2019.04.14 Inter FM「Daisy Holiday!」より

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H:こんばんは。細野晴臣です。今夜のDaisy Holidayは、先月26日にTower Records渋谷店で行った長門芳郎さんとのトークイベントの模様をお送りします。お楽しみください。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

長門:えー、きょうは…細野晴臣さんに来て頂きました。

H:(チェック、チェック…)

長門:もう1回、盛大な拍手。

(盛大な拍手)

H:どうもありがとう。いらっしゃい。

長門:いやー…こういうシチュエーションっていうのは初めてじゃないですか。

H:初めてだね。

長門:ですよね。付き合いは、お陰さまで…

H:ホント長いね。

長門:47年ぐらい?

H:『HOSONO HOUSE』ぐらいから…その後だね。

長門:『HOSONO HOUSE』の後ぐらい。でも、最初に会ったのは1972年ですから。

H:じゃあ、ほとんどそういう時期だね。

長門:そうですね。はっぴいえんど…僕、[出身が]長崎なんで…

H:長崎に呼ばれて…あれは、どこ?なんか、船に乗って…

長門:それはね、福岡の能古島です。

H:あ、それは能古島か。

長門:だから、長崎で1972年8月5日に、僕が主催のコンサートをやったんです。

H:そう、そうだ。

長門:そこにはっぴいえんどとか、いとうたかおとか、布谷文夫、矢野誠さん。

H:はいはい。

長門:来て頂いて…翌日かな?コンサート終わった日かな?僕の車で…

H:憶えてます。

長門はっぴいえんど、2台分乗して能古島まで行く船着き場まで僕が送ったんです。

H:あー、そっか。それで混同してるんだ。僕は。

長門:僕、免許取って3日目だったんです。

H:危ねぇ…(笑)いくつだった?

長門:22歳ですよ、僕。

H:あー、じゃあ…

長門:[細野さんは]3つ違いですから。

H:25歳ぐらいなんだね、僕は。

長門:そうですね。まあ、昔はね、みんな若かったんですけど。

H:うん。

長門:きょう、このステージ、普段はK-POPのアイドルとか、ジャニーズ系のアイドルが踊り跳ねてるんです。

H:踊ってんの?ここで。

長門:踊り跳ねてるんです。

H:僕、踊んなくていいね?

長門:いいです(笑)それで…おそらくですね、最年長出演、というか。

H:まあ、光栄です。

長門:ということで…ここ[5Fイベントスペース]はパイド・パイパー・ハウス(PIED PIPER HOUSE)じゃない。去年まで、そこの端がパイド・パイパーだったの。

H:ここだったんだね。

長門:5Fだったんです。で、今年1月に6Fに移った。

H:はい。さっき寄りました。

 

 

長門:で、きょうはなんの話をしましょうかね。

H:いやー、なんの話しようかな(笑)

長門:まあ、『HOCHONO HOUSE』発売記念なんですけど…もう、いろんなところで細野さん語ってるし、記事もいっぱい出てるし。

H:なんかね、SNSのいろんな書き込みを送ってくる人がいて、まとめてね。ぜんぶ読ませてもらってるんだけど、いっぱいあって、もう圧倒されましたけどね。

長門:追っかけきれないですよね。けっこう気になります?Twitterでなんか書かれてないか、とか…

H:あのね、エゴサーチってやらないんですけど、怖くて。すごい怖いよ。

長門:大瀧さん(大瀧詠一)はよくやってましたよね。

H:やってたね(笑)わかるわ。

長門:でも…絶賛ですよね。

H:まあなんか…貶してくれるよりうれしいよ、ぜんぜん(笑)

長門:そうですよね。それで『HOCHONO HOUSE』の云々、みなさんファンの方はもうぜんぶ読んでると思うんで。

H:うんうん。

長門:きょうは、ここだけの話、というか。

H:ここだけの話ね。

長門:「細野さんと僕」って…

H:うん。個人的な、訊きたいことはあるでしょう。

長門:そうですね。そうだな…僕、レコード屋、また始めたんです。

H:そりゃ知ってるよ(笑)

長門:(笑)

H:だから、パイド・パイパー・ハウスが[南青山の]骨董通りにあったでしょ?あの頃がすごく懐かしいんだよなぁ。

長門:そうですね。1975年オープンで…まあ、元々僕はスタッフだったんですけど、1977年まで細野さんと事務所やってて。

H:そうなんですよ。ちょうど『TROPICAL DANDY』と『泰安洋行』の頃…

長門:「トロピカル三部作」の頃。

H:「三部作」の頃ね、やってくれたんです。

長門:まあ、そういうこともあって、僕はパイド・パイパー・ハウスの店頭に立つようになったんですよ。

H:その後…誰が作ったの?パイド・パイパー。

長門:岩永さん(岩永正敏)という…

H:岩永さんね。

長門:立教の後輩ですよね。

H:そうですね。

長門:彼が初代社長で、僕が2代目になって…いや、こんな話でいいのかな?

H:いいんじゃない?

長門:あっという間に時間が経ちますよ。それで…1989年に閉めちゃうんですよね。

H:1989年まで続いたわけね。んー。

 

長門:で、その間、細野さんとはピチカート・ファイヴの仕事とかね。させて頂いて。

H:そうね。僕は知らなかったんだけど、僕の父親が[パイド・パイパー・ハウスに]買いに行ったっていう話を…

長門:そうですよ。1975年か76年?ある夜…細野さんのお父上がふら~っと店に入ってきてね…なんて言ったかはっきりは憶えてないんですけどね、「細野です」って言ったのかもしれない。

H:ホント?(笑)まあ、そらそうだろうな、おんなじ名字だもん。

長門:(笑)で、「『TROPICAL DANDY』くれ」と。

H:ホントに?聴きたかったのかな。

長門:3枚買いましたからね。だから、お友達にあげたのかも。会社の人とかね。

H:会社の同僚に武部さん(武部聡志)、アレンジャーのね。そのお父さんがいたの。

長門:え!あ、ホントですか!

H:たぶん、僕の父親の上役だったんで、武部くんと会うと[彼は]僕を見下ろすんだよ(笑)

長門:(笑)ホントですか、初めて聞きました。それで、3枚買ってって…「よろしく」とか言ったかもしれません。

H:(笑)

長門:ただ、はっきり憶えてるのはね、アルコール入ってました。

H:だろうね。

長門:ちょっと赤かった、顔が。

H:勇気を出して行ったんだと思う。だって普段はね、ぜんぜんコミュニケーション無いから。どう思ってるのかも知らないし。

長門:うんうん。

H:YMOの頃はさすがにね、応援してくれてはいたの。でも『TROPICAL DANDY』とか、あの頃はね、まったく断絶してた。

長門:ホントですか。だから、気になってたんでしょうね。

H:だからね、ビックリした。その話を聞いて。

長門:で、駅前のレコード屋さんじゃなくてわざわざ…あんな不便なところまで。

H:なんでパイド・パイパー・ハウスを知ってたのかね?

長門:ですよね。誰かに聞いたのかな…それはよく憶えてます。

H:じゃあ、対応してくれたんだ。

長門:もちろん、僕が…

H:ああそう。

 

長門:あとは…あの頃、パイド・パイパーの喫茶スペースがあってね。

H:あったね。

長門:丸い、大きな切株があって。そこのところに細野さんが座ってりとか。

H:時々行ってましたよ。ええ。

長門:そこに坂本くん(坂本龍一)が来たりとか。あの頃、坂本くんは発売日に…気になるんでしょうね。来たことありますよ。

H:あ、そう?

長門:「売れてる?」みたいな(笑)

H:ホント?(笑)

長門:あとはター坊(大貫妙子)とかね。山下くん(山下達郎)とか。あとはライダース(ムーンライダース)の連中はしょっちゅう来てて。

H:あー。

長門ドクター・ジョン(Dr. John)も来ましたね。

H:来た?へぇ。うれしい。

 

 

CHATTANOOGA CHOO CHOO - 細野晴臣

(from 『TROPICAL DANDY』) 

 

  

H:それで、『泰安洋行』ができた後に…たぶん、そのカセットかなんかをリヴォン・ヘルム(Levon Helm)に渡したの?

長門:いや、最初僕が[渡したのは]ジョン・セバスチャン(John Sebastian)です。

H:あ、ジョン・セバスチャンに渡したんだ。

長門ジョン・セバスチャンに「三部作」の最初の2枚を…だから、『泰安洋行』は1976年に渡したんです。

H:『泰安洋行』のアルバムが出回っちゃったんだよな、それで。

長門:うん。セバスチャンが気に入ったでしょ。で、彼は地元ウッドストックでラジオ番組を持ってて、そこでね、細野さんのレコードをかけたんです。

H:かけたんだ。

長門:そしたらリヴォン・ヘルムだとか、みんな…

H:聴いてたのかな?

長門:そう、ファンになって…

H:(笑)

長門:あとは…マリア・マルダー(Maria Muldaur)にも僕はあげたんですよ。あとはジェフ・マルダー(Geoff Muldaur)とかね。日本に来たときに…「釣りに行く」って言うんでね。エイモス・ギャレット(Amos Garrett)とジェフ・マルダーが。

H:はいはい。

長門:そこに行く途中の車の中で「これをかけてくれ」って言って、細野さんの曲の中から僕が選曲したカセットを桑本くん(桑本正士)に渡したんですよ。カメラマンのね、亡くなった桑本さんに。

H:うん。

長門:渡したその車中で、2人が聴いたわけですよ。

H:あ、そうなんだ。それは知らなかった。

長門:それで、「Harry Hosonoか」、みたいな。一目おかれた、というかね。

H:その後ね、ジェフ・マルダーとマリア・マルダーが来て、青山のCAYで1回やったんだよね。そのとき僕、なぜか知らないが、ビル・ワイマン(Bill Wyman)を連れて、1Fのカフェで座って観てたの(笑)で、みんなビル・ワイマンのこと見ないんだよ。

長門:知らない、わかんないんですよ。

H:ここにビル・ワイマンがいるよー!って言っても、誰も興味を示してくれないの。

長門:影が薄いんです。影が薄くて…あの頃から、名刺に「ビル・ワイマンローリング・ストーンズ)」って書いてる(笑)いや、これは噂ね。僕は見てない。

H:(笑)

[*↓気づいてた人。]

hicksville-web.com

 

長門:で、ビル・ワイマンは[細野さんについて]誰から聞いたかというと、マリア・マルダーから。

H:そうかそうか。で、ビル・ワイマンが「世話しろ」って言うんで、ストーンズが来たときに。楽屋まで行って…清志郎忌野清志郎)とね、楽屋に行ったっていう話はよくしてるんだけど。

長門:はい。

H:その後…翌日かな。代官山に「サージェント・ペパーズ」っていう焼肉屋があったわけ。

長門:すごいですね(笑)

H:で、僕はなんにも考えずにそこに連れてっちゃったわけ。

長門ストーンズなのに…(笑)

H:そしたら、すごい気にしてて(笑)「なんでここにしたんだ?」とか言われて…(笑)

長門:新宿に「ローリング・ストーン」とかありましたよね。

H:あ、そうなんだ(笑)そっち行けばよかった。

 

 

 

 

H:その次の日かな、CAYにジェフ・マルダーとマリア・マルダー来るよ、と。そしたら「行こう」って言うんだよね。「[彼らは]友達だ」と。

長門:あー。

H:で、翌日行って。終わった後、控室に行って。ビル・ワイマンとね。そしたらビル・ワイマンが椅子に座って僕が立ってたら、向こうのほうからマリア・マルダーが駆けて来たの。

長門:(笑)

H:ダァーって駆けてきてハグするんだよ。

長門:細野さんを?

H:そうそう(笑)「アンタがRoochoo Gumbo Manね!」って言われたんだよ。

長門:(笑)そうなんですよ、一時期ジェフ・マルダーが"Roochoo Gumbo"を向こうでレコーディングする、っていう話もあったんですよね。

H:なんかね、麻田浩さんから英語の訳を頼まれて。書いたんだけど、訳がひどかったらしくて、その後立ち消えになったっていう(笑)

長門:そうそう、エリック・クラプトンEric Clapton)はビル・ワイマンから[細野さんのことを]教えてもらったみたいですね。

H:エリック・クラプトンまでいったんだ。それは知らない、初めて聞いた。

長門:だから、クラプトンが日本に…80年代かな、来たときに、レコード屋で細野さんのレコードを探してたっていう…

H:ホントに?(笑)

長門:未確認情報ですけど…(笑)だから、けっこうそういう風に広がった感じはありますね。

H:だから、ぜんぶの元は長門くん…(笑)

長門:「日本にHarry Hosonoあり」っていうね。

H:まあ、一部でね。ウッドストック辺りでは。

 

 

Roochoo Gumbo - 細野晴臣

(from 『泰安洋行』) 

 

  

長門:最近またすごいじゃないですか。世界各国で。

H:これは、なんだかわかんないんだけど…

長門:これはね…まあソフィア・コッポラ(Sofia Coppola)の映画(『Lost In Translation』)もありますし。

H:あれはあれでね、アメリカ行ったときに若者が…(客席を見ながら)大体こういう世代の…若いかな?(笑)若者が来て歌ってくれるんだよね、"風をあつめて"。街の中でね。ストリートでね。

長門:や、でもね。僕、連日パイドの店頭にいて、海外のお客さんたくさん来るんですよ。

H:いまも?

長門:いまも来ます。それで、はっぴいえんどを買いますよね。『風街ろまん』。それから『泰安洋行』。細野さんを探しに来るんです。外国の人が。

H:ホント?

長門:ジェイソン・フォークナー(Jason Falkner)って知ってます?いまはベック(Beck)のバックとかやってます。彼もね、来ましたね。2年ぐらい前に。

H:ああそう。

長門:ちょうど『泰安洋行』の発売日、40何周年のときにね。『泰安洋行』買って、『風街ろまん』も買っていきましたよ。

H:ホントに。

長門:あとね、いろんな国の人…ヨーロッパから、南米から、「Hosonoあるか?」と。

H:ホント?(笑)

長門:いや、ホントですよ。ベックも2回ぐらい来ましたかね。

H:あ、そうなの。それは初めて聞いた。

長門:とにかくね、細野さんでしょ?あとね、佐藤博さんの『awakening』。

H:あー、はいはい。

長門:これもよくね、売れますね。海外の人に。あと山下くんの『FOR YOU』とかね。

H:なるほどね。

長門:なんか、「シティ・ポップある?」みたいな感じ。

H:シティ・ポップね。だから、最近のそういう…だんだんわかってきたけど、やっぱり、この時代ならではだね。

長門:うん。

H:昔は考えられないよ。その時代の空気があるから…だいたい、インターネットが無いからね。

長門:でもおもしろいのが…細野さんのトロピカル時代?「三部作」の時代。その前の『HOSONO HOUSE』。それから、アンビエント時代。YMO。この辺、いろんなファンがいるんですよね。

H:だろうね(笑)みんな若いよね。

長門:若いです。海外の人も、日本のミュージシャンの人も、普通の方も、求めてきますね。70年代の音楽。

H:うんうん。

 

長門:そういえば細野さん、昔レコード店の店長やってましたね。

H:いや、知らない、そんなの(笑)

長門:テンガロンハットかぶって…

H:それ『ノルウェイの森』じゃない(笑)観てないんだよ。

長門:あ、観てないんですか?

H:自分の映画観てない。『居酒屋兆次』、こないだ初めて観た(笑)

長門:ウソ?(笑)え、DVDとかで…

H:DVD、一応持ってるんだけど…なかなか観ないね。

長門:『ノルウェイの森』も観なかったんですか。

H:なんか、スローモーションでしょ?すごいそれがイヤで。

長門:いやいや…でも、あれって…テンガロンハットかぶったレコード店の店長もめずらしいんですけど、[お店の]壁に、ね。

H:そう。

長門ローラ・ニーロLaura Nyro)からツェッペリンLed Zeppelin)…

H:エイプリル・フール(Apryl Fool)もあったでしょ。

長門エイプリル・フール、帯付きでありましたね。

H:あれは監督(トラン・アン・ユン, Trần Anh Hùng)がね…マレーシアの人かな?やけに詳しいんでね。

[*ベトナムの方です。]

長門:うん。

H:だから、僕も呼ばれたし、幸宏(高橋幸宏)も出てるんですよね。

長門:出てましたね。

H:なんでそんなに詳しいのかは知らないよ。

長門:でも一応、時代考証的には合ってるんですよね、エイプリル・フールで。はっぴいえんどは無かったような気がするな。えー、ぜひ観てください。細野さんのレコード店店長(笑)

 

www.youtube.com

 

 

Like A Family - 細野晴臣

(from 『万引き家族「オリジナル・サウンドトラック」』) 

 

  

長門:最初に言うべきでしたね、日本アカデミー賞。最優秀音楽賞。

(拍手)

H:ありがとうございます。

長門:それから…アジア・フィルムアワード(Asian Film Award)、最優秀音楽賞。

(拍手)

H:あ、どうも…(笑)あれはビックリした。いや、どっちも準備してなかったんだけど、スピーチとか。突然言われたんで、咄嗟に英語でしゃべっちゃったんだよね。めちゃくちゃ。

長門:え、それはアジア…香港かなんかで?

H:そう、香港で。

長門:あー、ホントですか。

H:なんかもう…で、その前にね、プレゼンターやったんですけど。キム・ジェジュン(Kim Jae Joong)っていう、韓国ポップのアイドルっていうか…よくわかんないんだよ。

長門:あー。

H:で、原稿渡されて、日本語書いてあって、それを読んだんだよ。で、紹介したの。そしたらそれが話題になっちゃってて。「よくやってくれた!」みたいな。

長門:写真は見ました。

H:ジェジュンファンがね、喜んでるっていうか。

 

 

長門:あとあれですよね、日本アカデミー…慶一(鈴木慶一)から受け取るっていうのが、なんか…

H:もう、それがね…楽しかったね。

長門:ね。あれはなんか、感慨深いですよね。たぶん、お互いにね。慶一もそうだし。

H:そうそうそう。だから…あれを貰ったら来年、渡さなきゃいけないんだよ。立場として。

長門:次、誰だろう?

H:慶一だったりするとおもしろいなぁ、と思って(笑)

長門:あー、またね。

H:ずーっと同じことをやり取りして…(笑)

長門:いいっすね、それ。

H:いいでしょ?

長門:坂本だったりして。

H:まあ、それでもいいよ。渡したくない人もいるけどね。

長門:(笑)

 

 

長門:あ、来月あれですね。N.Y.とL.A.で…

H:(ため息)…気が重いんですよ。

長門:僕ね、L.A.の会場は知らないんですけど、N.Y.のグラマシー劇場(Gramercy Theatre)。あそこ、いいですよ。渋いですよ。

H:外見だけ見たんだけど、よかったですね。

長門:1930年代に、元々映画館として…

H:映画館っぽかったね。ああいう小屋が東京にあればいいんだけどね。

長門:で、昨日ね、座席数を調べたのね。499席。なんで500にしなかったのかな。

H:(笑)

長門:そこ、2回満杯でしょ?

H:そう。2日やります。

長門:グラマシー・パーク、朝、散歩行くといいですよ。

H:あ、ホント?

長門ジョン・セバスチャン、観にくるかもしれない。

H:来るかな?んー。

長門:来たらゲストに入れてもらえますかね?(笑)

H:いや、もちろん出てほしいけどね。紹介はもちろんしたいし。

長門:昔、YMOでアーヴィング・プラザ(Irving Plaza)でやったことあると思うんですけど。

H:…どこだっけな?

長門:N.Y.の。

H:うん。やったっけ?

