2022.02.06 Inter FM「Daisy Holiday!」より
手作りデイジー🌼#28
(以下、すべてH:)
はい、こんばんは!細野晴臣です。お久しぶりというか…毎週やってるんですけど、月初めの手作りデイジーはお正月ということで1月はお休みさせて頂きました。だいたい僕は毎年、正月というのは陰暦でやる習慣がありまして。年賀状もそのとき出すんですよね。
まぁそんなこんなで…今、世の中も騒然としてますよね。これからどこへ行くのか、ほんとに不安なんですけど。いわゆる10年間の時代というのはその前の年の末に何かが始まっていくという…今回も2019年に色んなことの種があったんですよね。それがこの10年間に動いているわけです。そういう意味でも、1960年代というのは「Rolling Sixties」といってもいいくらいですけど。そのときの種が翌10年間に花開いていくという…1970年代というのはそういう時代ですね。どこが違うというと、60年代は音楽にエネルギーがすごくあって。その音楽がビジネスを生んだんですけど、その後、70年代以降はビジネスが音楽を生んでいく…というような様相になってくるんでしょうね。
その60年代後期から70年代頃の音楽、これを聴いてはっぴいえんどを始めたわけですけど。当時、ずっと聴いていた音楽の中から…まず最初の1曲目は「King Of Swamp」、トニー・ジョー・ホワイト(Tony Joe White)です。1943年生まれ、2018年に亡くなりました。1968年当時は…プレスリーが後にカヴァーした"Polk Salad Annie"が有名になったんですね。もう1曲、"Rainy Night in Georgia"はブルック・ベントン(Brook Benton)でヒットしました。では、1970年のワーナー移籍後第1弾から"Stud Spider"。
Stud Spider - Tony Joe White
(from『Tony Joe』)
なんともセクシーで卑猥な歌詞なんですけど。ほんとに臭い立つような…トニー・ジョー・ホワイトの"Stud Spider"でした。
次はトム・ラッシュ(Tom Rush)です。シンガーソングライターが台頭してきた中でも非常にまじめな人なんですね。色んな曲をカヴァーして広めた人です。フレッド・ニール(Fred Neil)の作品で、"Wild Child"。
Wild Child (World of Trouble) - Tom Rush
(from『Tom Rush』)
このトム・ラッシュの"Wild Child"…1970年ですけど。その影響というのははっぴいえんどの1枚目を聴くとモロにわかっちゃう、かもしれません。
では次はニール・ヤング(Neil Young)のソロ第1弾。"The Loner"。
The Loner - Neil Young
(from『Neil Young』)
この弦アレンジはジャック・ニッチェ(Jack Nitzsche)です。フィル・スペクター(Phil Spector)の片腕ですね。このニール・ヤングのソロはバッファロー・スプリングフィールド(Buffalo Springfield)解散後、すぐに出たんですね。はっぴいえんどの連中はこれにビックリして…みんなすごく影響されましたね。
さて、次はザ・バンド(The Band)で"Rag Mama Rag"。
Rag Mama Rag - The Band
(from『The Band』)
ザ・バンドの"Rag Mama Rag"。これは1969年に出た2枚目のアルバム『The Band』からです。
次は…お、ジェームス・テイラー(James Taylor)ですね。"Country Road"。
Country Road - James Taylor
(from『Sweet Baby James』)
ロックバンド全盛期からシンガーソングライター時代に行くきっかけになったジェームス・テイラー。本当に影響力があったと思います。この歌声を聴いて僕は、あ、こういうやり方があるんだ、と思って自分でも歌い出す…というきっかけをくれた人です。
さて次は、ジェリー・リード(Jerry Reed)の"Amos Moses"。1970年。
Amos Moses - Jerry Reed
(from『Georgia Sunshine』)
ジェリー・リードはエンターテイナーで、映画スターでもあったわけですね。『トランザム7000(Smokey and the Bandit)』という映画を思い出します。プレスリーのサイドをやったこともあります。"Guitar Man"という曲はプレスリーもカヴァーしましたね。
次はリトル・フィート(Little Feet)です。"Two Trains"。
Two Trains - Little Feet
(from『Dixie Chicken』)
この"Two Trains"は1973年に発表した『Dixie Chicken』というアルバムの中の曲です。はっぴいえんどはこの年ロサンゼルスに行ってレコーディングをしてまして。なんと、このセッションを見てるんですよね。記念すべき曲というか…決定的な体験でした。
そのきっかけを作ってくれたのがヴァン・ダイク・パークス(Van Dyke Parks)です。最後に、ヴァン・ダイク・パークスで"Be Careful"。
Be Careful - Van Dyke Parks
(from『Discover America』)