2020.08.30 Inter FM「Daisy Holiday!」より

岡田崇の手作りデイジー🌼#3:John Altman~伯父さん特集


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(以下、すべてO:)

 

 こんばんは、岡田崇です。今夜のDaisy Holidayは細野さんに代わって僕が30分お送りします。「岡田崇の手作りデイジー」第3弾、どうぞ最後までよろしくお願いします。

 

 8月第1週にお送りした細野さんの「手作りデイジー」でオンエアーされたオランダの女性シンガー、ベアトリス・ファン・デル・プール(Beatrice Van Der Poel)。1997年のオランダ映画『エメラルドの帯(De Gordel van smaragd / Tropic of Emerald)』のサントラからでしたが、その映画音楽を担当していたのはマンノ・ダムス(Menno Daams)というトランペット奏者です。この番組ではおなじみのオランダの楽団、ボー・ハンクス・セクステット(The Beau Hunks Sextette)のメンバーで、先日流れた曲の演奏もボー・ハンクスのメンバーによるものでした。彼女はこのサントラの翌年、1998年にオランダのBastaレコードからミス・ビー・スポイルド(Miss Bee Spoiled)という名義でデビューしています。では、そのデビューアルバムからアーサー・ジョンストン(Arthur Johnston)作曲の"Lotus Blossom"をお送りします。

 

 

(Sweet) Lotus Blossom - Miss Bee Spoiled

(from『Miss Bee Spoiled』)

 

 

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 アーサー・ジョンストンといえば、細野さんもカヴァーしていた"Pennies From Heaven"の作曲者です。1936年に映画『Pennies From Heaven(黄金の雨)』の劇中でビング・クロスビー(Bing Crosby)が歌い、ほかにもビリー・ホリデイBillie Holiday)やドリス・デイ(Doris Day)など数多くの歌手が歌ってきました。ジェームス・テイラーJames Taylor)の新作『American Standard』でもカヴァーされています。スティーヴ・マーティンSteve Martin)主演の1981年に映画に同じく、同名の『Pennies From Heaven』というのがあります。日本では劇場未公開のようですが、昔レンタルビデオで見ました。バスビー・バークレー(Busby Berkeley)のオマージュシーンなど1930年代のミュージカル映画愛にあふれた作品で、とても楽しめます。ではそのサウンドトラックから、ビリー・メイ(Billy May)の編曲・指揮でスティーヴ・マーティンが歌う"Pennies From Heaven"を聴いてください。

 

 

Pennies From Heaven - Steve Martin

(from『Pennies From Heaven: Original Motion Picture Soundtrack』)

 

 

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 さて、少し話を戻して…ボー・ハンクス・セクステットの話題が出ましたので、彼らのレイモンド・スコット(Raymond Scott)カヴァー集の中から1曲お送りします。この曲は『Celebration on the Planet Mars』というアルバムに収録されています。僕がやっているレーベル、LI'L DAISYから詳しい日本語解説付きで日本版CD が発売されていますので、興味を持った方はぜひ聴いてもらえたら嬉しいです。では、ボー・ハンクス・セクステットの演奏で"Penguin"を聴いてみてください。

 

 

The Penguin - The Beau Hunks Sextette

(from『Celebration on the Planet Mars』)

 

 

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 1994年のイギリス映画『ファニーボーン 骨まで笑って(Funny Bones)』という、ジェリー・ルイス(Jerry Lewis)やジョージ・カール(George Carl)、リー・エヴァンス(Lee Evans)などたくさんの芸人さんが出演する映画の劇中で、この"Penguin"が流れます。この映画を観て細野さんはレイモンド・スコットを知った、と話していましたが、その映画音楽を担当していたのがジョン・アルトマン(John Altman)という方です。先日、American Society of Music Arrangers and Composers(ASMAC)という…アメリカの編曲家や作曲家の協会がありまして、そこの方に紹介して頂いて、このアルトマンさんとメールでやり取りをさせて頂きました。その中で、彼のおじさんがイギリスのアンブローズ楽団(Bert Ambrose And His Orchestra)の主任アレンジャーだったシド・フィリップス(Sid Phillips)だと聞いて、僕は驚きました。大興奮したというか。シド・フィリップス、シド・フィリップス…ほとんど知られていないと思いますが、シドが書くアンブローズ楽団のオリジナル曲はみんなヘンテコで。もちろんレイモンド・スコットの影響もあるんでしょうし、イギリスだとレイスコ以前にレジナルド・フォーサイス(Reginald Foresythe)の楽団がこういったノヴェルティ・ジャズを演奏していたので、イギリスにはこういったノヴェルティ・ジャズを生み出す土壌があるのかなぁ、なんて、とても興味のある作曲家だったんです。では、ジョン・アルトマンさんのおじさん、シド・フィリップスの曲で"Message from Mars"を聴いてみてください。

