2020.06.07 Inter FM「Daisy Holiday!」より
手作りデイジー🌼#08: Tokyo Alert
(以下、特記無き場合はH:)
こんばんは、細野晴臣です。いや、制限が解除されて人が溢れて…かと思ったら、アラートが出たりね。えー、この番組はどうなっていくか。来週から通常に戻したいな、と。思ってますが…まぁでも、まったく予定が立たないというのが今の状況です。
さて、先週少しお話をした大事なビッグバンド、クロード・ソーンヒル楽団(Claude Thornhill And His Orchestra)をきょうは深堀りしたいと思います。でもその前に、きょうの「真夜中のランチタイム・ミュージック」、お送りします。チェット・アトキンス(Chet Atkins)。ギターの名手は多いですけど、それぞれホントに個性が豊かで興味が尽きません。ということでチェット・アトキンス、お忘れなく。"Hot Toddy"!
Hot Toddy - Chet Atkins
さて、もう1曲…きょうはですね、ホリデー・ミュージックを1曲かけたいと思います。ジョージ・メラクリーノ(George Melachrino)で"Scrub, Brother, Scrub"。
Scrub,Brother, Scrub - The Melachrino Orchestra
きょうのホリデー・ミュージック、ジョージ・メラクリーノ&ヒズ・オーケストラ。日本ではメラクリーノ・ストリングスと言ってましたけど。とてもクラシカルなんですけど、心が弾むような感じで。"Scrub, Brother, Scrub"というタイトルが可笑しいんですよね。なんかこれは…「ゴシゴシ洗え」というような意味ですよね、Scrubというのは。「おい兄ちゃん、もっとよく洗ってね」っていう。今の状況にそっくりなんですけどね。どういうテーマなんでしょうか。
では、これからはクロード・ソーンヒル&ヒズ・オーケストラの特集…まぁ深堀りと言ってもそんなに深くはないですね。ソーンヒル・オーケストラの中でも僕は"Sweet and Lovely"的なね、たおやかな音楽が好きなんです。
最初は先週、コシミハルや僕でシミュレーションした"There's a Small Hotel"。続いて"Snowfall"。そして、さらにですね…これもコーラスもので"Sweet and Lovely"。
There's a Small Hotel - Claude Thornhill And His Orchestra
Snowfall - Claude Thornhill And His Orchestra
Sweet and Lovely - Claude Thornhill And His Orchestra
はい、ここできょうも「Daiyworld」のアーカイヴスからですね…2001年9月21日に放送した東榮一くんとのエンディングでのシークエンスです。遅い夏の休暇の前の話をしてます。当時はこうやって…東くんと僕とでふたりで話して、最後に最終バスに乗って帰るというくだりです。
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Daisywolrd Archives: 紺屋の白袴
東:こんばんは。
H:(笑)
東:なんか、白目剥いてなかったですか、いま?(笑)
H:えー、あの…休んでるときは白目剥いてます(笑)
東:ヘンな動物みたい…(笑)
H:あれ、寝るとき白目剥いて寝ない?
東:別に…(笑)
H:あ、そう?僕はね…
東:わかるんですか?
H:いや、わかんない。母親によく「あんた目を開けて寝てるから起きてるのかと思った」とか言われてね。
東:(笑)
H:動物ってそうなんですよね、でも。
東:いまは起きてる?
H:どうだろう…寝てるのかもしれないけど。ちょっとテンション低いんですよ。
東:あら…夏休みだっていうのに。
H:これからね、夏休み…あ、それでウキウキしてるんだ。
東:どうするんですか?細野さん。
H:僕?もう、海も終わりだしね、クラゲが…
東:(笑)
H:イヤになっちゃうね(笑)どうしようかな。なんか予定あるの?
東:僕ですか?
H:ふつう、どうやって過ごしてるの?休み。ぜんぜん想像できないね、僕。東くんの休み。竹馬かなんかに乗るんでしょ?(笑)
東:なんで竹馬乗るの…(笑)
H:どうなの?どっか海…海水パンツ持ってる?
東:持ってない(笑)
H:持ってないでしょ(笑)
東:なんでわかるの?(笑)
H:持ってるような感じがしない…浮き袋は持ってそうだけどね(笑)
東:僕は本屋さんとかね、CD屋とかね…
H:あー、やっぱりね。それじゃぜんぜん普通じゃない。いつもとおんなじだ。
東:いやー、好きなんですよね。
H:ホントに好きだね。
東:うん。
H:僕以上に音楽が好きなんだね。
東:なんですか、その突き放すような言い方は…(笑)
H:(笑)
東:細野さんは?
H:僕?普段はね…休みはぜったい音楽聴かないね。
東:あー、作ってるから。
H:「紺屋の白袴」と言って…
東:え?もう一度言ってください(笑)
H:古い言葉知らないんだね、イヤになっちゃう…(笑)もう帰るわ(笑)
東:え、うそ…(笑)
H:さよなら…ホントに知らないんだね(笑)
東:知らない(笑)
H:「紺屋の白袴」。
東:「コウヤノシラバカマ」?
H:「こうやのしらばかま」。
東:…「コウヤノシラバカマ」?(笑)
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Jambangle - Gil Evans
いま聴いてるのはギル・エヴァンス(Gil Evans)のソロワークから、"Jambangle"という曲です。
[*流れていた音源はHal McKusickのリーダー作『Jazz Workshop』からのもの…]
なぜギル・エヴァンスかと言えば、クロード・ソーンヒル・オーケストラのアレンジャーをやっていました。その頃はもう29歳だったんですね。クロード・ソーンヒルの仲間と言えばはいろいろいて…10代の頃はアーティー・ショウ(Artie Shaw)といっしょにニュー・ヨークに出て行って、グレン・ミラー・オーケストラ(Gelnn Miller And His Orchestra)の初期のレコーディングにピアニストで参加したりしてたんですね。アーティ・ショウはこの番組の冒頭のテーマの"Back Bay Shuffle"をやってます。クロード・ソーンヒルはとても目立たない存在なんですけど、その実、非常にプロ・ミュージシャンにとても影響を与えています。中でもギル・エヴァンスからマイルス・デイヴィス(Miles Davis)に至る流れ。これが「クール・ジャズ」の発祥だと言われていますね。
それで、ソーンヒルと言えば"Snowfall"という曲がいちばん有名なんです。他のなんにも似てない曲。ユニークなんですよね。ソーンヒルは56歳で亡くなってしまいますが…途中、世界大戦で兵隊に行ったりして、復員してからビッグバンドを作って。その後、マキシン・サリヴァン(Maxine Sullivan)という少女を発掘して、歌をプロデュースするんですね。それが大ヒットして、1930年代の歌姫になりますね。最初のヒットが"Loch Lomond"という曲。これはスコットランド民謡をスウィングさせた言うので…当時すごく話題になったり。まぁ賛否両論だったりしたんですけど。これが大ヒットして、マキシン・サリヴァンがとても活躍したという。今回はちょっと変わったアレンジのヴァージョンがあったんで、それをかけてみたいと思います。
Loch Lomond - Maxine Sullivan with The New Friends Of Rhythm
きょうの最後の曲は、僕がいちばん好きな曲。"Moments Like This"。
Moments Like This - Maxine Sullivan