2018.12.09 Inter FM「Daisy Holiday!」より
78rpm再生環境整備を検討…
H:こんばんは。細野晴臣です。えー、きょうは久しぶりにまた、岡田くん(岡田崇)を呼んでます。
O:こんばんは。
H:よろしく。えー…きょうは僕、眠いんですよ。
O:僕もです。
H:あ、そうなの?(笑)
O:寝ちゃいますか。
H:寝ちゃおうか(笑)そういう番組があるよね、テレビで。
O:ありますね(笑)NHKで。
H:あれ、寝ちゃったことあるよ、1回ね(笑)ラジオでああいうことやると…いいんだろうけど、しゃべんなくなっちゃうからね(笑)
O:(笑)
H:えーと…12月ですよ。困っちゃったんですよね、僕はね。
O:あら…
H:なんかもうね…制作してるんですけど、遅々として進まないというね。システムを入れ替えてるんで、入れ替えながら制作するって初めてなんで。
O:なかなか無いですよね。
H:無いよ(笑)どっちか普通…制作してから、やればいいのに。でもね、間に合わない…っていうか、気持ちがいま急いてるわけ。だって音が違うからね。30年前の使ってるから、僕。ヴィンテージっていうかね…
O:Macも新しくなると変わっちゃいますもんね。インターフェースが。
H:変わっちゃいますよ。ぜんぜん変わっちゃって。
O:もう、ぜんぶThunderboltにするのはやめて欲しいんですけど…(笑)
H:で、Thunderboltって出来たばっかりだから、まだ商品が少ないんだよ。長いケーブルが無いの。2mだけ、とかね。…専門的な話ですみません(笑)
O:なんか問題があるんですかね?2m以上だと。
H:いやー、わからないね…僕はさっぱりわからないことばっかりだよ(笑)
えー、とりあえず音楽聴きましょうかね。岡田くんの持ってきた…あれ?僕のが入ってるね。
O:ちょうど今度の水曜日に『銀河鉄道の夜・特別版』というのが…
H:あ、そうですね。そうです、そうです。鈴木惣一朗編集のね。
O:はい。
H:その中で…聴いちゃいますかね。
O:2枚組に今回なってるんで、その中の1曲目というか…これ、CMで使われたものですけど。
H:憶えが無い…(笑)
O:篠原勝之さん…でしたっけ。
H:あー、「ゲージツ家」ね。
O:「ゲージツ家」の…が、出てる某CMで。
H:銀河鉄道の夜のモチーフを使ってるっていうやつで。
O:そうですね。
H:なるほど。いいね、ステレオ感が。なんか…いい音なんだね(笑)へぇ、懐かしいや。もう1980年代ですよね。
O:そうですね、1985年ですね。
H:うんうん。まぁ、やってるといろいろ…いろんなことがあって…岡田くんはどうなの?変化はあるの?
O:変化…何をですか?
H:最近。
O:最近ですか(笑)最近、なんだろう…
H:他人の変化にいま、すごい興味があるの。
O:そうですか。んーと…
H:変わってなさそうだね。
O:変わってないかなぁ…
H:いいんだよ、変わってなくて(笑)
O:(笑)
H:だって、さっき話したパソコン関係の…もう、すごい変わってきてるでしょ?
O:うん。
H:そういえば最近iPad Proっていうのが出て、あれほら、ペンシルで直接…
O:タッチできて…
H:絵、描けるじゃない。あれはいいんじゃないかな、クリエイターには。どうですか?
O:ペンタブとか使ってますけどね。
H:そういうのやってるの?
