2019.12.01 Inter FM「Daisy Holiday!」より
こんばんは。Daisy Holiday!の時間です。今宵は先月16日にシネスイッチ銀座で行われた、映画『NO SMOKING』のトークショウの模様をお届け致します。ぜひ、お楽しみください。
司会:はい、それでは…お客様にご挨拶をお願いできればと思います。
H:はい、司会の細野晴臣です。
(会場拍手)
H:どうも。いらっしゃい。えー、きょうは司会としてですね、ゲストの方をお招きしてて…佐渡監督(佐渡岳利)です。
佐渡:よろしくお願いします。
(会場拍手)
H:監督はゲストとして司会者に何か質問があるんですか?
佐渡:そうですね。司会の方にいろいろ訊かなきゃいけないなと思ってやって参りましたので…(笑)
H:じゃあ僕はあんまり考えないんで、聞いてるだけで…
佐渡:そうですね、あくまでも司会ということで…
H:じゃあ、お任せします。ええ。
佐渡:はい。ということで、みなさん、本当にきょうはありがとうございました。お忙しい中お越し頂きまして…
(会場拍手)
佐渡:観終わった直後、ですよね。
H:あー、そうか。んー。
佐渡:ということで…『NO SMOKING』。先日、舞台挨拶でご一緒させて頂いたとき、「なかなか観れないから音で聴いたら良い感じだった」、って仰られたんですけど…
H:あー、目を瞑って観てましたね。
佐渡:なかなか、やっぱり…それはまだ変わらないですか?
H:いまだに見てないですよ(笑)
佐渡:(笑)
H:ちゃんと見るのは1年後くらいですかね。
佐渡:(笑)
H:いやー、やっぱり自分が出てるのを好んで見る趣味はないですよ。
佐渡:そんなにダメですか?
H:いや…ホントに自分が好きだったらいいんだけど、そんなに好きじゃないんですよ(笑)
佐渡:(笑)でも、かなりカッコいい…と、僕は思いましたが。
H:なんかね、人々の声が届くと大体そんな感じで。あぁよかったな、と思うんですけど、ホントなの?と思うんですよね。
佐渡:いや…ホントですよね?
H:いやいやいや…(笑)
(会場拍手)
H:あー、ありがとう。別に確かめたいとは思わないですよね、そんなことは(笑)
佐渡:でも…僕も映像の仕事をやる端くれにおりますので、やっぱりカッコいい被写体のときのほうが気持ちも上がるので。今回はたいへん楽しく撮影させて頂きました。
H:あの、僕は世の中をカッコいいか悪いかで判断してないんですよね。好きか嫌いかでやってるもんですから…(笑)
佐渡:(笑)
H:で、自分が好きかって言うと、そうでもないという(笑)
佐渡:きょうですね、僕はノルマを頂いてまして。忘れないうちにそのノルマを達成していいでしょうか?
H:どうぞ。なんでしょう?
佐渡:「好きか嫌いか」というお話で言うと、最近の外国の音楽とか、注目されている好きな音楽とかってありますか?細野さん。
H:そうだな…僕はここに来るまでずっと…きのう、おとといも、ボブ・フォッシ(Bob Fosse)という振り付け師の…
佐渡:はい。
H:振り付けであり、映画監督であり…1986年だったかに60歳で亡くなっちゃったんですけど。そのボブ・フォッシの映像をずっとチェックしてて、自分で編集したりしてね。また。
佐渡:あ、そうなんですか!
H:ええ。映像を並べてね。
佐渡:フォッシの振り付けの。
H:なんでやってるかと言うと…実はあの人、帽子が欠かせないんですよ。ダンスにね。
佐渡:あー…
H:丸いハットですけど。あの人若くして、ちょっと薄くなっちゃったんですね。
佐渡:あ、頭髪が…
H:自分で言ってるんですけど、それで帽子を使うようになった、と。
佐渡:うんうん。
H:で、その帽子の使い方が素晴らしくて。ハット・トリックって言うんですけど。いまこの帽子じゃできないんですけど(笑)練習をしたい、と。思ってるんですよ。
H:いや、作るわけじゃないけど(笑)ちょっとしたことですよ。そういう小技が好きですから(笑)
佐渡:(笑)
H:で、この映画にも出てきましたけど、いろんな小技は父親から教わった、と。その元ネタは、大体はローレル&ハーディ(Laurel and Hardy)っていう2人組の…1920年代からやってる、一世を風靡したね、コメディ映画の2人なんですけど。『僕たちのラストステージ(Stan & Ollie)』という映画が…去年だったかな、今年だったかな。封切りされて、それを観に行ったりしてて。
佐渡:あ、その方々が主人公になった?
