2019.09.15 Inter FM「Daisy Holiday!」より
H:こんばんは。細野晴臣です。さぁ!先週の続きを…キーポン(KEEPON)くん。
キ:こんばんは。
H:こんばんは(笑)岡田くん。
O:こんばんは。
H:よろしくね。
O:よろしくお願いします。
キ:はい、よろしくお願いします。
H:どこまでやったかな。えーとね…ニュー・オーリンズね。
キ:はい。ニュー・オーリンズですね。
H:ニュー・オーリンズのどこまで知ってるの?
キ:ニュー・オーリンズは…探り出したら、そもそものマルディ・グラ(Mardi gras)だったり、そういう民族音楽的なほうまで行っちゃうと思うんですけど…
H:行っちゃうと思うけど、まだ行ってないの?
キ:まだ行けてないですね。それはもう、自分のお小遣いの問題だったりするんですけど…
O:レコードが買えない?
H:あー、そっか。
キ:でも、いまの時代、けっこうYouTubeで探しちゃえばなんでも音源出てきちゃうんで。
H:そうでしょ?
O:いいなぁ…
キ:で、最近はカリプソとか…ものすごい昔の音源とか聴いて、ものすごい楽しんでますね。
H:いいよね。それもう[自分と]おんなじだな、まったく…(笑)あのね、[自分が]大瀧詠一と[共に]ニュー・オーリンズの音楽に目覚めた頃っていうのは、もう23,24歳ぐらいかな。
キ:あ、そのきっかけはなんだったんですか?
H:きっかけはやっぱりね、ドクター・ジョン(Dr. John)の『Gumbo』。
キ:あー…それは僕もおんなじです。あ、でも僕は『泰安洋行』ですね。
H:あら…そっか(笑)そのドクター・ジョンの手前に、ザ・バンド(The Band)とかね。岡田くんも聴いてた?そういうの。
O:聴いてました。
H:ね。『Cahoots』とか。アラン・トゥーサン(Allen Toussaint)っていう名前が出てきて…リトル・フィート(Little Feat)もやってたね。
キ:はい。
H:そこら辺で、アラン・トゥーサンっていう人は謎の大人物だろう…ということで(笑)それで、その次にドクター・ジョンが来て。
キ:やっぱりドクター・ジョンはものすごい…「あ、これがニュー・オーリンズか!」って思いましたね。
H:あの『Gumbo』っていうのはすごい…プロデュースが良いんだよ。放っておくとああいうことはやらない人だから。
キ:コンセプトがハッキリしてて。で、長年のけっこう…ニュー・オーリンズっていう言葉はいろんなところで…細野さんの楽曲だったり、大瀧さんの曲とかライナーとかで聞いてたんですけど。
H:うん。
キ:いまいち、どれがニュー・オーリンズなのか、っていうのがちゃんと…まあ、いまだにわかりきれてないところがあるんですけど。結局、自分で理解したのは[ニュー・オーリンズとは]「フィーリング」なんだなって思いました。
H:その通りだ(笑)
H:まあでも、具体的に…ニュー・オーリンズのピアノとかね、スタイルはあるけど、そこら辺は追求する余地があるよね。
キ:そうですね。けっこうピアノは…自分でももう、ものすごいハマりましたね。
H:ピアノも弾くし、ぜんぶやってるわけだから…いったいどれが好きなの?(笑)
キ:えー…僕、意外と好きな楽器が無いんですよ(笑)
H:無いんだ(笑)
キ:だから、結局…自分でも曲をミックスしたりとか、特にこだわってやってる機材が無いので…俯瞰して曲を聴けるのかな、なんて思ったりしてますね。
H:なるほど。そういう点でも大瀧くんタイプだよね。僕なんかはベースを弾いて仕事ができたから、それを見てて大瀧くんが「いいなぁ」とか言ってたんだよね(笑)
キ:(笑)
H:生ギターは弾くけどね。それで仕事があるわけじゃないから…(笑)だからスタジオミュージシャンにはなれなかった、っていうね。まあでも、そういうのを全体的にクリエイトしていくタイプ、っていうのもおんなじだよね。
キ:わりと…これ、細野さんにお話ししたかったんですけど。僕は音楽を作るにあたっていちばん重要なのが、音にするまでの工程がいちばん楽しいんですよね。作ってて。
H:そう、その通りだ(笑)
キ:けっこう、音を具現化することがしやすい時代になってきたじゃないですか、今。
H:うんうん。
キ:で、ハッキリ言って自分じゃなくても出来るような時代だな、って思うんですよ。サウンドループだったり、サンプリングの文化もものすごい発達してきて。
H:エディットの時代だもんね。んー。
キ:でも、僕はそこまでテクニックがあるわけではないんで、音にするまで…曲を作ってるときも詞が先とか曲が先とかじゃなくて、イメージなんですよ。
H:イメージね。それ大事だよ。
キ:それが楽しいんですよ。
H:わかるよ。おんなじだから(笑)
キ:うれしいです(笑)
O:(笑)
キ:同じ世代の人と音楽の話とかしてると、どうしても「技」のほうに目が行きがちなんで…
H:そうそうそう。
キ:ホントに、夢見てるみたいな感覚とおんなじなんですよ。音楽を作るときは。
H:あれ、なんか同じようなこと言ってるじゃん(笑)
O:(笑)
キ:え、そうでした?
