★2019.03.15 α-STATION FM KYOTO「NICE POP RADIO」より

最高

 

 

  

いつかの手紙 - スカート
 (from 『静かな夜がいい』)
 

 

澤部:こんばんは、スカートの澤部渡です。京都α-STATION、毎週金曜日午後8時からはNICE POP RADIO。今週もわたくしの選曲とおしゃべりにお付き合いください。 

 72回目の放送でございます。先週に続いて臼山田洋オーケストラこと、音楽ライターの臼杵さん(臼杵成晃)をゲストにお迎えしております!

臼杵:はーい。

澤部:どうもどうもどうも…先週はお互いに聴かせたい曲を選ぶ、みたいな感じで…

臼杵:はい。ちょっとだけ歴史を…うっすら辿りつつ。

澤部:そうですね。なので…今週はですね、やっぱりわたくしの心の師匠である臼杵さんに教えを乞う…という感じで(笑)最近臼杵さんがよく仰ってる、渋谷系の文脈以外の人が作った、90年代の渋谷系っぽい音楽…まあ、よく「文脈外」って言い方をね、されてますけど。その辺の音楽をたっぷり聴いていきたいと思っております。よろしくお願いします~

臼杵:はい。

 

澤部:番組ではみなさんからのメッセージをお待ちしております。α-STATIONのホームページにあります"メッセージ"から、番組「NICE POP RADIO」をセレクトしてお送りください。FAXは京都075-344-8940です。Twitterアカウントをお持ちの方はハッシュタグ、カタカナで「#ナイポレ」を付けてつぶやいてください。

 また、この番組はパソコンやスマートフォンでラジオが聴けるIPサイマルラジオRadikoでもお聴き頂けます。スマートフォンからはGoogle PlayやAppStoreからRadikoアプリをダウンロードしてお楽しみください。有料サービスのRadikoプレミアムを利用しますと全国どこでもα-STATIONをお楽しみ頂けます。詳しくはα-STATIONのホームページ、またはRadikoのホームページをご覧ください。  

 そして、京都のレコードショップJET SET KYOTOのお店にNICE POP RADIOのコーナーも作って頂いております。番組で紹介したレコードも展開されておりますので、ぜひチェックしてみてください。    

 

 じゃあ僕もね、文脈外の曲を1曲…持って参りました。

臼杵:はいはいはい。

澤部:すごい迷ったんすけど、PRINCESS PRINCESS奥居香さん(現・岸谷香)のソロを持ってきました。これも僕、臼杵さんに教えてもらって…元々PRINCESS PRINCESS、すごい好きで。奥居さんの曲ってプリプリでもすげぇいい曲あったんすよ。

臼杵:うん。 

澤部:で、もう、ソロデビューの1994年のアルバムで…ほとんどバカラックBurt Bacharach)になるという…(笑)

臼杵:そうですね(笑)

澤部:生きながらにしてバカラックになる瞬間があったんで…(笑)それを聴いてもらいましょう。奥居香で"帰り道"。 

  

 

帰り道 - 奥居香
 (from 『Renaissance』)
 

 

 

[CM]

 

澤部:京都α-STATIONからお送りしておりますNICE POP RADIO。今週もゲストはこの方でございます。

臼杵:はい、えー、臼山田洋オーケストラ…です(笑)はーい。

澤部:(笑)はい、よろしくお願いします!まあ、改めて…先週も来て頂いた臼杵さんは、さっきも話しましたけど、僕の心の師匠、という感じでございまして(笑)

臼杵:はい。

澤部:中学・高校とよく行っていたイベントのオーガナイザーというか、主催であり。で、そこでわたくしが山のように音楽を浴び、ここまで育った…という解釈でいいと思います(笑)

臼杵:すくすく育ちましたね(笑)

澤部:(笑)で、まあ、そんな感じで…臼杵さんに来て頂いております。今週は、臼杵さんが最近気になっている、渋谷系の文脈以外の人が作った、90年代の渋谷系っぽい音楽を特集…ということなんですけど、まあ、どういう感じなんですかね?

