2021.10.03 Inter FM「Daisy Holiday!」より

手作りデイジー🌼#25

 

daisy-holiday.sblo.jp

 

 (以下、すべてH:)

  

 細野晴臣です。1960年代から抜け出せないんですよね。なんか、ブラックホールのような時代だったんですね。同時期に色んなことが起こってますから…パラレルワールドと言ってもいいですね。

 きょうはフォークロックを特集したいんですけど…その黒幕はボブ・ディランBob Dylan)ですね。それを広めていったのがピーター、ポール&マリー(Peter, Paul and Mary)とか…いろいろロックバンドが出てきましたけど、中心にいたのはやはりザ・バーズThe Byrds)ですね。このバーズはテリー・メルチャー(Terry Melcher)というサーフィンオタク…ビーチボーイズとやっていたような人がバーズをプロデュースしたんですね。そしてニューヨークではモダン・フォークが台頭してきまして、その中心にいたのはピーター、ポール&マリーですね。では、そのPPMで…ボブ・ディランのカヴァーの中では彼らにとっては異色なロックビートなんです。"Too Much of Nothing"。

    

  

Too Much of Nothing - Peter, Paul & Mary

(from『Late Again』)

 

 

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 次はですね…「時代は変わる」、"The Times They Are A-Changin'"。これをPPMとオリジナルのボブ・ディランで聴いてください。

 

  

The Times They Are A-Changin' - Peter, Paul & Mary

 

 

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The Times They Are A-Changin' - Bob Dylan

(from『The Times They Are A-Changin'』)

 

 

今の時代にこそ歌われるべき歌かもしれないですね。1963年の作品です。

 

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 次は1964年の"Mr. Tambourine Man"。

 

    

Mr. Tambourine Man - Bob Dylan

(from『Bringing It All Back Home』)

 

 

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 ほとんど同時期にリリースされたのがテリー・メルチャーのプロデュースによるザ・バーズの"Mr. Tmbouring Man"。

 

    

Mr. Tambourine Man - The Byrds

(from『Mr. Tambourine Man』)

 

 

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 今回はですね、ボブ・ディランが主人公じゃないんですよ。テリー・メルチャーなんですよね。なぜかというと、サーフィン時代からここに至る…なにが彼に起こったのか、と。では2番目の大ヒット曲、ピート・シーガー(Pete Seeger)の曲です、"Turn! Turn! Turn!"。

 

    

Turn! Turn! Turn! - The Byrds

(from『Turn! Turn! Turn!』)

 

 

この特徴的なリッケンバッカーの12弦ギターを弾いているのがロジャー・マッギン(Roger McGuinn)で、リーダー格ですね。あとは後にクロスビー、スティルス&ナッシュ&ヤング(Crosby, Stills, Nash & Young)に入ったディヴィッド・クロスビー(David Crosby)、そしてクリス・ヒルマン(Chris Hillman)。みんなそれぞれ、フォークシンガーが集まってやっていたんですね。この"Turn! Turn! Turn!"も"Mr. Tmbouring Man"も「フォークロックの曙」と呼ばれています。

 

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 少し前後しますが、1967年のリリースで…ちょっとビートルズを思わせるような感じですが、"So You Want To Be a Rock 'n' Roll Star"。

 

    

So You Want To Be a Rock 'n' Roll Star - The Byrds

(from『Younger Than Yesterday』)

 

 

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 アメリカ側から見れば「イングリッシュ・インヴェイジョン(ブリティッシュ・インヴェイジョン)」と言われた、すごい波がやってきたわけですね。その中心はもちろんビートルズです。では、1966年のアルバム『Revolver』から"Tomorrow Never Knows"。

 

    

Tomorrow Never Knows - The Beatles

(from『Revolver』)

 

 

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 こうして60年代の末にはもうサイケデリックが芽生えてきたんですけど、この"Tomorrow Never Knows"もその一つですが…その直前にバーズが出した"Eight Miles High"。これが最初のサイケデリックと言われています。

 

    

Eight Miles High - The Byrds

(from『Fifth Dimension』)

 

 

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Three Window Coupe - The Rip Chords

 

 

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 この"Three Window Coupe"という曲ですね。リップ・コーズ(The Rip Chords)の2番目のシングルで、ヒットしましたね。テリー・メルチャーが1964年にブルース・ジョンストン(Bruce Johnston)と一緒にやっていたユニットなんですけど、この数年後にはザ・バーズをやり出すわけですね。ニューヨークでは既にモダン・フォークブームがあって…ベトナム戦争の折で反戦運動がありまして、フォークシンガーたちがこぞってプロテストソングを歌い出して、その中心にいたのがボブ・ディランだったわけです。テリー・メルチャーはそういう動きに非常に敏感だったと思うんですけど、一方でとても複雑な育ちをしていまして。1969年にはシャロン・テート(Sharon Tate)事件に少しだけ関わったりして、非常に悩んだりしたと思うんですね。お母さんはあの大・名歌手ドリス・デイ(Doris Day)です。一人息子ですね。その母親のドリス・デイと一緒に歌っているめずらしい曲があります。"Stewball"という…初めて聴いたときはビックリしました。これは民謡なんですけど、ジョン・レノンの……

     

 

A Word from Doris - Doris Day

(from『Music, Movies & Memories』)

 

 

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Stewball - Terry Melcher & Doris Day 

(from『Music, Movies & Memories』)

 

 

この"Stewball"というのは競馬馬を題材とした古い民謡を改作していったような歌なんですね。元々が古いので、ジョン・レノンはそれを聴いてたんでしょうね。"Happy Xmas"という曲に改作して大ヒットしました。

 

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 テリー・メルチャーは早死にしてしまいましたね。お母さんよりも先に亡くなってしまいました。そのお母さん、ドリス・デイの歌、1956年にヒットした"Que Sera, Sera"。「なるようになるさ」。

     

 

Que Sera, Sera - Doris Day

 

 

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