2018.06.17 Inter FM「Daisy Holiday!」より

 私的永久保存版回、ふたたび…圧倒的情報量でした。

※細野さんの「プロデューサー」発音に熊本訛りを感じる…

 

daisy-holiday.sblo.jp

 
 
H:こんばんは。細野晴臣です。えー、きょうはですね…久しぶりというかな。この番組になって初めてだったかな。s-kenさん、いらっしゃい。
 
S:こんばんは。
 
H:マイク近いね(笑) 「s-ken」という名前になって30年以上でしょ?もっとか。
 
S:そうだね、1981年に…s-kenって最初はバンドでスタートしたんだけど。まあその辺は今度出る回想録でも書いたんだけど。
 
H:うん。
 
S:高円寺に住んでた時に、友達の友達みたいなのが街角で「おう、エスケン!」って俺を呼んだことがありまして、それ以来ずっと、一生の付き合いなんですけど。
 
H:ああそう。
 
S:それでおもしろいことに…当時さ、東京ロッカーズ界隈の人はみんな、(Frictionの)レックだとかラピスだとか、なんか変わった名前のヤツがいっぱいいたんだよ。(Mr.Kiteの)ジーンだとか。
 
H:いたいた。
 
S:みんな本名はよくわかんない、みたいな。
 
H:そうだよね(笑)
 
S:で、その僕をs-kenって呼んだヤツが立ち飲み屋かなんかで俺のことをエスケン、エスケンって言うから立ち飲み屋に来てるヤツらがみんなエスケン、エスケンって言い出しちゃって。
 
H:そうなんだ。自然にs-kenなんだね。
 
S:で、いろいろあって、すったもんだして…1981年にレコーディングの話が来たときに「じゃあもう個人名にしちゃおう」って。
 
H:あ、そうなんだ。s-kenを個人名に。
 
S:そう、バンドの名前だったものが…まあ、よくあるパターンなんですけどね。
 
 
 
H:僕が『TROPICAL DANDY』っていうアルバムを1970年代に作る時に初めて会ったんですよね。
 
S:そうだね、1974年とか?
 
H:そう、そのくらい。
 
S:お互い、だから…26とか27歳ぐらいかな?
 
H:若かったね。
 
S:40年以上前か(笑)
 
H:なんで(会いに)行ったのか…相談しに行ったのかな、僕が。
 
S:回想録にも書いたんで読んでほしいんですけど、それはね、ちょっと長くなるけど。
 
H:うん。
 
S:そういう趣向があって、そういう趣向のもとにいろいろやってたことを…ライトミュージックで働いてた時に、傍でいる人間で通じそうな人、細野さんぐらいしかいなかった(笑)
 
H:ああ、そうか(笑)
 
S:ひとりで考えてるのもね。大体考え自体がさ、流行のことと関係ないわけ。
 
H:関係ないよね(笑)
 
S:やっぱりひとりで考えてるのも寂しいワケですよ。だから細野さんに声を掛けたっていうワケですね。
 
H:あ、僕からじゃなかったんだっけ?
 
S:いや、僕から声を掛けましたね。
 
H:ああ、そうなんだ。まあとにかくね、興奮したんですよ。当時はマーティン・デニー(Martin Denny)が突然僕の中から…記憶がね。子供の頃聴いてたから。
 
S:うん。
 
H:アルバムとか、レコード持ってないからさ。誰か持ってないか、と思ってね、探してたんですよ。で、相談しに行って…河村要助さんが持ってるって言うんで(笑)イラストレーターのね。そんでカセットをもらったんだよ。そっからですよ、だから。
 
S:それのいきさつはね、ちゃんと書きました。
 
H:はい。その回想録が出ます。えーっと…『S-KEN 回想録』、1971年から1991年までのお話が…僕も冒頭読んだんですけどね。ちょっと忙しくて全部は読んでないんですけど。
 
S:意外とね、そのことに関しては色んな人が色んなことを言ってるんで。
 
H:ああ、そう。
 
S:最近になって、いろいろインタビューを受けたり。どうしてこうなったかっていうのを僕の記憶の範囲で、書いたんですよ。河村要助さんは僕がレコードを貸し借りする仲間で、それでかなり経って…僕が貸したレコードがありましてね、ラテンのレコードを貸してくれ、って言うのね。で、30枚ぐらい貸してるうちに、その中にウィリー・コロン(Willie Colon)っていう人のアルバムがありまして。
 
H:ウィリー・コロン、うん。
 
S:で、それが彼はすごい気に入ったみたいで。で、その中で、リコス・クレオール・バンド(Rico's Creole Band)っていうのがあったんですよ、僕が貸した中で。
 
H:うん。
 
S:こういうのがおもしろいんだよね、って言ったら僕に貸してくれたのが、マーティン・デニーも含めて、エキゾチック・サウンドだったんですよね。
 
H:そうだったんだね。
 
S:それはやっぱり…僕はちょっと知らなかったんですよ。もういろいろ、ランディー・ニューマン(Randy Newman)の"Yellow Man"とか、(カール・ダグラス(Carl Douglas)の)"Kung Fu Fighting"とか。
 
H:ちょっとエキゾチック系、ね。
 
S:R&Bの中のエキゾチック・サウンド、チャイニーズ・エレガンスみたいな。
 
H:あったね当時、いっぱい。
 
S:そういうものを集めてたんですね。
 
H:うんうん。
 
S:だから(河村さんは)「元々こういうものがあるんだよ」って(マーティン・デニー等を)教えてくれた。
 
H:そうだね、同時進行っていうか。僕の中でも個人的にそうだったから。まあ、たまたま出会ったワケだ。
 
 
Happy Talk - Martin Denny
 
 
S:さっきの話の中で一つ言えるのは、細野さんのところに僕がカセットテープを貸した、ってくだりがあるじゃないですか。
 
H:はい。
 
S:あの辺はね、色んな人が色んなことを言ってて、それで僕は黙ってたんですけど。コレクターズマガジン、ですか?そこから「実際はどうだったんですか?」っていう話が来たんですよ。
 
H:あー。
 
S:で、マーティン・デニーと実際に会った時の対談とかもその時に載せて。細野さんのシリーズをずっとやってる…ありますよね?それで来たんですよね。
 
H:ありますね、泰安洋行の。
※引用者註:『レコード・コレクターズ』誌上で連載されている「追憶の泰安洋行」(by 長谷川博一)のこと。ここで言及されているのは2017年8月号の回か?(未確認)
 
S:だからさっき細野さんが言ってた話だと、ちょっと違うんですよ。
 
H:違った(笑)
 
S:だから、そこがなんかズレちゃうなあ、とは思ってるんですよ。だからさっき言ったように、僕と河村要助の…僕の回想録の中に「感性が共鳴した人 2人」、当時、河村要助と細野さんっていうね。そういうコーナーがあって。
 
H:うんうん。
 
S:まず、細野さんと会うかなり前から彼(河村)と交流があって、レコードの貸し借りがあって。で、僕は僕でそのエキゾチック・サウンドっていうのは独自に色んな音源を集めてたワケですよ。そしたら彼が「こういう音源が好きだったらこういうのあるよ」って聴かせてくれたのが…
 
 
S:だから「エキゾチック・サウンド」に対する僕の思いっていうのは、当時の原稿にも載せましたけど、いわゆるその…マーティン・デニーだけじゃないんですよね。いろいろあって。
 
H:あったね。
 
S:で、その中の…驚いたのはマーティン・デニーからアーサー・ライマン(Arthur Lyman)から、いっぱいあるワケですよね。で、そういう一群があったというのは僕はちょっと知らなかったんですよ。
 
H:うんうん。
 
S:で、違うものを集めてて、(河村氏が)「こんなのが好きなんだったらこういうのがあるよ」って言うんで知ったのね。で、それに夢中になってる時に…僕もちょうどヤマハで編集やっていると同時にレコーディングしてたんですよ、自分のアルバムをね。
 
H:それは知らなかったね。
 
S:で、そのアルバムの録音をやってて、僕は僕で音を作ってたんですけど…
 
H:ちょっと待って。その音源はどうなってんの?
 
S:その音源は…あの、えーと…それも書いてあります(笑)
 
H:そうか、読むけど(笑)
 
S:で、その(細野さんにカセットテープを貸したくだりの)ことはみんな、色んな人に質問されて。この間もハイロウズの。彼に会ったときに話してたら急にいきなり…
 
H:うん。
 
S:「細野さんのエキゾチック・サウンドのきっかけもs-kenさんですよね」って言われたのね。
 
H:僕もそう思うよ。
 
S:彼みたいな人も知ってるワケね。
 
H:知ってるんだね(笑)
 ※引用者註:2017年、s-kenのソロアルバム『Tequila the Ripper』リリースに伴って行われた甲本ヒロト(元ザ・ハイロウズ、現ザ・クロマニヨンズ)との対談記事。
 
S:だから、この問題はかなり重要なことみたいで。
 
H:そうなんだね(笑)
 
S:僕も色んな人に色んなこと言われちゃうんですよ。だから今回、ちゃんと書こうと思ってちゃんと書いた。
 
H:そうか。読もう!
 
S:僕はその中で最初にインスピレーションしたのはマーティン・デニーじゃなくて、『旗本退屈男』なんですよ。
 
H:(笑)
 
S:そのことが書いてあります。あとはやっぱり、僕らの近くにあるのはチャイナタウンくらいしかなかったんですよね。異人都市みたいなものが。
 
H:そうそうそう。で、最後に僕にひと言くれたんですよ、s-kenが。僕がそういうのを集めてるの知って「チャイニーズ・エレガンスですね」って言ったんだよね。まあ、それがいまの話だよ、つまり。
 
S:その「チャイニーズ・エレガンスだよ」って言ったというのが…細野さんの影響力っていうのはすごいじゃないですか。だから僕がちょっとアドバイスしたっていうだけでも、僕のところにはかなりの質問がね、来てて…
 
H:(笑)
 
S:僕はなにも、25年間言われてもあー、あーって聞いてたらみんな勝手なこと言ってたんで。
 
H:尾を引く話だよ。
 
S:こういうこともちゃんと書いとかなきゃいけないなと思って、今回は書いたんです。
 
 
 
H:えー、絶賛発売中の『S-KEN 回想録』。これはじっくりね、僕も読みたいなと思って。冒頭見てたら、色んな人と繋がりがあるでしょ?s-kenは。
 
S:やっぱり…アタマ(冒頭)に世界旅行をして帰ってくるっていう場面があって、それで帰ってきたら編集をやらされたっていうことで…編集やってると色んな人に出会うじゃないですか。
 
H:うんうん。
 
S:で、いま考えるとその人たちが、細野さんも含めて、みんなすごい人になっているっていうことですね。
 
H:なるほど。まあ、自分(s-ken自身)もそうだよ(笑)
 
S:まあ…(笑)
 
H:いや、こうなるとは思わなかったもん。当時、会った時はね。なんかこう、文学的な人なんだなって思ってたら、パンクになって来たから(笑)
 
S:いや、僕だって(NYから)帰ってきたら(細野さんが)テクノカットになってて驚きましたよ(笑)
 
H:ああ、そうか(笑)
 
S:僕はサングラスで短髪になって帰ってきたら、同世代の人であんまりいないんだけど…少し経ってから近田(春夫)さんとか、遠藤賢司とか、そういう人がニュー・ウェーヴに影響されたりしたんだけど。
 
H:そうだね。
 
S:(細野さんは)いきなり、帰ってきたらもう短髪のテクノカットになってて、こっちはパンクカットになってて…だから、細野さんも驚いたかもしれないけど、僕も驚きました。
 
H:そっか、お互いに驚いてんだね(笑)
 
S:うん。
 
H:あのね、回想録のコメントっていうのかね、いとうせいこうが書いてる。
 
  「エスケンさんがいなければ日本の音楽シーンはこんなに豊饒じゃなかった。あらゆる若い才能をボスはフックアップした。ありがたいことに俺もそのひとりだ。」って書いてますね。いや、そんな人が多いんじゃないかなって思って。鋤田(正義)さんも書いてるしね。んー。
 
  なんかあの、その当時の人脈というか、やってることとか考えると、メジャーの中で大きくなってプロデューサーになったりする可能性もあったでしょ?(結果としては)なんなかった、というか、インディーズに深く入っていったでしょ?
 
S:そういう意識はあんまりないんですけど、いわゆるその…根源的に自分の好きな音楽っていうのがね、やっぱりアメリカに行ってわかったんだけど。いわゆる例えばジャズにしても、R&Bにしても、出どころっていうのはどっちかって言うとスラムとか、そういうところから出てきてるわけですね。
 
H:うんうん。
 
S:僕が行ったニューヨークでかなり影響を受けたパンクにしても、バワリー(Bowery)っていう所は当時は20時くらいに女の子がそこを歩いてたら首を絞められるような所だったんですよ。
 
H:おー、そっか。
 
S:それから、ちょうど同時期の1977年、サウス・ブロンクス(South Bronx)ではヒップホップが興ったけど、クール・ハーク(Kool Herc)にしろ、アフリカ・バンバータAfrika Bambaataa)にしろ、みんな20歳くらいでしょ?
 
H:そうね。
 
S:で、やっぱり恐くて行けなかった所だった。いまのシリアみたいな感じで。放火ばっかりされてて。
 
H:恐いよね。
 
S:それでソーホー(SoHo)ではちょうど、いまのダンス・ミュージックの走りみたいな、ラリー・レヴァンLarry Levan)とかが、パラダイス・ガレージ(Paradise Garage)とか、やっぱり1977年に出てきてる。それはもうゲイ。ゲイしか入れない、みたいなね。
 
H:んー。
 
S:そういうような、日本だと新しいものが出てくるのは青山とかさ、原宿みたいな感じじゃないですか。
 
H:そうだね(笑)
 
S:どっちかっていうと山谷みたいな所から出てきてるワケですよね。
 
H:ぜんぜん、シチュエーションが違うワケだね。
 
S:そうなんですよ。だからそういう意味で…やっぱりそういう所の、特にパンクのシーンで、何人かが頑張ればそういうことが出来てるのを見たから、あの東京ロッカーズだけは、そういう所で、僕が(NYのシーンを)知ってる人間として、まあ天命かもしれないから、ちょっと踏ん張った、っていうとこですね。
 
H:なるほどね。
 
S:僕(個人として)以外にも、いわゆるそのネットワーク(を構築して、支えていく)みたいな部分で。
 
H:それはわかるわ。あのー、本っ当に音楽好きなんだね。
 
S:自分の音楽の好きなものを追求していくと、結局そこかなっていう風になってきちゃうんだよね。
 
H:なるほど。まあ、そこら辺はおんなじだけどね、僕もね。
 
S:あ、そうですか。
 
H:決して、自分をメジャーだとは思わないし、インディーズとメジャーの間でなんかやってる、みたいなね(笑)
 
S:メジャーだとかインディーズだとか、別にこだわっているワケじゃなく、自分がやりたいことをやってる、それが続くまでやろう、と。
 
H:じゃあ、それもおんなじ。んー。
 
S:続いたら…ニューヨークからパワーをもらった、というのは、「あ、そうか。食えなくなったらやめりゃあいいんだ」と。それまで悩むことはねえな、と。で、まあ、この歳までなんか運がよかったのか、やり逃げというか、続いちゃったってことですよ。
 
 
 
H:で、前、アルバムを僕がベースで手伝いましたよね。あのアルバムが素晴らしかったんで。
 
S:あ、よかったですか。
 
H:なんていうの、歳とるとよくなるんだな、と思ってね(笑)
 
