベースで気に入ってるやつとか聴いてもらいたいんで…
ハマ:あ、ぜひぜひ。
H:小坂忠で…なんていうアルバムだっけな?
ハマ:『People』。
H:『People』、そう。『People』っていうアルバムがすごい好きだったんですよ。で、その中の…"I believe in you"っていう曲。実は、マッスル・ショールズ(Muscle Shoals)っていうセッショングループが大好きで。まあ、いまでは有名になってますけど。
ハマ:そうですね。映画なんかにもなって。はい。
H:当時はその…全体のサウンドが好きだったから。そういうサウンドでまとめたつもりで作ったやつなんだよ。
ハマ:なるほど。プロデュースを細野さんが…
H:プロデュースしたの、うん。
ハマ:そうですよね。このアルバムを。
H:はい。で、林くん(林立夫)がドラムスで、佐橋くん(佐橋佳幸)とか茂(鈴木茂)とかも入ってたね。うん。
ハマ:あー、佐橋さんもなんだ。
H:じゃあ最後にそれを聴きながら…あ、なんか告知があったね。
ハマ:あ、いいんですか?僕、それ、しゃべってしまって…
H:もちろん。しゃべって。
ハマ:いまバンドが…先ほど聴いて頂いた曲が入っているアルバムが今年出まして。『BOY』というアルバムが。
H:うん。そうですね。
ハマ:それのツアーをいまやっているんですけど。ツアーファイナルが6月の27日にですね、初めてバンドで…単独で日本武道館を…
H:お、すばらしい。
ハマ:はい、やるので…まあ、ツアーでも武道館でもかまいません。どっちでも、遊びに来て頂けるとうれしいな、と思っております。
H:そうですね。みなさん、ぜひ…行きましょう。
ハマ:よろしくお願いします。
H:じゃあ、最後に小坂忠の"I believe in you"で…また、会いましょう。
ハマ:はい、ありがとうございました。
(from 『People』)
"自分と似てる"
— ハマ・オカモト (@hama_okamoto) 2019年4月7日
"80年代だったら自分もこうやって弾いてたかも"
と細野さんに言って頂いた事、宝物になりました。
次お会いするときにも、おもしろがってもらえる曲を持っていけたらいいな、と思います。
2週にわたってお邪魔しました。
聞いていただいた皆様ありがとうございました!#daisyholiday
2019.03.31 Inter FM「Daisy Holiday!」より
H:こんばんは。細野晴臣です。えー、きょうはですね、1年ぶりですね。ゲストに…ハマちゃん。
ハマ:はい、OKAMOTO'Sのハマ・オカモトです。よろしくお願い致します。
H:ハマちゃんって呼んじゃったね(笑)
ハマ:いいんですよ、細野さん。
H:いいの?(笑)
ハマ:なんでも大丈夫ですよ(笑)1年ぶりなんですね。あっという間…
H:去年の3月…いまぐらいに来て頂いたんです。あっという間だね。んー。
[*daisy holiday-radio playlist: playlist - 3.25.2018]
ハマ:その後、僕が…猪野さん(INO hidefumi / 猪野秀史)と立夫さん(林立夫)と茂さん(鈴木茂)とビルボードでやったときに細野さんに来て頂いたりとか。
H:はいはい。観に行った。
ハマ:その[ライヴの]後お会いしてますから…ラジオで言うと1年前。
H:そうかそうか。んー。
ハマ:あのライヴで…"薔薇と野獣"をやったんですよ。
H:そうそうそう!それで…自分で[再構築を]やる前だったから…(笑)
ハマ:あのときって、『HOCHONO HOUSE』の制作っていうのは…
H:やってない。
ハマ:あ、やってないんですか!やってないんだ。
H:たぶん(笑)
ハマ:あ、そうですか。いや、僕そのときに、細野さんに楽屋で「いやー、完コピだったじゃない」って言われて。
