2019.06.09 Inter FM「Daisy Holiday!」より

 

daisy-holiday.sblo.jp

 

H:細野晴臣です。えー…こんばんは。

?:こんばんは!54歳妻子持ちです。

H:なんだそれ(笑)名前言ってくれい。

テイ:あ、テイ・トウワです。

佑果:こんばんは。えー…DJ ハーモニーYukaです。

H:あ、そうなったんだ(笑)

テイ:「ハーモニーYuka」になったの?

佑果:ハーモニーっていう言葉が好きで、勝手に…(笑)

テイ:いいじゃん。「ナントカDJ」っていうのが一時、流行った時期もありましたね。

H:あー、そうね。

テイ:いいんじゃない?「ハーモニーDJ Yuka」とか。

佑果:いいですかね?「ハーモニー」入れたいなっていう気持ちがありまして。

H:きょうはDJ2人だから、もう、2人に任せるからね。

2人:いやいやいやいや…

テイ:恐縮ですよね、今週。もう…

佑果:最高の幸せです。

テイ:奉納でしょ、奉納。

佑果:奉納。

H:(笑)

テイ:「神様」にお団子とか…家の向かいでとってきた花とかを…お供えですか。

佑果:(笑)

 

H:じゃあ、そのお供え物を…最初、佑果ちゃん。

佑果:私ですか!

テイ:難しいよね。

佑果:うわー、最初ですか…どうしましょう。では…ロバート・フラック(Roberta Flack)の"I Wanted It Too"っていう曲なんですけど。

H:もう1回言って、ロバート・フラックから…

佑果:ロバート・フラックの、"I Wanted It Too"。

H:OK。

テイ:英語っぽく言ったほうが「正しい」ね、向いてるね。日本語っぽく言うとなんかね、拙くなっちゃうよね(笑)

佑果:そうですね(笑)

 

 

I Wanted It Too - Roberta Flack

(from 『Feel Like Makin' Love』)

 

 

H:なるほどね。

佑果:なんかもう、出会いと別れが…この世の中、ある中で。この曲を聴くと…いやー、この人に会えてよかったなぁ、とか。

H:そういう歌なの?これ。

佑果:「I wanted it too, just like you」、「あなたのおかげで今の私があるよ」みたいな。そういう…

H:んー…それってさ、DJじゃないね(笑)

テイ:(笑)

H:音楽ファンだよね(笑)

佑果:あ…そっか!

テイ:歌詞けっこう聴いてんの?

佑果:最近、けっこう…聴いてエモーショナルになるっていうのが好きで…

H:テイくん聴かないだろ?(笑)

テイ:聴かないっすね(笑)

佑果:すいません!(笑)ちょっとエモーショナル過ぎちゃったか…

テイ:いやいやいや、おもしろい。

 

テイ:佑果ちゃんは一応後輩DJということで、先輩面してますけど…最初だけ。「あのー、DJやってみたいんですけど…」って言うから。

H:あ、そうなんだ。

テイ:それで…いっぱいね、近年、女子DJが今…USBとかをポーチから出して…彼氏が曲を入れたUSBをですよ。

H:(笑)

テイ:ポーチから出して、ピュッ、て。「おはーざーまーす」みたいな。

佑果:(笑)

H:そんな感じなんだ、いま(笑)

テイ:そんな感じなんで…佑果は背もあって顔も小さいし、手足長いから、レコードがいいよ!つって。

H;あー、それで…んー。

テイ:そうなんです。動きがダイナミックで。で、「レコード、何買ったらいいんですか?」って言うから、いや、ジャケ買い、つって。

H:なるほど。

佑果:最初ジャケ買い

テイ:そういう正しいアドバイス、2つしただけだね。「レコードをジャケ買いしろ」。

佑果:(笑)

テイ:[DJって]ホントにフリースタイルというか、広すぎて…なにをどう教えていいかわかんなくて。それがいいな、と思って。

H:なるほど。

テイ:あの、ファウンデーション(基礎、基盤)みたいのが無いじゃん。僕らだとYMOがあって、ヒップホップ、ハウスとかから始まって…

H:なんかね。系列でやっちゃうね。

テイ:系譜が無い、というか。

H:ホント、なんか音楽が好きなんだね、佑果ちゃんはね。

佑果:そうみたいですね…

H:メロディとかにすごい敏感だよね。良い曲に反応してるよね。

テイ:そうなんですよ。

佑果:感じちゃいますね。リピートしちゃって。一回入っちゃうと…

テイ:アナログ以外も、Spotifyとか。やっぱりいまどきの子っぽくすぐその場で検索して…検索力とかあるんで。

H:そうだよな。んー。

 