S:(笑)コメント書いて頂いてありがとうございました。
 
H:そうですね。
 
S:あのコメントがちょっとシビれましたね。
 
H:なんて書いたっけ?(笑)
 
S:なんかね、「東京の音楽だ」と。でなんか、べらんめえがカッコいい、みたいなことを言われて、それがすごく本質的なことだと思いますよ。
 ※引用者註:細野さんのコメントは次の通り。
 

 「エスケン!人柄も音楽もべらんめえでカッコイイ。

 年を重ねると音楽に渋みが出てきてこの土地柄にフィットする。

 そうだな、日本じゃなくて東京の音楽だ。

Comment - s-ken official site private eye

 

H:はい。
 
S:なんか、気分はアフロ・ビートみたいなものですけど、心の中は。でも(それが外に)出てくると訛りが出るじゃないですか。
 
H:そうだね、東京なんだよね(笑)
 
S:それでいいんじゃないかな、って。訛りが出ないとマズいんじゃないかって。
 
H:そりゃそうだね。それじゃあ、ただの写し、コピーになっちゃうとおもしろくないしね、うん。まあそこら辺も世代が似てるし東京生まれっていうのも似てる、っていうのはあるなあ。
 
S:ありますね。特に…細野さんはぜんぜんその、いつも会って相談しているワケでもない。
 
H:ほとんど会わない(笑)
 
S:ね。でもそれが、なんとなく、どんなスタイルでやろうが、聴いてるうちに奥底で感じてるところがすごく共鳴する、っていうか。
 
H:なるほどね。
 
S:言葉じゃなくて。
 
H:同じですよ。
 
  音楽かけないとね(笑)(s-kenは)プロデューサーとしてもすごい量なんで…で、最近、というかここ数年前なんですけど、いいなあ、と思って聴いてたのが、中山うりさん。素晴らしい女の子。ビックリしましたよ。サンバやってたりね。
 
S:この前レコーディングしてる時に言われてすごい驚きました。
 
H:そうですか。いやー、最初は知らなかったの、s-kenがプロデュースしてるって知らなかった。これ、誰がやってるんだろう、って思ってね。
 
S:(笑)
 
H:そしたらs-kenか、やるなあ、と思ってね。ビックリしましたよ。
 
S:ありがたいことです。
 
H:じゃあその…同時にね、コンピレーションが出るんですよね。6/27に。自叙伝本とコンピレーションの…抱き合わせじゃないですけど(笑)CDが出るんで、これはやっぱり聴きものですね。そのCDの中から、2枚組のDisc1のほうに入ってます。中山うりさんの"マドロス横丁"。聴いてください。
 
 
(from『s-ken presents Apart.Records collection 1999-2017』)
 
 
H:いいね。あの…ベルヴィルを思い出すね(笑)
 
S:なんていうかな、港…生まれ育ちも近くに魚町があり、桟橋があり、小学校の裏も岸壁だったんで、どうしてもなんかこう、港っていうか、それに関してすごく…
 
H:どこら辺の地域なの、それ?
 
S:僕は大森ですね。
 
H:大森か、いいところだ。
 
S:代々うちは品川なんですよ。
 
H:んー。港町か。
 
S:だからやっぱり海と関係あるっていうか。今度のソロアルバムも最後は港から旅立つ、みたいな感じなんですよね。
 
H:僕もそうだよ、港区だからね(笑)
 
S:『TROPICAL DANDY』にもそういう曲がありましたよね。
 
H:海辺っぽいんだよね。まあ、共通点はいっぱいあるな。でもいまの曲も、共通点っていえば、さっき言ったけど『ベルヴィル・ランデブー(Les Triplettes de Belleville)』に影響されてますよね。
 
S:そうですね。その『ベルヴィル・ランデブー』そのものがジャック・タチ(Jacques Tati)だとか、ジャンゴ・ラインハルトDjango Reinhardt)のオマージュみたいのやってるじゃないですか。
 
H:はい。
 
S:その元々のものが案外好きなんで。
 
H:そりゃそうだよね(笑)マヌーシュ(Manoush Swing)、んー…いいよね…
 
S:いわゆるその、そういうブガルー(Boogaloo)にしてもそうなんだけど、ジャンゴ・ラインハルトをポップスとして完成させたものが(日本には)なかったから。
 
H:あー、そうね。
 
S:日本の場合は(マヌーシュジャズを)民族音楽としてやってる人が多いんだけど、それを、その良さを取り入れた日本の音楽にしていくっていう作業で…過去の人はかなりやってたじゃないですか。
 
H:そうね、んー。なんか研究会みたいだね(笑)
 
S:だからそれ(最近は誰も)やってなかったんじゃないかなと思って、とやってみようかな、と。
 
H:そうね、そういうのを表現できる人がいるっていうのもまた素晴らしいよね。
 
S:そうですね、(中山)うりちゃんが現れた時に…持ってるものが…あの声と、ピッチ感があって、どうするか考えてたんですよ。
 
H:うん。
 
S:で、やっぱり高校生のときにはトランペット吹いてたっていう。で、普門館とかでやってたったいうね。その楽器を弾くキャリアをどう活かすかっていうところで、「アコーディオンいいんじゃない?」って言ったら、なんと次の日に買って来たんですよね。
 
H:アコーディオンのセンスいいよね。なかなかいないですよね。
 
S:いないですよ。
 
H:まあでも、そういうs-kenのエッセンスをつぎ込んだんだね、うりさんにもね。
 
S:なかなか珍しい…プロデュースする人ってほとんど自分が片想いっていうかね、そういう人ばっかりをプロデュースできたっていうことはラッキーだと思うけど。
 
H:うん。
 
S:うりちゃんの場合は特に…随分歳が離れてるのに、なんか近いんですよね、センスみたいなものが。じゃあこれは自分のセンス出していいな、っていう。
 
H:なるほど。なかなかね、いないんだよね。
 
S:いないでしょ?(笑)
 
H:僕もやりたいけどいないんだよ(笑)うらやましいよね。
 
S:25年間もプロデュースの世界にどんどん入ってっちゃって…
 
H:そうだよ。プロデューサーとしては、やっぱりプロだよね、それは。
 
S:入ってっちゃったから、だからもう…色んな人に出会うワケですよ。そういう意味ではその中でも…これ(コンピレーション)は近年の、ここ18年間の…
 
H:近年のを集めて2枚組に。
 
S:それで、これからメジャーになっちゃった音源っていうのは入ってません。あの、入れられない。一つのアルバムの中に。
 
H:そうかそうか、バランスがね。
 
S:ここに根っこがあるんで。ここで鍛えたものがメジャーに出て、花開いたっていう。
 
H:メジャーで花開いた人って誰?
 
S:PE'Zだとか、中山うりもそうだし、コーヒーカラーもそうだし。
 
H:そうだね。
 
S:その根っこみたいなものが、1999年に根っこを作ることができた。一つの夢だったんです、自分のスタジオがあって、みたいのが。
 
H:いいよね。
 
S:随分歳を取ってからそういうことができるようになったのは、ラッキーかな、と。
 
H:いやー、なんか、恵まれてるなと思いますよ、ホント。んー。
 
S:運がいいねって言ってくれる人は多いんですよ(笑)
 
H:たしかに(笑)
 
  そういうワケで…えー、1曲しかかからなかったけど(笑)話はホントにキリが無いので。また来てもらうしかないね。
 
S:キリが無いですよ、うーん。
 
H:また来て。お願いします。えー、s-kenさんでした。
 
S:はい。どうもありがとうございました。
 
  

2018.06.10 Inter FM「Daisy Holiday!」より

万引き家族』特集 その2 後編(収録は4.18) 

 

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H:こんばんは、細野晴臣です。さあ、今日もですね、先週に引き続いて、是枝監督と、まあ通訳…通訳っつっちゃうとアレだけど(笑)司会、司会なのかな?
 
門間:なんなんでしょうか(笑)
 
H:門間さん。よろしく。
 
是枝・門間:よろしくお願いします。
 
H:まあ引き続き映画の話など、いろいろしながら進めていきたいと思いますけど。え-と…是枝監督はどういう音楽が好きなのか。
 
是枝:あ、困った…
 
H:困った?(笑)
 
是枝:そんなに造詣が深くないもんですから、音楽…
 
H:では、映画に限って言うと、どんな…?
 
是枝:映画に限って言うとですね……風のように、吹いてくる音楽が好きです。
 
H:おお(笑)
 
是枝:そのシーンに風のように吹いてきて、気がついたら消えてる、みたいなのが本当はすごく好きです。
 
H:なるほど。ああ、そう言われるとそういう風に使われてますね。風のように鳴ってる。
 
是枝:もちろん、音楽がシーンを引っ張っていく、みたいな場面がある映画も、観る分には好きなんですけど。
 
H:ええ。
 
是枝:そこが先行する形を自分の映画の中ではあんまりやってこなかった。
 
H:それは僕とおんなじ趣味です。
 
門間:細野さんもそういう音楽の使われ方をした映画がお好きだということですか?
 
H:まあ、いまの映画ではそうですよね。でも、昔の映画とか観るとやっぱりいいなと思うんですよ。イタリア映画とか。メロディーが立ち上がってくるようなね。泣くような音楽とか。そういうのが好きだったんで。でも、いまの映画には合わないですよね。
 
 最近の映画音楽でいちばんメロディアスだったのはエンニオ・モリコーネ(Ennio Morricone)だったかな。『ニュー・シネマ・パラダイス』辺りだったかな。あれ以来やっぱり、そういうのは無いですよ。あと『バグダッド・カフェ』とか。「音楽」的な使い方をしてるのはそのぐらいかな。
 
 まあほとんど、あとはハリウッドの劇伴ってのはちょっと…もうね、あれはもう手が出ないですよ、ああいうのは。ストリングスで聴かしてくっていうようなね。
 
 ただ、まったく音楽の無い映画も大好きなんです。風の音だけの映画、よかったですね。なんだっけ、あれ。馬の映画…
 
門間:『ニーチェの馬』ですか?
 
H:『ニーチェの馬』。そうそうそう…
 
門間:ビューって音が吹いて、馬が映ってて…
 
H:そうです(笑)
 
門間:是枝さんはたとえば、そういう「風のように吹く音楽」っていう大きな、自分の好きな方向性があって、いざ音楽を作ってもらう時にそれをその音楽家の人と共有していくわけですよね。そういう音楽が欲しいんだ、ってこととか。もちろん作品ごとによって、より具体性があるんでしょうけど。
 
是枝:はい。
 
門間:一回々々、そのオーダーの仕方みたいなものは当然異なるわけですよね。
 
是枝:そうですけど…大体いつもはまず楽器を決めて。
 
H:最初に仰ってましたね。
 
是枝:自分では「今回ピアノなのかな」とか、「今回ギターかな」っていうのをなんとなくイメージしながら曲を聴き始めて…
 
門間:それでイメージを…
 
是枝:まあ楽器なんですよ。ギターが響く映画なのかピアノが響く映画なのかって結構大きく分かれる…
 
H:そっか…困ったな、両方使っちゃった(笑)
 
是枝:今回は、でも、今回はとても…
 
H:大丈夫?
 
是枝:今回はもう、楽器というよりも「細野さんの音を」っていうことだったので。作品によっては…(くるりの)岸田くんに頼んだ時とかは「今回子供が走るのにエレキの音が、ロックで入りたい」みたいな。で、誰にしようかなとなって、ああ岸田さん、って思ったり。そういうことは今までもあります。頼み方としては。
 
H:僕は最初に作り始めたのが冒頭のシーンなんですけど、スーパーでの万引きシーンというか。
 
是枝:はい。
 
H:勝手に作ってたんですよね、最初。思うまんま。で、リリー(・フランキー)さんを観てるとなんかね、気落ちが陽気になっちゃうんですよ。それでね、かなりハジけた音楽つけちゃったの。で、それを(監督に)聴いて頂いたら、首かしげられた(笑)
 
是枝:いやいや(笑)首はかしげてないです。
 
H:いや、「だろうな」と思ってひっこめたんですよね。
 
門間:僕は完成したものを観て、聴いたんですけど…
 
H:それが正しいわけですよ。完成品が正しいんです(笑)
 
門間:万引きのシーンに、ちょっと緊張感もあるような音楽ですよね。
 
 
 
Shoplifters(映画『万引き家族』より) - 細野晴臣
 
 
門間:是枝さんは「このシーンとこのシーンとこのシーンに音楽が必要なんです」っていう頼み方をされてるんですか?
 
H:そうですよね。
 
是枝:基本、最近は「この辺に音が欲しいです」っていうのをお伝えする方が…たぶん作って頂くのにやりやすいのかなって思って、そういうやり方をしてますけど。そうじゃないお願いの仕方をする時もあって。その時は「それぞれの登場人物のテーマ曲だけ作ってください」みたいな。「この人のテーマとこの人のテーマ、この人のテーマと3つください」みたいな…
 
H:それいいなあ、それやりやすいな(笑)
 
是枝:でも、結局それの楽器変えたアレンジみたいなものは、また追加でお願いしていくんですけど。
 
H:そういうの好きですね。
 
是枝:人でテーマを決めてお願いする、というのもあります。
 
門間:『海街diary』とかは?
 
是枝:『海街diary』は、最初実は「4姉妹で季節が春・夏・秋・冬なので弦楽四重奏をあてよう」と思って。
 
H:ヴィヴァルディだ(笑)
 
是枝:色んな弦楽四重奏を聴きながら脚本を書いてて…で、4人にそれぞれの楽器を決めて、とか、最初はそこまで考えてた。
 
H:んー。
 
是枝:ただ、そこまでやるとね…ちょっとやり過ぎかな、と思って、一遍その弦楽四重奏をひっこめて…お願いしました。
 
H:なるほどね。なんかこう、「やり過ぎないように」っていう感じはよくわかりますね。それは僕にもあるんで。
 
門間:じゃあ今回は冒頭のシーンだったり、このシーン、このシーン…みたいな。
 
H:で、エンドロールがね…ちょっとショックだった(笑)
 
是枝:すいません(笑)
 
H:いや、いいんですよ(笑)結果的には、素晴らしいと思いましたよ、今回。
 
是枝:あ、よかったです…
 
H:でもあの、作ってる時は「これはいいだろう!」と。3分半という枠の中でちょっとコラージュ風に作って。うん…まあでも「是枝さんだからこれはダメかな?」とか、ちょっと思いながらも「これはいいんじゃないか」って。複雑な気持ちでね、聴いてもらったんですよ。やっぱり「あ、ダメだった…」というのがあったんで…
 
是枝:(笑)
 
H:まあそれもね、よくわかるんですよね。監督の気持ちが。んー。
 
門間:映画監督と音楽家の関係性の、不思議な…
 
是枝:細野さんにダメ出しした、って言われた時がちょっとアレで…ダメ出しとは違うんです。
 
門間:ダメ出しじゃないんですね(笑)
 
H:いや、映画はね、監督のものなんで…監督がダメと…ダメっていうか、気に入らなかったらもうダメですよ。
 
門間:(笑)
 
H:あのね、かつて有名な話は黒澤(明)監督が武満(徹)さんに音楽を依頼した時に、マーラーかなんかが入ってたのかな、既に。それで武満さんが降りちゃったっていう話は有名ですけど。
 
 まあでもね、すごいですよ。ミュージシャンとしては僕、ソロ作ったりする時は何度も編集してね、とことんやるんですよ。それとおんなじことをね、是枝さんやってらしたんですよ、編集で。何十回って、ギリギリまでやられたんでしょ?
 
是枝:ギリギリを超えてやっちゃってたんで(笑)
 
H:超えたの?(笑)
 
是枝:申し訳ない感じなんですけど…でもやりますね、それは。
 
H:やっぱりやるんだね、とことん。で、満足されたんですね?
 
