2021.05.30 Inter FM「Daisy Holiday!」より

 

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?:ハマさんいてよかった、きょう。不安なんすよ(笑)

H:いや、こっちだってそうだよ(笑)

3人:(笑)

ハマ:両者の間に立つべき人なのか…僕でよければ(笑)

?:すいません…(笑)ありがとうございます、ホントに。

ハマ:まぁそうだよね。サシで、ガチンコでっていうのはなかなか緊張するよね。

?:そうですねー…

ハマ:なんか、いい瞬間に立ち会えてうれしいです(笑)

?:めちゃめちゃうれしいです!あー、やべぇな…

ハマ:なんで?

?:細野さんファンに怒られそう(笑)

ハマ:大丈夫、絶対怒られないから。

H:大丈夫だよ(笑)逆だよ逆。怒られちゃうよ。

ハマ:あっこゴリラファンに(笑)

?:いやいやいや!ないです(笑)1億パーないです。これ、収録ですよね?

H:うん。

 

@@@@@@@@@@@@@

 

H:…なんだっけな?(笑)

2人:(笑)

H:忘れちゃったよ(笑)あ、自分の名前ね。細野晴臣です!きょうはですね、お聞きのようにゲストを2人お招きしてます。自己紹介をひとつ、お願いします。

ハマ:じゃあ僕から行きますね。OKAMOTO'Sのハマ・オカモトです。よろしくお願いします。そして…

あっこ:そして…なぜ私はここにいるんでしょうか(笑)あっこゴリラです、よろしくお願いします。

H:いらっしゃい!

あっこ:光栄すぎて…お邪魔します!

ハマ:あっこゴリラですよ…いやー、すごい回だね(笑)

H:唐突だよな(笑)

ハマ:たしかに唐突ですね(笑)

H:でもね…去年だっけ?2人で番組やってたのを聴いてたから。

ハマ:そうなんですよね、聴いてくれて…普段はあっこがずっとナビゲーターをやってる番組に…あの日はそれこそ「細野晴臣特集」。

あっこ:そうなんですよ。けっこういろんな特集をする番組でして。勝手に「細野晴臣特集」を番組でやって、そこにゲストで来てくれて。

ハマ:[付き合いは]長いんですよ。いっしょに音楽番組やったりとか。関係値はあったので。なのでひさしぶりにラジオで会った、という感じで。

あっこ:うん。

ハマ:で、細野さんの話を…というので、自分なりの話をした。

H:うん。僕も勝手に聴いてただけだけどね。

ハマ:後日、僕が細野さんに会ったら「聴いてたよ」と(笑)

あっこ:そう!まさか聴いてて…マジで?こえー!みたいな(笑)

ハマ:そのときに「[細野さんは]日本の音楽の基礎みたいなところなのかな…」みたいな。あっこなりに話をして。

H:接点、ないよね。

ハマ:で、「醤油、砂糖、細野」って…

あっこ:あ、「醬油、砂糖、みりん、細野」。

H:(笑)

ハマ:そうそう!細野さんのことを例えるならそうなんじゃないか…みたいな話をしてた放送を、まさか聴かれていて。

あっこ:そうですね…

ハマ:そしたら細野さんのほうから…去年末にお会いしたときに「ラジオ来てくれたらうれしいな」みたいな。「そのときはハマくんが連れてきてね」と仰ってたので…

H:そういうことになっちゃったね。

ハマ:ホントに実現。ちょっと時間経っちゃいましたけど。

あっこ:ヤバいっすね、ホント。信じらんない…

ハマ:だから、そのいきさつを説明したらみんな納得してくれる…

あっこ:そうですね!急じゃないんですよ!(笑) 一応ね、文脈があるんですよ。

 

 

H:なんか、ちゃんと特集してくれててうれしかったけどね。

ハマ:おもしろい特集でしたね、とっても。

あっこ:うれしい。うん。

ハマ:あっこがちゃんと…知ったかぶりしてやらないじゃない、あの番組も。知ってることは知ってることで喋れるけど、知らないこととか通ってきてないことについては、ちゃんとそういう風に言うじゃない。

あっこ:そうそうそう。

ハマ:だから細野さんのときも、存在は知ってるけど…

あっこ:なんか、「知ってる」なんてあんまり言えないじゃないですか。もっと詳しい人がいっぱいいるから。っていうのもあるし…だから、赤ちゃんみたいな気持ちでいっつもやってるんですけど。

ハマ:新鮮な…(笑)

あっこ:そう、新鮮な気持ちで。

H:きょうは僕が赤ちゃんなんで…(笑)

2人:(笑)

あっこ:「誰だこいつは!」って感じですよね(笑)私ラッパーなんですよ。

H:いやいや、知ってるよ!だって…あれ何年前だろう。買ったんだよ、あっこゴリラ…

あっこ:え!!

H:"ゲリラ"っていうやつ。

あっこ:えええ!!!マジですか?!

ハマ:(笑)

H:ほら、テレビでやったでしょ?コマーシャルで。

あっこ:やりましたやりました…

H:ああいうのを聴くとすぐチェックするんだよね。

ハマ:初めて、その話聞いたの。

H:それをね、さっきUSBに入れて持ってきたんだけど、車の横っちょに落ちちゃって取れなかった(笑)

2人:(笑)

あっこ:ちょっと待って、聞いた聞いた?細野晴臣があっこゴリラチェキってたわ(笑)

ハマ:うれしいね(笑)

H:(笑)これだこれ。

あっこ:ヤバすぎる。まさかの…すごすぎでしょ。

 

 

ゲリラ × 向井太一  - あっこゴリラ

 

 

あっこ:マジかよ。やば…

H:なんで「あっこゴリラ」って名前なの?

あっこ:そうですよね(笑)あのー、ノリです(笑)

H:ノリなんだ(笑)

ハマ:でもさ、ノリで決めたとはいえさ…ノリで決めたならノリでやめてもいいわけじゃん。でもやめないじゃん。それはやっぱりなんか、ハマりはあるんだね。自分に。

あっこ:そうっすね。なんかかわいいな、みたいな。「あっこゴリラ、かわいいじゃん」みたいな。

ハマ:ライヴでバナナ出したりしてたんですよ。

あっこ:初期の頃ね。お客さんに覚えてほしくて(笑)

ハマ:(笑)

H:吉本にゴリラの真似する女性芸人がいるんだけど、あそこまではやらないよね。

あっこ:やらないです(笑)

ハマ:そういうところまでは行ってないんだよね(笑)

あっこ:まぁリリックでちょいちょいネタ…比喩として使ったりするくらいですかね。

H:東京なの?

あっこ:東京生まれ、東京育ちです。

H:そうなんだ!大阪かな、なんて思っちゃったけどね。

あっこ:あ、よく言われるんですよ。

ハマ:僕も思いました。

あっこ:でも家族はみんな大阪です 。コテコテの。

H:あ、そうなんだ。

ハマ:ルーツが、ってこと?

あっこ:おじいちゃんおばあちゃんとか。みんな関西で…

H:じゃあやっぱり、関西の血なんだね。

ハマ:そういうのもあるかもしれないね。

あっこ:うん、なのかもしれない。

ハマ:で、元ドラマーなんですよ。

H:あー、なんかね、リズム感がいいと思ったのはその所為だね。

あっこ:え!ちょっと待って!聞いた?みんな(笑)

H:いやいやいや…(笑)

ハマ:お手上げ(笑)みんなは聴いてるよ(笑)

あっこ:あっこゴリラのリズム感いいってさ!(笑)やべー!

H:だって、ラップってそれが肝でしょ?

あっこ:はい…いや、うれしいです…

H:それがあるから聴けるというか…それで買ったんだと思うよ、たぶん。

あっこ:うれしい!なにこれ…

ハマ:元々すごい…僕が代弁することじゃないかもしれないですけど、すごいラッパーだったというのではなくて、ドラマーだった延長で…「ラップできるんじゃない?」くらいの感じだもんね。発端は。

あっこ:そうですね。わりと衝動でやりましたね。

H:へぇー。

ハマ:だから細野さんが言ってることは間違ってないというか…それがないと、そんな感じでは始められないというか。

H:そうだよね。日本の人のラップって、ちょっとポエトリーリーディングみたいなとこあるけど。

あっこ:うんうんうん、そうですね。

H:リズムが際立ってるのはあっこゴリラだよね(笑)

あっこ:リズムが好きすぎて…いやー、うれしいです。

H:曲の発想とかも自分で考えるわけ?

あっこ:そうですね。自分でデモみたいなのを作って…で、みんなに協力してもらって。ここはああしたいだのこうしたいだの振り回して…やって頂いて(笑)

H:へぇ。やっぱりミュージシャンっぽいよね、じゃあ。

ハマ:うん。とっても。

あっこ:ぽいかもしれないっす!ミュージシャンっぽい(笑)

ハマ:いや、ミュージシャンだもん。ちゃんと(笑)

H:あ、ミュージシャンか。そうかそうか(笑)

あっこ:でもコードとかわかんないんですよ。そういうのは全然わかんなくて…これは好き、これはイヤ!とか。そういう…擬音ばっか使っちゃうみたいな。

H:いいなぁ、それ。そうやって作りたいよな。

あっこ:(笑)

ハマ:戻れないですもんね。一回わかっちゃうと。

H:そうそう。

ハマ:わかってない頃の作り方には戻れないから…うらやましいな、と思うところありますよね。

あっこ:こないだも、これコードとメロディーがぶつかってるように感じるんだけど、これどう?とか。そういうのがわかる友達にいっぱい送って。「いや、大丈夫だと思うよ」、え、そうなの?じゃあなんでこんなに気持ち悪いの?「それはあっこが気持ち悪いと思うからじゃない?」そうなんだ!わかった!みたいな。
H:(笑)

あっこ:トラックメーカーに、ごめん、なんか気持ち悪いんだよね、みたいな。こういう風にやりとりしてる。

ハマ:逆じゃないんだね。わかってる人が「あっこ、これはフリーキーにやりすぎてて当たってるよ」っていうのが普通だけど、逆なんだね?その感覚すらわかってない人の感覚だから…

あっこ:そう。わかんないんですよ全然。覚えられない(笑)

ハマ:覚えなくても…おのずと覚えるだろうしね、たぶん。

あっこ:えー、覚えたいですけどねー。そろそろね。

ハマ:でも別に…あんまり行動には移さない…(笑)

あっこ:そうなんすよ(笑)どうやって覚えたらいいかわかんないんすよ。

H:あー。

ハマ:でも、細野さんも前…対談させてもらったときに、もともとガチガチに音符を読んで弾く人じゃなかった、という話をしてて。

H:耳だけが頼りだからね。レコードを聴いてコピーしたから。

ハマ:だから…スタートはそういう人もいるんじゃない?みんな。

あっこ:そうですよね。大丈夫だよね。

H:アメリカのミュージシャンなんかは譜面読まないもんね。

ハマ:んー。もう、コードというか。

H:その代わり、耳がいいからすぐ覚えちゃうよね。

ハマ:そのタイプなんじゃないの?あっこも。大きく分類したら…

あっこ:そうなのかね?わかんないけどね(笑)

H:やっぱり、ラッパーは譜面読まなくていいよ(笑)

あっこ:そうっすね。わりと衝動でいたいな、みたいなのはありますね。自分の中で。

H:衝動は大事だよね。

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ハマ:でも、細野さんがコマーシャルで飛んできて買って聴いた、というのはすごい素敵な話ですね。

あっこ:細野さん特集をしたときも思ったんですけど、やっぱり貪欲ですよね。常に。新しい音楽とかもめっちゃチェックされてるんだなぁ、みたいな。

H:うんうん。でも最近はダメね。

あっこ:(笑)

H:この数日落ち込んでるんだよね。

あっこ:え、なんでですか?