H:そうなんだよ(笑)夢を思い出す感じで作ってるから…
キ:あー、そうなんですか?やっぱり。
H:そのイメージに掻き立てられないと、大したものができないんだよな。んー。
キ:わかりやすく言うと、映画っていうより4Dですよね。4D映画みたいな感じで、頭の中に浮かべて。で、音だけじゃなくて…自分の中では匂いだったり視覚だったり、そういうものも含めてイメージして。それを音楽で表現する、って感じなんで。
H:これはどう思う?岡田くん。
O:(笑)
H:天才的な発言だと思わない?(笑)
キ:いやいや…(笑)
O:すげぇ…(笑)
H:岡田くんはどうやって作ってた?最近作ってる?(笑)
O:ぜんぜんやってないですね(笑)まあでも、イメージですよね。インストだったんで。
H:岡田くんも、ほら、楽器が特にどれが好きとか、そういうタイプじゃないじゃん。
O:そうですね。打ち込みが…(笑)
H:打ち込みだよね。だから似たようなもんだよね。
キ:似てますね。
O:そうですね(笑)
H:やっぱりイメージは大事だね。
O:イマジネーションですね。
H:だから、なにが好きか、っていうのも大事だよ。だからね。「ニュー・オーリンズ大好き!」っていう気持ち、すごく僕は強かったから。まあ大瀧くんもそうだしね。おんなじようにカリプソの…だから…これはなんだ?おんなじ、おんなじだよ(笑)
キ:(笑)
H:んー…じゃあさ、なんかキーポンくん、かけて、自分の。
キ:あ、じゃあ自分の曲で。いまちょっとカリプソの話題が出たんで、カリプソを意識した…カリプソをイメージしたナンバーですね。
H:はい。
キ:じゃあ、2曲目の"みんな夢の中"という曲をおかけしたいと思います。
みんな夢の中 - KEEPON
(from『真夜中ボーイ』)
H:なるほどね。これは…カリプソの気持ちなんだろうけど、やっぱりニュー・オーリンズのカルチャーの中に鳴ってるね、音が。
キ:そうですね。今回はニュー・オーリンズをコンセプトにしつつも…ニュー・オーリンズを基点にいろんなところを旅してる、みたいな。そういうイメージで録ってて。
H:なるほどね。
キ:それこそ、ニュー・オーリンズの街並みとかを勝手に妄想したりするんですよ。
H:[現地には]行かないほうがいいね、じゃあ。
キ:そうですね(笑)
O:(笑)
キ:それはやっぱり、マーティン・デニー(Martin Denny)聴いてて、実際にジャングルとか行っちゃうとつまんなそうですもんね。
H:大変だよね(笑)
キ:蒸し暑い部屋の中で聴いてるのがいちばんいいな、ってこないだ気付いたんです。
H:その通り。四畳半で作ったからね、僕も。
キ:(笑)
H:じゃあその、さっきも言ってたけど、ニュー・オーリンズの骨組みで作ったアルバムが『真夜中ボーイ』でしょ。
キ:そうです。
H:で、作っちゃうと、そこから先に行きたくなるわけでしょ。っていうことはいま、なにを考えてるわけ?
