☆2019.03.05 ニッポン放送「星野源のオールナイトニッポン」より(抜粋)

細野さん出演部分(00:13:20~01:20:25)より抜粋…怒られたら消します………怒らないで………

 

 

・・・

 

星野:さあ、星野源オールナイトニッポンをお送りしております。それではここで、スペシャルゲストをご紹介しましょう。細野晴臣さんです!

細野:はい、こんにちは。

星野:こんにちは、よろしくお願いします~すみません、お疲れのところを…いろいろとね、ライヴもあると思いますし。

細野:いやいやいや、大丈夫です。

星野:ちょうど、日が明けて…放送される頃にはアルバムもリリースされているということですよね。

細野:出ちゃうね、そうなんだよ。持ってきましたよ。

星野:ありがとうございます、やったー!

細野:アナログとCDだよ。ホヤホヤ。

星野:うれしい~ホヤホヤですね。

細野:僕もきょう初めて見て。

星野:え、ホントですか(笑)

細野:うん、そうなのよ。

星野:そうですよね、ビクターってそういうところありますよね(笑)

細野:そうそう(笑)

星野:僕もそうなんですけど…当日に[初めて]見るみたいなのはけっこう僕もね、体験しております。

細野:誰か知らない人が持ってたりするんだけどね。先に。

星野:そうなんですよね。まあ、お客様優先というのはあるかもしれないんですけど。

細野:そうそう。うん。

星野:いやー、うれしいっす。アナログ…僕もアナログは注文したんですけど。

細野:本当?ありがとう。

星野:既にちょっと、プレミア価格になってしまっている感じが…たぶん、明日ぐらいには届いていると思います。

細野:そうらしいね。なんでそんなことになっちゃうのかね。

星野:しょうがないですよね、でも。あ、ちょっと開けていいですか?

細野:いいよ。

星野:すみません…僕も完成品は、いま初めて…

細野:僕も開けてない、見てないんだよね。

星野:あ、いいんですかそれ?(笑)

細野:いいよいいよ(笑)人さま優先で。

星野:ありがとうございます…そうなんですよね、本日、ソロデビューアルバムを新構築した『HOCHONO HOUSE』というアルバムが発売になりました。おめでとうございます!

細野:ホチョノハウス…(笑)ありがとうございます。

星野:えーとですね…ああ、素敵、素敵ですねぇ…ラジオで、素敵ですねとしか言えてないですけど…(笑)

細野:伝わんないよね(笑)

星野:とにかくすばらしい…あ、解説も書かれてるんですね、1曲1曲に。

細野:そうなんです。もう、毎回。

星野:すばらしい…ぜひみなさん、盤を買った方はお楽しみにしていてください。

細野:ぜひぜひ。はい。

 

星野:そんなわけで…このアルバムを改めて…僕はTVBros.という雑誌で毎月連載をさせて頂いておりますが…

細野:やってますよね。ついこないだも。うん。

[*2007年から続く細野x星野の連載対談「地平線の相談」。]

星野:そこでもお話して、ちょっと重複するところがあるかもしれませんが…

細野:もちろん、大丈夫です。

星野:お願いします。このアルバム、『HOCHONO HOUSE』。改めまして、本当にすばらしいアルバムでした。大好きです。

細野:ありがとう。そう言ってくれるのがいちばんうれしいよ。

星野:最高です。本当に最高…メールでも書かせて頂きましたけれども。

細野:あのね、感動的なメールでした。

星野:あ、そうですか。ありがとうございます。

細野:ちゃんと聴いてくれてるな、っていう。

星野:いや、もう…僕の周りも、いわゆるマツゲンさん(松元直樹)というね、ビクターの会社の…同じ担当の方とか。僕の周りのミュージシャンも含め、たいへん盛り上がっておりまして。すごい作品だ、と…

細野:ホント?あんまりそういう…知らなかったな。

星野:僕は…メールでも送らせて頂いたのは、ずっと細野さんは年代を遡って…昔の音楽のスタイルとか、細野さんが小さい頃に聴かれていたような音楽だったり。

細野:そうそう。最近ね、ずっとそういうことをやってた。

星野:ずっと遡っていかれている印象があって。その、古いものの中に新しいものとか、音楽の輝きみたいなものを見出しているような感じがしたんですけども。

細野:うん。そうなんです。

星野:このアルバムを聴いて…1stアルバムの『HOSONO HOUSE』っていうものを全曲、おひとりで録り直すという企画だったと思うんですけど。

細野:はい。

星野:昔のアルバムを再構築しているのに、しかも、ここのところ細野さんはずっと年代を遡っていかれてたのに、急に未来にポンッと出てしまったような。

細野:未来に(笑)