長門:そこにもジョン・セバスチャン、行ったみたいですね。

H:え、それは会ってないかな…

長門:そのとき会ってないですかね?あと、ドクター・ジョンがL.A.の、最初のYMOのツアー…中華レストランみたいなところで…

H:ああ、はい。

長門:あのときも、ドクター・ジョンは行ってたみたいですね。

H:来てたみたいね。会ったかな?

長門:あの前に僕、ドクター・ジョンに「トロピカル三部作」渡してたから、彼は細野さんを観に行ったら、ピアノかなんかでセッションできるんじゃないか、と。

H:おお?

長門:そういうつもりで行ったみたいですよ。そしたら、テクノだった。

H:(笑)かわいそうに…

長門:いやいや…途中で帰ったかもしれないですね。

H:まあね…先生だよ、僕にとっては。ドクター・ジョン

長門:それから、ヴァン・ダイク・パークスVan Dyke Parks)ね。

H:L.A.はヴァン・ダイク・パークス、来るよ。

長門:あー、行くでしょうね。

H:こわいよー。

長門:そうね…

H:先生たち、来ちゃうよ。

長門:いやいや…でも、楽しみですね。

H:どうしたらいいか、今度相談させて。

長門:ヴァン・ダイクはね…曲者ですからね。

H:ね。曲者…

 

長門:えー、ということでね。そろそろ時間なんですけど…最年長トークゲストの、細野晴臣さん。

H:はい。どうもありがとうございました、わざわざ。

(拍手)

長門:はい。それから最年長…レコード屋店長。長門でした。

(拍手)

 

 

 

ろっか・ばい・まい・べいびい - 細野晴臣

(from 『HOSONO HOUSE』) 

2019.04.07 Inter FM「Daisy Holiday!」より

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H:こんばんは。細野晴臣です。えー、きょうは先週に引き続いて…話の続きをしたいと思います。OKAMOTO'Sのハマ・オカモトさん。

ハマ:はい、よろしくお願いします。

H:きょうは「ハマ・オカモトさん」になっちゃった(笑)

ハマ:(笑)先週と違う呼び方…ありがとうございます。

 

H:えーと、先週の最後に話してた…じゃあ今度はOKAMOTO'Sを聴きたい、というところで終わっちゃったんだけど(笑)

ハマ:ありがとうございます。

H:僕は…ついこないだかな。ラジオでよく"Higher"っていう曲を聴いてたな。

ハマ:あー、ありがとうございます!新譜から…

H:すばらしいなと思って。

ハマ:あれは…細野さん、あの曲ってどういう印象、というか…せっかくなんでちょっとお聞きしたいんですけど。どんな感触で聴いて頂いたのかな、と。

H:音像がホント良かった。あとはやっぱり…ファンクな感じがすごい好き。

ハマ:うれしい。ありがとうございます。

H:ドライヴしてるっていうかね。んー。

ハマ:あの曲はデモが上がって…基本、デモが少し固まるとバンドでせーの、でやってみてるんですけど、いつも。

H:うんうん。

ハマ:ああいう曲なので、やっぱりベースがなにか示さないと曲にならない、というか。

H:あー、そうだよね。ベースで決まるんだよね、ああいう曲って。たしかに。

ハマ:そうなんですよ。それは丸投げ、というか…僕次第になってしまうので。

H:あー…

ハマ:なにも浮かばなくて、スタジオで寝っ転がって椅子に寄っかかりながら…みんなが休憩中に閃いて。で、あ、これがいい!って思ったんですけど…細野さんも制作の中で、経験としておありになるかちょっとわからないですけど。

H:うん。

ハマ:僕、たまにあるのが、プリプロダクションとかそういうときに弾いたフレーズが、たとえそれをまんまやろうと思って、本番のレコーディングになっても、なんかね、違う感じに…

H:あー、わかる。

ハマ:なりますよね。

H:なるなる(笑)

ハマ:だから僕…本チャンというか、聴いて頂いたのは、僕がプリプロで寝っ転がって弾いてるのをまんま使ってて。

H:あ、それはすごい…

ハマ:もう、あの…トライしたんですけど、本番で。でも、ぜんぜんダメで…(笑)

H:わかるけどね。そういうことあるよ。

ハマ:ありますか、細野さんも。

H:あるある。自分でデモ作ったりするときに、仮に弾いてるやつがいちばん良かったりするんだよね。

ハマ:なんか、なんにも考えないで弾いてるときとか。

H:そう。

ハマ:そういう瞬間のほうがおもしろかったりするなぁ、というのが…

H:あるよ。

ハマ:やっぱり僕らも10年バンドやってきてると…本番がいちばん良い、っていうことじゃないときもあるっていう。楽器単体とかで言うと特に…

H:そうそうそう(笑)そうなんだよ。

ハマ:それを[プリプロの音源を]まんま使って、おもしろいように…それで[細野さんに]音がおもしろい、と言って頂いたのもすごいうれしいんですけど、ちゃんとエンジニアさんも居つつ…あれはうちのドラム(オカモトレイジ)が自分でミックスして…

H:へー!そういうこともあるんだね。

ハマ:はい。初めてやったんですけど、ちょっとそういう、おもしろい曲を作って…聴いて頂いてありがとうございます。

 

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H:ホントは["Higher"を]かけたいんだけど、次の番組があるんで、そこでかけなきゃいけない…

ハマ:(笑)そうですね、そこでご一緒しますから…

H:この番組では違う曲をかけよう。

ハマ:ではですね…うちのバンド、最近ギター(オカモトコウキ)も歌うようになってきまして。

H:へー。

ハマ:まあ、曲作りはギターとボーカル(オカモトショウ)でやっていくんですけど、ギターが自分で書いた曲を自分で歌ったりするようになりまして。このアルバムで"偶然"という曲があるんですけど、それを…せっかくなので聴いて頂きたいな、と思います。

H:ぜひぜひ。聴きたい。

ハマ:はい。

 

 

偶然 - OKAMOTO'S

(from 『BOY』) 

 

  

H:なるほど。

(♪outro)

H:まだあった(笑)

ハマ:いいんです。

H:あの…[ハマは]自分に近いベーシストだ、って、聴いてて思うんだけど。

ハマ:ホントですか?

H:こういう風には、僕は弾けないよ(笑)

ハマ:(笑)それは、もう…そんな風に言って頂けて光栄です、ホントに。

H:いやいや、あの…意外と、リズムでベースをやる人ってそんなにいないんだよ、いま。

ハマ:あー、はいはいはい。

H:なんか、J-POPって言われてるジャンルは特にそうだよね。んー。

ハマ:そうかもしれないですね。僕もそういう…ソウルミュージックとか、そういうものがとても好きなので。

H:うんうんうん。

ハマ:こういう曲調になるとどうしても…(笑)そういうスイッチがバキッと入るんですけど。

H:これは、僕だったら80年代、やっぱりこういう風に弾いてたかもしれない。80年代っぽい音楽だと思っちゃうけどね。うん。

ハマ:はいはいはい。でも、まさしくそういうテーマで…

H:あ、やっぱりそうなんだ。

ハマ:なので、管楽器とかも後から入れて頂いて…というような曲だったんですけれども。いやー、恥ずかしいっていうか、どうしたらいいかわかんないですね、聴いてもらっている間に…(笑)ありがとうございます。

H:(笑)こうやってベースだけを聴く、っていうのはあんまりないけどね(笑)

ハマ:いやー、ホントですよね。自分の演奏をね…目の前で細野さんが目を瞑ってちゃんとヘッドフォンで聴いてくれてるっていう状況、無いですからね(笑)

H:でも、聴かないわけにもいかないし(笑)

ハマ:そうですよね(笑)鼻ほじってたりとか…(笑)それはそれですごいな、と思うけど…いやー、ありがとうございます。ちゃんと聴いて頂いて…

 

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H:いやいやいや。これは…持ってる楽器はフェンダーFender)…ジャズベース?

ハマ:これはジャズベースで弾きました。

H:あ、そう、うんうん。音がやっぱりそういう音…なんか親近感があるっていうかね(笑)自分にはね。

ハマ:あ、そうですか。こういう曲はジャズベースかな、っていうのと…そうですね、それこそ、近いニュアンスって言うか、音色は細野さんを参考にしてるところがあるんで、僕は。

H:"Higher"はなにを使ったの?

ハマ:"Higher"は…あれもジャズベースなんですけど、あれはフロントをぜんぶ切っていて、リアだけで…

H:あ、そういうことやるんだね。

ハマ:はい。で、アンプのほうちょっと…[音が]痩せたところを足したような感じですね。

H:なるほど。アンプでやってるわけだね。

ハマ:そうですね。あれはそれで弾きましたね。星野源さんの楽曲とかはほとんどプレベ(プレシジョンベース)を弾いてます。はい。

H:あー…なんか、テレビの収録で間違えて僕、それ…あ、違うな、自分のを、似てるんで…

ハマ:そうそう(笑)初めてお会いしたときに…「おげんさん」っていう番組で初めて僕、細野さんにお会いしてるんですけど、あのときは細野さんが"恋"を演奏されて。

H:うん。難しい曲…(笑)

ハマ:(笑)そうそうそう。で、最後、エンディングでみんなが集まるっていうときに…

H:あー、そうだそうだ。うん。

ハマ:細野さんのベースと僕のベースが横並びになってて、僕のベースを細野さんが取ろうとして…(笑)

H:そうそう(笑)

ハマ:これ僕のです!って言って、生放送中に。「あ、ごめん、似てるから…」って言って…(笑)ありましたね。

H:あったあった。似てるんだよ。

ハマ:そう。サンバーストのね、楽器でしたからね。あったあった…

 

 

[*↓プレベの例]

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 [*↓"Crazy Crazy"MVで氏が弾いてるベース、めちゃくちゃカワイイですね…]

www.youtube.com

 

H:へぇ、なんか…じゃあ、フェンダー以外はなにかあるわけ?

ハマ:僕は楽器、すごく好きで…

H:あー、コレクターみたいな感じ?

ハマ:ステージで使ったり、録音で使うものに関してはホントにフェンダー系と…あと、最近ヘフナー(Hofner)のヴァイオリン・ベースと…

H:あ、あれも使ってんだ。へー。

ハマ:はい。最近ライヴでも使ってて…とてもいいですね、あの楽器。

H:音が特別だね。

ハマ:特別ですね。ようやく、1966年のやつかな、を…個人的には、それこそ、細野さんが[ベースを]始められた頃の話をね、先週して頂いたときに、グヤトーン(Guyatone)とかテスコ(Teisco)のお話しされてたじゃないですか。

H:はい。

ハマ:ああいう…いわゆる、いまではビザール・ギターって呼ばれているような…

H:ビザール・ギターって言われてるんだ(笑)

ハマ:はい。最近ああいう、ちょっと形が奇妙な…要はフェンダーを模した、でも、ちょっとヘンテコじゃないですか。スペクトラム(Teisco SPECTRUM 5)とか、当時あったような。

H:うん。

ハマ:ああいうのとか、イタリアのエコー(EKO)とか…

H:あー、エコーね。おもしろいよね、エコーは。うん。

ハマ:ああいう、外国の[本国以外の]、フェンダーギブソンGibson)に手が届かないような人たちが、当時、この値段だったら買えるよね、って使ってたちょっとヘンな楽器。ああいうのにすごく惹かれまして。

H:なるほどね。

ハマ:ああいうものを見つけて、ビビッと来たら買うようにしてて。

H:音はどうなの?

ハマ:音は…ホンットおもしろいんですけど、見た目通りの音がするというか。

H:(笑)

ハマ:やっぱこう、軽い感じ、っていうんですかね。フェンダーとかギブソンより線は細いんですけど。

H:だから、音楽によっては使い勝手がいいかもね。

ハマ:そうなんですよ。特にギターは、たぶん、現代の音楽にもぜんぜん適用するんですけど…

H:そうだろうな。

ハマ:ベースはやっぱり、ピッチが合わないっていう死活問題があるので…

H:あー、そうかそうか。

ハマ:なかなか、良いものはそんなに…ですけど、でも、むりやり使っちゃえばたぶん…

H:なるほど。

ハマ:特にロック…バンド形式だと。

H:そうだよね。ガレージっぽいよね。

ハマ:そうですね。こないだ自分のライヴで…とある曲にベースソロがあるんですけど。

H:うん。

ハマ:自分の誕生日の日にライヴをやるっていうイベントがあって。せっかくなので、持ってるコレクションを10本ぐらい持って行って、その曲のベースソロを延々…下手と上手でベースを換えてやるっていうのをやりまして…(笑)

H:すげぇ…(笑)

ハマ:そのヘンな楽器をぜんぶ背負い直して…

H:それはすごいな…

ハマ:そういうときじゃないと日の目を見ないので…

H:なるほどね。

ハマ:そういうのをやりましたね、こないだ。だから、楽器は好きですね。

 

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ハマ:でも、細野さんの…カプリ・オレンジ(Capri Orange)かな?あのオレンジ色のプレベ

H:そういう名前があるんだ。知らないんだよね(笑)

ハマ:はい、一応、半分フェンダーの人間なので…(笑)

H:ああ、そうだよね。フェンダーのなんかやってるんだよね?

ハマ:エンドースメント契約をしてるんですけど、僕…なので、細野さんのカプリ・オレンジのプレシジョンベースとか、すごい好きです。僕。

H:僕もあれは好きだけどね。

ハマ:あれいいですね。あの色自体もすごく…もう、いまとなっては貴重なので…

H:無いのかね?いま。んー。

ハマ:80年代カラーなんですよね、たしか。

H:あー、そっかそっか。

ハマ:あれもすごい、カッコいいですね。

H:あれ気に入ってるな。うん。

ハマ:細野さんが使ってる楽器ぜんぶ好きですね。ヘフナー弾かれてることもありますもんね?

H:ヘフナーはライヴでよく、弾いてるし…もう1個、ヘンテコリンなヘフナーがあって。なんか、形がちょっと違うやつがあるの。

ハマ:へぇ。

H:それはバンド仲間の伊賀くん(伊賀航)から…預かってるのか、もらったのか、買ったのか憶えてないんだけど…(笑)

ハマ:出た、細野さんの人の縁の…(笑)

H:そうそうそう(笑)それがなかなか、良い音なんだよね。

ハマ:やっぱりヘフナーの…ホロウボディのベースって、なんであんなに特別な音するんでしょうね。

H:そう。テクノに合うんだよね。

ハマ:へぇ…僕、初めて観たYMO、ワールド・ハピネスで観たときは、細野さんずっと、ヴァイオリンベース弾かれてて。2011年かな?はい。

H:そうそう。なんで使い始めたかっていうと、軽いと思ってたフェンダーが重く感じるようになったんだよ(笑)

ハマ:あ、なるほど。ずっとね、提げてると…

H:肩凝って、背中痛くなっちゃうんだよ。

ハマ:で、軽いの無いか?って…

H:ヘフナーって空気みたいじゃん!

ハマ:そうですね、持ってない、みたいな…(笑)フェンダーに比べちゃうと、たしかに。

H:「エアベース」に近いよ(笑)

ハマ:(笑)なるほど、それが決め手なんですね。

H:最初はそれで…こんな軽いんだったら大丈夫だ、と思ってね。でも、段々、音の良さに気が付いてきてね。

ハマ:音も、たしかに、抜群の存在感ですもんね。

H:そうそう。ただ、リズム&ブルースっぽいものはなかなか難しいね、うん。

ハマ:ちょっと、こう、重心が軽くなっちゃうというか。

H:そうね。弾きにくいじゃん、だいたい。指でね。改造しないと。

ハマ:そうですね。サステインも短いですからね。[拍が]長いときはあんまり伸びてくれないっていうのはありますしね。

 

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ハマ:細野さんが歴代の楽器を使っている[様子を]…写真で残っているものとか、映像で見ると、ホント、ポイントポイントでカッコいいなって思うんですよね。YMOのスティングレイ(Musicman Stingray)とか。

H:あー、あれはね…見せものだった(笑)

ハマ:(笑)

H:ステージでしか使ってないから…

ハマ:あ、そうなんですか。気に入ってはいらっしゃったんですか?

H:ステージ映えするんでね。うん。

ハマ:あ、そういう意味で…はいはい。

H:ヘンなベースを、いろいろね、持ってくる人がいるんだよね。

ハマ:あー、「どうぞ」って…なるほど。

H:そうそう。「使ってくれ」って。で、なんかね、ネジで留めて、スタンドに付けて、回転させるようなベースをYMOで使ったことある(笑)

ハマ:えー、それ俺、見たことないかも…あー、そうですか。

H:いいよ、見なくて、あれは(笑)恥ずかしい。

ハマ:(笑)そうですか。そう、あのスティングレイを親指弾きしてる細野さんとかを、すごい僕…中3ぐらいのときに見て。

H:そうなんだ。もう、めちゃくちゃ重いから、もう…

ハマ:重いですね。ちょうどね、"東風(TONG POO)"とか弾いてらっしゃって…

H:はいはい。

ハマ:いちばん、どうやって弾いてるか見たいところで、カメラのカットが変わるんですよね…

H:(笑)ベースって、ぜんぜんね、映してくれない…(笑)

ハマ:そうですよね(笑)耳コピしてて、そこ、さっきまでの手でどうやってこれ弾いてるんだろう?っていうタイミングでね…

H:あー、そっか。

ハマ:まさか俺、この話をご本人にする日が来るとは思わなかったですよ(笑)

H:(笑)

ハマ:そうそう…いやー、見てきてますよ、細野さんの楽器遍歴。

H:あー、見られてるんだね。んー…もう、ぜんぶ忘れたね。

ハマ:(笑)じゃあ、なんか…思い出したいとき、連絡してください(笑)

H:あ、そうだね(笑)

ハマ:代表して…

H:あれ、どうやって弾いてるの?って訊いてみるといいかもね。自分の…よくわかんないんだよね。

ハマ:じゃあ僕も必死にコピーしますよ。そこは…(笑)

 

H:じゃああの…すぐ30分経っちゃうんで…また、自分のベースで気に入ってるやつとか聴いてもらいたいんで…

ハマ:あ、ぜひぜひ。

H:小坂忠で…なんていうアルバムだっけな?