H:そうなんだよ。
ハマ:とてもうれしかったですけど…そう、あれはホントに完コピをめざそう、っていうのでやってたので。めずらしく。
H:めずらしいね。あれ、人がやってるのを初めて聴いたね(笑)
ハマ:そうですよね(笑)そう、その後に『HOCHONO HOUSE』のニュースが出て…
H:はいはい。
ハマ:で、細野さんが言うには「["薔薇と野獣"を]ひさしぶりに聴いた」ってあのときおっしゃってたんですね。あの曲、ライヴで、しかも他人がやるなんて、っていまみたいにおっしゃってたんで…
H:そうそう。
ハマ:でも、なんとなく…いや、これ細野さんは『HOCHONO HOUSE』、もう制作してたんじゃないの?と思って…
H:いやいやいや(笑)
ハマ:そしたら、まさかの…それとはぜんぜん関係無いんですね(笑)
H:関係無いって言うかね(笑)うん。
ハマ:あ、もう、じゃあホントに…逆にビックリっていう感じだったんですね。
H:いや、ビックリだったよ。特に猪野くんが歌うっていうことにビックリしたね(笑)
ハマ:あー、そうですよね。あれはキーが細野さんの…『HOSONO HOUSE』に入っている、原曲キーのままやりたい、っていう…僕がワガママを言ってですね…
H:そんなこと言ってんだ(笑)
ハマ:そう。最初はやっぱり、猪野さんが「もうちょっとだけキーを変えると歌いやすい」っていうふうに…
H:そりゃそうだろう。
ハマ:そう、そらそうなんですけど…
H:言い張ったんだ(笑)
ハマ:僕が、あのベースラインをあのキーのまま弾きたい、っていうのを言いまして…
H:あー、あのキーじゃないとね。
ハマ:そう、あのキーじゃないとあの感じが出ないというか。
H:キー変えると違っちゃうんだよなぁ。わかるわ。
ハマ:そうなんですよね。なんで、すごいワガママを言ってやらして頂いたんですけど…当日に猪野さんから「きょう細野さん来られるよ」って言われて…
H:(笑)
ハマ:ま さ かご本人の前でやるとは僕思ってなかったんで…
H:お互いにね(笑)
ハマ:(笑)そう、そんなことがありました。
H:ね。
ハマ:でも、1年前…僕、このスタジオにある電球を直した記憶がすごいありまして…
H:ホントに?(笑)
ハマ:なんか、うまく光らなくて…僕がいじって光るようになった記憶がありますけど(笑)
H:すごい。救世主だ。
ハマ:よろしくお願い致します。
H:なんでも光らせるんだね。
ハマ:そんなことは…(笑)これはホント、なんかね…その記憶がありますね。
H:じゃあ、きょうはね…お互いにね、ベーシストとしての話をしようかな、と。あんまりしてないもんね。
ハマ:光栄ですね。細野さんもそんなにたくさん…ベースに焦点を当ててお話しすることも…
H:ないない。
ハマ:専門誌とかでお話しされてるのはね。それこそ「BASS MAGAZINE」とか…
H:あー、そうそう。
ハマ:はい。ああいうものでは何度か拝見してますけど、そんなにたくさんお話しされてるイメージも…
H:だって、話すことがあんまり無いんだよね。
ハマ:そんなことは…(笑)
H:よく知らないんだよね(笑)
ハマ:(笑)
ハマ:でも、そもそも…[収録が]始まる前も話題になりましたけど、元々細野さんはギターを弾かれてたじゃないですか。
H:そうそうそう。
ハマ:でも、それはきっと…世界中にいる細野さんファンからすると「文字の情報」というか。
H:うん。
ハマ:「元々ギターだった」という文字情報でしかないわけじゃないですか。もちろん、演奏は聴いたことありますけど。
H:あー、そうかそうか。
ハマ:そこから…まあ、写真に写ってたりとかされてるはっぴいえんどとかの頃って、もうベーシストじゃないですか。
H:そうそう。
ハマ:[ベーシストになる]きっかけはなんだったんですか?
