2021.10.17 Inter FM「Daisy Holiday!」より

 

daisy-holiday.sblo.jp

 

H:はい、こんばんは。細野晴臣です。きょうはですね…久しぶりというか。4人組で前は2人いらっしゃって、きょうは違うメンバーが2人来てます。Yogee New Wavesの…どうぞ。

角館:こんにちは、ギターボーカルの角舘健悟です。

粕谷:ドラムの粕谷哲司です。

2人:よろしくお願いします。

H:ずーっとこのスタジオをキョロキョロ見てましたよね、2人とも(笑)

角館:そうですね(笑)

粕谷:いやー、これは気になりますね。

H:本当?

粕谷:ちょっと散策したくなるような…(笑)

H:機材オタクだね(笑)最近の人はみんなそうなのかな?

粕谷:そうですね、周りの友達もそういうやつが多いですね。

H:みんなよく知ってるしね。それで…新作が出たね。

2人:はい。

H:えーと…『WINDORGAN』ですね。10月13日にリリースという。これ、ジャケットはずーっとおんなじなんですね、前の作品とね。なんで?なんでっていうか…シリーズなのかな?

角館:そうですね…このロゴは最初からあるんですけど。EPではもうちょっと言いたいことというか、言葉とか写真にしているんですけど、アルバムでは精神性を出したくて。色とかの抽象度を上げて。

H:なるほどね。アンビエント時代のアルバムにはこういうのが多かったね。でも「New Wave」なんだね(笑)

角館:そうですね(笑)

粕谷:名ばかりなのでちょっと恐縮ですけども…(笑)

H:いやいや…ツアーもあるし、もうすぐだね。この放送がある頃にはもうやってるんだ。ちょっとスケジュールを見るとですね…お、すげぇいあっぱいある。元気だね。

2人:(笑)

H:えーと、東京はいつだ…11月16日ZeppTokyo、17時、スタート18時。ぜひ、みなさん。生で観たいですよね。

角館:そうですね。

粕谷:でも、この公演数は初めてですね、14都市は。今までも…最大で9都市とか、そんなもんでしたよね。

H:ほほう、人気が出てきたね、さては(笑)

角館:そうだとうれしいですね(笑)

H:知人のエンジニアの娘さんが音楽をかけてて。そのエンジニアが「いいねこれ!誰?」って訊いたらYogee New Wavesだったというね。ついこないだその話を聞いて。そんなにいいのか、なんてね(笑)

2人:(笑)

H:さっそく聴かせてもらおうかな。なにか推薦してくれますか?

粕谷:わぁ、どうしようかな…

角館:迷いますね…

粕谷:せーので指さしてみよう。

角館:ああ、ここでこっそりと…

H:はい、どうぞ(笑)

2人:せーの…

粕谷:…"Long Dream"ね。決まりました、満場一致で(笑)

角館:満場一致です(笑)

H:では、"Long Dream"。聴かせてください。

 

 

Long Dream - Yogee New Waves

(from『WINDORGAN』)

  

 

H:気持ちいいね。すごくナチュラルなサウンドで。

粕谷:ありがとうございます…そうですね、好きなサウンドを詰め込んだ曲だったので2人とも最初に選んだのかもしれないです。

 

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H:最初の頃はどんな感じだっけな…いつ会ったんだっけ?あ、福岡だ。もう随分前だね、あれ。

角館:そうですね、3年前ぐらいじゃないですかね?

H:あ、たった3年前か(笑)この2年間ってすごく長いから…すごい昔に思えるな。そうだったね。

[*福岡の音楽イベント「CIRCLE」で両者が初めて共演したのは2017年。]

 

H:最近はこの2年間どうやって過ごしてきた?って、だいたいみんなに訊いてるんだけど。そうね…2020年ごろはどうしてたの?

粕谷:そうですね…コロナが始まって最初の緊急事態宣言が出たときは、もうメンバーで会うのもどうなんだろう、という。

H:やっぱりそういう感じだったんだね。

粕谷:で、スタジオにもやっぱり入れなかったので、それぞれおうちでなにか個人でできることをやったりとか。リモートでバンドとしての動き…これからどうしていくか、というのをずっと話し合っていたような気がします。

H:いいね。結束が固いね(笑)

2人:(笑)

粕谷:いやーでも、そのときはいちばん結束がぐちゃぐちゃっとなったような印象がありますね。全員不器用というか…(笑)

H:そうなんだ(笑)

粕谷:直接会って話さないとなんかグルーヴしていかないな、というところはすごく感じました。

H:そうか。なかなか会えなかったということね。みんなそういうことなんだろうな、と思うけどね。僕なんかは最初から誰にも会ってないけどね、昔から(笑)

2人:(笑)

H:だからうらやましいよね、バンドって。

角館:頼れますからね、いざというときには。

H:そうだよね。懐かしい。

2人:(笑)

角館:めちゃめちゃうれしい話ですけどね、そのお言葉というか。

H:70年代はそうだったしな。

粕谷:そうですよね。

角館:仲良かったですか?