H:昨日あたりから歳取ったんだよな(笑)

あっこ:えー!(笑)

ハマ:なんですかそれ!ガクッて?(笑)

H:コロナの所為かもしれない。

ハマ:それはきっかけがあったんですか?具体的な。

H:あのね、去年…一昨年だったかな。『NO SMOKING』という映画ができたでしょ?その第2弾があるんで、構想をいま練ってるんだけど…全然浮かんでこないんだよ。

ハマ:あ、そういうのは今までだったらバババッと…

H:衝動がね、出てくるんだけど。歳取った所為か衝動が出てこないんだよ(笑)

あっこ:あー。

ハマ:どうしよう、って…

H:なにこれ?って思っちゃうの。自分がね。こんなやつがなんで…(笑)

2人:(笑)

ハマ:へぇ、細野さんのそういうモードってあるんですね。

H:ときどき来るね。

あっこ:そういうときはどうやって打破してます?

H:えーとね、んー…どうやってたかな。黙って静かに暮らすしかないかな。いまはだいたいそんな感じだよ。この1年ぐらい。

あっこ:うんうん。

ハマ:そっか。

H:2019年にアメリカでライヴやって…そのときはすごいノってたんだよね。

ハマ:すばらしいツアーでしたもんね。

H:で、その翌年、つまり去年か。オーストラリアでの予定とかいろいろあったんだけど、全部なくなっちゃったでしょ?で、これ幸いとばかり休んでたわけ。

ハマ:はい。

H:ちょっと休みすぎちゃったのかな。

あっこ:あー。

ハマ:そっちのスイッチが入りずらくなってるんですかね。

H:スイッチ入らないんだよ。どうしよう。みんなどうしてるの?

あっこ:私、筋トレっすね。

H:え?(笑)筋トレ?

あっこ:筋トレめっちゃいいっすよ。

ハマ:それはスランプ気味に陥った思考を…

あっこ:シンプルに、思考がどうしようもないときはフィジカルを動かすんですよ。で、そっちもダメなら瞑想とかそっち系。

H:瞑想!ほほう。

ハマ:そっち系…(笑)精神のほうね。

あっこ:そうそうそう。黙るか動くかみたいな。

H:なるほどね。どっちかっていうと今は黙るほうだな。瞑想とか好きだよ。

あっこ:好きそうですよね!

2人:(笑)

あっこ:私は細野さんの音楽聴いて、この人、宇宙人?みたいな。え、ご自身のことをどう思ってます?

H:…ふぇ?

ハマ:「宇宙人だと思ってますか?」ってことじゃないでしょ?(笑)

H:いやいやいや…宇宙人と思ったことはないよ(笑)

あっこ:なんだろう…これ、けっこう大マジで言ってるんですけど、宇宙と交信とか…私は宇宙人とかいると思ってるタイプなんで。なんかそういう感覚がある方なんじゃないかな、みたいに思ってたんですけど。

H:あのね、交信するおじさんはあんまり好きじゃないの(笑)

2人:(笑)

あっこ:あ、そうなんですね(笑)そっか。

 

 

The Conversation  - John Williams

from『Close Encounters of the Third Kind (Original Motion Picture Soundtrack)』)

 

  

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ハマ:でも、すごく何かに集中して作ってるんだな、というは聴くとわかるもんね。細野さんの音楽はね。

あっこ:そう。

H:いやー、そんなにはっきりしてないしね、定まっちゃいないんだよ。揺れ動いててね。全然ダメ(笑)

ハマ:全然ダメではないですけど…(笑)

あっこ:でも、揺れ動いてるっていうのを聴いて私、けっこううれしいんですけど。やっぱそうなんだ、みたいな。

H:全然、確固たる自信もないしね。なんにもないんだよ。

あっこ:じゃあどういう感じで…これでオッケー、ってするんですか?締切ですか?

H:そうそうそう(笑)

あっこ:(笑)

ハマ:追い詰められたほうがいいんだってね。

H:みんなそうなんじゃない?締切がないとずーっとやってると思うよ。

あっこ:じゃあこれまでの…いろんな形態で作品作られてますけど、基本的にはいつも揺れ動きながらやられてる、って感じなんですか?

H:そうそうそうそう。でも、いちばん大事なのはやっぱり衝動だけどね。

あっこ:うんうん。えー、最高なんだけど(笑)

2人:(笑)

H:いやいや…(笑)

ハマ:なんか、締切があったほうが絶対いいよね、って話をしたときに…追われててきついとか、追い詰められてる、っていうポーズはとらないんだって。

あっこ:はいはいはい!

H:そうそう。顔には出ないんだよ(笑)

あっこ:出なそう(笑)

H:すごいポーカーフェイスだからね。

ハマ:それ言ってた。こないだ。でもそうだよね。そういう人もいますよね。

H:そうだよね。ハマくんもそうじゃない?

ハマ:僕ももう、ホントにギリギリになって考えて…考えたとて、みたいな結果のほうが今のところ多いので。いざ録るとか、いざ作る、ってなったときに家で悶々と考えてきたものって…全然パッとしないというか。

あっこ:うんうんうん。

H:考えるとね。そうなんだよ。

ハマ:なので…仰ってた衝動、きっかけはもちろん必要だと思うんですけど。ぶつけるにあたっては下敷きを書きすぎると…というのは僕もそっち側かもしれないですね。

あっこ:だから実質1時間ぐらい集中したくらいのものがいちばんよかったりする(笑)

ハマ:ね。

H:あー、1時間いいね。

ハマ:1時間くらいですよね。で、1時間くらいでやったものが自分でいいと思えるときって、最高の気持ちになる。

あっこ:最高。

H:いちばん充実してるんじゃない?それ。

ハマ:そうですよね。

あっこ:だから締切…けっこう前から言われてたのに、あ、やりますやります、って言ってずーっとやんないでいて…(笑)

ハマ:(笑)

H:やらないでしょ?ずーっとやらないんだよ(笑)

あっこ:ずーっとやらないで、ギリギリになって…

H:小学生とおんなじで…夏休みの宿題、やらないじゃん(笑)

あっこ:そうそうそう(笑)

ハマ:そうですよね。最後に、もう…怒られてやるっていう(笑)

H:最後の日にやるじゃん。

あっこ:そう、最後の日にやべぇやべぇって…1時間だけ集中してめっちゃいいのできたイエー、みたいな(笑)

H:その味をしめちゃうとやんないよね(笑)集中が大事なんだよ、やっぱり。

ハマ:まぁ、向き不向きはあるというか…やっぱりすごい考えてきてカッコいい人もいるけど。

あっこ:そっか。でもハマさんは私、すごい準備する人かな、と思ってたから。

ハマ:気持ちはそうしたいの、常に。そういう風にして安心は得たいというか。ちゃんと気持ちは向いてるよ、って自分に向けてやりたいんですけど。

H:まぁね、安心はしとかないと。

ハマ:いざやると…いや、絶対に当日の俺のほうが冴えてるはずだ、って思いこむようになって(笑)

あっこ:(笑)

ハマ:でも、ちゃんとそのK点は越えられるようにはしたいけどね。それで、やってくればよかった…って毎回思ってたらそんな悪いことはないから。

あっこ:そうだよね。

ハマ:今のところね。ここ数年は特にそうかもしれない。

あっこ:あー。それってさ、ずっとやってきてるから自信がついてきてる、みたいのもあるのかもね。

ハマ:それもね、きっとあるかもしれないね。

H:もう、ベテランだもんね。

ハマ:ベテラン…細野さんから言われるベテランってどれぐらいの位置のどういうベテランなのかわからなくなっちゃいますけど…ありがたく頂いておきます(笑)

あっこ:(笑)

H:でも最近、ベテランっていう言葉があんまりなくなってるね。

ハマ:たしかに。聞かないですね。細野さんにもベテランですもんね、とは言わないですよね。

あっこ:あえて「細野さんはベテラン」とはね(笑)

H:自分でベテランだとは思ってないんだよな。

あっこ:あ、最高!

H:いやいやいや…褒められちゃった(笑)

あっこ:え、よくないですか?(笑)

H:ずっと素人だよ。

あっこ:あー最高!それがいい!

H:あ、ホント?(笑)

あっこ:なんか、ずっとそんな感じでいたい。あー、細野さんそうなんだ。素敵なんだけど。

H:だから落ち込むと全然ダメなの。この数日。

ハマ:あー、なるほど。そっか。

H:もう、押し入れに隠れたい感じだね。

あっこ:えー、きょうめっちゃいい話聞けてるんだけど。

H:え、そうなの?(笑)

ハマ:でもたしかに…僕もあっこもいわゆる同世代で。

H:そうだよね。

ハマ:僕らからすると細野さんの…まぁ僕は何度もお仕事させてもらってるから、今さらはないんですけど。やっぱり最初のイメージって今のあっこのリアクション通りで…全部そぎ落とされてて、そういう境地でもない、みたいな勝手なイメージを…なんでもそうですけど、人って抱くじゃないですか。

H:あー、はいはいはい…

あっこ:なんか、存在するのかな?ぐらいになっちゃってて、もう。

ハマ:ね、言ってたもんね。

あっこ:ほんと、豊臣秀吉みたいな(笑)

2人:(笑)

H:歴史上の…(笑)

あっこ:そうそう(笑)存在してたのか?みたいになっちゃって…

ハマ:「細野晴臣って、写真がある時代の人なんだー」みたいなことだよね(笑)絵じゃないんだ、みたいな。極端に言うとね。

あっこ:そうそうそう(笑)でも私たちは生まれたときからずっと細野さんの音楽を…

ハマ:何かしらでね…

あっこ:もう、何かしらで摂取してここまですくすく大きくなってるわけだから。

H:いやー、もうでも入れ替わる時季だね。ホントに。

ハマ:それは「代」ということですか?

H:つくづく、もういいや!って感じなんだよ、今。

ハマ:それは作ることですか?それとも…

H:いや、この数日の気持ちね(笑)また変わるんだよ、すぐ(笑)

ハマ:今は、もういいかな、みたいな。

H:今はもうダメ。今のこの時点では。なんにもできない。

あっこ:へぇー。

ハマ:俺もそこまでの発言は初めて聞いた。

あっこ:めっちゃギャルっぽいっすね。

H:ギャル!(笑)

ハマ:細野晴臣=ギャル説(笑)

あっこ:ギャルっぽい(笑)「きょうムリ~」みたいな。明日ときょうで気分違うのは当たり前、みたいな。

H:それはそうなんだよ。明日、きょう、昨日、っていうのはすごい大事なんだよ。

あっこ:いやー、大事っすよね。マジか。なんか似てる、とか(笑)

ハマ:でも、共通点という意味で…点はあるよね。きっと。今の話で。あっこもちゃんと落ち込む人じゃん。

あっこ:そうですね。激しいですね、波が。でも、緩やかにはなりましたけどね、昔よりは。

ハマ:コントロールの術をおもしろく見出してるもんね。

あっこ:そうそうそう!おもしろくはなってきてるけど。もう、四つ打ちみたいになってきてる。あー、また来たぜ、みたいな(笑)

H:(笑)

あっこ:楽しくなっては来てるけど、基本的には全力で落ち込んで、全力で楽しんでるのが続いてますね。あー、細野さんもそうなんだ。

 

 

TOKYO BANANA 2021  - あっこゴリラ

 

  

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2021.05.23 Inter FM「Daisy Holiday!」より

 

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H:細野晴臣です。さぁ!幸宏が来てます。

幸宏:た?

H:え?

幸宏:いま「た」って言いませんでした?

H:言わない言わない(笑)

幸宏:あ、「さぁ」って言ったのか。

H:疲れちゃった(笑)いらっしゃい!

幸宏:おじゃまします。もう2時間くらい経つかな?

H:そうなんだよ。そのうちまたラジオでスケッチショウの特集やるんで…その前哨戦できょうはやりましょうかね。

幸宏:わかりました!

