2020.09.13 Inter FM「Daisy Holiday!」より

 

 

daisy-holiday.sblo.jp

 

H:細野晴臣です。今週と来週の2週にわたっては…先日スタジオを訪れてお話ししてくれた高木完くんとのお話を編集してお送りします。

 

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H:高木くんはひさしぶりですよね。

高木:あ、高木くん…ありがとうございます(笑)おひさしぶりでございます。いつ以来だろう。WORLD HAPPINESSかなんかのイベントかな?

H:あー。そっか。うん。

高木:いや違うか。いとうせいこうフェスで勝手に…僕も出演してましたけど、細野さんが出られてるシーンを観ました(笑)

H:そっかそっか。

高木:あと…ときどきCAYにね、僕が見に行ったりとかはしてました。

H:あー、そうでしたね。そうだそうだ。最近やってないけど。

 

 

高木:というわけで、今夜は細野さんとダンスミュージックの話などを…

H:ダンスか…年寄りだからなぁ。

高木:ダンスですよ。ダンスの話などを中心に話させて頂けたらと思うんですけども。僕がですね、細野さんの演奏を…

H:うん。

高木:まずテレビで意識的に見たのは…「Soul Train」が昔、JUNの提供で日曜日の深夜にやってた。そこで…

H:見ちゃったんだね。

高木:YMOが"Tighten Up"を演奏してるのを見ましてですね。

H:そうそう(笑)

高木:で、あの前までのYMOのイメージがそこでガラッと変わった。あれっ?て。

H:テクノじゃなくなった(笑)

高木:そう!あの頃はファンキーって言い方はなかったですけど、ファンキーなロックバンドだ!と思ってビックリして。そこから急にダダダっと聴くように…まずは『増殖』から入って。なんかすいません(笑)

H:いやいや、それはいいと思うよ。そういう聴き方は(笑)

高木:いいんですかね?(笑)それで、"Tighten Up"をあのとき演奏されてたのは…なんであのときそういうチョイスがあったんですか?あちこちでお話しされてるとは思うんですけど…

H:いや、ぜんぜん話したことない(笑)

高木:あ、そうですか!じゃあ、なぜ"Tighten Up"を?

H:いやいや、なんでだろう…とにかく、ニューヨークに寄って。ツアーの間ね。「Soul Train」に出るんだぞ、と言われてビックリして。じゃあやっぱりソウルっぽいやつやらなきゃな、と。思ったんですよね。

高木:なるほど。

 

 

Tighten Up (A&M Mix) - Yellow Magic Orchestra

 

 

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H:基本的にそういうの好きだから。

高木:あー、ファンキーな?

H:うん。放っとくとそういうことやり出すから(笑)

高木:じゃああれですか?番組のリハとかでもそういう感じで、みんなで「じゃあ、これやろうか」みたいな。細野さんが弾き始めて誰かがついてくる、みたいな。

H:うんうん。わりと楽にできるというかね。

高木:おお…なんか、細野さんの昔の芸歴を読んでたら、エイプリル・フールのときに昔で言うところの「箱バン」をやられてた、というのを読んだんですけど。

H:うん。そうなんですよ。

高木:それは踊らす曲をやってたんですか?

H:うーん、踊りにくいだろうなと思うけど…当時はアート・ロックとか呼ばれてたジャンルがあって。

高木:はい。

H:ヴァニラ・ファッジ(Vanilla Fudge)とかドアーズ(The Doors)とかね。ときどきツェッペリン(Led Zeppein)もやったり。

高木:うんうん。

H:そういうのってみんな踊れないと思うんだけど、だんだん踊り出して。なんかサイケデリックな踊りやってたよ(笑)

高木:ゴーゴーみたいな?

H:みんなそれぞれ思い思いに動いてたね。んー。

高木:それ、エイプリル・フールではヴォーカルはそのとき細野さんが…?