臼杵:なんか、「渋谷系」みたいなのって度々特集されたりとか、評論家の人がなんか言ったりするけど、そういうのって大体、フリッパーズ・ギターだったりオリジナル・ラヴだったり…まあ、当事者の人たちのお話だったりするから、「本当のピークは1992年で終わってる」みたいな、そういう話とかになるけど。

澤部:うんうん。

臼杵:実際はそっから漏れ出てるもの?というか。そういう人たち大量にいたのに、その辺の話が無かったことになっている…気がしていて。

澤部:はいはいはいはい。

臼杵:僕なんかはその辺のものが大好きだったので…(笑)そういうのを評論家に任せてると、この歴史が無かったことになっちゃう…みたいのがあって。

澤部:たしかにね。んー。

臼杵:まあ、それをいちいち形にするつもりはないが、ひたすら「そういう音楽はあるんだぞ」というのが…まあ、みんな聴いてくれるといいな、という気持ちがあるんですよね。

澤部:たしかに、その10年前もニュー・ウェーヴに中てられてあがた森魚がニュー・ウェーヴやっちゃう、みたいなね。そういうのってあったじゃないですか。マジカル・パワー・マコがテクノやる、みたいな。

臼杵:うんうん。

澤部:なんか、そういうものが渋谷系にもあったんだな、というのをね、感じてもらえれば、と思います。

臼杵:はい。

 

澤部:じゃあ、ちょっとずつ聴いていきましょうか。

臼杵:はい。まあその、急に音楽変わっちゃったりの代表例というか、有頂天のケラさんが…

澤部:あー!はいはい。

臼杵LONG VACATIONというのを90年代頭から半ばくらいまでやってたんですけど、その短い3,4年ぐらいの間にむちゃくちゃ盤を出していた人たちで。その中でもとりわけ、いかにもそれっぽい音楽をやってたアルバム…『SUMMER LOVERS』というアルバムの中から…これはシングルにもなってますが、"Sunday Love"という曲を聴いて頂きましょう。

澤部:はい。

  

 

Sunday Love - LONG VACATION
 (from 『SUMMER LOVERS』)
 

 

 

臼杵:はい。これがLONG VACATIONの"Sunday Love"でした。

澤部:このアルバムは聴いてなかったんで初めて聴いたんすけど、ほんとにもう、めちゃくちゃ…トレースしたかのようなオシャレさと…(笑)

臼杵:うん(笑)

澤部:ジャズっぽい…エアーっぽい、アンビエントのたくさん鳴ってるドラムの感じと、このシンセの密室感の…この、なんていうか、アンバランスがたまんないっす。なんか、真っ当に…「真正面から渋谷系をやってみよう」とはなんか少し、切り口が違う…

臼杵:まあ、ケラさんですからね…っていう(笑)

澤部:ね(笑)

臼杵:まあ、わかりやすく…いろんなレコード屋さんにこういうことが起こっていた時代だったわけですよ。まあ、ロンバケが聴きたくて僕は東京に来て、今に至るという…

澤部:そうかそうか…そうでしたね。

臼杵:そんな感じですね。

 

澤部:そう。最近、文脈外のお話をされてますけど、そこに至ったのってなにかきっかけとか…?

臼杵:いや、まあ元々聴いちゃあいたので…そもそも、いわゆる「渋谷系」の…あ、そうだ。ちょうど澤部くん、先々週の放送で90年代の話してましたけど、1987年生まれの人が考える90年代…(笑)

澤部:そうそうそう(笑)

臼杵:僕の場合は、16歳から26歳が90年代なんです。

澤部:はー…

臼杵:で、まあド真ん中を見てきたし、HMVにも通っていましたし、センター街の。

澤部:いいなぁ…

臼杵:なんだけど、明らかに僕は側道を歩いていたので(笑)当時からそういうものは聴いてたし、クラブでもそういうものをかけたくてDJを始めた、みたいなところがあって。

澤部:あー。

臼杵:「加藤いづみ、大きい音で聴きたいじゃん」っていうところが、そもそものきっかけだったりするので…

澤部:そうかそうか、なるほどね。

臼杵:そこを改めて考えてて、当時聴いてなかったCDもいっぱいあるな、と思って。なんとなく探しはじめたら、まだ山ほどあった、っていうのがひとつの…

澤部:きっかけなんですね。

臼杵:そうですね。

 