ハマ:『People』。

H:『People』、そう。『People』っていうアルバムがすごい好きだったんですよ。で、その中の…"I believe in you"っていう曲。実は、マッスル・ショールズ(Muscle Shoals)っていうセッショングループが大好きで。まあ、いまでは有名になってますけど。

ハマ:そうですね。映画なんかにもなって。はい。

H:当時はその…全体のサウンドが好きだったから。そういうサウンドでまとめたつもりで作ったやつなんだよ。

ハマ:なるほど。プロデュースを細野さんが…

H:プロデュースしたの、うん。

ハマ:そうですよね。このアルバムを。

H:はい。で、林くん(林立夫)がドラムスで、佐橋くん(佐橋佳幸)とか茂(鈴木茂)とかも入ってたね。うん。

ハマ:あー、佐橋さんもなんだ。

H:じゃあ最後にそれを聴きながら…あ、なんか告知があったね。

ハマ:あ、いいんですか?僕、それ、しゃべってしまって…

H:もちろん。しゃべって。

ハマ:いまバンドが…先ほど聴いて頂いた曲が入っているアルバムが今年出まして。『BOY』というアルバムが。

H:うん。そうですね。

ハマ:それのツアーをいまやっているんですけど。ツアーファイナルが6月の27日にですね、初めてバンドで…単独で日本武道館を…

H:お、すばらしい。

ハマ:はい、やるので…まあ、ツアーでも武道館でもかまいません。どっちでも、遊びに来て頂けるとうれしいな、と思っております。

H:そうですね。みなさん、ぜひ…行きましょう。

ハマ:よろしくお願いします。

www.okamotos.net

 

H:じゃあ、最後に小坂忠の"I believe in you"で…また、会いましょう。

ハマ:はい、ありがとうございました。

 

 

I believe in you - 小坂忠

(from 『People』) 

 

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2019.03.31 Inter FM「Daisy Holiday!」より

 

daisy-holiday.sblo.jp

 

H:こんばんは。細野晴臣です。えー、きょうはですね、1年ぶりですね。ゲストに…ハマちゃん。

ハマ:はい、OKAMOTO'Sのハマ・オカモトです。よろしくお願い致します。

H:ハマちゃんって呼んじゃったね(笑)

ハマ:いいんですよ、細野さん。

H:いいの?(笑)

ハマ:なんでも大丈夫ですよ(笑)1年ぶりなんですね。あっという間…

H:去年の3月…いまぐらいに来て頂いたんです。あっという間だね。んー。

[*daisy holiday-radio playlist: playlist - 3.25.2018]

 

ハマ:その後、僕が…猪野さん(INO hidefumi / 猪野秀史)と立夫さん(林立夫)と茂さん(鈴木茂)とビルボードでやったときに細野さんに来て頂いたりとか。

H:はいはい。観に行った。

ハマ:その[ライヴの]後お会いしてますから…ラジオで言うと1年前。

H:そうかそうか。んー。

ハマ:あのライヴで…"薔薇と野獣"をやったんですよ。

H:そうそうそう!それで…自分で[再構築を]やる前だったから…(笑)

ハマ:あのときって、『HOCHONO HOUSE』の制作っていうのは…

H:やってない。

ハマ:あ、やってないんですか!やってないんだ。

H:たぶん(笑)

ハマ:あ、そうですか。いや、僕そのときに、細野さんに楽屋で「いやー、完コピだったじゃない」って言われて。

H:そうなんだよ。

ハマ:とてもうれしかったですけど…そう、あれはホントに完コピをめざそう、っていうのでやってたので。めずらしく。

H:めずらしいね。あれ、人がやってるのを初めて聴いたね(笑)

ハマ:そうですよね(笑)そう、その後に『HOCHONO HOUSE』のニュースが出て…

H:はいはい。

ハマ:で、細野さんが言うには「["薔薇と野獣"を]ひさしぶりに聴いた」ってあのときおっしゃってたんですね。あの曲、ライヴで、しかも他人がやるなんて、っていまみたいにおっしゃってたんで…

H:そうそう。

ハマ:でも、なんとなく…いや、これ細野さんは『HOCHONO HOUSE』、もう制作してたんじゃないの?と思って…

H:いやいやいや(笑)

ハマ:そしたら、まさかの…それとはぜんぜん関係無いんですね(笑)

H:関係無いって言うかね(笑)うん。

ハマ:あ、もう、じゃあホントに…逆にビックリっていう感じだったんですね。

H:いや、ビックリだったよ。特に猪野くんが歌うっていうことにビックリしたね(笑)

ハマ:あー、そうですよね。あれはキーが細野さんの…『HOSONO HOUSE』に入っている、原曲キーのままやりたい、っていう…僕がワガママを言ってですね…

H:そんなこと言ってんだ(笑)

ハマ:そう。最初はやっぱり、猪野さんが「もうちょっとだけキーを変えると歌いやすい」っていうふうに…

H:そりゃそうだろう。

ハマ:そう、そらそうなんですけど…

H:言い張ったんだ(笑)

ハマ:僕が、あのベースラインをあのキーのまま弾きたい、っていうのを言いまして…

H:あー、あのキーじゃないとね。

ハマ:そう、あのキーじゃないとあの感じが出ないというか。

H:キー変えると違っちゃうんだよなぁ。わかるわ。

ハマ:そうなんですよね。なんで、すごいワガママを言ってやらして頂いたんですけど…当日に猪野さんから「きょう細野さん来られるよ」って言われて…

H:(笑)

ハマ:ま さ かご本人の前でやるとは僕思ってなかったんで…

H:お互いにね(笑)

ハマ:(笑)そう、そんなことがありました。

H:ね。

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ハマ:でも、1年前…僕、このスタジオにある電球を直した記憶がすごいありまして…

H:ホントに?(笑)

ハマ:なんか、うまく光らなくて…僕がいじって光るようになった記憶がありますけど(笑)

H:すごい。救世主だ。

ハマ:よろしくお願い致します。

H:なんでも光らせるんだね。

ハマ:そんなことは…(笑)これはホント、なんかね…その記憶がありますね。

 

H:じゃあ、きょうはね…お互いにね、ベーシストとしての話をしようかな、と。あんまりしてないもんね。

ハマ:光栄ですね。細野さんもそんなにたくさん…ベースに焦点を当ててお話しすることも…

H:ないない。

ハマ:専門誌とかでお話しされてるのはね。それこそ「BASS MAGAZINE」とか…

H:あー、そうそう。

ハマ:はい。ああいうものでは何度か拝見してますけど、そんなにたくさんお話しされてるイメージも…

H:だって、話すことがあんまり無いんだよね。

ハマ:そんなことは…(笑)

H:よく知らないんだよね(笑)

ハマ:(笑)

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ハマ:でも、そもそも…[収録が]始まる前も話題になりましたけど、元々細野さんはギターを弾かれてたじゃないですか。

H:そうそうそう。

ハマ:でも、それはきっと…世界中にいる細野さんファンからすると「文字の情報」というか。

H:うん。

ハマ:「元々ギターだった」という文字情報でしかないわけじゃないですか。もちろん、演奏は聴いたことありますけど。

H:あー、そうかそうか。

ハマ:そこから…まあ、写真に写ってたりとかされてるはっぴいえんどとかの頃って、もうベーシストじゃないですか。

H:そうそう。

ハマ:[ベーシストになる]きっかけはなんだったんですか?

H:あのね、たぶん、ベースやる人ってみんなそうなんじゃないかと思うんだけど…いや、ハマくんは違うかもしれないけど。

ハマ:はい。

H:「ベース弾く人がいないから」。

ハマ:…僕もです(笑)

H:あ、そう!じゃあおんなじだ(笑)

ハマ:おんなじですね(笑)なるほど。

H:みんなギターやりたがるじゃん(笑)

ハマ:そうですね。

H:で、中学の頃は…同級生かな?みんな集まって、ベンチャーズThe Ventures)ブームだったんで…

ハマ:んー、はい。

H:みんなギター買うんだよ。

ハマ:うん、やりたいですよね、ベンチャ-ズ。特にブームだったら。

H:そうね。で、僕エレキギター持ってなくて。クラシックギターしか持ってなかったんで…で、誰かが「ベース持ってる友達がいるよ」って言うんで、じゃあ借りてきて、って言って…それで僕がベースをやったのが初めてだな。

ハマ:へー…あ、じゃあ、もうホントに、もう…(笑)

H:[他にやる人が]いないから(笑)

ハマ:ポジションが埋まってて、自分も持ってなくて、そしたらたまたま…でも、そういう方ホントに多いですよね。ベースって。

H:多いんじゃないかね。

ハマ:なんでなんでしょうね?

H:ポール・マッカートニーPaul McCartney)もそうかな?(笑)

ハマ:ね。なんでなんでしょうね?僕も、うちのバンドは中学の同級生なので、いまのギター(オカモトコウキ)がもうギターで。

H:ああ、もう、最初からね。んー。

ハマ:で、いまのボーカル(オカモトショウ)は元々ドラムをやっていて…

H:あ、そうなんだ。

ハマ:で、中学2年で始めたんですけど…

H:あー、そう。早いね、でもね。

ハマ:そうですかね?思春期というか、やっぱり、歌うのが恥ずかしかったんですよね。

H:あ、ちょっと似てるね。僕もすごい恥ずかしい…いまだに恥ずかしいけど(笑)

ハマ:あ、そうですか。やっぱ、そういう気持ちがあったんですね。

H:あったあった。

ハマ:そう、それで…消去法って言ったらアレですけど、もうベースしか残ってなくて…(笑)それででしたね。はい。

H:そうだよね。

ハマ:あ、でも[細野さんも]そういうきっかけだったんですね。

H:でも、考えてみると、当時好きだった…ビートルズだってベースでしょ?ポール・マッカートニー

ハマ:そうですね。

H:あと、ビーチ・ボーイズブライアン・ウィルソンBrian Wilson)が…

ハマ:ベースですね。

H:…ベースすごいんじゃない?と。

ハマ:たしかに。ベースいいんじゃないか、と。

H:そうだよ(笑)

ハマ:(笑)

H:バンドを引っ張ってくやつがベーシストなんじゃないかな、と。

ハマ:たしかに。脈々と、そういうポジションではありますよね。

H:そう。ところが女の子は、「ベースってどの音?」みたいなね。

ハマ:わかります…ホントにそれですよね…

H:(笑)

ハマ:いま「わかります」って言いながら細野さんを指さしてしまった…(笑)失礼しました。すごい反応しちゃった、いま(笑)

H:いやいや…(笑)

ハマ:いや、僕も…忘れもしない、部活の発表会みたいな。校内の。

H:はいはい。

ハマ:1年に何回かあったんですけど…同級生が観に来るわけじゃないですか。で、演奏終わった後に、「弾いてた?」って言われたんですよ、僕。

H:(笑)

ハマ:同級生の女の子に…もう、それ忘れられなくて。だから、やっぱり「聞こえてない音」というか。簡単に言うと。

H:そうだよね。なんか、聴き取りにくいんだろうね。

ハマ:聴き取りにくい音なんだろうな、っていうのがそのときハッキリわかりまして。僕は性格がひん曲がってるので、その次のライヴにですね、半音下げで演奏しまして。バンドにはたいへん迷惑を…

H:ヒドい…(笑)

ハマ:そしたら、でも、違和感を感じるじゃないですか。お客さんも。

H:そりゃそうだ(笑)

ハマ:そしたら今度、「すごい間違えてた」って言われて。終わった後(笑)

H:(笑)あんまりいい考えじゃなかったね、それは…

ハマ:そうですね(笑)14歳の若気の至りでしたけど。わからせてやろう思ったんですよ。

H:すごいな…それは考えたことなかったな。

ハマ:そういう経験があるぐらい…たしかに聞こえずらいというか、聴き取りずらいパートではありますよね。

H:まあ、特に昔はそうだったよ。「ベースってどの音?」みたいなね。んー。

 

ハマ:ちょっと踏み込んだ話というか、細野さんが憶えてらっしゃらなかったらアレですけど…本当に最初の頃って、何のベースだったかとかって憶えてらっしゃいます?

H:ぜんぶ借りものだから…

ハマ:あー。他人の、っていうことですよね。

H:そう。自分で買うつもりもなかったわけ。で、人が持ってたのは…当時、日本のメーカーが続々出てきた頃で、グヤトーン(Guyatone)のベースだったかな?

ハマ:あー…

H:ギターはみんなテスコ(Teisco)だったりね。そんな時代だった。

ハマ:二大メーカーですもんね。

H:そう。で、フェンダーFender)…に、似たようなね、タイプの。

ハマ:そうですよね。ジャズベースみたいな形の…

H:そうそうそう。

ハマ:細野さんがエルク(ELK)を持ってらっしゃるのを僕、写真で拝見したことがあるんですけど。

H:あ!あれはもう、ずいぶん後の…もうスタジオミュージシャンになってた頃に…まあ走りだったけどね。まだ若かったけど…エルクの楽器部門に勤めてたカントリーシンガーの方がいてね。斉藤さん(斉藤任弘)という方。「日本のジョニー・キャッシュ」と言われてて。低音の人。

ハマ:へぇ…

H:その人のレコーディングを手伝ったんだよ。そしたら、「いま試作機があるから使ってみないか?」って言われて…(笑)

ハマ:えー!すごい…

H:それで持ってきてくれたのがエルクの、フェンダーみたいな…

ハマ:えー!

H:これ、タダでくれるの?って思って…(笑)

ハマ:ラッキー!って…(笑)

H:で、しばらく使ってたよ。

ハマ:あ、プロトタイプだったんですね、じゃあ。もう。

H:そう、試作品だから売ってなかったんだと思うけどね。

ハマ:わー、すごい…そうなんですね。ご自身で買われた1本目とか、憶えてらっしゃいますか?

H:えーとね…最初はグヤトーン借りたり…で、大学に入ったら「ビートルズバンドにベースで入ってくれ」って言われて、それも誰かのを借りてたんだよね。

ハマ:はいはい。

H:それ…楽器のブランドは忘れちゃったな、なんだか…なんか弾いてたんだよ(笑)

ハマ:へー。

H:で、その後に…初めてプロに参加したわけ。エイプリル・フール(Apryl Fool)っていう。それはね、元々グループ・サウンズのフローラル(ザ・フローラル)っていうバンドがエイプリル・フールになって。ドラムスとベースが変わった。

ハマ:ふんふん。

H:で、元々楽器持ってるバンドだったわけ。

ハマ:そうか、なるほど。

H:それでリッケンバッカーRickenbacker)のベースをあてがわれたっていうかね。

ハマ:はいはい。

H:…重くて重くて(笑)

ハマ:(笑)でも、上等な楽器ですもんね。当時からすると。

H:上等、だったけど…

ハマ:でも、すごい音ですもんね。

H:そうね。なんか、でもね、やたらネックが長くて、手で押さえてないとネックが下にダラーンって下がっちゃう(笑)

ハマ:あー、重さで…へー。あ、そのときも…それも借りた?それはもう、もらった、譲り受けたんですか?

H:いやいや、バンド解散したときに返してくれって言われた…(笑)

ハマ:あー、そうなんですね。そこまでもまだ他人の…他人に借りて…

H:そう、ずっと借りてたね。

ハマ:買おう!ってなったタイミングは…

H:ある。

ハマ:どこなんですか?

H:はっぴいえんどやってるとき。うん。でね…はっぴいえんどのエンジニアやってた吉野金次さん。

ハマ:あ、吉野さん。はい。

H:「知り合いがベース売りたがってるけど、買う?」って言うんだよね。

ハマ:おお…

H:ものはなんですか?って言ったら「フェンダーだ」と。ジャズベース。1968年ぐらいの。

ハマ:はいはい…

H:それを持ってきてくれたら、すっばらしい楽器だったわけ。

ハマ:へぇ…

H:で、元々、グループ・サウンズだったサベージ(The Savage)の人が使ってたっていうわけよ。そしたら、サベージのベースって寺尾さん(寺尾聰)、だったかな…

ハマ:調べましょうか?

H:なんかね、そんなような…僕の勘違いかもしれないけど、寺尾さんが使ってた、と。思いこんでて…4,5年前かな、寺尾さんに会ったときに…

ハマ:おお…

H:寺尾さんのベース僕、使ってますよ、って言ったら、「自分はベース売ったことない」って言うんだよね(笑)

ハマ:(笑)じゃあ、なんなんでしょうね?巡り巡って…

H:わかんない(笑)

ハマ:でも、良い楽器ってことですもんね。

H:良い楽器。あのね、ピックの痕があるわけ。グループ・サウンズの人が使ってたんだね。

ハマ:あー、そうか。

H:ピックの疵がいっぱい付いてて…疵だらけなんだけど、軽くてね。カラッカラに乾いてる。いまだにそれを使ってるっていう。

ハマ:いまだにつかってらっしゃる「あの」ジャズベースですか?

H:そう!あれ。

ハマ:あ!あれですか!

H:うん。

ハマ:あ、じゃあホントにもう、そのタイミングで、ずっと…

H:そうそう。もう良い楽器に巡り合った所為なのかね。

ハマ:あ、すごい…そうなんですね。でも、それもホント、人の縁なんですね。いまのお話を聞いてると。

H:そう。ぜんぶそうね。楽器屋で買った、っていうんじゃないんだね(笑)

ハマ:へぇ…

H:もちろん、その後ずいぶん買ったけどね。

ハマ:はいはいはい、いろいろ…なるほど。いや、すごくそれを聞いてみたくて。細野さんの楽器遍歴を。

H:そっか。

 

ハマ:初めてお会いしたときに、フレットレスのプレべでしたっけ?

H:そうそう、プレシジョン、持ってた。

ハマ:ですよね。プレシジョンで…それがすごく良くて…

H:大好きだったんだよ。

ハマ:好きだったのに…失くなっちゃったんでしたっけ?

H:盗まれたの。

ハマ:盗まれた…もう、いちばんヒドいやつですね…

H:ヒドい。いや、自分もいけないんだよ?車に入れっぱなしだったの。

ハマ:でも、車上荒らしってことですね?じゃあ。

H:窓を割られて…

ハマ:うわー、そっか…そう、「それが忘れられないんだ」ってお話をそのときされてたので…

H:うん。

ハマ:そう、それもね、すごく気になって…なんか、録音で…あれ、ユーミンさん(荒井/松任谷由実)とかのときに弾いてたっておっしゃってましたね。

H:そう、ユーミンと、吉田美奈子の最初のソロ[『扉の冬』]はぜんぶそれ使ってたね。

ハマ:へぇ…それが、だから、ずっと離れなくて、僕も…そういう楽器もあったんだ、っていう。

H:うん。あれ、盗まれなければたぶん、いまも使ってるんだろうけど。あまりのショックでその後、フレットレスから離れちゃったね。

ハマ:なるほど…もう忘れられなくて…(笑)

H:そうそう、すごいショックだった(笑)

ハマ:(笑)

H:一応、警察に行ったんだけどね。出てこなかった。

ハマ:まあ、でも、そうですよね。いまみたいに情報もすぐ検索で出ないですしね。売られちゃってもね。

H:監視カメラもないしね、当時。

ハマ:そうですよね。なるほどな…

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H:じゃあ、ハマくんの場合は…聞きたいね。

ハマ:あ、僕ですか?きっかけですか?

H:最初、中2の頃からベースやってたって言ったじゃない?それは自分で買ったわけ?

ハマ:それは…僕が中学1年の終わりに、2年からやりたいな、部活に入りたいな、と。なんでかって言うと…さっきも僕言ったんですけど、うちのギターとボーカルが、もう既に軽音楽部が中学からあったんですよ。

H:あー。

ハマ:で、最初は普通の友達だったんですけど、途中から彼らは音楽を始めて。もう、会話が音楽のことだけになるじゃないですか。楽しくてしょうがないんで。

H:そうね(笑)本っ当、音楽好きなんだね。

ハマ:ホントにもう、変わらないんですけど…なんで、僕からすると外国語みたいな。もう、一つもわからないので。

H:ああそう(笑)

ハマ:で、これは何かしら音楽始めないと、友達がいなくなると思って。このままでは。

H:あー、なるほど。

ハマ:それで始めようと思って…なんで、最初は頼みこみましたね。僕、いままで趣味だとか習い事を持続的に、とか、まったく無い子供だったので。そのとき初めて懇願して。両親に。

H:えー…

ハマ:で、もう、なんか…中学の入学祝いとナントカとナントカとぜんぶセットで、っていうことで…誕生日と、とか。みたいな感じで、入門編みたいな…シールドと小っちゃいアンプとチューナーと、ストラップと楽器がセットになってるような。

H:そんなのがあるんだね(笑)

ハマ:最近はあるんですよ。楽器屋さんで。そういうのの、当時あったようなやつの…安めの入門セットみたいなやつですね。値段はもうわからないですけど…そういう入門セットみたいなものを、初めて買い与えられましたね。

H:ほう…それは日本製の楽器っていうこと?