星野:タイムスリップして過去に戻っていったら、いつの間にか未来に出てた、みたいな。そんな感じがしてて。

細野:あー、それはなんとなくわかるわ。んー。自分でもね、曲順を[オリジナルと]正反対にしたりね。

星野:あ、そうなんですよね。曲順がいちばん後ろから遡っていく構成になっていて。

細野:だからね、[自分自身が]逆転しているんじゃないか、って。だんだん、赤ちゃんになっちゃう(笑)

星野:なるほど(笑)なんか、『2001年宇宙の旅(2001: A Space Odyssey)』をなんとなく彷彿とさせるような…

細野:なるほど、ちょっと言い過ぎだけどね(笑)

星野:でも、それぐらい、なんて言うんですかね…「今の音楽のトレンド」みたいなものもあるとは思うんですけど、それの先にポンッと、細野さんが出ていかれたような感じがして。

細野:だとしたら…いやー、うれしいですけどね。

星野:本当にすばらしいアルバムだったと思います。

細野:悩んで作ったんですけどね。んー。

星野:でも、なんだか…途中経過というか、僕は"CHOO CHOO ガタゴト"を…

細野:そう、聴かせて…1曲聴いてもらって。

星野:まだ完成前のを取材のときに…去年の夏頃だったような気がする、9月ぐらいでしたっけ。に、聴かせて頂いて。

細野:わりと早くできてたからね。んー。

星野:それですごい興奮して(笑)

細野:興奮してた、あの日。

星野:それの時点で、これはちょっとおもしろい、っていうか、すごいことになりそうだな、と思った予想をまた、さらに超えて…しかもずっとおひとりで作業されてるって聞いたので。

細野:あれから大変だったんだよ…

星野:大変だったんだろうな、と(笑)追い込まれたんだろうなぁ、と。

細野:うん、追い込まれた…はい。

星野:で、僕もアルバムを作っていたので…

細野:そうだよ、同時期にね。やってたよね。

星野:同時期に追い込んでいたけど、おひとりで作られたっていうのが尚更、大変だったのだろうなぁ、と。

細野:まあね。バンドでやろうかな、とも思ったけど、あまりにもラク過ぎるんで(笑)

星野:(笑)

細野:すぐできちゃうからね(笑)

星野:もう熟練というか、いつもいっしょにやられているバンドですもんね。なので、アプローチも違くて。それがまた、聴いたことのないサウンドになっていて。

細野:あー、そうですか…うれしいです。

 

星野:まずじゃあ1曲、聴かせて頂いてもよろしいでしょうか?

細野:ぜひぜひ。

星野:じゃあなんとなく…僕言っちゃっても大丈夫ですか?

細野:いいよ~

星野:やさしい(笑)

細野:(笑)

星野:それでは本日発売になりました細野晴臣さんのニューアルバム『HOCHONO HOUSE』から、細野晴臣さんで"住所不定無職低収入"。

 

 

住所不定無職低収入 - 細野晴臣
 (from 『HOCHONO HOUSE』)
 
 

星野:お送りしたのは細野晴臣さんで"住所不定無職低収入"でした。

細野:はい。

星野:いまちょっと2人で、新しい『HOCHONO HOUSE』のアナログ盤のにおいを嗅いでいました。

細野:ジャケットのね(笑)

星野:あんまりしないですね、におい。

細野:そう、最近の紙はにおわないんだね。昔、すごいにおったんだよ。いい香りがしたの。

星野:実はきょう、僕が20歳のときに中野の中古レコード屋さんで買った…

細野:あれ?

星野:オリジナルの『HOSONO HOUSE』のアナログ盤を持ってきましたよ。

細野:すごい。20歳のとき?