澤部:じゃあちょっと、このまま続けて聴いていきますか。

臼杵:そうですね、この辺も…当時から好きだし、ずーっとかけ続けているもの。で、わかりやすく…「ロジャニコ歌謡」って呼ばれてるんですけど(笑)

澤部:はいはいはいはい。

臼杵:完全なロジャー・ニコルスRoger Nichols)をやっているものを2つ続けて…まあ、いけたら3つ、続けて聴いて頂きたいものなんですけど。とりあえず1曲、濱田マリさん。モダンチョキチョキズ濱田マリさんですね。"フツーで行こう"という曲を…お願いします。

  

 

フツーで行こう - 濱田マリ
 (from 『フツーの人』)
 
 

 

臼杵:はい。という…完全に"Love So Fine"だ、っていう(笑)感じのもので…

澤部:ねー!

臼杵:まあ、モダチョキはそもそもオシャレなものをやってる人たちなので、実は。

澤部:そうですよね。

臼杵:作曲が遠藤京子さんで、当時聴いた時に、ちょうどロジャニコの再発とかがあった時期の1年後とか2年後で…

澤部:はいはいはい。

臼杵:で、とにかくビックリして、なんなんだこれは、と思ってすごい慌てた曲ですね。当時、普通に…NHKの番組とかでも歌ってたけど…

澤部:ふーん。

臼杵:そうなんですよ。すばらしい、アレンジが…まあ、こういう、いかにも小山田さん(小山田圭吾)たちがやっていたロジャニコの…まあ、パクリですか。そういうのをやってる人たちは他にもぜんぜんいた、っていうので…

澤部:うんうん。


臼杵:同じように、そういうロジャニコ路線みたいなもので、もう1個…これはホントに、なんでみんな聴かないんだろう、ぐらいの、ちょっと穴…なんていうんですかね。

澤部:うん、僕もね、これね、次かかるやつ…ずーっと探してはいるんですけど…探そうと思うと、無いんですよね。ずっと聴きたいのに聴けてないっす。

臼杵Corneliusの"The Love Parade"だったり、"Don't Take Your Time"…ロジャー・ニコルスの。それをやってる曲っていうのが何曲もあって。ロンバケにもあるんですけど。まあ、それの代表的かつ、いちばんカッコいいと思うんじゃないか、というやつを聴いてもらいましょうか。

澤部:はい。

臼杵:じゃあ、次がですね、加藤いづみの"オンナトモダチ"という曲です。

  

 

オンナトモダチ - 加藤いづみ
 (from 『SAD BEAUTY』)
 
 

 

臼杵:はい。つーことで…(笑)

澤部:パーフェクト、ホントに最高。

臼杵:この時期の加藤さんは上田ケンジさんとタッグを組んでいた時代で。

澤部:はいはい。

臼杵カーネーションの直枝さん(直枝政広)も参加しているアルバムなんですけど。『SAD BEAUTY』というアルバムに入ってる曲で。

澤部:めちゃくちゃ良い…

臼杵:すんばらしいんですよ。これ、いわゆる渋谷系的なものを追ってるディガーの人たちはここに手を付けることはあんまりないと思うんで…(笑)

澤部:んー、かもしれない…

臼杵加藤いづみさんはそもそもソフトロックっぽいものを…本人が意図してるわけじゃないと思うんですけど、村井邦彦的な音楽が実は山ほどある

澤部:えー!めちゃくちゃ興味出てきた…

 

臼杵:で、こういうノリの曲っていうのがいくつもあって…斉藤和義さん。完全に意外な方向ですけど(笑)

澤部:ね。

臼杵:…が、"歌うたいのバラッド"出した時のアルバムの中にも入ってる…これもシングルになってはいるんですが。

澤部:へー。

臼杵:これ、明らかにそれをやろうとしてるでしょ、っていうアレンジの曲が…当時シングルで出てまして。斉藤和義さんで"Hey! Mr.Angryman"という曲です。

 

 

Hey! Mr.Angryman - 斉藤和義
 (from 『Because』)
 