H:あのね、たぶん、ベースやる人ってみんなそうなんじゃないかと思うんだけど…いや、ハマくんは違うかもしれないけど。
ハマ:はい。
H:「ベース弾く人がいないから」。
ハマ:…僕もです(笑)
H:あ、そう!じゃあおんなじだ(笑)
ハマ:おんなじですね(笑)なるほど。
H:みんなギターやりたがるじゃん(笑)
ハマ:そうですね。
H:で、中学の頃は…同級生かな?みんな集まって、ベンチャーズ(The Ventures)ブームだったんで…
ハマ:んー、はい。
H:みんなギター買うんだよ。
ハマ:うん、やりたいですよね、ベンチャ-ズ。特にブームだったら。
H:そうね。で、僕エレキギター持ってなくて。クラシックギターしか持ってなかったんで…で、誰かが「ベース持ってる友達がいるよ」って言うんで、じゃあ借りてきて、って言って…それで僕がベースをやったのが初めてだな。
ハマ:へー…あ、じゃあ、もうホントに、もう…(笑)
H:[他にやる人が]いないから(笑)
ハマ:ポジションが埋まってて、自分も持ってなくて、そしたらたまたま…でも、そういう方ホントに多いですよね。ベースって。
H:多いんじゃないかね。
ハマ:なんでなんでしょうね?
H:ポール・マッカートニー(Paul McCartney)もそうかな?(笑)
ハマ:ね。なんでなんでしょうね?僕も、うちのバンドは中学の同級生なので、いまのギター(オカモトコウキ)がもうギターで。
H:ああ、もう、最初からね。んー。
ハマ:で、いまのボーカル(オカモトショウ)は元々ドラムをやっていて…
H:あ、そうなんだ。
ハマ:で、中学2年で始めたんですけど…
H:あー、そう。早いね、でもね。
ハマ:そうですかね?思春期というか、やっぱり、歌うのが恥ずかしかったんですよね。
H:あ、ちょっと似てるね。僕もすごい恥ずかしい…いまだに恥ずかしいけど(笑)
ハマ:あ、そうですか。やっぱ、そういう気持ちがあったんですね。
H:あったあった。
ハマ:そう、それで…消去法って言ったらアレですけど、もうベースしか残ってなくて…(笑)それででしたね。はい。
H:そうだよね。
ハマ:あ、でも[細野さんも]そういうきっかけだったんですね。
H:でも、考えてみると、当時好きだった…ビートルズだってベースでしょ?ポール・マッカートニー。
ハマ:そうですね。
H:あと、ビーチ・ボーイズもブライアン・ウィルソン(Brian Wilson)が…
ハマ:ベースですね。
H:…ベースすごいんじゃない?と。
ハマ:たしかに。ベースいいんじゃないか、と。
H:そうだよ(笑)
ハマ:(笑)
H:バンドを引っ張ってくやつがベーシストなんじゃないかな、と。
ハマ:たしかに。脈々と、そういうポジションではありますよね。
H:そう。ところが女の子は、「ベースってどの音?」みたいなね。
ハマ:わかります…ホントにそれですよね…
H:(笑)
ハマ:いま「わかります」って言いながら細野さんを指さしてしまった…(笑)失礼しました。すごい反応しちゃった、いま(笑)
H:いやいや…(笑)
ハマ:いや、僕も…忘れもしない、部活の発表会みたいな。校内の。
H:はいはい。
ハマ:1年に何回かあったんですけど…同級生が観に来るわけじゃないですか。で、演奏終わった後に、「弾いてた?」って言われたんですよ、僕。
H:(笑)
ハマ:同級生の女の子に…もう、それ忘れられなくて。だから、やっぱり「聞こえてない音」というか。簡単に言うと。
H:そうだよね。なんか、聴き取りにくいんだろうね。
ハマ:聴き取りにくい音なんだろうな、っていうのがそのときハッキリわかりまして。僕は性格がひん曲がってるので、その次のライヴにですね、半音下げで演奏しまして。バンドにはたいへん迷惑を…
H:ヒドい…(笑)
ハマ:そしたら、でも、違和感を感じるじゃないですか。お客さんも。
H:そりゃそうだ(笑)
ハマ:そしたら今度、「すごい間違えてた」って言われて。終わった後(笑)
H:(笑)あんまりいい考えじゃなかったね、それは…
ハマ:そうですね(笑)14歳の若気の至りでしたけど。わからせてやろう思ったんですよ。
H:すごいな…それは考えたことなかったな。
ハマ:そういう経験があるぐらい…たしかに聞こえずらいというか、聴き取りずらいパートではありますよね。
H:まあ、特に昔はそうだったよ。「ベースってどの音?」みたいなね。んー。
ハマ:ちょっと踏み込んだ話というか、細野さんが憶えてらっしゃらなかったらアレですけど…本当に最初の頃って、何のベースだったかとかって憶えてらっしゃいます?