星野:だから…19年ぐらい前ですかね。これ、においするかな…

細野:(笑)

星野:古いので、するかもしれない…

細野:ちょっと嗅がせて頂きます…

星野:嗅いでます、細野さんが…(笑)

細野:あー、なんか、するね(笑)

星野:します?(笑)よかった。僕これ当時、めちゃくちゃバイトして買いました。もうプレミア価格だったんで。オリジナルのなんでちゃんとケースも…ベルウッドの紙の[スリーブ]。

細野:いいね。オリジナルだよ。

星野:で、冊子も…歌詞カードも小っちゃいやつで。擦り切れるほど聴かせて頂きました。

細野:そうですか。

星野:なので、僕もすごく大好きなアルバムなんですけど…で、さらにそれを再構築するということで、どんなものになるんだろう、と、すごくワクワクしてたんですけど。

細野:ね。自分でも、どんなものになるのかわかんないまま作ってましたよ。

 

星野:これ、キッカケってなんだったんですか?って、僕ちょっと知ってるんですけど(笑)

細野:知ってるでしょ?(笑)

星野:改めて説明をしてもらってもいいですか?

細野:最近、なんか、出回ってる話は、never young beachの安部くん(安部勇磨)…(笑)

星野:安部ちゃん。

細野:彼が、僕にそういうことを言った、と。ま、たしかにそういうことはあったんだよね。だから、彼の所為にしてるんだけど(笑)

星野:(笑)

細野:自分でも自覚してるみたいで…そういう写真が、撮られてたけどね。

星野:あー、なんか、持ち比べてる、みたいな。両方の作品を。

headlines.yahoo.co.jp

 

星野:安部ちゃん…僕がJ-WAVEでラジオをやったときに、僕の入り待ちをしてくれてて。

細野:あ、そう。

星野:彼も収録があったらしくて。で、行ったら、胸にCDを当てて待ってて(笑)

細野:わー、ファンだね(笑)

星野:で、「ファンです!すごい好きです!」って言ってくれて、そっから友達になったんですけど。

細野:それはいい出会いだね。

星野:そうなんです。それでごはんに行ったりとかして。で、細野さんの話とかして。[安部は]ホントに細野さんのことが大好きで。で、僕も大好きで…っていうところで盛り上がって。で、「そういうお話をしたんです」みたいなことを言ってました。

細野:なるほどね。たしかにそうなんだけど。でも実際は…実際はっていうとアレだけど。忘れてることもあって。

星野:うんうん。

細野:10年ぐらい前に…なんかの取材で僕、しゃべってるんだよね。そう言われたの。

星野:「やりませんか?」って言われたんですか?

細野:じゃなくて自分で、「作り直すかもしれない」って。

星野:へー!

細野:なにを…なんでそんなこと言ったのか知らないけど(笑)あと、このオリジナルのアルバム作った時のエンジニアの吉野金次さん。

星野:はい。

細野:吉野さんからも言われてるのを思い出したんだよ。「作ったらいいんじゃないですか」って…「作ってください」って言われたんだ。ずいぶん前ね。

星野:リメイクっていうことを?

細野:そう。だから、そういうことをぜんぶ忘れてて。いま憶えてるのは安部くんの…(笑)

星野:(笑)じゃあちょっと、無意識的に蓄積はされてたのかもしれないですね。トリガーになったのが安部ちゃんだったのかもしれないですね。

細野:[取材を受けた当時]なんでそう思ってのか、自分でもわからないんだけど…思い残すことがあったのかな。わかんないけど。

星野:なるほど。じゃあ、そんな『HOCHONO HOUSE』のお話と曲を、きょうはたくさんかけていきたいと思います。

細野:はい。ぜひぜひ。

星野:いったんCMにさせて頂きます。

 

(JX金属のCM)

 

星野:星野源オールナイトニッポン、今夜のゲストは細野晴臣さんです。よろしくお願いします。

細野:はい、お邪魔してます。

星野:えー、明けてきょう発売、細野晴臣さんの最新アルバム『HOCHONO HOUSE』のお話を伺っていこうと思いますが…改めて、このアルバムはですね、1973年にリリースされたソロ・デビューアルバム『HOSONO HOUSE』を新構築した作品、と。

細野:もう半世紀前ですね。

星野:すごいっすね…おいくつですか?このときって。20代?

細野:20代前半…まあ24,25かな。

星野:そのときの作品をいま…おいくつでしたっけ?