 

 

臼杵:はい。斉藤和義さんの"Hey! Mr.Angryman"という曲でしたが…(笑)

澤部:やっぱ、あの間奏聴くと…(笑)

臼杵:そうでしょ?ぜったいそうでしょ?って、本人に確認したい、いつか(笑)

澤部:あとやっぱり、「Hey! Hey!」とかそういう感じも、なんていうか…ビートもの感があるし。

臼杵:だから、こういう人までそういうことをやってたっていうことが…実はあったんだけど、あんまりいま語られることもないな、と思うわけですよ。

澤部:たしかにね。普通に、こう…「硬派なシンガー・ソング・ライター」みたいな見方ですもんね。…というわけで、文脈外の渋谷系、ということでお送りしているNICE POP RADIOなんですけども、CMの後もまだまだ続きます。

 

[CM]

 

澤部:京都α-STATIONからスカートの澤部渡がお送りしておりますNICE POP RADIO。今夜のゲストは先週に引き続き、臼山田洋オーケストラさんでございます。

臼杵:はい。

澤部:どうもどうも、よろしくお願いします。今週のナイポレは…渋谷系の文脈外ということでお送りしているんですけれども、僕も1曲選んできました。チェッカーズの曲を持って来たんですけど。チェッカーズって…「渋谷系」の認識として有名なところだと、『学校へ行こう!』っていうドラマがあって。

臼杵:はいはい。

澤部:で、劇中の音楽をピチカート・ファイヴがやって、それのオープニングをチェッカーズがやってたんですよね。で、[チェッカーズは]表であり、裏がピチカートだったんですけど…チェッカーズはわりと、晩年は初期にあった不良っぽい感じが無くなり…無くなり、っていうか、モードが変わっていって。ちょっとスムースな音楽をやるようになっていくんですよ。で、解散ギリギリに出たシングルだったと思うんですけど、"Blue Moon Stone"という曲を聴いてみましょうか。

 

 

 (from 『BLUE MOON STONE』)
 
 

 

澤部:というわけで、聴いてもらっていますのはザ・チェッカーズで"Blue Moon Stone"という曲なんですけれども…

臼杵:シティポップ…

澤部:そうそうそうそう(笑)ただ、どうしてチェッカーズがこの流れにたどりついたのかっていうのが、ちょっとまだわかってないんですよね。なんか、もしかしたらアシッド・ジャズのほうからこういう風になったのかな…

臼杵:まあ、でも、あの夜遊びの人たちだし、年齢的にもちょっと大人になって…そういう音楽を取り入れたんじゃないですかね(笑)

澤部:(笑)そうなんですよね、こういう感じの…これが1991年だったかな?とかなんですよね。

[*正確には1992年。]

臼杵:はいはい。

澤部:というわけで、チェッカーズの"Blue Moon Stone"という曲を聴いてもらいました。

 

 じゃあちょっとまた、再び臼杵さんの選曲に戻りましょう。

臼杵:はい。

澤部:先ほどはバカラック系をバーッと聴いた感じでしたけど。

臼杵:そうですね。今度はここ最近の…もう一回掘り起こしてみようと思って、とりあえず女性シンガーだったりとか、女優さんが出したレコードとか、そういうところにお宝がけっこう潜んでいることがわかってきたんで。

澤部:そうですよね。

臼杵:そこを改めて…これ聴いてない、みたいなやつを片っ端から買う、みたいな状態で掘り進めていて。その中から出てきたものをいくつか…ここからはかけてみようかなと思います。

澤部:ほうほう。

臼杵:ひとつがですね…miyukiさんという、ピアニストらしいんですけど、何枚かだけ出して、いまも…うーん、活動的にはそんなに、いろいろやってる方ではないんですが。このCDが…どこの中古CDの「ま行」にも必ずあったんですけど、ずーっとなぜかスル―し続けていて。

澤部:へー…はいはいはい。

臼杵:そういえばこれ聴いてなかったな、と思って聴いてみたらむちゃくちゃ最高だったという…(笑)