H:どうですか?最近は。

幸宏:そうですね…なんか、去年の大病の後、すごく良くなってる感じもないんですよね。

H:おやまぁ。

幸宏:ただ全然、悪くなってる様子がないので…

H:じゃあ普通ってことだよ。

幸宏:ただ、ひとつだけね…調子に乗って軽井沢の川の横で…いつもは行かない、バカにしてるような川なんですけど。

H:(笑)

幸宏:その横で転んじゃったんですよ。

H:ほらね、バカにするから。

幸宏:そこで顎を切って、5針縫って。で、そこまでは別にどうってことはなかったんですけど。

H:いや、どうってことあるでしょ(笑)

幸宏:砂利が入ってたのを全部出してもらって。そしたら、顎関節にひびがちょっとだけ…口が開かなくなっちゃって(笑)

H:大ごとじゃん。信じらんない。

幸宏:まぁ、今は開いてますけどね。

H:治りが早いよね。

幸宏:どうですかね?これは治り…遅いんじゃないですかね?

H:そうなの?いや、大怪我じゃん。それ。

幸宏:普通はイヤですよね。手術できるような怪我じゃないから。

H:イヤだなぁ…まぁ気を付けないとね。歳取ると…

幸宏:そうです。だから調子に乗るな、と。

H:ホントホント。僕もよく転ぶからね。なんでもないところで。

幸宏:そう。その話しましたね、だいぶ前に。歳取ってくるとね、前に重心がかかっちゃって。

H:そうそう。

幸宏:なんか、トントントントンって前に行っちゃうことがあるんですよ。

H:あるんだよ。月面着陸みたいな感じで浮いちゃうんだよ、身体が。

幸宏:火星歩行じゃなくて…(笑)

H:重力が違うんじゃないかなと思う。

幸宏:要するに…たぶんね、体幹ってやつじゃないですか?

H:体幹、衰えてるよ。んー。

幸宏:自分の幹が真ん中にガツンとないと…前に前に行こうとしちゃったり。のけ反ったり。

H:そう。若い頃はあんな風に倒れたことないからね。

幸宏:でしょ?

H:あれよあれよという間に地面にぶつかってく(笑)

幸宏:なんにもわかんないんですよね、自分で。なぜこんなことになったんだろう。

H:そうなんだよ(笑)

幸宏:しかも、僕のファンの子が一緒に来てて、釣りに。僕を送ってくれて、荷物を持って先に歩いてたんですよ。そしたら来ないから、来て来て!って合図で呼んで。あー、来ないなぁと思って自分で行こうと思ったら…

H:そこで?

幸宏:そこでタタタタタタッ…って走り出しちゃった。小走りになっちゃったんですよ。

H:走り出しちゃったんだ。それはおじいちゃんだな(笑)

幸宏:ホントですよ。前のめりにトントントントン…となって、ドン!と転んだんだと思う。憶えてないんですけど。

H:うわぁ…

幸宏:その彼が後ろから支えてくるのが遅すぎて…って文句言ってる(笑)

H:(笑)

幸宏:とにかく、人間何事も調子に乗っちゃいけないなというのと…ある程度の歳になってくると、死生観みたいなものってあるじゃないですか。

H:うん。

幸宏:やっぱり病気が大きいですね。

H:それはそうだろうね。

幸宏:僕、細野さんと「CIRCLE」という九州のイベントの打ち上げで、2人で黒霧島をテーブルの前に置いて喋ってる写真をアップしたら…細野さんはすごいお酒を飲む、というイメージがある人がいるらしくて。1滴も飲めないのに。

H:飲めないんだよ(笑)

幸宏:それで「2人で黒霧島ですか」みたいに書いてる人がいて。そのとき細野さんがこっち来て…テーブルは別の、アコースティックバンド組でしたから。

H:そうだよね。

幸宏:僕はあのとき何で…メタ(METAFIVE)だ。

H:うんうん。

幸宏:それで細野さんがこっちに来て「幸宏、もうあと10年だよ」って言ったんですよ。

H:(笑)

幸宏:それ、2016年ですよ?「細野さん、それはないですよ。今、人生100歳って言うじゃないですか」と。90を過ぎても生きてる人たち、いっぱい知ってたんで。

H:まあね。

幸宏:ところが仲間はけっこう…早いですね、みんな。

H:そうなんだよ。それがね…なんか寂しいというかね。

幸宏:そう。もうあいつには二度と会えないの?みたいな。それからあの音をもう聴けないんだ、と。それは寂しいですよね。

H:そうそう。

幸宏:でもそのとき「まだまだ細野さんは全然!」と言いましたけど。いまでもそう思ってますけどね(笑)

 

 

H:いやー、歳には勝てませんね。

幸宏:うん、歳に勝てない。歳に勝つつもりだったんですか?(笑)

H:いや、そうは考えてないけど(笑)昔はね、考えずにガードレールとか飛び越えてたわけ。

幸宏:そう。

H:とんでもないからね、今。大怪我しちゃう。(笑)

幸宏:ホントですよね。

H:だから段々、自分を規制するようになってくるよね。気を付けて。派手な動きが出来なくなってくるというか。

幸宏:でも、おもしろい動きは出来るんですね。いまでも。

H:それだけはね、大丈夫(笑)火星歩行とかね。

幸宏:だって『NO SMOKING』の漫画みたいな感じとか…あ、細野さんよくやる、この感じ、と思いますもん。だから、ずっとあれで行けばいいんじゃないですか?

H:まぁ、小っちゃな動きだよな。

幸宏:モノンクル(Mon Oncle)みたいに。

H:モノンクル、いいね。

幸宏:『ぼくの伯父さん』みたいに、細野さんはああいう人だ、っていうことで。

 

 

Mon Oncle  - Alain Romans, Franck Barcellini

 

 

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H:ジャック・タチ(Jacques Tati)が着てるレインコート買ったもんね、こないだ。

幸宏:マッキントッシュ的なやつですか?

H:そうそう。もっとペラペラのね。ヨレヨレの。だから雨降るとうれしいんだよね。

幸宏:歩きたいから?

H:着たいの。

幸宏:普段でも着てくださいよ。スプリングコートでもいいし。

H:そうだな。ジャック・タチは普段から着てるんだね。

幸宏:うん。あと傘ささなきゃなんないじゃないですか。

H:そうなんだよ。傘。

幸宏:僕は雨嫌いなんですよ。

H:傘ささないのね?降ってきても。

幸宏:そんなことはないけど。

H:雨、嫌いかぁ。

幸宏:うーん、ちょっとウソ言いました。

H:ウソでしょ。好きなくせに(笑)

幸宏:"Rainy Day"という曲、昔ありましたね、ラスカルズ(The Rascals)。

H:あった。だいたいスケッチショウでも"Wiper"とかね。作ったじゃない。

幸宏:『男と女(Un homme et une femme)』…"Wiper"のイメージ。コトン、コトン…って。

H:そうだね。やっぱり雨は大事じゃん。

幸宏:細野さん、ちゃんと音を録りに外に行ったんですよ。スタジオから出て。

H:そうそうそう(笑)

幸宏:録りたてをね、入れたんですよね。

H:そうそう。まぁ、山の生活だから雨も吹きゃあ…雨も降れば風も吹くでしょ?

幸宏:雨も吹きゃあ風も降る(笑)

H:どっちでも大丈夫だよ(笑)山の生活は。

幸宏:良いです。

H:良いでしょうね。うらやましいよね。

幸宏:なんか、同じ寒いでも空気が違います。

H:それはそうだろうな。

幸宏:気を引き締めなきゃいけないのに、なんで転んだんだろうなぁ…(笑)

H:(笑)

幸宏:でもホントに…よく人間は歳取ってくると都会離れして…それこそ「ポツンと一軒家」がヒットするのもわかりますよ。

H:そうね。やっぱり動機っていうのはそこら辺なの?

幸宏:僕は違います。僕は釣りですね。

H:釣りか。やっぱり。

幸宏:だから海にも家があったし。"海辺の荘"って曲が僕にはありますけど。それから…その家は知り合いに譲って。で、今の家に。もう、最期はそこで…

H:川の釣りね。いやー、ホントに好きなんだね。

幸宏:そうですね。

H:サーファーのような気持ちなの?

幸宏:サーファーね…あんなにチャラっとしてますかね?

H:(笑)

幸宏:釣り師はそうじゃないところがカッコいいと思います。フライフィッシュはまぁスタイリッシュだけど…ブラピ(Brad Pitt)だったぐらいだから、映画は*。海の石鯛釣りなんて言ったら、ねじり鉢巻きに地下足袋ですもん。底にスパイクが打ってあるような。

[*1992年公開の映画『A River Runs Through It』より。]

H:力づくだね。そうすると、山の川の釣りというのは穏やかなの?

幸宏:いや、怖いですよ。

H:怖いのか(笑)

幸宏:川をずっと上って行ったり、崖を降りて行ったり。

H:あー、それは危ないな。気を付けないとね。

幸宏:だから、今はまだできないなと思ってます。9月で終わっちゃうので…

H:そうかそうか。釣りの音楽、歌わされたもんな、僕。知らないのに。

幸宏:(笑)

H:"Fly Me To The River"。なんの歌詞なの?あれ。よくわからないで歌ったけど(笑)

幸宏:あれはね、キャスティングすることです。キャスト。魚が狙ったポイントにキャスト!とか言ってるんですよ。

H:あー、なんかその当時教わったな。やっぱり英語のもの…向こうから入ってきたものなのね。

幸宏:あれは…イギリスですね。もちろんヨーロッパからです。フランスも。で、それがすごくアメリカナイズされて…パタゴニア(Patagonia)というメーカーとかがいろいろ出したりして。もう何十年もの歴史を持ってますね。アメリカでも。すごく無駄を省いて…

H:それはすごい。スポーツなのね。

幸宏:ウェーダーと言って、胸までの長靴を履くんですけど。

H:はいはいはい…幸宏はいつからやってるの?

幸宏:僕は20年…ちょっと足らないくらいですね。そっちは。でも石鯛釣りは50年やってましたね。

H:すげぇ!漁師だね(笑)

幸宏:10年ぐらいかぶってたんですよ、両方が。そうするとやっぱり白い目で見られるんですよ、海で。

H:そう(笑)

幸宏:クラブだから、僕の。僕、会長だったから。あと沼津のパンチパーマの人たちとか。有名なクラブがあるんですよ。その人たちが「あ、高橋さんは最近川でしょ?」とか(笑)イヤミで言われるんですよ。朝、餌をあげてるときに。

H:そうか(笑) 憧れるけど出来ないんだよなぁ。

幸宏:いや、細野さんはやらないほうがいいです。

H:そうかな

幸宏:だって昔、誘って…YENレコードのとき。バスを借りて運転して行ったんですけど、軽井沢の裏のほう、下仁田というところに。いまでも行きますけどね、僕。群馬ですけど。軽井沢のちょうど下です。

H:うん。

幸宏:そこでピクニックしようと思って。釣竿を持って行ったら、細野さんはずーっと岩場で寝てました。

H:(笑)そんなところ行ったかな?

幸宏:行きましたよ、下仁田

H:ほんっとに記憶が…

幸宏:日笠さん(日笠雅水)に訊いてください。細野さんはずっとお休みになっていらっしゃいました。

H:気持ち良かったんだろうね。

幸宏:気持ち良いですよあれは、きっと。

H:だって、魚釣るときって小っちゃな虫を付けるんでしょ?