是枝:しました!
 
H:よかった(笑)
 
是枝:とことん満足しました。
 
H:それを聴いて、いちばん嬉しいです。
 
門間:完成に至るまで、是枝さんは、編集の段階で何度も何度もその試行錯誤を繰り返して…細野さんも完成に至るまで…
 
H:何度も何度もやりますね。だから、編集まで自分でやられる監督っていうのはめずらしいのかしら、日本で。
 
是枝:いま…まあ何人かいますね。
 
門間:最近増えてきてますかね、若い人に。でも是枝さんはずっと…もう、すべての作品の編集をやってらっしゃるんですよね。
 
是枝:そうですね。
 
門間:それは、是枝さんがデビューした時代にはあんまりいなかった気がしますし。
 
是枝:そうですね。僕と岩井(俊二)さんぐらいじゃないですかね。
 
H:やっぱりその、楽しいんですか、苦しいんですか。両方だと思うけど。
 
是枝:あー、両方なんですけど。ただ、もう本当にわかんなくなって、「あ、ここ、こういう映画だった」って一本の道が見えるのはやっぱり編集(の時)なんですよ。
 
H:やっぱりそうでしょうね。
 
是枝:その時の快感は、(撮影の)現場とか脚本が書き上がったとか、むしろ映画が完成するよりも快感度が高いんですよね。
 
H:わかるなあ…それ、ひとりの楽しみですよね。
 
是枝:周りにはもちろんスタッフがいるんだけど、その瞬間の、こう…「見えた!」っていう感覚は完全に自分の中だけのものですね。
 
H:そうなんだよ。
 
門間:あー。
 
是枝:でもそれが見えた時に、なんで今まで見えなかったんだろうって、もう信じらんないくらいなんだけど。でもその瞬間の快感はね、やっぱり忘れらないんですよ。
 
H:それはすごい…味わってみたいね。
 
是枝:でもそれが、後になった時に「や、もしかして違ったかも」って時も結構あるんですけど…それが訪れるまでの苦しみの1ヶ月なんですよね。1ヶ月、2ヶ月…
 
門間:ずっと苦しいんですね、最後のその段階までは。
 
是枝:苦しい。
 
H:まあ時間との戦いだからね
 
是枝:あとわからなくなっちゃって、途中で。自分が何してたか(笑)
 
門間:細野さんも途中でそういう風に、自分はどこへ向かっているんだろうってわからなくなる、みたいな経験もあるんですか?
 
H:僕の場合はね、わかんないまま始めますね。最後までわかんない(笑)最後にミックスして並べて編集しだすと、やっと見えてくるんですよ。だから、そこはちょっと似てるかもしれない。音楽と映画はやっぱり、ちょっと違いますけどね。1曲ずつの問題なんだよね。映画は2時間の中のお話なんで。だから僕には映画は、憧れるけどできないですね。いろんな人に関わってもらわなきゃいけないでしょ。大変ですよね、責任が。
 
是枝:そうですね。でも、周りが動いてくれるので…(笑)
 
H:ああそっか、ある意味では楽なんだ(笑)
 
是枝:ある意味では楽なんです。困ってるとみんな助けてくれるから。
 
 
H:今回カンヌに出られるんですよね?
 
是枝:はい、行ってきます。 
 
H:毎回っていうか、結構受賞なされてますよね、いろいろ。日本のアカデミーもそうですし。
 
是枝:でも日本のアカデミーは呼ばれるようになってまだ、5年ぐらい…それまでずっと、自分が呼ばれる場所だと思ってなかったので。でも、呼ばれ始めても「やっぱり自分が呼ばれる場所じゃないな」と…相変わらず思ってますけど(笑)
 
H:わかりますよ。僕もレコード大賞出たことあるけど。呼ばれる場所じゃないんですよ(笑)
 
門間:細野さんレコード大賞行かれたことあったんですね。
 
H:過去に一度、作曲のアレでもらったりして…つい数年前はドあたまに演奏を頼まれて、あの"Smile"って曲を歌いましたけどね。なんでそういうことをやりたかったのかね、彼らは。よくわからないです(笑)言われるまま…
 
 
 
Smile - 細野晴臣
(from『HoSoNoVa』)
 
 
 
 
 
門間:もうちょっと今回の『万引き家族』の音楽に関して伺いたいなと思うんですけど。
 
H:うん。
 
門間:いつもはギターだとかピアノだとか、まず楽器があるけど、今回の作品に関しては、とにかく「細野さんのつくる音楽」ということを期待して、それを求めてお願いされて。結果として、ギターもピアノも両方あるような音楽にはなってますよね。それは…結果は僕は耳にしてるんですけど、映画を観て。その過程のやりとりに関してもうちょっと伺いたいなと思って。
 
H:最初にお話しした時は小編成…まあギターが結構出てくるだろうと自分では思ってましたから。で、ピアノもよく使うんで。すごいスモールな編成ですけど。
 自分で思ったのは、今回冒頭のシーンを除いて全部ベースが入ってないんです。低音が無いんですよ。それは自分の中では発見なんですよ。「あ、ベース僕、要らないんだ」って思って。ベーシストなのに(笑)
 
門間:そうですね…(笑)気づいたらそういう作り方だったんですか?
 
H:そうなんですよ、ええ。で、なんかブラジルの作曲家のような気持ちになってたりね、してたんですよ。ブラジルの音楽もベースがあんまり入ってなかったりするんで。
 
門間:あの映像を観た時に何かブラジルにつながるものがあった、っていうこともあるんですか?
 
H:んー、なんだろう…そうですね、今までにないタイプの映画なんだろうって思ってね、ドキュメンタリーっていう印象が強かったのもその所為だし。音楽が無くても成立する、と思ってたりね。
 でも観る前はね、いろいろ考えてたんですよ。久しぶりの映画音楽だしね。ちょっと張り切っちゃったりしてね。僕はすごい尊敬してるのが黒澤作品に書いてる佐藤勝っていう。本当に好きなんですよ。で、外国ではイタリアのピエトロ・ジェルミに曲を書いてるカルロ・ルスティケッリっていう。「その2つを合わせたい!」って思ったんですよ(笑)で、それがやっぱりね、行き過ぎの原因なんですよ(笑)
 
是枝:最初に観て頂いた時に、「リリーさんを見ているとイタリア映画のピエトロ・ジェルミが…」って仰られて。で、子供の歩くシーンにギターがスッと入った時に、「あ、これだ」と思ったんだよね僕は、聴いて。この映画の基本の音はこれだ、と。
 
H:そう仰ってましたね。それを聴いてちょっと安心して。まあ後は作り過ぎちゃったりするのはダメだった、とか、そんなような、大した話じゃないですよ(笑)
 
是枝:(笑)
 
H:結果(完成品)がいいんですよ。やっぱり、ああいう風に控え目に扱ってくれるのが僕は本当に…皮肉でもなんでもないですよ、これは。本当に好きなんです。
 
門間:細野さんが前からよく仰ってるのが、映画音楽のお仕事をされる時も、細野さんの方から「もっと音楽少なくていいんじゃない?」って、言われたことあるんですよね?
 
H:あの、巨匠に言っちゃったんですよ。吉田喜重さん。『人間の約束』の時に。余計なこと言っちゃったなあ、とか思うね。ずっと残ってますよ。「言わなきゃよかった」と…だから、なるべくしゃしゃり出ないようにしたいなと思いますね…
 まあ、それだけ僕は映画が好きだからね。映画音楽が好きっていうよりも、映画が好きなんで。いい映画を観たい、って、いつも思ってますからね。大体いい映画の時に「音楽どういうのだっけ?」とかね。あんまり印象になかったりすることも多いわけですから、それでいいんです。それが僕の理想ですから。
 
門間:でも、すごく印象に残ってます、観て(笑)
 
H:そっか、残っちゃったかぁ…今だに自信が無いんですね、僕は、うん。
 
門間:そう仰ってるから、「印象に残りました」って言うと、あんまり映画音楽のことを今回良く言ってないみたいに聞こえちゃったらどうしよう、みたいな…
 
H:いいんです、いいんです。
 
門間:でもよかったし、印象に残ってて。
 
H:適度に印象に残ってくれれば…(笑)
 
門間:そうですよね。
 
H:だからシチュエーションとか、非常に貧しい、下町のね。風景と家族と。あの音楽がホントに合ってるんだろうかって今だにちょっと自信が無いんです。僕は。まあでも、もうできちゃったんで(笑)いいなあと思います。
 
門間:でも是枝さんも、これ言っていいんですかね、試写に伺ったとき、観る前に是枝さんが「納得いきました」と仰ってましたもんね。是枝さんがそういう風に仰ってるのそんなに聞かない気がするんで。
 
是枝:あんまり言わないね。
 
H:だってこれ、構想15年ぐらい温めてたんですよね?
 
是枝:作品自体はそんなこともないんですけど、でもたぶん、この10年ぐらいいろんなことを考えてきたことを…「答え」ではないですけど、一つの形として出したという感じが今回はすごくあるので。あんまり集大成とか言われちゃうと、集大成するほどのキャリアも年齢もまだ重ねてないのでアレなんですけど…でもなんとなく、ここで一つ「。」が打てたかな、という気はしている作品ですね。
 
H:まあこれからは、また楽しみですね。
 
是枝:はい。
 
H:また、お願いしますね。あの、控え目な音楽やりますんで…(笑)
 
是枝:(笑)
 
 
 
門間:ちなみに、CDを3枚持っていらっしゃってるようですが。
 
是枝:「メゾン・ド・ヒミコ」と「銀河鉄道」と…細野さんのばっかり持ってくると媚びてるみたいでイヤだなと思って、で、別のヤツを持って来たんですけど。
 
H:お、なんだろうそれは。
 
 
H:おお!
 
是枝:映画の中で聞こえてきた歌とか音で何か、と思って持ってきて…これ、全然よく知らないんですけど、何曲目かにね"By This River"っていうね、ナンニ・モレッティ(Nanni Moretti)の『息子の部屋』(La stanza del figlio)っていう映画で、すごい印象的に、ラスト近くに1曲かかるんですけど、それが大好きで。なかなか歌詞付きの曲が映画の中で…さっきのお話にもつながるんですけど、でしゃばり過ぎずに印象的に残るってすごく難しくて、なかなか自分でもできないんですけど。これはすごくいいタイミングで、いい音が入るんです。それでちょっと持ってきました。
 
H:じゃあそれを聴きながら、締めましょうか。長い間どうもありがとうございました。
 
是枝:とんでもない、楽しかったです。
 
H:こちらこそ。
 
 
 
 By This River - Brian Eno
(from 『Before And After Science』)
 

2018.06.03 Inter FM「Daisy Holiday!」より

万引き家族』特集 その2 前編(収録は4.18とのこと)

 

※『メゾン・ド・ヒミコ』のサントラ、めちゃくちゃいいですね…

 

daisy-holiday.sblo.jp


 
H:こんばんは、細野晴臣です。えー、いつもはなんか…ざっくりやってますけど、時々…はりつめたゲストが来ます(笑)時々ね。今回は、誰か、と…めずらしい方がいらっしゃってます。映画監督の是枝裕和さん。いらっしゃい。
 
是枝:どうも、おじゃまします。
 
H:はじめまして…というか、ラジオでははじめまして、ですね。
 
是枝:はい、よろしくお願いします。
 
H:で、通訳の…門間…下の名前がわからなくなっちゃった(笑)
 
門間:門間雄介と申します。
 
H:雄介さん、そうだ。通訳お願いしますね。
 
門間:ええ(笑)僕もおじゃまします。
 
H:それで、なんでこういう形になってるかというと、BRUTUSの取材を兼ねてますから、時々シャッター音が聞こえるかもしれないですね。はい。
 
門間:じゃあ…僕の方でちょっとお二人に伺いたいことをいろいろ、伺っていこうと思うんですけど…きょうお二人がお話しして頂くっていうのは是枝監督の新作『万引き家族』が間もなく公開されるということで。
 
H:そうね。
 
門間:で、細野さんが今回音楽を、担当されているということですけど。
 
是枝:はい。
 
門間:なんで是枝さんが、細野さんに音楽を…
 
H:それは僕も聴きたいんだよ(笑)
 
門間:気になりますよね、やっぱり。
 
是枝:そうですね…そうですか。不思議な組み合わせでした?
 
門間:細野さんは、その話を頂いた時っていうのは、ちょっと不思議な感じありました?
 
H:いや、不思議ではないですけどね。以前から周りの…僕の周囲のね、くるりの岸田くんとか、ハナレグミとかね。音楽的な人がやってるんだなと思ってね。そういう情報知ってましたから。別に不思議ではなかったですね。
 
門間:僕も…いや、むしろ、すごくいい組み合わせになるんじゃないのかなっていう風に、話だけ最初に伺った時には思ったんですけど。是枝さんはどういう理由で(細野さんに)お願いされたのかな、と。
 
是枝:あのね、何度か…「あ、細野さんにこれ頼めるといいかな」って思ったことは今までも何度かある。何度かあるんだけど何となく…そこまで辿りつかなかった、ですね、いろんな事情で、きっと。
 
H:うんうん。
 
是枝:それで、今回の話は…すごい、貧乏くさいって言うとアレですけど、貧しい街で暮らしている家族の話なんですけど。そこに映画が留まるのではなくて、何となくその先に少し…詩のようなものというか、寓話のようなものが立ち上がってきてほしいなという思いがあって。
 
H:うーん。
 
是枝:単純にリアリズムの中に沈んでいく話ではなくて…というのがあったもんですから。じゃあ、どういう色とどういう音を、いま自分が書いている脚本に加えていったら、それがより鮮明な形で生まれるだろうかと考えて。初めて組むカメラマン、近藤さんに頼んで…
 
門間:新しい、近藤龍人さんという方が。
 
H:うんうん。
 
是枝:で、細野さんの音の力をちょっと、お借りしたいという…そんな感じです。
 
門間:じゃあ、前々からどこかのタイミングでと、長年思われてたその念願がようやく叶ったということですかね。
 
是枝:あのね…そう。で、もう別の方で出来上がってるからあんまり言いにくいんだけどね、でも作って頂いたものも素晴らしかったから、別にそれに何の不満もないんだけどね。『空気人形』っていう映画を…
 
H:それだ。すごい好きだったんだよ、その映画。
 
是枝:こないだちょっとおじゃました時に細野さんからその映画のタイトルが出て、うわあ、と思ったんだけど。あの映画をやろうと思った時に最初に思い浮かんだのが細野さんだったの。
 
H:あ~、やりたかった…(笑)
 
是枝:そんなことがありまして。
 
門間:意外、でした。
 
H:あの『空気人形』っていうのはすごい思い入れがあるんですよ。なぜかって言うと、あのロケ現場の辺りに住んでたから。まったく同じ景色、いつも見てる景色が出てくるんで…
 
門間:あれロケどちらですか?
 