H:ぜんぶ借りものだから…
ハマ:あー。他人の、っていうことですよね。
H:そう。自分で買うつもりもなかったわけ。で、人が持ってたのは…当時、日本のメーカーが続々出てきた頃で、グヤトーン(Guyatone)のベースだったかな?
ハマ:あー…
H:ギターはみんなテスコ(Teisco)だったりね。そんな時代だった。
ハマ:二大メーカーですもんね。
H:そう。で、フェンダー(Fender)…に、似たようなね、タイプの。
ハマ:そうですよね。ジャズベースみたいな形の…
H:そうそうそう。
ハマ:細野さんがエルク(ELK)を持ってらっしゃるのを僕、写真で拝見したことがあるんですけど。
H:あ!あれはもう、ずいぶん後の…もうスタジオミュージシャンになってた頃に…まあ走りだったけどね。まだ若かったけど…エルクの楽器部門に勤めてたカントリーシンガーの方がいてね。斉藤さん(斉藤任弘)という方。「日本のジョニー・キャッシュ」と言われてて。低音の人。
ハマ:へぇ…
H:その人のレコーディングを手伝ったんだよ。そしたら、「いま試作機があるから使ってみないか?」って言われて…(笑)
ハマ:えー!すごい…
H:それで持ってきてくれたのがエルクの、フェンダーみたいな…
ハマ:えー!
H:これ、タダでくれるの?って思って…(笑)
ハマ:ラッキー!って…(笑)
H:で、しばらく使ってたよ。
ハマ:あ、プロトタイプだったんですね、じゃあ。もう。
H:そう、試作品だから売ってなかったんだと思うけどね。
ハマ:わー、すごい…そうなんですね。ご自身で買われた1本目とか、憶えてらっしゃいますか?
H:えーとね…最初はグヤトーン借りたり…で、大学に入ったら「ビートルズバンドにベースで入ってくれ」って言われて、それも誰かのを借りてたんだよね。
ハマ:はいはい。
H:それ…楽器のブランドは忘れちゃったな、なんだか…なんか弾いてたんだよ(笑)
ハマ:へー。
H:で、その後に…初めてプロに参加したわけ。エイプリル・フール(Apryl Fool)っていう。それはね、元々グループ・サウンズのフローラル(ザ・フローラル)っていうバンドがエイプリル・フールになって。ドラムスとベースが変わった。
ハマ:ふんふん。
H:で、元々楽器持ってるバンドだったわけ。
ハマ:そうか、なるほど。
H:それでリッケンバッカー(Rickenbacker)のベースをあてがわれたっていうかね。
ハマ:はいはい。
H:…重くて重くて(笑)
ハマ:(笑)でも、上等な楽器ですもんね。当時からすると。
H:上等、だったけど…
ハマ:でも、すごい音ですもんね。
H:そうね。なんか、でもね、やたらネックが長くて、手で押さえてないとネックが下にダラーンって下がっちゃう(笑)
ハマ:あー、重さで…へー。あ、そのときも…それも借りた?それはもう、もらった、譲り受けたんですか?
H:いやいや、バンド解散したときに返してくれって言われた…(笑)
ハマ:あー、そうなんですね。そこまでもまだ他人の…他人に借りて…
H:そう、ずっと借りてたね。
ハマ:買おう!ってなったタイミングは…
H:ある。
ハマ:どこなんですか?
H:はっぴいえんどやってるとき。うん。でね…はっぴいえんどのエンジニアやってた吉野金次さん。
ハマ:あ、吉野さん。はい。
H:「知り合いがベース売りたがってるけど、買う?」って言うんだよね。
ハマ:おお…
H:ものはなんですか?って言ったら「フェンダーだ」と。ジャズベース。1968年ぐらいの。
ハマ:はいはい…
H:それを持ってきてくれたら、すっばらしい楽器だったわけ。
ハマ:へぇ…
H:で、元々、グループ・サウンズだったサベージ(The Savage)の人が使ってたっていうわけよ。そしたら、サベージのベースって寺尾さん(寺尾聰)、だったかな…
ハマ:調べましょうか?