幸宏:あのときは付けてましたけど、いまはフライフィッシュ

H:あ、そうだフライだ。うん。あんな虫触れないよ、だって。

幸宏:うーん、まぁ海はね、サザエとかだから。

H:そっか。

幸宏:細野さんは気持ち悪がりなんですよね。気持ち悪がり屋。

H:そう。虫、怖いんだよね。

幸宏:虫もダメだし…なんでもダメ。

H:そんなことはないでしょ(笑)

幸宏:だって、スッポン料理屋に連れて行ったときに…

H:あー、スッポンはちょっと苦手だ…

幸宏:あんなに美味しいものはないけど、ちょっとね。

H:なんかね、甲羅の欠片が入ってたりするじゃん。

幸宏:そう。ちょっと生々しいところに連れてっちゃったんだ、僕。

H:あと、スッポンの肝をガブっと飲んだでしょ。

幸宏:血ですよ、血。肝は飲めないですよ。

H:血?やめてくれよ…え、なんか入ってたよ、緑色のなにか(笑)

幸宏:卵。

H:ウエー!

幸宏:黄色だった、黄色です。

H:黄色か…飲んでたよね、幸宏。

幸宏:一気に飲まないと。でも、あれはちゃんとジュースで割ってあるんですよ。

H:美味しいんだね?

幸宏:まぁ美味しくはないかな…元気になるから。身体にいい。

H:そっか。

幸宏:細野さん、だって…あれは普通は日本酒で割ったりするんで。それを一気に飲んでください、って飲ましちゃったら倒れちゃうかもしれない(笑)

H:大変だよ、もう。

幸宏:とにかく、それであって…旅館でアワビが生きたまま出てきて。

H:動いてるんだよね。

幸宏:それを火の上に載せて網焼きにすると…グニャグニャグニャ!と動いて。

H:うわー、イヤだイヤだ(笑)

幸宏:「気持ち悪い!」と後で言われて、たしかに細野さんは無理かもなぁ、あれ、と。僕だったら剥がしてきれいにスライスして、柔らかいところだけ食べさせてあげたのになぁ、と。

H:あー、口開けて待ってればいいんだね(笑)

幸宏:(笑)

H:YMOの頃、村井さん(村井邦彦)に寿司屋に連れてってもらって。踊り食いというのをさせられて…

幸宏:なにの?

H:なんだろ?あれ。エビかな。

幸宏:違うな、きっとあれじゃないですか?ウナギの稚魚。

H:だったかもしれない。口の中で動くやつね。勘弁してほしいよ。

幸宏:シラスもやりますけどね、たまに。

H:ローリング・ストーンズの話で、ビル・ワイマン(Bill Wyman)を接待したことがあって…

幸宏:知ってますよ。焼肉ね。

H:そうそうそう(笑)サージェント・ペッパーズ(笑)

幸宏:有名です(笑)

H:そっか(笑)すごい皮肉言われたけどね。

幸宏:ビルに「わざと連れてきたの?」と言われた…というのは聞きましたけどね。

H:で、幸宏とおんなじジョークを言ってたんだよ。「牛の股の向こうに教会が見える」とか。そんなようなジョーク言ってなかった?幸宏。

幸宏:わかんない(笑)

H:わかんないか。おんなじだったの(笑)

 

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H:まぁそれはさておき、ストーンズが日本で宴会…和食屋に行ったら魚の活け造りが出てきた、と。で、チャーリー・ワッツ(Charlie Watts)が…あの人そういうことがすごくダメで、帰っちゃったんだって。バーって立ち上がって。「勘弁してくれ!」みたいなことで(笑)そういう人もいるんだから。

幸宏:まぁいますね。チャーリーがそうなのか。でも僕も別に活け造り好きじゃないですよ。

H:よかった。

幸宏:釣りしても必ず早く締めてもらって。やっぱり熟成させたほうがいいじゃないですか。身は。

H:そりゃそうだ。

幸宏:そんなカチカチのもの食べたって…コリッコリでしょ?

H:そうだよね。

幸宏:そのコリッコリを美味しいという人がよくいるけど、あれはウソですよ。ある程度熟成してないと。

H:そう。腐ってないとね。

幸宏:腐ってるのは…

H:ダメなのか(笑)

幸宏:腐っちゃダメですね。熟成。

H:まぁとにかく…釣りができるというのはすごいサバイバル術じゃない?

幸宏:そうですね。サバイバル、強いと思います。

H:そのことをいつも考えるんだよ。ああ、自分もしなきゃな、とかね。

幸宏:「ウィルソン」観ててそう思ったな*。

H:無人島でね。

[*映画『Cast Away』に登場する主人公の「友人」。]

幸宏:まず釣り針をどこかで…釣り針と釣り糸さえあれば。竿なんてなんだっていいんだから。木の枝でもいいし。

H:でも、手づかみっていうのもあるじゃん。イワナをね。手づかみでしょ?あれ。

幸宏:僕たちは手でやると…魚って火傷するんですよ。

H:ええ?知らない、初めて聞いた。

幸宏:もし手で触る場合は一度、川の水で手を冷やしてから。

H:そうなんだ。

幸宏:だから、ランディングネットというのを背中にくっつけてるんですけど、それをバッと外して[釣った魚を]それに取り込むんですね。

H:なるほど。いやー、知らないことばっかりだ。

幸宏:じゃあ今度それを歌詞に…

H:…いいや(笑)

幸宏:(笑)

H:とにかく、まだ僕は軽井沢のお宅には行ってないので…そのうちね。

幸宏:うん。ぜひいらしてください。

H:いい季節だしね。

幸宏:もう、お風呂は最高ですから。

H:いいなぁ。うらやましいなぁ。真似しようかなと思うんだけどね。

幸宏:真似する?(笑)

 

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H:…ん、もう時間だね。

幸宏:曲行きますか?

H:じゃあ曲をちょっと紹介…最近、なに聴いてるか、とか。

幸宏:最近は…やっぱり自然の中で聴くんだったら1960-70年代の古い曲か…あとはエレクトロニカ。冬は。

H:そうなんだよ。

幸宏:暖炉にピッタリなんですよ。

H:僕、エレクトロニカアーカイブスをどこかにしまいっぱなしで…聴けないんだよ。

幸宏:僕、全部そろってますよ。整理して持って行きました、向こうに。

H:いいなぁ!じゃあ1曲、紹介して。

幸宏:僕たちがスケッチショウやってたとき…"Attention Tokyo"という曲を作ったんですけど。

H:うん。

幸宏:そのタイトルがインスパイアされてる曲が…これはエレクトロニカじゃないんだけど、ニューウェーブの時代に…

H:印象に残ってる曲だったよね。

幸宏:ヴァーナ・リント(Virna Lindt)という人で…ニューミュージックとかこれとか。僕が昔やってたラジオ番組でトシ矢嶋くんが毎週、「今のイギリス」というのを送ってくれるコーナーがあって。

H:それが新鮮でおもしろかったね。

幸宏:それがおもしろかったんですけど…細野さんがそのテープを出せ、出せって(笑)

H:そう。

幸宏:よく言うんですけど、見つからないんですよ。そのヴァーナ・リントの"Attention Stockholm"という曲があるんで…

H:聴いてたなぁ。

幸宏:これをぜひ聴いて頂きたいと思います。

H:ぜひ。

 

 

Attention Stockholm  - Virna Lindt

 

 

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H:それではですね、ご報告をしたいことがありますが。幸宏とやってたスケッチショウですね。

幸宏:はい。またやるとか言うんじゃないでしょうね?

H:それも…否定はできないかな。

幸宏:そうですね。

H:その前に、20年前に出した3枚のアルバムのアナログ盤が…

幸宏:カッコいい!

H:カッコいいよ。7/21にリリースされます。アナログ盤ですからね。これは待ってた人も多いんじゃないですかね。

幸宏:ホントですよ。それは。

H:いやー、20年ってけっこう早かったね。

幸宏:テイ・トウワくんがきっと歓喜しますね。

H:あー。一人だけ?(笑)

幸宏:いや、一人じゃないですよ(笑)もっといるでしょう!きっと。

H:まぁそういうことで、お楽しみにしてください。この続きはそのうちやりますので…じゃあ、幸宏でした(笑)

幸宏:はい。高橋幸宏がお送り…してません。

H:(笑)

幸宏:細野さんの番組におじゃましてました。

H:はい、ありがとうございました。

 

 

2021.05.16 Inter FM「Daisy Holiday!」より

 

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H:はい、こんばんは。細野晴臣です。ひさしぶりに…来ましたね、おふたり。

O:こんばんは、岡田崇です。

越:こんばんは、コシミハル

H:ずーっとこのメンバーで…数年前までやってたけど。最近はめずらしいね(笑)

O:そうですね、時々ですね。

H:岡田くんともひさしぶりですね。

O:でも、ひと月、ふた月ぐらいですかね?

H:そうか、普通か(笑)

O:(笑)

H:どうですか。どうしてる?日々。

O:いやー、きょうは2週間ぶりに外に出ましたね。

H:ヒエー。

O:ホントに…(笑)

H:そうなんだね。毎日出てるけどね、僕。

O:びっくりするほど外に出てないですね。

H:出ないんだ。ご飯は食べてるんだね?

O:一応、細々と…(笑)

H:じゃあ、あんまり変わんないね(笑)元気そうでよかったよ。

O:なんとかやってますね。

H:ミハルちゃんは?

越:私も外に出たり、出なかったり。

H:それは誰だってそうだよ。

越:やっぱり、なんかね、なんとも言えない気持ちが1年以上…長い。

H:1年前からそうだよね。長すぎるね。もう、ほんっと飽き飽きだね。

O:んー…

H:で、どうなるの?これから。どんな気持ち?どんな風になったらいい?

O:(笑)

H:忘れるのがいいんじゃないかな(笑)健忘症というかね。

O:忘れたい(笑)

越:んー。

H:忘れたほうがいいよ。じゃあ、忘れよう。忘れて…これから番組を進めます。

O:はい。

H:きょうはね、僕は気楽に聴く立場なんで…

O:え?(笑)

越:(笑)

H:1リスナーとして楽しませてもらおうと思って。岡田くんがいろいろ持ってきてくれてるんで…なにか一つ。

O:じゃあですね、えーと…新曲、というか。ヴァン・ダイク・パークスVan Dyke Parks)がヴェロニカ・ヴァレリオ(Verónica Valerio)という、メキシコのヴェラクルスで活動している歌手と新作を作っていまして…

H:ほほう。ヴァン・ダイク・パークス、いいね。

O:4曲入りのアルバムが…アルバムなのかな?来月ぐらいに出る、と。先行で1曲公開されてます。

H:うん。

O:この曲が…細野さんも好きなアグスティン・ララ(Agustín Lara)。同じメキシコの作曲家ですね。

H:うれしい。なんか、だんだん繋がってきたな。うれしいな。

O:じゃあ、"Veracruz"という曲を…

 

 

Veracruz  - Van Dyke Parks, Verónica Valerio

 

 

H:いやいや、すばらしい。曲がいいからまたすばらしい。

O:これ、本人たち会ってないんですって。

H:へぇ、リモートで?そうか…前からそういうことやってたけど。今はまさにね。いやー、ヴァン・ダイク・パークスがいよいよ、狂気の弦アレンジが…すごいな。

O:すごいですよね。

H:なんか、元気がいいな。

 

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H:では、そこでおとなしくしてる…何やってるのかな?

越:(笑)

H:一生懸命探してるね、今ね。曲を。なにかかけてくださいね。

越:はい。じゃあメル・トーメ(Mel Tormé)で…"Makin' Whoopee"という曲です。

H:あー、"Makin' Whoopee"。うん。

 

 

Makin' Whoopee  - Mel Tormé

 

  

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H:最近聞いた話なんだけど、子どもたちが「過去に戻りたい」ということを言ってる…(笑)

O:子どもが?(笑)

H:そうそうそう(笑)気持ちはわかるよね。なんか、未来に展望を持てないじゃん。

O:そうですね。

H:だったら、そういう子どもたちはこの番組を聴くといいと思うんだよね(笑)

2人:(笑)

越:なんでもデータ化されちゃうところがね…モノが無くなっていってるでしょ?今。

H:形が無くなっちゃってね。音楽もそうだよね。

越:そう、音楽。本も。写真もそうだね。

O:そうですね。

H:プリントして見る人がいなくなってきたね、ついに。

O:紙焼き、いいのにな…

越:ね、すごくいいよね。

H:なんかね…だいたい、コロナって見えないしね。データだね、あれは。

O:(笑)

 

H:さぁて、僕はかけるものがない…というか、考えてないんだよね。任せちゃおうかな。

O:そしたら、先ほどの曲のオリジナルを聴いてみましょうか。アグスティン・ララ。

H:お、うれしい。では、アグスティン・ララで"Veracruz"。

 

 

Veracruz  - Agustín Lara

 

 

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H:いやー、ひさしぶりに聴いた。この人、すごいいい男だよね(笑)

O:モテモテですから(笑)10回、結婚してるのかな?