澤部:ふーん。

臼杵:miyukiさんというシンガーさんの、『ぜんぶ言ってしまおう』というアルバムなんですけど、その中から"かわいいKISSをあげる"という曲を。お願いします。

澤部:おお…もう、イントロから良いですね。

 

 

かわいいKISSをあげる - miyuki
 (from 『ぜんぶ言ってしまおう』)
 
 

 

臼杵:という感じで…どの曲かけようかなって迷うぐらい、すばらしい曲が…わりとヴァリエーションに富んだ曲がいっぱいあって。で、まあ…ちょっとこんなロリ声でっていう感じで…(笑)これはすばらしい、いわゆるすばらしいガールズ・ポップですよね。

澤部:んー、めちゃくちゃ良い…編曲もすげぇ凝ってますね。やっぱり時代が…お金があったのか、なんなのか…(笑)

臼杵:そうですね(笑)お金があったんだろうな、っていうのは、やっぱこの辺の時期の音楽聴いてるとすごく思います。

澤部:あー…

臼杵:で、さらに同じような時期で…女優さんが出してるレコードというのはいっぱいあって。それこそ小西さん(小西康陽)が書いてるものとか、けっこういっぱいあるんですけど。たとえば松雪泰子さんとかね。

澤部:ね。

[*95年のデビューシングル『ESP』は小西康陽プロデュース。]

臼杵:そういうオシャレな曲…文脈「内」の人たちもいっぱい参加してる曲もあって。で、これは文脈外の中からひとつ…奥菜恵さんが実はめちゃくちゃ良い曲が何曲も潜んでいることが…

澤部:へー!

臼杵:ここ最近の調査で判明しまして(笑)

澤部:(笑)

臼杵:その中でもこれは…フリーソウル奥菜恵(笑)ちょっと聴いてみましょうか。奥菜恵さんでですね、"とってもゴメンネ"。

澤部:すげぇタイトル…

 

 

とってもゴメンネ - 奥菜恵
 (from 『gradation』)
 
 

 

臼杵:最高でしょ?(笑)

澤部:最高…

臼杵:こういう風な、ちょっとソウルミュージックみたいのを取り入れたものっていうのが90年代にはいくつもあって。それを…その後、MISIAさんが出てきたことによって本格化して、ちょっとまた別物になっていくけど…ちょっとソウルっぽい音楽を女性が歌う、みたいなのっていうのは山ほどあって、奥菜さんもそれをやっていた、と。

澤部:すげぇ…1997年なんですね、この曲。

臼杵:97年頃っていうのはそういうのがあるんだよね。まあ、あとは…すごいスウェディッシュっぽい曲をやってるんだけど、ぜんぜんスウェーデン関係無い、みたいな曲があったりもして(笑)

澤部:(笑)

臼杵:すばらしいんですよ。そういう時代。

澤部:時代だったんですね…

 

臼杵:こういう、いわゆる渋谷系文脈じゃない人がやってるんだけど…まあ、「超・渋谷系文脈内」?いわゆる、すばらしい、センスのいい作家さんが寄ってたかって作るアルバムみたいな。

澤部:はいはい。

臼杵:今で言うNegiccoだったりとか、声優さんの花澤香菜さんとか、ああいう感じの…その寄ってたかっての源流とも言えるのが、市井由理さんの『JOYHOLIC』というアルバム…

澤部:名盤ですね…

臼杵:これはホントに最高のアルバムなんですけど…朝本浩文さんが中心になって、菊地成孔さんだったり、ヒックスヴィルの皆さんが参加してたりする最高のアルバムがあって。これはいわゆるその「寄ってたかって」の元祖だと思うんですけどね、わりと。

澤部:たしかに…

臼杵:その中から1曲。まあ文脈「内」ですが、「超・文脈内」の代表として…いくつも良い曲あるんですが、"優しいトーン"という曲を。

spice.eplus.jp

natalie.mu

www.cinra.net

realsound.jp

 

 

 

優しいトーン - 市井由理
 (from 『JOYHOLIC』)
 
 

 

臼杵:はい。市井由理さん…これは明け方ぐらいのクラブで爆音で聴いてるとめっちゃ泣けるっていう…(笑)