H:では、その先生。

佑果:(笑)

テイ:いや…(笑)ただの先輩面のヅラですよ。

H:先輩面って…僕の前では後輩面なのに…(笑)

2人:(笑)

H:なんだこりゃ…(笑)

テイ:えーとですね…ぜんぜん、新しい曲ほぼ聴いてないんですけど…古いレコードばっか買ってますけど。細野さん、ご存知かな?まあ、じゃあ、一応…

H:聴かせて?

 

 

Norwegian Wood (This Bird Has Flown) - Jackie & Roy

(from 『Changes』)

 

 

H:曲は知ってる。タイトルが出てこない…タイトルが出てこない…(笑)

テイ:"ノルウェイの森(Norwegian Wood)"です(笑)

H:そうだ。あのさ…有名な曲ってインストで聴くと、知ってるんだけどタイトルが出てこない(笑)

テイ:そうですね(笑)まあ、変わりアレンジということで…なんでしょう、最近やっぱ、自分の[音源を]作ってるからか、ぜんぜん関係無いもの。こういうコーラスデュオ…ジャッキー&ロイ(Jackie & Roy)っていう夫婦の…

H:あ、ジャッキー&ロイは有名だね。んー。

テイ:はい。まあ、こういうのとか…聴いてますけど。

H:なるほどね。

テイ:なんですかね、アレンジを聴いてるというか…

H:テイくんは独特だよな、聴き方が。アレンジ、っていうか、音で聴いてるよね。

テイ:そうですね。このフルートいいな、とか。

H:うんうん。歌詞、絶対聴かないよね(笑)

テイ:聴かないですね(笑)自分の曲も…[他の人に詞を]任せたやつとか、聴いてないですね(笑)

佑果:あ、そうなんですか!

テイ:[取材とかで]質問されたりしても、わかんない、って…(笑)

佑果:なるほど…

H:どっちかっていうと僕もそれに近いよ。一応…仕方なくっていうとアレだけど、歌詞書いてるけどね(笑)

テイ:え、でも細野さんの歌詞、やばいですよね。

佑果:いつも心打たれちゃいます。"Honey Moon"とか。

H:あー、"Honey Moon"…

テイ:でもやっぱり、サビで「クシャミをひとつ」とかね。

[*"冬越え"の一節。]

H:恥ずかしい、それ…花粉症が無かった時代だから、「ひとつ」でよかったんだよ(笑)

テイ:あー(笑)

H:いま、「ひとつ」じゃ済まないじゃん。

テイ:なるほど。すごい、季語というか…僕が言うのもおこがましいですけどね。

H;いいよいいよ、その話は(笑)

佑果:(笑)

テイ:はい(笑)

 

H:じゃあ…佑果ちゃんかな。

佑果:えー!(笑)細野さん、聴きたいですけど…

H:僕はきょうは聴く…いまんとこまだね、浮かばないんだよ。

佑果:じゃあ、浮かんだらいつでも…

H:うん。なんかかけてくれたらそれに対して…っていう。

テイ:なるほど。

佑果:そしたら、えーと…じゃあ、ボビー・チャールズ(Bobby Charles)の…

H:出た!それだ。

佑果:"Small Town Talk"。

H:いい曲。

佑果:お願いします。

 

 

Small Town Talk (Single Version) - Bobby Charles

 

  

H:はい。ボビー・チャールズの"Small Town Talk"。

佑果:大好きです…

H:これも…音楽好きが聴いてる曲だけど…(笑)

佑果:ついつい歌いたくなります。

H:不思議だよ(笑)だって、僕が20代の頃に…たぶん、ティン・パン・アレイの頃かな。はっぴいえんどの頃はまだ無かったかな…その頃聴いてたんだから、[当時の]20代の男の子が聴くような音楽だからね、これ。

佑果:なるほど(笑)

H:そのうち、だから…はっぴいえんどみたいなバンド作んないと(笑)