H:いや、やってないやってない。僕はベースに徹してて。ヴォーカルは小坂忠で。

高木:あ、そっか。

H:で、ドアーズ好きがいっぱいいてね、メンバーに。キーボードのヒロ柳田がかなりドアーズっぽい人間なのね。

高木:なるほど。レイ・マンザレク(Ray Manzarek)ですか。

H:そうそう。で、僕と松本隆はその前まではずっとリズム&ブルースが好きだったから。

高木:あー!そうなんですね。

H:そうなの。モータウンとかよく聴いて、踊ってたりね。

高木:踊ってたんですね!踊ってましたね?(笑)

H:ブーガルー(Boogaloo)っていうのが流行ってね。

高木:ブーガルー!あ、なんか知ってる。リズムですね。

H:そう。その時代だけ踊ってたね。

高木:それは今で言うところのクラブというか、ディスコみたいなところですか?じゃなくて家?(笑)

H:いや、家では…(笑)あのね、いろんなクラブに…クラブとは言えないような秘密めいたところとかね。

高木:秘密…

H:え、こんなところに…大塚っていう駅のそばにあったりとか(笑)

高木:大塚って、大塚駅?(笑)

H:そうそう(笑)なんであんなところにあったのを見つけて行ったのか知らないけど。

高木:ほう。

H:とにかく音楽がよかったのね、そこは。

高木:DJ、レコードですか?

H:レコードがかかってて。別に誰もいないんだけどね(笑)

高木:誰もいない(笑)

H:自由に踊っていい、という。でもいちばん行ったのは新宿の…なんていうところだっけ?忘れちゃった。

高木:The Otherとかですか?

H:あ、The Other!

高木:ホントですか?何で知ってるの…(笑)

H:そう!毎週行ってたよ。大学の帰り。

高木:へぇ…毎週?学校の帰りというと、池袋?

H:池袋。うん。

高木:じゃあ早い時間ですね、ずいぶんね。

H:と言ってもね、別に下校のまま行ったわけじゃない。どっかでご飯食べたり、ウロウロしてから行ったと思うよ。友達たちとね。

高木:そっか。それがいわゆるディスコって言うんですかね?

H:あそこはなんて言うんだろうね。

高木:ディスコティック?

H:ディスコティックっていう概念はなかったね。

高木:あー。それもレコードなんですかね?

H:うん、レコード。ほとんどモータウンばっかり。シュプリームス(The Supremes)とかね。フォー・トップス(Four Tops)とか。当時の流行りの音楽を大音量でかけると、わりと満杯なんだよ。人がいっぱいいて。

高木:へぇ。

H:で、初代ソウル・ブラザースみたいな人がいて…(笑)

高木:あ、踊りがうまい人たちですか?

H:そうそう(笑)彼らが振付を教えるんだよ、みんなに。

高木:え、そんなのちゃんとやるんですか?(笑)やんなきゃいけないとか?

H:いや、なんかみんな率先して…ただ、みんなおんなじ振付だからちょっと不気味だよね(笑)

高木:そうですね(笑)でも、その名残は70年代の終わりぐらいまでずっと…

H:あったでしょ?

高木:『サタデー・ナイト・フィーバー』みたいな…あの映画もそうだけど(笑)みんなで鏡に向かって、指上げて。

H:そうそう、そんな感じだよ。

高木:あの感じをやられてたんですね。

H:やってたよ。

高木:同じ踊りをやってたんですか?みんなと。

H:あんまりね、参加したくなかったんで。

高木:ですよね。

H:ちょっと遠巻きに見てたけど。でも、自由になるとブーガルーを踊り出したりね。

高木:うんうん。

 

 

I Like It Like That - Pete Rodriguez 

 

 

H:えーと、ブーガルーっていうのは…何年だ?あれ。1970年前後?

高木:60年代からありますよね、きっとね。

H:うん。で、その前はだいたい白人系のダンスが流行ったわけ。トゥイスト(Twist)。

高木:あー、なるほど。

H:まぁ、トゥイストのオリジナルはチャビー・チェッカー(Chubby Checker)とかあそこら辺だけどね。

高木:ええ。

H:その後モンキー・ダンスとかね。

高木:わかります(笑)

H:振付がわりと単純で、はっきりしてて、誰でも踊れる。でもブーガルーはね、誰でも踊れるわけじゃなくて。

高木:難しいんですね。

H:黒人しか踊れない。六本木の絨毯バーによく行ってたんだよね(笑)

高木:絨毯ってでも、踊れないですよね?あ、靴じゃないのか。

H:靴脱いで、分厚い絨毯の上で踊るんだけど。

高木:家ですよね、ほとんど。

H:(笑)まぁ、それは知り合いの人がやってたんでよく行ってたの。そしたら当時は米兵が多かったんだよ。

高木:あー、六本木のほうは。

H:そうそうそう。で、黒人もいっぱいいたの。そこの場所にもいて。最初は座ってたんだけど、音楽が刺激したのかな、踊り出してね。

高木:んー。

H:それを見てたら、カッコいい!と思って。

高木:ジェームス・ブラウンJames Brown)とかもかかっちゃうくらいですかね。

H:そんなような感じだね。んー。で、僕たち数人で行ったんだけど、その踊りを教えてくれ、と。米兵たちに。

高木:どうやってやるんだ、と。

H:そう!そしたらすげぇ丁寧に教えてくれて…(笑)

高木:親切なんですね(笑)脚の動きからですか?

