2019.05.26 Inter FM「Daisy Holiday!」より

 

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H:こんばんは。細野晴臣です。えー、きょうはね…2回目かな?Little Glee Monsterから、manakaちゃん。いらっしゃい!

ma:よろしくお願いします!

H:えー、なぜ、来てくれたかというとですね…[今年の]2月ごろに他の放送局で放送した…僕がゲストでLittle Glee Monsterの中に入っていって…

ma:はい(笑)

H:いろんな曲をかけたんだよね。

ma:そうです。いろんな曲を教えてくださって…

H:いやいやいや…そのときに、選曲したのをまとめて今度あげるよ、なんて言ったことを…少し憶えてる(笑)

ma:(笑)

H:いやいや、ちゃんと憶えてるんだけど…(笑)

ma:私は全力で真に受けてて…(笑)

H:あ、そうなんだ、すみません…(笑)

ma:いつ頂けるのかな、ドキドキ…って思ってたんですけど…今夜こうしてまた出させて頂けてすごくうれしいです。ありがとうございます。

H:はい。そうですよね…[まとめたCDを]取りに来たっていうか…(笑)

ma:そうです、いただきに参りました(笑)

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H:それで、いろいろ考えたんだけど、難しくてね。意外と。

ma:いやー、またこの時間を過ごせるっていうのがすごいうれしいです。

H:じゃあ、まあ…テキトーに選んできたんだよ(笑)

ma:うれしい~ありがとうございます!

H:で、やっぱりLittle Glee Monsterならではの選曲とか考えちゃうんだよね、ついね。でもダメだ。

ma:えー!そんな贅沢な…聴きたいです、聴きたいです。

H:ホント?どうしてもコーラスものとかね。

ma:もう大好きです。はい。

H:じゃあ…こないだね、かけたエンジェルズ(The Angels)が気に入ったんだっけ?

ma:そうですね、大好きになりました。

H:"My Boyfriend's Back"という曲ね。あの頃、1960年代の初期にああいうガール・ポップのグループがいっぱい出てきて。白人黒人問わず。

ma:はい。

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H:で、その中で…僕は中学生だったのね。いろいろ…ヒットパレードっていうのを聴いてて、いい曲ばっかりだった。

ma:ですよね。ホントに…すごいです。

H:で、シフォンズ(The Chiffons)の"One Fine Day"っていう曲を…ヒットしたやつを聴いてください。

 

 

One Fine Day - The Chiffons

 

 

H:もう終わっちゃうんだよね、短い…2分9秒しかない(笑)

ma:短い!

H:この頃のは大体2分半…3分っていうのはあんまりないね。

ma:でもなんか、そのぐらいの曲の潔さがすごい好きなんですよ。

H:そうだね。んー。

ma:で、なんか、エンジェルズは「不良」って前言ってましたよね(笑)ちょっと悪いグループみたいな…

H:ちょっとね(笑)

ma:この方たちはどういう感じなんですか?

H:この方たちはね…(笑)

ma:(笑)

H:黒人の…4人組ぐらいかな?で、あんまりよく知らないよ?でもヒット曲はけっこうあって…この曲はキャロル・キングCarole King)が作曲したんで…

ma:おお…

H:後で、キャロル・キングって人はすごいな、って。いろんなヒット曲書いてるんで。

ma:そうですよね。

H:16, 17歳ぐらいの頃からやってるからね。彼女は。

ma:長い…

H:まあ、こういうのは60年代で、今から50年以上前だからね。信じらんない(笑)

ma:信じられないです、ホントに。

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H:えーと、manakaちゃんは…ミレニアムベイビーって聞いたけどね。

ma:はい。そうです、2000年生まれなので…

H:ものすごいホヤホヤな感じだけど、もう平成が終わっちゃったね(笑)

ma:そうですね(笑)人生初の経験なので、どんな心境なんだろう、と思ってて。

H:うんうん。

ma:で、なんか…そうなんですよ、細野さんにもそれをお聞きしたくて。

H:あの…さっきも話してたんだけどね、平成の時はね、暗かったね。

ma:んー…

H:要するに、はしゃいじゃダメ、みたいなね。音楽かけちゃダメ、とかね(笑)そういうことがあったよ。

ma:そうですか…

H:でも今回はみんな…なんかちょっと楽しんでるでしょ?

ma:そうですね。ちょっとドキドキ…みたいな感じでしたよね。

H:うん。まあ、これからずっと…当分は令和だからね。

ma:あー、そっか…

H:もう、だから、昔の人になっちゃうよ(笑)

ma:いやー、私も!なっちゃいますよね、でも(笑)「あの頃は…」みたいな(笑)

H:(笑)まあ、でも…令和に活躍する人たち、と。そう思ってますから。

ma:がんばります!