ハマ:フェンダー・ジャパンですね。

H:あ、フェンダーなんだね。

ハマ:フェンダーでした。フェンダーでもそういうセットがあったので…

H:へぇ、知らなかったね。

ハマ:そこが巡り合い、でしたね。

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H:で、最初は…どうやって弾いたの?(笑)

ハマ:最初は…僕はなにも知らなかったので…ギターみたいなものだ、っていうぐらいの認識しかなかったんですけど…(笑)届いてみたら、まあ大きいし重いし…

H:重いよね。んー。

ハマ:弦も太いし。「♪ジャーン」のイメージだったんですけど、「ボーン」しか出ないから…(笑)

H:そらそうだ(笑)

ハマ:ホントに、そらそうなんですけど…(笑)もう、けっこう…落ち込みましたね、早々。

H:あー、そう。

ハマ:ただ、部活が…当時の邦楽?日本の音楽を…なんか、暗黙の了解で「やらない」っていう部活だったんですよ。先輩たちが60年代、70年代の、主にイギリスのロックみたいなのをやってる、けっこうオシャレな…

H:めずらしいね。

ハマ:そうなんですよ。その先輩たちのおかげでもあるんですけど…最初の課題というか。先輩たちがやってるものを僕らもやる、みたいな形だったので。

H:ほう…

ハマ:ビートルズから入ってクリーム(Cream)とかツェッペリンLed Zeppelin)とか。

H:すげぇ。

ハマ:その辺をとにかくやる、っていう部活だったんですよね。

H:最初からやったんだ、そういうのを。それは、じゃあ、ハードル高いね。

ハマ:ハードル高いですね。でも、ハードルが高い分…いわゆる、ボンボンボン、っていうルート弾きみたいな…いまとなってはルート弾きの大切さもわかるんですけど、当時の「あ、もしかしたら俺、つまらない楽器に当たっちゃったかも」っていうその概念を…

H:(笑)

ハマ:それこそ、ポール・マッカートニーであったり、ジャック・ブルースJack Bruce)であったり、ジョン・ポール・ジョーンズ(John Paul Jones)であったりのプレイで、あ、ベースもなんかすごい、おもしろい…

H:よかった(笑)

ハマ:つまらない楽器じゃないんだ、っていうのを最初に気付けたので…

H:あー、そっかそっか。

ハマ:それのおかげでのめり込んでいった感じでしたね。

H:良い出会いだったね。じゃあね。

ハマ:良い出会いでしたね。それで、もしかしたら…いわゆるルート弾きをボンボンボン、ってやってるだけだったら半年もたなかったかもしれない、っていうぐらい…

H:うんうん(笑)

ハマ:はい。そんな感じでしたね。僕は。

H:そうか。でも、始めた頃は似てる年代だね。僕も中学生からやってるからね。

ハマ:そうか、そうですね。ということは、細野さんも…

H:14,15歳?

ハマ:じゃあ、中学2,3年っていうことですもんね。

H:そうそうそう。

ハマ:そうか。そういうきっかけでしたね、僕は。

H:なるほど。

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H:…えー、音楽かけたいね(笑)

ハマ:(笑)ぜひぜひ…

H:自分で最近…昔こんなベース弾いてたんだ、っつって、うめぇな、とか思ったのが…

ハマ:おお…たくさんありますよ細野さん(笑)

H:いや、自分であんまり聴いてなかったっていうか。あ、こんなことやってたんだ、と思って。

ハマ:でも、ご自身で…自分で[上手いと]思うってまた違いますもんね。人から言われるそれと。「俺はこれ、自分で良くやったと思う」っていうやつ。

H:そうなんだよ。それね、誰も言ってくれないからかけちゃうけど。

ハマ:(笑)聴きたいです。

H:どっちがいいかな。最近…聴いたほうにしようか、じゃあ。幸宏(高橋幸宏)のね。『Saravah!』のリメイク版(『Sawavah Saravah!』)の"La Rosa"という曲、聴いて。ちょっと長いかな。

ハマ:はい。

 

 

La Rosa - 高橋ユキヒロ

(from 『Saravah Saravah!』) 

 

  

ハマ:すごい!

H:まあ、これくらいでいいや。

ハマ:(拍手)

H:いやいやいや(笑)ちゃんとベース聴いてくれてるのがうれしいな(笑)

ハマ:カッコいい!

H:「ベースってどれ?」っていうタイプの曲だよ、これ(笑)

ハマ:あ、そうですかね?まあ、僕は、そういう意味では、職業耳みたいなのはあるかもしれない…でも、これはたぶん一般の方も聴き取れる、ちゃんと。こんなに16[ビート]で持続…できないですもん、俺。

H:あ、そうかね?(笑)

ハマ:あんな、こう…しかも、あそこに入るまでってもっと、音符の長い…

H:そう。「白丸」ってやつ。

ハマ:そうですよね。いや、ホントに細野さんのベースは…僕たぶん、以前ご一緒したときにも言ってるかもしれないですけど、音色はもちろんですけど、「音の長さ」が、もうホントにカッコよくて…

H:なるほどね。ミュートするからね。んー。

ハマ:そう、そのミュート具合が、僕なんかが真似してもこうはならない…まあ当たり前なんですけど(笑)

H:んー。

ハマ:やっぱ、細野さんのベースのミュート具合と…僕は、遊びにいってる感覚っていうのがすごいある。聴いてると。細野さんのベースって。

H:あー、そうか。

ハマ:たぶん「ルートのここにいれば、別にベースとしては成立するけど、なんかこっちに行ってみよう」とか。「あー、なんかこっちじゃなかったなぁ」みたいな瞬間があったりとか…

H:それって間違いじゃない(笑)

ハマ:でも、それすらもフレーズになってるっていうか。細野さんのベースって。

H:なるほどね。

ハマ:それをね、それがホントに…他の人、外国のミュージシャンでも、僕の中では無い感覚というか。

H:本当?それはなんか…照れくさいわ(笑)

ハマ:(笑)でも、この曲はまさしくその「細野さん節」がすごい出てる…

H:これ、当時1978年に出たアルバムで、そのまんまの演奏なんだけど、当時はこんなミックスじゃなかったんだよ。

ハマ:へー。

H:もっと小っちゃかったの、ベースが。

ハマ:あ、もうちょっと聴き取りづらい感じだったんですか。

H:だから、当時はぜんぜんわかんなかったの。

ハマ:自分でも?(笑)

H:で、再発されて。こないだね。聴いたら、あ、ちゃんと聞こえるじゃん!と思って。

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ハマ:当時って、こういうレコーディングも多かったじゃないですか、きっと、細野さん。自分の作品以外の。

H:そうね、多かったよ。ベーシストだったからね。

ハマ:そうですよね。その時って、もうコード進行表っていうか、ヘッドアレンジのスタイルで…特に、たとえば事前にすごいいっぱい、ぜんぶの曲聴いて…まあ、持ってきたフレーズみたいのはあるのかもしれないですけど。

H:それはあるよ。んー。

ハマ:現場で、っていうのがやっぱり多かったんですか?

H:もう、ぜんぶ現場だよ。

ハマ:あー、やっぱ、やってみないとわかんないっていうのもありますしね。

H:だいたいテイク1,2ぐらいで…3ぐらいかな。で、完成しちゃうっていう。

ハマ:へぇ…これも、じゃあ、ホントにたぶん、そんなに何回もやったというよりは…具合を1回やって、あー、こういう感じか、っていうのを擦り合わせて。

H:そうそう。うん。

ハマ:もっかいやって…でもまあ、1個前ぐらいがいいかな、みたいな。

H:そんな感じだよ。だから…当時の音楽的な手法とか、言語とか、パターンとか。いろんな人がいろんなことやってるのを…ひとつの流行りみたいのはあるしね。

ハマ:はいはいはい。

H:そういうのをもう、毎日聴いてるわけだから、自然と入っちゃってるんだよね。

ハマ:なるほど。

H:で、いちばん好きだったのがチャック・レイニーChuck Rainey)っていうベーシストで。

ハマ:はい。

H:その人の感じなんだよ。そのまんまだよね。これ聴くと。んー。

ハマ:それこそ、細野さんの音楽を聴いて育ってる僕らも…インタビュー読んで、細野さんはチャック・レイニー好きだった、っていうのを聴いて、もちろん、チャック・レイニーの作品も聴くようになるんですけど。

H:うんうん。

ハマ:やっぱ、その吸収の仕方っていうか。あ、たしかに!っていうところもあれば、これはホントにもう、細野さんしかやってない、っていうところもあって。たぶんそれはご自身には「そうか」って感じかもしれないですけど…

H:わかんないね。

ハマ:そこがね、カッコいいんだよな…

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H:いやー、でも、いまの音楽と違うもんね。「ロック色」が無いんだよ、僕。

ハマ:なるほど。

H:こう、「ゴインゴイン」って、すごい音出せないんだよね(笑)

ハマ:「ゴインゴイン」…(笑)そうですね、言われてみれば…はっぴいえんどもバンド形式ですし、なんならロック調の曲もありますけど、そういうサウンドではないですもんね。

H:だからね、ホンットに…根が地味なんですよね。

ハマ:(笑)それが音にも影響が出てるという…

H:うん。

ハマ:そっか。でも、とてもソウルフル…という言葉で片付けてしまうのはアレですけど…

H:まあ、ベース持つとそうなっちゃうね。リズム&ブルースになっちゃうね、どうしても。んー。

ハマ:『HOCHONO HOUSE』でも"CHOO CHOO ガタゴト"とか、ホントにこう…ウワァ、っていう…ウワー、細野さんのベースだ…っていうやつが…そういう意味では僕、ひさしぶりに録音物では聴いて。

H:そうだよね。ひさしぶりにやったような気がするね。

ハマ:そうですよね。あの…星野源さんのアルバムのインストで細野さんがエレキベース弾かれてるじゃないですか。1作前の…

H:あー、あったあった。

[*『YELLOW DANCER』収録の"Nerd Strut(Instrumental)"。]

ハマ:あれも、とても…うわー、ひさしぶり!っていう感じだったんですけど。『HOCHONO HOUSE』の…まあ、全編わたってそうなんですけど、特に"CHOO CHOO ガタゴト"はもう、本当に…あー、もう、ホント、1音目から…と思って。

H:(笑)

ハマ:あれはアンプで出したんですか?

H:いや、ライン録りだけどね。

ハマ:あ、ラインですか。へぇ…

H:昔はね、アンプ使ってたけど、いまはもう使わなくなっちゃってるね。もう、面倒くさいんで…(笑)

ハマ:(笑)でも、もう、あの音作りですからね。そこはきっと、細野さんの魔法、っていうか。趣味もあるんでしょうけど。いやー、あれはホント、感動しました。

H:ありがとうございます。よかった。

ハマ:他の曲ももちろんですけど…そうか。

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H:じゃあ、OKAMOTO'S聴こうかね。

ハマ:あ、いいですか?

(D:来週に…)

H:え?来週?2本録りね(笑)

ハマ:(笑)じゃあ、来週、ぜひ、お時間あれば…

H:じゃあ、来週ね。きょうはここまでで。また来週お願いしまーす。

ハマ:はい、よろしくお願いします。

 

2019.03.24 Inter FM「Daisy Holiday!」より

 

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 ♪~

時刻は午前1時です。ここで、Daisy Holiday!を始める前に、お知らせがあります。来週、3月31日のDaisy Holiday!は、都合により、放送時間が変わります。放送開始時間は23時半、夜11時半となります。いつもより1時間半、早い時間です。お間違えの無いよう、お願い致します。では今宵も、Daisy Holiday!をお楽しみください。

 

H:こんばんは。細野晴臣です。えー、今週も先週に引き続きnever young beachの安部くん(安部勇磨)、来てますよ~。

安部:よろしくお願いします。

H:よろしく。きょうは…never young beachの新作についてね。

安部:あ、はい。ハァー、緊張します…

H:楽しみだよね。いつ出るんでしたっけね?

安部:5/8に、新しいアルバムが出ます。

H:えー、タイトルが『STORY』。いいタイトルだね。

安部:あ、ホントですか!僕、この前もアルバムのタイトルをほめて頂いて、細野さんに…

H:なんだっけな?(笑)

安部:(笑)『A GOOD TIME』っていうアルバムなんですけど…

H:ああ、そうだそうだ。

安部:「いいタイトルだね」って言ってくれて、すごい…もう、一個一個うれしくて…よかったです、今回も。

H:いやー、タイトル大事だもんね。

安部:大事ですよね。すっごい考えちゃいます。ありがとうございます。

 

H:じゃあね…どういう話をしようかね。先週話してたのは…そうそうそう、僕がなんか余計なこと言ったっていう。

安部:そんなことないです(笑)スタジオを…前回のアルバムからの曲を細野さんに聴いて頂いたときに、2年前…「スタジオを変えてみたら?」とか…

H:それスタジオの人、怒るんじゃないの?そんなこと言ったら(笑)

安部:(笑)で、もう僕は、あーそういうことかー!とか、じゃあチャレンジしてみよう!っていう、いろんなきっかけができまして。

H:チャレンジだからね。何事もね。

安部:僕らなりにチャレンジしてみよう、と。いろいろ試行錯誤したり…

H:おんなじだよ。僕もこの、『HOCHONO HOUSE』はチャレンジだからね。変えたかったんだ。

安部:えー!

H:前の音じゃダメ、と思って。

安部:もう、すごいですね…ホントにすごいですね…

H:それって…なんて言うの、止むに止まれぬ気持ちじゃない?誰も止められない。それは。

安部:そうですね。で、作ってて楽しいのに、完成した頃にはもう次の…こうしておけばよかったかな、とか。

H:落ち込むんだよ。

安部:落ち込みます、僕…

H:いま落ち込んでるでしょ?

安部:落ち込んでます(笑)わかります…

H:[作品が]できて、リリースまでの間って落ち込むんだよ(笑)

安部:すごい落ち込みます!そうです!いま、まったくおんなじで…できたのにまだ人には聴いてもらえないし。で、時間もあるし、なんだかそわそわしちゃって…

H:そうなんだよね。けっこう、時間が長いよな。

安部:そうなんです。もう、はやく忙しくしてくださいって言ってます(笑)

H:できたらすぐ出したいよね。んー。

安部:すぐ出したいです…はい。

 

H:もう、聴いちゃおうかな、じゃあ。さっそく。

安部:よろしくお願いします。

H:おすすめを、ちょっと…選んでもらえる?

安部:えー、どうしよう…じゃあ、えっと…これはもう、僕、作るきっかけは本当、まさに細野さんで…

H:うん。

安部:おととしの1月に大雪が降ったんですよね、東京で。

H:あー、あったね。

安部:電車が止まったりとか。で、もう本当に"しんしんしん"のような気持ちになりまして。

H:んー。

安部:で、それを僕…ホント、まんまじゃねぇか、あんな曲が作りたい、っていう思いから作ったような曲で。"うつらない"という曲があるので…

H:ちょっと聴かせてください。

安部:お願いします。

 

 

うつらない - never young beach

(from 『STORY』) 

 

  

H:おもしろい。"しんしんしん"だね(笑)

安部:(笑)そうです、すっごい、もう…1月にそういう気持ちになりまして。

H:はっぴいえんどみたい。

安部:あんまり、こういうことを歌ってる人って今の時代、いないな、と思って。

H:そういえばそうだよな。んー。

安部:で、だったら…こんなに恋の歌とかいっぱいあるんだったら、こういう歌も、別に僕ぐらいは歌ってもいいんじゃないかな、と思って。

H:いいねぇ。

安部:で、そういう曲を作りました。ハァー、緊張しました…(笑)

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H:音もね、変わってるよね。

安部:あ、ホントですか!うれしいです!

H:バンドっぽくないっていうか…どうして?これ。

安部:これは…細野さんの作品や、僕の最近好きな人とかの作品をたくさん聴いて、音数だったりとか、音の余白がすごく大事だな、ということを考え始めて。

H:うん。

安部:ライドだったり、シンバルにすぐに行かない、とか。ハイハットでなるべくなんとかする、とか。スネアだけで、キックだけで…あとはコーラスとかギター、あとはグルーヴ感とか…そういうもので抑揚をつけれたらいいな、っていうので…ちょっと、今までの僕らから音数を減らしてみたいな、っていうのをテーマでやってみました。

H:おお。じゃあこれ、ドラムスは…

安部:あ、生でちゃんと叩いてるんですけど、もうずっと…[ドラマーに]つまんないと思うけど、もしかしたら楽しくないかもだけど、ずっとそれで…って(笑)

H:そうなんだ(笑)

安部:ベースとかも、ぜんぜん動かなくていい、そのままやってほしい、って言って…はい。やりました。

H:ほうほうほう…いやいや、すごい的確なダイレクションだよ、それ。

安部:あー、うれしいです!

H:いや、知らないけど(笑)

安部:(笑)

H:その[ディレクションの]通りになってるから。うん。

安部:ありがとうございます。うれしいです。よかった…

 

H:なんか…成長した感じがあるよね。ただの若者じゃなくなってきたね。

安部:あー!うれしいです!

H:いくつ?いま。

安部:今年で29になります。

H:あー…微妙な、ね(笑)

安部:(笑)

H:だって、デビューした頃って21歳ぐらい?

安部:そうですね、22とか23ぐらいですね。

H:そのくらいはね…勢いでいっちゃうからね。

安部:そうなんですよ。ちょっともう、勢いだけでは、やっぱ、いけないな、とか。

H:うん。いけなくはないけど(笑)

安部:(笑)なんか、音楽…音楽ってなんだ?とか、常に悩む中で、1回ちょっと、こういうことにチャレンジしないと、この先に何もない気がする、みたいな…考えが出てきて。

H:んー。

安部:でも、これをやったことによってすごい楽しくて。

H:なるほど。

安部:こういうことができてたらこういうことができてるんだな、とか。いろんな気付くことがあって。やってよかったな、って今は思います。

H:よかったよ。うん。

安部:うれしいです、ありがとうございます。…

 

H:他の曲は、でも、勢いがあるんでしょ?

安部:いや、全体的に…(笑)

H:全体的にこうなの?(笑)

安部:BPMは前後はするんですけど…

H:内省的になってきたね。へぇ。

安部:わりとぜんぶ…ドラムとかも、バーン!とかいかない、とか。ギターもコードでジャカ~ン、といかない、とか。そういうのをしなくても、そういう色が付いてたらいいね、っていう。

H:僕たちも若い頃…1970年代の前後ね。アメリカのバンドがそういう感じになってきたから。

安部:うんうん。

H:それを巷では「アートロック」とか「ニューロック」とか言い出して。それまではね、ゴーゴーダンサーがいて踊ったりするタイプの音楽ばっかりだったから。そのバンドが出てきた頃は…もちろん、サイケもあったけど、バンド(The Band)とかバッファローBuffalo Springfield)とかは、女の子がキャーキャー言わないんだよね。

安部:へぇ…

H:男ばっかり聴いてる、っていうか…(笑)しかも、みんな座って聴いてるっていう噂が立ってて。踊らないんだ、と。

安部:え、座って聴いてたんですか…音楽を…(笑)

H:(笑)だから、なんだ…時代がその頃変わっちゃったんだよね。それに影響されてはっぴいえんどみたいな、そういう音楽になってきたんだよね。

安部:へぇー。でもなんか、今の世の中もそういう…

H:そんな感じなのかな?いま。んー。

安部:細野さんのこと大好きなマック・デマルコ(Mac DeMarco)さんとかも、やっぱ、音数がすごく少なくて。

H:そういえばそうだよね。

安部:シンセの音とか、アコギの音がポロポロって鳴ってたりとか。

H:うんうん。

安部:やっぱり…そういう時代があるのかな、と。

H:あるみたいね。

安部:だから最近、海外の音楽を聴くとそういう流れが…音数が減って…僕も2000年代とか2010年代の頭ぐらいはわりと「ガレージロック」みたいな。ロックスターみたいな人たちがいっぱいいたんですけど。

H:はいはい。

安部:そういうロックスターみたいな人がいなくなって…ちょっと変わってきてるんだな、っていう…感じますね。

H:そうかそうか。例えば僕が1980年代に作った環境音楽みたいなね、『花に水』っていうのを…ウィークエンド・ヴァンパイア*がやってたりするんだよ。なにがいいんだろう、と思って(笑)

安部:(笑)

[*ヴァンパイア・ウィークエンド(Vampire Weekend)のこと。]

H:たぶん、そうなんだろうな、そういう…「違う視点」をみんな持ちだしてるんだろうね。環境音楽なんて…今頃みんな聴くっていうのは予想してなかったから、僕。

安部:そうっすよね。いやー、どこから知るんでしょうね?でもすごいですよね、細野さんの…海外のいまの若い世代に…

H:いやー、わかんないんだよな…

安部:だって…ヴァンパイア・ウィークエンドなんて、僕は中学校・高校から聴いてましたけど…そこが細野晴臣さんと繋がるのか!みたいな(笑)

H:ふつう繋がんないよね(笑)

安部:でも、あの人たちも最初はわりとバンドっぽい感じだったのに、いまはまた変化していって…そういう流れになってってるんだなぁ、とか。最終的に全員、細野さんのところに向かっていくんじゃないかなぁ、と…(笑)

H:やめてくれよ(笑)

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安部:でも、今をときめく…というか、僕の大好きな人がみんなぜったい、細野さんを…デヴェンドラさん(Devendra Banhart)だったりとか。みんなそこに繋がるのがすごく不思議で…でも、まあ、必然でもあるのかな、とか…

H:いやー、わかんなくてね。マック・デマルコがこのスタジオに…去年かな?去年来たんだ。

安部:来日されてましたもんね。はいはい。

H:そのときに、僕がその頃やってたブギウギとか…「OKだ」ってひとこと言うんだよね。あ、その前にデヴェンドラも来たんだ、ここに。デヴェンドラにもおんなじこと訊いたら、「パンクだから」って言うんだよ。

安部:(笑)

H:パンクなんだ、と思って…

安部:パンクなんですね、もう、いま。ブギウギっていうのは…あ、でも、デマルコは「OKだ」って言ってたんですね。

H:「OK.」って言ってた。

安部:あ、そういえばカヴァーされてましたねデマルコさん。"Honey Moon"。

H:そうなんだよ。日本語でね。

安部:日本語でやられてましたね!あれも素敵でしたね…

H:なんかね、不思議な気持ちだったね、あれ。

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安部:やっぱ…海外公演もされてたじゃないですか。

H:僕?