キ:いま考えてるのがね、テクノです。
H:あれ?(笑)
O:ええ…(笑)
キ:テクノのことばっかり考えてたら段々髪が短くなってきて…
H:そんなに短くはないけどね(笑)
キ:そうですかね?前まではビートルズっぽい髪にしてたんですけど。
H:そうか。テクノね…テクノのやり方は知ってるんだね(笑)
キ:そうですね。それこそ、そもそも、元々…テクノっていうジャンル自体にはものすごい…こう言っちゃなんですけど、偏見というか、がありまして…
H:(笑)
キ:シンセサイザーだったり打ち込みを駆使した音楽って、僕の世代では巷で流れてた音楽なんですよ。
H:だろうな。んー。
キ:で、そういうものに対してビートルズだったり、先週かけたレスリー・ゴーア(Lesley Gore)だったり。いわゆる、人間が作ってるんだなぁ、っていう、アナログな音楽が好きだったんで。そもそもテクノっていう音楽ジャンル自体、まったく避けてきたんですよ。
H:じゃあ、YMOは聴いてないわけだね。
キ:YMOは今年の夏、聴きまくって…
H:あ、ホント?聴いたんだ(笑)
キ:はい。あ、でも、はっぴいえんどに出会ったとき、細野さんがYMOの一員っていうことはもちろんわかってたんですけど。
H:うんうん。
キ:その、なんでしょう…それでもテクノってあんまり気にかけたことがなくて。で、それで最近知りはじめたんですけど。
H:んー。
キ:逆に、テクノってものすごい人間的だな、って感じるようになってきちゃって。
H:(笑)いいねぇ、包容力があるっていうか…大人だよね(笑)
O:(笑)
キ:僕が聴く曲ってだいたい、グル―ヴ感があったり、生身の人間のソウルフルな感じだったリ。人間的な温かさがある曲を好んで聴いてるんですけど。テクノってまったくそういう…自分の人間的な奥底に響いてこないんですよね。また違う快感があるんですよ、テクノの打ち込みのビート。
H:違う快感ね。そらそうだ。
キ:それがおもしろいな、って気付いたのが…たまたま僕、ものすごい頭痛持ちで。すごい頭痛がひどいときにテクノを聴いたんですよ。
H:んー。
キ:そしたら、なんとなく治っていったんですよ。
O:(笑)
H:あ、そう(笑)
キ:やっぱり、いつもとは違う部分が刺激されてるのかな、と思って。
H:それはあるかもね。
キ:なんかあの…風邪引いたときとかにスライ(Sly & The Family Stone)とかジェームス・ブラウン(James Brown)とか聴いてると、鬱陶しくなってきちゃうんですよ(笑)
H:んー(笑)
キ:気にかけないで、っていうか、無理をしてグル―ヴを聴かされるのとはまた違うフィールドとして、テクノをやってみたいな、と思ってるんですよ。
H:なるほどね。テクノは脳の音楽だから…脳のイマジネーションだけの世界で作ってきたんだよね。
キ:はい。
H:それまで僕は肉体的にやってきたのに、そっちの快感に目覚めちゃったでしょ。そういう時期なんじゃないの?いま。
キ:あ、ホントですか?
H:(笑)いやー、もう、自由だから。
キ:そうですよね。
H:さっきも言ったけど、これから長いからね。15歳でしょ?まだ。で、だいたい音楽の円熟期っていうのが30歳ぐらいなんだよね。
キ:あー、そうなんですか。
H:あと15年もあるんだよ(笑)
キ:半分。半分切りました(笑)
H:だから、それまでに飽きないようにしないと(笑)
キ:でも、逆に音楽以外に興味があることってなかなか少ないんで、それはないかな、って一応…そう願ってますね。今は。
H:まあ、そうね…今は掘り起こすとなんでも聴ける時代で、飽きることはないと思うけどね。
キ:んー、その、アーカイヴを一気に、好きな様に見渡せちゃう、っていうのがちょっと罪悪感があるんですよね。でも、慣れちゃえば平気なんですかね。
H:あのね、大瀧くんの話がよく出てくるけど、今回。彼とはそういう話をいっぱいするわけだよ、当時。「こんなシングル盤見つけた」とかね。ニュー・オーリンズの元になるような…例えばプロフェッサー・ロングヘア(Professor Longhair)まで辿りついたり。そこから先はニュー・オーリンズってあんまりなかったけど(笑)最近、みんな亡くなっちゃったはない。デイヴ・バーソロミュー(Dave Bartholomew)、アラン・トゥーサンも亡くなって、ドクター・ジョンもいなくなって。ついこないだはアート・ネヴィル(Art Neville)が亡くなって。みんないなくなっちゃった。いなくなっちゃったっていうことは、後を継ぐ人が必要だな、って思ってるわけよ。だから、ニュー・オーリンズにここで飽きちゃダメなんだよね(笑)
キ:(笑)
H:まだまだ深いから。
キ:でもなんか、ニュー・オーリンズの音楽に出会ったときから思ってるんですけど、この音楽はたぶん、一生付き合っていく音楽なんだな、って思うくらい衝撃がありました。
H:もう一生付き合ってるもん、ぼくも。うん。ああいう、ドクター・ジョンのようなピアノ、これから練習して弾きたい、なんて思ってるんだよ。いまね。弾けないけど(笑)誰もああいう風に弾けないから。そういうことをやってかないと、途切れちゃうでしょ?