細野:71。今年で72になるよ。

星野:おめでとうございます。

細野:でも加山雄三さんには負ける。

星野:負けるって、なにがですか?(笑)

細野:いやー、もう、勝ち負けだから…(笑)

星野:まあでもパワフルですよね、加山さんって。

細野:すごい。んー。

星野:そんな『HOSONO HOUSE』と収録曲順が真逆となっておりまして、全曲歌唱・演奏・プログラミング・エンジニアリング、すべて細野さんが手がけているという。

細野:まあ、ぜんぶひとりでやってるから、しょうがない(笑)

星野:すごいなぁ…メール来ております。20歳・男性・大阪・ラジオネーム:茹でた孫。「細野さんの新作『HOCHONO HOUSE』は『HOSONO HOUSE』と曲順が真逆になっていますが、どうしてこの順になったのでしょうか。」

細野:どうして、か。んー…おんなじでもよかったんだけど。オリジナルの1曲目は"ろっかばいまいべいびい"っていう曲で始まってるんですけど。

星野:はい。

細野:どうしてもそこから始めたくなかったんだよね。なんでだかね。理由はあんまりないんだけど。いちばん最後にそれを持っていきたかったんで、必然的に…それを最後にする場合、逆になればいいな、と。思いついただけなの。

星野:いちばん合理的な、気持ちのいいアイディアというか。

細野:そうだね。しかも、オリジナルの最後の"相合傘"は何小節しかやってないじゃない。

星野:そうですね。

細野:なんで?と、思うわけ(笑)

星野:自分でやったのに(笑)「なんで?」って思うんですね、『HOSONO HOUSE』を聴いて。

細野:あのね、当時の若者の考えがわからない(笑)

星野:(笑)

細野:まあ、だから、入れないわけにもいかないだろうしね。

星野:あれですよね、はっぴいえんどの『HAPPY END』というアルバムの中に…

細野:そっちのほうに持ってっちゃったの。うん。

星野:元々ソロ用に作られた"相合傘"という曲が。

細野:で、くやしいからちょっと入れたんだろうね(笑)

星野:それを1曲目に。

細野:だから、その続きから始めれば、これはまたいいんじゃないの、と。

星野:たしかに、つながっている感じがありますよね。『HOSONO HOUSE』のいちばん最後もラジオの…Top20でしたっけ?

細野:そうです。

星野:Top20の発表の中に"相合傘"が入ってる、っていう。

細野:憧れだったからね。んー。実際そんなことあるわけないんだけど(笑)

星野:その、ラジオでつながって…半世紀がラジオでつながって1曲目が始まるという、すごく素敵な…

細野:そうだね、逆転してますよね。

 

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星野:『HOCHONO HOUSE』って…僕が[事前に]聴かせて頂いたとき、タイトルもまだ考え中だったじゃないですか。

細野:うん。

星野:「ホチョノハウス」に至った変遷はあるんですか?

細野:あの…言いにくいでしょ?(笑)

星野:(笑)

細野:まあ星野くんは大丈夫か。

星野:ホチョノハウス、はい。

細野:時々恥ずかしがる人がいるんだよね。ホチョノハウスって言えない…さっき、外国の雑誌みたいなのの取材で、「HOCHONO HOUSE」っていうのは、たとえばアメリカではどう思われるんだろう、と思ったら。

星野:うん。

細野:発音できないらしい(笑)そういう音が無いんだ。「ホショノ」なのかな。

星野:そっか、「ショ」になっちゃうんですね。

細野:まあ、だからと言っていまさら変えるわけにもいかない…あまりにもね、疲れて深刻になっちゃった。制作が。

星野:あ、制作が大変だったんですね。

細野:大変だった。で、それを…なんて言うんだろう、緩和させる感じなんですよね。自分を嘲笑うっていうこともあるかも。「なに深刻ぶってんだよ」、みたいなね。

星野:うんうんうん。

細野:だから、自分に向けて付けたんです。

星野:へー。

細野:あとね、女子アナがどうやって発表するのかな、って。

星野:なるほど。ちょっと、「ホチョノ」って言ってほしいですよね。

細野:言ってほしいでしょ?(笑)

星野:(笑)

細野:絶対ためらうと思うんだよね。

星野:一瞬、あれ?ってなりますよね。いいですね…

細野:いやいや、すみません。

星野:そういう細野さんが大好きです。

細野:いやー、ありがとうございます。

 

星野:ちょっとメールがたくさん来てるので紹介します。ラジオネーム:ともつぃー「本日は細野さんがゲスト出演されるということですので質問させて頂きます。某・星野源さんの特典映像に出演されているウソノ晴臣さんについてご存知でいらっしゃいますでしょうか。」と。

細野:もうね、実は見てないんです。噂だけは…

星野:(笑)

細野:すごく見たいんですけど。

星野:すみません、大丈夫ですか?一応あの…撮影前には正式にお願いさせて頂いたんですけど…

細野:もちろん、ぜんぜんオッケーですけど。

星野:あ、よかったです。ありがとうございます。

細野:どっかのライヴでやった?