H:その人たち[本人]はもういないんですけど、役者さんがやってる[=演じてる]んです。それは素晴らしかったです。
佐渡:ほお…
H:とくにスタン・ローレル(Stan Laurel)っていう[役の]、細長い顔の人の演技がおもしろくて。その人も帽子の技をやったり…ちょっとこれ、マイクを置きますけど、こういう…
佐渡:はいはい、おなじみの。
H:こういう技をね、その人が始めて。当時、1920年、30年代ぐらいの若者たちはそれを見て影響されたんだと思うんですよ。その中の1人がうちの父親で、それを子どものころの僕に教えてくれた、という。最近そういうことがだんだんわかってきたっていうね(笑)それまではわかんなかったんです。
佐渡:(笑)
H:まぁ、その流れでボブ・フォッシの帽子のトリックとか。その辺にすごい興味があって。
佐渡:ちょっとそのつないだの[映像]をね、ぜひ拝見したいですね。
H:今度やると思いますよ。ちょっとだけね(笑)すごく難しいです、非常に難しい。
佐渡:ホントですか?
H:まず、まん丸の帽子が売ってないんですよ。俗に言う山高帽、と言うんでしょうかね。黒い…時々売ってるのはちょっと細長いんですよね。楕円形なんですよ。
佐渡:あ、上から見たときに?
H:でも、まん丸じゃないとできないんですね。それを探すところからいま、始まってます(笑)
佐渡:始まってるんですか(笑)じゃあ、そういう帽子を売ってるところをご存知の方がいらっしゃいましたら…
H:そうですね。なかなか売ってないんで、探したいですね。ええ。
佐渡:そうですか。いやー、楽しみですね。
Pantomime - 細野晴臣
(from 『細野晴臣アーカイヴス Vol.1』)
佐渡:映画の中で、細野さんがディレクションされたフランクフルトの、影の…「shadow walk in Frankfurt」ですか?あれはけっこうね、みなさん、カッコよくなかったですか?素晴らしい映像作品だな、と思いましたけど。
H:ぜひともあれはね、入れて欲しかったんで、お願いしちゃったんですけど。あれは3年か4年前に、オノ・ヨーコさんとアイスランドでパフォーマンスやったときの帰りに、小山田くん(小山田圭吾)とトランジットでフランクフルトに。4,5時間あったのかな?待ち合わせというか…飛行機待ちか。
佐渡:あ、そうなんですか!
H:で、街に出て…なんにもすることがないんで(笑)良い街だったんですよ、フランクフルトっていうのはね。川が流れてて橋があって。で、やることがないんでスマホで撮ってたら、自分の影が見えて。車が走ってて。
佐渡:ほお…
H:たまたま撮ってたのを後で見たらおもしろかったんで、ちょっとそれを加工したんですね。編集して。
佐渡:すごく良いですよね、腕前が。
H:だから、僕は音楽を辞めて映像をやりたい(笑)
佐渡:(笑)いまからね、映画監督として…いかがですか?
H:やりたいです、弟子にしてください。
佐渡:(笑)僕はもう…僕が弟子入りして、小僧としてがんばりますんで。
H:いやいやホントに…何も知らないから。
佐渡:それで…先ほどのノルマの続きで、いろんな国に行ってライヴをなさっておられるわけですが、他に行ってみたい国っていうのはあるんですか?外国で。
H:それは、ライヴに関係無ければいろいろありますね(笑)仕事で行きたいとはあんまり思えないんですけど…
佐渡:(笑)
H:たとえば最近、1940年代ぐらいのポーランド映画、ハンガリー映画…東ヨーロッパの映画が好きなんですけど。最近でも良い映画が、時々出てくるんですよね。ワルシャワとかね、行ってみたいんですけどね。
佐渡:んー。
H:知り合いですけど、青葉市子っていう女性シンガーソングライター…彼女がこの間行ってきた、と。ちょっと聞いていいなぁ、と思ったんですよね。
H:ええ。行きたいですね。
佐渡:じゃあ、またそこでもね、映像を撮られて…拝見したいですね。
H:や、自分の映像は撮られたくないですよ(笑)
佐渡:影だったらいいですか?
H:自分が撮りたいね。
佐渡:(笑)
H:撮られたくはないですね(笑)自分もそうでしょう?だって。撮るほうでしょ?
佐渡:あー、そうですね。たしかにそうかもしれない(笑)
H:自分が撮られたらどうですか?見ますか?
