2019.04.07 Inter FM「Daisy Holiday!」より

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H:こんばんは。細野晴臣です。えー、きょうは先週に引き続いて…話の続きをしたいと思います。OKAMOTO'Sのハマ・オカモトさん。

ハマ:はい、よろしくお願いします。

H:きょうは「ハマ・オカモトさん」になっちゃった(笑)

ハマ:(笑)先週と違う呼び方…ありがとうございます。

 

H:えーと、先週の最後に話してた…じゃあ今度はOKAMOTO'Sを聴きたい、というところで終わっちゃったんだけど(笑)

ハマ:ありがとうございます。

H:僕は…ついこないだかな。ラジオでよく"Higher"っていう曲を聴いてたな。

ハマ:あー、ありがとうございます!新譜から…

H:すばらしいなと思って。

ハマ:あれは…細野さん、あの曲ってどういう印象、というか…せっかくなんでちょっとお聞きしたいんですけど。どんな感触で聴いて頂いたのかな、と。

H:音像がホント良かった。あとはやっぱり…ファンクな感じがすごい好き。

ハマ:うれしい。ありがとうございます。

H:ドライヴしてるっていうかね。んー。

ハマ:あの曲はデモが上がって…基本、デモが少し固まるとバンドでせーの、でやってみてるんですけど、いつも。

H:うんうん。

ハマ:ああいう曲なので、やっぱりベースがなにか示さないと曲にならない、というか。

H:あー、そうだよね。ベースで決まるんだよね、ああいう曲って。たしかに。

ハマ:そうなんですよ。それは丸投げ、というか…僕次第になってしまうので。

H:あー…

ハマ:なにも浮かばなくて、スタジオで寝っ転がって椅子に寄っかかりながら…みんなが休憩中に閃いて。で、あ、これがいい!って思ったんですけど…細野さんも制作の中で、経験としておありになるかちょっとわからないですけど。

H:うん。

ハマ:僕、たまにあるのが、プリプロダクションとかそういうときに弾いたフレーズが、たとえそれをまんまやろうと思って、本番のレコーディングになっても、なんかね、違う感じに…

H:あー、わかる。

ハマ:なりますよね。

H:なるなる(笑)

ハマ:だから僕…本チャンというか、聴いて頂いたのは、僕がプリプロで寝っ転がって弾いてるのをまんま使ってて。

H:あ、それはすごい…

ハマ:もう、あの…トライしたんですけど、本番で。でも、ぜんぜんダメで…(笑)

H:わかるけどね。そういうことあるよ。

ハマ:ありますか、細野さんも。

H:あるある。自分でデモ作ったりするときに、仮に弾いてるやつがいちばん良かったりするんだよね。

ハマ:なんか、なんにも考えないで弾いてるときとか。

H:そう。

ハマ:そういう瞬間のほうがおもしろかったりするなぁ、というのが…

H:あるよ。

ハマ:やっぱり僕らも10年バンドやってきてると…本番がいちばん良い、っていうことじゃないときもあるっていう。楽器単体とかで言うと特に…

H:そうそうそう(笑)そうなんだよ。

ハマ:それを[プリプロの音源を]まんま使って、おもしろいように…それで[細野さんに]音がおもしろい、と言って頂いたのもすごいうれしいんですけど、ちゃんとエンジニアさんも居つつ…あれはうちのドラム(オカモトレイジ)が自分でミックスして…

H:へー!そういうこともあるんだね。

ハマ:はい。初めてやったんですけど、ちょっとそういう、おもしろい曲を作って…聴いて頂いてありがとうございます。

 

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H:ホントは["Higher"を]かけたいんだけど、次の番組があるんで、そこでかけなきゃいけない…

ハマ:(笑)そうですね、そこでご一緒しますから…

H:この番組では違う曲をかけよう。

ハマ:ではですね…うちのバンド、最近ギター(オカモトコウキ)も歌うようになってきまして。

H:へー。

ハマ:まあ、曲作りはギターとボーカル(オカモトショウ)でやっていくんですけど、ギターが自分で書いた曲を自分で歌ったりするようになりまして。このアルバムで"偶然"という曲があるんですけど、それを…せっかくなので聴いて頂きたいな、と思います。

H:ぜひぜひ。聴きたい。

ハマ:はい。

 

 

偶然 - OKAMOTO'S

(from 『BOY』) 

 

  

H:なるほど。

(♪outro)

H:まだあった(笑)

ハマ:いいんです。

H:あの…[ハマは]自分に近いベーシストだ、って、聴いてて思うんだけど。

ハマ:ホントですか?