O:はい。
H:あ、やってるんだ。じゃあ買わなきゃね。
O:(笑)
H:だって、本体要らないんだよね。Macの。独立してるの。
O:まあ、そうですよね。
H:そういう視点では…ルネッサンスだ!って騒いでる感じもあるけどね。…どうですかね、あんまり興味ないの?(笑)
O:(笑)ほんっとに、周辺機器を揃えるのが大変なんで、なるべくアップデートしないようにしたいですね。
H:みんなそうだよね。僕もそうだったのよ。で、30年ぐらい…(笑)
O:(笑)
H:けっこうそういう人は多いんだけど。この時期になって、やっぱりね…変えざるを得ない。
O:んー…でも、グラフィックのソフトとかでも、フォントとかも、ぜんぶ…いま、年会費みたいな感じの、クラウドみたいなシステムになっちゃってるんで…
H:あ、そうなんだよね。
O:もう、必然的に最新のシステムにしていったりとか。
H:自動的にアップデートされる。
O:されていきますよ。前は、古いソフト使いたいんでシステムを変えないでいたんですけど。いまはわりと…どんどん新しくなってってますけど…不便になっていくばかりで…iTunesとかね(笑)
H:なんか…そうだね、いろんな事が出来る代わりにね。
O:うーん、なんか使い勝手がどんどん…悪くなってってて。
H:昔はほら、シンプルだった。
O:あと、システムいじれて楽しかったですね。
H:そうそうそう。OS 9のころ。楽しかった(笑)
O:ねー。
H:その前にDOS/Vっていう時代が…これはAppleじゃない、IBMとかね。日立とか、NECとか。そういうの使ってたよね。
O:僕はさすがに、Appleからです。
H:あれ?若い…若いと言いたいね(笑)
O:(笑)大学の時にバイトに行ったデザイン事務所がちょっとPC使ってましたけど…
H:そうか。それも楽しかったよ。手づくり感があって。
O:ふんふん。
H:数値入力して画面を動かす、とかね。パソコンの基本だよね。単純で。で、それの延長に音楽で…そういうソフトっていうか、パソコンが出て来たんですよ。それでYMOが始まったっていう。それも数字で入力するんだからね。
O:そうですね。
H:ド…ドの音ね。C。これは「36」っていう数値。で、12足していくとオクターヴずつ上がってく、というね。あとは音の長さ。強さね、ヴェロシティ。わりと簡単に…楽しく出来たんですけどね。
O:それで出来ることと、いまのシステムだと出来ないことってありますよね、やっぱり。数値ならではの、っていうか。
H:あのね、テクノに向いてたの。
O:ですよね(笑)
H:パッキンパッキンにジャストなのね(笑)だから、MacでPerformerっていうの(DAWソフト)が出てきてね…すごくユルく感じたんだよね、最初。今では当たり前なんだけど…人間的っていうの?DOS/Vは人間的じゃなかったんだよ(笑)おもしろかったよ。
O:数字の世界ですもんね。
H:まあそんな話をしつつ。かける音楽は…昔の音楽を、聴きたいですよね。なんか推薦。
O:きょうは…とりとめのない感じで持ってきましたが…
H:まあ…
O:いつもそうなんですけど(笑)
H:(笑)
O:じゃあ、Larry Wagner & His Rhythmasters。
H:知らないですね。
O:これは先週届いたSP盤なんですけど。
H:すごいね。相変わらずだね。
O:"Autopsy On Schubert"という曲を。
H:「シューベルトの解剖」ってこと?
O:そういう意味なんですかね。
H:そうそう。うん。
Autopsy On Schubert - Larry Wagner & His Rhythmasters
H:いいね…音が良いね。なんだろう。
O:1938年ですよ、これ。
H:そんな古いんだ。モダンだな、んー。
O:カサ・ロマ・オーケストラ(Glen Gray & The Casa Loma Orchestra)とかのアレンジをやってた人みたいですね、ラリー・ワグナーさん。
H:ピアニストかな?
O:ピアノはまた別の人がクレジットに書いてあって…ヴィヴラフォンはエイドリアン・ロリーニ(Adrian Rollini)がやってて。ベースはルー・シュービ(Louis Shoobe)っていう、レイモンド・スコット・クインテット(Raymond Scott Quintette)の人が…
H:あ、そうなのか。ベテランばっかりだね。んー。なんだか、こう…音のバランスが良いなぁ、やっぱり。最近ね、音を聴いちゃうんだよ(笑)
O:(笑)
H:どんな音楽でもいいんだよ(笑)
O:ジャンル問わず?
H:ジャンル問わず聴いちゃう癖がついてて…こんなことは初めてなんだよね。みんな良い音だな、と思っちゃうんだよね。いちばんダメなのは自分だ、って思っちゃう。
O:いやいや…(笑)
H:そういう時が時々あるのね。んー。まあ、それで向上心が出てくるっていうか。
O:んー。
H:最近また、あの…「銀河鉄道」もそうですけど。前のが再発されたり…
O:はいはい。アメリカで…出てますね、いっぱい。
H:そうですね。Light in the Atticっていうレーベルからほぼ…大体は出てますよね。
O:…大体ではないですけど(笑)
H:違うか(笑)
O:『Omni Sight Seeing』と、『HOSONO HOUSE』。『Cochin Moon』。
H:『Philharmony』もあったかな。そこら辺か。ああ、あと『はらいそ』も出たな。CDとアナログ盤も出てて。あのレーベル…ロサンゼルスかな、サンフランシスコかな…
O:L.A.じゃないですか?