是枝:あれはですね…川の向こう側が月島で、その反対側なんですけど。
 
H:湊って言われている地帯ですね。もう今は無くなっちゃった。公園とかね。素晴らしい公園があったんだけど無くなっちゃって。
 
門間:あの風景、もう無いんですか。
 
是枝:無くなりました。
 
H:無いんですよ。だから貴重な風景が映ってますね。
 
門間:でも、『空気人形』がそういう風に細野さんと繋がってるっていうのも、ちょっとおもしろいですね。
 
H:それはね、そう思いましたよ。なんでここら辺で(ロケ地を)選んだんだろうとかいろいろ考えましたよ。いろいろ、ロケハンしたんですか、あれは。
 
是枝:しました。東京でどっかこう…なんだろうな、エアポケットじゃないけど、地上げが途中で止まっちゃってるような、そこだけ時間が止まっているっていう場所を探そうと思って。
 
H:ああおんなじだ。僕もそういうところを探してあそこに住んだんですけど…(笑)
 
門間:へえー。
 
H:今回の映画もあそこら辺に近いっていうか…まあちょっと違いますけど、川の方ですよね。
 
是枝:そうですね。今回のも、設定はだいぶ違いますけど、やっぱり周りをビルに囲まれて、そこの一か所だけ取り残されて人の目に触れなくなっている家を舞台にしようと思っていたので、そういう意味で言うとちょっと似てるところがあります。
 
H:うんうん。
 
門間:そうですよね。開発に取り残されて、1軒だけ家がポツンとあるっていう。
 
H:そうですね。花火のシーンがそれ、すごく印象的ですね。
 
是枝:はい。
 
 
 
門間:是枝さんは今回(細野さんに)お願いしたいって改めて思われて、こういう映画音楽を作るやり取りっていうのは…
 
H:これがなんかね、なんて言ったらいいんだろう、ひとりで悶々としてたんですよ(笑)なんでかって言うと是枝さん、パリに行っちゃって。
 
是枝:(笑)
 
H:「これ相談したいな」って時にはいなかったんで…まあ、勝手にやっちゃえって思って(笑)
 
門間:もともと是枝さんは、以前細野さんが作られた映画音楽も、映画を観ると同時に音楽も聴かれて、やっぱりそこで印象に残っているものがいろいろあった?
 
是枝:そうなんですよね。あの…きょうも自前のCD持ってきたんですけど。
 
H:あ、「銀河鉄道」だ。
 
是枝:これを劇場で観て…まあそれ最初は僕、宮沢賢治好きだったので、自分で花巻とか、大学時代に回ったりしていたこともあり、公開当時に観に行って。
 
H:んー、観たんですね。
 
是枝:はい、劇場で。それであまりに音楽が素晴らしくて、CDを買いまして…
 
H:そうですか(笑)
 
是枝:「映画音楽の細野さん」としては僕はこれが最初…
 
H:まあ、あんまりやってないですから。
 
是枝:これはでも、ホントに好きで。
 
H:特殊な仕事でしたけどね、僕にとっては。映画音楽って言うよりも…まあアニメーションそれ自体が音楽的なイメージなんで。いっぱい作りましたね、音楽。
 
是枝:音楽映画みたいな。
 
H:そうなんですよね。
 
門間:僕もリアルタイムで観てるはずなんですけど。まだ本当ちっちゃいころに、あの猫たちの絵と音楽とっていうのが、なんか見たことのないものとしてすごく焼き付けられたような記憶がありますね。
 
H:時々言われますよ。子供時代に観た…まあ男の子が多いですけど、刷り込まれてるみたいなね。そういう人もいるんですよね。
 
門間:1985年の作品のはずなので、YMOを一度休止…「散開」されて、その直後くらいですよね、時期的に言うと。
 
H:そうですね。
 
 
別離のテーマ(映画『銀河鉄道の夜』より) - 細野晴臣
 
 
H:それでね。(『万引き家族』の)ラッシュのフィルムを見せて頂いて、そこにガイドとしてね、僕のそういう…「銀河鉄道」とか「メゾン・ド・ヒミコ」とか、入ってたんですよね。「こんな感じで」って。
 
是枝:はい。
 
H:それを聴いちゃうとね…結構できないんですよね(笑)
 
是枝:そう、それね、いつも悩むんですよ。結構もう、お願いするのが決まると、脚本書いてる時も曲をかけながら脚本書くんで…
 
H:やっぱりね。うん。
 
是枝:で、そのイメージで編集に仮当てをするんですけど。「当てたものを聴かせてください」っていう音楽家の方と、「(音楽を)外したものだけくれればいいです」っていう方と分かれるので、両方作るんですけど。
 
H:あー、わかるわかる。
 
是枝:くるりの岸田くんなんかは「入ってないものだけもらえれば」っていうタイプでしたし。ゴンチチさんとかは「当ててもらったものを見せて頂いた方が参考になるので」って言って、当てたものをお見せしたら「このままでいいんじゃないの?」っていう(笑)
 
H:そうそう、僕もそう思っちゃった(笑)
 
是枝:すごい、ちょっと困るので…難しいところなんですこれ、たぶん。作られるほうも、もちろん難しいんだろうなって思いながら。
 
H:他人の曲じゃなくて自分の曲っていうところが…ちょっとね、混乱するんですよね(笑)
 
是枝:わかります…
 
H:で、自分がつくったものだけど、そういう風にはまた作れないな、って思ったんですよね。昔の自分といまやっぱり、ちょっと違っちゃってるんだなといろいろ考えさせられて。勉強になりましたね。
 
是枝:それは音楽に対する自分の興味とか、そういうものがどんどんどんどん変化していくっていうことですか?
 
H:そうですね。さすがに何十年も経ってますから。「銀河鉄道」からね。
 
是枝:はい。
 
H:だから、あの頃できたことは今できない、ですよね。色んな意味がありますよ。使ってる音源とか、システムが違いますから。ああいう音、音自体がいま、再現性がないんですよね。
 
是枝:んー。
 
H:だから、(ガイドの音楽を)このまま使えればな、なんて思いましたよ(笑)
 
門間:いまのお話で言うと『銀河鉄道の夜』と『メゾン・ド・ヒミコ』という名前も挙がりました。『メゾン・ド・ヒミコ』も細野さんが映画音楽を作られている作品ですけど。
 
是枝:素晴らしい。
 
H:でもね僕はね、実はコンプレックスがあって。音楽作り過ぎちゃうから、ミュージシャンなんでね。職業映画音楽作家だったらツボを心得ているでしょうけど。で、それは『メゾン・ド・ヒミコ』の時には考えながらやったんですけど、それでもまだ過剰な感じがしててね。で、抜いて、メロディーとかもう無い方がいいな、と。最近の映画は特にメロディーが無いですよね。コードの、和音の形でみせていくという。そういう職業的なあこがれもあるんですよね、映画音楽って。だから作り過ぎちゃったなっていうのはありますよね、かつては。
 
 
テーマ(映画『メゾン・ド・ヒミコ』より) - 細野晴臣
 
 
H:で、『メゾン・ド・ヒミコ』の時、試写会に行った時に、山田洋次さんが観に来てて。ひと言ね、近くでしゃべってるのを聞いて。「音楽が、いいよね。」って言ってたんだけど、それは僕には皮肉に聞こえて、いたたまれなくて…(笑)なんかね、音楽のことは憶えてなくていいんですよね。僕はそう思うんですよ、最近。だから、今回観てて。
 
是枝:はい。
 
H:(是枝監督に)お会いした時、観終わった時に「理想的だ」って僕言いましたけど、そういう意味なんですよね。
 
是枝:なるほど。
 
H:なんかこう…出過ぎてないし。なんかすごい安心する(笑)
 
是枝:よかったです(笑)
 
H:はい、よかった(笑)
 
是枝:最初、ラッシュを観て頂いた時に「ドキュメンタリーを観ているみたいな感じがするから、そんなに音楽は主張しなくてもいいんじゃないかな」って言って頂いて。
 
H:そうなんだよ。
 
是枝:それはとても、映像の作り手としてうれしいです。
 
H:まあ、まったく(音楽が)無くても観れる映画ですからね。
 
門間:うんうん。
 
H:いやー、なんだろうあのドキュメンタリー感は。不思議な映画ですよ。
 
 
 あの、ちょっといいですか?会話が素晴らしいんですよね。
 
是枝:ありがとうございます。
 
H:あれは演技指導っていうのはあるんですか?
 
是枝:演技指導…
 
H:放置してるんですか?
 
是枝:いや、脚本を書いてはいるんですけど…ただもう、役者が上手いんですね。
 
H:役者さんの力なんですね。
 
是枝:役者の力が大きいですね。やっぱり今回、安藤サクラさんを初めて撮りましたけど。
 
H:すごいですよね。
 
是枝:僕、自分で(脚本を)書いてるとは思えなくなりました、途中で。彼女の口から出て来た時に…すごく、色んなものにまぶされて、台詞が台詞としては、書いたものとしては立ってこない感じ…
 
H:台詞…だから、日常会話がスムーズに運んでいくわけでしょう。
 
是枝:そうですね。
 
H:で、(樹木)希林さんが和菓子買ってきてリリー(フランキー)さんに渡す時とか、「何だこれ?」とかね。そういうのって日常にはあるけど、映画には無いですよね。
 
是枝:なるほど…
 
H:それがおもしろくて。なんだろうこの自然さは、と。で、リリーさんがなんか…ベテラン俳優ですね(笑)
 
門間:リリーさんは是枝さんの作品では4回目、ですよね?
 
是枝:かな?
 
H:常連ですね、もう。
 
門間:もう常連、ということですよね。だから是枝さんの作品に、特に最近はリリーさんが…居ないとおかしいんじゃないかなって思っちゃうぐらい、一つのものとして感じたりもしています。
 
是枝:リリーさん自体もとてもいいと思うけど、子供の転がし方って言うんですか?は、僕ほとんどリリーさんを信頼してお任せしてるぐらいな感じ。だから、僕が子供からこういう表情欲しいなっていう時には完全にそれをわかってくれて、カメラが子供に向いている時にリリーさんがどういう話しかけ方をしたら(子供が)どう反応してくれるかみたいなことは、完全に演出寄りでやってくれてるから、すごい助かるんですね。一人そういう人がいてくれると。
 
門間:心強いですよね。
 
是枝:心強いです。
 
門間:細野さん、リリーさんとは面識もおありで…
 
H:ずいぶん昔にトークショーで一緒になったことがあって。その頃は、あの人の本職がなんだかよくわからない(笑)イラストも描くでしょ。色んな事やられて…でも話がおもしろくておもしろくて、その印象が強かったんですよ。で、そのうちに、その…ああいう名前だしね。俳優さんになるとは思わなかったんですよね。
 
是枝:いまだいぶ俳優さんの色が強くなっちゃってね。
 
門間:役者さんのお仕事多いですもんね。でもご本人は「役者さんですよね?」って訊くと「そうじゃないんだ」っていう仰り方はしますよね。
 
H:だろうな。
 
門間:(細野さんが今回の映画について)「すごく自然だ」って言うのはきっと、是枝さんは役者さんのおかげだって言ってましたけど、是枝さんのシナリオの書き方が独特だからなんじゃないのかなって思うところもあって。何度も何度も…何段階も書き換えていくじゃないですか。改稿を何度も続けていって。突然新しく付け加えるところもあったりとかして。それでどんどん、役者さんにフィットしたものにしてるのかな、っていう気もするんですけどね。
 
是枝:うんうん。
 
 
 
門間:役者さんはリリーさんをはじめ皆さんよかったですけど、子供たちもそうですし。細野さん、さっきも樹木さんのシーンのこと仰ってましたけど、樹木さんもよかったですよね。
 
H:あのね…見れば見るほど自分にそっくりで(笑)
 
是枝・門間:(笑)
 
H:なんかね、親しみがあるんですよ。
 
是枝:ずっとプロデューサーがね、「なんとかして2ショットが撮りたい」って言ってて(笑)ちょっと実現してないんですよね、今回ね。
 
H:そうなんですよ、会えてないんですよ。
 
門間:あ、それでこの間、細野さんが試写にいらした時に会えるか会えないかっていうところで、結局会えなかったという。
 
H:そうなんですよね。一度ロケの現場に足を運ぼうと思ったんですけど、まあちょっとタイミングが合わなかったんですよね。そこで希林さんと会えるかなと思ってたんですけど。希林さんからそういうメッセージを頂いたりして…なんか、希林さんも双子だと思ってるみたい(笑)ヨーダとか言われたり、いろいろ…
 
門間:希林さんも是枝作品の常連ですしね。
 
是枝:そうですよね、長いね。
 
 
H:まあそんなこんなで、2週目が控えてますので、ここら辺でちょっと一回締めていいですかね。
 
門間:はい。
 
H:はい。じゃあまた来週、お願いします。
 
是枝:よろしくお願いします。
 
 
 バス(映画『メゾン・ド・ヒミコ』より) - 細野晴臣
 

2018.05.27 Inter FM「Daisy Holiday!」より

just a record

 

daisy-holiday.sblo.jp

 
H:こんばんは、細野晴臣です。
 
  きょうはめずらしいゲストが、来てくれてます。リリー・フランキーさんよろしく。
 
リ:よろしくお願いします。
 
H:初めて話す…かな?
 
リ:…え?(笑)
 
H:あれ、そんなことない?(笑)
 
リ:すみません、そんなことないと思います(笑)初めて話す体でいった方がいいんだったらその感じで…
 
H:いやいや。でも、ずいぶん前ですよね。なんかでね。
 
リ:そうですね。
 
H:その頃は、おもしろい人だったんだよね。
 
リ:今でも僕はそんなには変わらないと思うんですけども(笑)
 
H:いやー、最近はあのほら、僕は映画音楽を頼まれて、その主演をなさってるんですけど。
 
リ:まあ主演というか、まあ…
 
H:主演ですよ。
 
リ:そうですか…
 
H:いや、なんか…俳優ですよね、今や。
 
リ:ではないんですけど…なんか、あれですよね、映画って撮影に一日しか行ってないのも、撮影二か月やってるのも「1本」として勘定されるんで。
 
H:ああ、そっかそっか。
 
リ:だからけっこう俺、「去年6本、7本出てましたね」って言うんですけど…
 
H:多い。
 
リ:ひと口出演みたいなの、ものすごい多いんですよ。一日、二日しか行ってないのも。で、一年通して見るとお芝居してる時間ってすごく短いんですけどね。
 
H:あんまりじゃあ、自覚がないんだ。俳優っていう。
 
リ:そんなに大口の、長いスパンで呼ばれることはないですけど…今回細野さんに音楽をして頂いている『万引き家族』は長い時間出して頂きました。
 
H:いやあのー、テーマがなんていうの、こう…家族で、まあ万引きの一家なんですけどね。
 
リ:「一家」っていうとホントに悪そう(笑)親分が居そうな。
 
H:でね、音楽つけるときに、なぜかこう…陽気なマンボが出てきちゃうんだよね、頭の中に。
 
リ:あー。
 
H:それはね、リリーさんの顔見てると…(笑)
 
リ:そしてなんか、プロデューサーや監督と話してたら「最近ちょっと細野さんにマンボブームがきてるけど、やっぱりマンボ感が出てくるんじゃないか」って…(笑)
 
H:出てっちゃったんですよ(笑)そしたら「ちょっとそれは…」って。行き過ぎちゃったのかな、って思ってね。書き換えてました。
 
リ:監督から、是枝さんからオーダーっていうのはあったんですか?こういう感じ、みたいな。
 
H:あのね、もともと僕の音楽がはまってるんですよ、「ここにこんな感じ」っていうんでね。
 
リ:ああ元々のね、実際にあるもの(=楽曲)をね、充てて出してましたから。
 
H:それのね、けっこう影響があるっていうか…(笑)
 
リ:あ、自分の影響をまたもう一回自分で…
 
H:そう、できないんだよね…(笑)自分のマネできないっていうか。だから、逆に違うものを作っちゃったんだ、最初の頃。
 
リ:あえてそっちと違うものを。
 
H:まったく正反対のを。そしたらちょっとやっぱり、「あれれ?」って思ったんでしょうね、たぶん。監督さんは。
 
リ:ま、監督もその、実際に充ててるものに関しては合うと思って充ててるわけですもんね。
 
H:そう、思い入れがありますからね。やっぱり作品は監督のものなので。言うことをきいています(笑)
 
リ:一応、マンボ系で行こうとしていらっしゃったことはホッとしましたね。
 
H:やりたい(笑)リリーさんに合うんだよ。
 
リ:まあちょっと、俺が出てるところだけ深刻みが足りないシーンが多いですからね。
 
H:いや、それが救われてるんですよ、ホントに。だからね、ラッシュ見ながら…演技が、すごい。なんかべらんめえでしょ?
 