H:そう。脚の動きと、腰を落としたりね。上半身を動かさない感じとか。首を落とす感じとか(笑)

高木:(笑)

H:その場でマスターしたね。

高木:あ、すぐに?

H:うん。気持ちよかった。

高木:気持ちいいんですね(笑)やれる!と。

H:そうそう。で、自慢なの(笑)

高木:ああ、やれたぜ、みたいな。

H:うん。

 

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高木:その頃はもうあれですか?細野さんはもともとベースや楽器は弾いたりとか。バンドでやってたりとか。

H:うん、ときどきね、ベースを…大学の頃だったんで。クラブみたいのがあって。音楽活動のクラブね。そこに参加したり。ベースやってくれ、って言われて。ベース、弾いたことないのにね。

高木:あ、そうだったんですか。

H:大学の頃、初めて弾いて…ピックで弾いてた、最初。ポール・マッカートニーPaul McCartney)みたいに(笑)

高木:ええ。

H:ところが、色んな写真を見るとね。インプレッションズ(The Impressions)とか聴いたりするとピックじゃないな、と。

高木:うん。

H:写真を見ると指で弾いてるわけだ。フェンダーをね。これだ!と思ってピックを捨てて2フィンガーで弾き出したわけ。

高木:なるほど。じゃあその頃はステップを会得したりとかして、わりとファンキーですね。

H:ファンキー。かなりファンキー。

高木:ですね(笑)ベースで2フィンガーでボン、ボボンってやって。

H:なにしろベースを弾いてると、どうしてもそっちのほうに行っちゃう。

高木:まぁリズムですもんね。

H:フォークをやろうとか、そんな気持ちはなかったね。その前まではやってたんだけどね(笑)

高木:あ、そうなんですね。最初はギター、アコギで。

H:ギター弾いてたから。うん。

高木:最初は…ギターを弾かれてたときはなにを聴いてやろうと思ったんですか?

H:えーとね…小学校5,6年の頃にクラシックギターがあって。それをなんか弾き出して。ラジオを聴いてたから、弾けそうな曲がかかるとやってみて弾けたのが…カントリーだね(笑)

高木:んー、でもすぐ耳でコードを取ってやられてたっていうことですもんね。最初にギターを持ってすぐに。それはすごいですよね。

H:そう。最初に覚えたのはEっていうコード。指3本だけで鳴るから(笑)

高木:それからAとか。

H:そうそうそう。EとAとね。Bが難しかったけどね。

高木:あー、こっちがバレーになるから…

H:で、ラジオで聴いて、これできそう、ってなったのはEマイナーだった。ということは指2本で弾ける(笑)

高木:ですよね。僕もそれしか最初はできなかったですね。"My Sweet Lord"くらいしかやったことない…(笑)

H:やっぱり入門編の音楽っていうのはあるね。んー。ちょっと失礼…(喫煙)

高木:いえいえ…それもやっぱり細野さんは耳がすごい…すごいって言ったら失礼ですけど。まぁジョージ・マーティン(Geroge Martin)も『耳こそすべて(All You Need Is Ear)』っていう本書いてましたけど。

H:そんな本があるんだ(笑)知らなかった。

高木:耳が…なんですか、すごいって言うとアレですけど。

H:いやー、耳遠いよ、今(笑)

高木:いや、今はね。今はね、って言っちゃうとアレですけど(笑)

H:(笑)

高木:だって当時はYouTubeもなんにもないわけで。ギターの弾き方とかも…今はすごいあるじゃないですか。

H:そうだよね。みんな親切にね。

高木:ゆっくり解説してくれるから…あ、そうやって弾くんだ!みたいな。

H:視覚的にね、見えるし。

高木:チューニングもそうやって変えてるんだ、って教えてくれる。

H:そうそう。昔は、だから、ラジオ、レコードだけだね。耳だけだ、たしかに。だから自分でコードを見つけてくんだよね。

高木:うんうん。

H:そうすると自分なりの押さえ方でしかないわけだ。あとで見るとぜんぜん違ったりね、するんだけど…

高木:押さえる場所が?