澤部:うんうん…すげぇ…なんかこう、ホントに…さっきの奥菜恵さんのやつとか聴くと、センスが違うっていう感じが…(笑)

臼杵:センスと良さが違う(笑)そんな感じがしますね。

澤部:すげぇな…やっぱり、さっき話してたんですけど、奥菜恵さんが97年で、市井由理さんが96年なんですね。で、その1年の差でここまで…音色とか所作にこうも違いが…(笑)でも、さすがに20年経つとフラットに見れるというか。たぶん当時だったら、うわダサッみたいな感じに思っちゃったんだろうな、って。

臼杵:なんかね、ちょっとこれ…時間がないな(笑)ローファイみたいなものが95年とかに…ハードディスク・レコーダー、テレコのハードディスク版が出るのが95年ぐらいなので、Corneliusがそれでアルバム作ったり…とかいうこともあったりして…とかいう話をしだすと止まらなくなる(笑)ちょっと、いろんなことが起こった…

澤部:ね、90年代といえばね。

臼杵:で、ヘンなエラーみたいなものもいっぱい出ている時代だったんだよなぁ、というのが…もう、これは説明できないですな(笑)1時間では。

 

澤部:というわけで…最後にもう1曲聴いて今回の特集は終了となるんですが…

臼杵:はいはい。

澤部:どうでした?やってみて。

臼杵:んーとですね…ちょっと、これは本当にほんの一部だったんでいろいろ足りないな、と。作風をいきなり変えちゃった人の中でピロウズだったりとか…

澤部:あー!

臼杵:そういう代表的な部分がいくつかあって…あとはホコ天バンドだったのに急にイギリスっぽい音楽をSpiral Lifeとしてやり始めた車谷さん(車谷浩司)だったりとか…

澤部:ああ…

臼杵:他にもいっぱい…ちょっとね、筋を違えちゃった人がいっぱいいたんですよ。

澤部:たしかに、詩人の血とかもそうですもんね。

臼杵:そうそうそう。その辺のことって、わりと…もっと表沙汰になってない人たちもいっぱいいたりして、調べ出すとおもしろいんですけど。

澤部:うんうん…めちゃくちゃおもしろかったっす。

 

臼杵:まあ、その辺の流れとはまったく関係無い部分で、最後の曲を選んでみました(笑)ちょうど先々週の放送で弾き語りでやってましたけど…

澤部:あ、そうですね(笑)

臼杵:[井上陽水&忌野清志郎の]"帰れない二人"。この曲、オリジナルももちろん大好きなんですけど、僕は『東京上空いらっしゃいませ』という、相米監督(相米慎二)の映画の中で使われている…映画の中では牧瀬さん(牧瀬里穂)が口パクで歌っている曲なんですが、小笠原みゆきという方が歌っているジャズアレンジのカヴァーがありまして…それを最後にしたいな、と思います。これ、ギリギリ90年っていう感じなんですけど…映画自体は89年か。まあ、90年代ではないですが…単純に良い曲なんで(笑)最後に聴いてみましょう。小笠原みゆきさんで"帰れない二人"。

 

 

帰れない二人 - 小笠原みゆき
 
 
 

臼杵:当時、レンタルビデオで借りて。

澤部:はいはい。

臼杵:最高過ぎて、VTRからラインで引っ張ってカセットに録音して、すごい、ずーっと聴いてた(笑)高3の時かな。

澤部:えー!これ、映画、僕、まだ観れてないんですよ。ぜんぜん観れなくて…

臼杵:最高なんだけどね。

澤部:そう、スカートのMV撮ってくれてるゼキさん…大関さん(大関泰幸)という人もすごい好きで。いつか観なきゃなぁ、と…

臼杵リリスク(lyrical school)のプロデューサーのキムさん(キムヤスヒロ)も大好きで。

澤部:へぇ…

臼杵:何人かね、熱狂的なファンがいる。すっごいヘンな映画なんだけど…

澤部:タイトルがもう、良いっすもんね。

 

 

 

澤部:京都α-STATIONからスカートの澤部渡がお送りして参りましたNICE POP RADIO。番組はそろそろお別れのお時間となってしまいました。というわけで、たくさん文脈外の音楽を…改めて浴びましたけど。とにかく僕は「加藤いづみのアルバムを買う」という使命ができました。