星野:一応、全会場でやらせて頂きました(笑)

細野:全会場でやったんだ(笑)そっか。

星野:そうなんです。

細野:いやいや…どんな感じ?(笑)

星野:(笑)あとでちょっと、映像をぜひ…ご覧頂いて。たぶん大丈夫だと思います。

細野:見ます。

星野:失礼なことは何一つしておりませんので…

細野:いいよ、したって。

星野:この『HOSONO HOUSE』の頃の細野さんにそっくりになってます。

細野:あ、そうなんだ。ロングヘアーでヒゲ生えてるんだ。

星野:そうなんです。よかった…

natalie.mu

 

星野:大阪府・里芋コロコロ「アルバム『HOCHONO HOUSE』完成おめでとうございます。完成されてからいちばんにやりたい!と思ったことはなんでしょうか?」。完成されて、達成感の中…達成感ありましたか?

細野:いや、作っちゃうとね、落ち込むんですよね。で、発売日まで2,3カ月くらいあるでしょ?

星野:そうですよね。プレスをする時間がけっこう長いですよね。

細野:その間がいちばん、落ち込むの。これ、世に出していいのかな?とかね。みんなそうなんじゃないの?

星野:僕もそうです。やっぱり、出来上がってからリリースまでって…なんでしょうね、あの感じ。

細野:空白の時間っていうか、なんていうかね。試験の前みたいな。

星野:そうですよね(笑)発表を待ってるみたいな感じですもんね。

細野:そうなんだよ。なんか、評価されるわけじゃない?点数付けられたりね。昔は。そういう…試験の前に落ち込むようなもんですよね。でも、いちばんやりたかったことは、休みたかった、っていう(笑)

星野:(笑)休めましたか?

細野:いや…

星野:宣伝もありますもんね。

細野:1日ね、温泉は行ってきましたけど。

星野:あ、そうですか。よかったです。

細野:雪の中。んー。

星野:そうか…ちょっと、じゃあ…もうちょっと経ったらお休みできそうですか?

細野:もうすぐ、うん。4月ぐらいにちょっと休もうかな、と。

星野:ぜひゆっくりしてください.

細野:はい。ありがとうございます。

 

(中略) 

 

星野:じゃあもう1曲、紹介させて頂いてもよろしいですか?

細野:うん。

星野:えーと…これもちょっとTVBros.のときにお話ししたことでもあるんですけど、"僕は一寸"という曲。

細野:そうそう、その話は印象的でしたけど。

星野:「夏編」ということで、ちょっと歌詞が変わってるんですよね。

細野:そうなんです。

星野:その歌詞が変わっていることに…僕が音源を頂いたときが、まだ盤が出来る前で。宣伝用の白盤もできる前で、ディレクターの方から「これすごいんで聴いてください…」ってメールで送って頂いて。

細野:へえ。

星野:なので、曲順が反対だってことも…なんとなく、あれ、これもしかして反対なんじゃないの?って思いながら、新鮮な気持ちで、それぞれ聴かせて頂いたんですけど。

細野:なるほど。

星野:歌詞カードもなかったので、あれ?歌詞変わってる?っていうことで、気付くことができたんです。で、"僕は一寸"という曲も歌詞が変えられてて。

細野:そうなんです。

星野:で、その話もちょっとしちゃったんですけど、どうして変えられたんでしょうか?

細野:あのね…46,7年前の自分の環境っていうのはいまとぜんぜん違うから、その当時の環境で作った詞なんだよね。

星野:狭山に住まれてたんですよね。

細野:そうそう。だから、森があったりね。カントリーですよ、いわゆる。

星野:米軍ハウスというか…

細野:そうそう。ハウスの跡に住んでて。特殊な生活を送ってて。だから、曲もカントリーだったしね。だから、いまとぜんぜん心情が違うから、歌えなかったの。

星野:あー…

細野:やっぱり…作詞家じゃないから、そのときの気分とか、感情で作るからね。そしたら、いまの気分で作ろうかな、と思って。

星野:当時も家の中で…バンドで録音されて。本当に家の中で作られたと。で、今回もご自身ひとりで、部屋の中で作られたということで…「今の細野さん」が歌ってるな、と。さっき言った…未来にポンッと出たんですけど。

