2020.05.17 Inter FM「Daisy Holiday!」より
手作りデイジー🌼#06: Quarantine Holiday
(以下、特記無き場合はH:)
こんばんは、細野晴臣です。いかがお過ごしでしょうか。先週のアウタースペーススペシャル…ちょっと詰め込み過ぎっていうか、張り切り過ぎちゃったのかな。えー、疲れちゃいましたね。ですから、今週からちょっと緩めてね。やって行きたいと思います。で、きょうはですね、ひさっしぶりにレギュラーの岡田崇くんを…まぁ、ゲストというのもヘンですけど。ホントに、ぼちぼちとこういう…ゲストをお呼びしたりできるのかなぁ、と思って。楽しい話ができればいいなと思います。
そして最初の1曲。これぞ「真夜中のランチタイム・ミュージック」。自分の持ってるSP盤を起こしたやつなんでちょっと音が…ノイズが入ってますけど。ミルト・ハース(Milt Herth)というオルガ二ストの曲で"Corn Silk"。これはですね、ユニヴァーサルの原盤テープが燃えた事件があったんですけど、それによって全部焼失してしまった…貴重な音源です。
Corn Silk - Milt Herth Trio
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H:えー、きょうのゲスト…なんて言って、レギュラーなんですけど(笑)
O:(笑)
H:いや、ほんっとひさしぶりだね!
O:ひっさしぶりですね。
H:今年初めてかな?(笑)
O:ラジオは初めてかもしれないですね、収録は。ずっとゲストが…ね。林さん(林立夫)まで続いてたんで。
H:そうなんだよ。その後もゲストの方が決まってたんだけど全部…
O:キャンセルに?
H:そう、キャンセルしちゃって。そこからひとりでやり始めて。
O:お疲れ様です(笑)
H:いや、もう、ホント疲れて…(笑)もうね、ネタが無いから(笑)
O:(笑)
H:これ、毎週はできないね(笑)ですからきょうはね、助かるんですけど。
O:毎週楽しいですけどね、ひとりデイジー。聴いてる分には(笑)
H:最初は楽しい…っていうか、聴いてる人も喜んでくれてそうなんで、ついノッちゃった(笑)
O:(笑)
H:でもね、続かないよ。音楽作ってるのと同じような労力っていうか…(笑)
O:そうですよね。入り込んじゃって。楽しそうに作ってるんだろう、とは思いつつも。こりゃあ大変だろうと思いました(笑)
H:大変大変…それで岡田くん…あ、申し遅れました(笑)
O:あ、岡田崇です。こんばんは。ごぶさたしてます。
H:ホントにごぶさたで…えー、どうですか、この1ヶ月くらい。
O:いやー、きょうひさしぶりに歩いたら…(笑)
H:(笑)
O:コンクリートが硬くて…家の中が絨毯なんで(笑)
H:新鮮な話だね。絨毯の上をずっと1ヶ月もね。
O:ずっとですね。ひっさしぶりにカバンを持って外出たんで、カバンの中にマフラーが入ってたり
H:冬だよ(笑)
O:どれほど歩いてないんだ、っていう(笑)
H:いやー、冬眠みたいなもんだね。
O:そうですね。ホントに引きこもって…スーパー以外は。
H:でも歩いたほうがいいから、きょうはよかったじゃない。
O:(笑)
H:わりと近いような遠いような…
O:まぁ歩いて15分、20分ぐらいですかね。
H:いやぁ、ちょうどいいじゃん。
O:ちょうどいい距離ですね。
H:じゃあほとんど家で…自炊だね。
O:自炊ですね。あとはまぁ、ウーバーイーツだとか、出前館だとか。出前も頼むときありますけど。
H:あんまり人に会ってない、と。
O:会わないですねぇ。
H:まぁみんなそうだね。僕も会ってないしね。
O:電話もね、そんなに最近はしないですもんね。
H:用が無くなっちゃった(笑)なんか、誰にも用が無くなっちゃった。どうしよう(笑)
O:たまに電話すると何事かと思われるんで…(笑)あんまり、電話もしにくいですね(笑)
H:そうそうそう(笑)そういえばそうだね。ドキンとするよ。
O:メールとかで先に予告しておかないと驚かれちゃう。
H:最近そうしてるね、そういえば。「電話してもいいか?」みたいなね(笑)