リ:下町のお父さんですからね。
 
H:あれがなんかね、印象深いですよ、うん。どちら生まれでしたっけ?
 
リ:僕は九州の福岡…
 
H:あ、違うわ(笑)んー、福岡の言葉は全然(普段の話し方に)無いですよね。
 
リ:無いですね。僕は15歳の時に福岡を出て、九州から東京に来たのが18歳なんで、もう三十何年になる…
 
H:あ、そんなになる?
 
 
H:えーっと…まあちょっと音楽を聴かなきゃね。リリーさんの音楽の好みっていうのは、なんとなくわかるんですけど。
 
リ:はい。
 
H:えー、あの…音頭ですか?
 
リ:今日音頭をリクエストしたばっかりに、なんか音頭好きみたいな…(笑)でも僕あれですよ…ちょうど中3から高1にかけて、もう毎日YMOの1stと2ndをずっと聴きつつ…
 
H:え、そうだっけ?
 
リ:そっからまた細野さんの昔のものに戻っていったり…
 
H:あ、聴いてくれてるんだ。
 
リ:はい。そしてまたその後、(松田)聖子ちゃんや(中森)明菜が好きになっても細野さんの曲を聴き…
 
H:(笑)
 
リ:だから、自分の音楽原体験は相当刷り込まれた中、きょうは細野さんのスタジオを見て感動してますね。
 
H:ええ…
 
リ:それでね、HAS(Human Audio Sponge)の時にも…
※引用者註:NHKの特番「プレミアム10 YMOからHASへ 坂本龍一細野晴臣高橋幸宏 音楽の旅」(2007年7月6日放送)で特別対談を実施。
 
H:ああ、そうですね。
 
リ:お三人と話させて頂いて…ちょっとなんか、15歳の時の俺に教えてあげたいと思ってますね。
 
H:いや、それはでも、知らなかった、というかまあ…そんなに聴いてるとは思わなかった(笑)
 
リ:でも細野さんと一番最初にお会いさせてもらったのが、(桑原)茂一さんが企画したおもしろイベントでお会いしたから…
 
H:そうだ!その時の印象がすごい…
 
リ:(リリー・フランキーは)「おもしろ担当の人」として…YMOとかはっぴいえんどとかじゃない人が来たっていう印象が細野さんにはあるんだと思うんですよ。
 
H:そうそう…いやでもねえ、なんかよく覚えてないけどとにかく、すげえおもしろかったんですよね、リリーさんがね。何やってたんだっけ?
 
リ:なんか、あの…桑原茂一さんと宮沢章夫さんと僕と細野さんが、家から最近おもしろいと思ってるものを持ってくるっていう。
 
H:ああ、そうだそうだ。
 
リ:で、僕が、家から森昌子さんの"中学三年生"の曲の、このイントロのオカリナのピッチは合ってるんでしょうか、っていうのを細野さんにずっと訊いてた…
 
H:そうだっけ。そんなのわかんないな…(笑)
 
※引用者註:2003年4月27日 フリーペーパー「dictionary」主催のイベント「TALK dictionary deluxe」第二夜。「笑いとは何か」というテーマについて桑原茂一進行のもと、宮沢・細野・リリーによる鼎談実施。参考:http://freepaperdictionary.com/article/338/ (2013年のインタビュー)
 
 
H:えーっと、ではね…音楽をちょっとかけてかないとね。
 
リ:はい。
 
H:きょうはね…ずっとこの映画音楽の(仕事をしている)時に、僕はイタリア映画をイメージしてたんですよ。イタリア映画とマンボ、と思ってて…(笑)
 
リ:(笑)
 
H:両方ちょっとダメなのかな(笑)まあ、一番好きな映画音楽の作曲家がいるんですけど、イタリアに。もう今はいないんですけど。あの…監督でピエトロ・ジェルミ(Pietro Germi)。『鉄道員』とか、わらの犬とか。その一連のピエトロ・ジェルミ作品に曲を書いている人がいて、それがカルロ・ルスティケッリ(Carlo Rustichelli)っていう人で。まあ、これを聴いてもらおうかな。ガブリエラ・フェリ(Gabriella Ferri)がカヴァーしてます、「死ぬほど愛して」。
 
 
Sinnò Me Moro - Gabriella Ferri
 
 
H:どうでしょう。
 
 
リ:こういう…改めてこういう風にして聴かせて頂くと、この曲が『万引き家族』でかかっててもバッチリ合うような気が…
 
H:でしょ?(笑)
  
リ:でもやっぱ、魅力的な音楽って映像をすごく支配して自分のものにしてしまうじゃないですか。
 
H:で、それは最近ダメなんだろうね、そういう音楽ないもん、今は。音楽憶えてないような映画のほうが多いですよね。
 
リ:僕もよく昔、家で友達来た時に、映画とかAVとかを音を出さずにかけて僕がDJをしてBGMを勝手に作るっていう…なんか合うんですよね。
 
H:今度やってもらおうかな、映画音楽ね。代わりに(笑)
 
リ:でも、ムービーはいいんですけど、昔ピエール瀧とかと…宮古島かな、石垣島かな?男4人くらいで旅行に行ったときに、僕その時ずっと写真を撮り続けてたんですよ。皆が浜辺で遊んでる写真とか。星の砂を探してる写真とか。
 
H:(笑)
 
リ:で、スチールで僕ん家でプロジェクターで壁に映しながら、僕がいろいろDJをしてたんですけど…スチールでやると、全員が故人に見えるんですよね、在りし日の姿っていうか。
 
H:そうかそうか(笑)メモリアルだ。
 
リ:そして、はしゃいでる写真ほど見てて悲しくなるっていうか…(笑)
 
H:(笑)
 
リ:だからその、やっぱり音楽って当時の状況とかっていうものをまるで違うものに見せてしまう…
 
H:そうだよね。音楽の匙加減で変わっちゃうかもしれないな、と思うね。画面が。だから難しいというか、悩んで…やりましたけどね。
 
リ:ねえ、けっこう…朝までやられてたりとか…
 
H:締切があるからね…
 
リ:締切はわりと守られるほうなんですか?
 
H:わりとね。気が弱いから。気がちっちゃいっていうかね。
 
リ:いま、でも、細野さんが「わりとね」って言ったときに横でプロデューサーが笑ってましたけど(笑)
 
H:ああ、そう?(笑)守るよね?
 
(P:まあ、そうですね…)
 
H:守るって言ってる、ほら。
 
リ:細野さんの会社の人は「守る」って仰いますね。
 
H:でも年取ってからそうなったのかな。
 
リ:あ、そうなんですか。
 
H:年取ってからね、時間に…昔すごいルーズだったのが直ってきて。
 
リ:ええ。
 
H:たとえば今日も「4時だ」って言われたら、1分前でも1分後でもなくて4時に来たい、っていうね。
 
リ:意外と、作家の人って年を重ねれば重ねるほど締切が遅くなるって言われてますよね。
 
H:ああそうなんだ、そうなんですかね。じゃあ逆だな、僕は。んー。
 
リ:じゃあ昔はもう…
 
H:ヒドかった!ヒドかったです…
 
リ:でも昔のレコーディングのペースなんて、もう遅れたらけっこうもう、発売日ずらすみたいなことにすぐなっちゃうペースじゃないですか?
 
H:まあ、そうなんだけど…一人だったらね、そうなっちゃうけど。YMOなんて二人がやってたからね。僕は寝てたりね。
 
リ:(笑)
 
H:たとえばあの、ミックスのときとか…だったかな?数時間遅れて行ったら、そこのヘッドの川添(象郎)さんっていうね、おもしろ恐いプロデューサーが「スタジオ一時間いくらだと思ってんだ!」ってね、怒ってましたね、僕に。
 
リ:そういう生臭い怒られ方が一番恐いですよね、いくら系の怒られ方が…(笑)
 
H:そうそう、響くね(笑)ああ、やっぱり怒られちゃったって思ってね。それからか…ってワケでもないんですよ、ええ。
 
 
リ:さっきの曲は『わらの犬』とかもやってらっしゃる方…なんですよね?
 
H:あ、そうですそうです。
 
※引用者註:カルロ・ルスティケッリが音楽を担当したのはピエトロ・ジェルミ監督の『わらの男』(L'UomodiPaglia)、『わらの犬』(Straw Dogs)はサム・ペキンパー監督による1970年代のアメリカ映画。以下、リリー・フランキーは後者について語っている。
 
 
リ:あの映画で冒頭にスーザン・ジョージでしたっけ、ダスティン・ホフマンが若い嫁さん連れて自分の田舎に戻るじゃないですか。
 
H:うんうん。
 
リ:あの映画冒頭のシーンとか…秀逸だなと思ったのが、スーザン・ジョージが白いピタピタのセーターを着て、ノーブラで田舎町を歩いてるところをどアップで…
 
H:そういうのもね、印象に残るんだよね。
 
リ:(そのシーン)から始まるんですけど、これは只事じゃ済まないぞと、俺は子供ながらに思ったんですよね。
 
H:ああ子供だったんだ(笑)
 
 それで、さっき聴いた「死ぬほど愛して」、ガブリエラ・フェリって人が歌ってんだけど、これのアレンジを聴いてて、あれ?どっかで聴いたことあるな、と思って、思い出したのが八代亜紀なんだよね(笑)
 
リ:(笑)
 
H:日本のね、歌謡曲の原点なんだよな。ちょっとね、聴きながらしゃべっていい?"舟唄"だよ。
 
リ:おお。
 
 
舟唄 - 八代亜紀
 
 
H:ね、ちょっと似てるでしょ?(笑)この鍵盤の感じとか。
 
リ:さっきの感じにちょっと磯風味を強くした感じっていうんですかね(笑)
 
H:そうそう、磯くさい(笑)いやー、だからカルロ・ルスティケッリっていう作曲家は日本の歌謡界にすごい影響力があった。
 
リ:そうですよね。でもやっぱ、歌謡曲は色んな世界中のイケてる音楽を同時進行で使っていくっていう…
 
H:そういうのがおもしろかった時代があったんだけど、今はちょっと、変わっちゃったよね。
 
リ:今はもうなんかこういう…イケてるものは編曲に使おうという、歌謡曲っていう概念がもう無いんですよね。
 
H:残念ながらね。
 
リ:ラテンジャズが流行ったらラテンジャズでいこう、とか。
 
H:そうそう(笑)
 
リ:マンボが流行ったら、タンゴが流行ったらって、もう…無尽蔵に節操なしにいれてた頃がおもしろかったですよね。
 
H:おもしろかった…1950年代、1960年代ぐらい、ね。おもしろかったね、日本も。なんか最近…おもしろくないんだよな。
 
リ:(笑)
 
H:えーっとじゃあね、ルスティケッリの…さっき「わらの犬」(って言ったけど)…じゃなくて「わらの男」のほう、聴いてみてください。
 
 
L'uomo di paglia - Carlo Rustichelli
 
 
H:1分9秒しかない。
 
リ:でもやっぱ…こうやって聴くとこの曲も『万引き家族』に合いそう…(笑)
 
H:でしょう?(笑)
 
リ:なんかあの辺の、下町歩いてる感じとかね。
 
H:そういう…初期はね、やる前はそう思ってたの。イタリア映画、カルロ・ルスティケッリと日本で言えば『用心棒』みたいな、あの映画のマンボみたいな。これやったらおもしろいだろうな、って思ってたんだけど、今はマジメにやってます。
 
リ:(笑)
 
 やっぱりご自分の作品をやるのと映画音楽もね、たくさんやってらっしゃいますけど、やっぱりその、面持ちというか…
 
H:いや両方ね、好きなんですけどね、映画音楽つけるの。でも、やっぱり監督の作品なので、監督の言うことが絶対、ですよ。でもソロは自分勝手にやってますから…
 
リ:(笑)
 
H:まあ自由ですよね。その代わりシバリがあんまりないんで、映画のほうがこう、自分で思ったことがないような音ができてきたりするんで、おもしろいよね。
 
リ:宿題があるほうがまたなんか違うものがつくりやすいってのもありますよね。
 
H:そうですね、んー。リリーさんは演技の勉強なんてのはしてないですよね?
 
リ:そうですね(笑)してないんですよね。
 
H:天性の…やっぱり才能ですね。
 
リ:なんていうんですかね。今でもワケがわからずにやってるんですけども…
 
H:監督さんにすごく好かれてますよね。あらゆる監督さんというかね。
 
リ:んー、たぶん、最初から僕に興味を持ってなかったら呼ばれないので…
 
H:いやいや、あの…他にこういうキャラが少ないんですよ、たぶんね。なんかこう…外国にはいますよ、へ、ヘンなっていうか…(笑)
 
リ:(笑)
 
H:おもしろい…なんていうんだろ、こう、んー…今時の若者じゃない、俳優さんってなかなか貴重なんですよね、んー。
 
リ:いやでもなんか、そうですね…今回是枝さんに出して頂いて、そして細野さんが音楽だって聞いてちょっと小躍りしましたもん。
 
H:(笑)そっかそっか…では、もう一曲、カルロ・ルスティケッリの…何がいいかというと…これ日本人が歌ってるんだけど…
 
リ:それは元ある映画音楽のメロディーに歌詞をつけて歌ってるっていうことですか?
 
H:そうそう。あのね、『誘惑されて棄てられて』(Sedotta e abbandonata)っていうおもしろい映画があって、すごい好きなんですけど。
 
リ:もうタイトルが映画の全てを言い表している…(笑)
 
H:ステファニー・サンドレッリ(Stefania Sandrelli)っていうすごい美人の女優さん…当時ね、が主演だったんですけど。それの音楽が良くて、日本の人がカヴァーしてて日本語で(歌詞を)つけてるんですけど、それを聴いてみてください。「誘惑されて棄てられて」、歌ってるのは牧村旬子さん。
 
 
誘惑されて棄てられて - 牧村旬子
 
 
 
リ:やっぱりこの…曲調はヨーロッパの音楽ですけど日本語が入ると…ヨーロッパ的なものに日本の怨念が載りますね(笑)
 
H:日本の人が歌いやすい音楽なんだろうね、このイタリア映画の。
 
リ:うんうんうん。
 
H:僕は子供の頃に映画を観に、母親に連れていかれて、予告編にピエトロ・ジェルミの新作予告編っていうのが(あって)ね。『鉄道員』(Il Ferroviere)っていうのがあって。まあすごい暗いんですよね。大人になって観ると素晴らしいんだけど。予告編が特にその…暗い短調の音楽が鳴ってて、女性が泣き叫んでる。そういうサントラがあるんで聴いてみますか?
 