細野:うん。

星野:出たっていうか、みんなの一歩先を出た感じがすごくカッコよくて。でも、その中で「今を生きてる細野さん」っていうのがすごく、その歌詞の中から感じられて…

細野:それだったらうれしいよ。よかった。

星野:それにすごく感動して…

細野:なんか、怒られるかと思った。「昔と違うじゃねぇか」って。

星野:(笑)

細野:「勝手に変えるな」みたいな。

星野:でも、昔と変わることを嫌がる人って多いじゃないですか。リスナーとかの中にも。

細野:ああ、いるよね。

星野:それとはまったく別というか、ホントにその…音楽というものの在り方というのを、改めてハッとさせられるというか。「今の細野さん」が歌うことの意味とか。歌詞のやさしさみたいなものに…僕はそれをお風呂で聴いてたんですけど、聴いててちょっと泣くっていう…(笑)

細野:それがね…印象的だった。泣いちゃったか。

星野:涙が出ちゃって、もう…なんてやさしいんだろう、と思って。

細野:そうか…それはありがたいっていうかなんというか…

星野:苦しいじゃないですか、なんか。いまの世の中って。本当に息苦しいので。

細野:そうだよね。我慢してるよね、みんな。

星野:はい。我慢してるし、イライラしてるし。でも、その中で暮らしている細野さんの目線がすごくやさしくて。

細野:僕もおんなじようにね、苦しく暮らしてるんですけどね。

星野:ですよね。だから、その苦しい中でこの視点っていうのが、すごく愛があって素敵だな、と。

細野:だったらよかった。

星野:じゃあちょっと、聴かせて頂いてもよろしいでしょうか?

細野:はい。

星野:それでは細野晴臣さんで、"僕は一寸・夏編"。

 

  

僕は一寸・夏編 - 細野晴臣
 (from 『HOCHONO HOUSE』)
 

 

星野:お送りしたのは細野晴臣さんで"僕は一寸・夏編"でした。

細野:はい。

星野:元々の『HOSONO HOUSE』ヴァージョンの"僕は一寸"はカントリ-ミュージックでしたけど。

細野:そうなんですよ。

星野:今回はワルツのソウルというか。

細野:ちょっとソウルっぽく、うん。

星野:で、僕、学校が飯能というところで。

細野:近いんだよね。

星野:そうなんです。

細野:この曲作った「細野ハウス」があった頃、そこら辺にいたわけ?

星野:作った頃は…僕はまだ生まれてないんですけど(笑)

細野:あ、そっか(笑)そらそうだ。

星野:なんですけど、僕が『HOSONO HOUSE』を知ったのが高校1年生のときで。

細野:飯能で知ったの?

星野:はい。で、その頃教えてもらって、毎日聴きながら西武池袋線に乗って、池袋から飯能というところに…

細野:なんか、近くにいたね。

星野:そうなんですよ。見てた景色がホント、狭山の…

細野:じゃあ、"僕は一寸"のオリジナルはそういう風景だけど、見えたわけだね。そういうのがね。

星野:そうなんです。ちょっと時期は違うんですけど、自分の心情とすごくシンクロしてて。当時も"僕は一寸"という曲にすごく救われる気持ちが…

細野:いくつだったの?

星野:えっと、15歳です。

細野:(笑)

星野:当時もちょっと息苦しかったんで(笑)音楽の中に…なんて言うんですかね、安らぎじゃないですけど、ほっとする場所みたいなものを…

細野:なるほどね。

星野:あとはその中で、たとえば"薔薇と野獣"のリズムのカッコよさとか。

細野:あれも狭山っぽい景色なんですよ。

星野:カッコよくて、大好きで。"恋は桃色"の歌詞の素敵さとか。

細野:あれもね、狭山の景色が出てくる…

星野:ですよね(笑)そうなんですよ…あ、ちょっとごめんさい、ホントにいま唐突に、そういえば…ちょっとお聞きしたいんですけど。

細野:なんだろう?