O:(笑)
H:いやー…じゃあ、なにしてるの?毎日。
O:とはいえですね、仕事してます(笑)
H:あ、仕事してるんだね。
O:あんまり生活変わらないんですよ。僕、もともと引きこもりなんで。かなり。
H:それはそうだな。
O:だから、打ち合わせとかが無くなったりはしてるんで、仕事で外に出ることは無いですけど。ほとんど電話で…うん、電話で済むんだなっていう…(笑)電話とメールでね。
H:そうだね。じゃあもう、これからもそうなるかな?(笑)
O:いや、けっこう変わるんじゃないですか?いろいろ。
H:なんかね、この感じが習慣になりそうだよね。癖になっちゃって。
O:んー、簡単には元に戻れないだろうし。ホントに大きな…
H:そうなんだよ。刷り込まれたね。ある意味では洗脳されちゃったよね。だから…テレビでね、こないだ。「3密は忘れてください」みたいなことを専門家みたいな人が言うわけよ。
O:「忘れてください」、って…(笑)
H:なに言ってるんだ今さら、ってね。
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デンマークの名ギタリスト、ヨルゲン・イングマン(Jørgen Ingmann)による"Samba for Sale"。
Samba for Sale - Jørgen Ingmann
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H:いやー、ひさしぶりに人と話した…ラジオで(笑)
O:ホントに話さないですよね。家の中で話をするぐらいで。
H:まぁね、同居人がいれば話はするだろうし。ひとり暮らしの人も多いからね。
O:ひとり暮らしの人はストレスが相当溜まってるみたいですね。
H:溜まるだろう。やっぱり、ずっと部屋にいるっていうのは無理だよ。でも、外に行っても誰も話さないけどね。
O:別の方向を向きながらしゃべったりね(笑)
H:そうそうそう。んー…そうなんでしょうね。
H:最近は鈴木慶一といっしょに…
O:はい、The Diggersという。
H:あれはどういう関わり方なの?コンピレーション?
O:コンピレーションです。2人でThe Diggersという「発掘ユニット」みたいのを組ませて頂いて。
H:うん。
O:コロムビアレコードのアーカイヴにある未復刻の…CDとかで復刻されていない音源を中心にコンパイルしていくっていう。
H:お、貴重なんだね。ここに持ってきてもらったんだけど…ホントだ、The Diggers。カッコいいなぁ。
O:慶一さんがつけてくれました(笑)
H:「loves Sound Archives」。コロムビア・シンフォネット(Columbia Symphonette)。
O:そのコロムビア・シンフォネットというのは…今回入れてるのは1950年代後半から1970年までの映画音楽に絞って。日本人の、コロムビア専属の楽団が映画音楽をカヴァーしているものに特化して集めてみたんですけど。
H:なるほどね。ほとんどの…有名な、良い音楽をぜんぶカヴァーしてますよね。
O:そうですね。かなり選曲が偏ってますけど…わりとDaisy Holiday向きの選曲になっております(笑)
H:いいよね。ちょろっと聴いたけど、アレンジがすばらしくて。
O:うんうん。
H:じゃあきょうはね、この中から1曲推薦してもらおうかな。
O:じゃあ、"ぼくの伯父さんの休暇(Les Vacances de M. Hulot)"をかけましょうか。ジャック・タチ(Jacques Tati)。
H:いいですね。ぴったりです。では、コロムビア・シンフォネットで"ぼくの伯父さんの休暇"。
ぼくの伯父さんの休暇 - コロムビア・シンフォネット
H:それで…先週もね。先々週か。東くん(東榮一)の話をちょっとしましたけど。
O:ええ。
H:[この番組を]ずっと聴いてた方は知ってる人も多いですよね。
O:そうですね。でも…東さんたぶん、最後に出たの10年ぐらい前なんで。
H:そうかそうか、最近は知らない人も…
O:デラファンタジア(De La FANTASIA)の頃、とかじゃないかな?