臼杵:はい(笑)

澤部:最高…すごい、めちゃくちゃ勉強になりました。えー、というわけで…またぜひ、ちょっと…ホント臼杵さん、いろんな音楽聴かれてて。それこそさっき言ってたイージーリスニング特集とかもね、やってみたいです。ぜひまた来てください。

臼杵:はーい。

澤部:よろしくお願いします。じゃあ一回、スカート通信挟ませてください。

 

 ニューシングル『君がいるなら』、アナログ『20/20』好評発売中。アルバム『CALL』以降の作品のサブスク配信も始まってます。ぜひどちらもよろしくお願いします。

 春のライヴはですね…えー、東京以外です。3/21(木・祝)、神戸の蘇州園で開催のイベント「御影ロマンス 2019」に出演します。3/22(金)は沖縄那覇Outputでアナログフィッシュの20周年を祝うイベントに出演です。これはどちらも弾き語りですね。3/31(日)大阪味園ユニバースで開催のイベント「CHOICE VOl.18」にはバンドで出演します。よろしくお願いします。あとFUJI ROCKも決まりましたので、そちらもよろしくお願いします。

  NICE POP RADIOではメッセージをお待ちしております。α-STATIONのホームページにあります"メッセージ"のほうから、番組「NICE POP RADIO」をセレクトしてお送りください。FAXは京都075-344-8940です。Twitterアカウントをお持ちの方はハッシュタグ、カタカナで「#ナイポレ」を付けてつぶやいてください。番組の感想やわたくしへのメッセージ、選曲テーマやカヴァーのリクエストなどもお待ちしております。

 

 というわけでですね、臼杵さんに2週連続で来てもらいました。

臼杵:はい。ちょっとこれ、足りないから…

澤部:そうですね。

臼杵:これ、いくらでも…2,3時間ぜんぜんやれるんで、聴きたい人はDJで呼んでください(笑)ぜんぜんやりますんで。

澤部:あと、普通にイベントまたやってください。臼杵さんのイベント…なにが良いかって、むりやり踊ったりしなくていいところだと思うんで(笑)

臼杵:みんなスマホを見てるっていう(笑)ジッと座ってスマホを見ることが許されるイベントをやってるんで…

澤部:そうですね(笑)あと、何年か前に…明け方4時半から5時くらいの電車が走り始めるぐらいまでの間に、エンケン遠藤賢司)シバりとかあがた森魚シバりで、しめやかに朝を迎えるっていうのがあって…(笑)

臼杵:それをかけてたのは僕のお師匠さんである中嶋勇二さん…東京タワーズのドラマーの方ですね(笑)

澤部:そうですね。あれ最高でしたわ…そういう、ちょっと、なんというか…音楽の見方が少し変わるようなイベントをされております…(笑)

臼杵:今のところちょっと予定ないんで、告知は出来ないですけれども…

澤部:またぜひやってください。

臼杵:はい。

 

澤部:というわけで、今週最後にお送りしますのは…こちらも臼杵さんの選曲でお別れでございます。

臼杵:はい。まあちょっとですね、さっきお話もしましたが、ピロウズがオシャレなことやってた時期の音楽が僕大好きで…

澤部:うんうん。

臼杵:いろんな…94,95年とかその辺りなんですけど、本人たち的には納得いってない部分もあるかもしれないんですけど、音楽的には最高のものをいくつも作っている時期で…

澤部:はいはい。

臼杵:まあ、その後の活躍がもちろんすばらしいんで、これもぜんぜん、アレなんですけど…この時期のピロウズもすばらしかったんだよ、ってことで。これは映画の主題歌にもなってた曲なんですけど、"ガールフレンド"という曲がありまして。

澤部:ほうほう。

臼杵:超バカラックなんで、それを最後に聴いて終わりましょう。

澤部:はい、というわけでNICE POP RADIO、この時間のお相手はスカートの澤部渡と…

臼杵:臼山田洋オーケストラでした。

澤部:また来週。



ガールフレンド - THE PILLOWS
 (from 『LIVING FIELD』)