H:いやー、まぁまぁね(笑)

2人:(笑)

H:いや、仲が良いんだろうね。毎日会ってたから。いつも誰かの部屋…うちか松本隆の部屋で集まってはレコードばっかり聴いてたね。どうなの?レコードは聴くの?

角館:レコード、聴きますね。

粕谷:聴きます、好きですね。

H:レコードというか、CDか(笑)

角館:CDも聴きますけど…

粕谷:レコードで聴きますね、メンバーは。

角館:はい。

H:「こんないいのがあったよ」とか持ってきたりするの?

粕谷:やりますね。でも、今だとサブスクで…こういうのあったよ、みたいなのはずっと…

H:そうだよね。

粕谷:それこそ健悟のハウススタジオというか、おうちに集まってスピーカーでみんなで聴く、みたいな時間はあります。

H:それそれ、それだよ。バンドっぽい(笑)

2人:(笑)

H:で、最近はなにが好みなのかな?そういうの聞きたいんだよな。

角館:最近…個人的にはすごくブラジル音楽が好きで。それこそカエターノ・ヴェローゾCaetano Veloso)とかジルベルト・ジル(Gilberto Gil)とかアジムス(Azymuth)とか。あの辺をダラッと聴いてますね。

H:いいね。落ち着いた人だね(笑)

角館:うれしいです(笑)

H:どうですか?

粕谷:そうですね…僕もブラジル音楽とか。昔のソウルだったりA&R(AOR)がずっと好きなんですけど。スティーリー・ダンSteely Dan)はホントに昔からずっと好きで。でも、最近ちょっと家のスピーカーを新調して。今の音楽というか…2019~2021の音楽を最近聴くようになりました。

H:スピーカーを替えると聴くものが変わるんだ(笑)

粕谷:変わりました。

角館:変わりますねー。

粕谷:今のスピーカーというか…Lowがたっぷり出るようなスピーカーにしたので。

H:いい音だろうな…僕はいっつもヘッドフォンで聴いてるけどね(笑)

2人:そうなんですか!

H:部屋にスピーカー置いてないからなぁ。

粕谷:へぇ…

角館:どうしてですか?鳴りとかですか?

H:前ね、部屋でやってた頃…違う部屋だったんだけどね。文句を言われたことがあるんだよね(笑)やっぱり集合住宅だから…箒の柄かなにかで床か天井かを叩かれたんだよね、ドンドンドン!って(笑)

2人:(笑)

H:すごい怯えちゃうじゃない。

粕谷:そうですね、怖いですよね。

H:あのね、60年代のモニターというのはスタジオでALTECの「銀箱」と呼ばれている、銀色のスピーカーで聴いてたわけ。ある時それがJBLになって、急に音が変わったんだよね。良くなったというか派手になった。音が派手だとミックスが地味になっちゃうというかね(笑)

角館:なるほど。

H:だから今は「銀箱」に憧れてるんだよね。地味な音なの。

角館:いいじゃないですか。

 

H:資料を見ると、曲目の中に"あしたてんきになれ"という曲が入ってるんだけど…全然違う曲だよね?

角館:そうですね。

H:どうして?(笑)

角館:あの、少し…某はっぴいえんどが大好きで(笑)自分たちもこの言葉がとても好きだったので…

H:そうか。それ聴きたいな。いい?聴いても。

角館:あ、いいですよ。

H:じゃあ聴かせてください。

 

 

あしたてんきになれ - Yogee New Waves

(from『WINDORGAN』)

  

 

H:なぁるほど。全然違うね(笑)

角館:全然違いますね(笑)恐縮です。

H:いやいやいや…でも、タイトルは僕も好きなんだよね、"あしたてんきになれ"。

角館:いい言葉ですよね。

H:うんうん。

 

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H:その名前なんだけど…「ヨギー」というのはどこから来てるの?