H:あー。
O:デラファンタジアっていうイベントを東さんがやってて。細野さんが出て、ヴァン・ダイク(Van Dyke Parks)とか、いろいろ出て。
H:そうだった。
O:その頃に出て以来、たぶん、出ていらっしゃらないので。馴染みじゃない方も多いかもしれませんが。
H:ですね。
O:そもそもの「Daisy World」の…
H:から始まって。で、Daisy Holidayの初期の頃はわりといっぱい出てくれてて。
O:そうですね。
H:しょっちゅう一緒にやってたような。
O:「スーパースター」、「DJイースト」…いろいろ名前を(笑)
H:名前をね(笑)それでコントもね。
O:そうですね(笑)
H:こないだは「Pom Pom 蒸気」をやりましたけど、まだいくつかあるんですよ。
O:たくさんありますよね(笑)
H:やっぱり音楽好きですから、新しい音楽をいろいろ…まぁ岡田くんはね、古い音楽をいっぱい持ってきてくれるけど(笑)
O:古いの担当なんで(笑)
H:うん。東くんは…え、こんなのあるの?みたいな新譜を。
O:そうですね、新しいものを。
H:とくにあの時代ですから、音響的なね。
O:はい。エレクトロニカの頃ですよね。
H:それ以来ですよね。最近はちょっとごぶさたしてたんですけど、訃報があってですね。
O:はい。
H:その前にお見舞いに行ったりはしてたんですけどね。
O:そうですね。
H:残念ながら、と。
O:んー…
H:その追悼の意味ではないんですけど、このコントがすごいおかしいんですよ。
O:(笑)
H:笑っちゃってください(笑)聴きますか?
O:はい(笑)
H:じゃあ、そのコントを…これはね、2001年12月30日。「Daisy World」時代の放送でした。
コント:いらっしゃいやせ~ - 細野晴臣、東榮一ほか
H:どうでした?いまのコント。
O:笑いますね…(笑)
H:これは岡田くん、参加してない?
O:僕、いなかったですね。
H:志賀くん(志賀正博ディレクター)がいるんだよね。あと事務所にいた廣島くん(廣島健吾)。
O:廣島さん。「ケジメの健吾」(笑)
H:そうそうそう(笑)いやー、おもしろかったな。あといくつかあるんで、そのうちまたやります。
O:はい。
H:じゃあこれで…また来てくださいね。
O:はい、わかりました。
H:岡田崇さんでした。
O:おやすみなさーい。
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この曲はですね、先週のアウタースペース特集でかけそびれちゃって。いちばん好きなSF映画の音楽かもしれないです。『遊星からの物体X(The Thing)』。作曲はエンニオ・モリコーネ(Ennio Morricone)ですね。
The Thing: Main Theme - Dominik Hauser
クラフトワーク(Kraftwerk)のフローリアン・シュナイダー(Florian Schneider)さんが73歳で亡くなってしまいました。5月7日にそのニュースが入ってきました。YMOにも影響を与えたり…同時代の空気や音楽を吸ってきた、尊敬すべき音楽集団ですね。これはフローリアンさんが脱退直前に出たリマスター版の"Tour De France"、ヴァージョン3。そのクラフトワークとの思い出は…インスタに書きこもうと思います。
Tour De France Etape 3 - Kraftwerk
(from『Tour De France (2009 Remastered)』)
最後の1曲ですけど、僕がカヴァーしたクラフトワークの曲。"Radio Activity"。これでお別れします。また来週。
Radio Activity - 細野晴臣
(from『Heavenly Music』)