星野:あの…これ、ご本人に訊くと思ってなかったんで、アッ、と思ったんですけど…「君の中で雨が降れば 僕は傘を閉じて 濡れていけるかな」っていう歌詞があるじゃないですか。

[*"恋は桃色"の一節。「お前の中に雨が降れば 僕は傘を閉じて 濡れていけるかな」]

細野:うん。

星野:僕、本ッ当に大好きで、あの歌詞。好きで好きで…

細野:あら。

星野:ちゃんと恋をしていない時期に…高校生の時期にその歌詞を聴いて、「愛とはこういうことだ」と思って(笑)すごい!と思って…

細野:作ってる本人も若造だから、ただの(笑)

星野:いやいや(笑)でも、そうか、20代の前半だったんですもんね。

細野:そうなんですよ。

星野:あれはどんな気持ちで…どんな気持ちで書かれたんですか、っていうのもアレですけど(笑)

細野:気持ちは別に…いちばん気になるのは「かな」っていう…

星野:(笑)語尾が気になるっていうのは前もおっしゃられてましたよね。

細野:そうなんだよ。その後ね、「かな」っていう歌詞を作って歌ってる人が増えてきてて…

星野:それまではいなかったんですかね。そういう…日常語っていうとアレですけど。

細野:いなかったよ。なんかこう、自問自答みたいなね。ちょっと恥ずかしいんだよ。

星野:でも、音楽史を塗り替えたんだと思うんですけど…

細野:そこまでじゃないとは思うけど。

星野:みんなが使うようになってちょっと恥ずかしくなっちゃった、みたいなところはあるんですかね?

細野:恥ずかしい…だから今回もね、歌わなきゃいけなくて(笑)

星野:そうですよね(笑)

細野:「かな」をなんか変えられないかなと思ったんだけど、変えられなかったね。

星野:けっこう大事な部分ですもんね、音楽の…

細野:そうなんです、肝なんだよ。だから、傘とか雨とか、好きだったんだよ。それに喩えたんでしょうね。

星野:なるほど…ありがとうございます。うれしいお話を…なのでこの「夏編」を聴いたときも…いま、僕は自分の大好きなブラック・ミュージックっていうのをやっていて。

細野:やってるよね。

星野:で、この家の中で…っていうので勝手にシンクロしまして。すごく好きな曲になりました。

細野:いやいや…がんばってるな、って、いっつも思ってますよ(笑)

星野:すみません、ありがとうございます(笑)それでは、いったんCMでございます。

 

(CM)

 

(中略)

 


 

星野:埼玉県・ラジオネーム:リミさん「お正月にNHK BSプレミアムにて放送された「イエロー・マジック・ショー2」を拝見しました。

細野:あー、見てくださったんですね。

星野:「ゆるいコントに素敵な音楽、ギャップがたまらなくおもしろくて楽しかったです。源さんとの音楽での共演は鳥肌が立ちました。"ライディーン"のときは私もノリノリでした。そしてYMOとのセッション、"Firecracker"最高でした。体中がゾクゾクしました。細野さんが印象に残っていることがあれば教えてください。」あれでも、コントもたくさん撮られてましたもんね。

細野:いやー、もうね…その後、ライヴにナイツのお二人と清水さん(清水ミチコ)と弟さん(清水イチロウ)と…東京03の中のお二人が来てくれてね。そういう方が観てるわけじゃない。

星野:あー、お客さんで来られたんですね。

細野:なんか、すごいね、申し訳なくなっちゃって。「お笑い好きのミュージシャンっていうのがいるんですよ、すいません」って謝っちゃった(笑)

星野:(笑)いいのに…でも、ナイツの塙さん(塙宣之)も細野さんのこと大好きですもんね。テレビでもよく…しゃべってるのを見ました。

細野:僕もそれで知ったんですけど。ナイツの「間」はそういうところから来てる、とかね。それでラジオ番組に呼ばれたりして。ちょっと交流できてんのかな、と思って図々しく声かけちゃった(笑)

星野:いやー、でもすごくうれしかったんじゃないですかね。

細野:だったらいいんだけどね。んー。

星野:あと清水ミチコさんと…弟さんが細野さんの声にそっくりという…

細野:僕よりいい声だよ。ホントに。

星野:いやいや…(笑)どちらもいい声でしたけども。で、清水ミチコさんが矢野顕子さんをやって…という。

細野:そうそう。へんな姉弟…(笑)

星野:"相合傘"でしたっけ?