佑果:そうですね(笑)

H:なんか…不思議でしょうがないよ。僕が聴いてきた音楽を、今また追体験してるっていう…不思議だなぁ…なんだこれは。んー。

佑果:んー、おもしろいです。

 

H:ボビー・チャールズについてね。出てきたから言うけど、日本に来たことがあって。

佑果:はい・

H:レヴォン・ヘルムLevon Helm)といっしょに、オールスターズ(Levon Helm & The RCO All-Stars)で来たんだよね、たしか。

テイ:うん。

H:で、スタジオに呼ばれて。久保田麻琴が仕切って。「いま、みんな来てるから」って。すごいメンバーが来てた。レヴォン・ヘルム、ボビー・チャールズ、えー…忘れちゃった、あとは(笑)

テイ:(笑)

H:で、僕の曲をやるっていうんだよ。"Roochoo Gumbo"をセッションでやって。ボビー・チャールズは酒瓶を片手に、酔っぱらって"Roochoo Gumbo"を歌ってた。

佑果:えー、そうだったんですか。

H:で、その前にこの"Small Town Talk"はヒットしてたんだよ。まあヒットって、我々の中でね。良い曲~、とおもって。

佑果:なるほど…うれしいですね。

H:で、この人、フィフティーズのとき…1950年代にロカビリーでヒットしてて。ニュー・オーリンズの歌手で。それをちょっと聴いてください。"See You Later Alligator"。

 

 

See You Later Alligator - Bobby Charles

 

  

H:…っていうような曲なの。典型的なリズム&ブルース。ニュー・オーリンズのね、スタイルが。

佑果:はい。

H:えー…どうすんだろ。ボビー・チャールズ聴いた後、なに聴くんだろう。佑果ちゃんはね。これから。

佑果:あー、自分だったら…でも、エルヴィス・プレスリーで行きたいなって(笑)

H:いいね(笑)どんどん遡ってるな…

テイ:そうですね(笑)

H:不思議だよなぁ…でも、系列が自由なわりにはやっぱり辿ってるよね。

佑果:あー…

H:1970年代、っていうくくりはあるね。ひとつ。まあ…これから先が楽しみ、ということでテイくん、お願いします。

テイ:あの…僕も元々、YMOが最初の…最初に見た…なんでしょう。最初に見たのを親と思うじゃないですか。

H:鳥だ、それじゃあ…(笑)

佑果:(笑)

テイ:なので、プレスリーを…YMOがカヴァーした。

H:あー!

テイ:知ってる?

佑果:はい。

テイ:元曲、知ってた?

佑果:元曲…ちゃんと聴いてないかもですね…

テイ:ワンコーラスでいいかもしれないですけど、聴いてみましょう。

H:いいね。

 

 

Pocketful Of Rainbows - Elvis Presley

 

  

テイ:"Pocketful Of Rainbows"。2分半の曲です。

H:なんでこれをYMOがやろうとしたんだっけな…

テイ:ビックリしましたね。

佑果:気になりますね…

H:まあ、当時ね、プレスリーをいっぱい聴いてたんだよ、僕。これはできないな…と思いながら聴いてたの。ぜんぜんテクノじゃないからね(笑)

テイ:そうですよね。

H:でも、この曲ならできそうだと思って、日本語歌詞を湯川れい子さんにお願いしちゃって…出来てきて。で、やってみたら、まあまあ…

テイ:(笑)

H:ライヴで踊りながらやったんだよね(笑)

佑果:えー!そうだったんですか!

H:振り付けがあった(笑)

佑果:観たいですね…振り付け、気になります。

H:うん。如月小春さんっていう、いまはもう亡くなっちゃってる振り付け師の方に頼んでね、やってもらったんですよ。

テイ:へぇ…

佑果:なるほど…

H:んー、どうしよう………眠くなってきた(笑)

2人:(笑)

H:先に進めるか…

テイ:プレスリーは、細野さんはリアルタイムで…?

H:うん。聴いてた。

テイ:スターでしたか?

H:あのね、姉の世代のアイドルだから…最初に聴いたときはニュース番組で聴いたの。"Heartbreak Hotel"を腰ひねりながら歌ってるっていうのが顰蹙買って、PTAに怒られて…(笑)

佑果:えー!

