2019.04.28 Inter FM「Daisy Holiday!」より
さよならMinute Merengue…(?)
H:こんばんは。細野晴臣です。きょうは…まあ、平成最後の…放送ですね。ということで、レギュラーの?
O:こんばんは、岡田崇です。
越:こんばんは、コシミハルです。
H:ひっさしぶりだね。
越:すごい久しぶりです。風邪も治ったし!
H:ずっと風邪引いてたの?
O:(笑)
越:そう(笑)久しぶりに大変でした。
H:なんかね、弱ってるよね。免疫がね。春ってそうだよね。免疫低下する、って言うから。桜、なんか観たの?
越:観ました。
H:ほう…どこがよかった?
越:中目黒、きれいでしたね。
H:中目黒か。近づきたくないなぁ…
越:すごい人でしたよ。
H:あれ、岡田くんの住んでる場所の周辺って桜多いでしょ?
O:すごいですよ。
H:部屋から見える?
O:部屋…からは見えないですね。
H:そうか。残念だね。んー。
O:まあ、近所歩くともう、すごいです。
H:今年はすごかったね。長持ちしたというか。寒かったり暖かかったり大変だったな。
越:うん。
O:そうですね。
H:というわけで、平成の最後なんですよ。この番組。
O:ねー。もう、20年ぐらいですね。
H:すごいね。平成って30年でしょ?…ほとんど平成の番組なんだね(笑)
O:(笑)
H:で、4/1のエイプリル・フールに「令和」って発表されたでしょ?
O:はい。
H:令和の「令」が…なんだかんだと、いろいろ取り沙汰されてますけどね。海外の報道では。「命令」の「令」だ、みたいなこと言われてて。
O:そうですね。最初にそういう印象はありましたね。
H:あるよね。まあでも『万葉集』から、とかいろいろ…それで僕はね、この令和っていうのをこれからまた…長い付き合いですから、馴染まないといけない、と思って。
O:ええ。
H:いろいろ考えて、ある結論に至ったんですよ。
O:どんな?
H:聞きたい?
O:はい。
H:もう、この番組でしか言わないよ(笑)
O:(笑)
H:えーとね…話が長くなるから、1曲かけてからにしようかな。岡田くんどうぞ。
O:あ、じゃあですね…最近入手した、大きな16インチのトランスクリプション盤、ラジオ用の。
H:はい。
O:アル・ケイヴリン・オーケストラ(Al Kavelin Orchestra)という1940年ごろの…カーメン・キャバレロ(Carmen Cavallaro)が最初にデビューした楽団なんですけど。そこの楽団が…"Six Lessons From Madame La Zonga"という曲をやっております。
Six Lessons From Madame La Zonga - Al Kavelin Orchestra with Patti Morgan
H:いいですね、カリプソ。
O:いいですね。
H:40年代の音だな。
O:ちょうど1940年の録音なんですけど、けっこうノイズが…もともとのディスクにはあったんですけど。
H:うん。
O:アイゾトープ(iZotope)で…ノイズを取ったんですね~(笑)
H:岡田くんもアイゾトープかい。
O:すっごいですね。
H:すごいでしょ?優れてるよね、最近のアプリケーション。
O:ちょっと感動…楽しくって。ノイズ取るのが(笑)
H:わかるわかる(笑)
O:カセットテープとかもすごい、よみがえって…
H:なんでそういうことが楽しいんだろうね。
O:(笑)ひと皮むけた感じになって…
H:そうだったんだ。そうかそうか…
H:で、その令和の話なんだけど…その前に、みんな昭和生まれだよね、僕たち。
越:うん。
O:そうですね。
H:昭和生まれってのは…明治・大正・昭和だったから、当時。明治生まれのおばあちゃんとか、みんな元気だったんだよね。最近、明治の方はホントに…稀な存在になっちゃったね。
O:んー。
H:稀っていうか長寿の…最高長寿の人、とかね。そういう人たちになっちゃった。えー、昭和何年かな?あ、それは訊かないほうがいいね、ミハルちゃんにはね。
越:.......(笑)
H:(笑)で、平成になって…大正・昭和・平成になったんだね、だから。「三世代」って言うと。
O:そうですね。
H:大正時代っていうのは僕たちの、母親たちが…お父さんもそうだ。そうじゃない?違うの?…あれ?(笑)
O:うちは昭和ですよ。
H:昭和?えー!?
