2022.01.30 Inter FM「Daisy Holiday!」より

 

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H:こんばんは。細野晴臣です。さぁ、きょうは久しぶりに…

O:こんばんは、岡田崇です。

コ:こんばんは、コシミハルです。

H:きょうは大っきな声で行きますよ!

コ:もう声出ない…

2人:(笑)

 

H:正月以来だね。

O:そうですね。

H:どうですか?その後は。

O:僕は、個人的には…1月20日にレイモンド・スコット(Raymond Scott)の『Jingle Workshop』というものを出しまして。。

H:それ。すばらしい。

O:まだまだ好評発売中ということで…

コ:映像がよかった。すごいかわいい。

O:そう、宣伝用にちょっと映像を作ってYouTubeに上げました。

H:ね。YouTubeに上がってるのをぜひご覧ください。あのコマーシャルはどこで見つけてきたわけ?

O:YouTubeに…

H:全部あるんだ。すごいね。

O:もっとね、いっぱい探したいんですけれども。なかなか…

H:うん。ミハルちゃんはどうしてました?

コ:あー、大変だった…

H:食あたりしたんだよね(笑)

コ:食あたりも、もう、いろんな…次々に…

H:ね、なんかいろんなものが玉手箱みたいに出て…

O:(笑)

コ:ほとんど寝てたんじゃないか、っていう。足腰が弱っちゃったもん。

H:じゃあきょうこの後、歩きますかね。

O:寒いからねぇ…

コ:岡田くんもあんまり歩かないでしょ?

O:僕、今年…5回ぐらいは外に出たんじゃないですかね。

H:じゃあ全部で50歩ぐらいかな。

O:そのうち3回は「とんき」に行ったという…(笑)

H:ほんと?行き過ぎだよ、それは(笑)

O:お正月から人が来ると「じゃあ、とんき行くか」。

H:じゃあきょうも行くか。

コ:え?(笑)

O:いやー、空いてて。「まん防」以降は…ちょっとビックリしましたね。

H:じゃあ、きょうはなにを食べるか考えつつ…やっていきましょうか。

O:(笑)

 

H:それでですね…じゃあ最初にこのレイモンド・スコットの『Jingle Workshop』を聴きたいですよね。

O:お。じゃあ1曲、レディ・ガイロード(Lady Gaylord)…ゲイロードかな。犬のおもちゃのCMですね。

 

 

Lady Gaylord (Ideal Toys) - Raymond Scott Featuring Dorothy Collins

(from『The Jingle Workshop: Midcentury Musical Miniatures 1951–1965』)

 

 

H:やっぱり短いね。

O:そうですね。1分か30秒かという感じですね、ほとんど。

H:あのYouTubeの編集を見てると、すごい…買いたくなるね(笑)

O:ぜひ(笑)

H:『Songbook』も随分前ですけどね、出てますので。

O:そうですね。

H:あれも久しぶりに聴いたらよかったね。すばらしい。

O:いま見ても…もう9年前ですけど、出したの。よくこんなの作ったな!と思いますね(笑)

H:いい出来ですよ、あれは。

O:あり得ないですよね。

H:もっともっと宣伝しないとね。お願いしますね?

O:(笑)

 

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H:さて、ところで…ベンチャーズドン・ウィルソン(Don Wilson)が亡くなったそうなんで。

O:そうですか。

H:「Daisy World」の時代にスタジオまで2人で来てくれたんですよね。ベンチャーズのオリジナルメンバーですよね、2人は。すごくいい人たちだった。ほんとに、なんか…心があったまるような人たち。ベンチャーズを1曲かけましょうかね。

O:はい。

H:じゃあ最初の…デビューアルバムみたいな時期のやつだよね。2人でやってる時期ですかね。"Blue Moon"。

 

 

Blue Moon - The Ventures

 

  

H:ドン・ウィルソン、88歳。1月22日に亡くなったそうですね。2人で来たもう1人はボブ・ボーグル(Bob Bogle)。スタジオで生演奏してくれたという。

O:すばらしいですね。

H:あり得ないですね、いま思うと。

 

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H:というわけで…亡くなったといえば、瀬川さんですね。

O:そうですね。

コ:はい。

H:まぁご高齢ということはありますけど。もうちょっとね、お話を聞きたかったですよね。

O:そうですね。困ったらいつでも、電話したらいろいろ教えてくださるという。

H:ミハルちゃんも瀬川さんとは随分交流がありましたよね。

コ:そうですね。ほんとに…『フルフル(Frou-frou)』というアルバムを作ったときに、瀬川昌久さんが…

H:そう、瀬川昌久さんです。フルネームは。

コ:訪ねてきてくださって、クロード・ソーンヒル(Claude Thornhill)のお話を。

H:そうだよね、クロード・ソーンヒルを我々世代が発見して。それに一番詳しい人が瀬川昌久さんだったので教えてもらって…ということがありましたね。おいくつでしたっけ?

