2018.12.30 Inter FM「Daisy Holiday!」より
時空の歪み…
H:こんばんは、細野晴臣です。さて!先週と同じメンバーです。
O:こんばんは、岡田崇です。
越:こんばんは、コシミハルです。
H:はい。先週も23日の夜中からだから…24日になってたんだよね。
O:はい。クリスマスイヴになってましたね。
H:きょうも…
O:もう、大晦日。
H:大晦日なんだね、実は。ついにね。
O:ついに…
H:どうします?
O:いや、別にどうともしないんですけど(笑)
H:平成が終わる、ってことはどうなの?
O:えー…でも、次のことが決まってないんでなんとも…
H:なんとも言えないよね(笑)未来は語れないよ、なんか。えー…平成ってどうだったの?好きなの?
O:あー…どうっすかね…30年…んー、なんとも…
H:なんだかわかんないような感じで。はい。どうですか、ミハルちゃんは。
越:うーん。でも、最近ね。
H:うん。
越:すごい、なんか…いろんなことが大きく変わってきてるな、って感じるの。
H:そうでしょう。
越:なんか、すごい波…変わるんだよね、きっとね?次元が。
H:変わる変わる。うん。
越:いろんな…音楽もそうだし、映像もぜんぶ。
H:そうだよ。その通りなの。
越:ね。暮らしも…いろんなところで変わってくものがいっぱいある。
H:すごいうねってるよね。なんだろうね…テクノロジー的には中国すごいじゃない、今。ついに日本が下降線をたどってるっていうかね。出遅れてるって言われてるでしょ。
越:うん。
H:まあね…でも、そういう技術はまだ持ってるから、中国に売ったりしてるわけでしょ。そういうこともあったりして…なんか、お金いっぱいもらってる会長がね、拘置所に入っちゃったりとか。
越:うん。
H:いろんなことがあってね。変わるんだよね。えー…じゃあ、そういう音楽をかけてください、岡田くん。
越:(笑)
O:どういう音楽をかければいいのでしょうか…(笑)
H:いいんだよ、なんでも(笑)
O:じゃあですね…先週はモンキーズ(The Monkees)かけましたけど、ブライアン・フェリー(Bryan Ferry)の新譜を。
H:新譜?
O:新譜が出てるんです。
越:おっ。
O:"Dance Away"…ロキシー・ミュージック(Roxy Music)のセルフカヴァーをやってるんですけど。
H:うん。
Dance Away - Bryan Ferry And His Orchestra
H:いやぁ、いいな。良いレコーディングだね、これ。歌ってないんだよね?
O:歌も…8曲くらい歌も入ってるんですけど。
H:いや、けっこうノスタルジックな…
O:これの前に…『The Jazz Age』ってタイトルだったかな?5年ぐらい前にこの手のアルバムを出してて、これが最近出たやつで…
H:この世代はみんなこういう感じなのかねぇ。
O:なんか、1920年代を舞台にしたベルリンの…『Babylon Berlin』っていうNetflix系のドラマがあって。
H:うん。
O:ブライアン・フェリー、出演もしてて。その中で使われた音楽を中心に作ったアルバムですね。
H:なかなかCDセット…ブックレットもいいね。これも欲しいな…モンキーズとブライアン・フェリーは買おう。
越:(笑)
O:毎度あり、ってことで…(笑)
H:(笑)
O:行商のようなことを毎回…(笑)
H:さあ、ミハルちゃんは…今年ね、プロデュースしたじゃないですか。
越:あ、バレエだ。
H:『秘密の旅』?
越:うん…そうだね、そういうタイトルだった(笑)
H:いや、けっこうよかったよ。けっこうって言っちゃうとアレだけど…
O:すごくよかったですね。
H:うん、すごくよかったね。あれ、再演するんでしょ?
越:そうですね、再演することになると思います。
H:それはよかったなぁ。一回じゃもったいないと思ってたの。いつ?
越:まだ決まってないんだけど…
H:まあ、じゃあその時また教えてくださいね。
越:はい。
H:んー…じゃあもう、これできょうは…
O:(笑)
H:もう、ヘトヘトなの(笑)寝てないからね。
O:そういえば。
H:うん。
O:2回ぐらい前の放送でジョー・ヘンリー(Joe Henry)特集やったじゃないですか。
H:はい。
O:あの中でですね、ボニー・レイット(Bonnie Raitt)の曲をかけたんですけど。
H:僕?
O:はい。あれ、ジョー・ヘンリーのプロデュースじゃなかったですよ。
H:ええー?