越:すごい(笑)

H:そっか、そんなにだっけ?ちょっと行き過ぎてるよな(笑)

O:10代の前半から娼館でピアノ弾いたりとかしてて…

H:なんか、メキシコで時の人気女優と結婚したりね。カッコいい人なんだよな。

O:そうですね。歌声もこんなだし、まぁモテますよね。

H:ね。モテるな。いいなぁ…

2人:(笑)

H:ミハルちゃんは、結婚は…まぁいいか。

越:(笑)結婚式したいな。

H:30年ぐらい前から言ってるよね(笑)そういうの、一時期流行ったじゃん。ひとりの女性のための結婚式みたいな…ウェディングドレス着て写真撮るとかね。

越:ね。なんか楽しそう。

H:それで…ボロボロのウェディングドレス着てやる、とか言ってなかった?そういう映画があったんだよね。ウィノナ・ライダー(Winona Ryder)が出てた、吸血鬼の…

越:吸血鬼だっけ?フランケンシュタイン

H:あ、フランケンシュタインだっけ?もうわかんなくなっちゃった。ずいぶん昔の映画だよ。

 

H:じゃあそういうことで…曲をひとつお願いします。

越:はい。じゃあK.D.ラング(K.D.Lang)で…"Love for Sale"。

H:ほほう!意外なものが出てくるなぁ。

 

 

Love for Sale - K.D. Lang

(from『Recollection』)

  

 

H:はい、K.D. ラングで"Love for Sale"。K.D. ラングは最近どうしてるんでしょうか。

越:最近は…どうしてるんでしょうね。

H:なんか、数年前に映画に出てたよね。歌うシーンで…

越:そうですね。

H:すごい変わっちゃってたね(笑)デビュー時代の映像を僕、どこかで見てるんだけど…見たことある?

越:あります。

H:カッコよかったよね、ボーイッシュで。カントリーシンガーとして出てきたよね、最初。

越:そうですね。声がすごくいいですよね。

H:歌がすごくうまいんで、カントリーから逸脱していった人ですけど。

越:はい。

 

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H:それで…ミハルちゃんは最近、レコーディングしたりしてますよね。

越:そう。レコーディングしてます。

H:新曲を録ってるわけね?

越:そうですね。

H:えーと、メンバーが…

越:ピアノがフェビアン・レザ・パネ(Febian Reza Pane)さん。ベースが渡辺等さん。ドラムは則武諒さん。

H:みんなベテランですね。

越:あ、ドラムの則武さんはとっても若い方で…今回初めてなんですけどね。で、ギターは今堀恒雄さん。

H:いいメンバーだね。それはいつ出るんでしょうかね。

越:いつですかね?

O:8月ぐらいじゃないですか?

H:そうなの?

越:はい。

H:で、岡田くんは…新作は?

O:新作…(笑)

H:やってないね、最近(笑)

O:やってないですね(笑)

H:グラフィックの仕事は相変わらず忙しそうだよね。 

O:まぁ、ちょこちょこ…そうですね。いまやってるのは、大瀧さんの『LONG VACATION』40周年版というのが3月に出たんですけど。それをやってて…

H:出たね。

O:8月にSACDが出たり、アナログ盤のアンコールプレスがあったり。

H:ほほう…色々あるんだね、まだまだ。

O:それを追加で作業を…ちょうどいましてるところですね。

H:休んでらんないね、大瀧くんも岡田くんも(笑)

O:あと、トモちゃんの…片岡知子さんの作業が、もう大変で(笑)

H:そうだ!いっぱいあるからね。

O:6月から8月までに5タイトル、アナログでリイシューされるんですけど。

H:すごいね。

O:それのマスタリングとカッティングと…立ち会って。

H:あー、全部やってるんだね。

O:検証盤のチェックをして、ジャケットを入稿して…などなどをやって。

H:大仕事だ。

O:それが10月ぐらいまで続きますね。

H:あれ、いつ出すって言ってた?

O:6月9日から…7月7日、8月11日。

H:毎月ね。

O:まとめて出すとちょっと…最近、アナログ盤って高いので。

H:高いね。買うほうが大変だ(笑)

O:ちょっと買うのが大変なんで、ばらけさせて…

H:そうなんだよな。申し訳ないなぁ。

O:(笑)

 

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H:で…まぁ別に僕のことはいいや。

O:最近はどうされてますか?

H:最近?なにしてるんだろうな…あ、宿題がいっぱいあるんだよ、そういえば(笑)

2人:(笑)

H:小学生みたいなの、ホントに。1年中夏休みなんだけど。1年中宿題やってるから(笑)

O:(笑)

H:まぁね、いろんな細かい仕事ですけどね。あとね…大仕事もちょっと、これからやらなきゃいけない。

O:お…楽しみにしてます。

H:はい。追々、お知らせします。

 

H:もう時間が来ちゃって…最後の曲。岡田くん、一つお願いします。

O:じゃあレジナルド・フォーサイス(Reginald Foresythe)というイギリスの方なんですが…

H:どうも、馴染みのある名前になってきたね。んー。

O:あんまり知られてない方ですけどね。レイモンド・スコット(Raymond Scott)みたいな音楽を…実はもっと前にイギリスでやってた。

H:イギリスっていうのはヘンな国ですよね。ヘンな人がいっぱいいる。「元」ですよね、やっぱり。

O:そうですね。で、これはニューヨーク録音で…クラリネットベニー・グッドマンBenny Goodman)、ベースがジョン・カービィ(John Kirby)、ドラムがジーン・クルーパ(Gne Krupa)。

H:おお、すごいすごい。

O:この頃、ポール・ホワイトマン(Paul Whiteman)のアレンジとかも…レジナルド・フォーサイスはやっていたんですね。

H:大活躍してたんだね。

O:で、これは1935年の録音で"Dodging A Divorcee"という曲です。

H:はい、ではこれを聴きながら…また来週。

 

 

Dodging A Divorcee - The New Music Of Reginald Foresythe

 

 

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2021.05.09 Inter FM「Daisy Holiday!」より

 

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H:細野晴臣です。えーとですね…随分前ですけど、来て頂いて。今回もまた続きをやります。くるり岸田繁さん。いらっしゃい!

岸田:どうも、よろしくお願いしますー、お邪魔しますー。

H:関西弁、いいね(笑)

岸田:抜けないんですよね、なかなか(笑)

H:いやー、抜かないほうがいいですよ。えーと…ツアーが。

岸田:はい。

H:それをちょっと、知らせて頂きたいんですけど。

岸田:はい。6月に数公演ですけども…行うことが決定しています。6/2が大阪のZepp難波、6/3がZepp 名古屋ですね。6/7がZepp福岡。6/9と6/10が東京のZepp羽田という…

H:羽田にあるんだ(笑)

岸田:なんかできたみたいですね。

H:へぇー。

岸田:以上。一応、やります。

H:僕も行けたら行きたいですけどね。

岸田:いやー、遊びに来てほしいです。

 

www.quruli.net

 

H:えーと…ところで、いっしょにやってた頃。福島に行ったりしてね。で、レコーディングにもちょっと顔出したりして。天橋立のほうにお邪魔したり。

岸田:はい。いっしょに温泉行ったりとか。

H:そうですよね。

岸田:10年前ぐらいですよね。

H:もう10年経っちゃったね。

岸田:ですよね。そう考えたら…お変わりないですよね(笑)

H:いやいや、お互い様だよ(笑)

岸田:なんか、遊びたいですね。

H:あの頃僕はレコーディングに結構深く…まぁ、見学してたというか。

岸田:いやいや…スネア叩いてもらったりとかもしたし。

H:で、あぁいい曲がいっぱいあるな、と思ったら、その後それをレコーディングしないんだもん、くるり

岸田:あ、そうでしたっけ。

H:あのね…ペンギンが出てくる歌あったでしょ。

岸田:あー、ペンギンの歌ありましたね!

H:あれはレコーディングしてなかったっけ?

岸田:あれは…いや、ペンギンの歌はレコーディングしたんじゃないかな…

H:したか。したんだね。

岸田:したと思います。おそらく。

H:そういうのを聴くと、ああいうタイプは岸田くんの…これ言っていいかわからないけど、ソロアルバムっぽい。

岸田:そうですね。バンドというよりはパーソナルな感じかもしれないですね。

H:そういうところもすごい好きだったんだよね。

岸田:あー、めっちゃうれしいです。

H:そういうのも作ってくれるのかな?

岸田:そういうのも…1曲だけ入ってますけどね、今回。

H:あ、ホント?それ聴かせてもらおうかな。

岸田:じゃあそれ行きましょう。"渚"という曲。バンドサウンドではあるんですけど、ちょっとそういうタイプの曲です。

H:なるほど。

 

 

渚  - くるり

(from『天才の愛』)

 

 

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H:うん、なるほど。岸田くんの中にいろいろある、フォークの部分っていうのはすごくいいよね(笑)

岸田:根本はたぶん、フォーキーな人なので…(笑)

H:そうなのかな?(笑)

岸田:最近また、これ作ってから…結構このアルバムはごちゃごちゃといろんなタイプの曲が詰まってて。なんて言うんかな…ちょっと人間味が薄い感じの曲が多いんですよね。

H:あー、天才だ(笑)

岸田:で、つい最近…反動もあるんですけど、「そのまま」みたいのがいいなぁという風に思い出して。最近ぽろぽろ書いてる曲はもう、フォークソングみたいな。そういうのを書き始めてますね。

H:なるほど。なんかそれはわかるな。僕もたぶん、そういうことを考え出してるから。

岸田:あ、そうなんですね。それって、なんて言うかな…たぶん10年ぐらい前に細野さんとよく遊んでたときに、ブギとか…バンドで、ちょっとロックっぽいやつのブームがあったじゃないですか。

H:そうそうそう(笑)そうなんですよ。

岸田:[その後]劇伴とか『HOCHONO HOUSE』とかやらはって、ちょっとプロダクティブな感じの印象があって。

H:そうね。

岸田:で、次…どんな感じなんですかね?ただの一ファンとしてはどれが来てもうれしいんですけど…(笑)

H:いやー、自分でもまだわかんなくて。去年の1年間でリセットしちゃった、個人的なね。今、世界では「グレート・リセット」って言ってるけど。「マイクロ・リセット」。

岸田:はいはいはい…マイクロ・リセット。

H:ブギとかやってて。その前の年、2019年にアメリカに行って。アメリカ人の前でブギをやって…ああ、もうこれでいいや、と思ったんだよね(笑)

岸田:なるほど。ひとつの達成感、じゃないですけど…

H:そうだね。ああいうブギウギの古いやつをアメリカ人の前でやっていいんだろうか?と思いながらやったんだけど…まぁ、やってよかったみたい。

岸田:うんうん。

H:それでちょっと燃焼しちゃったのかな、そこで。

岸田:僕ら聞き手は過去の細野さんの長い歴史…アーカイブの中から次のものを想像したりするじゃないですか。でも、作り手は先を見てらっしゃるじゃないですか。

H:いやー…そうかね?(笑)

岸田:で、1年ギターを弾いてはらへんって言ってはったけど、次ポロっと弾いたときに細野さんの中の何かと…シンクロニシティみたいなのがあって…

H:そうだね。それは期待しちゃうけどね、自分でも。

岸田:なんか…細野さんが歌うフォーキーなやつ、聴きたいですね。

H:やっぱり?僕はね、1年間ギター触ってないんだよね。白状すると(笑)

岸田:えー!(笑)ベースとかは?