O:97歳です。

H:これは大往生といってもいいですよね。

O:んー…でもね?という感じですよね(笑)

H:そうだね。あの時代の音楽をリアルタイムで知っている唯一の人だったんですよね。

O:そうなんですよ。

H:もうこれでいなくなっちゃったも同然ですよね。まぁ、岡田くんが後を継ぐという…

O:いやいや!(笑)

コ:(笑)

H:瀬川さんは…ちょっと、ざっと紹介してくれますかね、岡田くん。

O:僕ですか?瀬川さん…1924年生まれだったかな。たしか3歳から5歳までイギリスにいるんですよね。お父様が東京市にお勤めで。東京市関東大震災復興のためのお金をフランスから借りていて、その返済の話をしにフランスに行く、というのがあって。でも、フランスには滞在しないでイギリスに…

H:そうなんだ。

O:瀬川さんのお父様とお母様は仲が良かったので、単身赴任ではなく追っかけて。瀬川さんを連れていったんですよ。

H:なるほど。それが大きいね、経験として。

O:それで最初、3歳のときにリアルタイムで…1927年、28年とかにイギリスで本物のジャズを聴いてるわけですよ。お父さんが買ってきたSP盤を…お留守番のときに閉じ込められるんで(笑)

コ:すごい!

O:蓄音器で聴いていたそうです。それで最初に覚えたメロディーが"Who?"と"Ca C'est Paris"。

H:"Ca C'est Paris"。

O:ミハルさんが大好きな…

コ:大好きなミスタンゲット(Mistinguett)ですね。

H:ちょっとそれ、聴いてみよう。

O:聴いてみましょう。

 

 

Ca C'est Paris - Mistinguett

 

 

H:あの…瀬川さんは宝塚にも関係ある?

O:宝塚のコンピレーションとかは出してます。僕、デザインやりました。

H:そうだよね。この曲、子どもの頃に最初に聴いて。宝塚の人たちもやってるからね。紹介したのかもしれない。

 

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H:その後、瀬川さんは?

O:瀬川さんは…詳細を言っていくとキリがないのであれですけど。まぁ戦争があって…1944年に海軍に入って。戦地には行かなかったんですけど、それが申し訳ないという気持ちで氷川丸に乗って。復員船ですね。

H:氷川丸はまだ横浜の港にいますからね。

O:前に氷川丸でイベントもされてましたね。そこに楽団を連れてきて引揚者の皆さんに聴かせたりとか。

H:すばらしい。

O:そういう活動をされて…たしか1946年に東京大学に復学して、卒業したのちに富士銀行に。

H:そうだ。銀行員になってニューヨークに行くんでしたっけ。

O:そうです。入って3年後くらい、30歳ぐらいのときにニューヨークに行って…チャーリー・パーカーCharlie Parker)だとか。

H:そこでいろんなパフォーマンスを見てるわけだね。

O:1950年のジャズ真っ盛りのニューヨークを堪能するわけですね。

H:そんな人いないわ(笑)

O:もう毎日のようにクラブに行って…観まくってたらしいですよ。瀬川さんが撮ったデューク・エリントンDuke Ellington)とかね。たくさん写真が残ってますけど。

H:いやー、うらやましい限りだよね…

O:それで定年までお勤めになって55歳の時、1979年に辞めて。そこからはジャズのいろんなことを。

H:いろんなことだよね。評論も含めて。

O:評論もだし、若者たちにいろいろ教えたり。街の市民サークルとか、いろんなところで講義をやったり。

H:活発だね。僕の中ではすごく歩き回ってる人という印象があるね。

コ:毎日のようになにかされてましたね。

O:もう午前中、10時・11時にはもういなくて。夜11時くらいに帰ってきて。

H:で、あっちこっちにチラチラっと顔を出すというね(笑)

O:昼に行って、夜もコンサートを観て帰ってきて。1時から3時くらいまで執筆活動をするというね。

H:すごいなぁ。

O:で、「1時過ぎに電話くれ」みたいなことを言われて電話すると奥さまが出るんですよ。そんな夜中に電話くれ、と言っておいて…本人出てくれよ、と思うんですけど(笑)

H:ミハルちゃんも時々、おうちに伺ってますよね。

コ:伺いました。瀬川先生はダンスもとてもお詳しいでしょう?古いミュージカルとか。

O:うん、そうですね。ミュージカル雑誌の編集長もやられてましたね。

コ:フレッド・アステア(Fred Astaire)のお話とか、よく伺いました。振付などにもすごく詳しくて。で、ご自身でもダンスしますからね。

H:そうか。観たいなぁ。観たことない。

コ:なんか、イベントで…

O:イベントで踊ったみたいですよ。

H:本当?アステアみたいに踊るわけ?