H:こういう風には、僕は弾けないよ(笑)

ハマ:(笑)それは、もう…そんな風に言って頂けて光栄です、ホントに。

H:いやいや、あの…意外と、リズムでベースをやる人ってそんなにいないんだよ、いま。

ハマ:あー、はいはいはい。

H:なんか、J-POPって言われてるジャンルは特にそうだよね。んー。

ハマ:そうかもしれないですね。僕もそういう…ソウルミュージックとか、そういうものがとても好きなので。

H:うんうんうん。

ハマ:こういう曲調になるとどうしても…(笑)そういうスイッチがバキッと入るんですけど。

H:これは、僕だったら80年代、やっぱりこういう風に弾いてたかもしれない。80年代っぽい音楽だと思っちゃうけどね。うん。

ハマ:はいはいはい。でも、まさしくそういうテーマで…

H:あ、やっぱりそうなんだ。

ハマ:なので、管楽器とかも後から入れて頂いて…というような曲だったんですけれども。いやー、恥ずかしいっていうか、どうしたらいいかわかんないですね、聴いてもらっている間に…(笑)ありがとうございます。

H:(笑)こうやってベースだけを聴く、っていうのはあんまりないけどね(笑)

ハマ:いやー、ホントですよね。自分の演奏をね…目の前で細野さんが目を瞑ってちゃんとヘッドフォンで聴いてくれてるっていう状況、無いですからね(笑)

H:でも、聴かないわけにもいかないし(笑)

ハマ:そうですよね(笑)鼻ほじってたりとか…(笑)それはそれですごいな、と思うけど…いやー、ありがとうございます。ちゃんと聴いて頂いて…

 

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H:いやいやいや。これは…持ってる楽器はフェンダーFender)…ジャズベース?

ハマ:これはジャズベースで弾きました。

H:あ、そう、うんうん。音がやっぱりそういう音…なんか親近感があるっていうかね(笑)自分にはね。

ハマ:あ、そうですか。こういう曲はジャズベースかな、っていうのと…そうですね、それこそ、近いニュアンスって言うか、音色は細野さんを参考にしてるところがあるんで、僕は。

H:"Higher"はなにを使ったの?

ハマ:"Higher"は…あれもジャズベースなんですけど、あれはフロントをぜんぶ切っていて、リアだけで…

H:あ、そういうことやるんだね。

ハマ:はい。で、アンプのほうちょっと…[音が]痩せたところを足したような感じですね。

H:なるほど。アンプでやってるわけだね。

ハマ:そうですね。あれはそれで弾きましたね。星野源さんの楽曲とかはほとんどプレベ(プレシジョンベース)を弾いてます。はい。

H:あー…なんか、テレビの収録で間違えて僕、それ…あ、違うな、自分のを、似てるんで…

ハマ:そうそう(笑)初めてお会いしたときに…「おげんさん」っていう番組で初めて僕、細野さんにお会いしてるんですけど、あのときは細野さんが"恋"を演奏されて。

H:うん。難しい曲…(笑)

ハマ:(笑)そうそうそう。で、最後、エンディングでみんなが集まるっていうときに…

H:あー、そうだそうだ。うん。

ハマ:細野さんのベースと僕のベースが横並びになってて、僕のベースを細野さんが取ろうとして…(笑)

H:そうそう(笑)

ハマ:これ僕のです!って言って、生放送中に。「あ、ごめん、似てるから…」って言って…(笑)ありましたね。

H:あったあった。似てるんだよ。

ハマ:そう。サンバーストのね、楽器でしたからね。あったあった…

 

 

[*↓プレベの例]

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 [*↓"Crazy Crazy"MVで氏が弾いてるベース、めちゃくちゃカワイイですね…]

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H:へぇ、なんか…じゃあ、フェンダー以外はなにかあるわけ?

ハマ:僕は楽器、すごく好きで…

H:あー、コレクターみたいな感じ?

ハマ:ステージで使ったり、録音で使うものに関してはホントにフェンダー系と…あと、最近ヘフナー(Hofner)のヴァイオリン・ベースと…

H:あ、あれも使ってんだ。へー。

ハマ:はい。最近ライヴでも使ってて…とてもいいですね、あの楽器。

H:音が特別だね。

ハマ:特別ですね。ようやく、1966年のやつかな、を…個人的には、それこそ、細野さんが[ベースを]始められた頃の話をね、先週して頂いたときに、グヤトーン(Guyatone)とかテスコ(Teisco)のお話しされてたじゃないですか。

H:はい。

ハマ:ああいう…いわゆる、いまではビザール・ギターって呼ばれているような…

H:ビザール・ギターって言われてるんだ(笑)

ハマ:はい。最近ああいう、ちょっと形が奇妙な…要はフェンダーを模した、でも、ちょっとヘンテコじゃないですか。スペクトラム(Teisco SPECTRUM 5)とか、当時あったような。

H:うん。

ハマ:ああいうのとか、イタリアのエコー(EKO)とか…

H:あー、エコーね。おもしろいよね、エコーは。うん。

ハマ:ああいう、外国の[本国以外の]、フェンダーギブソンGibson)に手が届かないような人たちが、当時、この値段だったら買えるよね、って使ってたちょっとヘンな楽器。ああいうのにすごく惹かれまして。

H:なるほどね。

ハマ:ああいうものを見つけて、ビビッと来たら買うようにしてて。

H:音はどうなの?