越:うちも。
H:昭和??ご両親昭和?…そうかい。ビックリだね。
O・越:(笑)
H:母親はまだ健在ですけどね。大正生まれですよ。大正は短かったんだよね。15年とか。昭和が長かったね。で、平成は30年、と。そうすると、昭和・平成・令和になるわけだ。
O:うん。
H:で、令和の話だね。…長くなるんで、曲、かけようかな。
O・越:(笑)
H:ミハルちゃんどうぞ。
越:あ、じゃあ、えーとね…『シャイニング(The Shining)』の映画の中で使われてた…
H:およ?
越:レイ・ノーブル(Ray Noble)の…
H:お、目の付けどころがシャイニング*だね。
O:(笑)
[*令和世代のための註釈: 日本で創業した家電メーカー・SHARP(シャープ、旧・早川電機工業)がかつて使っていた企業スローガン「目の付けどころが、シャープでしょ。」のパロディ。]
越:"Midnight, The Stars and You"といいます。ヴォーカルはアル・ボウリィ(Al Bowlly)です。
Midnight, The Stars and You - The Ray Noble Band with Al Bowlly
H:いやー、『シャイニング』を思い出すね。
越:ね。目に浮かびますよね。
H:まあ、怖い…けど、なんともノスタルジックな…ね。ただ、この曲だけ聴くと別に怖くはない(笑)
O:(笑)
H:えーと、じゃあね…令和の話か(笑)ちょっとめんどくさくなってきた(笑)
O:え?(笑)
越:(笑)
H:あの、じゃあ、言うよ。言う、言う。えー…大事な話なんだよ。ホント。じゃあその前に…(笑)
O:(笑)
H:わかってない、と思うでしょ。わかってんですよ。「令」って、発表のときも筆で書いてたでしょ。どなたかはわかんないけど。で、棒が一本長いじゃない、「命」みたいな字。だから「命」みたいな意味もあるらしいんだけど。
O:んー。そうなんですね。
H:だから、いい意味もいっぱいあって、でも、「命令」とかそういうイメージもあって、2つ意味があるっていう。どっちを取るかはきみ次第っていうね(笑)そういうことなんでしょうね。
O:(笑)
H:で、実は…手書きで書くと、まっすぐな棒じゃなくて「マ」になるんだよな。あの、「鈴」っていう字がそうじゃん。「金」偏に「令」って書いて…活字で書くとまっすぐ棒が下に降りてくけど、手書きだと昔から「マ」なんだよね。で、パソコンでね、フォントがあるじゃない。そういう字があるのかどうか[調べたら]、ぜんぶ棒なんだよ。「命」系の。で、パソコンで「マ」にしたいなと思ったんだけど、探したら中国語しかないの。中国語フォント。それだと、やわらかい感じになる。だから…フォントっていうのは社会的なものだから、社会がそういう体制になっていくのか、とか思っちゃったりね。でも個人は、「マ」でいきましょうよ、と…きみ次第ですよ。
O:(笑)
H:まだもうちょっと話したいんだけど、このぐらいにしとこう。はい、じゃあ曲お願いします、僕。はい。
O:(笑)
H:ではね…昔の、ポランスキー(Roman Polanski)の…ポーランド時代の『袋小路(Cul-de-sac)』。
越:あ、それすごい好き。
H:ああ。クリストフ・コメダ(Krzysztof Komeda)っていう人が作ってます。
越:カッコいい…
H:主題曲です。"Cul-de-sac"。
Cul-de-sac - Krzysztof Komeda
H:そういえばね、こないだ…つい先日ですけど、テレビで次のハレー彗星がいつ来るか、っていう話をしてて。正確にはちょっと憶えてないですけど、40年以上後なんですよ。
O:んー…
H:前来たときは僕、観てるのね。1980年代。グアム島まで行って観てきたんですよ。
O:すごい…(笑)
H:みんなでね。僕、脚の骨折って、ギブスはめて観に行って…(笑)
O:ああ、あの頃ですね。
H:そうそうそう…(笑)それでバスの運転手に怒られたりして。「脚の骨折ってまで来るな!」みたいな(笑)
O:ひどい(笑)
H:日本人なんだよ(笑)ゆっくり歩いていったからね。で、そのハレー彗星が…次は46,47年後かな。だから、次はぜったいに僕は観れない。と思って、すごいさみしい気持ちになったの(笑)さあ、君たちはどうかな?