安部:はい。細野さん。どうでしたか?ウワァー!って感じなんですか?みなさん。

H:なんかね…大阪でやってるような感じ(笑)

安部:(笑)あ、そんな「海外の感じ」じゃないんですか?

H:すごい緊張したんだけど、[始まってみると]すごいリラックスしてて。もう日本語でいいやと思ってしゃべったら、ウケるんだよね。

安部:あ、[意味が]わかってらっしゃるんですかね?みなさんは…

H:なんかね…ニュアンスが伝わるみたいね。

安部:へぇ…

H:姿かたちがおかしいのかもしれないけどね(笑)

安部:(笑)日本のお客さんと海外のお客さんってぜんぜん違ったりするんですか?

H:昔は違ってたけどね。

安部:あ、いまはそうでもないんですか?

H:なんかね…変わったね。みんな日本人みたいになってきてるよ。

安部:あ、じゃあもっとリアクションしてくれるっていうか…

H:そう。自然な感じ?ぜんぜん構えてない。だから、こっちも構えなくなって…昔はね、行く前はもちろん緊張して、[ステージに]出る時はもっと緊張してたんだけど、そういうことが無くなったんで…

安部:へぇ…

H:たとえば…スケッチ・ショウ(SKETCH SHOW)とかやってたときもスペイン行ったりしてたんだけど…時々、来るんだよ。ファンがね。現地の人が。そうすると、CDとペンを持ってずけずけと楽屋に入ってくるんだけど…

安部:あ、楽屋にまで来るんですね…

H:ホントは入ってきちゃいけないはずなんだけど…(笑)

安部:そうですよね(笑)

H:そこら辺はすごい図々しいのに、「サインくれ」って言うときにペンがすごい震えてるのね。

安部:(笑)

H:で、日本語で言うと「ッs、さいん、くださぁい…」みたいなね(笑)

安部:(笑)あ、そこは緊張されてるんですねみなさん、やっぱり。万国共通で…

H:でもなんか、日本の人とおんなじなんだよ。それが。

安部:熱意の出し方がちょっと違うんですね。

H:なんか、こう…いまは「オタク」とは言わないんだろうけど…「そちら」って言うのかな?いま(笑)

安部:(笑)

H:そういう人が蔓延しててさ。

安部:へぇ…

H:最初にジム・オルーク(Jim O'Rourke)が東京に来て会ったときもおんなじ気持ちだった。あ、この人日本人みたい、と思って。なんか、態度というか、仕草というかね。謙虚さというかね。不思議だよね。みんな日本人みたいになってんだよね。

安部:あー、そういう風に感じるんですね。

H:感じましたよ。

安部:昔ほどそういう、テンションの差が無くなってきてる…

H:無くなってるね。

安部:へぇ…

H:ただ、今度、次に行くニュー・ヨークはどうだか知らないよ。

安部:あー…

H:すげぇ緊張してる(笑)

安部:緊張されるんですね…

H:気が重い…

安部:気が重い…(笑)

 

H:そういえば、never young beachは中国行くんだって?

安部:あ、そうですね。僕ら、毎年わりとアジアは行かせて頂いてて…そうですね、今年も行かせて頂きます。

H:中国のどこに行くんですかね。

安部:台北…上海です。

H:上海ね。台北は台湾だよ(笑)

安部:(笑)上海に…フェスに出させて頂きます…

H:あ、そう。何度か行ってるんだね、じゃあ。

安部:何度か行ってますね。

H:どうなの、それこそ[お客さんの反応は]。

安部:韓国とかにも行くんですけど…逆に、日本の若者よりも元気があるな、っていう風に感じました。

H:あ、ホント?

安部:あと、音楽に対するものが日本の人たちよりもっと積極的というか、ノり方も…横にノってたりとか。だけど、キャー!とかワー!とかも言うし、日本のお客さんにはなかなか無いものだな、っていう…

H:なるほど。んー。

安部:だから、今アジアの…韓国とか台湾とかそういう国に、ヨーロッパに行くバンドが増えてきてるんですけど。

H:うんうん。

安部:あ、すごいな、っていうか、日本ももっと若い人たちが…僕も含め、もっともっとがんばって、楽しくやってかなきゃな、と思いましたね。

H:なるほどね。

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H:で、ツアーもあるんだよね。

安部:ツアーあります。

H:ちょっと発表してもらおうかね。

安部:そうですね…僕たちは4枚目のアルバムが5/8に出るので、それを大事に持ちながら…6か所の、初めての、never young beachホールツアーっていうのをすることになりまして。

H:はいはい。

安部:えー、最終日は5/28の…東京のNHKホールになります…

H:間違ってると思うな。29日だよ。

安部:(笑)29日です…5/29のNHKホールがツアーファイナルとなりまして。そちらが…もうすぐ始まりますので…はい。

H:なるほど。僕から言うとね、10日に北海道・札幌道新ホール…

安部:あー!ありがとうございます、すみません…(笑)

H:12日大阪・グランキューブ大阪、15日新潟・新潟市音楽文化会館、17日…ぜんぶ5月ね。愛知・名古屋市公会堂、24日に福岡・福岡国際会議場メインホール、で、29日にNHKホール。すごいね!

安部:ありがとうございます…

H:ビッグイベントですね。

安部:もう、やるぞ!っていう気合の表れです(笑)

H:楽しみ。

安部:うれしいです、ありがとうございます。

 

H:じゃあ、もう1曲聴かせて。

安部:あアぁ~そうですね…緊張します…

H:(笑)

安部:じゃあ、あの…きょう流して頂く2曲っていうのはですね、去年のシングルになってたものなんですけど。

H:あ、ホント?うん。

安部:このときはですね、ちょっと…僕の心が非常に怒りにわいていたときでして…

H:どしたの?(笑)

安部:いや、こう…渋谷の東横のビルが取り壊されるとか、オリンピックに向けて…下北沢とか僕、よく行ってたんですけど…

H:無くなっちゃったでしょ。

安部:そうなんですよ。で、これってどうなんだろうな、っていうので…ホントに、さっき言ったように、最近そういうこと歌ってる人いないし、僕ぐらいが歌ってもいいんじゃないか、っていう気持ちで…

H:さっきと同じだね(笑)

安部:"歩いてみたら"っていう曲なんですけど、オリンピックとかに対しての歌ですね。

H:ああ、じゃあ聴かせてください。

 

 

歩いてみたら - never young beach

(from 『STORY』) 

 

  

H:んー…すごいシンプルだね。

安部:もう、このときはシンプルに、シンプルに…(笑)やってました。

H:いや、でも、この歌詞は…自分と同じだ、これ。渋谷だよね?

安部:渋谷です!渋谷ですっごい、こういうことを思ってて…

H:ね、思うよね。

安部:どこいっちゃうんだろうなぁ、とか。だから…"風をあつめて"の「翔けたいんです / 蒼空を」のところとか…

H:うん。

安部:そういう「風街」というものがあって。僕はもう、それをリアルタイムで見たことがないし…でもこの後の、僕の20,30,40とか下の人たちは、さらに僕の見た景色を見れないんだなぁ、とか思うと、どうなんだろうなぁ、みたいなことを…

H:そうだよ。あ、わかった。はっぴいえんどをやってた頃といまが似てるんだね。変わり方がね。

安部:あー…たしかにそうですね。

H:ちょっとレベルが違うけど…次元が違うけど。でも、あの頃はまだ残ってたから。まだ自分たちの中にまぼろしっていうのはちゃんとあって。いい風が吹くときもあったわけだよ。街にね。東京は。いま無くなっちゃったかな、っていうね。

安部:僕はもう、それがわからなくて。だから図書館とかに行って、60年代、70年代の本を読んで。あ、こんな景色があったんだな、とか。

H:うわー、なんか、すごい…ディストピアの世界だな。

安部:(笑)細野さんが20代、30代のときってこういう景色が広がってたのかぁ、とか。渋谷って50年でこんなに変わっちゃったんだ…

H:そう、おんなじだね。僕も60年代の写真見ると、こんなだったんだ!と思うわけ。びっくりしちゃう。

安部:だって、なにも無いような状態じゃないですか。

H:無いんだよ。空、広いしね。

安部:それが50年…たかが50年でこんな高いビルが建って、人がこんなんになってて…

H:[僕は]その当時生まれたんだけどね(笑)

安部:(笑)でも、けっこう…[自分にとっては]当たり前だったんですけど、細野さんたちの時代について調べるにつれて、当たり前じゃなかったんだ、とか。

H:たしかに。

安部:60年代のオリンピックがある前は下水とかももっと無くて、においとかも無かったのかな、とか。

H:んー、無かったよ。

安部:だからそれは僕はショックで…

H:昔はね、夏はね、におうときもあったよ。でも、冬はにおわなかった。いま冬でも…

安部:くさいですよね…

H:くさいでしょ?オシャレな街ほどくさいんだよね(笑)

安部:そうですね(笑)僕はこのときはそういうことを調べてたときで、あー、そういうことをちゃんと歌わないと、みんな…見て見ぬふりではないけど、こわいな、とは思いました。

H:いや、ホントだよね。僕もいつも、ひとりでブツブツ言ってんだけど…

安部:(笑)

H:そうか、歌にしたらいいんだ。教わったわ(笑)

安部:いやいやいや(笑)僕もブツブツ言っちゃうな、と思ったんですよ。これ歌にしないとな、と思って。こういう風にチャレンジして、やってみました。

H:エラい!

安部:(笑)うれしいです!

H:いや、だってもうね…耐えられないんだよね。

安部:わかります…すごいわかります…

H:だから、どの都市行っても、そんなにくさくないよ?実は。アジア行ったってね。まあ、食べ物のにおいとかはすごいけど。

安部:あー、そうですね。

H:でも、下水から温泉たまごみたいなにおいは…あんまりしないよ。東京は、すごいね。

安部:それでも、何も気にせず、冬とかにイルミネーションとかを写真で撮ってるところを見ると…スマートフォンとかで。

H:そうなんだよ、写真はにおいはね、写んないんだよ(笑)

安部:だから僕は…どこまで人間って、そういうものに慣れてしまって…こういうにおいとか、すごく豊かなものがあるのに、それを失くしてくのかな、この先、って…なるべく僕はそれに抗いたいな、とか。細野さんたちがこういうものを残してくれて、そこに僕は魅力を感じるので…

H:うん。

安部:僕はそういうのを、僕より下の[世代の]人たちに少しでも伝えられたらいいな、っていうので、これは書きました。

H:すごい。なんかこう、感慨深いっていうか…若いのに…

安部:(笑)ありがとうございます…

 

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H:いやいや、おもしろかった。[ツアーを]どっかで観に行けたらいいんだけどね…

安部:あ、ぜひ、よろしくお願いします。

H:じゃあ…アルバムじっくり聴かせてもらいます。

安部:ありがとうございます!

H:はい、『STORY』、5/8に出ます。みなさんよろしく。

安部:よろしくお願いします。

H:never young beachの安部くんでした。

安部:はい、ありがとうございました!

 

2019.03.17 Inter FM「Daisy Holiday!」より

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H:こんばんは。細野晴臣です。えーとね…(笑)来ましたね。きょうはnever young beachの安部くん(安部勇磨)が来てます。

安部:はい、よろしくお願いします。

H:よろしく~…「張本人」だからね(笑)

安部:(笑)

H:なんか、あの…ブログかな、インスタかな。写真見たんだけど。

安部:あ、僕、はい…上げました(笑)

H:(笑)

安部:大丈夫でしたか?

H:大丈夫だよ。うん。

安部:あ、よかったです…僕、この前、星野源さんと細野さんのラジオをお聴きして…

H:あ、聴いてたの?

安部:僕は、あの…いろんなところで…ホント違うかもしれないんですけど、[『HOCHONO HOUSE』制作の動機について]細野さんが「安部くんきっかけ、あるよ」みたいなことを言ってくれたんです、っていうので…もちろん、いろんなことがあったと思うんですけど、僕からかもしれないですよ、っていうのをよろこんで言ってしまったんですけど…

H:いいんだよ(笑)

安部:そしたら、[そのことについて細野さんが]「10年ぐらい前からそういう話があったんだ」、って言って…「そういうことになってるけどね」って、ああ、僕はなんて恥ずかしいことを……

H:いやいやいや(笑)直接のきっかけはホントにそうだから。

安部:あ、ホントですか?ありがとうございます…

H:僕、ぜんぶね、自分が言ったこと忘れてて…直近のことだけ憶えてるから(笑)

安部:(笑)

 

 

安部:僕、これ聴いてホントに感動して…

H:どうだったんだろう?それいちばん聴きたいんだよね、感想をね。

安部:いや、もう、僕は感動っていうか、感謝しかなくてですね…

H:ホントに?(笑)

安部:なんていうか、細野さんほどの方で、たくさんの作品を…すばらしい作品を残してくれたのに、まだ!まだこんなものを聴かせてくれるのか!みたいなことを僕は…しかも、こんなに新しくて…細野さんのライヴで、この前のサンプラザの公演に僕、行かせて頂いたんですけど。

H:ああ、来てましたよね。うん。

安部:細野さんが「僕が録っても、やっぱり昔の音みたいになっちゃうんだよね」って言ってて。

H:うん。

安部:それ、僕は「そんなことない!!」って大きい声で言いたいぐらい、「めちゃめちゃ新しくてめちゃめちゃカッコよかった!!」ってすごい…心の中で叫んでまして…

H:ホント?(笑)よかった。

安部:ぜんぶ…あの、僕ら先にサンプルを頂いて。僕らもレコーディング中で…

H:そうだよね。

安部:帰りに車で聴いたんですけど…それまでバンドメンバーでふざけてたんですけど、もう、聴いた瞬間にみんな黙っちゃって。

H:(笑)

安部:すげー…って言って。カッコいい…って言って。みんな言葉を失いました。

H:いやー、よかったです、それは。うれしいですけどね。だから…裏切られた、とか思わないの?

安部:え?(笑)あ、でも、いい意味で…

H:いい意味で(笑)

安部:いい意味で、「うわ、なんだこれは、こんな風なことが起きるのか」みたいな。

H:あー、そっかそっか。

安部:だから、"恋は桃色"とか、3曲目で…あ、もちろん、ぜんぶそうだったんですけど。この曲こんな風になってるんだ、とか、こういう音なんだ、とか。音がカッコよくて。だけど、細野さんの空気感というかがすごいリアルで…うわー、なにがどうなってんだろこれ?みたいな…宝箱を開けたみたいな感覚でした。はい。

H:よかった…(笑)

安部:(笑)

H:いや、なにしろ、作ってる間…たとえば"恋は桃色"とかね。ピコピコいってるじゃん。

安部:はい(笑)

H:これ聴いたら安部くんはどうなんだろうな、とかね。やっぱり思ってたんだよ。

安部:いやいや…あー、うれしいです。そんな考えて頂いてて…

H:驚かしたくて。

安部:(笑)

H:驚いてもらえれば、まあ、成功かな、みたいな。

安部:いや、もう、イントロが始まったとき、なんの曲か最初わからなくて。

H:あー、そっか。

安部:歌が入って、ああ、"恋は桃色"なんだ、って言って。でもいろんな…ドラムの音だったりとか、いろんなところに…でも、ライヴのときに細野さんが、これを作るときはすごい煮詰まったっていうか、すごい考えて、けっこう大変だった、っていうお話を…

H:そうなんだよ。

安部:それを聞いて僕はびっくりしたというか…なんか、僕は、細野さんが遊んでいるような…ユーモアというか、それをサラッとやっているような印象しか僕はなくて…

H:結果はね、そう聞こえるかもしれない(笑)

安部:でも、細野さんもこういう音にする過程で、そうやって悩んだりとか、細野さんでもあるんだな、って…

H:毎回そうだよ。

安部:へえぇぇぇぇ…

H:へぇぇ、って(笑)

安部:(笑)いや、なんかもう、ぜんぶの作品に…細野さんが遊んでいるというか、ユーモアを感じちゃうんですけど、やっぱりそういう…これでいいのかな、とか、これやり過ぎかな、とか考えるんですか?

H:あー…いや、考えるよ。

安部:へえぇぇぇ…

H:まあ、なんだろう、作ってる最中はわりと遊んでいるようなもんだけど、やっぱりその前後がね、ツラいんだよね(笑)

安部:へー…

H:こんなの作っちゃったけどいいのかな?とかね(笑)

安部:(笑)

H:これ、もうちょっとうまくできたかな、とかね。いろいろあるんですよ。誰だってそうだよ、きっと。

安部:あー…いまだにやっぱり、そういうのがある…

H:ありますよ。昔っからおんなじだ。

安部:へぇー…なんか、すごいんですね。僕はなんか…もう、一生終わらないんだな、と思って…僕は細野さんがそういう気持ちでやってるのに、僕らもこれはちゃんとやんなきゃいけないぞ、みたいな…

H:いや、ちゃんとやってると思うけど(笑)

安部:なんか…ちゃんとやってるつもりになってるだけかもしれないし、いろんな方向からもっと悩むこととか、もっと真剣にやろうなみんな、みたいな。そうだな、みたいな…

H:いやいや…(笑)

安部:やっぱり、音を聴いただけで僕らは…ダメだよこれ、もう、みたいな。細野さんはこんなことしてくれて、こんな風なのやってるのに、僕らはこんな、なんか…ダメだこれじゃ!みたいな。みんながんばるぞ、みたいな話が…

H:(笑)それは、じゃあ、良い刺激になってるってことだよな。

安部:いや、すっごいなりました。誰よりもなりました。

H:よかったよかった。

安部:ホントに感謝しかありません。ありがとうございます。

H:いやいや(笑)曲かけなきゃね。じゃあその、いま言った"恋は桃色"を聴いてみましょうかね。

安部:はい。

 

 

恋は桃色 - 細野晴臣

(from 『HOCHONO HOUSE』) 

 

  

H:で、聞きたかったんだけど。

安部:はい。

H:きっかけになったのが、『HOSONO HOUSE』のオリジナルのアナログ盤を手に入れて、いいシステムで聴いたんでしょ?