H:ベースも触ってない。

岸田:あ、そうですか!

H:音楽は聴いてばっかりいるね。

岸田:そうなんですね。なんか作られたりとかするときはどうやって作られてるんですか?

H:最近はね、楽器持たないで…鼻歌だね(笑)それをメモしておくというかね。

岸田:鼻歌で…(笑)いちばんいいですよね。鼻歌でメモしたものを後で聴いて、これなんやったっけ?って(笑)

H:そういうことばっかり(笑)

岸田:僕も多いです(笑)

H:だから、気に入ってるやつは説明を言葉で入れておくんだね。

岸田:なるほど。

H:たとえばルーツの音を自分で入れておいて、それに想定的なメロディーはなんだ、というのがわからないと…突然メロディーを聴いてもわからないからね。

岸田:僕もよくiPhoneのボイスメモで…BPMはだいたい100ぐらいで、キーは一応E♭で…とか。

H:あー、僕もおんなじことやってる。

岸田:で、ドラムをまず歌うんですよ(笑)

H:おんなじだ!(笑)みんなやってるんだな、それ。

岸田:電信柱の陰とかに隠れて、ドン、タン、ドン、タン…(笑)

H:突然湧いてくるんだよね、歩いてたりするとね。

岸田:たまにありますね。でも、突然湧いてくることって歳を取るとなくなってきません?そんなことないですか?

H:いや、昔からそんなに多くないけどね。

岸田:そうですか。「さあやろう!」というときにできるものなんですかね。

H:さあやろう、という期間があるじゃない。で、その期間の中でそういうことが起こるよね。普段のボーっとしてるときにドンと降ってくるということは…ないな。

岸田:昔から?

H:うん。

岸田:そっかそっか…

H:あるんだね?

岸田:いやー、もうなくなったんですけど、ホンマに…たとえば締め切りがあるやつとかは「ここからやろう」、となったらそういう態勢にはなるんですけど。

H:うんうん。

岸田:昔はあんまりそういうのがなくて。パッと浮かんでくるものをキャッチすることに必死やったので…

H:あー、そんなにいっぱい出てくるんだ(笑)

岸田:昔ですよ?ホンマに20代のときとか。だからいちばん困ったのは…女の子とデートとかしてるときに曲が出てきて…(笑)

H:出てくるんだ。それは困るね(笑)

岸田:で、ちょっと帰ってくれる?みたいな。言ったことがあって…(笑)

H:ヒエー(笑)

岸田:いや、ホンマに悪いことしたなぁ、と思って。

H:やっぱり天才か変態か…そういう類の人だよなぁ。

岸田:もう、そういうのはなくなりました。

H:なくなった?じゃあまぁ、平和だね(笑)僕なんかは…作ろうと思わないとできない、作らないからね。だから普段から音楽的な生活をしている、ということではないんだな。自分は。そう思うわ。

岸田:でも僕も…若いときはそうやったんですけど、最近は生活と音楽が切り離されているというか。音楽やってないときに出てきたりとかはなくなりましたね。ほとんど。

H:あー。

岸田:でも、ひとりでタバコ吸ったりとかしてるときに…歌詞作らな、と思ってた曲の歌詞が一節、パパっと出てきたりとかはたまにありますけど。

H:そういうのはあるね。散歩中はそれ、よく出てくるなぁ。

岸田:『HOCHONO HOUSE』の…"恋は桃色"の新しい録音のやつあるじゃないですか。

H:うん。

岸田:あれのアレンジとかはどういうときに思い浮かんだんですか?たまたまきょう聴いてて。オリジナルのほうのイメージが僕、強かったので。そもそも、こういう風に作ろうと思われてた、という話もあったじゃないですか。

H:それはそうなんだよね。ひとりでやると決めて、このスタジオに籠もってて。遊んでるようなもんだよね。音をいじくってね。

岸田:うんうん。

H:でも、やりたい方向がだいたい決まってた。昔と同じにはできないんで…ひとりでやるからにはどうしても、プログラミングでやってくからね。まぁ、遊んでたんだな。

岸田:今でも新しい曲とか、劇伴とかもやられてるじゃないですか。

H:はいはい。

岸田:もちろん、お仕事としてやられる…名目ではあると思うんですけど、音で遊びながら見つけていく、みたいな感じですか?

H:そうだね。遊びでやらないと絶対できないよ。無理に作ってもつまんないものしかできないと思うしね。

岸田:そうですよね。きょうね、新幹線で東京来たんですけど。ガラガラで。

H:ガラガラだろうな。

岸田:移動中は音楽聴くことが多いんで。ひさしぶりの長距離移動…というんですかね?よく晴れてて。浜名湖とかきれいじゃないですか。

H:そうだよ。富士山も見えるだろうし。

岸田:そうそう。それでいろんな音楽聴いてて、細野さんのも聴こうと思って。『HOCHONO HOUSE』聴いて、いいなぁと思って。あと映画の劇伴のやつかな。ちょっと前に出た…『万引き家族』か。あれも聴いて。

H:はい。

岸田:で…あ、はっぴいえんど聴こうと思って、「ゆでめん」を…最近聴いてなかったから。全部聴くと品川着いてまうから…どれ聴こうかなと思って。

H:うん。

岸田:最後の"はっぴいえんど"。

H:あれね。鈴がチャランっていうやつ(笑)

岸田:そうそう、チャランというやつ。ちょっとプロコル・ハルム(Procol Harum)っぽい…あれ聴いて、ああもう!これ!と思って。僕、大好きで。いいなぁ、バンドっていいなぁ、みたいな風に思ったりしながら…

H:あの頃はバンドでしか音、作れなかったからね(笑)

岸田:なんかね、あれの…もちろんバンドのみなさんの音はしてるし、大瀧さんがカーンと歌ってはる感じとかも気持ちいいし。でもその…なんだろう。"暗闇坂むささび変化"とか"風をあつめて"とか、いわゆるフォーキーな…その頃書かれた曲、あるじゃないですか。

H:はいはい。

岸田:その感じとかの源流というんですかね。細野さんの中にある…楽器を持ったらこういう感じになる、みたいな。

H:あるよね。楽器を持つとどうしても作っちゃうよね。

岸田:その癖みたいな…収まりが僕の中ですごくよくて。で、あれも聴いたんですよね。『HoSoNoVa』の中の"バナナ追分"。あー、いい曲やなぁと思って。上手いこと音楽的な説明とかはできないんですけど…

H:いやいや、それはうれしいです。

 

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H:楽器には全然触らなかったんだけど、毎日見てたの。挨拶はしてた(笑)

岸田:楽器にね(笑)ギターに挨拶、大事ですよね。

H:(笑)

岸田:わかります。

H:でも、手に取らない。なにかを溜めてるのかな、よくわかんない。次に触ったときになにか出るのを期待してるのかもしれないしね。自分で。

岸田:僕もね、制作中…もちろんギターも弾いたんですけど、結構触らなかったんですよ。マウスばっかり握ってて。

H:(笑)

岸田:あんまりギターも…そんなに興味なくて。授業とかでちょっと弾いたりとかね。こういうときはこんな感じ、みたいな。僕はバート・ヤンシュ(Bert Jansch)が好きで。

H:懐かしい。

岸田:で、レッド・ツェッペリンLed Zeppelin)も好きやったから…ジミー・ペイジJimmy Page)とかも。

H:うんうん、わかるわ。

岸田:ダドガド(DADGAD)みたいなチューニング…5度チューニングが好きで。学生に「変則チューニングを自分で考えよう」みたいなのをやって。

H:あ、おもしろそう。

岸田:みんな結構おもしろいのを考えて。やってたら…なかなかすごいのがあったんで、そういうのを試してたらおもしろくなってきて。自分では弾かないんやけど、とにかくオープンチューニングでおもしろいのを作って…スタジオにいろんなチューニングのギターが置いてあるんですよ。そしたらレギュラーチューニングのやつがなくて…(笑)

H:ないんだ(笑)

岸田:結果、弾かなくなる、みたいな(笑)たまにスタジオ来たらポロポロンって、全部鳴らして。

H:それはやっぱり…ちょっと変わってるよなぁ(笑)

岸田:そういうことはやってるんですけど…でもやっぱり、ギターは楽しいですね。弾き出すとね。

 

 

 

H:音楽の話は尽きませんが…最後の曲を1曲、選んでください。

岸田:細野さんに聴かせたい…いろんなんあんねんけど…

H:(笑)インスト?

岸田:インスト行きましょうか。プログレか、ちょっとジャズっぽい…

H:おお!いいですね。

岸田:あ、ジャズっぽいやつ…ジャズなんかな、これ?という感じではあるんですけど…じゃあ"less than love"という曲を…聴いてください。

H:じゃあ、これでまた…そのうちウィーンに行ったり温泉に行ったり。

岸田:いいですね。ウィーンにも温泉、あるんで。

H:あ、そうなの?ぜひぜひ…岸田繁さんでした。

岸田:どうもー。

 

 

less than love - くるり

(from『天才の愛』)

 

 

H:ほう…これは[ベース]弾いてるの?

岸田:これは佐藤さん(佐藤征史)弾いてます。

H:やっぱり音像が違うんだな。いいね。

 

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2021.05.02 Inter FM「Daisy Holiday!」より

手作りデイジー🌼#20

 

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 (以下、すべてH:)

  

 こんばんは。細野晴臣です。ずーっと中学時代のポップミュージックをかけてきましたけど…ホントに広い世界で、豊かで。そこから抜けられなくなって、まだ中学時代を引きずってるんですね。中二病って言うんですかね?こういうの。そんなことはないね。中一病か。

 きょうはちょっと一息つく感じで…そうですね、思いつくままよく聴いてたムード音楽。そういうのをちょっとかけていきたいな、と。世間はゴールデン・ウィークだし。脳内ホリデーという感じで聴いて頂きたいと思います。たぶん、最後まで起きてられる方は少ないかもしれないですね。リアルタイムで聴いてる方はぜひ、寝ちゃってください。寝られる音楽なんです。

 それで3曲ずつくらい紹介しながら…解説はホントに少なく、タイトルだけ紹介しますね。最初はベルト・ケンプフェルト&ヒズ・オーケストラ(Bert Kaempfert And his Orchestra)。これは1960年代、日本の人もよく聴いてましたよ。その中からコーラスが素晴らしい"Nothing's New"。そして2曲目はおなじみのスリー・サンズ(The Three Suns)で"Delicado"。3曲目がですね…リチャード・ハイマン&ヒズ・オーケストラ(Richard Hayman And his Orchestra)で"Eyes Of Blue"。この曲は『シェーン(Shane)』でよく使われていたメロディですね。

 

 

Nothing's New - Bert Kaempfert And his Orchestra

 

 

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Delicado - The Three Suns

 

 

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Eyes Of Blue - Richard Hayman And his Orchestra

 

 

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 それでですね…つい、解説が入っちゃいますけど。いま聴いて頂いた"Eyes Of Blue"。これの元は1953年に…僕も観に行きましたけど、西部劇の『シェーン』という映画。これに使われていた音楽なんです。いま流れているのがそのサウンドトラックです。これはヴィクター・ヤング(Victor Young)が作ったんですが、元は"Put Your Little Foot"というフォークダンスの民謡なんですね。19世紀にはさらにその原型というのがあって…"Varsouviana"という。ホントにこれは踊るための音楽ですね。19世紀から今に至るまで続いているという。まぁそれでも、もう途切れましたけどね。20世紀は終わったので。

 