 

 

Message From Mars - Sidney Phillips And His Orchestra

 

   

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 映画音楽家ジョン・アルトマンさんのおじさん、シド・フィリップスの曲でした。アルトマンさんはほかにもアメリカ版『Shall We Dance?』の音楽やコマーシャル音楽などを数多く手掛けているようですが、個人的に興味があったのはやはり、モンティ・パイソンMonty Python)関連のお仕事ですね。ボンゾ・ドッグ・バンド(The Bonzo Dog Band)のニール・イネスNeil Innes)のソロや、ビートルズのパロディをやったラトルズ(The Rutles)の編曲やオーケストレーションなどもされています。 では、アルトマンさんが編曲したモンティ・パイソンの1979年の映画、『ライフ・オブ・ブライアン(Monty Python's Life of Brian)』のエンディングを飾ったエリック・アイドル(Eric Idle)の曲で…そうですね、コロナ禍の今にふさわしい曲なのかな。"Always Look On The Bright Side Of Life"。モンティ・パイソンです。

 

 

Always Look On The Bright Side Of Life - Monty Python

 

 

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 きょうはなぜかジョン・アルトマン特集のようになってきていますが、アルトマンさんにはもう1人おじさんがいました。ウルフ・フィリップス(Woolf Phillips)という指揮者で、ジュディ・ガーランド(Judy Garland)やマルクス・ブラザーズ(Marx Brothers)、フランク・シナトラFrank Sinatra)にナット・キング・コールNat King Cole)、ローレル&ハーディ(Laurel and Hardy)なんかの編曲・指揮をしていたというから、これまたすごい名前がズラリとですね。そのウルフ・フィリップスさんの『Lullaby Of Broadway』というアルバムから、ハリー・ウォーレン(Harry Warren)作曲、1930年のブロードウェイ[ミュージカル]『Sweet and Slow』で使われた曲で"Would You Like To Take A Walk"を。

 

 

Would You Like To Take A Walk - Woolf Phillips And His Orchestra

 (from『Lullaby Of Broadway』)

 

 

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 さて、今夜の「真夜中のランチタイム・ミュージック」は…「おじさん」といえばそう、ジャック・タチ(Jacques Tati)の『ぼくの伯父さん(Mon Oncle)』ですね。先週、ジャック・タチの『ぼくの伯父さんの休暇(Les vacances de Monsieur Hulot)』をひさしぶりに観直してみました。1953年に制作されて、1978年までに3回、ジャック・タチによって手を加えられています。先週は1953年のヴァージョンで観たんですが、ずいぶん昔に劇場で観たのとは印象が違っていました。アラン・ロマン(Alain Romas)によるテーマ曲、このアレンジがぜんぜん違うんですね。ではジャック・タチの『ぼくの伯父さんの休暇』のテーマ曲を…コロムビア・シンフォネットの演奏でお楽しみください。

 

 

ぼくの伯父さんの休暇(Les Vacances de M. Hulot) - コロムビア・シンフォネット

 

 

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 頭のほうでジェームス・テイラーの名前が出ましたが、元奥さん、カーリー・サイモン(Carly Simon)のおじさんはピーター・ディーン(Peter Dean)というウクレレおじさんでした。では、ピーター・ディーンの演奏で"I'm a Ding Dong Daddy"をお送りします。

 

 

I'm a Ding Dong Daddy - Peter Dean

(from『Ding Dong Daddy』)

 

 

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 では最後に、マックス・スタイナー(Max Steiner)作曲の映画『避暑地の出来事(A Summer Place)』のテーマをスケッチショウの演奏でお送りします。次回は月初め恒例となった細野さんの「手作りデイジー」をお送りします。来週のこの時間をお楽しみに。おやすみなさい。

 

 

Theme From A Summer Place - Sketch Show

(from『Audio Sponge』)

 

 

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ZZZ....(いびき)