角館:このヨギーというのはマハリシ・マヘーシュ・ヨーギー(Maharishi Mahesh Yogi)という…

H:あ、そこから!信じられない(笑)

角館:はい(笑)あのヨガマスターの名前からちょっと拝借して…ヨギーという名前を借りてますね。ヒッピー文化というものにすごく興味があったんですよ。バンドを組みたての頃は特に。

H:なるほどね。そうかそうか。それは興味深いね。そうなんだ、そこから来てるとは全然思わなかった。

角館:ちょっと犬の名前みたいでね、ヨギーというのが…なんかいいな、という風に思ってたんですけどね(笑)

H:犬は飼ってるの?

角館:昔、祖母が飼ってましたね。「桃太郎」という犬を…(笑)

H:桃太郎のほうがいいな(笑)

2人:(笑)

H:へぇ…どういう生活圏で暮らしてるの?

角館:僕らは…そうですね。

H:近いの?みんな。

粕谷:近いですね。まぁ、新宿周りですかね。新宿近辺で活動というか、生活圏にしているような感じです。

角館:そうですね。

H: 新宿というとみんな駅周辺のことしかイメージしないけど、すごく広いんだよね。全然違う場所もあるよね、新宿の裏の…西新宿・東新宿とか。いいところあるよね。

角館:喫茶店もすごく多くて…タバコも吸えるんですよね。

H:あ、いいね。引っ越したい(笑)

2人:(笑)

角館:ぜひぜひ…

H:そうか、そういうところか。

粕谷:当時のここら辺の雰囲気というか…どういう感じだったのかなぁ、と。思いを馳せていたんですけど。白金ってあんまり、普段から生活圏でもないし、来ないような場所だったので…

H:そうかもね。なんだろうな…最近のここら辺は好きじゃないんだけど(笑)昔はよかったよ。誰も来ない街なんだよね、外から。でもバブルの頃からヘンになってきたんだね。「シロカネーゼ」とか言い出して。

粕谷:そうですね(笑)

H:で、犬を散歩してるマダムがいっぱいいるね(笑)

粕谷:クネクネした犬がね(笑)

H:そうそう(笑)そういう感じになってきちゃったね。だから、日常使いの喫茶店がないんだよ。

角館:そうなんですか!

粕谷:なんか、残ってるというか…

H:つい数年前までは残ってたの。行きつけの…歩いてすぐ、50歩ぐらいのところに。ROROという喫茶店があったのに、なくなっちゃったんだよね。僕の祖父がよく散歩の帰りに寄って、タバコ吸ってたみたい(笑)

角館:本を読んだりとかしてね…

H:そういうところがないんだよな、今。

粕谷:でも、新宿近辺もそうですね。減っていって…

角館:減りましたね…

H:本当?

粕谷:もう、タバコを吸えるところを探すのに必死ですね。

H:そうか、2人とも吸うんだね(笑)

角館:そうですね(笑)

H:めずらしいよね。

角館:減りましたね、最近ね。

 

 

H:さて…喋ってるうちに時間が来ちゃって。

角館:ありゃ。

H:また来てもらうこともあるだろうし…でも、なにかメッセージをもらおうかな(笑)

2人:(笑)

H:そういえば、数年前恵比寿ガーデンでイベントをやったときに、僕の曲を歌ってもらったんだよね。

角館:そうですね。

H:あれは"はらいそ"と…

角館:"ろっかばいまいべいびい"。

H:もう1回それを聴きたくなっちゃったな。あの時の記録残ってるんで、もう1回聴こうかな。

角館:おお、やったー!僕、"はらいそ"を聴きたいですね…

H:ね。今ないんだけどね(笑)

角館:シンセサイザーをがんばったんです。

粕谷:作ってたね。

角館:ポロポロポロポロ…って。シークエンスで。

H:そうか、それはうれしかったな。まぁ、それはじゃあここでお礼を言っておいて…こっちからのメッセージになっちゃったけど。

2人:(笑)

 

natalie.mu

 

H:じゃあね、時間なんで…また来てくださいね。Yogee New Wavesのお2人でした。

2人:ありがとうございました。

 

 

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角館:高田馬場にはまだタバコの吸える喫茶店が…あるんですよね。

H:へぇ!それはちょっと知りたいな。高田馬場か。行ってないなぁ。

角館:早稲田松竹という小っちゃい映画館あるじゃないですか。

H:あー、それは有名だ。

角館:あそこの向かいのエスペラントというところはまだ吸えて…

H:あ、ホント?覚えやすいね。

角館:行き来してるんですよね。

H:(笑)

(タバコに火を点ける)

H:早稲田もいい喫茶店あるよね、さすがに。

角館:ありますね。で、こいつは早稲田大学なんですよ。

H:やっぱりそうか。

粕谷:俺は早稲田出身で…

角館:僕は日芸なんですけど…早稲田とかは勝手に入っても怒られないじゃないですか(笑)

H:だろうね(笑)「天ぷら」っていうんだよね、そういうの。

粕谷:あ、天ぷらっていうんですか?(笑)なんでですか?