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 その"Eyes Of Blue"を1953年当時、雪村いづみさんが歌っていたのを僕は聴いてたんです。その歌をまず聴いてもらってですね…その後は、列車の音楽。ザ・コロンビア・オーケストラ(The Columbia Orchestra)という、これはホントにあるのかわからないオーケストラですが。ノヴェルティのセミクラシック、"Running Off the Rails"という曲ですね。それに引っかけてですけど、"The Trolley Song"。これはジュディ・ガーランド(Judy Garland)の映画の中で歌われていたものです。ガイ・ロンバード&ヒズ・ロイヤル・カナディアンス(Guy Lombardo & his Royal Canadians)というすごく有名なダンスバンドだったんですが、アメリカで大ヒットしてましたね。

 

 

Eyes Of Blue - 雪村いづみ

 

 

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Running Off the Rails - The Columbia Orchestra

 

 

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The Trolley Song - Guy Lombardo & his Royal Canadians

 

 

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 この"Trolley Song"、1944年の映画『若草の頃(Meet Me in St.Louis)』でジュディ・ガーランドがトロリーの中で歌ってかなり有名になった曲です。

 

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 さて、最後の2曲。最初の曲はですね…これもまた映画音楽のテーマミュージックなんですけど、フランス映画。1955年の作品で『現ナマに手を出すな』という名前でした。『Touchez pas au Grisbi』という原題ですね。ジャン・ギャバン(Jean Gabin)主演、リノ・ヴァンチュラLino Ventura)とかね。日本でもかなり大ヒットした映画で、そのテーマミュージックが"グリスビーのブルース(Le Grisbi)"。ジャン・ヴィエネル(Jean Wiener)という人の作品なんですが、これはスリー・サンズで大ヒットしました。そして最後の曲。これもまた映画音楽なんです。1960年に封切りされて…僕は観てないですけど。その音楽が大ヒットしました、"The Sundowners"というタイトル。作曲ディミトリ・ティオムキン(Dimitri Tiomkin)です。演奏は101ストリングス(101 Strings Orchestra)。

 

 

グリスビーのブルース(Le Grisbi) - The Three Suns

 

 

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The Sundowners - 101 Strings Orchestra

 

 

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2021.04.25 Inter FM「Daisy Holiday!」より

 

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H:はい、こんばんは。細野晴臣です。きょうはホントに久しぶりに…来て頂きました。くるりの岸田くん。いらっしゃい!

岸田:はい、どうもー。ご無沙汰しております。

H:何年振りかね?

岸田:もう、ずっと会ってないですよね。

H:そうね。前来てもらったときは自分のオリジナルのクラシックスコアの…そのとき以来だよ、だから。

岸田:あ、そっかそっか。そのとき以来ですね。

H:ずっと京都だよね?

岸田:そうですね。京都でこもってるんで…なかなか。

H:京都も行きたいのになかなか行けないんだ。どう?京都は。人は?

岸田:やっぱし、インバウンドがいないので…観光、スーツケースの人がいなくなったというだけで、場所によってはずいぶん人が減った印象があるのと…

H:だろうね。

岸田:京都市の人口動態みたいなものをこないだ調べたんですけど。

H:うんうん。

岸田:ずーっと横ばいやったんですけど、外国の人が帰ったのか、ちょっと減りましたね。2年で2万人ぐらい減ってますね。

H:随分だね。

岸田:やっぱり人口が減ってるんだなぁ、と思って。細野さんは最近行きたいところとか…?

H:んー、もう外国はね、ちょっと諦めてるね。

岸田:あー、まぁしばらくはね。そうですよね。

H:色んな条件が必要になってくるじゃん。

岸田:ワクチンパスポート的な。

H:めんどくさいじゃない、そういうのね。

岸田:そうですね。たしかに…じゃあ国内やったら温泉ですかね?やっぱり。

H:温泉は行きたいね。

岸田:温泉行きたいですね、行きましょう今度。前行きましたもんね。

H:行った行った(笑)あれはいいところだったね。

岸田:いいとこでしたね。東北の…

H:秋田のほうだね。

岸田:乳頭温泉。行きましたね。虹が出てましたよね。

H:出てたねー(笑)

岸田:露天風呂で虹、最高ですよね。

H:平和な時代だよなぁ(笑)

岸田:平和ですよ(笑)たまに思い出すんですけどね。そうですね、東北の温泉行ったから次は…南九州とかね。

H:あ、いいね。

岸田:あっちもいい温泉多いですからね。食べ物おいしいし。

H:そうだよね。

岸田:南九州はね…私は鹿児島が好きで。

H:うんうん。

岸田:自分もカヴァーとかしたんですけど…鹿児島の民謡というんですかね、おはら節。

H:あー、おはら節ね。有名だ。

岸田:あの歌が好きで。「おはら祭」とかやってるんですよ。

H:そういうの行ったんだ。

岸田:やっぱり九州の端っこやから、エキゾチックな感じがするというか。

H:どことなくね。やっぱり南国なんだね。

岸田:そうですね。あと、最近の若い人たちは普通の言葉をしゃべらはるけど、ご年配の方は…

H:あー、独特の言葉だもんね。

岸田:そうそうそう。西郷さん(西郷隆盛)時代の隠語と言うんですかね?暗号みたいになった言葉というか…

H:そっか。そういうの知ってるんだ?

岸田:いやー、僕もぜんぜん知らへんかってんけど…前、うちに付いたレコード会社の宣伝の人で鹿児島の人がいて。鹿児島弁でこれはこういう意味や、みたいなことを教えてくれたんですけど。

H:へぇ。そういう人いないなぁ、周りに。

岸田:で、くるりでライヴ…わりと毎回行くんですけど。

H:あ、鹿児島でやってるのね。

岸田:結構ね、くるり

H:人気あるんだね。

岸田:うん。鹿児島と青森はいつも盛り上がるんですよね。

H:南と北で…おもしろいな。

岸田:で、温泉がいいですね、やっぱりね。

H:前、清志郎忌野清志郎)に連れられて行ったところはよかったなぁ。

岸田:どこですか?

H:もう忘れちゃったな。妙見かな?

岸田:あー、妙見のほうね。ありますよね、いくつか。あとは霧島のほうとか。

H:そうそうそう。で、やってるのが独特な人で色んなもの作っちゃうんだよね。小屋とか温泉とか。自分で広げてっちゃう。

岸田:そういう人いますよね。

H:顔がどうしてもね、「隼人系」と思っちゃうんだけど…隼人というのは海の人たち。

岸田:はい。

H:そういう人は鹿児島、多いと思うんだけど…そういう興味がすごいあるね。

岸田:うんうん。じゃあちょっと次は南九州の温泉に行って。

H:ね、そうしよう。

 

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H:ということで…前振りが長くなっちゃったけど(笑)

岸田:はい(笑)

H:アルバムが4/28に。

岸田:そうです。

H:いつ作ってたの?これ。

岸田:これね…実は2017年ぐらいからダラダラと録りためていたというか。部分録りして放置してあったようなものをちょっとずつ作っていったみたいな感じで。

H:うん。

岸田:去年の夏ぐらいからそういうものを組み立てて、録音して。ポストプロダクションというか。

H:『天才の愛』という。いいタイトルだ。

岸田:はい。ちょっと大それた…

H:これはなんかあるんだろうね、意味が。

岸田:かなり適当に付けたんですけど…(笑)でもなんか「天才の愛」という感じがするなぁ、と。

H:へぇ…いいね。なんかベートーベンだね(笑)

岸田:あー…(笑)こういうこと言うと怪しいですけど、タイミングがめっちゃ合うとか。天才的な巡り会わせみたいなことってあるじゃないですか。

H:あるよね。うん。

岸田:かなり胡散臭いんですけど…ちょっと第六感めいたものというか。僕はとくにオカルト好きというわけではないんですけど、そういうものが好きな友達と話していたときに…松果体ってわかります?(笑)

H:おお松果体、出ました!オカルトだね(笑)

岸田:松果体の話になって…(笑)もしかしたら細野さんもそういう感覚持ってはるのかな、と思ったりするんですけど。

H:僕もオカルトは好きだけどね。最近はあんまり、表で話さないね。

岸田:僕もあんまり話さないですけど。松本さん、松本隆さんと…

H:あ、そうだ、京都の住民同士だ。

岸田:お話ししたときに"風をあつめて"の話になって。路面電車が海を渡るのを見たんです、とか。あれはゆりかもめなんだよ、とか。

H:…そうかい?(笑)

岸田:「摩天楼が衣擦れを起こす」のは、あのときは高い建物がなかったけど…

H:あ、じゃあ未来を予知してたわけだ。すげえ、それは初めて聞いた(笑)なるほどね。

岸田:そんなようなことを仰られていて。もちろんそれって「物は言いよう」という見方はあると思うんですけど…曲を書いてたり、歌詞もそうですけど、ちょっと予測変換めいたことってあるじゃないですか。

H:あるよね。

岸田:ドミナントモーションじゃないですけど、絶対こう解決する、とか。知らなくてもそういう風になって。人とのご縁もそうですし。なんか不思議なことが実現したりとか。

H:音楽やってるとそういうことあるかもね。

岸田:ありますよね。なんかそういうことを感じるような出来事というか。

H:そういうのがあったんだね。

岸田:そういうのがちょっと…小さいことからそれなりのことまで、色々感じることがあって。やっぱり天才はすごいな、みたいな(笑)

H:(笑)

岸田:なんだろう、天才が生み出してるそういう喜びとか。ゆで卵の殻をベロベロと剝いて、ペロンと中身が出てくるような感覚とか。

H:気持ちいいよね(笑)

岸田:そうそう(笑)それをどう言い換えて、どう表現したらいいのかな、と思ったときに…「愛」かなぁ、と思って。

H:あのね、岸田くんが天才なんだよ。

岸田:いやいや…(笑)

H:普通そんなことは考えない(笑)

岸田:別にそこまで考え込んでるわけではないんですけど…僕は天才というよりは変態のほうだと…(笑)

H:おんなじだよ(笑)

岸田:(笑)

H:さっそく聴かせて。『天才の愛』。楽しみ。なにがいい?選んで。

岸田:そうですね…じゃあ、ちょっと長いんでカットしてもらってもいいと思いますけど…あ、こっち行こう。"I Love You"という曲を…すみません(笑)

H:オッケー(笑)

 

 

I Love You  - くるり

(from『天才の愛』)

 

 

H:ほほう…感じが変わったよね、やっぱり。この1年ぐらいで。

岸田:まぁそうですね、こもってるんで…(笑)

H:こもってたならではの…プログラミングやるんだね。

岸田:はい、そんなことばっかりやってました。

H:音像がすごく、今の感じに合うね。

岸田:ちょっと変わったコード進行というんですかね。

H:おもしろいね。

岸田:最初ギターでやってて…そのコード通りにやってるんやけどなんか響きが気持ち悪いな、ということになって。どないかならんかな、と。ちょっと検証したんですよ。そしたら…最初にデモを作ったときに打ち込みでパパッと作ったんですけど、5度の音がちょっと音痴というか、気持ち悪くて。気になってきて、古典調律みたいなのを調べ出して。

H:いやいやいや…行っちゃってますね(笑)

岸田:で、佐藤(佐藤征史)と2人で…これ、純正律でやったらどうなるのかな、みたいなことをやり出して。

H:そうなんだ。純正…バッハ以前の、ということね。

岸田:そうですね。ほんなら、あるコードは気持ちよく響くんやけど移動したら気持ち悪い、とかなって。今はいろんな調律をプリセットで[再現]できるソフトがあるから、聴いてみたら…ここはこれがよくてここはこれがよくて、みたいな。

H:あ、パートで作り上げたんだ。

岸田:それを曲中で変えたらちょっと面倒だから…マリンバみたいのが入ってるんですけど、マリンバのあるフレーズを5つぐらいのトラックに分けて。

H:へぇ。

岸田:で、ここはホ長調の純正、ここはピタゴラス音律とか。色々組み合わせて…

H:すごいな、それ…そんなこと考えてる人いないけどね、最近(笑)

岸田:ギターもCの形で押さえて…バッハが昔使っていたヴェルクマイスターという調律があって。

H:あー、聞いたことはあるけどよく知らないな(笑)

岸田:それでCを弾いたら、Cだけでめっちゃ感動したんですよ。

H:そう?ちょっと興味あるね。

岸田:C弾いて、次C/G弾いて、G7いってCに戻ったら、もうそれだけで…

H:出来ちゃったんだ。

岸田:うん。感動して…これはちょっと、平均律を疑おう、ということになって。

H:おもしろいなぁ。でも聴いてるとそういうのは全然…普通に聞こえるというか。

岸田:そうですね(笑)無駄な努力かもしれないですけど…

H:いやいや。きっとそうやってうまく調整してるから自然に聞こえるんだろうね。

岸田:なんか、そういうことばっかりやってました。時間あったんで。

H:深いね。時間があるっていうのはそういうことだな(笑)

岸田:そうですね(笑)

H:いや、おもしろい曲だなと思って。メロディとかね。あんまり聴いたことがないよね、他では。なるほど…これが"I Love You"というタイトルね。

岸田:あんまり"I Love You"っぽい曲でもないんですけど、一応。

H:なんとなく…音楽って全体像で聴いちゃうから、ふんわーって気持ちよかったんで…それはタイトルのせいもあるかもね。

岸田:ありがとうございます。

 

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H:音作り…ミックスとかは自分でやるの?