キ:そうですね。
H:そういう話をする仲間がいないんだよ、最近。みんな死んじゃったから(笑)だから…若いから、死なないからよかったよね。
キ:(笑)
O:(笑)
H:こっちの番だけどね、そろそろね。
キ:いやいや…
H:まあ、楽しみ、っちゃあ楽しみだよな。んー。
キ:はい。
H:なんか、じゃあ、聴かせてもらおうかな。
キ:じゃあ、持ってきたものから…どうしようかな。じゃあ、これは昔から大好きな曲なんで、スパンキー・アンド・アワ・ギャング(Spanky & Our Gang)っていう…
H:あー。懐かしい。
キ:ひと言でいうと…粋なコーラス・グループなんですけど、その"Like To Get To Know"という曲を聴きたいです。
H:あ、いっけね、破れちゃった…
キ:あ、ぜんぜん大丈夫です。
H:汚ったねぇ…(笑)
キ:中古なんで(笑)
Like To Get To Know - Spanky & Our Gang
(from『Like To Get To Know』)
H:まあ、ソフトロックと呼ばれてたやつだよね。そういうのもよく聴いてるんだ、じゃあ。
キ:ソフトロックは、わりとそうですね、東海岸もののほうが好きですね。
H:おお…(笑)
O:(笑)
キ:っていうこだわりもあったり…(笑)
H:こういうのは生意気っていうのかね(笑)
キ:そうなんですかね?
H:いやいや…(笑)いや、そうかもしれないなぁ。なるほどね。
O:(笑)
H:えーと、これから誰か、会いたいと思う人いる?
キ:会いたい人ですか…うーん、そのドクター・ジョンが死んじゃったんですよね。
H:ね。そういう人たちはもういないから。
キ:『真夜中ボーイ』の…先週かかった"ニューオーリンズにいこう"っていう曲は、まだドクター・ジョンが生きてるときに作ったんで。
H:あー、そうね。んー。
キ:で、普通に親しみをこめて作った感じだったんですけど、いよいよ発売のプレスをしてる間ぐらいにお亡くなりになったということを聞いて…
H:なるほど。
キ:発売するの大丈夫なのかな、って、ちょっとためらっちゃったんですよ。そんなことがわかってるなら、もうちょっと、軽い気持ちで作らなかったのな、って。
H:まあ、しょうがないよね。それは。
キ:あと…死ぬまでに一度会いたいのはブライアン・ウィルソン。
H:死ぬまでに、っていうのは相手[ブライアン]がね(笑)
O:(笑)
キ:いやいや!僕がです(笑)
H:ホントかね?(笑)ブライアン・ウィルソンね。僕は一度、お会いしたね。
キ:あー、ホントですか。
H:まあ、でも、どうなんだかね。お歳だよね。んー。日本ではどうなの?
キ:日本。いやぁ…
H:僕がおすすめするのは山下達郎だね。
キ:(笑)
H:会いに行ったほうがいいと思うな。
キ:会いに、行けるんですかね?
H:いや、紹介するよ。
キ:ホントですか!
H:うんうん。
キ:いや、だったらぜひ…もう、本当に…えー…
H:なんか、会っておいた方がいいと思うね。
O:(笑)
H:他に、僕はね、思い当たんないんだよな。んー。
キ:いや、もう、きょう細野さんにお会いして、ラジオにも出させて頂いて。「辿りついちゃった感」が満載なんですけど…
H:いやいやいや(笑)こっからだから。
キ:こっからですか。達郎さん…[「サンデー・ソングブック」に]ハガキも相当書いてたんですけど、1回も読まれたことがないんですよね。
H:ホント?あれ?(笑)
O:(笑)
H:なんでかなぁ(笑)
キ:それこそ『Smile』のジャケを完璧にトレースして、"Heroes and Villains"をリクエストしたのが思い出なんですけど…
H:取り上げられなかった?
キ:はい。
H:悔しかったんじゃないかな(笑)
キ:(笑)
H:あー、そう。でも、おもしろいと思うよ。会うと。たぶん、山下くんのほうがしゃべると思うけど。
キ:(笑)
H:負けずにしゃべるね?
キ:しゃべります。大丈夫です。MCも止まんなくなっちゃうんですよね。
H:(笑)
キ:普段学校とかで話せる相手がなかなかいなかったんで…
H:あー、やっぱりね。
キ:その分がMCになった途端、バァーって出ちゃうんですよ。
H:いやいやいや…岡田くん、どうする?これ。今後。
O:どうしましょうかね(笑)
H:どうやって面倒見てくの?