佐渡:時々、映り込むときがありますよね?ああいうとき、やっぱりブルーになりますね(笑)
H:映り込むぐらいしょうがないでしょう(笑)
佐渡:でもやっぱり、僕とかは裏方なので…
H:裏方意識だね、それは。僕だって裏方ですよ。
佐渡:なにを仰いますことやら…(笑)
H:僕だって、裏でこそこそやるのが好きなんですよ(笑)ホントに表がキラい…ここは表ですよね。裏に行きたいぐらい…
佐渡:そんな、世界の…アメリカやイギリスの方々をあんなに盛り上げていらっしゃったのに(笑)
H:まぁ、あの…なんだろうね、タヌキと言われる所以ですかね。人々が望む姿に豹変しちゃうっていう…
佐渡:あ、あれは変身されてるんですか!(笑)
H:あれはタヌキなんですよ(笑)
佐渡:(笑)でも、ホントに…僕も実際にあそこで撮影しているわけですが、ホントすごいんですよ、グルーヴ…みんなが身体を揺らしてノリにノってる感じが。
H:それがね、やってるとわからないんだよね。お客さんの表情まではわからないんですよ。暗いし。いまもあんまりわかんないですけど。
佐渡:そうですね、たしかに。
H:逆に言うと、観てみたかったですよね。客先の中でね。
佐渡:でも、ホントに…僕もいろいろな撮影をさせて頂くんですけども、いろんなアーティストの。日本でも外国でもやらせて頂くんですけど。
H:Perfumeとかね。
佐渡:そうですね。なかなか「きたー!」っていう感じになるときってそんなにないんですけど、細野さんのときは「きたー!」っていう感じですね。
H:なりましたか?
佐渡:なりました!
H:それは…なんか、良かったな。
佐渡:アドレナリンがすごい…[劇中で細野さんのライヴを評して]「ドーパミン・ボタン」って言ってる、ね、お客さんがいらっしゃいましたけど、上手いこと言ってるな、と思って。
H:でもあれは…誰も予測してなかったですね。
佐渡:はいはい。
H:僕自身がすごい怯えてて、出る前…(笑)ブーイングの嵐だろう、と。大体そういう気持ちでいつも出ていくんですよ。きょうもそうですけど。
佐渡:(笑)
H:座布団飛んできたり…
佐渡:「帰れ!」とか言われたり…
H:そういう経験もあるんですよ、でも。
佐渡:そうですか!
H:ジェームス・ブラウン(James Brown)の前座で出たときに、座布団が飛んできたんですね。座布団じゃないな、あれは。なんだろう?(笑)
佐渡:(笑)
H:ヤジですね、「帰れ!」って。
佐渡:(笑)
H:なんか、邪魔者だったんですよ。僕はね。すごい落ち込みましたけど。
佐渡:でもね、いまはそれを跳ねのけて世界に羽ばたいてらっしゃる…
H:ええ…まぁありがたいことにね、幸いですよ。ホントに。
No Smoking - 細野晴臣
佐渡:この『NO SMOKING』、タバコが…「No Smoking」っていうテーマですか?
H:思いつきで…「タイトルなにがいい?」なんて訊かれて、パッと思いついたんですよね。その頃、僕ね、「No Smoking」に悩んでたんですよ(笑)街中…とくに銀座はね、キツいですね。
佐渡:そうですか(笑)
H:喫煙所の在り処って大体僕はチェックしてるんですけど、まぁ、[銀座にも]1か所あるんですよね。昔はあちこちにあったんですよ。AppleStoreの前で吸えたしね。で、いまはもう、どこに行っても…路地に行くと、ベタベタ貼ってあるんですね。「No Smoking」と。
佐渡:ありますよね。
H:ここはいいだろ!って思うところほど貼ってあるんですよ。誰にも迷惑かけないだろう、と思うんだけど。だから、そういう悩みを抱えている人間の発想です。『NO SMOKING』って(笑)
佐渡:タバコをお吸いになる方はね、共感できるかもしれませんね。
H:吸わない人には反感を買うでしょうね。「なにが『NO SMOKING』だ!」みたいな。
佐渡:(笑)
H:まぁ、画面の中ではいっぱい吸ってますが(笑)
佐渡:そうなんですけどね(笑)でもね、世界中いろんなところで…世界中で吸われてますけど、どうですか?世界で吸われた気分は。
H:いま紛争中の香港はすごく吸いやすい街で…(笑)
佐渡:そうですか(笑)
H:ブロックごとに大きな灰皿が置いてあるんですよ。信号の辺りにね。まぁ吸う人が多いんですね、あっちは。で、ロンドンも吸いやすいですね。
佐渡:あー、そうですか。
H:ロンドン、ニュー・ヨーク辺りでは外で吸うんですけど。建物の中ではダメなんですね。どこでも。で、一度僕、どこだっけな…あ、レイキャビク(アイスランド)のホテルに泊まって。オノ・ヨーコさんのパフォーマンスに付き合ったとき。
佐渡:はいはい。
H:もう、我慢できなくて。吸っちゃったんですよ、部屋で(笑)300ドル取られまして…(笑)
佐渡:(笑)
H:厳しいんですよ。
佐渡:けっこう怒られたんですか?