H:なんかね、そんなような…僕の勘違いかもしれないけど、寺尾さんが使ってた、と。思いこんでて…4,5年前かな、寺尾さんに会ったときに…
ハマ:おお…
H:寺尾さんのベース僕、使ってますよ、って言ったら、「自分はベース売ったことない」って言うんだよね(笑)
ハマ:(笑)じゃあ、なんなんでしょうね?巡り巡って…
H:わかんない(笑)
ハマ:でも、良い楽器ってことですもんね。
H:良い楽器。あのね、ピックの痕があるわけ。グループ・サウンズの人が使ってたんだね。
ハマ:あー、そうか。
H:ピックの疵がいっぱい付いてて…疵だらけなんだけど、軽くてね。カラッカラに乾いてる。いまだにそれを使ってるっていう。
ハマ:いまだにつかってらっしゃる「あの」ジャズベースですか?
H:そう!あれ。
ハマ:あ!あれですか!
H:うん。
ハマ:あ、じゃあホントにもう、そのタイミングで、ずっと…
H:そうそう。もう良い楽器に巡り合った所為なのかね。
ハマ:あ、すごい…そうなんですね。でも、それもホント、人の縁なんですね。いまのお話を聞いてると。
H:そう。ぜんぶそうね。楽器屋で買った、っていうんじゃないんだね(笑)
ハマ:へぇ…
H:もちろん、その後ずいぶん買ったけどね。
ハマ:はいはいはい、いろいろ…なるほど。いや、すごくそれを聞いてみたくて。細野さんの楽器遍歴を。
H:そっか。
ハマ:初めてお会いしたときに、フレットレスのプレべでしたっけ?
H:そうそう、プレシジョン、持ってた。
ハマ:ですよね。プレシジョンで…それがすごく良くて…
H:大好きだったんだよ。
ハマ:好きだったのに…失くなっちゃったんでしたっけ?
H:盗まれたの。
ハマ:盗まれた…もう、いちばんヒドいやつですね…
H:ヒドい。いや、自分もいけないんだよ?車に入れっぱなしだったの。
ハマ:でも、車上荒らしってことですね?じゃあ。
H:窓を割られて…
ハマ:うわー、そっか…そう、「それが忘れられないんだ」ってお話をそのときされてたので…
H:うん。
ハマ:そう、それもね、すごく気になって…なんか、録音で…あれ、ユーミンさん(荒井/松任谷由実)とかのときに弾いてたっておっしゃってましたね。
H:そう、ユーミンと、吉田美奈子の最初のソロ[『扉の冬』]はぜんぶそれ使ってたね。
ハマ:へぇ…それが、だから、ずっと離れなくて、僕も…そういう楽器もあったんだ、っていう。
H:うん。あれ、盗まれなければたぶん、いまも使ってるんだろうけど。あまりのショックでその後、フレットレスから離れちゃったね。
ハマ:なるほど…もう忘れられなくて…(笑)
H:そうそう、すごいショックだった(笑)
ハマ:(笑)
H:一応、警察に行ったんだけどね。出てこなかった。
ハマ:まあ、でも、そうですよね。いまみたいに情報もすぐ検索で出ないですしね。売られちゃってもね。
H:監視カメラもないしね、当時。
ハマ:そうですよね。なるほどな…
H:じゃあ、ハマくんの場合は…聞きたいね。
ハマ:あ、僕ですか?きっかけですか?
H:最初、中2の頃からベースやってたって言ったじゃない?それは自分で買ったわけ?
