2019.11.10 Inter FM「Daisy Holiday!」より
H:えー、こんばんは…(笑)細野晴臣です。風邪引いちゃって…(笑)
O:大丈夫ですか?岡田崇です。
H:すいません、ダメです。
O:お疲れですね。
H:本番だとシャキッとするかと思ったら、ダメです。
O:(笑)
H:鼻声で申し訳ないですけど。これ、聴いてる人にうつらないかな、と思ってね。岡田くんにはうつるかもしれないけどね。
O:(笑)
H:いやー、なんか…こないだね、展覧会。
O:はい。「細野観光」。
H:あ、「細野観光」って言うんだ(笑)最終日に行って。
O:あー、そうですか。
H:ええ…それで疲れちゃったのかな(笑)なんか、自分のものに囲まれてると疲れちゃうんだね。だから、あんなところに住めないな、と思って(笑)
O:自分のものなのに(笑)
H:自分のものってツラいよね。じっくり見ようと思ったけど、見れなかったね。まぁでも、すごい量だな、と思って。
O:ね。
H:なんか、いち時にいろんなことがあったでしょ?
O:そうですね。恵比寿で4日間…
H:映画も公開されてるしね、いま。なんか、自分のことのような、自分のことじゃないような、ね。熱に浮かされたような…(笑)
O:(笑)
H:あの頃もう、精神的に風邪引いてたね(笑)
O:大変な1ヶ月でしたよね。
H:いやー、もう、疲れたな。なんだろう、疲れてる場合じゃないんだけどね。自分ではそんなにいっぱいやってないんで。これからが大変なんだよね。
O:コンサートが。
H:フォーラム(東京国際フォーラム)でやる。それに比べたらわりと楽なはずなのに、なんでだろう。人々が…こんないち時にいろんなひとが僕のこと考えてるわけじゃないですか(笑)
O:そうですね(笑)
H:そういうことって、あんまりないよね。今までもなかったし。世界中で数人ぐらいが「あ、ホソノどうしてんのかな?」とかね、思うかもしれないが。
O:(笑)
H:やっぱり、人々のほうが強いからね。僕、弱いから。
O:その熱量に…
H:熱量にやられちゃいましたね。だから、いま草葉の陰から見守ってる、って、ずーっと言い続けてるんですよ。
H:きょうも、ひとつお願いしますね。最初、ひとりでやるつもりだったけどできなくて…
O:急遽…(笑)
H:来てもらって。聴いてるよ、だから。草葉の陰で。
O:いやいやいや…(笑)
H:どうぞ。
O:じゃあですね、1曲目はギャビー・モレノ&ヴァン・ダイク・パークス(Gaby Moreno & Van Dyke Parks)という名義で先日アルバムが…『¡Spangled!』というものが出まして。
H:ヴァン・ダイク(せき)。
O:久々のソロみたいな…
H:せきで返事してるから。聞いてないわけじゃないから(笑)
O:(笑)
H:はい、どうぞ。
O:じゃあその中からですね、"Across The Borderline"。ライ・クーダー(Ry Cooder)とか、ジョン・ハイアット(John Hiatt)の曲です。
H:いいね。
Across The Borderline - Gaby Moreno & Van Dyke Parks
(from 『¡Spangled!』)
H:なるほどね。ヴァン・ダイク・パークスらしいストリングスアレンジね。
O:そうですね。
H:あの…7月にヴァン・ダイク・パークスに会ったときに、「9月にソロが出るんだよ」って言ってたの。これ、ソロなのかな?歌ってないよね。
O:ソロ…のつもりなんじゃないですかね?
H:まぁでも、ギャビー・モレノ。
O:グアテマラの人、かな?
H:サンディー(Sandii)を思い出すな、歌声が。
O:おお。
H:…ミックスがアル・シュミット(Al Schmitt)だって。いやー、なんかいいな。
O:お元気ですね。
H:元気だ。よかった。
O:もう、いくつなんだろう…
H:んー…みんな高齢者だよ。僕も含めて。キャピトル・タワーでミックスしたみたいだね。ロサンゼルスだね。
O:2人ともL.A.に住んでるみたいですね。
H:お、このトラックはジム・ケルトナー(Jim Keltner)だね、ドラムスが。
O:あ、そうでしたか。クレジットをちゃんとチェックしてなかったです。
H:あと、ライ・クーダーがスライドやってるね。
O:ジャクソン・ブラウン(Jackson Browne)が歌ってるんですね。
H:あ、そうなのか。結集してるね、高齢者たちが(笑)
O:(笑)
H:うれしいね。なんか、ホッとするようなサウンドですね。んー。いやー、ヴァン・ダイク・パークスの声も聴きたかったな。
O:そうですね。
H:きょうはこのまま続けてもらおうかな、じゃあ。
O:はい。じゃあですね、これもわりと最近出たものなんですが…サマンサ・シドリー(Samantha Sidley)という女性なんですけども、イナラ・ジョージ(Inara George)のレーベルから新しく出たアルバムがありまして。
H:ほうほう。サマンサ・シドリー。
O:プロデューサーがバーバラ・グラスカ(Barbara Gruska)という方で…
H:女性だ。
O:女性…まぁ、同性愛の方なんですけど[サマンサ・シドリーと]カップルで、プロデューサーが彼女…彼女なのか彼なのかわかんないですけど(笑)で、このバーバラ・グラスカさんは、前に僕…イーサン・グラスカ(Ethan Gruska)という人を紹介したと思うんですけど。
H:…憶えてないな(笑)
O:ジョニー・ウィリアムス(Johnny Williams)の曾孫…レイモンド・スコット・クインテット(Raymond Scott Quintet)のドラマーの。
H:ジョン・ウィリアムス(John Williams)ね?