岸田:ミックスはある程度のところまでは自分たちで…こういう感じかな、というのはやって。この曲だけは京都に住んでるエンジニアにやってもらって。他はウィーンに住んでるディーツ(Dietz Tinhof)という人がいるんですけど。彼とリモートで。

H:リモートで。なるほどね。

岸田:でも、彼とリモートでやるということ自体は以前もそうやってたんで。

H:あ、そうか。それはいい方法かもしれないね。いやいや…そうだったんだ。1年というのはいろいろ変化があるね、今。

岸田:そうですね、いろいろね。なんか、新しいのとか作ってないんですか?今。

H:えーとね…いまNetflixで上映中の『彼女』という映画の音は1曲作ったの。エンディング用に作ってくれ、みたいなね。テーマ的な。インストですけど。

岸田:うんうん。

H:出来てみたら[劇中の]あっちこっちにそれが使われてるような感じだね。まだちゃんと見てないんですけど(笑)

岸田:そっかそっか。

H:それが今の最新作かな。なんかね、昔…1970年代、80年代にやってたアルバムがアナログ化されて。「レコードの日」みたいな日があるんでしょ?そこに向けていろいろ、いっぱい出るのね。

岸田:はいはい。

H:それのマスタリングとか。そういうことが忙しいね、今。

岸田:結構、チェックして色々やってたら手間かかりますもんね。マスタリングはご自身でやられるんですか?

H:お任せしちゃうこともあるし、これはやりたい!というのがあるんで、そういうのは…プリマスタみたいなことはやってね。

岸田:iZotopeとか使われます?Ozoneとか。

H:使うねぇ(笑)

岸田:あれ、すごいですよね…

H:今聴いた音、それ使ってるなと思ってたんだけど…(笑)

岸田:ありがとうございます(笑)初めてとかではないんですけど…さっきの曲とは他の曲が結構、音圧があるんで。アルバムやし、[音圧を]稼がなあかんから…どうやって上げようかな、というところで。まぁOzoneでしょうな、ということは思ってて。

H:なるほど。

岸田:で、エンジニアさんと話してて。新しい…ヴァージョン9ですかね?

H:うん。

岸田:それの…いくつかプリセットのパターンあるじゃないですか。

H:あるね。もうプリセットしか使わないけどね(笑)

岸田:僕もそうなんです…(笑)それがすごかったですね。

H:新鮮だよ、最初聴いたときどれもよくて。

岸田:すばらしいなぁ、と思って。僕はあんまり機材とか興味ないほうなんで。

H:まぁ僕もそうなんだけど…いい音は作りたいじゃん。

岸田:作りたい!

H:おんなじだよ(笑)

岸田:そうなんですよ(笑)で、たまたま京都のエンジニアさん…谷川さん(谷川充博)というんですけど。昔の機材オタクで。

H:それもいいんだよね。

岸田:ベースとかも…佐藤さんが家で録ってきたやつをリアンプしたりとか。そういうのもしてくれはったんですけど。D.I.もMotown D.I.使ってはったりとか。アウトボードも実機で揃えはる人なんですよね。

H:おお、マニアックだ。そういう人いるといいね。

岸田:そうなんですよ。だいたいそういう…マイクプリとかも昔のやつのリイシューに手を加えてやってはる人で。

H:手を加えられるというのがいいね。

岸田:で、僕はそういうのさっぱりだから、あー、いい音ですねー、って言ってたんですけど。Ozoneが登場してきたときにうわー!と思って。

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H:うんうん…機材の話が続いちゃいますけど(笑)

岸田:すみません(笑)

H:音楽、聴きましょうよ。

岸田:はい。細野さんに聴かせて…いろんなんあんねんけど…打ち込みっぽいのかロックっぽいのか、どっちがいいですかね?

H:打ち込みっぽいのはちょっと聴いてみたいなぁ。1曲目がそんな感じだったし。

岸田:そうですね。じゃあ…女の子がね、歌ってくれてる曲があって。これ打ち込みっぽいので。

H:はい。

岸田:じゃあね、四国の電車の歌なんですけど。"コトコトことでん"という曲があって。

H:かわいらしい。

岸田:聴いてください。

H:はい。じゃあ、これが最後の曲で…また出てください。

岸田:ありがとうございます。

H:くるり岸田繁さんでした。

岸田:どうもー。

 

 

コトコトことでん - くるり feat. 畳野彩加

(from『天才の愛』)

 

 

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2021.04.04 Inter FM「Daisy Holiday!」より

手作りデイジー🌼#19

 

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 (以下、すべてH:)

 

 

 はい、細野晴臣です。1ヶ月は早いですね。4月4日ですか、もう。桜も早かったなぁ。なんか急いでる感じで。去年はわりとのんびり咲いていたような気がするんですけど。人が少なかった所為でしょうかね。まぁ、そういう世間とはちょっと距離を置いて、音楽を楽しんでいきたいと思います。

 きょうは前半に…チェンバロですね。ハープシコードとも言う。バロック音楽でよく使うあの楽器がいかにロックやジャズに合うか、という。それを聴いていきたいと思います。で、最初にフロイド・クレイマー(Floyd Cramer)。前回かけた"On The Rebound"の次の年に大ヒットしました、"Hot Pepper"。

 

 

Hot Pepper - Floyd Cramer

 

 

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 ジャズ界で最初にやったのはたぶん、アーティ・ショウ(Artie Shaw)なのかもしれないんですけど。アーティ・ショウのスモールバンド、グラマシー・ファイブ(Gramercy Five)の演奏で…1941年にヒットしました、"Summit Ridge Drive"。

 

 

Summit Ridge Drive - Artie Shaw and his Gramercy Five

 

 

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 1951年に大ヒットしたローズマリー・クルーニー(Rosemary Clooney)の"Come On-A My House"。このチェンバロのブギがすごいですね。スタン・フリーマン(Stan Freeman)が弾いています。プロデューサーはミッチ・ミラー(Mitch Miller)ということで…では、"Come On-A My House"

 

 

Come On-A My House - Rosemary Clooney

 

  

今、アメリカで横行している「キャンセル・カルチャー(cancel culture)」というのがあるんですけど…それを恐れずにかけています。

 

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 ところで、チェンバロでブギを弾く…なんてことはスタン・フリーマン以外にはできないですね。硬い鍵盤なので。"Come On-A My House"の大成功ということもあって、翌年にミッチ・ミラーとまた組んでレコーディングしてます。"Horn Belt Boogie"。

 

 

Horn Belt Boogie - Mitch Miller with Stan Freeman

 

 

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 さて、ここからはですね…ブルース・ルンバとかマンボ・ブギという、ラテンの影響を受けたリズム&ブルースの歴史をちょっと…ちょっとだけですけど、紐解いてみたいと思います。1940年代ぐらいからジャンプ系の音楽ではそういうことがあったんですね。カリプソとかルンバとか。でも、非常に有名になったきっかけは1952年の"Hound Dog"という曲です。ビッグ・ママ・ソーントン(Big Mama Thornton)の歌でヒットしました。このリズムが大反響を呼んでみんなカヴァーしたんです。そのきっかけというのがジョニー・オーティス(Johnny Otis)というロックンロール界のゴッドファーザー。その人が17歳の2人の少年たちに曲を依頼したんです。「ビッグ・ママ・ソーントンのために新しい曲を書いてくれ」と。その2人の名前は…リーバー&ストーラー(Jerry Leiber & Mike Stoller)というビッグネームになった人たちですね。それで"Hound Dog"が出来て、いざレコーディング…というときに、「なんかリズムが違うんで…ジョニー・オーティスさん、あなた叩いてくださいよ」ということで。ジョニー・オーティスがドラムを叩いたらすごく良い出来になったという…これが"Hound Dog"。そして、そのアンサーソングでルーファス・トーマス(Rufus Thomas)が"Bear Cat"という曲を歌っているのを、両方いっしょに重ねてみました。

 

 

Hound Dog - Big Mama Thornton

 

 

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Bear Cat - Rufus Thomas

 

 

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 そのジョニー・オーティスがやった、「史上初のロカビリー・マンボ」とも呼ばれているんですけど…まぁ、そうとも言えないんですけどね(笑)"Mambo Boogie"!

 

 

Mambo Boogie - Johnny Otis

 

 

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  先ほども言いましたけど、1940年代のジャンプスタイルの…ルイ・ジョーダン&ヒズ・ティンパニ・ファイブ(Louis Jordan and his Tympany Five)という。彼らがやっているカリプソ系やルンバ系がすごく良かったんですね。それを聴いてください。"Early in the Mornin"。

 

 

Early in the Mornin' - Louis Jordan and his Tympany Five 

 

 

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 これは1947年のレコーディングなんですが、だいたいこの頃にはニュー・オーリンズでもすごいことが起こっていました。プロフェッサー・ロングヘア(Professor Longhair)という…「ロックンロール界のバッハ」と呼ばれていますけども…(笑)プロフェッサー・ロングヘア、またの名をロイ・バード(Roy Byrd)の"Hey Little Girl"。

 

 

Hey Little Girl - Professor Longhair

 

 

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 ちょっとモードが変わって…次はですね、アーニー・フリーマン(Ernie Freeman)という人を紹介したいと思います。この人のことを一言で言うのは大変なので、解説に書いておきました。そのアーニー・フリーマンのセッションバンドで、"Jivin' Around"。

 

 

Jivin' Around - Ernie Freeman

  

 

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このレコーディングは1955年ですけど…この後、アーニー・フリーマンはすごい活躍しますね。サイモン&ガーファンクルSimon & Garfunkel)で"明日に架ける橋(Bridge Over Troubled Water)"の弦のアレンジをしたりとか。ボビー・ヴィー(Bobby Vee)のアレンジがすばらしかったんですけどね。

 

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 ここで1957年に参加するドラマーがアール・パーマー(Earl Palmer)です。"Teen Beat"。

 

 

Teen Beat - Earl Palmer

(from『Drumsville!』)

  

 

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 じゃあ次の曲がですね…レイ・オ・バックス(The Ray-O-Vacs)というヴォーカルグループです。"My Baby's Gone"。

 

 

My Baby's Gone - The Ray-O-Vacs  

 

 

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 きょうの最後の曲は…お口直しということで、プエルトリコのピアニスト、ジョー・ロコ・ヒズ・ピアノ・クインテット(Joe Loco His Piano & Quintet)で、"Why Don't You Do Right"。

 

 

Why Don't You Do Right - Joe Loco His Piano & Quintet