越:(笑)
O:(笑)
H:怒られちゃった(笑)
O:いやいや(笑)エンジニアは同じなんです。
H…でしょ?(笑)
O:あのアルバム、4曲ジョー・ヘンリーがやってて、他はボニー・レイット本人がやってるんですよ。
H:はぁ…いいよ、それで(笑)
O:で、レコーディングは同じ方なんで。ライアン・フリーランド(Ryan Freeland)って人が、ジョー・ヘンリーのあの一連のをぜんぶやってる…
H:あのエンジニアがすごいから…実はエンジニア特集だったんだよ。
O:エンジニア特集…「ライアン・フリーランド特集」だったってことですね?
H:だったの、ホントは。裏テーマがね。
O:スタジオもぜんぶ同じなんじゃないですかね。ガーフィールド・ハウス(The Garfield House)。
H:そうなんだよ。興味があるなぁ。そこで僕、レコーディングしたいな。
O:でも、ジョー・ヘンリー、そこをもう離れちゃったんですよ。
H:ホント?それは知らなかったな。
O:2015年かなんかに。引っ越しちゃったんですよ。9年ぐらい住んだのかな。いいところみたいですけどね。
H:もう…ミハルちゃんの言ったことだけど、音がまず、変わってきてるでしょ?いま聴いても…ブライアン・フェリーのも。
越:うん。音がすごい変わったね。
H:変わった。
越:でも、ずっと…あんまり、ほら、新しいのは聴かなかったじゃない?
H:うん。聴かなかったね。
越:すごい長かったよね、その時期がね。もう何十年…
H:そうそう…(笑)
越:で、聴いてもラジオとか、あとはおそうじタイムとかそういう感じだから…
H:遠くで聴くとね…ヘッドフォンで聴くと違うんだよ。
越:毎年毎年…すごく変化してるんだよね。
H:すごい変化だよ。
越:1年前でもだいぶ違うって、すごい流行が…洋服みたい。
H:これがやっぱり、2010年代の変化ですよね。で、2020年代はどうなるのかね…
越:で、なんでも…どっちにでも行けるよね。ほんとに、いろんな方向が…
H:今、それぞれ…音楽作ってる人はみんな考えてると思うよ。音のこと。「音楽」というよりも。「音」を考えてるよね(笑)
越:いま、すごい拡がって…大きいじゃない?音が。
H:そう。音像がね。変わってきたんだよ。さっきのブライアン・フェリーのも、Monoに近いじゃない。でも、適度に空間があるじゃない。
越:そうなんだよね。
H:すごい興味があるよね。どうなってくんだろう、っていう。いま僕が作ってるのもね…
越:どうなってるの?
H:どうなってるんだろう?(笑)
O:(笑)
越:どこへ向かってるの?(笑)
H:わからないんだ、これが…(笑)わからない、テイラー・スウィフトに向かってないことは確かだけど。
O:(笑)
H:ジョー・ヘンリーもね、興味があるし。いやぁ、ブライアン・フェリーもよかったなぁ。モンキーズもよかったし。んー…どうしよう。どうすんの?じゃあ今後の話する?
越:今後はどうするの?来年はどうなる?(笑)
H:つい1カ月ぐらい前、「グローバル」「グローバル」って言ってた時期があったでしょ?(笑)
越:なにもかも…
H:世の中の音楽はぜんぶグローバル…画一化されてるじゃない。音もね。
越:もう、ネットがあるから、なんでもそうなってきてるよね。
H:で、ミハルちゃんもそれに目覚めたみたいで…
越:そう。
H:「グローバル・ファッションだ」って騒いでたね。
越:そう。もう、ファッションもグローバルにしようみたいな…(笑)
H:(笑)どういうのをグローバル・ファッションって言うわけ?
越:なんか、トーンが似てる。コーディネートのトーンが似てる。
H:それも音楽に近いんだね、じゃあ。
越:そう。
H:なるほど…いやぁ…ホンっトにすごい変化だなぁと思って。ドキドキしちゃうんだよ、実は。
越:うん。
H:ね。なんだろう、これは。
越:岡田くんは、新しいのは聴かない…?(笑)
H:いや、いま聴いてるのはぜんぶ新しいよ(笑)
越:あ、これはそっか…(笑)
O:新しいのばっかかけてますから…(笑)
H:(笑)
O:大阪で買ってきたのはぜんぶ10inchとか、古いのばっかですけど…
H:そこら辺のね、変化が訪れてるっていうことだよね。きっと。
O:まあおもしろいですよね、聴いてて。
H:えー…じゃあさ、なんか聴こうか。はい。
越:新しいの聴きますか?