O:えっと、ドラマーが「ジョニー」ウィリアムスで、その息子さんが映画音楽の…
H:「ジョン」ウィリアムス。まぎらわしい。
O:そのさらに2世代下りて…曾孫さんですね。
H:曾孫!
O:…が、プロデューサーとして名前を連ねております。
H:ほほう。つながってるね。
O:はい。じゃあその人の…"I Like Girls"という曲を。
I Like Girls - Samantha Sidley
(from 『Interior Person』)
H:いい、良いサウンドだ。
O:いいですよね。
H:なんかこう、最近の傾向としてはもうちょっと作りこんでるけど、ずいぶん自然体な音だね、これ。良い感じ。
O:アルバム全体でこんな感じで、けっこう良かったです
H:なんか、いいな。この路線は好きだな。うん。
O:よかった…
H:この人はあれかな、女の子が好きなのかな。
O:そうですね。いまの曲通り…もともとは『アメリカン・アイドル(American Idol)』に出てた人みたいですよ、11年前に。
H:あ、そう。ジャケットがそんな感じね。かわいらしい感じで。なるほど。
H:はい、えー、そんな感じで…
O:鳳啓助が…(笑)
H:(せき)
O:じゃあもう1枚ですね…さっきのヴァン・ダイクのやつといっしょに買ったレコードがあって…レイチェル&ビルレイ(Rachael & Vilray)という男女2人組なんですが
H:おお、知らない。
O:"Alone at Last"という曲を、まずは。
H:はい。
Alone at Last - Rachael & Vilray
(from 『Rachael & Vilray』)
H:良い。大人だ(笑)
O:詳しくはよく知りませんが…(笑)
H:ノンサッチ・レコード(Nonesuch Record)の…
O:ノンサッチが時々…さっきのヴァン・ダイクもそうですけど、良いのを出すんですよね。
H:この音像も、さらに好き。
O:よかった…
H:なんかモノ(モノラル)に近いでしょ?
O:そうですね。
H:で、なんか、こう…行き過ぎてないじゃん。なんだか(笑)最近の傾向って行き過ぎてるのが多かったじゃん。まぁ好きだったけど、ジョン・ヘンリー(Joe Henry)とかね。あのプロダクションもすごいけど。
O:あの辺を経て、ちょっと…
H:ちょっと落ち着いてきたね、いま。
O:そういう感じがしますよね。
H:それがおもしろい。なんか。その傾向がすごく、興味があるね。いいよ。
O:3枚ともすごく、そういう傾向が…
H:いいよ。大人の世界だよね。
O:ノンサッチはホントに時々ね、良いのを出しますね。
H:はい、えー…
O:(笑)
H:もうネタはないの?そんなことないでしょう。
O:じゃあグルッと変えてですね…ちょっと前に音くん(福原音)が来たときにもかけましたけど、レジナルド・フォーサイス(Reginald Foresythe)という。
H:はいはいはい。
O:レイモンド・スコットよりもちょっと前…1933~1934年ぐらいにイギリスで活躍した…まぁ、ジャズとクラシックを合わせた最初の人というか。
H:そうだね。
O:木管楽器をフロントに置いた最初の人らしいんですけど。
H:なるほど。
O:その人の音源で"Burlesque"という曲を。
H:バーレスク。
Burlesque - Reginald Foresythe & His Orchestra
(from 『Rachael & Vilray』)
H:なるほど(笑)
O:お疲れ様です、という感じなんですが…(笑)
H:いやいや…これでおしまいね?きょうは。
O:はい(笑)
H:楽しかったな(笑)聴いてるのは良いね。もっとやりたいね。じゃあきょうはもう、帰って寝るよ、僕。
O:そうしてください。
H:はい。じゃあまた来週…
O:おやすみなさい。
H:おやすみなさい。