安部:はい、聴きました。はい。

H:で、そのときの話が印象的で、「すごくいい音だった」って。

安部:はい、はい。

H:どこがいいの?(笑)

安部:(笑)あ、でも、細野さんのインタビューとか読ませて頂くと、『HOSONO HOUSE』の音に対して「僕はどこがいいのかわかんないんだよな」って細野さんがよく、仰ってるのを見るんですけど…

H:うんうん。そうなんだよ。

安部:僕は、やっぱ…なんですかね、小さい頃からなんとなく、生活の中で音楽を聴いてて、中学生・高校生までに聴いてきた音楽には無い…なんだろう、音の良い悪いっていうものに対してのすべてが覆されたと言いますか…

H:ほう…?

安部:キレイに鳴ってることだけが良いとか、悪いとか。いろんな…そういう環境で、流れでやった空気感とか、物語があったりとか。その過程がその音に出てたりとか。なにか魔力みたいなものがあるんだな、っていう

H:ああ…

安部:そこになんか…あんまり考えたことがなかったんですね。その17,18歳ぐらいまで。

H:その頃まではなにを聴いてたの?

安部:えー、なんて言うんですかね…(笑)けっこう、その…日本の方と言いますか、いまの日本の30代とか40代の方の音楽を聴いてたんですけど…

H:そっかそっか。

安部:そこの方とはまったく違う音が出されてて、それを細野さんが25歳とかのときにやってたっていう…で、そこからいろんな音楽を掘り出すことによって、細野さんと似たような空気感が…海外にも日本にもたくさん、すばらしい音を出してる方がいたんだっていうのを知りました。

H:そうだよ。

安部:そして、いろんな方のきっかけになって…やっぱり、言葉では表せない何かがある、っていうのが僕は衝撃でした。

H:そっかそっか。うん。あの…「こうなんだ」、ってハッキリわかっちゃわないことがおもしろいんだよね。

安部:あ、ホントそうだと思います。そうですね。

H:だから、1970年代の音楽って、僕にとってはぜんぶそうだったから。

安部:はー…

H:アメリカのザ・バンド(The Band)とかね。まあ、バッファロー・スプリングフィールドBuffalo Springfield)とかね。みんな良いんだけど、なにが良いのかわかんないっていう。

安部:(笑)

H:分析ができない。

安部:はいはいはい…あ、それ僕、同じようなことを…

H:同じだね、じゃあ。

安部:だから、『HOSONO HOUSE』のここのフレーズはどうやって入れたんだろうなぁ、とか。その分の余白というか…細野さんの作品にはぜんぶ余白があって、なんでこれがこうなんだろう、とか…

H:余白なの?それは…(笑)

安部:なんか、すごいイメージを掻き立てて頂けるんですよね。

H:そっかそっか。

安部:だから、けっこう、もっと説明できそうなものが多い中、細野さんの音楽はそういうのが説明できなかったり…

H:あー、あれは無理だ。僕もわかんないもん。説明できない、自分で。

安部:(笑)ただ、それが僕にはすごい魅力的で…当時のバックバンドのみなさんとのコミュニケーションの中だったりとか、ふとしたときにできたフレーズなのかな、とか…

H:まあ、そうなんだよ。たぶん。

安部:それが残ってるっていうのが…いい意味で作りこまれ過ぎてなくて、みなさんの人間味がたくさんあふれてる音楽っていうのが…

H:あー、特に『HOSONO HOUSE』ってそうだよね。セッションで作ったから。

安部:はー…

H:だから、オリジナルと違うんだよ。オリジナルっていうか、デモを作ってたから。[デモには]自分なりのアイディアがあるんだけど、バンドにそれを持ちこむと…んー、なんかその感じにならないわけね。バンドのアレンジになるから。

安部:はいはい。

H:でも、それもおもしろかったし。ただそれ…自分で作ったやつ、忘れてたわけ。オリジナルのデモを。で、今回それを聴いて…あ、こうだったのか、とか思ってね。

安部:へぇ…

H:いちばんそれがわかったのが"住所不定無職"。

安部:あー、はいはいはい…書いてありますね、この[ライナーノーツに]…

H:ホントはそのデモテープ、聴かせたいんだけど…

安部:あ、聴きたい!聴きたいなって思ってました!(笑)

H:いやいやいや…じゃあ、こっそりね(笑)

安部:やったー!ホントですか!え、じゃあ当時のものがいまも残ってる…?

H:残ってる残ってる。

安部:…へー!!

H:カセットもね。

安部:え、"住所不定無職"以外のやつもカセットに入ってるんですか?

H:何曲かあるね。

安部:っ…えー!聴けるんですか?

H:まあ、聴けるよ。

安部:ウエー!聴いていいんですか?!

H:ラジオではちょっと流せないけど…

安部:あー、ぜんぜん…もしよければ後で聴かせて頂きたいです…へー!うれしい…

H:どうせ死んだらああいうの出しちゃうんだろうけどね(笑)

安部:(笑)

H:まだ出して欲しくない。早く死ね、なんて思ってないでね(笑)

安部:(笑)

H:もうちょっと生きる。ね。んー。あとちょっとで…(笑)

natalie.mu

 

 

安部:今回ホントに…この『HOCHONO HOUSE』も、またぜんぜん違う…だって、こんなことしてるの細野さんしかいないじゃないですか、きっと。

H:おじいちゃんだからね(笑)

安部:50年経って、またいま新しく録り直したっていう…

H:きっかけはね、安部くんで…あー、やってみようか、なんて気軽にやっちゃったのがいけない…

安部:(笑)

H:やってみたら難しくて…

安部:だって、やったことある人が他にいないから、これ難しいよね、ってわかってあげられる人もなかなかいないと思うので…

H:いないね~

安部:ホントに難しいことなんだろうな、って…でも、やっぱり楽しいな、っていうのもあるんですよね?途中で。

H:もちろん、それはあるよ。楽しくなきゃやってらんないよね。なんでも。音楽は特に。

 

安部:僕、泣いちゃったんですよ。1曲…

H:え?

安部:"僕は一寸"の…

H:あら!あれ泣く人いるね。星野くんも…(笑)

安部:歌詞を聴いて、涙が、もう…

H:それがよくわからない(笑)

安部:いや、もう、こんな…歌詞をご本人を目の前にして言うのはホントアレなのかもしれないんですけど…ぜんぶに感動するんですけど、僕は細野さんが歌う「嵐の中歩くのが好き / 坂を登れば きっと景色が変わる」っていう歌詞に…

H:ああ、そこね。

安部:僕はいろんなことを考えてしまい…

H:若いのにねぇ…(笑)

安部:もう、細野さんじゃなきゃ歌えない言葉で、これを歌ってくれるっていうのがどれだけ僕にとって前向きに背中を押してくれることなんだろう、とか。

H:そう。

安部:あと、「白い家に住んで 彼女と二人で」の部分がまた違う言い方になってたりとか…

H:そうだよね。

安部:そこの、時間が経ってのなにかがあったんだろうな、細野さんの中で…みたいな。なんか、映画のようで、僕はもう、泣いちゃったんですよ。もう、ホントに素敵な歌詞で…

H:いや、そんなこと思って作ってないからね。いやー、信じらんない。

安部:「ここに生まれ幾年月 / 枝が分かれて / 無限の道が見える」とか、もう、僕…えー!って思って、もう…

H:(笑)

安部:このことをこんなにやさしく歌ってくれる方って誰もいないじゃないか、と思って…

H:おじいちゃんが孫に説教してるみたいなもんだよ(笑)

安部:(笑)でも、僕はすごい感動して…前向きに、すごいポジティブになれたというか。

H:あ、そう。

安部:なんか、いろんなことを楽しんでいこう、とか。すごい前向きになれて…すごく感動しました。

H:えー、そうなんだ。

安部:星野さんもそう仰ってました?

H:そう、なんか、おんなじようなこと言ってたよ。星野くんはお風呂場でそれを聞いてて泣いちゃったんだって(笑)

安部:(笑)

H:やっぱりおんなじところかもしれない。「嵐の中歩くのが好き」とかね。

安部:僕、だからバンドメンバーとかに、お前わかるかこれ!みたいな。

H:(笑)

安部:お前、言ってくれてんだぞ細野さんが、こんな素敵な言葉を、って…

H:わかんないだろう、それは(笑)

安部:いや、「嵐の中歩くのが好き」って…

H:いやいや(笑)誰だってそうなんじゃないの?(笑)

安部:でも、それを、すごく素敵な言葉、簡単な言葉で…あとは声とアレンジで、そのいろんな意味を伝えてくれてるっていうのが…

H:だんだん恥ずかしくなってきた(笑)

安部:僕、もう、今年いちばん…1月の頭に聴かせてもらったんですけど、ああ、こういう詞を書ける細野さんってホントにすごいな、と。だってもう、いろんな…音楽の知識があって、いろんなアレンジがあって、このアルバムもホントにすごいな、っていう…細野さんの歴史を辿ってくかのようなアルバムだな、とか思ったんですけど。やっぱり、それだけじゃなくて、言葉とかも…ホントにすごい方なんだな、って。ぜんぶすごいなって改めて思いました。

H:いやいやいや…恥ずかしいなぁ(笑)

安部:(笑)僕はだから、これに感謝を言いたくて…ホントにもう、この歌詞ヤバすぎちゃうな、っと思って。だから自分のラジオでも言いたくてしょうがなかったんですけど、まだ発表前だったんで…頼むから聴いてください、と。

H:なるほど。

安部:で、他の…いろんなところが[『HOSONO HOUSE』から]変わってたりするじゃないですか。そこの変わったところも、細野さんの中でなにかあったんだろうな、と思って…

H:なにかあった、っていうか…別になにもないけど…(笑)

安部:でもなんか、重みが…言わずとも…

H:あの、46年前の自分が作ったわけじゃない?まだ24,25かな?そんな奴の考えてることはわかんないんだよ、僕。

安部:(笑)

H:自分でもね。なに考えてたんだろう、と思うわけ。で、歌えないな、と思ったの。

安部:あ、いまだとこの言葉はもう…

H:歌えない言葉がいっぱいあったんだよね。うん。

安部:そこでやっぱり、変えようって思うのもけっこうな決断じゃないですか?そこはあっさり変えたり…?

H:あっさりあっさり。うん。

安部:へぇ…

H:自分のことだから。他人の歌詞だったら、ちょっとね(笑)

安部:そう、僕、「鬼は内」の変わった理由とかもこれで初めて…ああ、日本にそういう場所があってそういう歴史があるんだ、とか。

[*再構築に際し、"福は内 鬼は外"の歌詞の一部が変更されている。]

H:あるある。

安部:それなんか社会の授業とか…

H:授業じゃないよ(笑)

安部:やっぱり、すばらしい音楽っていうのはこうやって歴史も教えてくれるんだな、とか。

H:大げさになってきたね、だんだん(笑)

安部:いやいや…大げさじゃないですよ細野さん!俺、ホントに…勉強だなって思っちゃいますもん。楽しく勉強できちゃうっていう…

H:あ、そう。

安部:音楽ってすごいな、っていう…僕、あんまり勉強とか好きじゃないんですけど、細野さんの音楽を聴くとそういうところも自然と…そういう歴史があって、文化があるから、細野さんの言葉とか音楽があるんだな、っていうところで…やっぱ、文化とかそういうものを抜きにして音楽っていうのは成り立たないな、とか思っちゃいましたね。

H:だんだん論文みたいになってきたんじゃない?(笑)

安部:(笑)そういうところまで考えさせてくれるんですよね。

H:あ、そう。役に立ってるんだ、じゃあ。

安部:いや、もう…立ちまくりですよ細野さん…ありがとうございます。ホントに…

H:いやいや…よかったよかった。作ってよかったわ。じゃあね、"僕は一寸"聴きますか。その。

安部:あ、よろしくお願いします。

H:どこが泣けるのかね。自分では泣かないですけど(笑)

安部:(笑)

 

 

僕は一寸・夏編 - 細野晴臣

(from 『HOCHONO HOUSE』) 

 

  

H:ちょうど夏に作ってたからね。

安部:へぇ…それでタイトルが「夏編」っていうのも、すごい素敵なんですよね。

H:もう、暑かったから…

安部:(笑)

H:ホントに…参っちゃった。

安部:でも、僕、この…[ライナーの]説明のところも、この歌詞に対してはそんなに触れないんだ、っていうところがまた…

H:んー?どういうこと?

安部:僕の中では…アレンジもなんですけど、この歌詞に対してもっと触れるのかな、ってあったんですけど。

H:あ、そうか。ぜんぜん触れてないよ。

安部:そうなんです。だから、細野さんの中ではそんなになのかなぁ、みたいな。

H:(笑)

安部:僕けっこう、歌詞すげー!って思ってたんで…

H:あんまりね、歌詞について…いままで言われたことないし、自分でも触れないようにしてるんだよね。

安部:へぇー…なんで触れないようにするんですか?やっぱ、恥ずかしい、みたいな?

H:恥ずかしいよね(笑)

安部:(笑)あ、そういうのもあるんですね…

H:だってほら、はっぴいえんどで大作詞家がいたからね、隣に。

安部:あー…でも、いやー…そういう意識っていうか、あるんですね。

H:というか、なるべく詞に関しては触れないように生きてきたからね。

安部:へぇー…

H:でも、密かにね…自分なりに、自分の詞は…捨てたもんじゃあないとは思ってる(笑)

安部:(笑)ホントにそうです、僕…いまだに、歌詞とか書くときに、行き詰ってどうしよう、とか思うと、細野さんのDVDボックスみたいな…

H:ほうほう。

安部:横浜のライヴ映像とかが入ってる、3部作とかが入ってるやつを…僕、ビクターの豊島さん(豊島直己)から借りたまま返さないでいるんですけど…(笑)

H:買ってよ…(笑)

安部:(笑)でも、売ってなくて、ぜんぜん。

H:売ってないよね、確かに。

[*2007年の『ハリー細野 クラウン・イヤーズ 1974-1977』のこと。ほしい…]

安部:で、あれを読んだりして。あ、こういう言葉をこういうメロディーと合わせるとこんな風に聞こえて、こういう意味合いがきっと細野さんの中にはあるのに、それをこうやって、押しつけがましくなく言えるんだな、とか。

H:すごい…勉強家だね。

安部:(笑)そういうところから、すごい…あ、じゃあ僕もこういうのでいいかも、とか。こうしてみよう、とか。すごい考えます。そういうことを。

H:あ、ホント。じゃあそういう…なんだろう、生徒みたいなもんだな。

安部:(笑)

 

H:その生徒の作品を、次週聴くけどね。新作。

安部:あ、すいません…あー!緊張しますね…(笑)ちょっと今回は…音のこととか、すごい…

H:うん。

安部:2年前に細野さんに聴いて頂いたときに、なんかもうちょっと音がこうなったらこうかもね、みたいなことを言って頂いて…

H:言った?そんなこと…(笑)

安部:「スタジオ変えてみたらもっといいかもね」とか。

H:あらら。

安部:なので、ちょっと僕らもいろいろ、チャレンジしてみようと思って。

H:あ、ホント?楽しみだね。

安部:ちょっと緊張しますけど…たぶんちょっと変わったと思います。

H:あー、うれしいね。いまはそういう時期なんだ、みんな。ね。

安部:ちょっと聴いてほしいです…

H:じゃあ、次週を楽しみに…きょうはこれぐらいで。また来週。安部くんでした。

安部:あ、ありがとうございます…

 

★2019.03.15 α-STATION FM KYOTO「NICE POP RADIO」より

最高

 

 

  

いつかの手紙 - スカート
 (from 『静かな夜がいい』)
 

 

澤部:こんばんは、スカートの澤部渡です。京都α-STATION、毎週金曜日午後8時からはNICE POP RADIO。今週もわたくしの選曲とおしゃべりにお付き合いください。 

 72回目の放送でございます。先週に続いて臼山田洋オーケストラこと、音楽ライターの臼杵さん(臼杵成晃)をゲストにお迎えしております!

臼杵:はーい。

澤部:どうもどうもどうも…先週はお互いに聴かせたい曲を選ぶ、みたいな感じで…

臼杵:はい。ちょっとだけ歴史を…うっすら辿りつつ。

澤部:そうですね。なので…今週はですね、やっぱりわたくしの心の師匠である臼杵さんに教えを乞う…という感じで(笑)最近臼杵さんがよく仰ってる、渋谷系の文脈以外の人が作った、90年代の渋谷系っぽい音楽…まあ、よく「文脈外」って言い方をね、されてますけど。その辺の音楽をたっぷり聴いていきたいと思っております。よろしくお願いします~

臼杵:はい。

 

澤部:番組ではみなさんからのメッセージをお待ちしております。α-STATIONのホームページにあります"メッセージ"から、番組「NICE POP RADIO」をセレクトしてお送りください。FAXは京都075-344-8940です。Twitterアカウントをお持ちの方はハッシュタグ、カタカナで「#ナイポレ」を付けてつぶやいてください。

 また、この番組はパソコンやスマートフォンでラジオが聴けるIPサイマルラジオRadikoでもお聴き頂けます。スマートフォンからはGoogle PlayやAppStoreからRadikoアプリをダウンロードしてお楽しみください。有料サービスのRadikoプレミアムを利用しますと全国どこでもα-STATIONをお楽しみ頂けます。詳しくはα-STATIONのホームページ、またはRadikoのホームページをご覧ください。  

 そして、京都のレコードショップJET SET KYOTOのお店にNICE POP RADIOのコーナーも作って頂いております。番組で紹介したレコードも展開されておりますので、ぜひチェックしてみてください。    

 

 じゃあ僕もね、文脈外の曲を1曲…持って参りました。

臼杵:はいはいはい。

澤部:すごい迷ったんすけど、PRINCESS PRINCESS奥居香さん(現・岸谷香)のソロを持ってきました。これも僕、臼杵さんに教えてもらって…元々PRINCESS PRINCESS、すごい好きで。奥居さんの曲ってプリプリでもすげぇいい曲あったんすよ。

臼杵:うん。 

澤部:で、もう、ソロデビューの1994年のアルバムで…ほとんどバカラックBurt Bacharach)になるという…(笑)

臼杵:そうですね(笑)

澤部:生きながらにしてバカラックになる瞬間があったんで…(笑)それを聴いてもらいましょう。奥居香で"帰り道"。 

  

 

帰り道 - 奥居香
 (from 『Renaissance』)
 

 

 

[CM]

 

澤部:京都α-STATIONからお送りしておりますNICE POP RADIO。今週もゲストはこの方でございます。

臼杵:はい、えー、臼山田洋オーケストラ…です(笑)はーい。

澤部:(笑)はい、よろしくお願いします!まあ、改めて…先週も来て頂いた臼杵さんは、さっきも話しましたけど、僕の心の師匠、という感じでございまして(笑)

臼杵:はい。

澤部:中学・高校とよく行っていたイベントのオーガナイザーというか、主催であり。で、そこでわたくしが山のように音楽を浴び、ここまで育った…という解釈でいいと思います(笑)

臼杵:すくすく育ちましたね(笑)

澤部:(笑)で、まあ、そんな感じで…臼杵さんに来て頂いております。今週は、臼杵さんが最近気になっている、渋谷系の文脈以外の人が作った、90年代の渋谷系っぽい音楽を特集…ということなんですけど、まあ、どういう感じなんですかね?