H:あ。新しいの聴かせて。
越:フランスの人で…フレーロ・ドゥラヴェガ(Fréro Delavega)って言うのかな。"Ton Visage"っていう曲です。
Ton Visage - Fréro Delavega
H:軽くていいね。
越:うん、すごい軽いよね。
H:最近、軽いの多いね。こういう。
越:うん。軽いのがいっぱい出てきてますね。
H:なんか、聴きやすいよね。フランスも揺れ動いてるでしょ、今。ルノー関係のことでも。政権が揺らいでるしね。なんだろうね、この騒ぎは。
越:うん。
H:あの、スウェーデンっていう国はグローバル国家なんだよね。キャッシュレスで、マイクロチップを手に埋め込んだりしてる人がだんだん出てきて…(笑)なに買うにもキャッシュレスだよ。中国もそうだけどね。
越:うん。
H:日本人はそれできないでしょ。やってる人いるけど。都市伝説の人とか…(笑)
O:埋めてますね(笑)
H:壊れたらどうすんの?あれ。ほじくるの?(笑)
越:こわい。
H:なんだかね、そういうことが…で、スウェーデンは外資系が多くなっちゃって、フランスもそうだったんだけど、民族主義が蠢いてたりね。「自分たちの文化が無くなる」って。だから、グローバリズムの反対語にはいろんな言葉があるんだよね。ナショナリズムとか。ポピュリズムとか。いろいろあるけど。んー。なにが正解かわからない、僕には。うん。そんな時代ですよ、いま。動いてる。
越:うん。
H:そんな音楽かけてください。
越:(笑)
O:えー…(笑)
H:(笑)
O:じゃあ、もう1曲新しいので…The Milk Carton Kidsでですね。
H:はい。
O:"Nothing Is Real"っていう曲を。
H:へえ…知らないなぁ。
Nothing Is Real - The Milk Carton Kids
(from 『All The Things That I Did And All The Things That I Didn't Do』)
H:ジョー・ヘンリーですね、これ。プロデュース。
O:そうです。
H:拡がってるもん。
O:「拡がってるもん」(笑)
H:こういう音楽って…ジョー・ヘンリーのソロもそうだけど、ヘッドフォンで聴くのと遠くで聴くのとでぜんぜん違うでしょ。
O:ぜんぜん違いますよね。
H:遠くで聴くと普通…っていうか、特に特徴が無い。
O:ライヴとかも普通ですよね。
H:でもヘッドフォンで聴くとね、すげぇと思うんだよね。なんだろう、これ?
O:このアルバムはすごいよかったですよ。全体が。
H:なんかそういう…テクノロジーの変化っていうのはあるけど、最近のニュースですごい記事を見たんですけど。
O:なんですか。
H:どこの国の…フランスだったかな?物質を縮める技術が出来た。『ミクロの決死圏』みたいな。
O:えー。
H:それはSFじゃないんだよ。なんかね、吸着ジェルっていうのを使って構造を作って、そこに分子を埋め込むとその物質が出来て、そのままそれを凝縮すると小っちゃくなる。恐ろしい技術だよ、これ。
O:どうなっちゃうんだろう。
H:いろんなことに応用できるわけ。癌細胞だけを攻撃する非常に小っちゃなロボットを作ったりとか。ビックリだね。ちょっと前までは3Dプリンターでいろんなものが出来るってビックリしてたけど。
O:そうですね。ずいぶんなんか…かわいい話になっちゃいますね、3Dプリンターの話がね。
H:もう、恐ろしいわ…なにが起こるかわからないよ。そんなようなニュースとかね。ビックリしました。
こういう感じで年は過ぎていくんですね。はい。
越:(笑)
O:取って付けたような…(笑)
H:とにかくね、1/8が締切なの…きょうも、大晦日も、正月も、返上しますよ。
O:お。
H:ま、お雑煮は食べるけどね。
O:楽しみですねぇ。
H:おもちはだいすきだからね!
O:んー、早速いまここに海苔が…
H:海苔もらったんだよ、きょう。みんなに配ったの、海苔。名刺みたいな形じゃない。
O:名刺代わりにさっき、海苔を…(笑)
越:(笑)
H:わたくし、こういう者です、っていう。…そういうわけで、最後に1曲、ミハルちゃんお願いしますね。きょうは僕、パソコン壊れてなにも…
越:はい。
O:海苔みたいな曲を…
越:海苔みたいな…(笑)ウィントン・マルサリス(Wynton Marsalis)の演奏で…
H:めずらしい。
越:"Everything Happens To Me"です。
H:どんな音かな。では、それを聴きながらですね…みなさん、また来年もよろしくね。
O:よろしくお願いします。
H:よいお年を。
O・越:よいお年を。
Everything Happens To Me - Wynton Marsalis