コ:奥さまがそう言ってました。この前伺ったときに。

H:そういう映像がきっと残ってるんだろうなぁ。

O:そうかもしれないですね。

コ:なんか、クルクル回すらしいですよ。昔のダンス。2人で踊る…

H:ああ、ジターバグみたいな…

コ:そう。で、「クルクル回すのよ!」って奥さまが言ってました(笑)

O:(笑)

H:そうか…なんかいろんな話があるよね。ニューヨークでは三島由紀夫を案内したり。

コ:そうそう。同級生。

H:同級生か。

O:ずーっと同級生なんですよね、たしかね。ブロードウェイミュージカルを三島さんがやりたい、という話があって。ニューヨークにずっと泊まってて。それをアテンドして、ずっと遊んでたみたいですね。

 

H:じゃあなんか…昔の声を聴いてみますか。

O:お、ぜひ。

H:これ流すのは何回目かな。3回目?(笑)

 

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 コ:こんばんは、コシミハルです。今夜はゲストに音楽評論家の瀬川昌久さんをお招きしてお送りしたいと思います。あ、こんばんは。

 瀬川:こんばんは。

 H:いらっしゃいませ~(笑)

 コ:今夜はね、なぜ瀬川さんをお招きしたかというと、実はこの前出した『Frou-frou』というアルバムを瀬川さんが…

 H:ね、お聴きになって…

 コ:ね。なんか、聴いてくれたという。

 H:番組でもかけて頂いたり。

 瀬川:ええ。実はね、朝日新聞で…コシミハルさんの新しいCDアルバムが出た、と。『Frou-frou』というね。そこではアメリカのポピュラーソングやフランスのシャンソンをフランス語できれいに歌っておられるということで。で、早速ラジオ局のディレクターにも話をして。それでこの『Frou-frou』をね、手に入れて。それで1曲ずつ聴いていったんですよ。そうしたらね、その"There's a Small Hotel"のところに来ましてね、もう、始めのね、出だしからね、あっ、どっかで聴いたことがあると。そのうちにピアノがポロポロポロと。それからボーッというテーマのサウンド。そしてその後に出てくるコーラス。もうこれがね、全くクロード・ソーンヒルのかつての"There's a Small Hotel"と…ホントに似た魅力を持ってるわけですね。それでわたくしはね、2回ばかり聴いて。クロード・ソーンヒルのレコードを持ってきまして。それでかけてみた。これはもう、間違いないと。

 2人:(笑)

 瀬川:それでね、まぁ、みんなおもしろかったんですが…ほんとにきょう、お目にかかれてうれしいですよ。

 コ:いやー、私もなんか…そういう風に聴いて頂けたの初めてなのかも…

 H:そうだね。

 コ:ちょっと、すごいうれしいです、私のほうが。ほんとに…

  

 

There's a Small Hotel (C'est un nid charmant) - コシミハル

(from『Frou-frou』)

  

 

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H:これはもう随分前だな。「Daisy World」の時代。 

O:2001年ですね。8月です。

H:そうか。

O:前に「デイジーワールドの集い」をCAYでやってるとき…リハーサルで準備してるときに瀬川さんが来たのを憶えてますか?

H:憶えてるおぼえてる。来たと思ったら帰っちゃったけど(笑)

O:別の会場と間違えてて…別のものを観に来たら僕と細野さんがいて、あれ?って。ここに行きたいんですけど、と…で、僕が場所を調べて。すごい勢いで向かっていきました(笑)

H:前のめりだよね。せっかちな人…(笑)

O:ビックリしましたよね、あのときね。

H:いやー…僕はあの後そんなにお会いする機会がなかったんですけど。残念ながら。すごく印象に残ってることがあって…パイド・パイパーズ(The Pied Pipers)?

O:はい。

H:その"My Happpiness"。ああいうのをやってくださいよ!なんて言われたんだよね。スウィングスローで。

コ:ええ、言ってましたね。

H:いまだにやってないんだけど…(笑)ずーっとそれがね、忘れられないんですよね。だから絶対やりたいなとは思ってるんですけど。

O:ぜひ!

H:うん。じゃあその"My Happiness"を聴きましょうか。これはどなたがやってるんだ?

O:これは当時瀬川さんが選曲されてきた、ジョン&ソンドラ・スティール(Jon And Sondra Steele)という2人組です。

H:あー、これは僕は聴いてないや。1947年の作品なんですね、これは。"My Happiness"。

 

 

My Happiness - Jon And Sondra Steele

 

 

 H:ジョン&ソンドラ・スティールで"My Happiness"でした。

 

 

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H:というわけで、時間がそろそろ来ましたが…どうですか?瀬川さんになにか追悼の言葉を…それはなんかおかしいな(笑)

O:まぁ、ありがとうございます、しかないかな。これから引き継げる部分は引き継いでがんばっていく、と。

H:いやー、そうだよ。その通りです。

O:まぁいろんなね、多岐にわたることをやられてたので。それぞれの分野で後を継いでいかれる方はいると思うんですけど。

コ:本もいろいろ出版されてるので。

H:もう1回読み直さないとね。

O:『ジャズで踊って』という本があるので、それは絶対読んだほうがいいですよ。

コ:ね。すごい楽しいです。

O:レイモンド・スコットのこととかも書いてありますので…

H:読みたいですね。というわけで…天国で守護霊としてがんばって頂きたいですね。どうか安らかに…ではまた来週。