ハマ:それは…僕が中学1年の終わりに、2年からやりたいな、部活に入りたいな、と。なんでかって言うと…さっきも僕言ったんですけど、うちのギターとボーカルが、もう既に軽音楽部が中学からあったんですよ。
H:あー。
ハマ:で、最初は普通の友達だったんですけど、途中から彼らは音楽を始めて。もう、会話が音楽のことだけになるじゃないですか。楽しくてしょうがないんで。
H:そうね(笑)本っ当、音楽好きなんだね。
ハマ:ホントにもう、変わらないんですけど…なんで、僕からすると外国語みたいな。もう、一つもわからないので。
H:ああそう(笑)
ハマ:で、これは何かしら音楽始めないと、友達がいなくなると思って。このままでは。
H:あー、なるほど。
ハマ:それで始めようと思って…なんで、最初は頼みこみましたね。僕、いままで趣味だとか習い事を持続的に、とか、まったく無い子供だったので。そのとき初めて懇願して。両親に。
H:えー…
ハマ:で、もう、なんか…中学の入学祝いとナントカとナントカとぜんぶセットで、っていうことで…誕生日と、とか。みたいな感じで、入門編みたいな…シールドと小っちゃいアンプとチューナーと、ストラップと楽器がセットになってるような。
H:そんなのがあるんだね(笑)
ハマ:最近はあるんですよ。楽器屋さんで。そういうのの、当時あったようなやつの…安めの入門セットみたいなやつですね。値段はもうわからないですけど…そういう入門セットみたいなものを、初めて買い与えられましたね。
H:ほう…それは日本製の楽器っていうこと?
ハマ:フェンダー・ジャパンですね。
H:あ、フェンダーなんだね。
ハマ:フェンダーでした。フェンダーでもそういうセットがあったので…
H:へぇ、知らなかったね。
ハマ:そこが巡り合い、でしたね。
H:で、最初は…どうやって弾いたの?(笑)
ハマ:最初は…僕はなにも知らなかったので…ギターみたいなものだ、っていうぐらいの認識しかなかったんですけど…(笑)届いてみたら、まあ大きいし重いし…
H:重いよね。んー。
ハマ:弦も太いし。「♪ジャーン」のイメージだったんですけど、「ボーン」しか出ないから…(笑)
H:そらそうだ(笑)
ハマ:ホントに、そらそうなんですけど…(笑)もう、けっこう…落ち込みましたね、早々。
H:あー、そう。
ハマ:ただ、部活が…当時の邦楽?日本の音楽を…なんか、暗黙の了解で「やらない」っていう部活だったんですよ。先輩たちが60年代、70年代の、主にイギリスのロックみたいなのをやってる、けっこうオシャレな…
H:めずらしいね。
ハマ:そうなんですよ。その先輩たちのおかげでもあるんですけど…最初の課題というか。先輩たちがやってるものを僕らもやる、みたいな形だったので。
H:ほう…
ハマ:ビートルズから入ってクリーム(Cream)とかツェッペリン(Led Zeppelin)とか。
H:すげぇ。
ハマ:その辺をとにかくやる、っていう部活だったんですよね。
H:最初からやったんだ、そういうのを。それは、じゃあ、ハードル高いね。
ハマ:ハードル高いですね。でも、ハードルが高い分…いわゆる、ボンボンボン、っていうルート弾きみたいな…いまとなってはルート弾きの大切さもわかるんですけど、当時の「あ、もしかしたら俺、つまらない楽器に当たっちゃったかも」っていうその概念を…
H:(笑)
ハマ:それこそ、ポール・マッカートニーであったり、ジャック・ブルース(Jack Bruce)であったり、ジョン・ポール・ジョーンズ(John Paul Jones)であったりのプレイで、あ、ベースもなんかすごい、おもしろい…
H:よかった(笑)
ハマ:つまらない楽器じゃないんだ、っていうのを最初に気付けたので…
H:あー、そっかそっか。
ハマ:それのおかげでのめり込んでいった感じでしたね。
H:良い出会いだったね。じゃあね。
ハマ:良い出会いでしたね。それで、もしかしたら…いわゆるルート弾きをボンボンボン、ってやってるだけだったら半年もたなかったかもしれない、っていうぐらい…
H:うんうん(笑)
ハマ:はい。そんな感じでしたね。僕は。
H:そうか。でも、始めた頃は似てる年代だね。僕も中学生からやってるからね。
ハマ:そうか、そうですね。ということは、細野さんも…
H:14,15歳?