H:いまだに癖でやってるね、うん。

高木:あ、そうなんですか。ベースも…ベースはその後、もうだいぶギターを弾かれてから始めて。

H:うん。そうだね。だからベースも全部、耳でしか覚えられないから。

高木:そうですよね。

H:だって、テレビもそんなのやらないしね。レコードとラジオとジュークボックスだけだよね。

高木:んー。

H:よく松本隆と…これもまた六本木なんだけど(笑)

高木:ええ。

H:ジョージ(George)という、カウンターだけのね。

高木:あ、聞いたことある。ソウル・バーみたいな。

H:そうそう。そこもやっぱり米兵ばっかり…みんなオムライス食べてたりするんだけど(笑)

高木:オムライス(笑)おいしそうですね。

H:カウンターの中にいる日本人のマダムが…ママか。アレサ・フランクリンAretha Franklin)みたいに。

高木:日本人なのに。

H:そう。髪の毛をバーッと束ねて上にまとめて。

高木:"Respect"?(笑)

H:そうそうそう(笑)カッコいいんですよね。その人の作るオムライスがすごい美味い。で、そこにジュークボックスが置いてあって、最新のリズム&ブルースがいっぱい並んでるわけ。

高木:うんうん。

H:で、松本隆とよくそこに行って、ジュークボックスで聴きながらオムライスを食べてたわけだよ。

 

 

Respect - Aretha Franklin 

 

 

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高木:そこでじゃあ、この曲カッコいいな、って何度も聴いたりとか。

H:うん。そうね。

高木:ジュークボックスってお金入れなきゃ聴けなかったですよね。今の子は知らないかもしれないけど。

H:知らないだろうね(笑)

高木:あれ、当時いくらだったんですか?10円?10円なわけないか。

H:30円ぐらいだったかな。

高木:30円か(笑)1曲聴くのに30円…

H:その後、僕は自分でジュークボックス買ったけど。

高木:あ、そうですか。

H:もう、持て余しちゃって。誰かにあげちゃった(笑)

高木:どっかに行っちゃったわけですね。

H:そうそうそう(笑)

高木:家で聴くときはそんな、貯金箱になってないんですよね。

H:いや、貯金箱かな?なんて思ってね。

高木:あ、そうですか。でもいいですよね。

H:あれ、楽しいと思うけど重いんだよ、すごく。

高木:あー…

H:とても重い。

高木:で、入れ替えなきゃいけないですもんね。

H:そう、大変。で、レコードが傷む。

高木:熱くなっちゃって?

H:なんでかわかんないけど。裸で入れとくじゃない?

高木:はいはい。

H:で、何度も聴くと擦り減っちゃうしね。

高木:んー、まぁそうですよね(笑)

H:レコードは減るんだよなぁ…

高木:傷むし。いいことないですね。

H:うん。だから、これはいいや…ってやつだけ入れて聴いてた(笑)

高木:じゃあジョージのとは違う選曲になっちゃいますね(笑)

H:うん。まぁ、商売やってたら最新のものを入れるっていうのはいい方針だと思うよ。ジョージにはホントにお世話になった。

高木:じゃあ、R&Bエイプリル・フールでは演奏してなかったって言うことですよね。

H:あんまりね。で、リズムセクションは僕と松本だから。その頃にジョージに通ってインプレッションズ聴いたりしてたんですよね。

 

 

We're Rolling On (Part 1) - The Impressions

 

 

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高木:僕が細野さんの、昔のはっぴいえんどの頃の音源とかをちゃんと聴くようになったのって…

H:うん。

高木:おそらく僕がヒップホップをやるようになって、サンプリングとかにすごいハマって、昔の旧譜とか70年代の音源をやたら聴くようになったときの流れで、日本のものも聴くようになって。

H:(笑)

高木:ちょうどCDになったりとかした…それで聴いてビックリしたのは、音質が…サンプリングで70年代のドラムのスネアとかここ抜こう、とかやってて。

H:うんうん。

高木:ファンキーな…例えばなんだろう、ヘッドハンターズ(The Headhunters)にしろなんにしろ、70年代のジャズ・ファンクとか。その音質に、細野さんやはっぴいえんどの演奏が近いっていうのにビックリしたんですよ。

H:へぇ。

高木:なんていうんだろう、70年代の日本のロックとかってわりとドシバシ…ドシバシでもないけど、リバービーというか、キラキラ?歌謡曲もですけど。

H:そうだね(笑)

高木:それが、はっぴいえんどとかってドライというか。音が近くて。

H:近いね。

高木:あれってでも、あの頃の中では異端…異端っていうか、その音質で録音されてる感じというのは[他に]いなかったですよね?