H:怒られます。だから絶対部屋では吸えないです。
佐渡:じゃあそういうね、みなさんも気をつけて…
H:気をつけてください。スモーカーの人は気をつけて生きていかないと…大変ですよ。
佐渡:ちなみにこのポスター…メインビジュアル、これもテイ・トウワさんと五木田さん(五木田智央)。素晴らしい方々にやって頂いたタバコのビジュアルですが、いかがですか?
H:なんか、あの…ホッとしますね(笑)煙をくゆらせる図柄って、なかなか最近見ないですからね。
佐渡:そうですね。
H:昔はよくありましたよね。巷では普通の出来事ですから。それがなくなっちゃった。だから、倉本聰さんも言ってましたけど、「こういう世の中じゃなければタバコはやめてた」と。やっぱり、身体に良いわけじゃない。かと言って、騒ぐほどひどいわけではない。
佐渡:はい。
H:でも、一応歳取ったらやめるだろう、と。でも、こういう世の中だから吸い続けてるんだ、と倉本さんが仰ってたんですね(笑)
佐渡:(笑)
H:僕もそうかもしれないですね。なんだろうな、煙を吸わなくても、肺に入れなくても、「煙を出す」っていうのはなかなかいいんですよね。
Yellow Magic Carnival - Van Dyke Parks
(from『細野晴臣トリビュート・アルバム - Tribute to Haruomi Hosono』)
佐渡:今回ね、映画の中にいろんな…ゲストっていうか、たまたま?ドキュメントなんでね、撮影してたら映った方々がいろいろ出ていらっしゃいますけど。
H:はい。
佐渡:例えばね、ヴァン・ダイク・パークス(Van Dyke Parks)さんとか。
H:うん。
佐渡:ああいった仲間と会ったりするときっていうのは、どんな感じになるものなんですか?
H:いy、ヴァン・ダイク・パークスさんとは数年に一度会ってたんですよ。今までも。はっぴいえんどの頃ですから、20代からずーっと、今に至るまでの知り合いですよ。遠いところにいる人ほど…まぁ、これは音楽家の性なんでしょうけど、音楽を聴いているとすごく親しみ深いんですよね。会わなくてもね。
佐渡:あー、「近い」感じがすごくなさるという…
H:親戚みたいな気持ちなんですよ。まぁ、ヴァン・ダイク・パークスという人は僕にとっては「先生」に近いですけどね。マエストロと呼んでますけど。
佐渡:細野さんが外国に行かれたときに、海外の方にすごくお知り合いがいらっしゃるので、僕もすごいなぁ、と、yっぱリ思うんですが。すごいですよね、交友関係が。
H:いやいや!誰も知らないですよ(笑)
佐渡:ホントですか?(笑)
H:ホンットに、引きこもりですから、僕(笑)あんまりよく知らないですよ。だから、音楽を通して向こうからコンタクトしてきた人とかは、何人かはいますよ、もちろん。マック・デマルコ(Mac DeMarco)とか。でも、誰でも知ってるっていうわけじゃないから…(笑)ホントに少ないですね。
佐渡:でも、楽屋の挨拶とかホントにいろんな方が…
H:来てくれましたね、ありがたいことに。うれしいですね、それは。例えばね、亡くなってしまいましたけど、ドクター・ジョン(Dr. John)が東京のBLUE NOTEによく出てたんですけど、来るたんびに、これは挨拶に行かないと、っていう。そういう気持ちになるんですよね。
佐渡:うんうん。
H:だから、そういう人っていうのは、5年に一度会うか会わないか…ですけど、とても親しみを感じる、というか。逆に、近い人ほど遠いっていうか(笑)
佐渡:(笑)やっぱり音楽でのつながりっていうのはすごく…心のつながりっていう感じになるんですかね?
H:それはありますよ。音楽によって、DNAがおんなじだな、とか感じるんですよ。同じものを聴いて育ってきたんだろうな、とかね。聴けばわかっちゃうんですね、なんでも。そういうことが。
佐渡:あ、その方の素性が?
H:そうです。ええ。まぁ、そんな偉そうなことを言える立場じゃないですけどね(笑)向こうがそう思ってくれたらうれしいですな。
佐渡:50周年ということで、ここから先ってどういうことをされるんですか?