ハマ:じゃあ、中学2,3年っていうことですもんね。
H:そうそうそう。
ハマ:そうか。そういうきっかけでしたね、僕は。
H:なるほど。
H:…えー、音楽かけたいね(笑)
ハマ:(笑)ぜひぜひ…
H:自分で最近…昔こんなベース弾いてたんだ、っつって、うめぇな、とか思ったのが…
ハマ:おお…たくさんありますよ細野さん(笑)
H:いや、自分であんまり聴いてなかったっていうか。あ、こんなことやってたんだ、と思って。
ハマ:でも、ご自身で…自分で[上手いと]思うってまた違いますもんね。人から言われるそれと。「俺はこれ、自分で良くやったと思う」っていうやつ。
H:そうなんだよ。それね、誰も言ってくれないからかけちゃうけど。
ハマ:(笑)聴きたいです。
H:どっちがいいかな。最近…聴いたほうにしようか、じゃあ。幸宏(高橋幸宏)のね。『Saravah!』のリメイク版(『Sawavah Saravah!』)の"La Rosa"という曲、聴いて。ちょっと長いかな。
ハマ:はい。
La Rosa - 高橋ユキヒロ
(from 『Saravah Saravah!』)
ハマ:すごい!
H:まあ、これくらいでいいや。
ハマ:(拍手)
H:いやいやいや(笑)ちゃんとベース聴いてくれてるのがうれしいな(笑)
ハマ:カッコいい!
H:「ベースってどれ?」っていうタイプの曲だよ、これ(笑)
ハマ:あ、そうですかね?まあ、僕は、そういう意味では、職業耳みたいなのはあるかもしれない…でも、これはたぶん一般の方も聴き取れる、ちゃんと。こんなに16[ビート]で持続…できないですもん、俺。
H:あ、そうかね?(笑)
ハマ:あんな、こう…しかも、あそこに入るまでってもっと、音符の長い…
H:そう。「白丸」ってやつ。
ハマ:そうですよね。いや、ホントに細野さんのベースは…僕たぶん、以前ご一緒したときにも言ってるかもしれないですけど、音色はもちろんですけど、「音の長さ」が、もうホントにカッコよくて…
H:なるほどね。ミュートするからね。んー。
ハマ:そう、そのミュート具合が、僕なんかが真似してもこうはならない…まあ当たり前なんですけど(笑)
H:んー。
ハマ:やっぱ、細野さんのベースのミュート具合と…僕は、遊びにいってる感覚っていうのがすごいある。聴いてると。細野さんのベースって。
H:あー、そうか。
ハマ:たぶん「ルートのここにいれば、別にベースとしては成立するけど、なんかこっちに行ってみよう」とか。「あー、なんかこっちじゃなかったなぁ」みたいな瞬間があったりとか…
H:それって間違いじゃない(笑)
ハマ:でも、それすらもフレーズになってるっていうか。細野さんのベースって。
H:なるほどね。
ハマ:それをね、それがホントに…他の人、外国のミュージシャンでも、僕の中では無い感覚というか。
H:本当?それはなんか…照れくさいわ(笑)
ハマ:(笑)でも、この曲はまさしくその「細野さん節」がすごい出てる…
H:これ、当時1978年に出たアルバムで、そのまんまの演奏なんだけど、当時はこんなミックスじゃなかったんだよ。
ハマ:へー。
H:もっと小っちゃかったの、ベースが。
ハマ:あ、もうちょっと聴き取りづらい感じだったんですか。
H:だから、当時はぜんぜんわかんなかったの。
ハマ:自分でも?(笑)
H:で、再発されて。こないだね。聴いたら、あ、ちゃんと聞こえるじゃん!と思って。
ハマ:当時って、こういうレコーディングも多かったじゃないですか、きっと、細野さん。自分の作品以外の。
H:そうね、多かったよ。ベーシストだったからね。
ハマ:そうですよね。その時って、もうコード進行表っていうか、ヘッドアレンジのスタイルで…特に、たとえば事前にすごいいっぱい、ぜんぶの曲聴いて…まあ、持ってきたフレーズみたいのはあるのかもしれないですけど。
H:それはあるよ。んー。
ハマ:現場で、っていうのがやっぱり多かったんですか?
