2021.02.07 Inter FM「Daisy Holiday!」より
手作りデイジー🌼#16
(以下、すべてH:)
こんばんは、細野晴臣です。毎月初めの「手作りデイジー」。さぁきょうはですね、いま発売中の『細野晴臣と彼らの時代』という本がありますが、門間雄介さんの8年かかった労作というか…本当にいい本を作って頂いてうれしいと思っています。
これの最初の数ページ分、子どもの頃の音楽をかけていきたいんですけど…そうですね、1947年生まれなんで昭和22年。その頃はまだなんにもなかったんですけど、4,5歳になって…昭和26年ぐらいから音楽を聴き始めて。小学校に入って中学1年ぐらいまでの間に聴いてた音楽…全部はかけられませんね。まぁ、こんな感じで始めたいと思います。ベニー・グッドマン(Benny Goodman)ですね。
Boy Meets Girl - Benny Goodman Sextet
4歳の頃に聴いてた太鼓のレコード…母親にねだって聴かしてくれ、と言ってたんです。当時はSP盤です。すぐ割れちゃうタイプの、78回転のレコードを電蓄に据えてかけてもらってたんです。その音楽がですね…「太鼓のレコード」っていうくらいなんで、たぶんジーン・クルーパ(Gene Keupa)辺りの…つまりベニー・グッドマン楽団だったんだと思うんですけど。
Farewell Blues - Benny Goodman Sextet
こんな感じなんだけど…ちょっと違うんですよね。なんだか憶えてないんですよ。そのSP盤が残ってないんで。他の盤は数枚残ってるんですけどそれだけ残ってないんですよ。なんだったのかな…まぁ、これではないですね。
Blue Skies - Benny Goodman
ん、これかな…いや違うな。これは"Blue Skies"だよね?"Sing, Sing, Sing"だと思ってたんですけど…あんまり好きじゃないんですよね、あれ。やっぱり子どもの頃から変わってないんですよね、趣味が(笑)あれじゃないんですよ。まぁ、こんな感じです。
いろんなSP盤が家にあって…これもそうですね、「3匹のこぶた」。これはカヴァーで後半ジャズになっていくんですけど、そこもよかったんですよね。
Who's Afraid Of The Big Bad Wolf? (The Three Little Pigs) - Victor Young & His Orchestra
もうひとつは「ハイホー(Heigh-Ho)」。これがよかったんですよ。これはちょっと、丸々聴いてみたいと思います。SP盤なんでちょっと雑音が多いです。これはハリー・ロイ&ヒズ・オーケストラ(Harry Roy & His Orchestra)のヴァージョンです。
Heigh-Ho - Harry Roy & His Orchestra
もうひとつ、ディアナ・ダービン(Deanna Durbin)というかわいい少女が歌う、"It's Raining Sunbeams"。
It's Raining Sunbeams - Deanna Durbin
まぁこんなような…戦時中の歌謡曲もあったんですよね。これは"上海便り"という上原敏さんの歌ですね。
上海便り - 上原敏
あとブギウギもわりと流行ってましたね、日本では。笠置シヅ子を筆頭に…これは暁テル子の"ミネソタの卵売り"。すごい好きでしたね。
ミネソタの卵売り - 暁テル子
童謡もいっぱい聴いてました。"とんがり帽子"の歌ですね、これは。古関裕而さんの作曲ですね。菊田一夫作詞です。
とんがり帽子 - 川田正子, ゆりかご会
そして、ついにテレビっ子になりました。"シャボン玉ホリデー"、ザ・ピーナッツ。
30分の間にいろんな曲をかけたいんですけど、まぁ限界がありますね。最初に観た映画の印象というのは…これは『ぼくの伯父さん(Mon Oncle)』ですね。リュシエンヌ・ドリール(Lucienne Delyle)のカヴァーのほうをかけます。
Mon Oncle - Lucienne Delyle
ぼくの伯父さん - 中島潤, 平岡精二クインテット
実はこの中島潤さんが歌う「ぼくの伯父」のカヴァーを、映画を観た帰りに買ってもらったんです。オリジナルは売ってなかったんですよね。
毎朝ラジオで朝7時くらいになると流れてくる…学校へ行く前の時間ですね。これがミシェル・ルグラン・オーケストラ(Michel Legrand & His Orchestra)で"A Paris"。口笛はフランシス・レマルク(Francis Lemarque)だと思います。
A Paris - Michel Legrand & His Orchestra
こんな小学生の間の音楽体験なんですけど、テレビの影響は強くて。「シャボン玉ホリデー」もそうですけど、テレビの西部劇映画も始まって。「ローハイド(Rawhide)。これはシェブ・ウーリー(Sheb Wooley)という…「ローハイド」に出てたピート・ノーラン(Pete Nolan)という役のカーボーイですけど。シェブ・ウーリーが歌う"Rawhide"を聴いてください。
Rawhide - Sheb Wooley
(from『Songs From The Days Of Rawhide』)
テレビの影響もさることながら、ラジオの影響はやっぱりすごいですね。1960年代前後からポップスが花開いた時代があります。ニール・セダカ(Neil Sedaka)、キャシー・リンデン(Kathy Linden)、コニー・フランシス(Connie Francis)。そしてエルヴィス・プレスリー(Elvis Presley)。
(Let Me Be Your) Teddy Bear - Elvis Presley
プレスリーの"Teddy Bear"。ここら辺から大瀧詠一くん…はっぴいえんどの仲間ですけど。彼と音楽体験が重なってくるんですね。エヴァリー・ブラザーズ(The Everly Brothers)で"Cathy's Clown"。
Cathy's Clown - The Everly Brothers
ドン・エヴァリー(Don Everly)、フィル・エヴァリー(Phil Everly)兄弟の作詞・作曲で"Cathy's Clown"でした。1960年。
「スリー・ボビー*」のうちの一人、ボビー・ヴィー(Bobby Vee)の歌で"More Than I Can Say"。これは僕もカヴァーしてます。
*Bobby Vee、Bobby Darin、Bobby Rydellの3人。Bobby Vintonを加えて「フォー・ボビー」と呼ぶこともあるとかないとか。
More Than I Can Say - Bobby Vee
ドゥーワップも聴くようになりました。ザ・ドリフターズ(The Drifters)、クライド・マクファッター(Clyde McPhatter)のリードヴォーカルで、"Honey Love"。
Honey Love - The Drifters
ガールポップグループもよく聴きましたね。この頃出てきたのがザ・シフォンズ(The Chiffons)で"One Fine Day"。
One Fine Day - The Chiffons
ゴフィン&キング(Gerry Goffin & Carole King)の曲で、"One Fine Day"。シフォンズ、1963年のヒット曲。
そしていよいよフィル・スペクター(Phil Spector)の登場ですね。ザ・クリスタルズ(The Crystals)、"Da Doo Ron Ron"。スペクターさん、安らかに。
Da Doo Ron Ron - The Crystals
フィル・スペクターさん。刑務所でお亡くなりになられましたけど、ついこないだのことです。すばらしい業績を残してくださいました。
最後の曲。リンダ・スコット(Linda Scott)の"I Don't Know Why"。この続きはまた、今度やりたいと思います。
I Don't Know Why - Linda Scott