臼杵:なんか、「渋谷系」みたいなのって度々特集されたりとか、評論家の人がなんか言ったりするけど、そういうのって大体、フリッパーズ・ギターだったりオリジナル・ラヴだったり…まあ、当事者の人たちのお話だったりするから、「本当のピークは1992年で終わってる」みたいな、そういう話とかになるけど。

澤部:うんうん。

臼杵:実際はそっから漏れ出てるもの?というか。そういう人たち大量にいたのに、その辺の話が無かったことになっている…気がしていて。

澤部:はいはいはいはい。

臼杵:僕なんかはその辺のものが大好きだったので…(笑)そういうのを評論家に任せてると、この歴史が無かったことになっちゃう…みたいのがあって。

澤部:たしかにね。んー。

臼杵:まあ、それをいちいち形にするつもりはないが、ひたすら「そういう音楽はあるんだぞ」というのが…まあ、みんな聴いてくれるといいな、という気持ちがあるんですよね。

澤部:たしかに、その10年前もニュー・ウェーヴに中てられてあがた森魚がニュー・ウェーヴやっちゃう、みたいなね。そういうのってあったじゃないですか。マジカル・パワー・マコがテクノやる、みたいな。

臼杵:うんうん。

澤部:なんか、そういうものが渋谷系にもあったんだな、というのをね、感じてもらえれば、と思います。

臼杵:はい。

 

澤部:じゃあ、ちょっとずつ聴いていきましょうか。

臼杵:はい。まあその、急に音楽変わっちゃったりの代表例というか、有頂天のケラさんが…

澤部:あー!はいはい。

臼杵LONG VACATIONというのを90年代頭から半ばくらいまでやってたんですけど、その短い3,4年ぐらいの間にむちゃくちゃ盤を出していた人たちで。その中でもとりわけ、いかにもそれっぽい音楽をやってたアルバム…『SUMMER LOVERS』というアルバムの中から…これはシングルにもなってますが、"Sunday Love"という曲を聴いて頂きましょう。

澤部:はい。

  

 

Sunday Love - LONG VACATION
 (from 『SUMMER LOVERS』)
 

 

 

臼杵:はい。これがLONG VACATIONの"Sunday Love"でした。

澤部:このアルバムは聴いてなかったんで初めて聴いたんすけど、ほんとにもう、めちゃくちゃ…トレースしたかのようなオシャレさと…(笑)

臼杵:うん(笑)

澤部:ジャズっぽい…エアーっぽい、アンビエントのたくさん鳴ってるドラムの感じと、このシンセの密室感の…この、なんていうか、アンバランスがたまんないっす。なんか、真っ当に…「真正面から渋谷系をやってみよう」とはなんか少し、切り口が違う…

臼杵:まあ、ケラさんですからね…っていう(笑)

澤部:ね(笑)

臼杵:まあ、わかりやすく…いろんなレコード屋さんにこういうことが起こっていた時代だったわけですよ。まあ、ロンバケが聴きたくて僕は東京に来て、今に至るという…

澤部:そうかそうか…そうでしたね。

臼杵:そんな感じですね。

 

澤部:そう。最近、文脈外のお話をされてますけど、そこに至ったのってなにかきっかけとか…?

臼杵:いや、まあ元々聴いちゃあいたので…そもそも、いわゆる「渋谷系」の…あ、そうだ。ちょうど澤部くん、先々週の放送で90年代の話してましたけど、1987年生まれの人が考える90年代…(笑)

澤部:そうそうそう(笑)

臼杵:僕の場合は、16歳から26歳が90年代なんです。

澤部:はー…

臼杵:で、まあド真ん中を見てきたし、HMVにも通っていましたし、センター街の。

澤部:いいなぁ…

臼杵:なんだけど、明らかに僕は側道を歩いていたので(笑)当時からそういうものは聴いてたし、クラブでもそういうものをかけたくてDJを始めた、みたいなところがあって。

澤部:あー。

臼杵:「加藤いづみ、大きい音で聴きたいじゃん」っていうところが、そもそものきっかけだったりするので…

澤部:そうかそうか、なるほどね。

臼杵:そこを改めて考えてて、当時聴いてなかったCDもいっぱいあるな、と思って。なんとなく探しはじめたら、まだ山ほどあった、っていうのがひとつの…

澤部:きっかけなんですね。

臼杵:そうですね。

 

澤部:じゃあちょっと、このまま続けて聴いていきますか。

臼杵:そうですね、この辺も…当時から好きだし、ずーっとかけ続けているもの。で、わかりやすく…「ロジャニコ歌謡」って呼ばれてるんですけど(笑)

澤部:はいはいはいはい。

臼杵:完全なロジャー・ニコルスRoger Nichols)をやっているものを2つ続けて…まあ、いけたら3つ、続けて聴いて頂きたいものなんですけど。とりあえず1曲、濱田マリさん。モダンチョキチョキズ濱田マリさんですね。"フツーで行こう"という曲を…お願いします。

  

 

フツーで行こう - 濱田マリ
 (from 『フツーの人』)
 
 

 

臼杵:はい。という…完全に"Love So Fine"だ、っていう(笑)感じのもので…

澤部:ねー!

臼杵:まあ、モダチョキはそもそもオシャレなものをやってる人たちなので、実は。

澤部:そうですよね。

臼杵:作曲が遠藤京子さんで、当時聴いた時に、ちょうどロジャニコの再発とかがあった時期の1年後とか2年後で…

澤部:はいはいはい。

臼杵:で、とにかくビックリして、なんなんだこれは、と思ってすごい慌てた曲ですね。当時、普通に…NHKの番組とかでも歌ってたけど…

澤部:ふーん。

臼杵:そうなんですよ。すばらしい、アレンジが…まあ、こういう、いかにも小山田さん(小山田圭吾)たちがやっていたロジャニコの…まあ、パクリですか。そういうのをやってる人たちは他にもぜんぜんいた、っていうので…

澤部:うんうん。


臼杵:同じように、そういうロジャニコ路線みたいなもので、もう1個…これはホントに、なんでみんな聴かないんだろう、ぐらいの、ちょっと穴…なんていうんですかね。

澤部:うん、僕もね、これね、次かかるやつ…ずーっと探してはいるんですけど…探そうと思うと、無いんですよね。ずっと聴きたいのに聴けてないっす。

臼杵Corneliusの"The Love Parade"だったり、"Don't Take Your Time"…ロジャー・ニコルスの。それをやってる曲っていうのが何曲もあって。ロンバケにもあるんですけど。まあ、それの代表的かつ、いちばんカッコいいと思うんじゃないか、というやつを聴いてもらいましょうか。

澤部:はい。

臼杵:じゃあ、次がですね、加藤いづみの"オンナトモダチ"という曲です。

  

 

オンナトモダチ - 加藤いづみ
 (from 『SAD BEAUTY』)
 
 

 

臼杵:はい。つーことで…(笑)

澤部:パーフェクト、ホントに最高。

臼杵:この時期の加藤さんは上田ケンジさんとタッグを組んでいた時代で。

澤部:はいはい。

臼杵カーネーションの直枝さん(直枝政広)も参加しているアルバムなんですけど。『SAD BEAUTY』というアルバムに入ってる曲で。

澤部:めちゃくちゃ良い…

臼杵:すんばらしいんですよ。これ、いわゆる渋谷系的なものを追ってるディガーの人たちはここに手を付けることはあんまりないと思うんで…(笑)

澤部:んー、かもしれない…

臼杵加藤いづみさんはそもそもソフトロックっぽいものを…本人が意図してるわけじゃないと思うんですけど、村井邦彦的な音楽が実は山ほどある

澤部:えー!めちゃくちゃ興味出てきた…

 

臼杵:で、こういうノリの曲っていうのがいくつもあって…斉藤和義さん。完全に意外な方向ですけど(笑)

澤部:ね。

臼杵:…が、"歌うたいのバラッド"出した時のアルバムの中にも入ってる…これもシングルになってはいるんですが。

澤部:へー。

臼杵:これ、明らかにそれをやろうとしてるでしょ、っていうアレンジの曲が…当時シングルで出てまして。斉藤和義さんで"Hey! Mr.Angryman"という曲です。

 

 

Hey! Mr.Angryman - 斉藤和義
 (from 『Because』)
 
 

 

臼杵:はい。斉藤和義さんの"Hey! Mr.Angryman"という曲でしたが…(笑)

澤部:やっぱ、あの間奏聴くと…(笑)

臼杵:そうでしょ?ぜったいそうでしょ?って、本人に確認したい、いつか(笑)

澤部:あとやっぱり、「Hey! Hey!」とかそういう感じも、なんていうか…ビートもの感があるし。

臼杵:だから、こういう人までそういうことをやってたっていうことが…実はあったんだけど、あんまりいま語られることもないな、と思うわけですよ。

澤部:たしかにね。普通に、こう…「硬派なシンガー・ソング・ライター」みたいな見方ですもんね。…というわけで、文脈外の渋谷系、ということでお送りしているNICE POP RADIOなんですけども、CMの後もまだまだ続きます。

 

[CM]

 

澤部:京都α-STATIONからスカートの澤部渡がお送りしておりますNICE POP RADIO。今夜のゲストは先週に引き続き、臼山田洋オーケストラさんでございます。

臼杵:はい。

澤部:どうもどうも、よろしくお願いします。今週のナイポレは…渋谷系の文脈外ということでお送りしているんですけれども、僕も1曲選んできました。チェッカーズの曲を持って来たんですけど。チェッカーズって…「渋谷系」の認識として有名なところだと、『学校へ行こう!』っていうドラマがあって。

臼杵:はいはい。

澤部:で、劇中の音楽をピチカート・ファイヴがやって、それのオープニングをチェッカーズがやってたんですよね。で、[チェッカーズは]表であり、裏がピチカートだったんですけど…チェッカーズはわりと、晩年は初期にあった不良っぽい感じが無くなり…無くなり、っていうか、モードが変わっていって。ちょっとスムースな音楽をやるようになっていくんですよ。で、解散ギリギリに出たシングルだったと思うんですけど、"Blue Moon Stone"という曲を聴いてみましょうか。

 

 

 (from 『BLUE MOON STONE』)
 
 

 

澤部:というわけで、聴いてもらっていますのはザ・チェッカーズで"Blue Moon Stone"という曲なんですけれども…

臼杵:シティポップ…

澤部:そうそうそうそう(笑)ただ、どうしてチェッカーズがこの流れにたどりついたのかっていうのが、ちょっとまだわかってないんですよね。なんか、もしかしたらアシッド・ジャズのほうからこういう風になったのかな…

臼杵:まあ、でも、あの夜遊びの人たちだし、年齢的にもちょっと大人になって…そういう音楽を取り入れたんじゃないですかね(笑)

澤部:(笑)そうなんですよね、こういう感じの…これが1991年だったかな?とかなんですよね。

[*正確には1992年。]

臼杵:はいはい。

澤部:というわけで、チェッカーズの"Blue Moon Stone"という曲を聴いてもらいました。

 

 じゃあちょっとまた、再び臼杵さんの選曲に戻りましょう。

臼杵:はい。

澤部:先ほどはバカラック系をバーッと聴いた感じでしたけど。

臼杵:そうですね。今度はここ最近の…もう一回掘り起こしてみようと思って、とりあえず女性シンガーだったりとか、女優さんが出したレコードとか、そういうところにお宝がけっこう潜んでいることがわかってきたんで。

澤部:そうですよね。

臼杵:そこを改めて…これ聴いてない、みたいなやつを片っ端から買う、みたいな状態で掘り進めていて。その中から出てきたものをいくつか…ここからはかけてみようかなと思います。

澤部:ほうほう。

臼杵:ひとつがですね…miyukiさんという、ピアニストらしいんですけど、何枚かだけ出して、いまも…うーん、活動的にはそんなに、いろいろやってる方ではないんですが。このCDが…どこの中古CDの「ま行」にも必ずあったんですけど、ずーっとなぜかスル―し続けていて。

澤部:へー…はいはいはい。

臼杵:そういえばこれ聴いてなかったな、と思って聴いてみたらむちゃくちゃ最高だったという…(笑)

澤部:ふーん。

臼杵:miyukiさんというシンガーさんの、『ぜんぶ言ってしまおう』というアルバムなんですけど、その中から"かわいいKISSをあげる"という曲を。お願いします。

澤部:おお…もう、イントロから良いですね。

 

 

かわいいKISSをあげる - miyuki
 (from 『ぜんぶ言ってしまおう』)
 
 

 

臼杵:という感じで…どの曲かけようかなって迷うぐらい、すばらしい曲が…わりとヴァリエーションに富んだ曲がいっぱいあって。で、まあ…ちょっとこんなロリ声でっていう感じで…(笑)これはすばらしい、いわゆるすばらしいガールズ・ポップですよね。

澤部:んー、めちゃくちゃ良い…編曲もすげぇ凝ってますね。やっぱり時代が…お金があったのか、なんなのか…(笑)

臼杵:そうですね(笑)お金があったんだろうな、っていうのは、やっぱこの辺の時期の音楽聴いてるとすごく思います。

澤部:あー…

臼杵:で、さらに同じような時期で…女優さんが出してるレコードというのはいっぱいあって。それこそ小西さん(小西康陽)が書いてるものとか、けっこういっぱいあるんですけど。たとえば松雪泰子さんとかね。

澤部:ね。

[*95年のデビューシングル『ESP』は小西康陽プロデュース。]

臼杵:そういうオシャレな曲…文脈「内」の人たちもいっぱい参加してる曲もあって。で、これは文脈外の中からひとつ…奥菜恵さんが実はめちゃくちゃ良い曲が何曲も潜んでいることが…

澤部:へー!

臼杵:ここ最近の調査で判明しまして(笑)

澤部:(笑)

臼杵:その中でもこれは…フリーソウル奥菜恵(笑)ちょっと聴いてみましょうか。奥菜恵さんでですね、"とってもゴメンネ"。

澤部:すげぇタイトル…

 

 

とってもゴメンネ - 奥菜恵
 (from 『gradation』)
 
 

 

臼杵:最高でしょ?(笑)

澤部:最高…

臼杵:こういう風な、ちょっとソウルミュージックみたいのを取り入れたものっていうのが90年代にはいくつもあって。それを…その後、MISIAさんが出てきたことによって本格化して、ちょっとまた別物になっていくけど…ちょっとソウルっぽい音楽を女性が歌う、みたいなのっていうのは山ほどあって、奥菜さんもそれをやっていた、と。

澤部:すげぇ…1997年なんですね、この曲。

臼杵:97年頃っていうのはそういうのがあるんだよね。まあ、あとは…すごいスウェディッシュっぽい曲をやってるんだけど、ぜんぜんスウェーデン関係無い、みたいな曲があったりもして(笑)

澤部:(笑)

臼杵:すばらしいんですよ。そういう時代。

澤部:時代だったんですね…

 

臼杵:こういう、いわゆる渋谷系文脈じゃない人がやってるんだけど…まあ、「超・渋谷系文脈内」?いわゆる、すばらしい、センスのいい作家さんが寄ってたかって作るアルバムみたいな。

澤部:はいはい。

臼杵:今で言うNegiccoだったりとか、声優さんの花澤香菜さんとか、ああいう感じの…その寄ってたかっての源流とも言えるのが、市井由理さんの『JOYHOLIC』というアルバム…

澤部:名盤ですね…

臼杵:これはホントに最高のアルバムなんですけど…朝本浩文さんが中心になって、菊地成孔さんだったり、ヒックスヴィルの皆さんが参加してたりする最高のアルバムがあって。これはいわゆるその「寄ってたかって」の元祖だと思うんですけどね、わりと。

澤部:たしかに…

臼杵:その中から1曲。まあ文脈「内」ですが、「超・文脈内」の代表として…いくつも良い曲あるんですが、"優しいトーン"という曲を。

spice.eplus.jp

natalie.mu

www.cinra.net

realsound.jp

 

 

 

優しいトーン - 市井由理
 (from 『JOYHOLIC』)
 
 

 

臼杵:はい。市井由理さん…これは明け方ぐらいのクラブで爆音で聴いてるとめっちゃ泣けるっていう…(笑)

澤部:うんうん…すげぇ…なんかこう、ホントに…さっきの奥菜恵さんのやつとか聴くと、センスが違うっていう感じが…(笑)

臼杵:センスと良さが違う(笑)そんな感じがしますね。

澤部:すげぇな…やっぱり、さっき話してたんですけど、奥菜恵さんが97年で、市井由理さんが96年なんですね。で、その1年の差でここまで…音色とか所作にこうも違いが…(笑)でも、さすがに20年経つとフラットに見れるというか。たぶん当時だったら、うわダサッみたいな感じに思っちゃったんだろうな、って。

臼杵:なんかね、ちょっとこれ…時間がないな(笑)ローファイみたいなものが95年とかに…ハードディスク・レコーダー、テレコのハードディスク版が出るのが95年ぐらいなので、Corneliusがそれでアルバム作ったり…とかいうこともあったりして…とかいう話をしだすと止まらなくなる(笑)ちょっと、いろんなことが起こった…

澤部:ね、90年代といえばね。

臼杵:で、ヘンなエラーみたいなものもいっぱい出ている時代だったんだよなぁ、というのが…もう、これは説明できないですな(笑)1時間では。

 

澤部:というわけで…最後にもう1曲聴いて今回の特集は終了となるんですが…

臼杵:はいはい。

澤部:どうでした?やってみて。

臼杵:んーとですね…ちょっと、これは本当にほんの一部だったんでいろいろ足りないな、と。作風をいきなり変えちゃった人の中でピロウズだったりとか…

澤部:あー!