O:いやいやいや…(笑)
H:あの、新曲、何曲か僕がミックスをね。やらせてもらうかもしれない、っていうね。
O:そうですね。2曲ほど。
H:それってどこで、いつ出るの?
O:細野さんのミックスができ次第…(笑)
H:あ、そうなんだ(笑)あの、考えるわ。
O:はい。シングル盤で、出そうと思ってます。
H:あ、そうすか。シングル盤でね。じゃあ、ちょっと…きょうぐらいからやりますんで。
O:お…拝んどこ(笑)
H:もう次の構想っていうか、入りこんでるの?
キ:次の構想はいま、計画中なんですよ。
H:んー。楽しそう。まあ、テクノやるかどうかは知らないけどね(笑)
キ:(笑)
H:いやー、なんか…大瀧詠一の生まれ変わり、っていうね(笑)
O:(笑)
H:今のところはそうだよ。でも、この先はそこから出ないといけないっていうね。
キ:そうですね。今後、いろいろ考えなきゃな、って感じですね。
H:もう、考えなくてもいいよ、あんまり。好きなことを持続できれば。
キ:でも、ホントに去年の5月に『泰安洋行』をレコード屋さんでゲットして。で、その様子がたまたまテレビに…
H:あ、観たよ、それ(笑)
キ:あ、ホントですか?(笑)
O:ちょうど僕が映像を送ったんですよね。
H:そうだそうだ。それで見せてもらったんだ。
O:テレビに出たやつを送ってて。で、野上さん(野上眞宏)の写真展にキーポンくんが来てたんで。細野さんに、あの映像観ました?って訊いたら「観た」って言うんで…「来てましたよ、きょう」、って…(笑)
H:そうかそうか(笑)
O:「話します?」って言ったら「話してみようかな」って言うんで、楽屋のほうに…
キ:はい。あの日のことは一生忘れられませんね。
H:あれ、何年前?
キ:去年です。
H:去年か。1年の成長ってすごいね、この歳は。
キ:いやいやいや…
H:なんかこう、若い所為かね、1年でずいぶん変わるよ。そう思わない?
キ:自分だと、あんまり実感ないですね。
H:そうか。僕たちはそうでもないもんね(笑)
O:(笑)
H:いやー、新陳代謝というか、うらやましいよな。
キ:いや、でも、それこそさっき言った想像っていう面でも、細野さんの音楽ほど想像を掻き立てられる音楽はないんで…本当に、これから…自分もどうしようかな、って感じですね。
H:もうね、みんなにも言ってるんだけど、あとはよろしくね、って感じなんだよね。
キ:いやいや…
H:そういう人が出てきたら、もう…最初はね、絶望してたんだよ。最近の音楽的なカルチャーが、もうダメかな、と。受け継がれてないしね。誰も50s'、60s'、あんまり聴かなくなっちゃって。で、40s'なんてもちろん聴いてない(笑)でも、先週の音くん(福原音)が…
O:登場…(笑)
H:登場してビックリして(笑)次、キーポンくんでしょ?まだ他にもいると思うんだよね。
キ:そもそも自分でも、好きな音楽を受け継いでいくっていうのは、自分のオリジナルをどこまで打ち出していけばいいのか、っていうのがなかなか悩みだったんですけど。
H:はいはい。
キ:影響が濃く出てるっていうことはポップスにおける神髄だ、っていうことを細野さんに言って頂いて。
H:そうだ!
O:(笑)
キ:それで…これからもっと、自分でいろいろ探索してがんばらなきゃな、っていう気になりましたね。
H:うれしいね!(笑)影響プラス自分の世界を作ってくっていう。最初は影響されたまんまでいいよ、もちろん。でも、もう既に世界ができてるんで。
キ:そう、ですか?
H:うん、そう思うよ。
キ:いやー、そう言って頂けるとホント、うれしいです。
H:音がよくなった、っていうのが最初にね、言いたいことだったから。
キ:そうですね。たぶん、機材の使い方とかもわりと丁寧になってきたのかな、と。自分でも…(笑)
H:まあ、今後ね、また付き合いがあると思うんで…
キ:うれしいです。
H:きょうはこれくらいにして、またそのうち、1年後ぐらいに来てもらおうかね。
キ:あー、ホントですか!やったー!
H:1年は僕にとって10年だから…
キ:(笑)
H:はい、それでは…キーポンくんでした。
キ:はい、ありがとうございます。
H:岡田くん、ありがとう。
O:はい。