リ:はい(笑)
 
H:じゃあ「鉄道員のテーマ」です。
 
 
Il Ferroviere - Carlo Rustichelli
 
H:というわけで…(笑)
 
リ:霧が深い…(笑)
 
H:そうそうそう(笑)
 
リ:これは、イタリアの方が聴くと暗い方面なんですかね、エレガントに感じるんですかね。こういう音楽っていうのは。
 
H:なんだろうね、イタリア人って陽気かと思うと、こういう暗さはすごい多いよね。なんか深刻だし。
 
リ:そしてまたなんかイタリア語とかイタリア人の名前とかって、叫ぶ音に合ってますよね。ああいう「マルチェッロ!」みたいな時とか(笑)
 
H:そうそう(笑)
 
リ:声を張っても暗く感じるっていう言語なんでしょうね。
 
H:そうなんだね(笑)そういうなんかこう、短調の世界って今、日本に無くなっちゃったんだよね。
 
リ:んー。
 
H:この作家、カルロ・ルスティケッリってマイナーの音楽ばっかりなんだよね。イタリア人ってそうなのか、って思って。日本人逆に明るくなっちゃって、今。
 
リ:でもなんか短調のもののほうがいわゆる…昔は戦争を鼓舞させる気持ちにさせるのは明るい音楽じゃなかったみたいですけど。日本は逆に明るいほうで鼓舞させてね、やっていたんですけど。
 
H:そうそう、そうだったみたいね。んー。
 
 いやあ、話は尽きないんですが…きょうのゲストはリリー・フランキーさんでした。
 
リ:(笑)
 
H:また映画、楽しみにしてます。
 
リ:いや、もうご覧になってるはずです(笑)
 
H:いやいや、また新作もね、これからあるでしょうから。じゃあ、まあどこかで。
 
リ:ぜひ、また呼んでください。
 
H:お願いします。どうもありがとう。
 
 
 

2018.05.20 Inter FM「Daisy Holiday!」より

伊賀航ショウのBGM(前テーマ・ED?・ジングル)ほんとに好き…

 ※声の聞き分けは多分にフィーリングに依拠しています

 

daisy-holiday.sblo.jp

 

 
 
 
H:こんばんは、細野晴臣です。
 
  えーと…5月20日日曜日の深夜に放送されている今回のDaisy Holidayですけど… 実は今は5月9日、水曜日の午後3時過ぎです。都内のスタジオで、5月12-13日に福岡・海の中道海浜公園で行われる「circle '18」のリハーサルのため、いつものメンバーが集まってます。
 
  ではここから、おなじみの…”伊賀航ショウ”を、やってもらいたいと思います。よろしくね、伊賀くん。
 
伊賀:伊賀航ショウ!
 
一同:(笑)
 
高田:自分で言うようになったんだ…(笑)
 
伊賀:よろしくお願いします(小声)
 
大地:前向きですね…
 
伊賀:伊賀航ショウの前テーマ。
 
H:あるんだ(笑)
 
∽∽∽∽∽∽∽∽(前テーマ)∽∽∽∽∽∽∽∽
 
 
伊賀:こんばんは伊賀航です。ベース弾いてます。さて、いま、細野さんが言って…くださった…(笑)
 
H:(笑)
 
伊賀:ごめんなさい、これは…これは放送しないでください(笑)
 
◇◆◇◆◇◆◇(ジングル)◇◆◇◆◇◆◇◆◇
 
∽∽∽∽∽∽∽∽(前テーマ)∽∽∽∽∽∽∽∽
 
伊賀:「さて、いま細野さんが言って下さったように、きょうは5月12-13日に福岡・海の中道海浜公園で行われる「circle '18」のリハーサルで、メンバーが集まっているわけですが、全員が集まるのは」…えー、「香港ツアー以来」…えー、半年ェ、経ってないですが…
 
一同:(笑)
 
高田:どうしちゃったの…(笑)
 
伊賀:半年、ぐらい…あっという間、ですねー。えー……「だいぶ経ちましたが。」
 
高田:(笑)
 
伊賀:えー、「伊賀さん。」あっ…
 
H:自分じゃない(笑)
 
一同:(笑)
 
高田:読み過ぎだよ伊賀くんこれ!(笑)
 
伊賀:はい、えー…「香港・台湾での印象に残ったエピソード」…いきなりすぎてちょっと思い出せないんですけど。えー、あ、これ長くなってもいいんですか?いいですか。あ、短くする…あのー。
 
高田:(笑)
 
伊賀:台湾はですねホントにもう、コンビニに行ってすっごいビックリして、もうその後部屋から出れないようになりました。
 
H:なんで?(笑)
 
伊賀:なんでかって言うと、コンビニに行ってレジで買い物しようと思ったら、あのー、お金払ったら袋が出てこなくて、あのコンビニ袋みたいなもの。それで、「あ、袋ないんだ」って思った瞬間、もうビックリして…
 
高田:有料なんだよね、あれ。
 
伊賀:それで、レジの人に、たじろいだ顔見せたら、「袋?」って、日本語で台湾の方に言われて、「袋です」って言って、なんかお金見せたらそれをこう、取られて、で、袋出してもらって、それに自分の買ったもの詰めたんですけども…コンビニに行くだけでこんなに様子が違うんだって思ったら、街に出るのが怖くなっちゃって。
 
高田:(笑)
 
H:弱虫…すごい弱い(笑)
 
高田:大丈夫か伊賀くん…(笑)
 
伊賀:(笑)それで次の日…あ、次の日ライブだったんですけども、その次の日まで部屋にいました、呼ばれるまで。そんなことがありました。みんなはすごい楽しんでたようです。
 
H:普通だよ(笑)
 
伊賀:普通…まあそうですよね。外国、でもあのー、なんていうか街並みとかはすごい、日本と違っていいなーっていう風な、そういう印象はあるんですよ、あの、まあ、香港とか。あ、香港の話をしますと、香港…
 
H:一人でしゃべってる(笑)
 
一同:(笑)
 
伊賀:(笑)まあ、こんぐらいでいいか。じゃあ皆さんの…あ、皆さんの話がいいですか?
 
H:そう、皆さんに訊かないとダメなんじゃないかな。自分だけしゃべって…
 
伊賀:そうですね、じゃあ皆さんに訊きましょう。じゃあまずあのー…ここにいる伊藤大地くん。
 
大地:あ、はい。どうも、あの、こんばんは。
 
伊賀:ええ、思い出はなんか、ありますか?
 
大地:本番前、香港で漣さん・伊賀さんと船に乗りに行ったのが楽しかったですね。あと、香港に着いた夜の夕飯も忘れられません(笑)
 
H:んー…すごいね、あれ。
 
大地:シーフード出てきて…
 
H:ゲテモノ…まで行かないけどさ。
 
高田:まあ限りなく、そんな感じでしたね。
 
大地:ハトがそのまま出てきたり…しましたね。
 
H:出た出た(笑)
 
高田:あとシャコ。
 
H:シャコみんな食べないねえ。
 
大地:シャコ余りましたね。
 
高田:硬かったっすよね、確か。
 
H:盛り付けがすごいんだよね、シャコって。すごいよね、虫だもん。
 
大地:いちばん食べれたのがエビの下のパスタですね。パスタがおいしかった…とか、そんな感じです。はい。
 
 
伊賀:あのー…えー…卓史くん。
 
大地:卓史(ツアーに)行ってないです。
 
一同:(笑)
 
H:行ってなくてもいいからしゃべったら?(笑)
 
 
 
伊賀:行ってないとして、どうですか?
 
高田:行ってないとしてどうですかって…(笑)
 
野村:いや、俺も結構海外行くと色んなことにたじろぐタイプなんで…レジ袋でたじろいだ伊賀さんの気持ち、わからんでもない。
 
 
伊賀:何でたじろぎました?最近だと。最近じゃなくてもいいっすよ。
 
野村:そうっすね…俺、金魚飼ってて、ツアーに出る時とか、自動的にエサをあげてくれる装置を付けるんですけど。それで一週間ツアーで空けて戻ってきたら、その装置初めて使ったんですけど、エサをあげ過ぎてて…水槽の中がエサだらけになってたのはすごく驚きましたね。
 
伊賀:驚くねそれは(笑)
 
野村:あの、全信頼をおいて、その機械に。金魚の命を預けて来たのに、そんなデタラメなことになってて…
 
H:金魚はどうだったの?
 
野村:金魚は生きてますよ、元気に。
 
H:あー、ならよかったね。太っちゃった?
 
野村:太ってましたね(笑)
 
高田:水槽が…
 
野村:汚くなってて…はい、以上です。はい。
 
伊賀:それはたじろぎますね(笑)
 
野村:(笑)
 
H:独特だね、ふたりは(笑)
 
高田:日本でたじろいだ話ですね。
 
伊賀:外国は、ないんですか?そういうの。
 
野村:外国は…そんなに行ったことないんですけど、カナダ行ったときとか、夜になると店が全部閉まってて。打ち上げをしようと思っても何のお店もないし、12時でアルコールを売らなくなっちゃうから…それで、色々困ったことはありますね。
  
伊賀:ありがとうございました。… じゃあ漣くんは、印象に残ったこと、なんかありますか?
 
高田:そうっすね、あの…まあ、真面目な話をすると…台湾も香港もすごい大盛況だったっていうか。台湾はなんとなく行く前から(人づてに)熱を伝えられてたんですけど、香港とかはやっぱりどんな状態で、どういう場所でっていう情報も全くないままで。正直ステージ出るまで、やっぱり僕らも不安だったんですけど…出番前に細野さんがサイン会みたいのに、行かれたんですよね?
 
H:あー、呼ばれた。ロビーのほうに行って、うん。
 
高田:それまで細野さんも心配されてたのが、それから帰ってきたら「もう大丈夫!」、っていう。
 
H:聞いてたのは、こう…音楽関係者が来るから取材みたいな事だと思ったら、サイン会だった(笑)
 
高田:出番前にサイン会っていうのもめずらしいですよね(笑)
 
H:まあでもそれがあって、ああ大丈夫だなって思って、うん。みんなよく知ってるんだもん、ビックリしちゃった。
 
伊賀:みんななんかこう、待ち焦がれてたみたいな感じだったっすよね。
 
H:行ったことないからね。パンダみたいなもんだよ。
 
高田:なんか、お客さんも色んな層の人がいて、若い人もいたし。それがすごいおもしろかったですね。
 
H:だからこう…アジアで共通した何かがあるのかな。
 
高田:ですかね。
 
H:なんか、ぜんぜん気が楽になったよ。また行けるな、って。
 
高田:行きましょう。
 
H:うん。
 
 
Hong Kong Blues - Hoagy Carmichael
 
∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵(ジングル)∵∴∵∴∵∴∵∴
 
 
伊賀:さて…そ、え…あ、いいですか?どうしましょうか…
 
一同:(笑)
 
(スタッフ:つづけて!)
 
伊賀:次の話題、いきますか。「さて、毎年恒例の「circle」ですが、細野さん、このフェスの印象はなにかありますか?」
 
H:あのー、海辺だしね。演奏者から海の方が見えるんだよね、んー。だからいつも、お客さんに後ろ向いて、って言ってるんだけどね。
 
伊賀:みんなで海を見る(笑)
 
H:そうそうそう。
 
伊賀:あっ、若者…
 
H:なんだって?ちゃんと言って(笑)
 
伊賀:若者…若手の交流が結構ある…
 
H:去年そうだったんだよね。それで知り合ったのがnever young beachとか、えー…いろいろね(笑)
 
伊賀:もうなんか、打ち上げしてると、周りからもう、細野さんと話したそうな若者がいっぱい…
 
高田:ね、ほんとに。
  
H:ホント若いね、みんな。20代だもんね。
 
伊賀:みんな細野さんの音楽聴いてきて。
 
H:なんかあの…その間を通り越して20代とは話が合うのはなんでかな?聴いてる音楽がおんなじなんだろうね、んー。
 
高田:それこそ香港とか台湾のお客さんとかも、なんか、そんな感じでしたもんね。すごい若い子たちだった。
 
H:「全部ソロ持ってます」っていう若い女の子がいたりね。ちょっと嬉しかったね。エヘヘ。
 
一同:(笑)
 
伊賀:今年もいると思いますよ。
 
H:どこに?(笑)
 
伊賀:打ち上げに。
 
H:ああ、打ち上げに?…ああ、若い女の子じゃなくてミュージシャンね(笑)打ち上げいないもんね、そういう人。
 
 
伊賀:はい。さて、じゃあ、え-と…今回、それぞれ(細野さんのバックバンドとして以外にも)グッドラックヘイワ高田漣としてみんな出演しますが、大地くんと卓史くん、蓮くん、それぞれ意気込みを聞かせてください。
 
H:意気込みなんてあるの?(笑)
 
伊賀:意気込みを!
 
H:意気込んでるね…(笑)
 
高田:放送してる時点ではもう終わっちゃってるもんね(笑) 
 
野村:20日に放送されて…フェスが終わった後ですよね放送は(笑)
 
伊賀:え、カット?
 
H:カットされちゃった(笑)
 
 
∃∃∃∃∃∃∃∃∃(ジングル)∃∃∃∃∃∃∃∃
 
(伊賀:「さあ、そして、いよいよ来月はロンドンです。」)
 
(スタッフ:あ、ちょっと、オンマイクでお願いします。)
 
伊賀:あ、すみません…「さあ、そして、いよいよ来月はロンドンです。」
 
H:オン過ぎない?(笑)
 
伊賀:「さあそして…いよいよ来月はロンドンです。」
 
H:んー。
 
伊賀:「6月23日にロンドン公演、25日にはブライトン公演。実は、ロンドン(イギリス)に行くのが初めてという人、手を挙げて!」はーい。あれ?
 
H:あーなんだ自分だけ…(笑)
 
大地:伊賀さんだけ?(笑) 
 
高田:伊賀くんだけだ(笑)
 
伊賀:あれ…初めて、じゃあ僕、初めてっす。細野さんはいつ以来ですか?
 
H:えーっと…4,5年前に行ったっきりかな。うん。
 
伊賀:それは演奏で行ったんですか?
 
H:あのね、バルセロナで「sonor」出た帰りに、ロンドンでもなんか、クラブでやったんだよね。高橋幸宏と、二人で。
 
伊賀:YMOじゃなくて?
 
H:二人だけだったね。
 
高田:その後にYMOも行きましたよね…?
 
H:あ、行ったか。
 
高田:でも、それもたぶんもう10年ぐらい前…
 
H:そんな前か。ちょっと時間感覚がわからない…(笑)
 
高田:(笑)
 
H:その時でも、ロンドン行って「あれ?」って…昔ね、ニューウェーヴの頃YMOで行ったじゃない。その時は、もう面白くて面白くて、ロンドンがね。面白い人がいっぱい歩いてるわけだ。でも、10年ぐらい前からもうヤッピーしか歩いてない。クラブもなんか…背広着てジーンズ履いてるような…(笑)おしゃれな人がいないんだよ。「あれ?」って思いましたけどね、うん。
 
伊賀:残念な…
 
H:残念っていうか、まあ世界中がそうだったからね。別に驚かないけど。
 
※引用者註:細野さんはスケッチ・ショウ(高橋幸宏+細野晴臣)として「sonar 2003」に出演。 翌年の「sonor 2004」にはHuman Audio Sponge(スケッチ・ショウ+坂本龍一)名義で出演。ややこしい。
 
 
伊賀:えー、リサーチマンの…「リサーチマン伊賀航のロンドンのお客さん情報」。
 
H:お、あるんだそういうの。
 
伊賀:いや僕…リサーチはして…ちょっとはしてます!でも。あの、最近ジム・オルーク(Jim O'Rourke)さんと一緒に演奏する機会があって、その時に「細野さんでロンドン行くでしょ?」っていう風にジムさんに言われて、行くんだっていう話をしたら、でジムさんに「細野さんロンドンでウケますかね?」って訊いたんですよ。そしたら「絶対ウケる!」って言ってました。
 
H:ああ、ジムがそう言ってた?えー。
 
伊賀:なぜなら、やっぱり昔からのファンもたくさんいるし、細野さんの音楽を今でも追ってるっていうか、好きで聴いてる人ってロンドンに結構いるみたいなことを知ってるみたい…で、そう仰ってたんで、間違いないです。
 
H:よかった…
 
伊賀:僕の少ないリサーチ結果を発表しました。
 
H:いやいや、重要だよ。
 
高田:心強いじゃない。
 
伊賀:あ、本当ですか、よかった…
 
H:そこが一番だって不安だもん。全然ウケないと思って…今はね?今までそう思ってるんで、少しは安心するよ。
 
伊賀:意外と…意外とっていうか、香港の時もちょっと不安っていうか、どうかなって思ってたけど、演奏する前にもう盛り上がってる感じが伝わってきたし…なんか細野さんがライブ始めたときに、MCとか、普通に静かに英語でやるだけで笑いが出てたし…
 
H:そうだっけ?(笑)なんか面白いこと言ったかな?
 