 

H:そういえば、アジアツアーやったんだって?

ma:はい。去年初めてやらせて頂いたんですけど、やっぱりアジアの皆さん、すごく熱狂的に応援してくださる方が多くて。

H:あー、やっぱりね。うん。

ma:もうなんか、1曲目からホントに…なんて言うんやろ、個人個人が「熱い」っていう…一人ひとりが盛り上がってくれるから、それが集結してもっとすごいパワー、みたいな。

H:すごそうだな(笑)

ma:そうなんですよ(笑)でも、日本ってちょっと…最初の1曲目からそんなにあたたまることって…

H:無いよね。

ma:徐々に徐々に会場が一体化してくる、っていうイメージなんですけど、[アジアは]もう、1曲目からすごかったですね。

H:みんなよく聴いてるんだよね、それで。詳しいし。

ma:そうですそうです!日本語が上手な方がすごい多くて。

H:そうそうそう。

ma:細野さんもこの前、台湾行かれてましたよね。

H:そう。2月に行って来て…まあ、[盛り上がり方は]それほどじゃないけど、僕の場合は(笑)

ma:いえいえ…

H:1曲目から…っていうわけじゃないけど、やっぱりみんなよく聴いててくれて。

ma:そうですよね。

H:こんな年寄りの音楽をよく聴いてるな、と思って。ホントにもう、ありがたいですよ(笑)

ma:全世界にとって「神」です。

H:いやいやいや…(笑)また…また[神様って]言われてるな…(笑)

ma:(笑)

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H:そうだな…じゃあね、なんにしようかな。キャロル・キング、シフォンズか…えーとね、"Crying in the Rain"ってヒット曲があって。

ma:はい。

H:これもキャロル・キングが作曲してて、自分でも歌ってますけど…ヒットした張本人たちを聴きたいんで、エヴァリー・ブラザース(The Everly Brothers)。前もね、紹介して…こういう独特なコーラスおもしろいよ、みたいな。

ma:うんうん。

H:聴いてください。"Cathy's Clown"。

 

 

Cathy's Clown - The Everly Brothers

 

 

H:はい、"Cathy's Clown"っていう曲で…エヴァリー・ブラザースっていう兄弟。

ma:兄弟なんですね!だから声が似てるんだ。

H:似てる。おんなじ声してるんだよね。

ma:なるほど…なんか、なかなかこんなに声質の似たハモりとか珍しいな、と思って。1人で[多重録音で]やられてるのか、もしくは…って思ったんですけど、兄弟だったんですね。

H:そうそうそう。

ma:そっくり…すごい…

H:なんかね、独特の声もいいけど、わりとルックスもいいんだよね(笑)

ma:えー、カッコいいんですか?

H:うん。人気あったんだよね。アイドルだった。えー、こういう兄弟がいたらこういう曲、歌ってもらいたいな、とか思うんだけどね。

ma:いいですよね。

H:なかなかね、いなくて。

ma:でも、こんなに声が似てるのもすごいな、って思います。

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H:さあ、それで…なんにしようかな。この頃に集中しようかな。60年代で、んー…パリス・シスターズ(The Paris Sisters)っていう…暗い、3人組の女性ボーカルグループ。

ma:興味あります(笑)

H:ものすごく暗さを狙ってるっていうね。で、当時レスリー・ゴーアLesley Gore)っていう明るい少女歌手がいたんですけど。

ma:はいはいはい。

H:その人はいっぱいヒット曲を出して…"It's My Party"っていう大ヒット曲があって。[曲調は]明るいんだけど、内容は…自分のパーティで自分のボーイフレンドが[別の]女の子に取られちゃった、みたいな歌で…(笑)

ma:うんうんうん。

H:そういう曲なんで、本当は暗い。その暗さを前面に出したのがパリス・シスターズで、"It's My Party"のカヴァーをやってます。

 

 

It's My Party - The Paris Sisters

 

 

H:まあ、原曲を聴くとビックリするぐらい違うんだけど…(笑)

ma:そんなにですか![歌詞の]内容を聞いてから聴いたのでこの曲を…すごい、なんか、怨念みたいなものを感じちゃうぐらいの…

H:そうそう(笑)

ma:リバーブが怖さをさらに引き立てますよね、声の(笑)

H:たしかに(笑)

 