O:…ギリギリ観れるのかどうか…(笑)
H:まあ、生きてたら観てね。
O:はい。
H:次の時代のハレー彗星の観測って、その[彗星の]そばまで行って中継するっていうことが起こりうるわけだからね。
O:おー、すごい…
H:見物ですよ。いいなぁ、みんな。観れないよ、確実に観れない、僕…えー、がんばろうかな。
越:(笑)
O:がんばってください、ぜひ!
H:これ、がんばって生きれるもんなのかな?(笑)歯ぁ食いしばって。
O:(笑)
H:だから、いまのテレビ出てる人たちはわりと若いから、みんな観れるんだろうなぁ、とかね。思うんですよね。
H:そんなこんなで…平成最後の曲、1曲。
O:平成最後の曲って言われると…(笑)
H:気楽に気楽に。
O:気楽な曲をかけます。じゃあ、ハリー・ブリュアー・グループ(Harry Breuer Group)という…さっきの選曲のB面がハリー・ブリュアーの40年代のグループなんですけど。
H:うん。
O:それで…"Mystery Man"という曲を
Mystery Man - Harry Breuer Group
H:はい。ハリー・ブリュアーと言えばですね、ずっとこの番組のテーマでお世話になってますよね。
O:そうですね。"Minute Merengue"。
H:もう何十年と…ずっとこれでやってきました。
O:はい。
H:が、しかし…5/1から令和になりますので、そろそろテーマ音楽を変えようかな、と。
O:おお。
H:でも、すぐには出来ないんで…当分はいまの…♪チーチッキ チーチッキっていうやつから始まりますので、よろしくね。
O:(笑)
H:来月からね。えー、いま思いついたことなんですよね。それでは…ミハルちゃんどうぞ。
越:じゃあ、また映画音楽の中から…
H:おー、なんだこれは…(笑)
越:リリアーナ・カヴァーニ(Liliana Cavani)の…
H:いいね、よく観てたよね。
越:なつかしい。『愛の嵐(Il Portiere di notte, The Night Porter)』のテーマ曲を。
H:影響されたよね。
越:ダニエレ・パリス(Daniele Paris)。
H:昔は「ダニエル・パリ」って言ってたんだけど、作曲家ね。
越:そうです。イタリアの作曲家…
H:この曲は…原美術館で1回演奏したね、僕たち。
越:…あ、そうだっけ?
H:そうだよ。
越:私はサロン・コンサートでやりました。
H:そういえば、1回しかやったことないけどね。ぜひ聴きましょう。
越:はい。
H:ということで、平成最後の曲は…"愛の嵐(Portiere Di Notte)"(笑)
O:(笑)
H:最近、この世に足りない…エロスですけどね。ではまた来週も…来週じゃないや、来月…来週だやっぱり(笑)
O:(笑)
H:令和の時代にお会いしましょう。
Portiere Di Notte - Daniele Paris