伊賀:な…心つかんでた?
 
H:(笑)
 
伊賀:それ、僕の判断かもしれないですけど…(笑)
 
H:いやいやいや、ありがたい判断で、ええ。
 
伊賀:だから、大丈夫だと思います。
 
H:いやー、ロンドンは英語じゃない?…全然ダメだよ。
 
伊賀・高田:(笑)
 
H:台湾・香港はね、なんとなくほら、ごまかせる。日本語をまじえたり。
 
伊賀:(イギリスは)英語に厳しいですからね。
 
H:発音ちゃんとしなきゃな、とかね。思うよね。
 
伊賀:ああ…
 
H:だからあの…日本に来るじゃない、外国からね?で、ひと言もしゃべらない人が多いじゃん。まあ英語はしゃべってるけどね、英語の人は。あのレオン・ラッセル(Leon Russell)っていう人が来たときは、ブルーノートで観たら、ひと言もしゃべんなかった。お客さんのほうも見なかった。横向いてピアノ弾いて、終わったらパッと帰っちゃった。あれはどうかなと思って。もうちょっとこう…媚を売りたいな。
 
一同:(笑)
 
H:みんながやって、それね。
 
伊賀:まあ大地くんとかは英語、ね。
 
大地:全然しゃべれないですよ(笑)
 
H:あ、そうなんだ。頼もしいな。司会やってよ!
 
大地:いやいや、ほんとに…Thank Youしか言えないです。
 
伊賀:大地くんと、あと漣くんはいけます、漣くんはすごい。
 
H:あ、そうなんだ。レニー。
 
高田:いやいや、すごくはないですよ。
 
伊賀:ネイティブ。
 
高田:ネイティブって…おかしいじゃん使い方が(笑)ネイティブじゃないっすよ(笑)
 
伊賀:違うか(笑)
 
H:ネイティブ・アメリカンでしょ?(笑)
 
伊賀:結構でも、漣くんは英語…いけるんですよね。
 
高田:もうでも全然…長いことしゃべってないから。言ってることは分かりますけど、伝えられないですよ。
 
大地:伝える方が難しい。
 
伊賀:香港の時もけっこう、普通に会話してたから、英語で。僕もう…外人かと思いました。
 
高田:伊賀くんの中の外人のハードルがすごく低いんだと思うよ(笑)
 
伊賀:Yesって言えればもう…(笑)すみません、ハメをはずしてしまいました。
 
H:いえ、それほどでも…
 
一同:(笑)
 
 
伊賀:はい、えーっと、「ロンドンでの」…あっ、卓史くんどうですか?
 
野村:はい?
 
伊賀:ロンドンに対する意気込みとか。今回、一緒に行くじゃないですか。
 
野村:はい、香港・台湾は一緒に行けなかったんですけど今回は一緒に…
 
伊賀:どうですか、なんか…不安ですか?
 
野村:いや、あの…(笑)
 
H:不安を煽るな(笑)
 
野村:「不安ですか?」っていう言い方…(笑)
 
伊賀:なにが楽しみですか?
 
野村:単純に楽しみですよ、海外行くの自体も。ヨーロッパ圏、ホントに20歳の頃以来なので。
 
伊賀:やっぱ行ったことあるんですね…
 
野村:そこ?(笑)伊賀さんなんか、拗らせてるんですか?(笑)
 
伊賀:いやいや…でも、パスポート取らないとね。
 
野村:僕は去年グッドラックヘイワで、インドネシアでやったので…パスポートは大丈夫です、はい。
 
伊賀:どうですか、意気込みは。
 
野村:意気込みは…なんというか、楽しみたいなと、はい。あまり緊張せずに。楽しめたら最高だなと思ってます。
 
 
伊賀:ありがとうございます。あ…「ロンドンで何か特別な曲を披露する予定はありますか?」
 
H:あ、僕…僕かい?(笑)いや…考えなきゃなとは思うんだけどね、まだ考えてないんだよね。
 
高田:追い追いですね。
 
H:なんかアイディアがあったら教えて、伊賀くんからもね。
 
伊賀:あ…ありますか?
 
大地:や…か…
 
H:みんなないんだよ(笑)ないの知ってる。
 
大地:台湾・香港はね"風をあつめて"とかやって、歌ってましたけど。
 
高田:あと"Hong Kong Blues"とかね。
 
大地:「London Blues」。
 
野村:なんか違う…(笑)
 
大地:そうですね…
 
H:わかんないね、まだ。んー。
 
伊賀:そうっすね、追い追いですね。
 
H:うん。
 
伊賀:えー…あ、「ところで皆さん英語は大丈夫ですか?」
 
高田:それさっき言ってたじゃん(笑)
 
大地:もう触れた話題…(笑)
 
 
 
 from 『Vu Jà Dé』
 
 
 ☆★ ☆★ ☆★ ☆★(ジングル) ☆★ ☆★ ☆★ ☆★ 
 
 
伊賀:じゃあ締めますね、あ、締めますっていうか…「今回も楽しい旅になりそうですね!」
 
H:シーン…
 
一同:(笑)
 
高田:急に読むね…(笑)
 
§§§§§§§§§§§§(ED)§§§§§§§§§§§§§
 
 
伊賀:あ、もう終わりでいいですか?「というわけで、いかがでしたか?今回の伊賀航ショウ」。「伊賀さん的にロンドンで楽しみにしていることをひとつ」。え、俺…あの…そうですね…楽しみって言えばもう、全部が楽しみなんですけど、飛行機からなにから。ヨーロッパに行く飛行機に乗る…ってか、ヨーロッパの景色を見るっていうだけでも相当…いや、ヨーロッパのにおいを嗅ぐとか…
 
H:イギリスだけどね。
 
伊賀:そうだ、ロンドン…ロンドンのにおいを嗅ぐとか、あとはなんかこう…色とか。
 
一同:(爆笑)
 
伊賀:そういうことを…
 
H:伊賀くんの独り言(笑)
 
高田:今すごい遠くを見てたよね(笑)
 
大地:もうロンドンを見てた(笑)
 
伊賀:もうホント、行った気になってましたよ、行った気に。完全にもう、なんかあの…兵隊の格好した人、鉄砲持った兵隊みたいな人いるのかな、とかそういうことを考えて…
 
大地:実際兵隊です(笑)
 
H:子供みたいだね、なんか(笑)
 
伊賀:幼い自分でした。 さて、締めです。
 
H:はい。
 
伊賀:「番組への感想やご意見はメールでお願いします。すべて小文字でholiday@interfm.jpまでお願いします。ではまたいつか、お会いしましょう。皆さんお元気で。伊賀航でした。」
 
 
 

2018.05.13 Inter FM「Daisy Holiday!」より

記憶の記録・継承…個人的に最近もっとも関心のあるテーマであります。

そして、図らずも少しだけタイムリーな話題が…(おめでとうございます)。

 

 

daisy-holiday.sblo.jp

 
H:こんばんは、細野晴臣です。えーと…今日はお二人見えてます。一人はおなじみ…
 
O:こんばんは、岡田崇です。
 
H:もうひと方、高校時代から…(笑)ずーっと、まあ、馴染みの深い人物。
 
N:野上です。
 
H:写真家ですね。
 
N:よろしく。
 
H:急に来て急にラジオ出されて…
 
N:そうなんだよ…ぜんぜん聞いてないのに、入れよ、みたいな。
 
H:まあ同い年ですよ、珍しく。なかなか居ないんだよね、最近、周りに。みんなくたばっちゃったりね、してますよね。
 
N:僕らはもうね、(残り)10年あるかないか、と。
 
H:そういうことだよね。今のうちだね。
 
H:指も数えて、数えられちゃう、みたいな。
 
H:10年とは限んないけどね。5年かもしれないし、15年かもしれない。
 
N:そうそう。
 
H:まあだいたいでも、そんな感じか。岡田くんは大丈夫かね。
 
O:なんとか10年くらいは…がんばります。
 
H:いっぱいレコード持ってるんだから、がんばってよ。
 
O:レコードの数で…(笑)
 
H:そうそう(笑)
 
O:いやー、いっぱい買おう、もっと。長生きするために…
 
H:そうですよね、うん。
  で、今日は野上くんはあれでしょうね、写真展があるんだよね。
 
N:5月の19日から、このすぐ近く…白金のBIOTOP(ビオトープ)っていう…
 
H:BIOTOP、どこだっけな?
 
N:洋服屋さん。で、やるんですけどね。
 
H:あー、なんか…一軒家の洋服屋さん?いいとこだよね。
 
N:そうそう。3階建てぐらいの。
 
H:素晴らしい所だから、あそこ。
 
N:メシも美味しいよね。3階がレストランだったと思う。
 
H:あ、そうだったんだっけ。へー。
 
O:あ、ご飯も食べられるんですか?
 
N:うん、ご飯も食べられるとこ。
 
H:そこで…写真展の内容っていうのは?
 
N:写真展は『BLUE』っていう題で、1968年から1972年までの写真ですね。だからはっぴいえんどとかも…
 
H:出てくるね。
 
N:出て来ちゃいます。
 
H:それのなんか、相談があったんでしょ、今日?
 
N:そうなんです。それで来たのに…(笑)
 
H:それで来たのにラジオ出てる、と。
 
N:そうなんです。
 
H:じゃあここでちょっと、相談聞こうかな。
 
N:なるほど…
 
O:「なるほど」?(笑)
 
H:いやいや、「なるほど」じゃなくて…相談、なに?
 
N:(笑)
 
H:はっぴいえんどの写真使っていいか、ってことでしょ?
 
N:そうですね、使っていいっすか?
 
H:いいよ!
 
一同:(笑)
 
H:なんの相談でもないよ、それ。簡単な話だ。
 
N:よろしくお願いします。
 
 
 
H:えー…音楽、聴こうかな。岡田くんだね、担当は。
 
O:あ、はい、僕、今日は音楽担当ですよね。
 
H:そうです。
 
O:じゃあですね、ボー・ハンクス・セクステッド(The Beau Hunks Sextette)の…レイモンド・スコット(Raymond Scott)の"Penguin"を。
 
H:久しぶりだね、んー。
 
O:今度、5月の末ぐらいにですね、Li'l Daisyから…出すんですね。
 
H:Li'l Daisyから出る、という…これは、ね、なかなか出ないんですよね?
 
O:そうですね、もう廃盤なので。もったいないな、と思って。CD出させてよ、とバスタ(Basta)の方にお願いして…出ることになりました。
 
H:これはもう、素晴らしいことで。
 
O:日本語対訳つきで…
 
H:絶対買おっと。
 
O:では…
 
H:はい。 
 
 
The Penguin - The Beau Hunks Sextette
 
 
H:いいですね、やっぱり。
 
O:いいですね、やっぱりね。あのー、クインテットの演奏って、レイモンド・スコット本人のもありますけど。
 
H:うん。
 
O:こういうクリアーな音ではなかなか聴けないので。
 
H:そうだよね、うんうん。
 
O:クインテット時代の曲を聴くにはやっぱ、この盤が…必要ですよね?(笑)
 
H:ボー・ハンクス、素晴らしいですね。うん。
 
O:ぜひ…(笑)
 
H:はい。Li'l Daisyから発売、ということで。
 
O:2タイトル同時に出ますので…
 
 
 
H:さて、えー、野上くんはずっとニューヨークで生活してましたよね。
 
N:そうですね。
 
H:それが…いつからこっちにまた戻って来たんだっけ?
 
N:んーとね、2015年だから…2年半くらい前か。
 
O:結構経ってるんですね。
 
N:経ちましたね。
 
H:どうですか、東京は。
 
N:東京、ね。いいっすね。
 
H:ああ、いい?(笑)
 
N:まあ…政治的にはいろいろ、あるんだろうけどね。いいっすね。
 
H:まあ住みやすいのかね、うん。
 
N:でもね、2020年にまたニューヨーク戻ろうと思っててね。
 
H:あ、ホントに?オリンピックの年だね。観ないで?
 
N:そう、観ないで。またニューヨークの写真を撮りに…行こうかなと思ってて。
 
H:ニューヨークはどういう感じなんだろう、いま。
 
N:どんな感じなのかな…まあ毎年行ってるんですけどね、あんまり変わらないかな。
 
H:うんうん。
 
N:まあ物価がすごい高くなっちゃって…レストランとか、2000年くらいはだいたい40ドルぐらいで一人、結構いい物食えたんですけど、今はまあ100ドルくらい用意しないと…
 
O:たっかい!(笑)
 
H:え?随分高くなったね。どうしちゃったんだろう。
 
N:なんか急にね…
 
H:景気がいいってこと?
 
N:そうなんじゃないかな。で、マンハッタンは特にそういう人たちが集まってて。
 
H:あー、なるほど…どうかな。うん。
 
N:で、まあ今度2020年に行って、2,3年かけてまたニューヨークの写真撮って…そうするとね、「ニューヨーク三部作」になるんですよ。
 
H:ああ、そっか。
 
N:1980年代、それから2000年代、今度2020年代で…
 
H:なるほど。
 
N:なんでも、「三部作」っていいじゃん。スターウォーズとかさ。
 
H:「四部作」だとちょっと多すぎるよね、うん。
 
N:で、どうかな、と。
 
H:いいと思うよ、うーん。あと10年だからね、私ら。
 
N:そうなの、10年以内にまとめるもんまとめとかないと…(笑)で、途中で死ぬのもカッコいいかな、みたいな。
 
H:いやー…いいよ、ぜんぜん。
 
一同:(笑)
 
H:最近、まあ音楽の話だけど、音楽界でリタイアが流行ってるじゃん。
 
N:うんうん。
 
H:つい昨日かな、一昨日か…いや、ちょっと…収録の日ですけどね。ジョーン・バエズが引退宣言したね。
 
N:おー。
 
H:いくつだったかな…その前はね…去年はアレサ・フランクリンが、やっぱり引退宣言して。
 
N:うんうん。
 
H:それから…ツアーをやめたっていう人も結構ね。ポール・サイモンとか。あと、ヘビメタの…オジー・オズボーンとかね。まあいろいろみんなね、それぞれ「あと10年」って思ってるんでしょうね、うん。
 
N:んー…
 
H:そういう時期になって…ステイプル・シンガーズの…お姉さんかな、これ。イヴォンヌ・ステイプル(Yvonne Staples)が亡くなったりね…あ、ベンチャーズノーキー・エドワーズ(Nokie Edwards)が…今年だ、3月に亡くなったりして…どんどん20世紀が消えていくっていう、ことですかね。
 
N:まあ…もう、どうせ死ぬんだから、ハデにやろうみたいな、ことはないのかな。
 
O:(笑)
 
H:あんまりないね、それ(笑)
 
N:(笑)
 
H:まああの…どんな悪い人も、どんな良い人も死んじゃうんだね。
 
N:そうだね。
 
H:どんな大金持ちも、貧乏な人も死んじゃうんだね、うん。
 
N:なんか、どんな知識持っててもね無くなっちゃうんだよね、その人が死ぬと。
 
H:やっぱり脳みそからメモリー取って、バックアップしときたいよね。
 
N:うん、できたらね、ホントに…どんなにきれいな風景見てたって、それも消えて無くなっちゃうって。
 
H:野上くんの場合は、でも、写真に撮ってるからね。遺せるじゃん。
 
N:そっか…
 
H:で、僕はまあ音楽作って遺してるって感じかな。で、岡田くんは…レコード集めて残ってるっていう…(笑)
 
O:…あれ?(笑)他人のレコードですけどね…
 
H:デザイン、デザインも大事。ね、ジャケットいろいろやってますよね。残りますよね、んー。あとボー・ハンクス出したりとかね。
 
O:そうですね。
 
H:んー。偉業っていうんですよね、そういうのをね。
 
O:偉業ですか…誰もやらないことを…(笑)
 
H:そう、変人というか…(笑)
 
N:今度、その展覧会に写真集出すんですけど、それの表紙も(岡田くんに)やってもらいました。
 
H:あー、ほんと?
 