細野:そう、"相合傘"やるね。

星野:僕は…あれってNHKの「トップランナー」という番組で、当時髙野寛さんが司会をやられているときにゲストで[細野さんが]出られたときにあの曲をやってた気がするんです、たしか。

細野:そうだよね。

星野:で、それのまんまだったような気がします。僕、高校生の時にそれを観てました。

[*正確には「トップランナー」の前身番組である「土曜ソリトン SIDE-B」(1995年4月~1996年3月)。司会は高野寛緒川たまき。]

細野:最近、矢野顕子も"相合傘"歌ってるんだけど、そう言うとみんな清水ミチコの歌を思い出すみたいで…(笑)

星野:(笑)そうですよね、影響力、すごいですよね。

細野:なにしろ似てる。すごい。あの人はすごい。

星野:すごいですね。最近、僕の曲もやってくださっていて。

細野:あ、ホント?

星野:なんか、真似ではないらしく、僕の作曲ものまねをして下さってるらしくて。

細野:作曲ものまねって…(笑)

星野:なんか、僕が作曲しそうなメロディとコードと、あと歌詞を工夫してくださって。

細野:そういうの得意なんだよね。清水さん。

星野:わざわざ僕にメールで直接、「こういうのをやってるんですが、大丈夫でしょうか?」って言ってくださって。もうやった後だったんですけど(笑)「事後報告ですみません」って来て(笑)いや、もちろん大丈夫です、みたいな。

細野:いや、それはいいよ。うん。

星野:楽しかったです。あの"Firecracker"も楽しかったです。ちょっと緊張しましたけど…

細野:生だからね。

星野:ね、ホントに生ですもんね。リハーサル日とかも特になく。

細野:ないね。本番ちょっと前に1回だけ合わせて…いや、だから、よっぽど上手いんだよ、星野くんのマリンバ

星野:いえいえ…ありがとうございます。もう…一生の記念になりました。もしまたイエロー・マジック・ショーがあったら…

細野:またやると思うよ。

星野:マジすか!いいですね!ぜひまた、呼んでください。

細野:ぜひ、呼ばせて頂きます。

 

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www.youtube.com

 

 

星野:それでは、楽しい時間もあっという間なんですけども、お別れの時間でございます。えー、改めまして…細野さんのニューアルバム『HOCHONO HOUSE』。本日、明けてきょう、発売中でございます。配信とかもされてるので気になる方はぜひ聴いてみてください。なんかお知らせなど、あります?

細野:いやー…なんにもないね、僕は(笑)

星野:(笑)一応、ライヴとかもね…あれ、でも東京はしばらく無い?

細野:東京はしばらく無くて、福岡で5月にやったら…その先がちょっと思いやられるアメリカが。

星野:アメリカのライヴがあるんですね。いいですね…

細野:ニューヨークとロサンジェルス、気が重い。

星野:(笑)楽しんできてください、ぜひ。

細野:わかりました。

星野:きょうは本当にありがとうございました。

細野:どうもありがとう。

星野:じゃあ、最後に、アルバムの中から1曲、お聴き頂きましょう。じゃあちょっと、最後に曲紹介をして頂いてもよろしいでしょうか?

細野:ではですね…最初に、去年の夏に聴かせた…

星野:僕がひと足先に聴かせて頂いた…

細野:"CHOO CHOO ガタゴト"です。

星野:はい。本日のゲストは細野晴臣さんでした!

細野:どうも~

星野:ありがとうございました!

 

  

CHOO CHOO ガタゴト・アメリカ編 - 細野晴臣
 (from 『HOCHONO HOUSE』)
 
 
(CM) 

 


星野:いやー、細野さん、ありがとうございました。もう…すみません、サインを頂いてしまいました。オリジナルの『HOSONO HOUSE』のアナログ、そして新しい『HOCHONO HOUSE』のアナログ盤、両方にですね…「星野くんへ」と、サイン頂きました。僕がサインを頂いたのは、あれ以来ですね。ハイドパーク・フェスという、僕が24,25歳ぐらいのときに行われた…細野さんが本当にひさしぶりに人前で歌うというイベントというか、フェスがありまして。いろんなバンドが出てて、その中に僕らSAKEROCKも出てまして。その場が…楽屋が全員いっしょというですね、奇跡の楽屋でですね。そこで僕が持っていった細野さんの著書、『地平線の階段』という本がありまして。それにサインをして頂いて、と。その本のタイトルが元となって、いまの僕らの連載の「地平線の相談」というものがある、という…それ以来にサインを頂いてしまいました。うれしかった。ありがとうございました、ホントに。

 

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