ハマ:音は…ホンットおもしろいんですけど、見た目通りの音がするというか。

H:(笑)

ハマ:やっぱこう、軽い感じ、っていうんですかね。フェンダーとかギブソンより線は細いんですけど。

H:だから、音楽によっては使い勝手がいいかもね。

ハマ:そうなんですよ。特にギターは、たぶん、現代の音楽にもぜんぜん適用するんですけど…

H:そうだろうな。

ハマ:ベースはやっぱり、ピッチが合わないっていう死活問題があるので…

H:あー、そうかそうか。

ハマ:なかなか、良いものはそんなに…ですけど、でも、むりやり使っちゃえばたぶん…

H:なるほど。

ハマ:特にロック…バンド形式だと。

H:そうだよね。ガレージっぽいよね。

ハマ:そうですね。こないだ自分のライヴで…とある曲にベースソロがあるんですけど。

H:うん。

ハマ:自分の誕生日の日にライヴをやるっていうイベントがあって。せっかくなので、持ってるコレクションを10本ぐらい持って行って、その曲のベースソロを延々…下手と上手でベースを換えてやるっていうのをやりまして…(笑)

H:すげぇ…(笑)

ハマ:そのヘンな楽器をぜんぶ背負い直して…

H:それはすごいな…

ハマ:そういうときじゃないと日の目を見ないので…

H:なるほどね。

ハマ:そういうのをやりましたね、こないだ。だから、楽器は好きですね。

 

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ハマ:でも、細野さんの…カプリ・オレンジ(Capri Orange)かな?あのオレンジ色のプレベ

H:そういう名前があるんだ。知らないんだよね(笑)

ハマ:はい、一応、半分フェンダーの人間なので…(笑)

H:ああ、そうだよね。フェンダーのなんかやってるんだよね?

ハマ:エンドースメント契約をしてるんですけど、僕…なので、細野さんのカプリ・オレンジのプレシジョンベースとか、すごい好きです。僕。

H:僕もあれは好きだけどね。

ハマ:あれいいですね。あの色自体もすごく…もう、いまとなっては貴重なので…

H:無いのかね?いま。んー。

ハマ:80年代カラーなんですよね、たしか。

H:あー、そっかそっか。

ハマ:あれもすごい、カッコいいですね。

H:あれ気に入ってるな。うん。

ハマ:細野さんが使ってる楽器ぜんぶ好きですね。ヘフナー弾かれてることもありますもんね?

H:ヘフナーはライヴでよく、弾いてるし…もう1個、ヘンテコリンなヘフナーがあって。なんか、形がちょっと違うやつがあるの。

ハマ:へぇ。

H:それはバンド仲間の伊賀くん(伊賀航)から…預かってるのか、もらったのか、買ったのか憶えてないんだけど…(笑)

ハマ:出た、細野さんの人の縁の…(笑)

H:そうそうそう(笑)それがなかなか、良い音なんだよね。

ハマ:やっぱりヘフナーの…ホロウボディのベースって、なんであんなに特別な音するんでしょうね。

H:そう。テクノに合うんだよね。

ハマ:へぇ…僕、初めて観たYMO、ワールド・ハピネスで観たときは、細野さんずっと、ヴァイオリンベース弾かれてて。2011年かな?はい。

H:そうそう。なんで使い始めたかっていうと、軽いと思ってたフェンダーが重く感じるようになったんだよ(笑)

ハマ:あ、なるほど。ずっとね、提げてると…

H:肩凝って、背中痛くなっちゃうんだよ。

ハマ:で、軽いの無いか?って…

H:ヘフナーって空気みたいじゃん!

