2019.04.21 Inter FM「Daisy Holiday!」より
『メゾン・ド・ヒミコ』のサントラ、本当に名作なのでぜひ…
(以下、すべてH:)
こんばんは。細野晴臣です。えー、ひさしぶりに、ひとりでぼちぼちとやろうと思いますが。きょうは…めずらしいですけど、自分のいままでの映画音楽を中心にやってみたいな、と思います。まずは最近ですけど…最近といっても去年ですけど。『万引き家族』から"Image & Collage"という。これは映画の中で使われている音楽をまとめたり、ちょっと新しく付け加えたりした音楽なんで…それを聴いてください。
Image & Collage - 細野晴臣
(from 『万引き家族「オリジナル・サウンドトラック」』)
えー、『万引き家族』のイメージ…音楽というのかな。本編では入っていないメロディなんかもありますけど。おかげさまでですね、この『万引き家族』はすごい大ヒットして…日本アカデミー賞を頂いたりとか。鈴木慶一から頂いたんですけどね。で、香港に行って、国際アジア映画祭でも音楽の賞を頂いたりして。ありがたいな、と。おこぼれ頂戴、という気持ちで頂いたんですけど。香港ではジェジュン(김 재중,Kim Jae Joong)という人を紹介したりしてね。一時話題になりましたけど。これは原稿を頂いてそれを日本語で読んだというだけなんですけど…(笑)なんか、ジェジュンファンがいろいろ話題にしてましたね。なにもかも、平成の思い出ですね。
で、最近は…また映画音楽をこないだやったりして。それはマレーシアの監督の作品なんで、これから…ま、いつどうなるかはわかりませんが、音楽は付けたんです。
ところで、この『万引き家族』のDVDが4/2に出たんですが…この番組始まって以来、すごいことをやります。3名の方に…(笑)いや、笑っちゃうってことはないけどね。『万引き家族』のDVDをプレゼント致します。誰にするかな、なんて、こっちで選ぶわけじゃないんですけどね(笑)応募、してくれるんですか?あ、ホントに?じゃあ、抽選ですね、それは。じゃあ、抽選させて頂くということで…3名の方にプレゼントするという。なんか、ラジオっぽいですよね。初めてです、こういうの。だいたい自分の音楽をこうやってかけるのもめずらしいんですけど。
で、続けますね。映画音楽の中で印象深いのは『メゾン・ド・ヒメコ』かな。この中で…これも使われてない(笑)番外編の音楽をCDでは入れちゃったんですけどね。あえてそれを聴いちゃいますね。"Unsung Song"。歌われなかった歌。ま、インストですけど。
Unsung Song - 細野晴臣
(from 『The Original Soundtrack of “La Maison de Himiko”』)
まあ、淡々としたインストですけど。このとき僕は…三拍子がすごく好きだったときがありましたね。まあ、いまでも好きなんですけど。三拍子はほんっとおもしろいですね。いろんな…リズムのアプローチがとてもおもしろいんですよね。 で、この頃は…そうね、いつだったかな、これは。もう記憶が定かじゃないです。歳を取っちゃってわかんないんですけど…ぜんぶ、平成の思い出ということで。
最近、鈴木惣一朗くんががんばってまとめてくれたものがけっこう出てまして。去年の12月に出たのが『銀河鉄道の夜』ですね。完全版ということで。これもやっぱり、思い出深いものでした。未発表曲っていうのはそんなに無いんですけど、それも入ってる完全版ということでしたね。なにをかけようかな…『銀河鉄道の夜』から、エンディングテーマをかけましょう。
(from 『銀河鉄道の夜』)
えー、『銀河鉄道の夜』のエンディングテーマですね。この曲は鈴木惣一朗くんやコシミハルの影響がすごく強い音楽なんです、実は。
それほど映画音楽はやってないんで…そうだな、なんだろう。映画音楽ではないんですけど、その鈴木惣一朗関連で…80年代にモナド(MONAD)とノン・スタンダード(NON-STANDARD)という2つのレーベルをやっていたものをまとめて*、非常にすばらしいボックスセットを作ってくれました。出たばっかりですね、これは。その中に未発表曲があるんですが…これはなんで[発表するのを]止めたかというと、ライナーノーツに書いてあります。テクノ時代の…YMOのような曲なんですね。いままでの流れだとちょっと強烈ですけど、聴いてください。"北極"。
*モナド・レーベルの4作品がボックスとしてまとめられたのは2002年。ここで細野さんが言及しているコンピレーション(NON-STANDARD collection)にはモナドの楽曲は含まれていない。
北極 - 細野晴臣
(from 『NON-STANDARD collection -ノンスタンダードの響き-』)
えー、"北極"という、これは未発表音源ですけど…これ、歌を入れるつもりで作ったんで、なんかこう、カラオケなんですよね(笑)で、歌は作らないでそのままほったらかしにしてあったんですが、それを鈴木惣一朗くんが発見しちゃったわけですね。まあこれは、このままたぶん、歌は入れないまんま…でしょうね。
えーと…いま思い出す映画は『人間の約束』。この映画はですね、日本のヌーヴェル・バーグ派…だと言われていました、吉田喜重監督の作品なんですけど。当時…これはいつでしたっけね。平成の思い出なんで…平成じゃないか、これは。昭和だ(笑)えー、昭和時代に作った音楽なんですけど。その当時、僕は父親が病気で倒れて、非常に危ない時期だったんですね。で、その映画が三國連太郎さんが主演で…かなり老齢な役だったわけで、それがダブっちゃって、非常に落ち込んで作ってたんですけど、映画観てて「これ、音楽要らないんじゃない?」なんて言っちゃったりして。失礼なこと言ったような気がして。先日…日本アカデミー賞の舞台にその吉田喜重監督がいらっしゃってて。岡田茉莉子夫妻、ですね。岡田茉莉子さん・吉田喜重さん夫妻と、岸惠子さん、吉永小百合さんと。そういった重鎮が並んで賞を頂いてましたけど。そのときに、お会いして挨拶したかったんですけど、人が多くて辿りつけなかったという…そういうことがありました。その『人間の約束』から"OHENRO-SAN"という曲。これは『omni Sight Seeing』というソロにも入ってます。
Ohenro-San - 細野晴臣
(from 『omni Sight Seeing』)
吉田喜重作品『人間の約束』から"Ohenro-San"、かけました。
じゃあ、最後にもう1曲だけ、かけさせてください。『メゾン・ド・ヒメコ』と同じく…その次の作品でしたね。犬童監督(犬童一心)の作品で、『グーグーだって猫である』。これは大島弓子作品が原作でしたね。その中に入れた曲があるんですけど…これは他に入れてないんで、このサントラにしか入ってないんですけど、なかなか聴けないのできょうはこれを最後にかけたいと思います。
その前に…番組の初めに紹介しました、『万引き家族』のDVDプレゼントについてですけど、これは番組のホームページのメールのところをクリックして、「DVD希望」と書いて送ってください。締切はあさってまで、とします。厳しいですね(笑)はい、お願いします。
*現在は終了しています。
では…これは僕の歌で作りました、"アーユルヴェーダ"という曲です。ではまた来週!
(from 『「グーグーだって猫である」 オリジナル・サウンドトラック』)