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H:で、「エドサリヴァン・ショー(The Ed Sullivan Show)」に出た時は…それ観てないんだけど、腰から下は映さなかったんだよね。

テイ:えー(笑)

H:上半身だけなの。

テイ:セクシー過ぎて…

H:セクシー・シンボル、うん。

佑果:えー!そうなんですか…

テイ:ビートルズが出てくる前ですよね。

H:前。もう、50年代の終わりごろ。で、60年代になって兵役にとられて。兵隊になっちゃったの。帰ってきたらG.I.カットになってて。頭髪がね。

テイ:うん。

H:で、もう映画俳優になっちゃったの、その頃。『G.I. Blues』っていう。それを姉に連れられて観に行ったんだよね。

テイ:そのときおいくつぐらいだったんですか?

H:僕は中学2年かな。んー。

佑果:へぇ…

H:だから、熱狂的にはならなかったよ。ただ後で聴いて、すごい影響されたけどね。

テイ:その頃にはもうビートルズとか出てきてましたか?

H:直前。まだ出てこない。ビートルズは1962年にヒットチャートに入ってきた。

テイ:そのとき細野さんはおいくつでしょう?

H:中1、だったかな。中1、中2かな。んー。

[*プレスリーの『G.I.Blues』日本公開が1961年。ビートルズのデビューシングル『Love Me Do』リリースが1962年10月(英国)。そして細野さんは1947年7月生まれ。]

 

佑果:いいですね…ライヴは観に行かれたことはありますか?

H:プレスリー

佑果:えーと、ビートルズ

H:行かれないよ、ぜんぜん…(笑)プレスリーも観たことないし。

テイ:[当時の]ニュース[映像]を見る限りとんでもないことになってましたもんね。

H:もう、女性ファンばっかりだから…

佑果:私だったら絶対行くなー、と思いました…(笑)

H:行くだろうね(笑)

テイ:ね。行って気絶してる人いるもんね。

H:でもさ、後半の「エキゾチック」って言われたヒラヒラのね、プレスリーのスタイルあるじゃん。

テイ:はいはいはい。

H:なんか、フリンジの付いた、ね。あれは見たくないわ。

テイ:(笑)

佑果:なるほど(笑)

H:太っちゃったんだ。

テイ:そうですよね。

H:なんかね、イメージ変わっちゃったんだよね。んー。

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H:じゃあ、プレスリー…をかけようと思ったけどやめて、その元になった…"Such A Night"っていう曲、プレスリーが大ヒットさせたんだけど、元はドリフターズ(The Drifters)の曲なんでそれを聴いて。"Such A Night"。

 

 

Such A Night - The Drifters

 

  

テイ:いいですね。これは何拍子になるんですか?

H:普通だよ(笑)食ってるだけだよ。1,2,3,4,1,2,3,4...

テイ:おもしろい。リズムがおもしろいなと思いましたけど。えーと、どうしよう…難しいね、奉納は(笑)

H:(笑)

テイ:失礼があってもいけないし…

H:いいんだよ(笑)なんでもいいの。

テイ:あ、でも…やっぱり細野さんの曲を聴いて頂くっていうね。

佑果:もちろん。

H:あ、そう?

テイ:最近、僕…これ知らなかったんで。

H:ああ。聴かして。なに?

テイ:あの、ラジさん(Rajie)の"月の光"という曲を…

H:なつかしい…

テイ:聴いてみましょう。

H:じゃあ、これ最後だね。また来週ね、お願いします。

 

 

 

月の光 - Rajie

(from 『Quatre』)

 

 

H:唐突だな、これ(笑)

2人:(笑)

H:この流れはすごい…

 テイ:でも、モロにYMOの1st,2ndの頃の音色だよね。

H:うん。たぶんこれ、教授(坂本龍一)がやってるんじゃないの?アレンジ。

テイ:この声は誰ですか?

H:これはラジ。

テイ:この、低い男の人は…

H:教授の声に似てるな。

テイ:あー…教授に声似てるけど、かな…?どうだろう…

H:なんか、ドイツ語っぽい。

テイ:そうですよね。

H:…教授だよ(笑)ドイツ語好きだもん、だって(笑)

[*クレジット曰く「クロード芹沢:Narration」……]