ハマ:そうですね、持ってない、みたいな…(笑)フェンダーに比べちゃうと、たしかに。

H:「エアベース」に近いよ(笑)

ハマ:(笑)なるほど、それが決め手なんですね。

H:最初はそれで…こんな軽いんだったら大丈夫だ、と思ってね。でも、段々、音の良さに気が付いてきてね。

ハマ:音も、たしかに、抜群の存在感ですもんね。

H:そうそう。ただ、リズム&ブルースっぽいものはなかなか難しいね、うん。

ハマ:ちょっと、こう、重心が軽くなっちゃうというか。

H:そうね。弾きにくいじゃん、だいたい。指でね。改造しないと。

ハマ:そうですね。サステインも短いですからね。[拍が]長いときはあんまり伸びてくれないっていうのはありますしね。

 

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ハマ:細野さんが歴代の楽器を使っている[様子を]…写真で残っているものとか、映像で見ると、ホント、ポイントポイントでカッコいいなって思うんですよね。YMOのスティングレイ(Musicman Stingray)とか。

H:あー、あれはね…見せものだった(笑)

ハマ:(笑)

H:ステージでしか使ってないから…

ハマ:あ、そうなんですか。気に入ってはいらっしゃったんですか?

H:ステージ映えするんでね。うん。

ハマ:あ、そういう意味で…はいはい。

H:ヘンなベースを、いろいろね、持ってくる人がいるんだよね。

ハマ:あー、「どうぞ」って…なるほど。

H:そうそう。「使ってくれ」って。で、なんかね、ネジで留めて、スタンドに付けて、回転させるようなベースをYMOで使ったことある(笑)

ハマ:えー、それ俺、見たことないかも…あー、そうですか。

H:いいよ、見なくて、あれは(笑)恥ずかしい。

ハマ:(笑)そうですか。そう、あのスティングレイを親指弾きしてる細野さんとかを、すごい僕…中3ぐらいのときに見て。

H:そうなんだ。もう、めちゃくちゃ重いから、もう…

ハマ:重いですね。ちょうどね、"東風(TONG POO)"とか弾いてらっしゃって…

H:はいはい。

ハマ:いちばん、どうやって弾いてるか見たいところで、カメラのカットが変わるんですよね…

H:(笑)ベースって、ぜんぜんね、映してくれない…(笑)

ハマ:そうですよね(笑)耳コピしてて、そこ、さっきまでの手でどうやってこれ弾いてるんだろう?っていうタイミングでね…

H:あー、そっか。

ハマ:まさか俺、この話をご本人にする日が来るとは思わなかったですよ(笑)

H:(笑)

ハマ:そうそう…いやー、見てきてますよ、細野さんの楽器遍歴。

H:あー、見られてるんだね。んー…もう、ぜんぶ忘れたね。

ハマ:(笑)じゃあ、なんか…思い出したいとき、連絡してください(笑)

H:あ、そうだね(笑)

ハマ:代表して…

H:あれ、どうやって弾いてるの?って訊いてみるといいかもね。自分の…よくわかんないんだよね。

ハマ:じゃあ僕も必死にコピーしますよ。そこは…(笑)

 

H:じゃああの…すぐ30分経っちゃうんで…また、自分のベースで気に入ってるやつとか聴いてもらいたいんで…

ハマ:あ、ぜひぜひ。

H:小坂忠で…なんていうアルバムだっけな?

ハマ:『People』。

H:『People』、そう。『People』っていうアルバムがすごい好きだったんですよ。で、その中の…"I believe in you"っていう曲。実は、マッスル・ショールズ(Muscle Shoals)っていうセッショングループが大好きで。まあ、いまでは有名になってますけど。

ハマ:そうですね。映画なんかにもなって。はい。

H:当時はその…全体のサウンドが好きだったから。そういうサウンドでまとめたつもりで作ったやつなんだよ。

ハマ:なるほど。プロデュースを細野さんが…

H:プロデュースしたの、うん。

ハマ:そうですよね。このアルバムを。

H:はい。で、林くん(林立夫)がドラムスで、佐橋くん(佐橋佳幸)とか茂(鈴木茂)とかも入ってたね。うん。

ハマ:あー、佐橋さんもなんだ。

H:じゃあ最後にそれを聴きながら…あ、なんか告知があったね。

ハマ:あ、いいんですか?僕、それ、しゃべってしまって…

H:もちろん。しゃべって。

ハマ:いまバンドが…先ほど聴いて頂いた曲が入っているアルバムが今年出まして。『BOY』というアルバムが。

H:うん。そうですね。

ハマ:それのツアーをいまやっているんですけど。ツアーファイナルが6月の27日にですね、初めてバンドで…単独で日本武道館を…

H:お、すばらしい。

ハマ:はい、やるので…まあ、ツアーでも武道館でもかまいません。どっちでも、遊びに来て頂けるとうれしいな、と思っております。

H:そうですね。みなさん、ぜひ…行きましょう。

ハマ:よろしくお願いします。

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H:じゃあ、最後に小坂忠の"I believe in you"で…また、会いましょう。

ハマ:はい、ありがとうございました。

 

 

I believe in you - 小坂忠

(from 『People』) 

 

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