H:わかんない(笑)衣をつけたニセ学生っていう…

角館:(笑)

粕谷:なるほど(笑)

H:学食、いいよね。青山学院の学食がよかったり…

角館:なんなら、細野さんがライヴしたとき観に行きました。

粕谷:早稲田で…

角館:早稲田のホールでceroと2マン。

H:あ、やったやった。そうそう。あ、観に来てたの?(笑)

粕谷:観に行ってました。

角館:ヨギー始めたてで…1stデモができたぐらいで。なんとか聴いてもらおうと思って…投げる準備とかしてたんですけど(笑)

H:(笑)

角館:これは止められるからやめよう、って(笑)その話すればよかったかな。

H:投げる人はあんまりいないよね。

角館:けっこう前のほうにいたので…聴いて!って。

H:投げたの?

角館:投げなかったです(笑)止められたら顰蹙がヤバい、と思って…

H:そうか、来てたのか。

角館:あの日のライヴはめちゃくちゃよかったです。

H:いろんなところでやってきたけどね…いまいくつ?

角館:今年30歳ですね。

H:あ、まだ若いな…

角館:まだまだですよ…(ため息)

H:いやいやいや(笑)

角館:はやく50歳ぐらいになりたいですね。

H:おお…僕も50歳になりたい(笑)

2人:(笑)

角館:足して2で割ったりとかして…(笑)

H:昔の60年代の音楽とか聴くと…ザ・バーズThe Byrds)とかザ・バンド(The Band)、もちろんディラン(Bob Dylan)も。色んな人がいたけど、みんな若いのに大人なんだよね。

粕谷:あー…

角館:そうですよね。

H:音楽もそう。音楽も大人なんだよな。それを聴いてる僕たちは20代なのに…今考えると老けてるというかね。というか今の音楽…日本は全体的に子どもの音楽ばっかりだな、と思うよね、そういうのを聴くと。

角館:そうですね…日本はそうですよね。

粕谷:できるだけ渋いのをやりたい…という気持ちはあるんですけど。

角館:ここでちゃんとやっておかないと…みたいなときもある(笑)

H:じゃあ、はやく50歳になったほうがいいね(笑)

粕谷:そうなんですよね(笑)はやく年を取りたい、という…

H:…このくだりおもしろいね(笑)

角館:なんか緊張してしゃべれなかった…(笑)

H:黙っちゃうんだもん(笑)

角館:なんだかねぇ…(笑)

H:これ使おうかな、どっかで。

角館:ありがとうございます。「風街レジェンド」を観に行ったよね、メンバーで。

粕谷:みんなで行きました。

H:あ、そう?

角館:すごいよかった、あれも…やばい、いっぱい話しちゃう(笑)

H:(笑)

角館:最後に一つだけ話したいことがあって…

H:どうぞ。

角館:ちょっとCDを持ってきたんですけど…

H:なんだ、それを言ってくれないと…(笑)

角館:これ、井上陽水の『ハンサムボーイ』なんですけど…1曲目の"Pi Po Pa"、細野さんやってるじゃないですか。

H:やってる。

角館:これがめちゃめちゃカッコよかった、という話を…

H:(笑)

角館:木琴のアレンジがカッコよすぎ!と思って。

H:なにをやったか全然憶えてないんだよね、それ。

角館:これね…差し上げますよ。

H:え!僕も持ってるんじゃないかな…(笑)

角館:僕も、2枚あるから…

H:ほんと?なんかくれた(笑)

角館:井上陽水の『ハンサムボーイ』をあげるという…(笑)

H:なんでくれたんだろう(笑)

 

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角館:これもめちゃめちゃいいですよ。鈴木弘の『CAT』という…ジャパニーズジャズなんですけど。トロンボーンの…

H:これは知らないな。

角館:これもめちゃくちゃ最高…

H:これはいつの?

角館:これは1974年とか…

H:へぇ。

角館:これも差し上げます。

H:いいの?2枚あるの?

角館:これはね、普通にまた買います。

H:(笑)

角館:いいんです(笑)CD買うの好きなので…

H:じゃあ頂きます。

角館:聴いてください。

H:これは知らなかった。

角館:ぜひぜひ…めちゃくちゃグッドっす。

 

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H:へぇ…70年代っておもしろいよなぁ。

角館:おもしろいですね、機材もねよくなってくる感じしますよね。

H:そうそうそう。