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H:えーと…30分なんでどんどん行っちゃうけどね。じゃあね…いまのは60年代の1960年から1964年ぐらいまでの音源なの。

ma:はい。

H:その頃ってね、なんて言うんだろ…ある意味ではポップスがバーン!と花開いたの。

ma:はい。

H:で、その前の1950年代ぐらいからもいっぱい、いい曲があるんだけど、その頃のことは僕はまだ子供で知らなかったのね。

ma:あー。

H:後で聴いて、これ知ってる!って、記憶のどこかにあるわけね。その中の一つにペイシェンス&プルーデンス(Patience & Prudence)っていう女性2人。若い女の子。

ma:うんうんうん。

H:で、独特の掛け合いがあるっていうか…なんて言うんだろう、エヴァリー・ブラザースにちょっと似てるっていうかね。

ma:おお。

H:元祖ですけど。"Tonight You Belong to Me"っていう曲です。

 

 

Tonight You Belong to Me - Patience & Prudence

 

 

H:はい、これは1分54秒っていう…(笑)

ma:これ大好きです!

H:あ、だろうと思った(笑)

ma:あの、ナンシー・シナトラNancy Sinatra)が歌ってるヴァージョンのもすごい好きで…

H:あ、そうだ。うんうん。みんなこれ歌ってるんだよね。

ma:ですよね。これが元祖、原曲ですか?

H:いや、もっと古い曲だと思うよ。ちゃんと知らないんだよ僕も(笑)

*1926年、アーヴィング・カウフマン(Irving Kaufman)によるものが最初とのこと。

ma:めっちゃ、でも、ぜんぜんアレンジも変わりますね。すごい素敵、これも…

H:そうなんだよ。この2人組はなかなかね、特徴があるんで…いまだに色褪せないです。

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H:もう1組、コーデッツ(The Chordettes)っていう、女性グループがいて…

ma:もう、大好きです…

H:♪Mr. Sandman~っていうのがけっこうね、最近、テレビでもちょくっちょくBGMで使われたりしてね。

ma:はい。

H:じゃあ、コーデッツで…"Mr.Sandman"っていうのはよくかかってるんで、それはかけませんが…"Teenage Goodnight"という曲を。

 

 

Teenage Goodnight - The Chordettes

 

 

H:はい、あんまり…好きじゃなかった、これ(笑)

ma:予想外の…(笑)

H:なんか特徴のない曲だなぁ、と思って…

ma:(笑)

H:やっぱり"Mr.Sandman"のあのすごいインパクトがね…ちょっと、頭だけ聴いてみようか。

ma:はい。

 

 

Mr. Sandman - The Chordettes

 

 

H:やっぱり、これがいいわ(笑)

ma:いいですね。

H:アルバムとか聴いてると、これがやっぱり、いちばんいいんだよね。

ma:んー。

 

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H:というわけで…先に進んでいいかな。なんか、すごい焦ってるんだよな、僕(笑)

ma:(笑)

H:ちょっと落ち着いて、なんか話そうかな。

ma:おお…

H:えーと、manakaちゃんは小っちゃい頃からこんなような音楽を聴いてたんだっけ?

ma:そうですね。なんか、辿って行くうちに辿りついて…っていうことが基本的に多くて。

H:あー、じゃ僕とおんなじじゃん(笑)

ma:(笑)で、なんか…それこそ"Mr.Sandman"とかはLittle Glee Monsterが結成して、最初に「やりたい曲を考えてきてくれ」って言われたときに提出した曲でもあって。

H:おお!

ma:ただ、ぜんぜん…大却下されて(笑)

H:ホント?(笑)そうだったんだ。

ma:いや、もう、なんか…そんな感じだったんですけど、基本的には辿って行って…って感じですね。

H:そうか。でも、そういう人はめずらしいかもね。"Mr.Sandman"を子どもが…子どもでしょ?だって(笑)

ma:そうですそうです(笑)もちろん。

H:それを選曲のリストに入れたっていうのはビックリしたよ。

ma:いやいやいや…でもホントに、それこそ細野さんから、細野さんが好きな、ルーツとして選ばれている曲とかも、本とか見ながら…

H:勉強家だね。

ma:聴いていって、これ好きだ、と思ったのをまた探っていって…みたいな。

H:そういえば、この番組…ずっと聴いてくれてたんだよね(笑)

ma:そうなんです。もうホントに、ただのリスナーだったので、ここに居れてることがすごくうれしいです。

H:いや、よかった。こっちもうれしいね、それは。初めて紹介されたとき…ライヴのときに来てくれたんだよね。

ma:そうなんです、念願のライヴだったんですよ!

