2021.12.05 Inter FM「Daisy Holiday!」より
手作りデイジー🌼#27
(以下、すべてH:)
はい、細野晴臣です。今年最後の手作りデイジーということになります。1960年代をずーっとやってきまして、いよいよ最終段階ですね。70年代からははっぴいえんどを始めるんですけど、その前に聴いていたロックバンドのバッファロー・スプリングフィールド(Buffalo Springfield)、そしてモービー・グレイプ(Moby Grape)。これらを特集したいと思ってます。
まず"For What It's Worth"。これはバッファロー・スプリングフィールドのスティーヴン・スティルス(Stephen Stills)が書き下ろした1966年の作品で、1枚目のアルバム(『Buffalo Springfield』)に収録されています。これはヒットしまして、7位まで上がったんでしょうかね。この歌は1966年にハリウッドのサンセット・ストリップという地区…クラブがいっぱいあったんですけど、騒がしいということで規制がかかってしまいまして。それに抗議する若者がいっぱい集まって、ちょっとした暴動になってしまったんですね。それをテーマにスティルスが作ったわけです。後世ではプロテストソングとして人気のある曲でパブリック・エネミー(Public Enemy)がカヴァーしたり…なかなか今の時代にも通じるような内容だと思うんです。
そして次が"Bluebird"。これもシングル盤で買ったんですね。非常に短かったんですけど、アルバムではロングヴァージョンが入ってます。今回はそれをかけますね。
For What It's Worth - Buffalo Springfield
(from『Buffalo Springfield』)
Bluebird - Buffalo Springfield
(from『Buffalo Springfield Again』)
1967年に出たシングル盤ですね。この"Bluebird"の「Blue」というのは当時スティルスが付き合っていたジュディ・コリンズ(Judy Collins)の目の色だと言われています。僕は数年前に1回録音してますね。まだ未発表なんですけど、そのうちまとめたいと思います。
次はこの"Bluebird"のシングル盤のB面に入っていた、ニール・ヤング(Neil Young)の"Mr. Soul"。
Mr. Soul - Buffalo Springfield
(from『Buffalo Springfield Again』)
Mr. Soul - Haruomi Hosono, Shigeru Suzuki, Tatsuo Hayashi
はい。何を隠そう、この歌は僕が歌ってるんですね。ベースを弾きながらですけど。ドラムスが林立夫、鈴木茂がギター。これは友人の家のパーティで演奏している…カセットだったかな、残ってるんですね。ちゃんとお聞かせするにはまだちょっと用意が出来てないんですけどね。まぁ片鱗を聴いてください。
さて、次がバッファローの最後の曲なんですけど…まぁホントは全部かけなきゃいけないんですが、特に影響された曲をかけます。これは本当にはっぴいえんどに直接影響した曲だと言えますね。"Questions"。
Questions - Buffalo Springfield
(from『Last Time Around』)
次からはモービー・グレイプです。2枚目のアルバム『Wow』から、スキップ・スペンス(Skip Spence)の作品"Motorcycle Irene"。これは松本隆のドラムにすごく影響を与えています。
Motorcycle Irene - Moby Grape
(from『Wow』)
モービー・グレイプはサンフランシスコで1967年に結成されました。ですから、サイケデリックバンドの一つとして出てきたんですね。その本領を発揮したのが"Fall On You"。
Fall On You - Moby Grape
(from『Moby Grape』)
曲作りはバッファローで…プレイヤーとして影響されたバンドがこのモービー・グレイプですね。しかし、その中にピート・ルイス(Pete Lewis)というフォークシンガーが参加してまして。はっぴいえんどにかなり影響を与えたと思います。曲は"He"。
He - Moby Grape
(from『Wow』)
はっぴいえんどを作る前に初めて大瀧詠一くんと会ったとき、僕の部屋に置いてあったシングル盤を名指して「お!"Get Together"!」と言いました。ザ・ヤングブラッズ(The Youngbloods)の"Get Together"です。
Get Together - The Youngbloods
(from『The Youngbloods』)
大瀧くんの話が続きますけど。彼が初めてやったきたとき、そのスタイルにビックリしました。ビー・ジーズ(Bee Gees)そのものだったんですね。ではそのビー・ジーズ、1967年のヒット曲、"New York Mining Disaster 1941"。
New York Mining Disaster 1941 - Bee Gees
(from『Bee Gees' 1st』)
さて、これで最後の曲なんですが、この続きは…え、続きがあるんだ、信じられない(笑)来年また、はっぴいえんどの初期から中期にかけての…まぁそこら辺で終わるんじゃないかなと思います。お楽しみに。それでは、1967年当時に大瀧詠一、仲田佳彦と3人で「Lamp Post」というグループをちょっとやってましたけど。そのLamp Postの元になったのがこのサイモンとガーファンクル(Simon & Garfunkel)の"59番街の歌(The 59th Street Bridge Song)"です。
The 59th Street Bridge Song (Feelin' Groovy) - Simon & Garfunkel
(from『Parsley, Sage, Rosemary and Thyme』)