H:そうかもね。エンジニアの吉野金次さんという人がすごく、まぁ、名人ですよね。自分でも音楽作ってレコーディングしてたんで。

高木:うん。

H:この人になら任せられる、って、ぜんぶ任せちゃったんですよね。

高木:録音する際の…マイキングとか?

H:そうそう。だから…当時の、ビートルズ以降のマルチ・レコーディングの第一人者ですよね。第1世代っていうか。

高木:うんうん。

H:ビートルズはそうじゃないからね。4トラックかなんかでやってたから。

高木:そうですよね。

H:だから、オンで録っていくっていう。マイクを近づけて。ドラムにも。キックにもマイクを当てると。昔はキックには当ててなかったからね。全体を録ってたから。それはでも、今はそれも好きなんだけど(笑)

高木:あ、逆に?

H:そうそうそう(笑)マルチ時代の音はちょっと飽きちゃったかな、と。

高木:んー。ただ、あの音色というのは…レアグルーヴとかそういうのを聴くようになったときに、今の若い子たちにはそれがまた普通になったんだろうけど。

H:うんうん。

高木:90年代の頭ぐらいに…それこそ小坂忠さんのやつも含めて。

H:ああ。

高木:いろいろ聴いたらビックリして。周りでもみんな聴いてなかった人が多かったんです、それまで。僕らはどっちかって言うとブリティッシュ系ばっかり聴いてたじゃないですか。

H:うん。

高木:ロックもそっち寄りで、パンクもニューウェーブもそっちから…ブリティッシュ・ロックの流れで来てたみたいなところがあったんですけど。細野さんたちがやられてたのはどちらかというとアメリカン・ロックというか…

H:僕たちもそんなのしか聴いてないしね。日本の音楽はあんまり知らない(笑)だから聴くものが偏ってるというか…カリフォルニアのロックバンドが好きだったの、最初は。はっぴいえんどの頃は。

高木:うんうん。

H:それに近づけたくてしょうがなかったから。すごい影響されてるんだよね。んー。

高木:だからあの音なんですね、やっぱり。それが…でも、近づけたくてちゃんとなってるというのがやっぱり…

H:(笑)

高木:今聴いてもビックリしますよね。自分たちでシェアしてるところで録音してたから、時間の自由さとかがあったんですかね?

H:あー…いや、レコーディングの時間は厳しいよね。3日でアルバム1枚録ったりしてたから。

高木:あ、そんなに短かったんですか?

H:お金かかるからね。

高木:あ、そうなんですか?

H:レンタルスタジオ借りて…

高木:そうか、レコーディングに関してはスタジオをレンタルしてたんですね。

H:そうだよ!だって当時、機材は一般の人は買えないから。高くて。プロ仕様は。今とそこがぜんぜん違うね。

高木:吉野さんが持ち込みをしてたとか、そういうことではなくて?

H:それは後ほどそういうことはあったけどね。

高木:あ、じゃあ細野さんのソロアルバムの頃の話か、それは。それをゴッチャにしてた。

H:そうそうそう。それでも…吉野さんそれ、1千万円以上の値段で買ってきたからね。自費で(笑)

高木:そうか、その自費で買われたやつを細野さん家に持ってきて…

H:そうだよ、僕には買えないからね。だから、いまはぜんぜんそこが違うじゃない。自分の部屋があればそこでレコーディングできるでしょ。

高木:できるし、ヘタするとコンピューターとちょっとしたインターフェースとあれば…

H:そうそう。iPhoneだけでもできちゃうかもしれない。

高木:そこに楽器挿せばそれなりの音がするし、マイクも…とはいえ、その頃のね。ぜんぶ用意しなきゃいけない良さが…

H:まぁだから、準備して練習していかないとスタジオでゆっくりできないわけだね。

高木:んー、まぁそうですよね。そうか。じゃあ、ソロアルバムのときだったんですね、わりと…

H:そうだね。ソロアルバムから自分の部屋でやったんで…わりと自由にやってたね。

高木:その頃ですかね?吉野さんが沢田研二さんの"危険なふたり"をミックスした…

H:そうそうそう(笑)

高木:それすごい話だなぁ、と思って(笑)

H:なんか、その音楽がかかってたね、僕の部屋に。沢田研二の…ミックスしてた(笑)

高木:それすごいですよね!(笑)まさか細野さんのところで…

H:まぁね、ぜんぜん気にならなかったけど(笑)

 

 

危険なふたり - 沢田研二

 

 

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