H:L.A.か。なかなか、きちんとした仕事をしてくれる…
O:そうですね、丁寧ですね。
H:すごく評判のいいレーベルですね。
O:なんか、音楽愛がちゃんとあって…
H:あるねぇ。なんかこう…日本人みたい、っていうかね(笑)
O:まあ、日本人の方がいらっしゃいますしね、レーベルに。
H:音楽好きの人がけっこう、また最近…活動しはじめててうれしいですけどね。ヨーロッパにもいるしね。
O:そうですね。
H:それで…「銀河鉄道」でしょ。それからYellow Magic Orchestraも『NEUE TANZ』が出て。テイくん(テイ・トウワ)と、まりん(砂原良徳)の。それと、幸宏(高橋幸宏)の「サラヴァ」(『Saravah Saravah!』)もすばらしかったですよ。
O:歌を歌い直して…
H:歌い直して、オケは当時の…でミックスして、と。音が良いんだよね。
O:マルチ(テープ)が残ってたんですね。
H:残ってた。うらやましいね。それがあったらやっちゃうだろうね。その中から1曲、聴いていいかな。記念に。
O:はい。ぜし。
H:あのね、ベースを僕、全曲弾いてるんですけど…いいんだよね(笑)
O:(笑)
H:こんな弾けるんだ、なんて思って(笑)最初、誰が弾いてるんだろう、と思って…自分だったんだよね。じゃあ、高橋幸宏の…リニューアル、っていうか、「サラヴァ」から"LA ROSA"。ベース聴いて。
LA ROSA - 高橋ユキヒロ
H:どうですかね。
O:いいですね。
H:ベース聴いてくれた?
O:聴いてましたよ、ベースばっかり!
H:ベースばっかりっていうわけにはいかないよ(笑)
O:(笑)
H:これね、1978年に作ったアルバムですよ、『Saravah!』。幸宏も若いし。ちょっと僕は上だったけど…僕も30歳前後でしょ?
O:31歳ですか。
H:31か。んー。
O:『はらいそ』と同じ年ですね。
H:あ、そうか。なんかチャック・レイニー(Chuck Rainey)みたいに弾いてるな、とかね。この頃いちばん上手かったのかな(笑)やっぱり技術っていうのは歳と共に変わって行くからね。枯れてくから(笑)
O:すごい…解像度が上がって。
H:そう。当時ね、こんなにベース聞こえなかったよ。よかったぁ…
O:当時聴いてた印象と違いますよね。
H:違うよね。昔、ぜんぜん出してくれなかったの、ベース(笑)やっと聞こえるようになってきた。よかった、やり直してくれて。
はい。えー、そんなことで…自分のことはいいんですけど。…ここになんか、"One Meatball"っていう曲が。岡田くんのリストに入ってるね。
O:あー、入ってますね。
H:これは?
O:これはなぜかと言うと、ラニー・シンクレア(Ranny Sinclair)というですね、女性歌手がいて。最近、長門芳郎さんがPIED PIPER DAYSというシリーズでコンピレーションを出して。それのジャケットを僕やったんですけど。
H:そうですか。
O:ガールもののコンピなんですけど。その中にラニー・シンクレアの曲が入っていたので、それを選曲してきたのと…そのラニー・シンクレアのお父さんが作曲者なんですね。"One Meatball"の。
H:あ、そうなんだ。で、いろんなひとが歌ってるんだね。
O:アンドリュズー・シスターズ(The Andrews Sisters)がオリジナルだと思いますね。
H:あ、ホント。ちゃんと僕、把握してない。どんな曲だろ。あれ、ライ・クーダー(Ry Cooder)もやってるの?
O:ライ・クーダーはカヴァー…1stアルバムでやってますね。
H:あ、そう!ちょっとそれ…どっち聴いたらいいかな。
O:ライ・クーダー聴いてみますか。
H:聴いてみましょうか。
One Meatball - Ry Cooder
(from 『Ry Cooder』)
H:そうか、これぜんぜん記憶がなかったな。1枚目か。
O:1枚目ですね。ヴァン・ダイク(Van Dyke Parks)がアレンジを担当してる…
H:ああ、そうか。そういえば…トニー・ジョー・ホワイト(Tony Joe White)がいつのまにか…いなくなっちゃったんですよ。
O:いなくなっちゃった?あっ…
H:そうなんだよ。あ、知らない?よね。
O:知らなかったです。
H:ニュースになんないんだよね。いなくなっちゃったっていうのはちょっと遠回しすぎるけど…(笑)亡くなっちゃったんですよ。
O:ええ…
H:僕も知らなかった。最近知ったんですよ。いつだったか、ちょっと憶えてないんですけど。そうかぁ、と思って。体格いいし、すごく丈夫そうな人だったからね。ポークサラダ("Polk Salad Annie")…ね。
…じゃあ、寝ますか(笑)
O:寝ますか(笑)
H:番組終わったら寝ちゃう人がいっぱいいますからね。聴きながら寝ちゃう人もいるし。最後まで聴いたことが無い、っていう人も、こないだいたな(笑)。
O:(笑)
H:寝ちゃうんだよ(笑)えー…じゃあ最後は、目の覚めるような曲、1曲かけますかね。
O:お願いします。
H:いやいやいや!岡田くん、お願いしますよ(笑)
O:じゃあ、"And So To Sleep Again"。パティ・ペイジ(Patti Page)で。
H:どういうこと、これ?眠いの?
O:眠いんじゃないですか?(笑)
H:ダメだなこれは(笑)では、また来週~
And So To Sleep Again - Patti Page