H:ここから先?(笑)ここから先はもう…あんまりないですよ(笑)
佐渡:ないんですか?(笑)
H:いや、今年はもう、参っちゃいましたね。なんで50年生きてるとこうなるんだろう、っていう。意外と50周年の人、多いんですよ。陽水(井上陽水)とかね。
佐渡:あ、そうですか。
H:みんな、なんかね、多いんですよ。でもみんな、自分から50周年だぜ、って言わないんですよ。
佐渡:あ、確かにそうかもしれない…
H:僕も言ってないんですよ?「よく自分で言うな?」なんて言われたんですけど、言ってないですよ。巻き込まれてるだけですから。
佐渡:(笑)
H:だから、人間は長生きしてると…もう長生きの部類なんでしょうけど、この時代ではね。70、80ぐらいまでは現役ですよね。で、自然と50年、60年経っちゃうわけでしょ?で、周りの方がね、それをおもしろがって喜んでくれるなら、まぁ、それは受け入れていこうかな、と。思うんですけど、ちょっと大変だったんですよね(笑)
佐渡:(笑)
H:重なっちゃうから。いろんなことが。この映画もその一つです。
佐渡:(笑)
H:まぁ、撮られてるだけですけど、すごい神経使いますから。
佐渡:あ、そうですか、やっぱり。お邪魔でしたか?
H:そうです、邪魔です(笑)
佐渡:(笑)
H:いっつも狙ってるわけでしょ?で、タバコ吸ってるのもホントは撮られたくないですよ。
佐渡:そうですよね(笑)
H:でも撮っちゃうんでしょ?
佐渡:撮っちゃうんですよ(笑)
H:だからこういう映画になっちゃった、っていう。
佐渡:(笑)でもね、ホントに細野さんの50年が凝縮されてるっていうか。もちろん全部ではないんですけど。幼い頃の細野さんの姿も収まっていて…
H:50年どころじゃないですね、小っちゃい頃だと。70年ですね(笑)
佐渡:小っちゃい頃の少年・細野さんのかわいさがけっこう話題になってますけど。
H:あの…わかんないんですよ、自分のことは…はい(笑)
佐渡:(笑)
H:自分がかわいいなんて、誰が思う?(笑)
佐渡:あれ?思わないですか?(笑)
H:思わないよ(笑)
佐渡:でも、写真をみなさん…展覧会(「細野観光」)でもけっこう出てましたけど、女性なんか特に、かわいい!って仰ってましたけど。
H:まぁ、みんな心がやさしいんでしょうね。
佐渡:(笑)
H:例えば、パンダとかコアラとか、よく見るとかわいくないけど、まぁみんなかわいいかわいい、と。
佐渡:(笑)
H:だから、パンダの気持ちはいちばんわかりますよ(笑)
佐渡:かわいいからじゃないんですか?本当に。
H:いやいや、そうじゃないですよ。かわいくないですよ。
佐渡:ホントですか?(笑)
H:けっこう怖い目をしてますからね。
佐渡:(笑)
H:僕、ニュー・ヨークのライヴの前に、そのことを英語で言ったんですよね。なんでみんな[ライヴを観に]来るのか謎だったんで、自分はパンダなんじゃないかな、と。最近パンダのような気持ちになってる、って英語で言ったんですよ。
佐渡:あ、仰ってましたね。
H:ウケてたかな?
佐渡:ウケてましたよ(笑)
H:あ、そうか。アメリカでも「パンダ」って言ったら[ニュアンスも含めて]通じるんですね。よかった(笑)
佐渡:お話はすごくウケてらっしゃいましたね。
H:あ、そうですか。よかった…
(スタッフ:そろそろお時間…)
H:あ、もう時間…
司会:最後に、おひと言ずつお願いできればと思います。
H:えー!それがいちばん難しいんだよな。ひと言…
佐渡:じゃあ、司会の細野さんから。
H:司会として…この時間、映画とかコンサートはこの時間、お腹空きます。僕はこれで解放されるので、ご飯を食べに行きます(笑)みなさんはどうするんだろう。どうですか?
佐渡:あの、ホントにね…細野さんは僕も大好きで。大好きな細野さんを、みなさんにも大好きになって頂きたいな、と思って作りましたので。まぁ、来てくださってるから元々大好きだと思うんですけど、もっと好きになって…
H:嫌われたくはないですけどね。
佐渡:(笑)ぜひお楽しみ頂ければ、と思います。
司会:ありがとうございます。それでは本日のトークショウ終了致します。細野晴臣さんと佐渡岳利監督でした。
(会場拍手)