O:はい。
 
H:それはそれは…残るね、それもね。
 
 
H:じゃああの…音楽聴かして。
 
O:はい。じゃあ佐藤勝(Masaru Sato)の…
 
H:お、嬉しいね。
 
O:『殺人狂時代』というですね…チャップリンじゃないですよ?
 
H:日本の映画ね。それ知らないや。
 
O:日本の映画で…最近、4月にサントラが出たんですけど。
 
H:あ、ホントに?
 
O:その中から…メインタイトルを。
 
 
 
 
メインタイトル(DB2-M2 完成音)ー 映画『殺人狂時代』より -佐藤勝
 
 
 
H:いいなあ…佐藤勝ってこういうこともやるんだね。
 
O:おお、って思って…
 
H:なんかやっぱり、この時代…何年の映画かな、1960年くらいかな…
 
O:1963年…?もうちょいかな?
 
H:仲代達矢(が主演)なんだね。
 
O:そうですね。
 
H:この映画は知らなかったね、んー。ヨーロッパの音楽みたいね、映画の。そういえば映画音楽、僕やってて。
 
O:『万引き家族』ですか。
 
H:そう。作る前は、この佐藤勝…尊敬すべき佐藤勝っていう人の音楽と…一方でイタリアのね、カルロ・ルスティケッリ(Carlo Rustichelli)の音楽が頭の中で一緒になってて…
 
N:んー…
 
H:「そういう音楽を作ろう!」と思って張り切ってたら…ちょっとダメだったね、映画に合わなかった(笑)
 
O:(笑)
 
H:映画音楽、よかったね、1960年代。面白いな。カルロ・ルスティケッリ、ここに入ってるけど、聴きたいですね。
 
O:じゃあ…『ロゴパグ(Ro.Go.Pa.G.)』という…これも最近出たサントラですけど、その中から。
 
H:はい。 
 
 
Pollo Ruspante - Carlo Rustichelli
 
 
H:いいね。カルロ・ルスティケッリ、時々…この時代かな、1960年代かなやっぱりこれ。
 
O:はい。
 
H:エレキ使うのが面白いんですよね。
 
O:いまのはロッセリーニ(Roberto Rossellini)とゴダール(Jean-Luc Godard)とパゾリーニ(Pier Paolo Pasolini)とグレゴレッティ(Ugo Gregoretti)の…4人監督のオムニバスですね。
 
H:ああそう。
 
O:その頭を取って"Ro.Go.Pa.G."っていうんですけど。
 
H:これはちょっと有名ですよね。
 
O:ロゴパグ。
 
 
 
H:野上くんはなに聴いてんの、最近。
 
N:最近ね…俺もなんか古いの聴いてるね。
 
H:どこらへんの?
 
N:ジャズで…ジューン・クリスティ(June Christy)とか…まあ、新しいのも聴いてるんだけど。作業してるとき一日かけてるから、色んなの聴いちゃう。
 
H:そうだろうね。
 
N:そんで…その時代のも結構多いです。ペギー・リー(Peggy Lee)とか、聴いちゃうんだな。
 
H:聴いちゃうんだよね(笑)
 
N:(笑)そう、あのね、高校の時大好きで、随分アルバム買ったんですよね。
 
H:ああそうだったんだ、んー。
 
N:高校生になった時に、「高校生って大人になってきたな」って思って。中学時代はプレスリーとか聴いてたんだけど。
 
H:はいはい。
 
N:なんか、「高校生になったんだから大人の音楽聴かなきゃいけない」、みたいな。
 
H:ああ、そうなんだ。
 
N:それでペギー・リーとか、フランク・シナトラとか。そっちの方に行って。
 
H:なるほどね。でもすぐにあの、サイケデリックに行っちゃうけどね、時代的にね。
 
N:そうなんですよ。そう、ビートルズが出てきて…
 
H:そうね、変わっちゃう。
 
N:変わっちゃうね、ガラッと。
 
H:そのペギー・リーは…なんか、あるんでしょ?
 
O:じゃあ、ですね…"Sans Souci"という曲をかけます。
 
H:はい。 
 
 
Sans Souci - Peggy Lee
 
 
H:さて…何にも話すことがもう無い。
 
一同:笑
 
O:今の曲はペギー・リーとソニー・バーク(Sonny Burke)の共作で…1955年ですけど、ちょうど『わんわん物語(Lady And The Tramp)』と同じ年ですね。
 
H:ああそっか。
 
O:『わんわん物語』も、(主題歌である)"Bella Notte"とかも、ソニー・バークとペギー・リーとコンビなので…
 
H:そうだよね。いちばんまあ、ピークっていうか、んー。
 
O:この1955年にペギー・リーがラジオ用に録音したトランスクリプション(Transcription)っていう、大きい16インチ盤を…ラジオ用の音源を集めたコンピレーションが最近出て。
 
H:じゃあなかなか、出てなかったやつなんだね。
 
O:そうですね。
 
H:最近そういうことがあるからいいよね。
 
O:そうですね、そういうのが出たり…まあ、さっきかけてたような映画音楽とかも最近いっぱい…
 
H:んー、ありがたい。
 
O:『甘い生活(La dolce vita)』とかも…映画のセッションからのCDが最近出たりとか…いろいろ出てますね最近。
 
 

http://bird.parkerslegacy.com/carnegiehall/16i12i.jpg

 
 
H:はい、で…何かメッセージをひとつ(笑)
 
N:メッセージね……んー…無いかなあ。
 
H:無いか…んー、無いな。
 
N:そうだな、そろそろみんなまとめてこないとね…いけないね(笑)
 
H:そうだね(笑)
 
N:まとめないと。
 
H:本当だよなあ…いやー、死んじゃうのか、って思っちゃうよね。
 
N:自分がいなくなる世界がね、もうすぐなっちゃうから。
 
H:そう。捜しちゃうよみんなで。「野上どこ行った!」(笑)
 
N:(笑)
 
H:昼寝してただけだったりね。
 
N:(笑)
 
H:まあ、しょうがないわね、こういう世の中は。だんだん、日に日になんか、自分が空っぽになってくね、僕の場合、うん。
 
O:そうですか。
 
H:えー、なんだろうね…これはちょっと…加齢なのかな(笑)
 
N:そうね。
 
H:こう、取り出せなくなってくる。脳内のメモリーを。ホントに物忘れがすごいから。
 
N:すごくいっぱい入ってんだけどさ、なんかそれについて…なんか、どうでもいいっていうかさ。
 
H:そう、どうでもよくなってくる(笑)
 
N:そうなんだよね(笑)
 
H:うん。いやー、どうでもいいこと多いわ…あ、でも、毎日ニュースは見てるんだけどね。でもどうでもいいと思いながら見てるんだけどね。どうなんだろう?日本はどうなる、大丈夫?
 
N:僕に訊かないで。
 
H:そっか、んー…じゃあ、音楽聴いて…(笑)
 
O:(笑)何かけましょうか。
 
H:あのね、松宮庄一郎(Shoichiro Matsumiya)、この人はギタリストですよね。
 
O:ギタリストですね。渡辺晋とシックスジョーズ(Shin Watanabe & Six Joes)とかにいた。
 
H:なんか、そう、選曲がいいんだよね。
 
O:録音もいいですしね。
 
H:あの、ルスティケッリつながりで、「わらの男」("L'Uomo Di Paglia")聴きたいんですけどね、松宮庄一郎さん。
 
O:はい。
 
H:じゃあ、これを聴きながらですね。まあ、10年後にまた会いましょう、野上くん。
 
N:わかりました(笑)
 
H:はい。では野上眞宏、岡田崇。ありがとうございました。
 
N・O:ありがとうございました。
 
 
わらの男 - 松宮庄一郎(渡辺晋とシックスジョーズ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

2018.05.06 Inter FM「Daisy Holiday!」より

1人しゃべり回…Billy Rowlandの"Narcissus"、私の法事の時に流してください。

 

daisy-holiday.sblo.jp

 

 (以下すべてH:)
 こんばんは。細野晴臣です。さて、今日は一人でやりたいんですが…ずーっと、なんか、ダラダラやってます、A,B,C順のね、リストなんですけど。また改めて説明しますと…これは自分がいつかやってみたいなという曲ばっかりを、まあ、リストにしてるだけで…すべての音楽がここに入っているわけじゃないんですよね。

 

 で、A,B,Cから始まってですね…「L」まで行ったと思うんですよ、ずいぶん前ですけどね。その「L」でちょっと気になることが最近あったんで、ちょっとそれを説明したいと思いますが…

 あの、雑誌の『POPEYE』のアンケートで、えー、「自分の一番好きな曲」というアンケートがあったんで…これは普通ならね、何していいかわかんないですよね、一番好きな曲なんて、1曲っていうわけじゃないですから。まあでも折角のアンケートなんで、色々、考えを巡らして…そうだ、"Love's Old Sweet Song"という曲…これはずーっと、なんか自分の中で温まってきた音楽だったなと、ここ最近の話ですけどね。

 で、非常に地味な曲ですけど、子どもの頃から聴いてて、非常に、個人的に思い入れの深い音楽なんですね。これは1847年の作品なんですよ。アイルランドの作曲家のジェームス・モロイ(James L. Molloy)という人が作ったんですけど。もうその…なんだろうね、一世紀以上にわたって歌い継がれているっていう音楽が結構あるんですね。で、アイルランド民謡は日本によく入ってきて、定着して…例えば「蛍の光」とか。えー、「庭の千草」とかね。そんなような音楽・歌が日本の大正・昭和の時代の人ならよく知ってるわけですね。僕は子供の頃にちょっと、そういうのをラジオで聴いてて…なんか心に残るメロディなんで、それを1曲と、選んだわけです。

 ですから、まあちょっと改めて、それはどんな曲かと。聴いて頂きたいと思います。色んな人がやってますけど、最近手に入れたのが…ジョー・スタッフォード(Jo Stafford)という女性シンガー、アメリカの人です。彼女の歌う、"Love's Old Sweet Song"。

 

Love's Old Sweet Song - Jo Stafford & Gordon Macrae 

 

magazineworld.jp

 

 えー、ジョー・スタッフォードで…「懐かしき愛の歌」と、日本では有名なんですけど…"Love's Old Sweet Song"。一緒に歌ってたのがゴードン・マクレー(Gordon MacRae)という男性シンガーですね。

 

 ではその「L」の項をここで締めて、「M」に行っちゃいますが…"Mam'selle"という曲、歌なんですけど。これは1947年の映画に使われたんでしょうか。えーと…シナトラで有名になったのかな?うん。ディック・ハイムス(Dick Haymes)という人でヒットしたりして…そういえば最近では…最近というかこの10年くらい前には、コシミハルがカヴァーしてますね。きょうはフォー・フレッシュメン(The Four Freshmen)で、"Mam'selle"。

 

Mam'selle - The Four Freshmen 

(from 『Four Freshmen & 5 Trombones』

 

 フォー・フレッシュメンで"Mam'selle"、聴いて頂きましたけど…「M」の項もそんなにいっぱいあるわけじゃないんですよね。で…いつかやりたい、とはいっても歌えない曲ばっかりですね。ええ…

 「M」の次がね…「M」の2つ目、2つしかないですねここには、リストは。なんと少ないか。えー、"Mon Oncle"、「ぼくの伯父さん」ですね。誰にしようかな、色んな人がやってますね。やっぱりフランスの歌手でいきたいと思います。ジャクリーン・フランソワ(Jacqueline François)ヴァージョンで、「ぼくの伯父さん」。

 

Mon Oncle - Jacqueline François

 

 ジャクリーン・フランソワの歌で"Mon Oncle"、「ぼくの伯父さん」でしたが…これは50年代の…いつだったかな、母親に連れられて映画を観に行ったんですね。封切りの映画です。『ぼくの伯父さん』、ジャック・タチ(Jacques Tati)作品ですね。で、それであのー、観終わった後、音楽が耳に残って…なんだろう、その音楽がレコードになってるかどうか、小学生だったんですけど、母親にねだってレコード屋さんに行ったんですけど…出てないんですよね、サントラは出てないです、当時。その代わり、日本の歌手が、ジャズシンガーが歌ってるのがあったんで、シングル盤、それを買ってずっと聴いてたんです。それは日本語ヴァージョンで、歌ってるのが中島潤(Jun Nakajima)さんという、まあジャズシンガーなんですけど。それで、つい数年前にその日本語の歌詞でライブでやったりしたことがあります。えー、そういう…まあ、ずっとこれは好きな曲ですね…「M」がこれでおしまい。早い…(笑)

 

 で、えー…Mの次はなに?「N」ね。「N」かあ…「N」もねえ、少ないんですよね…これはどうしようかな…この次の曲はちょっとよくわからないんですけど、原題が"Narcissus"、ナルシズムのNarcissus(ナーシサス)でしょうかね、ユリなのかよくわかんないですけど。でも"Happy Puppy"という曲でヒットしたんですよね。で、まあ古い曲なんでしょうけど、"Happy Puppy"でリアレンジしてヒットさせたのがベント・ファブリック(Bent Fabric)ですね。メロディーは変わんないんですけどね、原曲と。じゃあその"Happy Puppy"の方で、聴いてみます。ベント・ファブリック。

 

The Happy Puppy - Bent Fabric

 

 えー折角ですからね、"Happy Puppy"、ベント・ファブリックヴァージョン聴きましたけど、"Narcissus"というタイトルでやっているピアニストのヴァージョンもここで聴いておきたいと思います。ビリー・ローランド(Billy Rowland)のピアノで、"Narcissus"。

 

Narcissus - Billy Rowland

 

 じゃあ次、行っちゃいますね。「O」の項目がちょっと欠けてまして、「P」に行っちゃいますと…"Peg O' My Heart"。これは前よくハーモニキャッツ(Harmonicats)でよくかけてましたけど、本来は歌モノですね。バディ・クラーク(Buddy Clark)の歌で、"Peg O' My Heart"。

 

Peg O' My Heart - Buddy Clark

 

 バディ・クラークの歌で、"Peg O' My Heart"でした。えーと、「P」の項目は"Pistol Packin' Mama"っていうのが入ってますね。"Pistol Packin' Mama"は僕はやってますね…ですが、そうですね、ビング・クロスビー(Bing Crosby)で聴いてみたいと思います、"Pistol Packin Mama'"。これを聴いてまた、来週ということで。

 

Pistol Packin' Mama - Bing Crosby with The Andrews Sisters