H:で、この番組、そんなに若い人が聴いてるんだ、ってそのとき初めて知ったんだよね。誰が聴いてるかわかんないんで…(笑)

ma:いや…もう、ホントに大好きで聴いていて…で、このDaisy Holidayで流れた曲をまた聴いて…っていうことも、ホントにたくさんしてて。いろんな音楽と出会った時間でもあるので…すごいホントに、うれしいです。

H:そうか。これからそういうのが役に立つといいけどね(笑)

ma:いや、[自分と同じような人は]ホントにたくさんいらっしゃると思います。もっともっと。

H:いやいや、manakaちゃん本人はそれを吸収してる最中じゃない?いまは。

ma:はい。

H:それをどうやって、これからね、表現してくのか。楽しみだね。

ma:そうですね…

H:却下されるかもね(笑)

ma:(笑)なんか、『HOSONO HOUSE』から、またこうして2019年に『HOCHONO HOUSE』ができて…

H:あ、言ってくれた、「ホチョノハウス」(笑)

ma:(笑)いや、私大好きなんですよ「ホチョノハウス」っていう響き(笑)

H:あ、それはよかった(笑)

ma:いちいち言いたくなるような、大好きな響きなんですけど…(笑)なんか、冗談でもいいので、『HOSONO HOUSE』ができた時に、そういう未来って想像できてましたか?

H:いやいやいや…ぜんぜん。未来無いと思ってた(笑)

ma:えー…なんか、そういう話とかも聞きたいと思ってて。

H:なんでも訊いて。

ma:え、いいんですか?(笑)

H:うん。

ma:今年で音楽生活50周年ですよね。

H:長すぎるね…(笑)

ma:いや、もう、ホントに…「すごい」って言葉で片付けたくないし、片付かないんですけど、想像ってついてたのかなぁ、って思って。

H:20代の頃、後先はホント考えなかったよ。そういう時代だったのかも。その日暮らし。

ma:えー!

H:住所不定無職(笑)

ma:それこそ…(笑)

H:いやー、だから…50年経って振り返ると、やったことは全部その場で忘れてきたのに、[レコードとして]全部残っちゃってるから…(笑)

ma:すごいですよね…

H:ビックリしてるんだよね、実はね。みんながそれを聴いてたりするっていうことが最初は信じらんなくて。

ma:はい…

H:で、いまのネット時代で、世界中がそうやって聴けるようになったから…ということはよくわかるんだよね。

ma:んー…

H:でも、大体昔は…普通、出したやつは廃盤になっちゃうから。消えちゃうんだよね。でも、なぜかね、いつも…復刻してくれるっていうか…(笑)

ma:(笑)やっぱり、いいものって残ってくんだな、って、めちゃくちゃ感じます。

H:だから、まあ…良い意味でも悪い意味でも「残っちゃう」から、ちゃんとしたもの作んないとダメだなって思うわけ(笑)

ma:なるほど…(笑)

H:だからね、残っちゃうよ?(笑)

ma:えー…そっか。

 

H:えーと…じゃあ続きを進めようかな。

ma:はい。

H:じゃあね…ちょっとだけこれを聴いて、次の曲に進めるんですけど。

ma:はい。

 

 

Ac-Cent-Tchu-Ate the Positive - Paul McCartney

(from 『Kisses On The Bottom』)

 

 

H:えーと、これは誰だかわかるかな?

ma:これ………誰だろう?

H:ポール・マッカートニーPaul McCartney

ma:え!あれ?

H:(笑)

ma:ありましたっけ、こんなの?

H:あのね、こういうスタンダードを集めたアルバムを出したんだよね。あんまり日の目を見なかったけど(笑)

ma:はいはいはい…すいません。

H:で、この曲…大好きな曲なの。で、こんな曲取り上げてやってるんだ、と思ってね。ビックリしてたんですけど。さすが、ポール・マッカートニーだな、と。

ma:んー。

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H:これの原曲はジョニー・マーサー(Johnny Mercer)っていう人が作って、歌ってたりするんですけど…ビング・クロスビーとアンドリュース・シスターズ(Bing Crosby & The Andrews Sisters)が歌ってるのがいちばん良い出来なんで、それをちょっと聴いてみたいと思います。じゃあ、これを最後に…また、この続きは来週、ということで。

ma:はい。

H:それでは、ビング・クロスビーとアンドリュース・シスターズで、"Ac-Cent-Tchu-Ate the Positive"。

 

 

Ac-Cent-Tchu-Ate the Positive - Bing Crosby & The Andrews Sisters

 

 

 

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