H:もう、ぜんぶ現場だよ。
ハマ:あー、やっぱ、やってみないとわかんないっていうのもありますしね。
H:だいたいテイク1,2ぐらいで…3ぐらいかな。で、完成しちゃうっていう。
ハマ:へぇ…これも、じゃあ、ホントにたぶん、そんなに何回もやったというよりは…具合を1回やって、あー、こういう感じか、っていうのを擦り合わせて。
H:そうそう。うん。
ハマ:もっかいやって…でもまあ、1個前ぐらいがいいかな、みたいな。
H:そんな感じだよ。だから…当時の音楽的な手法とか、言語とか、パターンとか。いろんな人がいろんなことやってるのを…ひとつの流行りみたいのはあるしね。
ハマ:はいはいはい。
H:そういうのをもう、毎日聴いてるわけだから、自然と入っちゃってるんだよね。
ハマ:なるほど。
H:で、いちばん好きだったのがチャック・レイニー(Chuck Rainey)っていうベーシストで。
ハマ:はい。
H:その人の感じなんだよ。そのまんまだよね。これ聴くと。んー。
ハマ:それこそ、細野さんの音楽を聴いて育ってる僕らも…インタビュー読んで、細野さんはチャック・レイニー好きだった、っていうのを聴いて、もちろん、チャック・レイニーの作品も聴くようになるんですけど。
H:うんうん。
ハマ:やっぱ、その吸収の仕方っていうか。あ、たしかに!っていうところもあれば、これはホントにもう、細野さんしかやってない、っていうところもあって。たぶんそれはご自身には「そうか」って感じかもしれないですけど…
H:わかんないね。
ハマ:そこがね、カッコいいんだよな…
H:いやー、でも、いまの音楽と違うもんね。「ロック色」が無いんだよ、僕。
ハマ:なるほど。
H:こう、「ゴインゴイン」って、すごい音出せないんだよね(笑)
ハマ:「ゴインゴイン」…(笑)そうですね、言われてみれば…はっぴいえんどもバンド形式ですし、なんならロック調の曲もありますけど、そういうサウンドではないですもんね。
H:だからね、ホンットに…根が地味なんですよね。
ハマ:(笑)それが音にも影響が出てるという…
H:うん。
ハマ:そっか。でも、とてもソウルフル…という言葉で片付けてしまうのはアレですけど…
H:まあ、ベース持つとそうなっちゃうね。リズム&ブルースになっちゃうね、どうしても。んー。
ハマ:『HOCHONO HOUSE』でも"CHOO CHOO ガタゴト"とか、ホントにこう…ウワァ、っていう…ウワー、細野さんのベースだ…っていうやつが…そういう意味では僕、ひさしぶりに録音物では聴いて。
H:そうだよね。ひさしぶりにやったような気がするね。
ハマ:そうですよね。あの…星野源さんのアルバムのインストで細野さんがエレキベース弾かれてるじゃないですか。1作前の…
H:あー、あったあった。
[*『YELLOW DANCER』収録の"Nerd Strut(Instrumental)"。]
ハマ:あれも、とても…うわー、ひさしぶり!っていう感じだったんですけど。『HOCHONO HOUSE』の…まあ、全編わたってそうなんですけど、特に"CHOO CHOO ガタゴト"はもう、本当に…あー、もう、ホント、1音目から…と思って。
H:(笑)
ハマ:あれはアンプで出したんですか?
H:いや、ライン録りだけどね。
ハマ:あ、ラインですか。へぇ…
H:昔はね、アンプ使ってたけど、いまはもう使わなくなっちゃってるね。もう、面倒くさいんで…(笑)
ハマ:(笑)でも、もう、あの音作りですからね。そこはきっと、細野さんの魔法、っていうか。趣味もあるんでしょうけど。いやー、あれはホント、感動しました。
H:ありがとうございます。よかった。
ハマ:他の曲ももちろんですけど…そうか。
H:じゃあ、OKAMOTO'S聴こうかね。
ハマ:あ、いいですか?
(D:来週に…)
H:え?来週?2本録りね(笑)
ハマ:(笑)じゃあ、来週、ぜひ、お時間あれば…
H:じゃあ、来週ね。きょうはここまでで。また来週お願いしまーす。
ハマ:はい、よろしくお願いします。