臼杵:そういう代表的な部分がいくつかあって…あとはホコ天バンドだったのに急にイギリスっぽい音楽をSpiral Lifeとしてやり始めた車谷さん(車谷浩司)だったりとか…

澤部:ああ…

臼杵:他にもいっぱい…ちょっとね、筋を違えちゃった人がいっぱいいたんですよ。

澤部:たしかに、詩人の血とかもそうですもんね。

臼杵:そうそうそう。その辺のことって、わりと…もっと表沙汰になってない人たちもいっぱいいたりして、調べ出すとおもしろいんですけど。

澤部:うんうん…めちゃくちゃおもしろかったっす。

 

臼杵:まあ、その辺の流れとはまったく関係無い部分で、最後の曲を選んでみました(笑)ちょうど先々週の放送で弾き語りでやってましたけど…

澤部:あ、そうですね(笑)

臼杵:[井上陽水&忌野清志郎の]"帰れない二人"。この曲、オリジナルももちろん大好きなんですけど、僕は『東京上空いらっしゃいませ』という、相米監督(相米慎二)の映画の中で使われている…映画の中では牧瀬さん(牧瀬里穂)が口パクで歌っている曲なんですが、小笠原みゆきという方が歌っているジャズアレンジのカヴァーがありまして…それを最後にしたいな、と思います。これ、ギリギリ90年っていう感じなんですけど…映画自体は89年か。まあ、90年代ではないですが…単純に良い曲なんで(笑)最後に聴いてみましょう。小笠原みゆきさんで"帰れない二人"。

 

 

帰れない二人 - 小笠原みゆき
 
 
 

臼杵:当時、レンタルビデオで借りて。

澤部:はいはい。

臼杵:最高過ぎて、VTRからラインで引っ張ってカセットに録音して、すごい、ずーっと聴いてた(笑)高3の時かな。

澤部:えー!これ、映画、僕、まだ観れてないんですよ。ぜんぜん観れなくて…

臼杵:最高なんだけどね。

澤部:そう、スカートのMV撮ってくれてるゼキさん…大関さん(大関泰幸)という人もすごい好きで。いつか観なきゃなぁ、と…

臼杵リリスク(lyrical school)のプロデューサーのキムさん(キムヤスヒロ)も大好きで。

澤部:へぇ…

臼杵:何人かね、熱狂的なファンがいる。すっごいヘンな映画なんだけど…

澤部:タイトルがもう、良いっすもんね。

 

 

 

澤部:京都α-STATIONからスカートの澤部渡がお送りして参りましたNICE POP RADIO。番組はそろそろお別れのお時間となってしまいました。というわけで、たくさん文脈外の音楽を…改めて浴びましたけど。とにかく僕は「加藤いづみのアルバムを買う」という使命ができました。

臼杵:はい(笑)

澤部:最高…すごい、めちゃくちゃ勉強になりました。えー、というわけで…またぜひ、ちょっと…ホント臼杵さん、いろんな音楽聴かれてて。それこそさっき言ってたイージーリスニング特集とかもね、やってみたいです。ぜひまた来てください。

臼杵:はーい。

澤部:よろしくお願いします。じゃあ一回、スカート通信挟ませてください。

 

 ニューシングル『君がいるなら』、アナログ『20/20』好評発売中。アルバム『CALL』以降の作品のサブスク配信も始まってます。ぜひどちらもよろしくお願いします。

 春のライヴはですね…えー、東京以外です。3/21(木・祝)、神戸の蘇州園で開催のイベント「御影ロマンス 2019」に出演します。3/22(金)は沖縄那覇Outputでアナログフィッシュの20周年を祝うイベントに出演です。これはどちらも弾き語りですね。3/31(日)大阪味園ユニバースで開催のイベント「CHOICE VOl.18」にはバンドで出演します。よろしくお願いします。あとFUJI ROCKも決まりましたので、そちらもよろしくお願いします。

  NICE POP RADIOではメッセージをお待ちしております。α-STATIONのホームページにあります"メッセージ"のほうから、番組「NICE POP RADIO」をセレクトしてお送りください。FAXは京都075-344-8940です。Twitterアカウントをお持ちの方はハッシュタグ、カタカナで「#ナイポレ」を付けてつぶやいてください。番組の感想やわたくしへのメッセージ、選曲テーマやカヴァーのリクエストなどもお待ちしております。

 

 というわけでですね、臼杵さんに2週連続で来てもらいました。

臼杵:はい。ちょっとこれ、足りないから…

澤部:そうですね。

臼杵:これ、いくらでも…2,3時間ぜんぜんやれるんで、聴きたい人はDJで呼んでください(笑)ぜんぜんやりますんで。

澤部:あと、普通にイベントまたやってください。臼杵さんのイベント…なにが良いかって、むりやり踊ったりしなくていいところだと思うんで(笑)

臼杵:みんなスマホを見てるっていう(笑)ジッと座ってスマホを見ることが許されるイベントをやってるんで…

澤部:そうですね(笑)あと、何年か前に…明け方4時半から5時くらいの電車が走り始めるぐらいまでの間に、エンケン遠藤賢司)シバりとかあがた森魚シバりで、しめやかに朝を迎えるっていうのがあって…(笑)

臼杵:それをかけてたのは僕のお師匠さんである中嶋勇二さん…東京タワーズのドラマーの方ですね(笑)

澤部:そうですね。あれ最高でしたわ…そういう、ちょっと、なんというか…音楽の見方が少し変わるようなイベントをされております…(笑)

臼杵:今のところちょっと予定ないんで、告知は出来ないですけれども…

澤部:またぜひやってください。

臼杵:はい。

 

澤部:というわけで、今週最後にお送りしますのは…こちらも臼杵さんの選曲でお別れでございます。

臼杵:はい。まあちょっとですね、さっきお話もしましたが、ピロウズがオシャレなことやってた時期の音楽が僕大好きで…

澤部:うんうん。

臼杵:いろんな…94,95年とかその辺りなんですけど、本人たち的には納得いってない部分もあるかもしれないんですけど、音楽的には最高のものをいくつも作っている時期で…

澤部:はいはい。

臼杵:まあ、その後の活躍がもちろんすばらしいんで、これもぜんぜん、アレなんですけど…この時期のピロウズもすばらしかったんだよ、ってことで。これは映画の主題歌にもなってた曲なんですけど、"ガールフレンド"という曲がありまして。

澤部:ほうほう。

臼杵:超バカラックなんで、それを最後に聴いて終わりましょう。

澤部:はい、というわけでNICE POP RADIO、この時間のお相手はスカートの澤部渡と…

臼杵:臼山田洋オーケストラでした。

澤部:また来週。



ガールフレンド - THE PILLOWS
 (from 『LIVING FIELD』)
 

 

 

 

 

2019.03.10 Inter FM「Daisy Holiday!」より

↓岡田さんの補足解説は要checkです…

daisy-holiday.sblo.jp

 

H:こんばんは。細野晴臣です。いやいや、久しぶりですね。

O:ご無沙汰s…しております。噛んじゃった(笑)岡田崇です。

H:ちょっと待って…(くしゃみ)

O:ひさしぶり、すぎて…

H:ね。なんかあの、風邪もらっちゃったみたいだ。

O:あら…気をつけないと。

H:あの、[日本]アカデミー賞の円卓の辺りで咳してる人がいたんで、もらっちゃったみたい(笑)あのテーブルの人たちみんな、いま頃、喉痛いんじゃないかな。

O:大丈夫ですか?

H:ちょっと熱っぽいの。だから、お願いね。

O:…あれ?(笑)

H:ちょっと、目つぶってやるから…

O:(笑)

H:じゃあ、しゃべりながらやって。

O:(笑)

natalie.mu

 

H:…えーと、なに?きょうは。

O:きょうはですね、最近手に入れたものを、まあ…相変わらずですが…かけていこうと思いますが。

H:でしょうね。

O:まず最初に、江利チエミさんをかけようと…心に決めてきました。

H:いいね。

O:1953年の録音なんですけど、江利さんってその前年、15歳で…

H:15歳でデビューしてるのね。早熟だね。

O:"テネシー・ワルツ"と"カモナ・マイハウス"。で、翌年、アメリカに招待されて。L.A.のほうで。ナイトクラブで歌ったりとか…したらしいんですけど。

H:あー…あんまりそういうニュース、無いよね。こっちには。

O:その中で、Capitolレコードのスタジオでレコーディングをしたという話があって。

H:それはすばらしい。

O:当時の新聞だと、「それがCaptolから出てチャートにも入った」…みたいな話になってるんですけど、Capitolから出たっていうことは無くて。Federalっていうレーベルから出てます。

H:あ、そうなんだ。

O:「Capitolから」っていうのは、「Capitolレコードで録音した」っていうのがちょっと…「[Capitolの]スタジオで」、っていうのとレコード会社とを混同してるんだと思うんですけど。

H:そうかそうか。

O:で、バッキングがチャック・ミラー・トリオ(Chuck Miller Trio)だという噂がありまして…

H:やった!大好きだな。"House Of Blue Lights"歌ってんだよね。

O:いいですよね、あのヴァージョン。

H:影響されてます。はい。

O:じゃあ、まずは江利チエミの"Pretty-Eyed Baby"を。

 

 

Pretty-Eyed Baby - CHIEMI ERI

 

 

H:いいねぇ。江利チエミとは思えないね(笑)なんか、いいよ。チャック・ミラーのピアノ、いいねぇ。

O:うーん、そうですね。

H:音が良い。

O:音良いですよね。当時の…この頃の江利さんの[他の]SP盤聴いても、こういう音は絶対出てないんで…

H:そうだろうね。あの頃の差はすごいよね。

O:んー。

H:いやー、いいな。これ、なんか…ユーナ・メイ・カーライル(Una Mae Carlisle)っていう人にそっくり。声がね。

O:おお…

H:初々しいっすよ。16歳?

O:16歳(笑)当時…2枚目なのかな、レコーディングしたのは。向こうで50回ぐらいテストをされて、ようやく録音出来たみたいなんですけど。

H:あ、そうなんだ。いや、いいですよ。このままやればよかったね(笑)

O:日本に帰ってきちゃいますからね、当然。

H:まあ、それで有名になったんですけどね。

O:(笑)

www.youtube.com

 

 

H:もう1曲聴きたいな。"ゴメンナサイ"やってるんでしょ?

O:そうなんです。そもそもはこの"Gomenasai"をやってるというので、探して買ったんですね。

H:SP盤しか出てない、と。

O:そうです。日本でも当時出なかったですし、今でも出てないと思います。

H:レアですね。

O:で、B面の"Gomenasai"が「エリチエミ&G.I.ジョー」という名義で…(笑)

H:G.I.ジョー、どうしたの?

O:まあ、進駐軍で流行った曲なんで…

H:あー、そうだそうだ…んー。

O:進駐軍の将校さんのベネディクト・メイヤーズ(Benedict Mayers)っていう人が作詞をして、レイモンド服部(Raimond Hattori)が書いた曲ですね。で、その人の勧めかなんかで、Disneyに売ったんですよ。この曲の権利を。

H:ホントに?

O:だからクレジットにDisneyの出版社が書いてあるという、ふしぎな…(笑)じゃあ、"Gomenasai"を。

H:はい。

 

 

Gomenasai (Gomen Nasai) - CHIEMI ERI And G.I.JOE 

 

  

www.45worlds.com

 

H:なるほどね…アメリカンですね(笑)いやー、歌ってる人は誰だかわかんない、G.I.ジョーっていう人(笑)

O:G.I.ジョー、誰でしょうね。

H:うまいよね、みんな。いや、すばらしい。江利チエミさん。

O:ね。16歳ですよ(笑)

H:あのね、この世代…年代ってすごいんだよね。雪村いづみさんもすごかった。

O:すごいですよね。

H:カヴァーをやると、アメリカのシンガーみたいだった(笑)

O:英語とかね…

H:英語、よかったんだよね。

O:進駐軍のキャンプを回って…12歳の頃から回ってたみたいですね、江利さんは。

H:ね。いやいや、だいぶ今とは違う時代ですけどね。

O:はい。

www.youtube.com

 

H:時代と言えばですね、3/6に…『HOCHONO HOUSE』が出まして。

O:わーい。

H:長く待ったんだよ…作ってから2カ月ぐらい待って、やっと出るんで(笑)

O:(笑)

H:まあ、その間落ち込む…

O:落ち込むんですか。

H:落ち込むんだよ。「もうダメだ!」。「ダメなもの作っちゃった!」とかね。

O:いやいや…すばらしいじゃないですか。

H:みんなの声を聞くと安心するんですけどね。よかった…

O:もう、みんな聴いた頃ですね。このラジオの[放送される]時は。

H:もう聴いてるんでしょうね。あの、この場を借りて…なんて言ったらいいのかわかんないけど(笑)そんなことはいいか(笑)

O:(笑)

H:慣れないことはやめて…しかも、明日(3/11)は震災の記念日…記念日っていうとヘンですけどね。震災の日だったんで。『HoSoNoVa』が出た頃を思い出しますよ。ちょうど、やっぱり、いま頃…

O:そうですね。ホントに僕、『HoSoNoVa』のジャケットの入稿をしてる最中、ビクターの方と電話してたところです…

H:揺れた時ね。すごいことやってたね(笑)

O:「とりあえずちょっと、電話切ってみますか?」って言ったらもう、どこともつながらなくなっちゃって(笑)

H:あー…よく、まあ、入稿できたよね。

O:翌日入稿しましたけどね。

H:そうだよね。すごいよ。

O:で、印刷屋さんが不安になっちゃって、なんかもう、動いてないと…みたいな感じで。

H:あ、わかるわかる。

O:仕事をすごいしてましたよ。

H:わかるよ。なんかやってないと不安だよね。

O:んー。

H:まあ、大変な時期に出たんで…うん。思い出しますね。

daisy-holiday.sblo.jp

 

open.spotify.com

 

H:さて、本題に戻りますとですね。

O:本題…?

H:本題っていうかなんというか…(笑)本題なのかな?これ…

O:(笑)

H:えー、日本のね。1950年代当時の人たちがいかに、アメリカの音楽のマニアックな部分に影響されてるか、っていうね。

O:そうですね。

H:予想以上ですよね。

O:予想以上ですね。

H:たとえば…レイモンド・スコット(Raymond Scott)ね。みんなよく聴いてたんだね。

O:レイモンド・スコットだと50年代というか、30年代末から40年代ですね。

H:そうだ、そうだ。

O:まあ、戦争が始まるともう…

H:途切れちゃうね。

O:途切れちゃうんですけど、その前はホントに…日本でもヒットしていたし、舞台で…吉本新喜劇だとか。松竹少女歌劇でもたしか、服部良一のアレンジで"18世紀のサロンにて(In An 18th Century Room)"とかやってた…"Toy Trumpet"だったっけな?

H:そうかそうか。かなり、ポピュラーだったっていうことだよね。

O:そうです。映画にも出てたんで、それで有名にもなっていたはずです。

 

H:それでさ…エノケンさんね。榎本健一さん。

O:はい。あの…1月の末ぐらいに、早稲田の演劇博物館のイベント…イベントというか…

H:そういうのがあったわけね。

O:はい、集まりがあって。その中で、栗原重一さんというですね…あまり知られていない方がいるんですけど。

H:うん。

O:エノケンさんの映画の舞台音楽のほとんどをやってた方…

H:重要人物だ。

O:重要人物がいるんですよ。で、その方の残した楽譜が早稲田で…去年、研究が始まって。

H:あ、そうなの。

O:それの途中経過発表みたいなシンポジウムが…

H:その方はいま…

O:もちろん亡くなってます。

H:そうですよね(笑)

O:1983年に亡くなってますね。1897年生まれですもん。

H:じゃあ、再発見されたわけですね。うわー…

O:で、その発表会があったんで…ちょっとおもしろそうだな、と思って何気なく遊びに行ったんですね。

H:においを感じて…

O:そうなんですよ(笑)で、行ったら、第2部が、当時のスコアを使って再演するという…セクステッド(6重奏)ぐらいの楽団がいて。

H:あ、そうなの?

O:で、その楽団のリーダーの人も知り合いだったので…

H:あ、若い人たち

O:渡邊恭一くんっていう、サックスの…去年の漣くん(高田漣)のライヴでも出てたはずです。で、彼はボー・ハンクス(The Beau Hunks)のメンバーと接触したこともあったり、そういう人なんで…

H:あ、そうなんだ。

O:けっこう、おもしろいところにいる人で。彼がリーダーでその楽団を率いてやってるんですけど、その中で"18世紀のサロンにて"を再演したんですね。それがすばらしくって。他にも"ボレロ(Boléro)"だとか、いろいろやったんですけど。

H:演奏だけをやったってこと?

O:演奏だけです。あの、"ボレロ"はエノケンの映画をバックに、実演で…BGM付ける感じでやったんですけど。

H:なるほど。

O:で、その時の話を聞いたら、その栗原さんの楽譜の中に"Powerhouse"もあった、と。

H:名曲…

O:"Twilight In Turkey"もあった…

H:あー、もう、しょうちゅうかけてるね。

O:おそらく"Toy Trumpet"もあるだろう、と。

H:そう。

O:だからおそらく、エノケンの舞台でやってたわけですよね。"Powerhouse"とかを。

H:…信じらんないね。

O:(笑)

H:見たかったね。

O:見たかったですね…そういう事実が。

 

www.waseda.jp

 

H:まあ、それで、エノケンさんが歌ってるのがあるんでしょ?

O:そうなんですよ。その栗原さんが音楽を担当しているエノケンの映画をYouTubeとかでバーッと見てって。

H:うん。

O:そしたらですね…

H:見つけたんだね。

O:『孫悟空』という、1940年の映画の中で…

H:有名な映画だよね、うん。

O:「砂漠よいとこ」というタイトルが一応ついてるんですけど。それを…(笑)"Twilight In Turkey"をエノケンと岸井明が歌っている、というのを見つけましたんで…

H:すごいめずらしいな。

O:それをちょっと…

H:はい。

 

 

砂漠よいとこ - 榎本健一・岸井明 

 

  

H:あれ、これは…"Twilight In Turkey"のメロディは出てこないじゃん(笑)

O:Bメロですよ。Bメロをずっと繰り返してるんですよ。

H:ああ、あそこのね、アラブっぽいとこね。なんだか…ふざけてるね(笑)

O:(笑)砂漠の中で、美女がたくさんいるオアシスを見つけて。

H:なるほどね。

O:お酒を飲んで、歌い踊るシーンですね。

H:榎本健一は僕が小学校の時はまだ人気があったよ。「エノモトケンイチです!」って真似してた、みんな(笑)

O:(笑)

H:これ鳳啓助かな?「ええ、オオトリケイスケでございますけど」。

O:ほぼおんなじ(笑)

H:おんなじだね(笑)

youtu.be

 

www.youtube.com

 

H:さて、この続きの流れでいっていいのかな?

O:いいですよ、はい。

H:こないだ週刊誌見てたら、往年のスターの付き人をやってた人たちの証言、っていう特集があって。まあ、いろんな人が出てくるんだけど、中に森繁さん(森繁久彌)も出てくる。

O:はいはい。

H:で、森繁さんの付き人やってたのがなべおさみさんだ。で、付き人から離れるときに、「お前にはぜんぶ種を植えつけておいた。それが実るのは自分がいなくなってからだろう」って。いま咲いてるのかもね(笑)

O:(笑)

H:いや、いろんなスターの…昔の人たちはおもしろい。んー。杉村春子さんとかね。なんか、みんな背筋がピーンとしてるからね。で、その森繁さんの歌が聴けるんですよね。

O:そうなんです。シンポジウムのときに…当時の日本映画って、著作権に関することがすごい甘かったんで…

H:まあ、そうだろうな。

O:この『孫悟空』の中でも"星に願いを"とかね、使っちゃってるんですよ。メロディをやんわり変えて。だからちょっと、なかなか…今リリースするのは難しいような話があって。で、森繁さんの…1950年のものでですね、『腰抜け二刀流』という…

H:…気になるタイトル(笑)『腰抜け二挺拳銃(The Paleface)』だよね。

O:まんま、隠す気なし、っていう感じですよね。

H:ボブ・ホープ(Bob Hope)、んー。へぇ、それは…ひょっとすると"ボタンとリボン(Buttons and Bows)"なわけ?

O:そう…だと思いますよ?

H:わかんない?

O:いや、聴いてわかると思います(笑)

H:歌ってるだけね?日本語でね。

O:歌ってます。

H:それは聴きたいですよ。

O:じゃあ、聴いてみましょう。

H:森繁久彌さん。

 

 

腰抜け二刀流 -  森繁久彌轟夕起子

 

 

H:これは"ボタンとリボン"に…似てるけど違う曲だね(笑)

O:似た感じですよね(笑)

H:ちょっと変えてるんだね(笑)やっぱり遠慮してるんだ。

O:50年になると、ちょっとそういう意識が…

H:芽生えてくると…ゆるい時代ですよね。ええ。今、大変ですよ。

O:んー…

H:アメリカは知的所有権、すごいですからね。

O:そうですね。

 

H:さて…きょうはなんか、ヘンな世界にさまよいましたけど。

O:(笑)

H:まだあるの?こういうの。

O:いや、さすがに(笑)

H:じゃあ…なんか、きょうの締めを。なにがいいですか?

O:締めですか…じゃあ、もう、日本語のでいいですかね。岸井明の"唄の世の中"って1936年の録音なんですけど。

H:うん。

O:あの、"Music Goes Round and Round"。

H:あー!

O:…を、日本語でやってるんですけど。これもなかなか、良い、ですよ。

H:よかった。

O:ぜんぶ同じなんですけど…鈴木静一さんという方が、さっきの「悟空」も…編曲がそうなのかな。

H:凝ってたよね。うん。

O:で、いまの森繁さんは、作曲が鈴木静一さん。

H:なるほど…

O:で、今回の"唄の世の中"は編曲が鈴木静一さんです。

H:なるほど。では、それを最後にですね…また来週!

 

 

 

唄の世の中 - 岸井明